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【発明の名称】 椅子
【発明者】 【氏名】竹内 裕

【氏名】伊藤 博之

【要約】 【課題】背もたれが取り付くバックフレーム装置をパイプ材で製造するにおいて、強度や加工精度の問題をクリアーする。

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支軸を有するフレーム装置と、前記フレーム装置の支軸が連結された他の部材とを備えており、前記フレーム装置は、前記支軸と略直交した方向に延びるフレーム材を備えており、前記フレーム材が支軸を中心にして前記他の部材に対して相対的に回動する、
という椅子であって、
前記フレーム装置を構成するフレーム材と支軸とはそれぞれパイプ材又は棒材から成っており、前記支軸は前記フレーム材にブラケット材を介して取り付けられている、
椅子。
【請求項2】
前記フレーム材及び支軸は、それぞれ前記ブラケット材に溶接によって固着されている、
請求項1に記載した椅子。
【請求項3】
脚の上端に固定されたベースと、背もたれと座とのうち少なくとも背もたれが取り付く後傾動可能なバックフレーム装置と、バックフレーム装置の後傾動を弾性的に支持するばね手段とが備えられており、前記バックフレーム装置は、少なくとも背もたれが取り付けられたフレーム材と、前記ベースに二つ割方式の軸受け部材を介して連結された第1支軸とを備えており、前記バックフレーム装置のフレーム材と第1支軸とはそれぞれ前記ブラケット材に溶接によって固着されている、
請求項1又は2に記載した椅子。
【請求項4】
前記ブラケット材は、金属板製により、フレーム材の外周を三方から囲うように断面略コ字状に形成されており、前記ブラケット材を構成する平行な2枚の側板の両方又は片方に前記支軸が貫通すると共に溶接によって固着されている、
請求項1〜3のうちの何れかに記載した椅子。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本願発明は、支軸(回動中心軸)を有するフレーム材が備えられた椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背もたれ又は座若しくは両方が後傾する椅子において、背もたれや座は傾動式(回動式)のフレーム装置に取り付けていることが多い。例えば、背もたれのみが後傾するロッキング椅子の場合は、脚の上端に固定したベースにバックフレーム装置を後傾動可能に連結して、このバックフレーム装置に背もたれを取り付けていることが多い。
【0003】
座と背もたれとが一体になって後傾動する椅子もあり、このタイプの椅子では、ベースに後傾動可能に連結したフレーム装置に座を固定していることが多い。そして、本願出願人の先願である特許文献1には、フレーム装置をベースに後傾動可能に連結するための軸支構造として、金属板製のフレーム装置に丸パイプ製の支軸を溶接によって固着して、支軸を二つ割り方式の軸受け部材で上下から挟み、上下の軸受け部材を押さえ板にてベースに締結することが開示されている。
【0004】
この軸支構造によると、支軸は予めフレーム装置に固着されているためガタ付きは発生しないと共に全体として堅牢な構造になり、また、スナップリングのような抜け止め具は不要であるため組み立て作業の能率も向上できる利点がある。
【特許文献1】特開平9−158939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、回動式(傾動式)のフレーム装置の主要部材であるフレーム材を素材や加工方法から見ると、金属パイプ材又は棒材を主材としたもの、金属板を素材とした板金製品、アルミ等のダイキャスト製品、或いは樹脂の成形品などに分類される(異なる素材を組み合わせたものもある。)。これらの各種の素材はそれぞれ特徴を持っており、機能的な要請のために例えば板金製品を採用せざるを得ないという場合もあるが、そのような特別の要請がない場合、コスト抑制や軽量化、或いはデザイン上の要請の面から金属製のパイプ材や棒材を採用したいと欲する場合がある。
【0006】
このようにフレーム材の材料としてパイプ材や棒材を採用した場合、特許文献1のように支軸を一体に固着する方法としては、フレーム材と支軸とを直接に突き合わせて溶接することが考えられる。
【0007】
しかし、フレーム材と支軸とを直接に突き合わせて溶接する方法では、a.溶接の肉盛り面積が小さいため十分な強度を確保できない虞がある、b.溶接時の熱歪みによってフレーム材と支軸との相対姿勢が変わって高い精度を確保できない虞がある、c.フレーム材と支軸との芯がずれている場合はいずれか一方又は両方を曲げ加工せねばならないため加工が面倒である、d.椅子の使用に際してフレーム材に作用した荷重が支軸に伝わることで支持に曲げ作用やねじれの変形作用が生じ、このためスムースな回動が阻害される虞がある、といった問題が懸念される。
【0008】
本願発明はこのように現状に鑑み成されたもので、強度や精度等の問題を招来することなく、椅子のフレーム装置のフレーム材及び支軸をパイプ材製又は棒材製と成さしめんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明に係る椅子は、支軸を有するフレーム装置と、前記フレーム装置の支軸が連結された他の部材とを備えており、前記フレーム装置は、前記支軸と略直交した方向に延びるフレーム材を備えており、前記フレーム材が支軸を中心にして前記他の部材に対して相対的に回動するようになっている。そして、請求項1の発明は、前記フレーム装置を構成するフレーム材と支軸とはそれぞれパイプ材又は棒材から成っており、前記支軸は前記フレーム材にブラケット材(継手部材と呼んでもよい)を介して取り付けられている点に特徴を有している。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1において、前記フレーム材及び支軸は、それぞれ前記ブラケット材に溶接によって固着されている。
【0011】
請求項3の発明では、請求項1又は2において、脚の上端に固定されたベースと、背もたれと座とのうち少なくとも背もたれが取り付く後傾動可能なバックフレーム装置と、バックフレーム装置の後傾動を弾性的に支持するばね手段とが備えられており、前記バックフレーム装置は、少なくとも背もたれが取り付けられたフレーム材と、前記ベースに二つ割方式の軸受け部材を介して連結された第1支軸とを備えており、前記バックフレーム装置のフレーム材と第1支軸とはそれぞれ前記ブラケット材に溶接によって固着されている。
【0012】
請求項4の発明では、請求項1〜3のうちの何れかにおいて、前記ブラケット材は、金属板製により、フレーム材の外周を三方から囲うように断面略コ字状に形成されており、前記ブラケット材を構成する平行な2枚の側板の両方又は片方に前記支軸が貫通すると共に溶接によって固着されている。
【発明の効果】
【0013】
本願発明によると、フレーム材及び支軸をブラケット材に取り付けるものであるため、例えば請求項2のように溶接による固着を採用した場合、溶接の肉盛り面積を大きくできるため十分な強度を確保できる、b.溶接時の熱歪みがフレーム材と支軸との相互間に波及することはないため高い精度を確保できる、c.フレーム材と支軸との芯がずれていてもブラケット材に対する取り付け位置を変えることが簡単に対処でき、このためフレーム材や支軸に面倒な加工を施す必要がない、d.椅子の使用に際してフレーム材に作用した荷重が支軸に伝わることを防止できるためスムースな回動を確保できる、といった利点がある。
【0014】
上記のような利点により、フレーム装置のフレーム材と支軸とを共にパイプ材製又は棒材製とすることを容易ならしめることができる。また、例えば実施形態で示しているように、ブラケット材をフレーム材と支軸との継手機能以外の用途に使用することが可能である利点も有している。
【0015】
椅子を構成するフレーム装置の代表例として背もたれを後傾動させるためのバックフレーム装置(背支持フレーム装置)があるが、請求項3のようにバックフレーム装置のフレーム材と支軸とをパイプ材製又は棒材製とすることにより、バックフレーム装置をシンプルで簡易な構造とすることができる。
【0016】
ブラケット材は例えばダイキャスト品又は鋳物若しくはブロック体の削り出し品等も使用できるが、請求項4のように板金製品を採用すると、経済性に優れていると共に強度を低下させることなく軽量化できて好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図17では第1実施形態を表示、図18では第2実施形態を表示し、図19では第3実施形態を表示し、図20では第4実施形態を表示している。まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は回転椅子に適用している。
【0018】
(1).第1実施形態の椅子の概要
先ず、図1及び図2に基づいて椅子の概要を説明する。図1のうち(A)は一部破断正面図、(B)は右側面図、図2は椅子の縦断側面図である。
【0019】
椅子は、脚1と、脚1の上端に取り付けたベース2と、その上方に配置した座3と、座3の後方に配置した背もたれ4とを備えている。脚1は、ガスシリンダからなる脚柱5と、脚柱5から放射状に延びる枝足6とを備えており、各枝足6の先端にはキャスター7を設けている。脚柱5のロックはベース2に設けたレバー8(図1(A)参照)の操作によって解除できる。
【0020】
図2に示すように、座3は、樹脂製の前後インナーシェル(座板)9,10とそれらの上面に一連に延びるように張ったクッション体11とを備えている。そして、座3は、背もたれ4がロッキングしない限り動かない座後部3bと、独立して前傾動可能な座前部3aとから成っており、座3の前後インナーシェル9,10は連結ピン12で相対回動可能に連結されている。
【0021】
背もたれ4は、背インナーシェル4aの前面にクッション4bを張った構造になっており、背インナーシェル4aの後方には、背インナーシェル4aの略全部高にわたって延びるバックカバー13を配置している(バックカバー13は背支柱に固定されている)。また、バックカバー13とベース2との間の空間はリアカバー14aで塞がれており、更に、ベース2の前方にはフロントカバー14bを装着しており、フロントカバー14bの左右両側には、座前部3aを傾動操作するためのフロントレバーの摘まみ15が露出している。なお、フロントカバー14bは座3の前部インナーシェル9に取り付けられている。図1及び図2に示す符号16は、背もたれ4を後傾可能な状態と後傾不能状態とに切り換えるレバーである。
【0022】
(2).座部の詳細
次に、主として図3〜図9に基づいて座3の支持機構を説明する。図3はベース2と下軸受け部材の分離斜視図、図4は座インナーシェル9,10の分離斜視図、図5は座を省略した状態での平面図、図6は主要部材の分離斜視図、図7は図5の VII-VII視断面図、図8は図5の VIII-VIII視断面図、図9は軸受け部材の形態を示す断面図である。
【0023】
ベース2は上向きに開口したハウジング状になっており、座3とベース2との間には、例えば図4に示すように、座3と背もたれ4とが取り付くバックフレーム装置18が配置されている。バックフレーム装置18は、左右2本の第1フレーム材19を主要部材として有している。第1フレーム材19は座3の下方に位置した水平部を備えており、後部は上向きに立ち上がった背支柱19aになっている。第1フレーム材19は鋼管やステンレス管のような金属丸パイプ材から成っている。
【0024】
バックフレーム装置18を構成する左右の第1フレーム材19の前部には、正面視上向き開口コ字状で左右の側板20aを有する第1ブラケット材20が溶接によって固着されている。第1ブラケット材20は鋼板のような金属板からなっており、第1フレーム材19は、第1ブラケット材20の内部のうち上部に溶接されている。また、第1ブラケット材20の左右側板20aには上向きに切り開かれた凹所20bが形成されており、この凹所20bの箇所においても第1フレーム材19に溶接されている。このため第1フレーム材19と第1ブラケット材20とは強固に固着している。
【0025】
そして、左右の第1ブラケット材20には、平面視で第1フレーム材19と直交した方向に延びる左右横長の第1支軸(スライド軸)22が溶接によって固着されている。第1支軸22は第1フレーム材19の下方に配置されており、第1ブラケット材20の左右外側に露出しており、この露出部も第1ブラケット材20に溶接されている。このため、第1支軸22と第1ブラケット材20も強固に固着している。第1支軸22も金属製丸パイプ材からなっている。
【0026】
左右の第1フレーム材19の水平部には、金属板製の第1連結部体23及び第2連結体24が溶接によって固着されている。第1連結体23は座2を取り付けるためのものであり(補強機能も備えている)、第2連結体24は左右の第1フレーム材19を補強するものである。第1連結体23は左右の第1ブラケット材20に溶接してもよい。
【0027】
図2に示すように、後部インナーシェル10の下方には、樹脂製の座アウターシェル(座受け板)25が配置されており、後部インナーシェル10は座アウターシェル25に着脱可能に固定されており、座アウターシェル25はバックフレーム装置18の第1連結体23にビス等によって固定されている。
【0028】
図6〜図9から理解できるように、バックフレーム装置18の第1支軸22は上下に重なり合う下軸受け部材26と上軸受け部材27とで挟まれており、更に、上軸受け部材27には押さえ部材28が重なっており、これらの三者は互いに重ねた状態でベース2にねじ(図示せず)で共締めされている。
【0029】
図3及び図6に示すように、下軸受け部材26には前後左右4個の係合穴26aが上下に貫通して空いている一方、ベース2には、前記係合穴26aがきっちり嵌まるボス体2aが一体に形成されており、ボス体2aに下軸受け部材26を嵌め込むことにより、下軸受け部材26は水平方向に移動不能に保持されている。押さえ部材28はボス体2aにビスで締結されている。ボス体2aは上窄まりになっており、このため、下軸受け部材26の嵌め込みが容易であると共にずれ不能に保持される。
【0030】
例えば図3に示すように、ベース2には、下軸受け部材26の後端が当たるセンター突起2b、脚柱5が嵌まる穴2c、肘掛け(図示せず)を取り付けるための張り出し部2dなどが形成されている。なお、ベース2や上下軸受け部材26,27はアルミ等のダイキャスト製品又は樹脂成形品であり、押さえ部材28は板金製品である。勿論、各部材の素材や加工方法は任意に選択できる。
【0031】
上下軸受け部材26,27には第1支軸22が前後にスライドすることを許容する長溝29が水平状に延びるように形成されている。上下の長溝29は互いに重なることで長穴となっており(従って、本実施形態では長溝29は長穴と同義である)。また、下軸受け部材26の長溝29が上軸受け部材27の長溝29よりも深さが深くなっている。これは、第1支軸22の支持強度を確保するためである。なお、長溝(長穴)29は後傾姿勢に後傾していても良い。
【0032】
更に、上下軸受け部材26,27の間にはばね(圧縮コイルばね)30が前後方向に延びるように配置されており、下軸受け部材26の後端にはばね30を後方から支持するための後ろ壁31が形成されている。他方、バックフレーム装置18の第1支軸22には、ばね30を前方から支える前部ばね受け32が重なっている。従って、バックフレーム装置18(及び座3と背もたれ4)は、ばね30に抗して後方にスライド可能でかつ第1支軸22を中心にして後傾し得る。
【0033】
図4に示すように、前部インナーシェル9は略平板に近い形態であり、後部インナーシェル10は、正面視で上向き凹状に緩く曲がっており、また、縦断正面視では上向き凹状に緩く湾曲している。そして、前後インナーシェル9,10は、左右一対ずつの筒状軸受け部33と、半円状軸受け部34とに連結ピン12を通すことで屈曲可能に連結されている。
【0034】
連結ピン12は第1支軸22よりもやや後方に位置している。詳細は省略するが、座アウターシェル25は後部インナーシェル10の真下に配置されており、後部インナーシェル10に形成した係合爪37を座アウターシェル25の係合穴(図示せず)に嵌め込んでいる。
【0035】
図9,10に示すように、上下軸受け部材26,27の長溝29は水平方向に延びている。このため、ばね30のばね力(弾性復元力)が過度に大きくなくても、人が座3に腰掛けただけで座3が後傾することはない。なお、上下軸受け部材26,27が金属製の場合は、第2支軸22の動きのスムース性確保と擦れ音防止のため、軸受け部材26,27の長溝29に樹脂製のブッシュ(これも上下二つ割り方式とするのが好ましい)を嵌め込むことも可能である。
【0036】
図7に示すように、上下軸受け部材26,27と第1ブラケット材20との間には隙間があいており、第1支軸22にはずれ防止のためのスペーサ22aが嵌まっている(スペーサ22aはなくてもよい。)
(3).座前部の前傾構造
次に、座前部3aを傾動させるための機構を、主として図10〜図12に基づいて説明する。図10は座3の前部を前傾させるための部材の分離斜視図、図11は図5の XI-XI視断面図、図12は図5の XII-XII視断面図である。第1ブラケット材20の先端には、図4に示すように前向きの張り出し部20cが形成されており、この張り出し部20cに、フロントサポート38が上方から重ね配置されている。
【0037】
フロントサポート38は、1枚の側板38aと、側板38aの内側に位置した支持面38bと、第1ブラケット材20の内部に嵌まり込む後ろ向き凸部38cとを備えており、後ろ向き凸部38cがピン39で第1ブラケット材20の側板20aに取り付けられている。
【0038】
そして、フロントサポート38の側板38aに、フロントレバー40の中心軸40aが回転可能に嵌まっている。また、フロントサポート38の支持面38bには、長穴41aを有するカム部材41が載っており、カム部材41の長穴41aには、フロントレバー40におけるセンタークランク部40bの左右付け根部が嵌まっている。
【0039】
カム部材41は、フロントレバー40を回動させることにより、直立姿勢と前倒れ姿勢とに自在に姿勢が変えられる。また、座3の前部インナーシェル9には、カム部材41を直立状態に保持する下向き突起42(図11参照)が形成されている。
【0040】
図12に示すように、フロントレバー40におけるセンタークランク部40bの左右中間部は、前部インナーシェル9の前面に形成した側面視円弧状の下向き凹状のガイド穴43に嵌まっている。ガイド穴43は、前部インナーシェル9に形成した下向き凹状円弧部9aに下ガイド部材44を下方から装着することによって形成されている。
【0041】
フロントレバー40の左右端部には既述した摘まみ15が取り付けられており、摘まみ15を操作してカム部材41を前向きに回動させると、フロントレバー40のセンタークランク部40bが前倒れして座前部3aが下向きに引っ張られ、これにより、座前部3aは連結ピン12を中心にして前傾する。前傾角度は略15度程度に設定している。
【0042】
(4).背部の構造
次に、図2に加えて図13〜図16も参照して背部の構造を説明する。図13及び図14は主要部材の分離斜視図、図15のうち(A)は部分的な縦断右側面図、(B)は図14のB−B視分離断面図、(C)は図14のC−C視断面図、図16は組み立てた状態での斜視図で、(A)は(A)はカバーを取り付けていないもの、(B)はカバーを取り付けたものである。
【0043】
既述のとおり、背もたれ4は樹脂製の背インナーシェル4aを備えているが、背インナーシェル4aは、多数の横長スリットを形成することにより、縦断側面視形状が容易に変わり得るように柔軟性が付与されている。
【0044】
図13及び図16に示すように、左右背支柱19aの上端は断面コ字状のアッパー連結体46によって連結されており、背インナーシェル4aの上端部はこのアッパー連結体46に離反不能に取り付けられている。
【0045】
背もたれ4の支持機構の構成要素として、左右2本の第2フレーム材47を主要部材とする側面視略L文字状のリアフレーム装置48が配置されている。リアフレーム装置48も本願発明を適用したフレーム装置の例であり、左右第2フレーム材47の前端部には、正面視下向き開口コ字状状の第2ブラケット材49を介して左右横長のパイプ材製第2支軸50が固着されている。
【0046】
すなわち、図15(C)に明瞭に示すように、第2フレーム材47の第2ブラケット材49の上部内面に溶接によって固着すると共に、第2ブラケット材49における内側の側板49aに第2支軸50が溶接によって固着されている。第2支軸50は第2ブラケット材49の側板49aに貫通しており、その状態で溶接されている。なお、第2支軸50を第2ブラケット材49の両側板49a,49bに溶接することも可能である。
【0047】
図2及び図14に示すように、前記第2支軸50は、ベース2の後部に上下2割り方式の軸受け51,52で回動可能な状態に挟まれており、軸受け51,52は押さえ部材53によってビスでベース2にビス止めされている。従って、リアフレーム装置48は第2支軸50を中心にして傾動し得る。
【0048】
なお、図2では軸受け51,52は本来は断面表示すべきであるが、煩雑になるため断面表示(ハッチング)は施していない。また、図14では上方の軸受け部材51しか表示していない。図14に符号を付して示すように、上軸受け部材51には円形の上向き突起51aを形成する一方、押さえ部材53には、前記上向き突起51aときっちり嵌まる穴53aが空いている。このため、上軸受け部材51と押さえ部材53とは自動的に位置決めされる。
【0049】
リアフレーム装置48を構成する第2フレーム材47は湾曲しつつ側面視で略L字状に曲がっており、上向きに延びる部分の下部には、金属板製の第3連結体54が一体に固着されている。更に、左右第2フレーム材47の上端部には金属板製の第4連結体55が一体に固着されている。第3連結体54は前向き溝54aと上下羽根板54bとを備えている一方、左右背支柱19aの下部には、本願発明の適用例として、第3ブラケット材56を介して第3支軸57が一体に固着されている。
【0050】
図14及び図15(A)(B)に示すように、第3支軸57は前後二つ割方式の軸受け体58,59で回転可能に挟まれており、前後軸受け58,59は前方から重なった押さえ部材60にて第3連結体54に押さえ保持されている。従って、バックフレーム装置19(背支柱19a)とリアフレーム装置48とは連動して回動する。奥側の軸受け58は第3連結体54の前向き溝54aに嵌まっており、押さえ部材60は第3連結体54の羽根板54bにビスで固定されている。
【0051】
図15(B)に示すように、第3ブラケット材56の溝幅は背支柱19aの外径よりも大きい寸法になっており、第3ブラケット材56の内側の側板56aに第3支軸57を貫通し、第3支軸57を背支柱19aに溶接している。この場合、第3支軸57は第3ブラケット材56に貫通しているため、支持強度は第3ブラケット材56で確保されている。従って、この場合の溶接は位置決め程度の機能にしか持っておらず、必ずしも溶接する必要はないし、また、第3支軸57を溶接する場合、第3ブラケット材56の側板56aの内側面に溶接しても良い。
【0052】
スペーサ62は背支柱19aに嵌合する形態であり、このため溶接しなくても回転不能に保持されている(勿論、スペーサ62を第3ブラケット材56に溶接してもよい。)。左右の背支柱19aはアッパーフレーム46や第2連結体23で左右離反不能に保持されているので、第3支軸57は必ずしも第3ブラケット材56に溶接する必要はない。
【0053】
リアフレーム装置48を構成する第4連結体55には、上向きに延びる左右一対の軸受け片55aが一体に形成されており、この左右軸受け片55aに挿通したピン63にコロ状(或いはローラ状)のサポート体64を回転可能に嵌め入れて、サポート体64を背インナーシェル4aの背面に当てている。背インナーシェル4aは、サポート体64が当たった部分が最も手前に位置するように側面視で前向き凸状に押し曲げられている。また、背インナーシェル4aの前向き頂点部分は、着座した人の第3腰椎と略同じ高さに設定している。
【0054】
図2に示すように、背インナーシェル4aの背面のうちリアフレーム装置48の第3連結体54と第4連結体55との間に位置した部分には、後ろ向きに突出した箱状のブラケット部65を介して左右横長のガイドピン66が一体に形成されている。
【0055】
他方、図14及び図15(A)に示すように、リアフレーム装置48の第3連結体54と第4連結体55とに、背もたれ4のガイドピン66が嵌まるガイド体67をビスで固定している。ガイド体67は、上下長手でかつ下部が前向きに開口したガイド溝67aを有しており、ガイド溝67aにガイドピン66が嵌まることにより、背インナーシェル4aはリアフレーム装置48から前向き離反不能でかつ上下動可能に保持(係止)されている。なお、ガイド溝67aの下部が前向きに開口しているのは、ガイドピン66を手前側から嵌脱することを許容するためである。
【0056】
図13や図16に示すように、リアフレーム装置48の上部は補助カバー68で前方から覆われており、かつ、図16(B)に示すように、背もたれ4を支持する機構部のうちサポート体64の周辺を除いた部分は前カバー69で覆われている。前カバー69には、補助カバー68の略上半分を露出させるための窓穴69aが空いている。図16に示すように、バックフレーム装置18を構成するアッパー連結体46にはハンガー70を取り付けることができる。
【0057】
(5).まとめ
図17は椅子の骨組みを模式的に示した図であり、この図17に基づいて座と背もたれ4の動きを説明する。
【0058】
リアフレーム装置48と背支柱19a(バックフレーム装置18)とが連結されているため、リアフレーム装置48も背支柱19aの後傾動に連動して後傾するが、リアフレーム装置48は回動支点が背支柱19aの回動支点よりも後方に位置しているため、リアフレーム装置48は背支柱19aよりも大きな割合で後傾する。また、バックフレーム装置18は後退動もするため、リアフレーム装置48は後方に押されながら後傾することになり、この点によっても、リアフレーム装置48は背支柱19aよりも大きな割合で後傾する。
【0059】
このため、サポート体64は背支柱19aに対して相対的に後傾することになる。そして、背インナーシェル4aの下部はガイドピン66がガイド部材67に嵌まっていてリアフレーム装置48から離反不能に保持されているため、サポート体64が背支柱19aに対して相対的に後退すると、背インナーシェル4aは縦断側面視で前向き凸状に大きく変形していた状態から、扁平に近い状態に伸び変形することになる(ガイドピン66とガイド部材67は、背インナーシェル4aを引き伸ばす作用を備えている。)。
【0060】
着座した人が上半身を直立姿勢又はやや前傾姿勢にしてキーボード操作等の作業を行う場合は、腰椎(特に第3腰椎のあたり)が背もたれ4で支えられることにより、人は安定した姿勢を保持できる。他方、ロッキング時に背もたれ4が前向き凸状に大きく湾曲したままであると、人の上半身はのけぞるような状態に曲げられるため安楽性に欠けるが、本願発明では、ロッキング状態で背もたれ4は扁平な状態に伸び勝手になるため身体に違和感を与えることはない。
【0061】
そして、例えば第1フレーム材19及び第1支軸22は第1ブラケット材20に溶接されているため、肉盛り面積を大きくできて高い固着強度を確保できる等の効果が発揮される。また、第1支軸22を固着するための溶接の肉盛りは第1ブラケット材20のうち軸受け部材26,27と対向した面にはみ出ることを回避できるため、スペーサ22aが肉盛りと干渉することを防止して、バックフレーム装置18のスムースな回動を確保することができる。
【0062】
他の支軸の箇所においても同様の効果が言える。また、第1ブラケット材20は座前部3aの支持機能も備えているため、座前部3aが前傾する椅子でありながら部材点数を抑制できる。
【0063】
(6).他の実施形態
図18では第2実施形態を示している。(A)は平面図、(B)は(A)のB−B視断面図である。この第2実施形態では、フレーム材70と1支軸71とは同じ高さになっており、フレーム材70は支軸71と干渉しない状態でブラケット材72に配置されている。ブラケット材72は左右の側板72aを有してコ字状に形成されている。
【0064】
図19に示す第3実施形態では、フレーム材70と支軸71とは下向き開口のブラケット材72に溶接で固着されている。そして、この実施形態では、支軸71はこれに貫通したピン74によってベース73に連結されている。符号75は樹脂製のブッシュである。
【0065】
図20に示す第4実施形態は、脚をパイプ製としたパイプ椅子に適用している。(A)は縦断側面図、(B)は(A)のB−B視断面図である。
【0066】
この実施形態では、左右の水平部76aを有する脚76で座3を後傾動(或いは前傾動若しくは前後傾動)可能に連結するにおいて、脚76の左右水平部76aに上向き開口樋状のブラケット材77を溶接によって固着して左右のブラケット材77に支軸78を溶接によって固着し、この支軸78を、座3の下面に形成した軸受け部79に押さえ金具80で回転可能に保持している。座3はインナーシェル3aとクッションとを備えている。軸受け部79はインナーシェル3aに一体成形しても良いし、別体に構成しても良い。
【0067】
この実施形態では、支軸78を有する脚76がフレーム装置を構成している。この実施形態から理解できるように、本願発明のフレーム装置は必ずしもそれ自体が回動(傾動)する必要はなく、支軸に取り付く相手部材のみが回動するものであっても良い。
【0068】
(7).その他
本願発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば適用対象としては車椅子も含まれる。また、背もたれのみが傾動する椅子、座のみが傾動する椅子、座と背もたれとが一体化していて両者が一体に傾動する椅子、といった種々の椅子に適用できる。また、溶接にはろう付けや圧接も含んでいる。更に、固着手段としては溶接の他に強制嵌合なども採用できる。また、ブラケット材はコ字状に限らず、L字状などの他の断面形状であっても良い。更に、請求項からは外れるが、本願発明はフレーム装置を有する家具にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1実施形態を示す図で、(A)は一部破断正面図、(B)は右側面図である。
【図2】椅子の縦断側面図である。
【図3】ベースと下軸受け部材の分離斜視図である。
【図4】座インナーシェルの分離斜視図である。
【図5】座を省略した状態での平面図である。
【図6】主要部材の分離斜視図である。
【図7】図5の VII-VII視断面図である。
【図8】図5の VIII-VIII視断面図である。
【図9】軸受け部材の形態を示す断面図である。
【図10】座前部を前傾させるための部材の分離斜視図である。
【図11】図5の XI-XI視断面図である。
【図12】図5の XII-XII視断面図である。
【図13】主要部材の分離斜視図である。
【図14】主要部材の分離斜視図である。
【図15】(A)は部分的な縦断右側面図、(B)は図14のB−B視分離断面図、(C)は図14のC−C視断面図である。
【図16】背部の斜視図である。
【図17】椅子の骨組みと動きを示す図である。
【図18】第2実施形態を示す図である。
【図19】第3実施形態を示す図である。
【図20】第4実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
2 ベース
3 座
4 背もたれ
18 バックフレーム装置
19 第1フレーム材
20 第1ブラケット材
22 第1支軸
30 ロッキング用のばね
48 リアフレーム装置
47 第2フレーム材
49 第2ブラケット材
50 第2支軸
56 第3ブラケット材
57 第3支軸
【出願人】 【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
【出願日】 平成18年8月29日(2006.8.29)
【代理人】 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫

【識別番号】100096747
【弁理士】
【氏名又は名称】東野 正

【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸

【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一


【公開番号】 特開2008−54727(P2008−54727A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−231880(P2006−231880)