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【発明の名称】 クッション
【発明者】 【氏名】佐藤 元

【氏名】海老沼 利光

【氏名】二瓶 秀規

【氏名】真田 弘美

【要約】 【課題】複数のエアーセルの下端側を支持する可撓性の支持部材内に空気圧調整用機器を配置することができ、しかも支持部材の可撓性を極力維持することのできるクッションを提供する。

【構成】電動ポンプ70等の各空気圧調整用機器が支持部材60の下面にそれぞれ取付けられ、各空気圧調整用機器は可撓性を有する電気配線または各空気配管P1,P2,P3,P4,P5,P6によって互いに接続されていることから、各空気圧調整用機器は電動モータ70等の可撓性を有さないものから成り、支持部材60において各空気圧調整用機器が取付けられた部分の可撓性がそれぞれ失われるが、例えば各空気圧調整用機器を単一の操作ボックス内に収容して一体化するとともに、その操作ボックスを支持部材60に取付ける場合と比較し、可撓性が失われる部分の面積を小さくすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の着座面に載置されて着座者の臀部を支持するクッションにおいて、
前記着座面の前後方向及び幅方向に互いに並ぶように設けられるとともに、それぞれ上方に向かって延びる空気袋から成り、着座者の座骨及び尾骨の近傍を支持する複数のエアーセルと、
着座面に沿って延びるように形成され、各エアーセルの下端側をそれぞれ支持する可撓性の支持部材と、
それぞれ支持部材に取付けられ、各エアーセル内の空気圧を調整可能な複数の空気圧調整用機器とを備えた
ことを特徴とするクッション。
【請求項2】
前記支持部材を各空気圧調整用機器が嵌め込まれて取付けられるように形成した
ことを特徴とする請求項1記載のクッション。
【請求項3】
前記各空気圧調整機器のうち少なくとも一部の空気圧調整用機器を内側に収容して保護する中空状の保護部材を備え、
支持部材を保護部材が嵌め込まれて取付けられるように形成した
ことを特徴とする請求項1記載のクッション。
【請求項4】
前記保護部材の下端を凸面状に形成した
ことを特徴とする請求項3記載のクッション。
【請求項5】
前記各空気圧調整用機器を支持部材の前端側または支持部材の幅方向端部側に取付けた
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のクッション。
【請求項6】
前記各エアーセルから成るエアーセル群に対して着座面の幅方向の両側にそれぞれ設けられるとともに、それぞれ上方に向かって延びる空気袋から成り、それぞれ平面視で前記エアーセルの1.5倍以上の面積を有するとともに、それぞれ下端側が支持部材によって支持され、それぞれ着座面の前後方向の寸法が幅方向の寸法よりも大きい複数の側面側エアーセルと、
エアーセル群に対して着座面の前端側に設けられるとともに、下端側を支持部材によって支持され、着座者の大腿部の近傍を支持する前端側支持部材とを備え、
各空気圧調整用機器を各側面側エアーセルの下方または前端側支持部材の下方に配置されるように支持部材に取付けた
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のクッション。
【請求項7】
前記各エアーセル及び各側面側エアーセルのうち少なくとも一部のエアーセル内に緩衝部材を設けた
ことを特徴とする請求項6記載のクッション。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車椅子の着座面に載置され、着座者に発生する褥瘡を防止するために着座者の臀部を軟らかく支持するクッションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のクッションとしては、それぞれ支持部材から上方に向かって延びる略円筒形状の空気袋から成り、互いに着座面の前後方向及び幅方向に並ぶように配置された複数のエアーセルと、車椅子の着座面に載置可能な可撓性を有する平板状に形成され、各エアーセルの下端側を支持する支持部材と、各エアーセル内を互いに連通させる空気通路とを備え、着座者が各エアーセル上に着座すると各エアーセル内の空気圧が互いに等しくなり、着座者の臀部に加わる圧力が分散するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特表平6−510436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記クッションでは、着座者の体重や体形に応じて各エアーセル内の空気圧を調整するために、各エアーセルに圧縮空気を供給可能な電動ポンプ、各エアーセルから空気を排出可能な電磁弁、電動ポンプ及び電磁弁を操作するための操作盤などの空気圧調整用機器が付属しており、これらの空気圧調整用機器がクッションとは別体の操作ボックス内に収容されるとともに、操作ボックスとクッションとが可撓性の空気配管によって接続されている。このため、クッションを車椅子の着座面に載置する場合は、操作ボックスを車椅子の側面部等に取付ける必要があり、操作ボックスを車椅子に別途取付ける分だけクッションの車椅子への着脱に手間がかかるとともに、操作ボックスとクッションとを接続する空気配管が車椅子を操作する上で邪魔になるという問題点があった。
【0004】
一方、操作ボックスをクッションの支持部材内に取付けることも考えられるが、支持部材は可撓性を有するのに対し、各空気圧調整用機器を収容した操作ボックスは一般的に可撓性を有さないので、支持部材において操作ボックスが取付けられた部分の可撓性が失われる。また、車椅子の着座面は着座者の体重によって適度に湾曲するように形成されているので、支持部材の可撓性が失われた部分が車椅子の着座面に沿わなくなり、車椅子の着座面上でクッションが安定しないという問題点があった。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数のエアーセルの下端側を支持する可撓性の支持部材内に空気圧調整用機器を配置することができ、しかも支持部材の可撓性を極力維持することのできるクッションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、所定の着座面に載置されて着座者の臀部を支持するクッションにおいて、前記着座面の前後方向及び幅方向に互いに並ぶように設けられるとともに、それぞれ上方に向かって延びる空気袋から成り、着座者の座骨及び尾骨の近傍を支持する複数のエアーセルと、着座面に沿って延びるように形成され、各エアーセルの下端側をそれぞれ支持する可撓性の支持部材と、それぞれ支持部材に取付けられ、各エアーセル内の空気圧を調整可能な複数の空気圧調整用機器とを備えている。
【0007】
これにより、複数の空気圧調整用機器が各エアーセルの下端側を支持する支持部材にそれぞれ取付けられることから、複数のエアーセルの下端側を支持する可撓性の支持部材内に空気圧調整用機器を配置することができる。また、複数の空気圧調整用機器が可撓性を有する支持部材にそれぞれ取付けられ、各空気圧調整用機器を互いに接続する電気配線や空気配管用チューブは一般に可撓性を有していることから、各空気圧調整用機器が電動モータ、電磁弁、操作盤などの可撓性を有さないものから成る場合は、支持部材において各空気圧調整用機器が取付けられた部分以外の部分の可撓性(例えば各空気圧調整用機器の間の支持部材の可撓性)が失われることがなく、各空気圧調整用機器を一体化して支持部材に取付ける場合と比較して可撓性が失われる部分の面積が小さくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のエアーセルの下端側を支持する可撓性の支持部材内に空気圧調整用機器を配置することができるので、各空気圧調整用機器をクッションと別体で設ける場合と比較してクッションの取り扱いが容易になる。また、各空気圧調整用機器を一体化して支持部材に取付ける場合と比較して可撓性が失われる部分の面積を小さくすることができるので、支持部材の可撓性を極力維持することができ、例えば着座者の体重によって適度に湾曲する着座面にクッションを載置する場合に、支持部材が着座面に沿って変形し、着座面上でクッションを安定させる上で極めて有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1乃至図13は本発明の一実施形態を示すもので、図1はエアーセルの側面断面図、図2はエアーセルの斜視図、図3はベース部材の斜視図、図4はクッションの要部側面断面図、図5はクッションの平面図、図6はクッションの底面図、図7は図5におけるP−P線断面図、図8は図5におけるQ−Q線断面図、図9は図5におけるR−R線断面図、図10は図5におけるS−S線断面図、図11は保護部材及び制御装置を支持部材に取付ける前の図5におけるR−R線断面図、図12は図11におけるT−T線断面図、図13は空気通路の構成を示すクッションの底面図である。
【0010】
このクッションは、着座者の座骨及び尾骨の近傍を支持するための複数の第1エアーセル10と、各第1エアーセル10から成る第1エアーセル群に対して着座面の幅方向の両側にそれぞれ設けられた一対の前端側第2エアーセル20と、第1エアーセル群に対して着座面の幅方向の両側にそれぞれ設けられた一対の後端側第2エアーセル30と、第1エアーセル群に対して着座面の前端側に設けられた一対の前端側支持部材40と、第1エアーセル群に対して着座面の前端側の幅方向中央に設けられた中央支持部材50と、各第1エアーセル10、各第2エアーセル20,30、各前端側支持部材40及び中央支持部材50の下端側をそれぞれ支持する支持部材60とを備えている。前記着座面は例えば車椅子の着座面であり、このクッションは着座者の臀部を軟らかく支持するために着座面に載置されて使用される。また、各第2エアーセル20,30は特許請求の範囲に記載した側面側エアーセルに相当する。尚、以下の文章中における方向の説明は図5、図6、図7及び図8に示した前後方向、左右方向及び上下方向に準ずる。また、左右方向と幅方向は一致する。
【0011】
各第1エアーセル10は、下端が開口している空気袋11と、空気袋11を着脱自在に取付可能なベース部材12と、空気袋11をベース部材12に保持するリング状の保持部材13とを有する。
【0012】
空気袋11は軟質のゴムやプラスチック等の可撓性の材料から成り、内部に空気を封入可能である。空気袋11は、上下方向に延びる断面円形状の筒状部11aと、筒状部11aの上端を閉鎖するように形成された上端面11bとを有する。筒状部11a及び上端面11bは1mm以下の均一な厚み寸法を有する薄膜状に形成されている。筒状部11aの下端は開口しており、筒状部11aの下端の開口縁部11cは筒状部11aの他の部分よりも大きな厚み寸法を有するとともに、筒状部11aの他の部分の内周面よりも径方向内側に突出している。
【0013】
ベース部材12は空気袋11の材料よりも硬いゴムやプラスチックから成り、円板状に形成されている。ベース部材12の上端面には上方に突出する断面円形状の上端側突出部12aが設けられ、上端側突出部12aには上下方向に延びる4つの通気穴12bが設けられている。また、上端側突出部12aの先端側の外周面には基端側の外周面よりも径方向外側に突出している径方向突出部12cが設けられている。空気袋11の開口縁部11cは上端側突出部12aの外周面に嵌合により取付けられ、開口縁部11cの内周面が上端側突出部12aの径方向突出部12cに下方から係合する。また、空気袋11の開口縁部11cを上端側突出部12aに嵌合した後に、保持部材13を開口縁部11cの外周面に取付けると、開口縁部11cが上端側突出部12a側に押付けられる。これにより、開口縁部11cと上端側突出部12aとの間が密閉される。
【0014】
ベース部材12の下端面には下方に突出する断面円形状の下端側突出部12dが設けられている。下端側突出部12dには必要に応じてその外周面から各通気穴12bまで貫通する空気通路12eが設けられ、例えば各空気通路12eに図4のように空気配管Pが挿入されることにより、各ベース部材12の通気穴12bが互いに連通する。
【0015】
各前端側第2エアーセル20は、下端が開口するように形成されるとともに上方に向かって延びるように形成された空気袋21と、空気袋21の下端を閉鎖するベース部材22とを有する。
【0016】
空気袋21は軟質のゴムやプラスチック等の可撓性の材料から成り、内部に空気を封入可能である。空気袋21は着座面の前後方向の寸法が幅方向の寸法よりも大きく、空気袋21は平面視で第1エアーセル10の空気袋11の3倍以上の面積を有する(図5参照)。空気袋21は空気袋11よりも少し厚い薄膜状に形成され、空気袋11よりも着座面の幅方向に大きな寸法を有する。即ち、空気袋21内の空気圧が空気袋11内の空気圧と略等しくなった場合、空気袋21は空気袋11よりも着座面の前後方向及び幅方向に高い剛性を有する。
【0017】
ベース部材22は空気袋21の材料よりも硬いゴムやプラスチックから成り、ベース部材22の下面には下方に突出する複数の突出部22aが設けられている。各突出部22aには下端側突出部11dと同様に通気穴が設けられている。ベース部材22の上面には空気袋21の下端面が接着剤等により固定されている。突出部22aには必要に応じて外周面から通気穴まで貫通する空気通路12eと同様の図示しない空気通路が設けられるようになっている。この空気通路は後述する各空気配管P1,P2,P3,P4,P5,P6を挿入可能である。
【0018】
各後端側第2エアーセル30は、下端が開口するように形成されるとともに上方に向かって延びるように形成された空気袋31と、空気袋31の下端を閉鎖するベース部材32とを有する。
【0019】
空気袋31は軟質のゴムやプラスチック等の可撓性の材料から成り、内部に空気を封入可能である。空気袋31は着座面の前後方向の寸法が幅方向の寸法よりも大きく、空気袋31は平面視で第1エアーセル10の空気袋11の3倍以上の面積を有する(図5参照)。空気袋31は空気袋11よりも少し厚い薄膜状に形成され、空気袋11よりも着座面の幅方向に大きな寸法を有する。即ち、空気袋31内の空気圧が空気袋11内の空気圧と略等しくなった場合、空気袋31は空気袋11よりも着座面の前後方向及び幅方向に高い剛性を有する。
【0020】
このように、着座者の座骨及び尾骨の近傍を支持するために複数の第1エアーセル10が設けられるとともに、第1エアーセル群に対して着座面の幅方向の両側にそれぞれ各第2エアーセル20,30が設けられ、各第2エアーセル20,30内の空気圧が各第1エアーセル10内の空気圧と略等しくなった場合、空気袋21,31は空気袋11よりも着座面の前後方向及び幅方向に高い剛性を有する。このため、臀部の側面側が第1エアーセル群の幅方向内側に位置する場合は、各第1エアーセル10の着座面の幅方向への変形が各第2エアーセル20,30によって規制される。即ち、各第1エアーセル10は座骨及び尾骨の近傍に加わる圧力を低減するために十分な高さ寸法を有する柔軟な構造に形成されているが、各第1エアーセル10が着座面の幅方向に無用に倒れることがない。従って、着座者の座骨及び尾骨の近傍を軟らかく支持することができ、各第2エアーセル20,30の代わりに各第1エアーセル10が支持部材60の幅方向端部側まで設けられた場合と比較し、着座者の姿勢を安定させることができる。また、着座者の臀部が大きく、着座者の臀部の側面側が第1エアーセル群の幅方向外側に位置する場合は、各第1エアーセルの着座面の幅方向への変形が各第2エアーセル20,30によって規制されるか、臀部の幅方向及び前後方向への移動が各第2エアーセル20,30によって抑制されることにより、着座者の姿勢が安定する。
【0021】
ベース部材32は空気袋31の材料よりも硬いゴムやプラスチックから成り、ベース部材32の下面には下方に突出する複数の突出部32aが設けられている。各突出部32aには下端側突出部11dと同様に通気穴が設けられている。ベース部材32の上面には空気袋31の下端面が接着剤等により固定されている。突出部32aには必要に応じてその外周面から通気穴まで貫通する空気通路12eと同様の図示しない空気通路が設けられるようになっている。この空気通路は後述する各空気配管P1,P2,P3,P4,P5,P6を挿入可能である。
【0022】
各前端側支持部材40は発泡ウレタン等の海綿状部材から成り、前端側に傾斜面40aが形成されている。各前端側支持部材40は互いに着座面の幅方向に間隔をおいて配置され、それぞれ着座者の大腿部を支持するようになっている。前端側支持部材40はそれぞれ着座面の幅方向の寸法が前後方向の寸法よりも大きく、第1エアーセル10よりも着座面の幅方向に大きな寸法を有する。即ち、前端側支持部材40は第1エアーセル10よりも着座面の幅方向の剛性が高い。
【0023】
中央支持部材50は、下端が開口するように形成されるとともに上方に向かって延びるように形成された空気袋51と、空気袋51の下端を閉鎖するベース部材52とを有する。
【0024】
空気袋51は軟質のゴムやプラスチック等の可撓性の材料から成り、内部に空気を封入可能である。空気袋51は着座面の前後方向の寸法が幅方向の寸法よりも大きく、着座面の後端側から前端側に向かって幅寸法が徐々に大きくなっている。また、空気袋51の高さ寸法は着座面の後端側から前端側に向かって徐々に大きくなっている。空気袋51は空気袋11よりも少し厚い薄膜状に形成され、空気袋11よりも着座面の前後方向に大きな寸法を有する。即ち、空気袋51は空気袋11よりも着座面の前後方向に高い剛性を有する。
【0025】
ベース部材52は空気袋51の材料よりも硬いゴムやプラスチックから成り、ベース部材52の下面には下方に突出する複数の突出部52aが設けられている。各突出部52aには下端側突出部11dと同様に通気穴が設けられている。ベース部材52の上面には空気袋51の下端面が接着剤等により固定されている。突出部52aには必要に応じてその外周面から通気穴まで貫通する空気通路12eと同様の図示しない空気通路が設けられるようになっている。この空気通路は下記する各空気配管P1,P2,P3,P4,P5,P6を挿入可能である。
【0026】
支持部材60は空気袋11の材料よりも硬いゴムやプラスチックから成り、着座面と略等しい面積を有する平板状である。即ち、支持部材60は着座面に沿って延びるように形成されている。支持部材60には複数の貫通孔61が設けられ、第1エアーセル10の下端側突出部12dや第2エアーセル20,30及び中央支持部材50の突出部22a,32a,52aがそれぞれ貫通孔61に支持部材60の上端面側から挿入されると、下端側突出部12dや突出部22a,32a,52aが貫通孔61に嵌合し、各エアーセル10,20,30及び中央支持部材50の下端側が支持部材60に着脱自在に支持されるようになっている。各前端側支持部材40は下端面が支持部材60の上面に接着剤等により固定されている。また、下端側突出部12dや突出部22a,32a,52aが貫通孔61に嵌合すると、下端側突出部12dや突出部22a,32a,52aが支持部材60の下面側に突出するとともに、空気通路12eや突出部22a,32a,52aに設けられた空気通路も支持部材60の下面側に配置される。
【0027】
支持部材60の下面には、圧縮空気を供給可能な周知の電動ポンプ70と、周知の第1乃至第7電磁弁81,82,83,84,85,86,87と、可撓性の第1乃至第6空気配管P1,P2,P3,P4,P5,P6と、制御装置90と、周知の第1及び第2圧力センサ91,92と、図示しない可撓性の電気配線が設けられている。ここで、電動ポンプ70、各電磁弁81,82,83,84,85,86,87、制御装置90及び各圧力センサ91,92は各エアーセル10,20,30及び中央支持部材50内の空気圧を調整可能な特許請求の範囲に記載した空気圧調整用機器である。
【0028】
支持部材60の着座面の前端側の下面には中空部62が設けられ、中空部62内に電動ポンプ70、各電磁弁81,82,83,84,85,86,87、制御装置90及び各圧力センサ91,92が配置されている。中空部62は支持部材60の下面を凹状に形成することにより設けられ、中空部62は各前端側支持部材40の下方に配置されている。また、中空部62内には複数のゴムブロック63が設けられ、電動ポンプ70、各電磁弁81,82,83,84,85,86,87及び各圧力センサ91,92は各ゴムブロック63の間に嵌め込まれることにより支持部材60の下面に着脱可能に取付けられている(図8参照)。制御装置90は中空状の保護部材90a内に固定され、保護部材90aは中空部62内に嵌め込まれることにより支持部材60の下面に着脱可能に取付けられている(図10及び図11参照)。保護部材90aは水平方向に延びるように形成された平板状の天板部90bと、天板部90bの両側面からそれぞれ下方に向かって延びるように形成された平板状の側面部90cとを有する。即ち、天板部90bの下面側且つ各側面部90cの間が中空状であり、この中空状の部分に制御装置90が配置されている。各側面部90cはそれぞれ着座面の幅方向に延びるように形成され、各側面部90cの下面は凸面状に形成されている。制御装置90は周知のCPU及び制御基板から成る。即ち、制御装置90は保護部材90a内に収容されているので、制御装置90が着座者の体重等によって加わる大きな荷重から保護される。
【0029】
制御装置90は図示しない電気配線によって電動ポンプ70、各電磁弁81,82,83,84,85,86,87及び各圧力センサ91,92と接続されている。また、各第1エアーセル10、各第2エアーセル20,30、中央支持部材50、電動ポンプ70、各電磁弁81,82,83,84,85,86,87及び各圧力センサ91,92は互いに各空気配管P1,P2,P3,P4,P5,P6によって接続されている(図13参照)。
【0030】
詳しくは、第1空気配管P1は電動ポンプ70、第1電磁弁81、第2電磁弁82及び中央支持部材50を接続し、中央支持部材50と第1圧力センサ91とを接続している。また、中央支持部材50と4個の第1エアーセル10とを接続している。この4個の第1エアーセル10は第1エアーセル群の後端を形成している。
【0031】
第2空気配管P2は第1電磁弁81、第3電磁弁83、第5電磁弁85及び各第1エアーセル10のうち9個の第1エアーセル10を接続している。この9個の第1エアーセル10をAグループとする。
【0032】
第3空気配管P3は第2電磁弁82、第4電磁弁84、第6電磁弁86及び各第1エアーセル10のうち10個の第1エアーセル10を接続している。この10個の第1エアーセル10をBグループとする。Aグループ及びBグループの第1エアーセル10は着座面の後端側から2列目乃至5列目の第1エアーセル10から成る。
【0033】
第4空気配管P4は第3電磁弁83、第4電磁弁84、第7電磁弁87、各後端側第2エアーセル30及び第2圧力センサ92を接続している。
【0034】
第5空気配管P5は第5電磁弁85、各第1エアーセル10のうち4個の第1エアーセル10及び左側の前端側第2エアーセル20を接続している。この4個の第1エアーセル10は第1エアーセル群の左側且つ前端側を形成している。
【0035】
第6空気配管P6は第6電磁弁86、各第1エアーセル10のうち4個の第1エアーセル10及び右側の前端側第2エアーセル20を接続している。この4個の第1エアーセル10は第1エアーセル群の右側且つ前端側を形成している。
【0036】
制御装置90は各圧力センサ91,92の検出結果や作動時間に基づき電動ポンプ70及び各電磁弁81,82,83,84,85,86,87を制御するようになっている。また、着座者が着座した後、Aグループの各第空気圧とBグループ内の空気圧を所定時間ごとに変化させ、着座者の臀部に生ずる鬱血を防止するようにしている。
【0037】
以上のように構成されたクッションは、例えば車椅子の着座面に載置されて使用される。電動ポンプ70によって各エアーセル10,20,30及び中央支持部材50に所定の空気圧が充填されている状態で、着座者が車椅子に着座すると、各エアーセル10,20,30内の空気が各空気配管P1,P2,P3,P4,P5,P6を介して移動し、着座者の臀部に加わる圧力が分散される。
【0038】
ここで、着座者の座骨及び尾骨の近傍を支持するための複数の第1エアーセル10が設けられているので、着座者が着座した後に各第1エアーセル10内の空気圧を電動ポンプ70等の各空気圧調整用機器によって調整することにより、着座者の座骨及び尾骨の近傍に加わる圧力が分散される。また、各第2エアーセル20,30が第1エアーセル群の幅方向の両側にそれぞれ設けられ、各第2エアーセル20,30はそれぞれ上方に向かって延びる空気袋21,31から成るので、例えば着座者の臀部が大きく、臀部の側面側が第1エアーセル群よりも幅方向外側に位置する場合でも、臀部の側面側が各第2エアーセル20,30によって軟らかく支持され、各第2エアーセル20,30内の空気圧を各空気圧調整用機器によって調整することにより、各第2エアーセル20,30によって臀部の側面側を支持する力が調整される。従って、着座者の臀部に加わる圧力を常に効率的に分散させることができる。
【0039】
また、各第2エアーセル20,30は第1エアーセル群の幅方向の両側にそれぞれ設けられ、各第2エアーセル20,30は平面視で第1エアーセル10の3倍以上の面積を有するとともに、着座面の前後方向の寸法が幅方向の寸法よりも大きいので、支持部材60の幅方向の両側まで第1エアーセル10を設ける場合と比較し、エアーセルの数量を少なくすることができ、製造コストの低減を図る上で極めて有利である。尚、本実施形態では、各第2エアーセル20,30の空気袋21,31を第1エアーセル10の空気袋11に対して平面視で3倍以上の面積を有するように形成したが、各空気袋21,31が空気袋11に対して平面視で1.5倍以上の面積を有する場合は、製造コストの低減を図る上で有効である。また、各空気袋21,31が空気袋11に対して平面視で1.5倍以上の面積を有する場合は、各空気袋21,31の水平方向の剛性が空気袋11の水平方向の剛性よりも高くなり易い。
【0040】
また、各エアーセル10,20,30及び中央支持部材50内の空気圧を調整するために電動ポンプ70等の複数の空気圧調整用機器が支持部材60の下面にそれぞれ取付けられることから、各エアーセル10,20,30及び中央支持部材50の下端側を支持する支持部材60内に各空気圧調整用機器を取付けることができる。
【0041】
また、各空気圧調整用機器が支持部材60の下面にそれぞれ取付けられ、各空気圧調整用機器は可撓性を有する電気配線または各空気配管P1,P2,P3,P4,P5,P6によって互いに接続されていることから、各空気圧調整用機器は電動ポンプ70等の可撓性を有さないものから成り、支持部材60において各空気圧調整用機器が取付けられた部分以外の部分の可撓性(例えば各空気圧調整用機器の間の支持部材60の可撓性)が失われることがないので、各空気圧調整用機器を単一の操作ボックス内に収容して一体化するとともに、その操作ボックスを支持部材60に取付ける場合と比較し、可撓性が失われる部分の面積を小さくすることができる。
【0042】
このように、本実施形態によれば、各エアーセル10,20,30及び中央支持部材50の下端側を支持する支持部材60内に各空気圧調整用機器を配置することができるので、各空気圧調整用機器をクッションと別体で設ける場合と比較してクッションの取り扱いが容易になる。
【0043】
また、各空気圧調整用機器を単一の操作ボックス内に収容して一体化するとともに、その操作ボックスを支持部材60に取付ける場合と比較し、可撓性が失われる部分の面積を小さくすることができるので、支持部材60の可撓性を極力維持することができ、例えば着座者の体重によって適度に湾曲する着座面にクッションを載置する場合に、支持部材60が着座面に沿って変形し、着座面上でクッションを安定させる上で極めて有利である。
【0044】
また、支持部材60を各空気圧調整用機器が下面に嵌め込まれて取付けられるように形成したので、各空気圧調整用機器を支持部材60に容易に着脱することができ、各空気圧調整用機器の修理や清掃を行う上で極めて有利であり、クッションの製造コストを低減する上でも有利である。
【0045】
また、各空気圧調整用機器のうち制御装置90を内側に収容して保護する中空状の保護部材90aを設け、支持部材60を保護部材90aが嵌め込まれて取付けられるように形成したので、着座者の体重が支持部材の前端側に加わった場合でも制御装置90に大きな荷重が加わることがなく、制御装置90のような低強度部品の耐久性向上を図る上で有利である。さらに、支持部材60を保護部材90aが嵌め込まれて取付けられるように形成したので、制御装置90の着脱を容易に行うことができる。
【0046】
また、保護部材90aの各側面部90cの下端を凸面状に形成したので、着座者の体重によって車椅子の着座面が湾曲する場合に、保護部材90aの下端を着座面に沿わせることができ、保護部材90aの下端と車椅子の着座面との接触圧が局部的に高くなることが防止される。
【0047】
また、各空気圧調整用機器を支持部材60の前端側の下面に取付けたので、各空気圧調整用機器が着座者の座骨及び尾骨の近傍を支持する各第1エアーセル10の下方に設けられることがない。即ち、各第1エアーセルの高さ寸法を極力大きくすることができ、座骨及び尾骨の近傍を軟らかく支持する上で極めて有利である。
【0048】
さらに、各空気圧調整用機器を中空部62内に取付け、中空部62は各前端側支持部材40の下方に配置されているので、各空気圧調整用機器が各第1エアーセル10の下方に設けられることがない。即ち、各第1エアーセルの高さ寸法を極力大きくすることができ、座骨及び尾骨の近傍を軟らかく支持する上で極めて有利である。
【0049】
尚、本実施形態では、各空気圧調整用機器を支持部材60の前端側の下面に取付けたものを示したが、各空気圧調整用機器を支持部材60の幅方向端部側の下面に取付けることも可能である。例えば、各空気圧調整用機器を各第2エアーセル20,30の下方に配置されるように支持部材60の下面に取付けることが可能である。この場合も各空気圧調整用機器が各第1エアーセル10の下方に設けられることがなく、座骨及び尾骨の近傍を軟らかく支持する上で極めて有利である。
【0050】
また、本実施形態では、各空気圧調整用機器を支持部材60の下面に取付けるようにしたものを示したが、支持部材60の上面に各空気圧調整用機器を取付けることも可能であり、支持部材60の内部に取付けることも可能である。
【0051】
尚、本実施形態では、支持部材60に各第1エアーセル10、各第2エアーセル20,30、各前端側支持部材40及び中央支持部材50を取付けたものを示したが、支持部材60の上面の全面に亘って第1エアーセル10のみを設けるとともに、支持部材60の下面に各空気圧調整用機器を取付けることも可能である。この場合でも、各空気圧調整用機器を支持部材60の前端側または支持部材60の幅方向端部側に取付けることにより、座骨及び尾骨の近傍を支持する第1エアーセル10の高さ寸法を確保することができる。
【0052】
尚、本実施形態では、電動ポンプ70、各電磁弁81,82,83,84,85,86,87、制御装置90、各圧力センサ91,92をそれぞれ支持部材90の下面に取付けるようにしたものを示したが、例えば電動ポンプ70及び各電磁弁81,82,83,84,85,86,87を第1ボックス内に収容して第1ユニットを形成するとともに、制御装置90及び各圧力センサ91,92を第2ボックス内に収容して第2ユニットを形成し、各ユニットをそれぞれ支持部材60の下面に取付けるとともに、各ユニット間を電気配線及び空気配管によって接続することも可能である。この場合、各ユニットがそれぞれ特許請求の範囲に記載した空気圧調整用機器に相当する。
【0053】
また、本実施形態では、各第1エアーセル10及び各第2エアーセル20,30が空気圧によって臀部を支持するようにしたものを示したが、例えば各第1エアーセル10内のベース部材12の上面に発泡ウレタン等の海綿状部材から成る緩衝部材14を設け、潰れ量が小さい場合は空気圧によって臀部を支持し、潰れ量が大きい場合は空気圧及び緩衝部材14の弾性によって臀部を支持することも可能である(図14参照)。この場合、第1エアーセル10の空気袋11の上端面11bがベース部材12に直接接触しなくなり、臀部を軟らかく支持する上で極めて有利である。また、各第2エアーセル20,30内に緩衝部材を設けることも可能である。さらに、緩衝部材14を複数のプラスチック製のビーズ、複数のそば殻、砂などの複数の粒状部材から形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明における一実施形態を示すエアーセルの側面断面図
【図2】エアーセルの斜視図
【図3】ベース部材の斜視図
【図4】クッションの要部側面断面図
【図5】クッションの平面図
【図6】クッションの底面図
【図7】図5におけるP−P線断面図
【図8】図5におけるQ−Q線断面図
【図9】図5におけるR−R線断面図
【図10】図5におけるS−S線断面図
【図11】保護部材及び制御装置を支持部材に取付ける前の図5におけるR−R線断面図
【図12】図11におけるT−T線断面図
【図13】空気通路の構成を示すクッションの底面図
【図14】本実施形態の変形例を示す第1エアーセルの側面断面図
【符号の説明】
【0055】
10…第1エアーセル、11…空気袋、12…ベース部材、13…保持部材、14…緩衝部材、20…前端側第2エアーセル、21…空気袋、22…ベース部材、30…後端側第2エアーセル、31…空気袋、32…ベース部材、40…前端側支持部材、40a…傾斜面、50…中央支持部材、51…空気袋、52…ベース部材、60…支持部材、61…貫通孔、62…中空部、63…ゴムブロック、70…電動ポンプ、81…第1電磁弁、82…第2電磁弁、83…第3電磁弁、84…第4電磁弁、85…第5電磁弁、86…第6電磁弁、87…第7電磁弁、90…制御装置、90a…保護部材、90b…天板部、90c…側面部、91…第1圧力センサ、92…第2圧力センサ、P1…第1空気配管、P2…第2空気配管、P3…第3空気配管、P4…第4空気配管、P5…第5空気配管、P6…第6空気配管。
【出願人】 【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
【出願日】 平成19年8月31日(2007.8.31)
【代理人】 【識別番号】100069981
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 精孝

【識別番号】100087860
【弁理士】
【氏名又は名称】長内 行雄


【公開番号】 特開2008−55178(P2008−55178A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2007−226133(P2007−226133)