| 【発明の名称】 |
シートクッション及びシートクッション用成形型 |
| 【発明者】 |
【氏名】今村 優二
【氏名】平尾 隆明
【氏名】近藤 哲史
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| 【要約】 |
【課題】成形時に表面の溝部にスキン層が形成されるのを抑制することができて、表面に表皮を接着固定する際に、表皮上への接着剤の滲み出しや、表皮の接着不良を招くことを防止することができるシートクッションを提供する。
【構成】表面に溝部12を備えるシートクッション11を成形型により成形し、その成形後にシートクッション11の表面に表皮13を接着するようにする。成形型の溝部成形用突条の先端に設けられた小突起により、溝部12の内底面に、その溝部12の両内側面12aに連続する両側底面部12bを残して小溝部16を形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 成形型により成形され、表面に溝部を備え、その表面に表皮が被覆されるとともに、その表皮の一部が溝部内に収容されて接着されるようにしたシートクッションにおいて、 前記溝部の長さ方向に沿って同溝部の内底面に、その溝部の両内側面に連続する両側底面部を残して小溝部を形成したことを特徴とするシートクッション。 【請求項2】 前記成形型の溝部成形用突条の先端に設けられた小突起により、前記小溝部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のシートクッション。 【請求項3】 前記小溝部は断面三角形状をなすことを特徴とする請求項1または2に記載のシートクッション。 【請求項4】 シートクッションを成形するための成形型であって、その成形面にはシートクッションの表面に溝部を成形するための溝部成形用突条を形成するとともに、その溝部成形用突条の先端には同突条の長さ方向に沿って小突起を形成したことを特徴とするシートクッション用成形型。 【請求項5】 前記小突起は、溝部成形用突条の長さ方向に延びることを特徴とする請求項4に記載のシートクッション用成形型。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、車両用シート等に用いられるシートクッション及びシートクッションを成形するためのシートクッション用成形型に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、この種のシートクッションとしては、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されるような構成のものが提案されている。これらの従来構成においては、シートクッションがウレタンフォーム等の発泡材により一体に形成され、その表面には一対の溝部が前後方向へほぼ平行に延びるように形成されている。シートクッションの表面には複数枚のシート材よりなる表皮が被覆装着されている。そして、このシートクッションに対する表皮の被覆装着状態で、表皮におけるシート材の接合部がシートクッションの溝部内に収容配置される。 【0003】 そして、特許文献1に記載の従来構成では、表皮がシートクッションに被覆装着された状態でシートクッションの表面に接着固定されるとともに、シートクッションの一部が溝部内に収容されてその部分において同様に接着される。 【0004】 また、特許文献2に記載の従来構成では、シートクッションの各溝部の底部に所定間隔を設けて穴が形成されるとともに、その穴の底部付近にワイヤが配置されている。また、表皮におけるシートの接合部には複数のフック状の係止具が所定間隔おきに設けられている。そして、シートクッションの表面に表皮を被覆装着したとき、各係止具をワイヤに係止させることにより、表皮がシートクッションに対する装着状態に係止保持されるようになっている。 【特許文献1】特開2003−290574号公報 【特許文献2】特開2006−149585号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 ところが、前記の従来構成においては、次のような問題があった。 まず、特許文献1に記載の構成では、同公報の明細書中の段落「0008」にも記載されているように、シートクッションを成形型内で発泡成形する際に、各溝部内の表面にスキン層が形成されて、その部分では接着剤のしみ込みが阻害される。このため、表皮の表面側に接着剤が滲み出したり、シートクッションに対する接着剤の投錨効果が発揮されないために溝部に対する表皮の接合部の接着不良を招いたりするという問題があった。 【0006】 すなわち、図6に示すように、シートクッション31を発泡成形するための成形型32の成形面には、溝部成形用突条32aが形成されている。そして、成形型32を所定温度にした後、その成形面によって形成されたキャビティ内で発泡原料を発泡させて、シートクッション31を成形する場合、発泡原料の発泡にともなって発泡体内に熱が発生し、その発泡熱が成形面上で突出している溝部成形用突条32aの頂部に集積しやすい。つまり、溝部成形用突条32a以外の部分は、発泡熱が発泡体内部で発生するので局部的な温度上昇は起こりにくいが、溝部成形用突条32aは、発泡体内部に突出しており、さらにその両側面及び先端面の3箇所から加熱されるため、局部的に温度が上昇する。よって、この高温の溝部成形用突条32aと発泡圧とによりシートクッション31の表面に溝部31aが形成されると、その溝部31aの両内側面及び内底面では発泡表面のセルが潰され、スキン層33が形成される。 【0007】 このため、図7に示すように、その後にシートクッション31の表面や表皮34の裏面等に接着剤35を塗布して、表皮34をシートクッション31の表面に接着固定する際、溝部31aに対する接着剤35のしみ込みがスキン層33により阻害されて、その溝部31aの両内側面及び内底面に接着剤35が十分にしみ込まなくなる。その結果、前記のように、表皮34の接合部34aが溝部31a内に挿入されたとき、溝部31a内の接着剤35が表皮34の表面側に滲み出したり、溝部31aに対する表皮34の接合部34aの接着不良を招いたりするということがあった。このような接着剤35の滲み出しは、染み等になって外観品質を低下させ、また、接着不良は、その接着不良部分が溝部31a内から浮き上がって同じく外観品質を低下させる。 【0008】 従って、特許文献1の公報における明細書中の従来技術に関する段落番号「0010」にも記載されているように、シートクッション31の成形後に、溝部31aのスキン層33を除去する後処理加工を施したて、接着剤をしみ込みやすくしたりする必要がある。当然、このような後処理加工は、その加工位置が溝部の内部であるということも原因となって、加工生産性が低下させてコストが高くなるという問題を生じた。 【0009】 そこで、特許文献1においては、シートクッションにおける溝部の底面に凹凸面を形成して、接着剤が凹凸面の凹部に残留保持されるようにしている。すなわち、この特許文献1においては、スキン層33の部分の接着剤がシートクッションにしみ込むことなく凝集してしまうということに着目し、接着剤が複数の凹部内に保持されることにより、1箇所に対する接着剤の凝集を防止しようとするものである。しかしながら、この従来構成においては、溝部にスキン層が形成されるのを解消するものではなく、溝部の両内側面及び底面上に依然としてスキン層が形成されるため、前述した表皮上への接着剤の滲み出しや、表皮の接着不良を招くという問題を解決することはできなかった。 【0010】 また、特許文献2に記載の構成では、シートクッションの成形時に、各溝部の穴の底部にワイヤを埋設するとともに、表皮の加工時にシート材の接合部に複数の係止具を固定する必要がある。そのため、部品点数が増加するとともに、製造工程が煩雑になるという問題があった。しかも、この特許文献2においては、所定間隔に設けられた係止具によって表皮がワイヤに係止されるものであるため、接合部の係止具が存在しない部分は浮き上がることがあり、このような場合は、表皮には溝部31aに沿って凹凸が形成されて、やはり外観品質が低下するものであった。 【0011】 この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、成形時に溝部にスキン層が形成されるのを抑制することができて、表皮を接着する際に、表皮上への接着剤の滲み出しや、表皮の接着不良を招くことを防止することができて、外観品質を向上できるシートクッション及びシートクッション用成形型を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0012】 上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、シートクッションは成形型により成形され、表面に溝部を備える。そして、その表面に表皮が被覆されるとともに、その表皮の一部が溝部内に収容されて接着されるようにしたようにしている。さらに、前記溝部の長さ方向に沿って同溝部の内底面に、その溝部の両内側面に連続する両側底面部を残して小溝部を形成している。 【0013】 請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記成形型の溝部成形用突条の先端に設けられた小突起により、前記小溝部を形成している。 請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の発明において、前記小溝部は断面三角形状をなしている。 【0014】 請求項4に記載の発明においては、シートクッションを成形するための成形型であって、その成形面にはシートクッションの表面に溝部を成形するための溝部成形用突条を形成するとともに、その溝部成形用突条の先端には同突条の長さ方向に沿って小突起を形成したことを特徴とする。 【0015】 請求項5に記載の発明においては、請求項4に記載の発明において、前記小突起は、溝部成形用突条の長さ方向に延びることを特徴とする。 従って、この発明においては、シートクッションの成形時に発生する熱の集積を、成形型の溝部成形用突条の全体にわたることなく、小突起に限定させることができる。よって、溝部成形用突条により成形される溝部の両内側面及び内底面に、スキン層が形成されるのを抑制することができる。その結果、シートクッションの表面に表皮を接着固定する際に、溝部に対する接着剤のしみ込みがスキン層により阻害されるのを防ぐことができて、溝部内の接着剤が表皮上に滲み出したり、溝部に対する表皮の接合部の接着不良を招いたりすることを防止することができる。 【発明の効果】 【0016】 以上のように、この発明によれば、溝部にスキン層が形成されるのを抑制することができて、表皮を接着固定する際に、表皮上への接着剤の滲み出しや、表皮の接着不良を招くことを防止することができて、外観品質を向上できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 以下に、この発明の一実施形態を、図1〜図5に基づいて説明する。 図1及び図2に示すように、この実施形態のシートクッション11は、ウレタンフォーム等の発泡材により所定形状をなすように形成されている。この実施形態のシートクッション11は、車両のフロントシートの座部を構成する。シートクッション11の表面の中央部11aと両側部11bとの間には、一対の断面矩形状の溝部12が前後方向へ平行に延びるように形成されている。そして、このシートクッション11の表面に表皮13を被覆して、接着剤14により接着固定することにより、車両用シート15が形成されるようになっている。 【0018】 前記表皮13は、複数の合成樹脂製ファブリック等のシート材13aをこれらの端縁において溶着や縫着等で互いに接合することにより形成されている。そして、シートクッション11に対する表皮13の被覆接着状態において、表皮13の裏面側に突出したシート材13aの接合部13bがシートクッション11の溝部12内に収容配置されて、その溝部12の両内側面及び底面に接着されるようになっている。 【0019】 図2及び図3に示すように、前記シートクッション11における両溝部12の内底面には、断面ほぼ三角形状の小溝部16が溝部12の長さ方向に沿って、全長またはほぼ全長にわたって延びるように形成されている。この場合、小溝部16の開口両側縁には、溝部12の両内側面12aに連続する両側底面部12bが残されている。そして、図3に示すように、表皮13におけるシート材13aの接合部13bが接着剤14によって、この溝部12の両内側面12a及び両側底面部12bに接着固定されるようになっている。 【0020】 次に、前記シートクッション11を成形するための成形装置について説明する。図4に示すように、この成形装置の成形型21は、凹状の成形面22aを有する下型22と、その下型22に開閉可能に装着され、下型22の成形面22aに接離可能に対応する凸状の成形面23aを有する上型23とから構成されている。そして、両型22,23が加熱された後に、成形面22a,23a間のキャビティ内に発泡原料が注入されて、下型22に対して上型23が閉じられた状態で、この発泡原料が発泡されることにより、シートクッション11が成形されるようになっている。 【0021】 図4及び図5に示すように、前記下型22の成形面22a上には、一対の断面矩形状の溝部成形用突条24がほぼ平行に延びるように形成されている。そして、前記シートクッション11の発泡成形時に、この溝部成形用突条24によって、シートクッション11の表面に一対の溝部12が成形されるようになっている。各溝部成形用突条24の先端には、断面ほぼ三角形状の小突起25が全長またはほぼ全長にわたって延びるように形成されている。そして、この小突起25によって、溝部12の内底面に小溝部16が成形されるようになっている。 【0022】 さて、前記のような構成の成形型21によりシートクッション11を成形する場合には、発泡原料の発泡にともなって発泡体内に熱が発生する。このとき、溝部成形用突条24の先端には小突起25が形成されているため、発泡熱は溝部成形用突条24よりも小突起25に集中される。そのため、図3に示すように、この小突起25により成形される小溝部16の両側内面には、発泡熱よる高温と発泡圧により、発泡層の表面のセルが潰されてスキン層26が形成されるが、溝部成形用突条24により成形される溝部12の両内側面12a及び両側底面部12bには、スキン層が形成されることはない。 【0023】 従って、図3に示すように、シートクッション11の溝部12内に表皮13の接合部13bを収容して接着固定するとき、接着剤14は溝部12の両内側面12a及び両側底面部12bにしみ込む。このため、溝部12内に残留する接着剤14が表皮13の表面側に滲み出したり、溝部12に対する表皮13の接合部13bの接着固定が不十分になったりするという不具合が発生することを防止することができる。 【0024】 特に、この実施形態のシートクッション11では、溝部12の内底面に、その溝部12の両内側面12aに連続する両側底面部12bを残して小溝部16が形成されている。そのため、表皮13の接合部13bを接着剤14により溝部12の両内側面12aのみでなく、溝部12の両側底面部12bに対しても接着固定することができて、シートクッション11に対する表皮13の接着強度を高めることができる。 【0025】 以上に述べた実施形態においては、以下の効果を発揮する。 (1) 溝部12の両内側面12a及び両側底面部12bにスキン層が形成されることがないため、接着剤14は両内側面12a及び両側底面部12bにしみ込むため、表皮13の表面側に滲み出したり、接着固定が不十分になったりすることなく、表皮13をシートクッション11に対して良好に接着できる。 【0026】 (2) 表皮13の接合部13bを溝部12の全体にわたって接着できるため、前述した従来構成とは異なり、その接合部に凹凸が形成されることはなく、また、前記のように接着剤14の表皮13の表面側への滲み出しを防止できるため、外観品質を向上できる。 【0027】 (3) 小溝部16を形成するための小突起25が断面ほぼ三角形状をなしているため、その尖端側ほど発泡熱が集中される。このため、溝部12の両内側面12aや両側底面部12bにスキン層が形成されることを有効に防止できる。 【0028】 (変更例) なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。 ・ 小溝部16の断面形状を逆U字状にすること。 【0029】 ・ この発明を座部を構成するクッションにシート以外のシートクッション、例えば背もたれ部を構成するシートバックにおいて具体化すること。 ・ 小溝部16を溝部12の長さ方向の全長またはほぼ全長ではなく、例えば全長の2分の1や3分の2等、必要に応じてその長さを変更すること。あるいは、短い小溝部16を溝部12の長さ方向の複数箇所に設けること。 【図面の簡単な説明】 【0030】 【図1】一実施形態のシートクッション及び表皮を示す斜視図。 【図2】表皮を装着した状態のシートクッションを示す図1の2−2線における拡大断面図。 【図3】図2のシートクッションの一部を拡大して示す部分断面図。 【図4】シートクッションを製造するための成形型を示す斜視図。 【図5】図4の5−5線における部分拡大断面図。 【図6】従来のシートクッションの成形状態を示す部分断面図。 【図7】従来のシートクッションに表皮を接着した状態を示す部分断面図。 【符号の説明】 【0031】 11…シートクッション、12…溝部、12a…内側面、12b…両側底面部、13…表皮、13a…シート材、13b…接合部、14…接着剤、15…車両用シート、16…小溝部、21…成形型、22…下型、22a…成形面、23…上型、23a…成形面、24…溝部成形用突条、25…小突起、26…スキン層。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000119232 【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
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| 【出願日】 |
平成18年8月29日(2006.8.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068755 【弁理士】 【氏名又は名称】恩田 博宣
【識別番号】100105957 【弁理士】 【氏名又は名称】恩田 誠
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| 【公開番号】 |
特開2008−54771(P2008−54771A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月13日(2008.3.13) |
| 【出願番号】 |
特願2006−232716(P2006−232716) |
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