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【発明の名称】 車両用乗員シート
【発明者】 【氏名】植田 克也

【氏名】東 俊秀

【要約】 【課題】スピーカーの振動部に対向する部位の開口面積を確保し、音質を向上する。

【構成】シートバック14の内部に配置されたスピーカー装置30のスピーカーグリル34のスリット40が細幅の長手形状となっている。また、スピーカーグリル34を覆うシート表皮44におけるスピーカーグリル34の前面34Bと重なる部位44Aのスリット50が細幅の長手形状となっている。また、スリット40とスリット50とは長手方向が直角に交差している。このため、スピーカーグリル34とシート表皮44とが、シート幅方向またはシート上下方向にずれた場合にも、スピーカーグリル34のスリット40とシート表皮44のスリット50とが交差する部位において、その開口面積を確保することができるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員シートの内部に配置されたスピーカーと、
前記スピーカーの振動部を覆うと共に、細幅の長手形状とされた音通過部が形成されたスピーカーグリルと、
前記スピーカーグリルを覆うと共に、細幅の長手形状とされ、前記スピーカーグリルの音通過部と長手方向が交差する音通過部が形成されたシート表皮と、
を有することを特徴とする車両用乗員シート。
【請求項2】
前記スピーカーグリルの音通過部と前記シート表皮の音通過部との長手方向が直線形状であることを特徴とする請求項1に記載の車両用乗員シート。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は車両用乗員シートに係り、特に、スピーカーを備えた車両用乗員シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スピーカーを備えた車両用乗員シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、シートバックの凹窪部に対応するシートバック内にスピーカを内蔵すると共に、凹窪部の表皮材を音の通過率に優れた部材又は構造のもので形成している。
【特許文献1】実開平6−86612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の車両用乗員シートでは、スピーカーの振動部(音が出る部分)が表皮材によって覆われている。このため、スピーカーの振動部に対向する部位に十分な開口面積を確保することが困難となり、音質が低下する。
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、スピーカーの振動部に対向する部位の開口面積を確保し、音質を向上できる車両用乗員シートを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の車両用乗員シートは、乗員シートの内部に配置されたスピーカーと、前記スピーカーの振動部を覆うと共に、細幅の長手形状とされた音通過部が形成されたスピーカーグリルと、前記スピーカーグリルを覆うと共に、細幅の長手形状とされ、前記スピーカーグリルの音通過部と長手方向が交差する音通過部が形成されたシート表皮と、を有することを特徴とする。
【0006】
乗員シートの内部に配置されたスピーカーの振動部を覆うスピーカーグリルの音通過部が、細幅の長手形状とされており、スピーカーグリルを覆うシート表皮の音通過部が、細幅の長手形状とされていて、スピーカーグリルの音通過部とシート表皮の音通過部とが長手方向で交差している。このため、スピーカーグリルとシート表皮の位置が互いの重なり面方向にずれた場合にも、スピーカーグリルの音通過部とシート表皮の音通過部とが交差する部位において、スピーカーの振動部に対向する部位の開口面積が確保される。この結果、スピーカーから聞こえる音の音質が向上する。
【0007】
請求項2記載の本発明は請求項1記載の車両用乗員シートにおいて、前記スピーカーグリルの音通過部と前記シート表皮の音通過部との長手方向が直線形状であることを特徴とする。
【0008】
スピーカーグリルに長手方向が直線形状の音通過部を形成し、シート表皮に長手方向が直線形状の音通過部を形成するため、構成が簡単である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の本発明は、スピーカーの振動部に対向する部位の開口面積を確保し、音質を向上できる。
【0010】
請求項2記載の本発明は、簡単な構成でスピーカーの振動部に対向する部位の開口面積を確保し、音質を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明における車両用乗員シートの一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0012】
なお、図中矢印UPはシート上方方向(車両上方方向)を示し、図中矢印FRはシート前方方向(車両前方方向)を示し、図中矢印Wはシート幅方向を示している。
【0013】
図3には、本発明の第1実施形態の車両用乗員シートがシート斜め前方から見た斜視図によって示されている。
【0014】
図3に示される如く、本実施形態の車両用乗員シートは、右ハンドル車両(自動車)における運転者用のシート10となっており、シート10はシートクッション12とシートバック14とを備えている。
【0015】
なお、シートクッション12とシートバック14の構成は周知であるため、詳細な説明は省略する。
【0016】
シートバック14の上部におけるシート幅方向外側部14Aには、左右一対のスピーカー装置30が内臓されている。
【0017】
図1には、本実施形態の車両用乗員シートのスピーカー装置取付部がシート斜め前方下側から見た分解斜視図によって示されている。
【0018】
図1に示される如く、スピーカー装置30はスピーカー32とスピーカーグリル34とを備えており、スピーカー32は振動部(音が出る部分)32Aをシート前方に向けて配置されている。また、スピーカーグリル34はスピーカー32の振動部(コーンともいう)32Aを覆っており、スピーカーグリル34はスピーカー32の振動部32Aを保護している。
【0019】
スピーカーグリル34は略円形の板材で構成されており、スピーカー32に固定されている。また、スピーカーグリル34のシート幅方向両端には取付部34Aが突出形成されており、スピーカーグリル34の各取付部34Aは、シートバック14のシートバックフレームの一部を構成するワイヤ36にビス等の締結手段38によって固定されている。
【0020】
スピーカーグリル34の周縁部の内側には、音通過部としてのスリット40が、シート幅方向に所定の間隔を開けて複数形成されている。また、スリット40は長手方向をシート上下方向に沿って細幅の長手形状に形成されている。
【0021】
スピーカーグリル34の前面34Bはシート表皮44で覆われている。また、シート表皮44におけるスピーカーグリル34の前面34Bと重なる部位44Aには、音通過部としてのスリット50が、シート上下方向に所定の間隔を開けて複数形成されている。また、スリット50は長手方向をシート幅方向に沿って細幅の長手形状に形成されている。
【0022】
なお、音通過部とは、他の部分に比べて音を効率良く通過させる部分であって、開口部(貫通孔)、薄肉部、織目の粗い部分等を意味している。
【0023】
図2(A)にはスピーカーグリルの正面図が示されており、図2(B)にはシート表皮の正面図が示されている。また、図2(C)にはスピーカーグリルにシート表皮を重ねた状態を示す正面図が示されている。
【0024】
図2(A)に示される如く、スピーカーグリル34にシート上下方向に沿って形成された各スリット40は、幅L1が一定となっており、スピーカーグリル34の中心P1をシート幅方向に通過する横補強連結部34Cによって上下に2分割されている。なお、横補強連結部34Cは幅W1の帯状とされている。
【0025】
また、スピーカーグリル34には中心P1をシート上下方向に通過する縦補強連結部34Dが形成されており、縦補強連結部34Dは幅W2の帯状とされている。なお、縦補強連結部34Dのシート幅方向両側において、各スリット40の間隔はL2となっている。
【0026】
従って、スピーカーグリル34は、横補強連結部34Cと縦補強連結部34Dとによって所定の剛性が確保されており、組付け時や通常使用状態において容易に変形しないようになっている。
【0027】
図2(B)に示される如く、シート表皮44にシート幅方向に沿って形成されたスリット50は、幅L4が一定となっており、シート表皮44におけるスピーカーグリル34の前面34Bと重なる部位(二点鎖線で示す部位)44Aの中心P2をシート上下方向に通過する縦補強連結部44Bによって2分割されている。なお、縦補強連結部44Bは幅W3の帯状とされている。
【0028】
従って、シート表皮44におけるスピーカーグリル34の前面34Bと重なる部位44Aは、縦補強連結部44Bによってシート上下方向の引っ張り剛性が確保されており、組付け時や通常使用状態において容易にシート上下方向へ延びないようになっている。
【0029】
また、シート表皮44におけるスピーカーグリル34の前面34Bと重なる部位44Aの中心P2をシート幅方向に通過する連結部44Cの幅はW4となっており、連結部44Cを除く各スリット50の間隔はL3となっている。
【0030】
なお、連結部44Cの幅W4と各スリット50の間隔L3は等しくなっており(W4=L3)、各スリット50のシート幅方向に沿った長さN1は等しくなっている。
【0031】
また、スピーカーグリル34における横補強連結部34Cの幅W1は、シート表皮44における連結部44Cの幅W4より大きくなっている(W1>W4)。
【0032】
従って、図2(C)に示される如く、スピーカーグリル34にシート表皮44を重ねた状態では、シート表皮44のスリット50を通して、スピーカーグリル34の横補強連結部34Cの一部を目視できるようになっている。このため、シート10を組付ける場合には、縦補強連結部34Dのシート上下方向中央部にシート表皮44の連結部44Cを容易に位置決めできるようになっている。
【0033】
また、スピーカーグリル34における縦補強連結部34Dの幅W2は、シート表皮44における縦補強連結部44Bの幅W3より大きくなっている(W2>W3)。
【0034】
従って、図2(C)に示される如く、スピーカーグリル34にシート表皮44を重ねた状態では、シート表皮44のスリット50を通して、スピーカーグリル34の縦補強連結部34Dの一部を目視できるようになっている。このため、シート10を組付ける場合には、縦補強連結部34Dのシート幅方向中央部にシート表皮44の縦補強連結部44Bを容易に位置決めできるようになっている。
【0035】
この結果、スピーカーグリル34の中心P1と、シート表皮44におけるスピーカーグリル34の前面34Bと重なる部位44Aの中心P2と、を目視によって容易に合わせることができるようになっている。
【0036】
また、スリット40とスリット50の長手方向が直角に交差(直交)しており、スリット40とスリット50とが交差した部分が、スピーカー32からの音が通過する開口部となる。このため、スリット40の幅L1とスリット50の幅L4とを調整することで、スピーカー32の振動部32Aに対向する部位の開口面積を確保し、所定の開口率を容易に確保できるようになっている。
【0037】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0038】
本実施形態では、シート10のシートバック14の内部に配置されたスピーカー装置30のスピーカー32を覆うスピーカーグリル34のスリット40が、シート幅方向に間隔L2で複数形成された細幅の長手形状(一定幅L1の直線形状)となっている。また、スピーカーグリル34を覆うシート表皮44におけるスピーカーグリル34の前面34Bと重なる部位44Aのスリット50が、シート上下方向に間隔L3で複数形成された細幅の長手形状(一定幅L4の直線形状)となっている。そして、スピーカーグリル34のスリット40とシート表皮44のスリット50との長手方向が直角に交差している。
【0039】
このため、スピーカーグリル34とシート表皮44の部位44Aとの位置がお互いの重なり面方向、即ち、シート幅方向またはシート上下方向にずれた場合にも、スピーカーグリル34のスリット40とシート表皮44のスリット50とが交差する部位において、その開口面積を確保することができる。この結果、スリット40の幅L1とスリット50の幅L4とを調整することで、スピーカー32の振動部32Aに対向する部位の開口面積を確保し、所定の開口率を容易に確保できるため音質を向上できる。
【0040】
また、本実施形態では、スピーカーグリル34に長手方向が直線形状のスリット40を形成し、シート表皮44に長手方向が直線形状のスリット50を形成する構成のため、構成が簡単である。
【0041】
また、本実施形態では、スピーカーグリル34における横補強連結部34Cの幅W1が、シート表皮44における連結部44Cの幅W4より大きくなっており(W1>W4)、スピーカーグリル34における縦補強連結部34Dの幅W2が、シート表皮44における縦補強連結部44Bの幅W3より大きくなっている(W2>W3)。
【0042】
この結果、図2(C)に示される如く、スピーカーグリル34にシート表皮44を重ねた状態では、シート表皮44のスリット50を通して、スピーカーグリル34の横補強連結部34Cの一部と、スピーカーグリル34の縦補強連結部34Dの一部を目視できる。
【0043】
このため、シート10を組付ける場合に、スピーカーグリル34の中心P1と、シート表皮44におけるスピーカーグリル34の前面34Bと重なる部位44Aの中心P2とを目視によって容易に合わせることができる。
【0044】
従って、スピーカーグリル34とシート表皮44の部位44Aとの位置がお互いの重なり面方向にずれるのを防止できる。このため、スピーカー32の振動部32Aに対向する部位の開口面積を確実に確保し、所定の開口率を確実に確保できるため、音質を確実に向上できる。
【0045】
また、本実施形態では、スピーカーグリル34の中心P1をシート幅方向に通過する幅W1の帯状とされた横補強連結部34Cと、中心P1をシート上下方向に通過する幅W2の帯状とされた縦補強連結部34Dとが形成されている。このため、スピーカーグリル34は、横補強連結部34Cと縦補強連結部34Dとによって所定の剛性が確保されており、組付け時や通常使用状態において容易に変形しない。このため、組付け精度が向上し、スピーカー32の振動部32Aに対向する部位の開口面積を確実に確保できる。
【0046】
また、本実施形態では、シート表皮44におけるスピーカーグリル34の前面34Bと重なる部位44Aの中心P2をシート上下方向に通過する幅W3の帯状とされた縦補強連結部44Bが形成されている。このため、シート表皮44におけるスピーカーグリル34の前面34Bと重なる部位44Aは、縦補強連結部44Bによってシート上下方向の引っ張り剛性が確保されており、組付け時や通常使用状態において容易にシート上下方向へ延びない。このため、組付け精度が向上し、スピーカー32の振動部32Aに対向する部位の開口面積を確実に確保できる。
【0047】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態は、スピーカーグリル34の音通過部をシート幅方向に延びる直線形状のスリット40とし、シート表皮44の音通過部をシート上下方向に延びる直線形状のスリット50としたが、スリット40をシート幅方向以外の方向に延びる直線形状とし、スリット50をシート上下方向以外の方向に延びる直線形状としてもよい。
【0048】
また、音通過部は直線形状のスリットに限定されず、細幅の長手形状であれば、他の形状の音通過部としてもよい。例えば、図4に示される如く、シート表皮44の音通過部を円弧状の長孔70としてもよい。
【0049】
また、上記実施形態は、スピーカーグリル34のスリット40とシート表皮44のスリット50とを直角に交差させたが、これに代えて、スピーカーグリル34のスリット40とシート表皮44のスリット50とを直角以外の角度で交差させた構成としてもよい。
【0050】
また、上記実施形態は、左右一対のスピーカー装置30をシートバック14の上部におけるシート幅方向外側部14Aに内臓したが、スピーカー装置30はシート10の他の部位に配置してもよい。
【0051】
また、本発明の車両用乗員シートは、運転者用のシート10に限定されず、助手席用のシートやリヤシートにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態の車両用乗員シートのスピーカー装置取付部を示すシート斜め前方下側から見た分解斜視図である。
【図2】(A)は本発明の一実施形態の車両用乗員シートのスピーカーグリルを示す正面図であり、(B)は本発明の一実施形態の車両用乗員シートのシート表皮を示す正面図であり、(C)は本発明の一実施形態の車両用乗員シートのスピーカーグリルにシート表皮を重ねた状態を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施形態の車両用乗員シートを示すシート斜め前方から見た斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態の車両用乗員シートのスピーカー装置取付部を示すシート斜め前方下側から見た分解斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
10 シート(車両用乗員シート)
12 シートクッション
14 シートバック
30 スピーカー装置
32 スピーカー
32A スピーカーの振動部
34 スピーカーグリル
40 スリット(音通過部)
44 シート表皮
50 スリット(音通過部)
70 長孔(音通過部)
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
【出願日】 平成18年9月6日(2006.9.6)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−61768(P2008−61768A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−241947(P2006−241947)