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【発明の名称】 壁面家具
【発明者】 【氏名】須江 英典

【氏名】須江 茂夫

【要約】 【課題】壁面家具の上面と天井面との間の空間を簡単に隠すことができ、生産性や短納期対応およびコスト面で優れ、且つ、この空間を収納空間として有効利用することができ、据付けた際の見栄えも良い壁面家具を提供する。

【構成】家具本体2の前面に扉3を備えた壁面家具11であって、扉3は、その上端部31が家具本体2の前面上端より上方に突出し、且つ、その上端部31が据付場所の天井面81の近傍に位置するように形成されており、壁面家具11は、家具本体2の上面左右両端からそれぞれ上方に向けて立設した左右の化粧部材4L,4Rを備え、左右の化粧部材4L,4Rは、家具本体2の上面21と天井面81との間に形成される空間Sを側面視から隠すような形状に形成されている壁面家具11とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具本体の前面に扉を備えた壁面家具であって、
前記扉は、その上端部が前記家具本体の前面上端より上方に突出し、且つ、その上端部が据付場所の天井面の近傍に位置するように形成されており、
前記壁面家具は、前記家具本体の上面左右両端からそれぞれ上方に向けて立設した左右の化粧部材を備え、
該左右の化粧部材は、前記家具本体の上面と前記天井面との間に形成される空間を側面視から隠すような形状に形成されている壁面家具。
【請求項2】
家具本体の前面に備えられている扉は、家具本体の左右幅方向全体に亘って、複数個が列立状態で備えられている請求項1記載の壁面家具。
【請求項3】
左右の化粧部材は、その上部に切欠部を備えており、
前記切欠部は、据付場所の天井面から下方に突出した梁が収まるような形状である請求項1又は2記載の壁面家具。
【請求項4】
左右の化粧部材の間に、棚板を取付けた請求項1〜3のいずれか記載の壁面家具。
【請求項5】
左右の化粧部材の上端間に、天板を架設した請求項1〜4のいずれか記載の壁面家具。
【請求項6】
左右の化粧部材それぞれに、据付場所の天井面を下方から押圧する押圧耐震部材を取付けた請求項1〜4のいずれか記載の壁面家具であって、
前記押圧耐震部材は、
左右の化粧部材の互いに対向する側面にそれぞれ固着され、上下方向に貫通したネジ孔が開けられた第一支持部材と、
該第一支持部材のネジ孔に螺嵌された第一ネジ式調節棒と、
該第一ネジ式調節棒の頂部に連設された皿状押圧体を備えている壁面家具。
【請求項7】
左右の化粧部材の底端面と家具本体の上面左右両端とに、前後方向に沿った線状突起と該線状突起が係合する線状溝とを割り当てて設け、
前記線状突起が前記線状溝に係合するように家具本体の前方側から上面側に左右の化粧部材を滑り込ませることで、左右の化粧部材を家具本体の上面左右両端から延設するように構成した請求項1〜6のいずれか記載の壁面家具。
【請求項8】
左右の化粧部材は、
前記家具本体の上面左右両端からそれぞれ上方に向けて立設した左右のベース板材と、
該左右のベース板材の互いに対向する側面にそれぞれ固着され、上下方向に貫通したネジ孔が開けられた第二支持部材と、
該第二支持部材のネジ孔に螺嵌された第二ネジ式調節棒と、
該第二ネジ式調節棒の上部に起立状態で連設されたスライド押圧板材を備えており、
前記スライド押圧板材は、その下端面に形成された係合穴に前記第二ネジ式調節棒の上部が回動自在に係合することで、前記第二ネジ式調節棒の上部に連設されており、
前記第二ネジ式調節棒を回転させて前記ベース板材に対して前記スライド押圧板材を上下にスライドさせることで、家具本体の上面と天井面との間に形成される空間を側面視から隠すような形状に、左右の化粧部材を調節自在とした請求項1又は2記載の壁面家具。
【請求項9】
左右のスライド押圧板材の上端間に、天井板を架設した請求項8記載の壁面家具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、室内等の壁面に近接して据付けられる壁面家具に関し、詳しくは家具本体の前面に扉を備えた壁面家具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、限られた室内空間を有効に活用して多くの物を収納することができる壁面収納が広く採択されるようになった。なかでも、大掛かりな工事等が不要で、既存の部屋等に据付けできる後付けタイプの壁面家具は特に人気が高い。
【0003】
このような壁面家具を室内等の据付場所に据付けると、通常、壁面家具の上面と室内等の天井面との間に空間が生じていた。このような空間が生じると、室内等との一体感や、高級感を損なうことになり、見栄えが悪く好ましくなかった。特に、壁面家具の上面と天井面との間に突っ張り棒を設けて転倒防止を図った場合には、家具の正面から突っ張り棒が視認され、非常に見栄えが悪かった。一方、壁面家具の上面に埃や塵等が堆積するという課題もある。
【0004】
これらの課題を解決するためには、据付ける室内等の形状(特に床面から天井面までの高さ)にあわせて壁面家具をカスタムで設計・製造すればよいが、生産性や短納期対応およびコスト面で課題が残る。また、壁面家具の据付作業にも難点が生じる。そこで、このような手段によらず、壁面家具の上面と天井面との間の空間を比較的簡便に隠すことができる手法等が、例えば下記特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0005】
特許文献1には、「家具の天板と天井との間隔(空間)を埋める幕板であって、1.幕板材と幕板支持材と弾性体とからなり、2.幕板支持材の上面長手方向には、幕板材の厚みとほぼ同幅又はやや大きめの幅の条溝が刻設されており、3.幕板支持材の上面の要所には、上記条溝と交差し且つ上記条溝よりも深い凹所が設けられており、4.弾性体の径は、上記凹所の径よりもやや小さめの径で、上記凹所の底部に当接させて挿入したときに、幕板支持材の底部から突出する弾性体であることを特徴とする幕板。」が開示されている。そして、これによって「幕板材を弾性体の反発力により天井に押しつけるので、幕板材を家具の天板と天井間の間隔に合わせて裁断するときに、多少の誤差が生じても、隙間なく取り付けることができる。また、取り付け後に床面が沈下しても、幕板材と天井との間に隙間を生じない。」と記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、「ウオールキャビネットの天板面(上面)と室内の天井壁面(天井面)との間に形成される空間を覆蔽する幕板構造であって、前記空間の前面ならびに側面の開放端に位置するようにウオールキャビネットの天板面と室内の天井壁面とに相対向させて保持レールを設置し、該保持レールに幕板を装着したことを特徴とするウオールキャビネットの幕板構造。」が開示されている。そして、これによって「配設した保持レールに幕板を装着するのみでよく、施工作業がきわめて簡便である。しかも、天井壁面に傾斜あるいは歪みがあり、幕板との間に隙間が生じてもこの部分は保持レールで隠蔽されるため、美観を損なうことがない。また、本発明によれば、従来のごとく現場作業による幕板端部の留め加工が不要となるため、施工作業の能率を向上することができる。」と記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2000−096814号公報
【特許文献2】特開2003−125877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、これらの特許文献に記載された手法等では、壁面家具の上面と天井面との間の空間を完全に塞いでしまうため、この空間を収納空間として有効利用できなかった。また、扉の前面と幕板の前面とが前後にずれているため見かけの納まりが悪く、見栄えがあまりよくなかった。特に、扉の前面と幕板の前面の材質や模様等が異なる場合には違和感が強かった。壁面家具の上面と天井面との間の空間を収納空間として有効利用することができ、且つ、据付けた際の見栄えも良い壁面家具が望まれていた。
【0009】
本発明は、これら上記課題を解決するものであり、壁面家具の上面と天井面との間の空間を簡単に隠すことができ、生産性や短納期対応およびコスト面で優れ、且つ、この空間を収納空間として有効利用することができ、据付けた際の見栄えも良い壁面家具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、家具本体の前面に扉を備えた壁面家具であって、扉は、その上端部が家具本体の前面上端より上方に突出し、且つ、その上端部が据付場所の天井面の近傍に位置するように形成されており、壁面家具は、家具本体の上面左右両端からそれぞれ上方に向けて立設した左右の化粧部材を備え、左右の化粧部材は、家具本体の上面と天井面との間に形成される空間を側面視から隠すような形状に形成されている壁面家具とした。
【0011】
扉の上端部が据付場所の天井面の近傍に位置するように扉を形成しているため、家具本体の上面と天井面との間に形成される空間(以降、家具本体の上方空間と称することがある)の前方を扉で塞いだ構造となり、この空間を収納空間として有効利用できる。
また、従来のように扉の前面と幕板の前面とが前後にずれたり、模様等が異なったりすることがなく、特に正面視において見栄えの良い壁面家具を提供できる。
さらに、化粧部材は、家具本体の上方空間を側面視から隠すような形状に形成されているため、側面視においても見栄えの良い壁面家具を提供できるとともに、この空間を収納空間として活用した場合に、収納物品が側面から落下しなくなる。ここで、家具本体の上方空間は、必然的に高い位置となり、整然とした状態で物品を収納しにくい。すなわち、この空間に収納物品を投げ入れるような状況は多いと思われ、その結果、収納時等に側面から収納物品が落下したり、雑然と収納されたりすることも多いと考えられる。このような状況において、収納物品の落下を防止し、雑然と収納された収納物品を側面視から隠す上記化粧部材の存在は、より一層効果的である。
加えて、扉と化粧部材を据付場所に合わせた所定形状に形成するだけで済むため、家具本体の上方空間を簡単に隠すことができ、生産性や短納期対応およびコスト面で優れた壁面家具を提供できる。
【0012】
家具本体の前面に備えられている扉は、家具本体の左右幅方向全体に亘って、複数個が列立状態で備えられている壁面家具とすることができる。
【0013】
このような壁面家具では、扉の開閉を阻害しないように、隣り合う扉どうしの間に、大なり小なり間隔(以降、スリット状の隙間と称することがある)をとる必要がある。ここで、前述した左右の化粧部材を備えていない壁面家具の場合には、家具本体の前面上端から上方に突出した扉の部分におけるスリット状の隙間を通して、壁面家具の正面から、天井面や壁面ばかりか、家具本体の上方空間に収納した物品の一部も視認されてしまうことがあった。この現象は、例えば図4に示すように、家具本体の上方空間Sの左右の開口部から、自然光や照明光等の光がこの空間に入り込んで、天井面81や収納物品96等に届き、その反射光が、スリット状の隙間30から外部に漏れ、この光量と外部の明るさとの相対的な関係によって生じていた。この現象は、特に夜間、壁面家具の横方向に間接照明95を設置している場合等に顕著であったが、間接照明を多用したり、天井や壁面に自然採光窓を設けたりする最近流行の設計がなされた住宅においては、昼夜を問わず発生することも多かった。せっかく見栄えのよい壁面家具を設置しても、スリット状の隙間から天井面や収納物品が視認されたのでは雰囲気が台無しである。この課題は、前述した化粧部材を家具本体の上面左右両端に立設することで解決されるのである。換言すれば、家具本体の前面に、家具本体の左右幅方向全体に亘って、複数個の扉が列立状態で備えられている壁面家具であって、それぞれの扉は、その上端部が前記家具本体の前面上端より上方に突出し、且つ、その上端部が据付場所の天井面の近傍に位置するように形成されている場合、壁面家具は、家具本体の上面左右両端からそれぞれ上方に向けて立設した左右の化粧部材を備え、化粧部材は、家具本体の上面と天井面との間に形成される空間を側面視から隠すような形状に形成されている壁面家具とすることが好ましいのである。
【0014】
左右の化粧部材は、その上部に切欠部を備えており、切欠部は、据付場所の天井面から下方に突出した梁が収まるような形状である壁面家具とすることもできる。据付場所の天井面に梁が存在している場合でも、梁が収まるような形状の切欠部を化粧部材に設けることで、壁面家具を見栄えよく、且つ容易に設置できる。
【0015】
左右の化粧部材の間に、棚板を取付けた壁面家具とすることもできる。棚板を取り付けることにより、収納物品を収納しやすくなるとともに、左右の化粧部材を補強する効果もある。
【0016】
左右の化粧部材の上端間に、天板を架設した壁面家具とすることもできる。扉の上端部が据付場所の天井面の近傍に位置するように扉が形成されていても、扉の上端部と天井面との間には、扉の開閉を可能にするための隙間が必要である。上記構成とすることにより、この隙間を天板の前方側端部である程度隠すことができ、より見栄えの良い壁面家具とすることができる。また、左右の化粧部材を補強する効果もある。
【0017】
左右の化粧部材それぞれに、据付場所の天井面を下方から押圧する押圧耐震部材を取付けた壁面家具であって、押圧耐震部材は、左右の化粧部材の互いに対向する側面にそれぞれ固着され、上下方向に貫通したネジ孔が開けられた第一支持部材と、第一支持部材のネジ孔に螺嵌された第一ネジ式調節棒と、第一ネジ式調節棒の頂部に連設された皿状押圧体を備えている壁面家具とすることもできる。左右の化粧部材それぞれに、据付場所の天井面を下方から押圧する押圧耐震部材を取付けたことにより、耐震性に優れた壁面家具を提供できる。また、壁面家具の上面(家具本体の上面)と天井面との間に突っ張り棒を設ける従来構成と比較して、材料費を抑えることもできる。
【0018】
左右の化粧部材の底端面と家具本体の上面左右両端とに、前後方向に沿った線状突起と線状突起が係合する線状溝とを割り当てて設け、線状突起が線状溝に係合するように家具本体の前方側から上面側に左右の化粧部材を滑り込ませることで、左右の化粧部材を家具本体の上面左右両端から延設するように構成した壁面家具とすることもできる。これにより、左右の化粧部材を家具本体の上面左右両端から容易に延設することができる。
【0019】
左右の化粧部材は、家具本体の上面左右両端からそれぞれ上方に向けて立設した左右のベース板材と、左右のベース板材の互いに対向する側面にそれぞれ固着され、上下方向に貫通したネジ孔が開けられた第二支持部材と、第二支持部材のネジ孔に螺嵌された第二ネジ式調節棒と、第二ネジ式調節棒の上部に起立状態で連設されたスライド押圧板材を備えており、スライド押圧板材は、その下端面に形成された係合穴に第二ネジ式調節棒の上部が回動自在に係合することで、第二ネジ式調節棒の上部に連設されており、第二ネジ式調節棒を所定方向に回転させてベース板材に対してスライド押圧板材を上下にスライドさせることで、家具本体の上面と天井面との間に形成される空間を側面視から隠すような形状に、左右の化粧部材を調節自在とした壁面家具することもできる。これにより、側面視においても見栄えがよく、且つ、据付けも容易な壁面家具を提供できる。また、スライド押圧板材を上方にスライドさせて、その上端面が据付場所の天井面を押圧している状態に据付け自在であり、耐震性に優れた壁面家具を提供できる。
【0020】
このとき、左右のスライド押圧板材の上端間に、天井板を架設した壁面家具とすることもできる。これにより、扉の上端部と天井面との間の隙間を天井板の前方側端部で隠すことができ、より見栄えの良い壁面家具とすることができる。また、天井板の上面と天井面の間にも隙間が生じうるが、天井板の上面で天井面を押圧するようにスライド押圧板材を上方にスライドさせれば、天井板の上面と天井面の間にも隙間が生じにくいため、より一層見栄えの良い壁面家具とすることができるのである。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、壁面家具の上面(家具本体の上面)と天井面との間の空間を簡単に隠すことができ、生産性や短納期対応およびコスト面で優れ、且つ、この空間を収納空間として有効利用することができ、据付けた際の見栄えも良い壁面家具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図を用いて、本発明の実施形態を例示説明する。図1〜図7は本発明の第一実施形態の壁面家具を説明するための図であり、図8〜図10は同第二実施形態の壁面家具を説明するための図である。また、図11は同第三実施形態の壁面家具を説明するための図であり、図12は同第四実施形態の壁面家具を説明するための図である。一方、図13〜図16は同第五実施形態の壁面家具を説明するための図であり、図17〜図19は同第六実施形態の壁面家具を説明するための図であり、図20は同第七実施形態の壁面家具を説明するための図である。
【0023】
なお、図1、図3〜図5、図7〜図9、図11〜図13、図16、図17及び図20は、各壁面家具を据付場所に据付けた状態を示してあるが、据付場所の形状は、その一部のみ(壁面家具の付近部分のみ)を二点鎖線(図5及び図9では実線)で示してある。また、図3、図8、図11〜図13、図16、図17及び図20においては、向かって右端の扉を開いた状態を示してあり、扉を開閉自在に固定するための蝶番等は省略してある。また、図1のように、複数個の扉が示されている図に関しては、向かって左端の扉のみに符号を付し、他の扉の符号は省略してある。まず、図1〜図7を用いて、第一実施形態について例示説明する。
【0024】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態の壁面家具を示す分解斜視図であり、図2は図1におけるA部の拡大図であり、図3は同壁面家具を示す斜視図である。図4は同壁面家具において化粧部材を備えていない場合の課題の一つを模式的に説明するための斜視図である。また、図5は同壁面家具を示す左側面図であり、図6は図5におけるB部の拡大図であり、図7は同壁面家具の別例を示す斜視図である。なお、図4において、間接照明95から家具本体の上方空間Sに入り込む光と、スリット状の隙間30から外部に漏れる光の方向を、白抜き矢印で模式的に示してある。また、図7は、壁面家具10に薄型大画面テレビ9等を設置した状態を示してある。本実施形態の壁面家具11(10)は、家具本体2(25)と扉3(35)と化粧部材4L,4R(45L,45R)を備えるものである。
【0025】
家具本体2は前面が開口した背高の棚箱であり、図1等に示す例では、前面が全体に亘って開口し、その内部空間は六つに区画されている。また、家具本体2の高さは、室内の天井面81の高さよりも低く、その結果、家具本体2の上面21と天井面81との間には、家具本体の上方空間Sが存在することになる。そして、家具本体2の上面左右両端には、家具本体2の前後方向に沿った、線状溝としてのアリミゾ29L,29Rが形成されている。アリミゾ29L,29Rは、化粧部材4L,4Rの底端面に形成された、線状突起としてのアリ49L,49Rと係合するような大きさである。家具本体2は、図5に示すように、その背面23を据付場所の壁面82に近接した状態で据付けられる。背面23と壁面82の間にできるだけ隙間が生じないように、背面23を壁面82に接触させた状態で家具本体を据付けることが好ましい。
【0026】
扉3は、図3に示すように、家具本体2の前面に、その開口部を覆うように三枚が取り付けられている。三枚の扉3を、横一列に列立すると家具本体2の左右の幅とほぼ等しくなるように、扉3の幅が形成されている。それぞれの扉3は、家具本体2の前面に列立状態で、且つ、開閉自在に取り付けられている。隣り合う扉3どうしの間には、扉3の開閉に支障のない程度の間隔(スリット状の隙間30)を設けている。扉3の取り付けには蝶番等(図示せず)を用いることができる。
【0027】
一方、それぞれの扉3の上端部31は、家具本体2の前面上端201より上方に突出しており、それぞれの扉3の上端部31は、ほぼ一直線上に並んでいる。そして、図6に示すように、据付け後の家具本体2に扉3を取り付けたときに、扉3の上端部31が据付場所の天井面81の近傍に位置するようにそれぞれの扉3が上方に延長形成されており、この状態で、扉3の上端部31と天井面81との間隔は、扉3の開閉に支障のない程度になっている。ここで、扉3の上端部31と天井面81との間隔は、1〜40mmとなるように扉3を上方に延長形成することが好ましい。間隔が1mm以上であると扉3の開閉をスムーズに行うことができる。一方、間隔が40mm以下であると見栄えが良くなる。扉3の上端部31と天井面81との間隔は、より好ましくは2〜30mm、最も好ましくは5〜15mmである。
【0028】
化粧部材4L,4Rは、図1に示すように家具本体2の側板22L,22Rと同じ奥行幅(壁面家具の前後方向に対応する方向の幅)の板材であり、その外側面には、この側板22L,22Rの外側面と同じ化粧が施されている。化粧部材4L,4Rは、家具本体2の上面左右両端(上面21の左右両端)から上方に向けて立設される。図2に示すように、化粧部材4L(4R)の底端面42L(42R)には、化粧部材4L(4R)の前後方向に沿った、線状突起としてのアリ49L(49R)が設けられている。このアリ49L(49R)は、家具本体2の上面21の左端(上面21の右端)に設けたアリミゾ29L(29R)と係合する。具体的には、図1に示すように、アリ49L,49Rがアリミゾ29L,29Rにそれぞれ係合するように家具本体2の前方側から上面側(家具本体2の上方空間S)に化粧部材4L,4Rを滑り込ませる。こうすることで、左右の化粧部材4L,4Rを家具本体2の上面左右両端から立設する。図3に示すように、化粧部材4L,4Rは、家具本体2の上面21と天井面81との間に形成される空間(家具本体2の上方空間S)を左右の側面視から隠すような形状にそれぞれ形成されている。より具体的には、化粧部材4L,4Rは、家具本体2の上面21と、据付場所の壁面82(図6参照)と、据付場所の天井面81と、扉3とで四方が囲まれた、側面視が矩形形状である家具本体2の上方空間Sの、左右それぞれの側面解放端(開口部)の開口面積とほぼ同じ大きさか、それより僅かに小さい大きさの矩形形状である。
【0029】
上記第一実施形態の壁面家具11は、左右の化粧部材4L,4Rの底端面と家具本体2の上面左右両端とに、前後方向に沿ったアリ49L,49R(線状突起)と、このアリ49L,49Rが係合するアリミゾ29L,29R(線状溝)とを割り当てて設けたものであるが、これに限定されず種々の接合方法を用いることができる。例えば、ダボ組、ホゾ組及びビスケット組等の各種継手方法のほか、ネジ止め、両面テープ、接着剤並びにL字金具等を用いることもできる。
【0030】
図7に、上記壁面家具11の別例を示す。この壁面家具10には、逆凹状の家具本体25の中央切欠部250に、移動台91に載置した薄型テレビ9が投入設置されている。本図の壁面家具10において、扉35は、家具本体25の前面上部に、7枚が列立状態で、且つ、開閉自在に取り付けられている。また、逆凹状の家具本体25の上面左右両端からそれぞれ上方に向けて左右の化粧部材45L,45Rが立設されている。
【0031】
これら第一実施形態の壁面家具は、家具本体の上方空間を簡単に隠すことができ、生産性や短納期対応およびコスト面で優れ、且つ、据付けた際の見栄えが良く、この上方空間を収納空間として有効利用することもできるものである。化粧部材4L,4Rがこの上方空間を外部光から遮蔽し、自然光や間接照明95等からの光の影響を受けて、隣り合う扉3の間に設けたスリット状の隙間30から天井面81や収納物品96等が視認されるという、図4に示すような現象も生じにくい。一方、据付場所の天井面81から下方に梁が突出している場合には、下記第二実施形態の壁面家具とすればよい。
【0032】
[第二実施形態]
以下、図8〜図10を用いて、本発明の第二実施形態を例示説明する。図8は第二実施形態の壁面家具を示す斜視図であり、図9は同壁面家具を示す左側面図であり、図10は図9におけるC部の拡大図である。これらの図に示すように、本実施形態の壁面家具12は、化粧部材4L,4Rの上部に、切欠部40L,40Rを備えている点で前記第一実施形態のものと異なる。なお、図8以降の図において、前述した第一実施形態と同様の構成要素のうち主要なものについては同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0033】
本実施形態の壁面家具12は、据付場所の天井面81から梁83が下方に突出している場合に用いられる。すなわち、図10に示すように、壁面家具12を据付けた状態で梁83が収まるような形状の切欠部40L(40R)を化粧部材4L(4R)に設け、切欠部40L(40R)に梁83を納めた状態で壁面家具12を据付けるのである。本実施の形態では、壁面82と天井面81とが交差する隅辺に沿って断面略正方形の梁83が存在しているため、梁83が収まるような略正方形状の切欠部40L(40R)を化粧部材4L(4R)の上部後方に設けている。
【0034】
本実施形態の壁面家具12は、据付場所の天井面81に梁83が存在していても、見栄えよく据付けることが容易である。一方、家具本体の上方空間Sをより有効活用するためには、下記第三実施形態の壁面家具とすればよい。
【0035】
[第三実施形態]
図11は第三実施形態の壁面家具を示す斜視図である。本実施形態の壁面家具13は、左右の化粧部材4L,4Rの間に、棚板51を取付けている点で前記第一実施形態のものと異なる。この壁面家具13は、棚板51を取付けたことにより、家具本体の上方空間Sをより有効に利用等することができるものである。
【0036】
[第四実施形態]
図12は第四実施形態の壁面家具を示す斜視図である。本実施形態の壁面家具14は、左右の化粧部材4L,4Rの上端間に、天板52を架設している点で前記第一実施形態のものと異なる。この壁面家具14は、扉3の上端部31と天井面81との間の隙間を、天板52の前方側端部521である程度隠すことができ、より見栄えの良い壁面家具とすることができる。
【0037】
前述した第一実施形態〜第四実施形態の壁面家具11,12,13,14は、左右の化粧部材4L,4Rの存在によって、地震発生の際、前方に倒れにくく、耐震性が比較的良好である。ここで、より耐震性を向上させる場合には、左右の化粧部材4L,4Rの上端面が天井面81と接触するような形状、長さになるように、化粧部材4L,4Rを形成すればよいが、この場合、化粧部材の取り付け又は壁面家具の据付けが困難になる。また、家具本体の上面と天井面との間に突っ張り棒を設けてもよいが、長尺状の突っ張り棒の使用はコスト面で課題があった。これらの課題を解決するためには、下記第五実施形態の壁面家具とすればよい。
【0038】
[第五実施形態]
図13〜図16を用いて、本発明の第五実施形態を例示説明する。図13は第五実施形態の壁面家具を示す斜視図であり、図14は同壁面家具の化粧部材と押圧耐震部材を示す拡大分解斜視図であり、図15は同壁面家具の化粧部材と押圧耐震部材を示す拡大斜視図である。また、図16は同壁面家具の据付け方法の別例を示す斜視図である。本実施形態の壁面家具15は、左右の化粧部材4L,4Rそれぞれに、据付場所の天井面81を下方から押圧する押圧耐震部材6L,6Rを取付けている点で前記第一実施形態のものと異なる。なお、図14及び図15は、図13における、向かって右側の化粧部材4Rと押圧耐震部材6Rを拡大した図である。以下、向かって右側の化粧部材4Rと押圧耐震部材6Rについて説明するが、左側も同様の構成であり、その説明を省略する。押圧耐震部材6Rは、図14に示すように、第一支持部材61Rと第一ネジ式調節棒62Rと皿状押圧体63Rで構成される。
【0039】
第一支持部材61Rは、図14に示すように、アングル材であり、一方の平面部611にネジ孔610が開けられている。このねじ穴610は第一ネジ式調節棒62Rが螺嵌自在な大きさである。そして、第一支持部材61Rは、ネジ孔610が上下方向に貫通するように、化粧部材4Rの、化粧部材4Lと対向する側面43Rの中央部から後方側に固着されている(図13参照)。
【0040】
第一ネジ式調節棒62Rは、いわゆる六角頭ボルトである。そして、図15に示すように、前述した第一支持部材61Rに開けられたネジ孔に、貫通状態で下方から螺嵌している。この状態の第一ネジ式調節棒62Rの頂部622(図14参照)に、皿状押圧体63Rが連接されている。
【0041】
そして、図15に示すように、第一ネジ式調節棒62Rの下端に位置した六角頭621を、矢印Rの方向に回転させると、第一ネジ式調節棒62Rが、上向き矢印Hの方向に進んで皿状押圧体63Rを上方に押し上げる。そして、図13に示すように、皿状押圧体63Rの上面が天井面81を下方から押圧して、壁面家具15の耐震性を向上させるのである。なお、図16に示すように、皿状押圧体63L,63Rの上面と天井面81との間に、補強板材55を架設状態で挟んでもよい。こうすると、皿状押圧体63L,63Rで天井面81を傷付けにくくなる。
【0042】
[第六実施形態]
さらに、図17〜図19を用いて、本発明の第六実施形態を例示説明する。図17は第六実施形態の壁面家具の斜視図である。また、図18は同壁面家具の化粧部材を示す拡大分解斜視図であり、図19は同壁面家具の化粧部材を示す拡大斜視図である。なお、図18及び図19は、図17における、向かって右側の化粧部材75Rを拡大した図である。以下、向かって右側の化粧部材75Rについて説明するが、左側の化粧部材75Lも同様の構成であり、その説明を省略する。本実施形態の壁面家具16は、図19に示すように、化粧部材75Rが、ベース板材76Rと第二支持部材77Rと第二ネジ式調節棒78Rとスライド押圧板材79Rで構成されている点で前記第一実施形態のものと異なる。
【0043】
ベース板材76Rは、図17に示すように家具本体2の側板22Rと同じ奥行幅の板材であり、その外側面には、この側板22Rの外側面と同じ化粧が施されている。そして、図18に示すように、ベース板材76Rの底端面761には、前後に二つのダボ769が設けられており、このダボ769が、家具本体2の上面右端に設けられた二つのダボ穴(図示せず)にそれぞれ嵌合する。
【0044】
第二支持部材77Rは、図18に示すように、直方体状のブロックであり、上下方向に貫通したネジ孔770が開けられている。このネジ穴770は第二ネジ式調節棒78Rが螺嵌自在な大きさである。そして、第二支持部材77Rは、ネジ孔770が上下方向に貫通するように、ベース板材76Rの、ベース板材76Lと対向する側面762Rの中央部に固着されている(図17参照)。
【0045】
第二ネジ式調節棒78Rは、いわゆる六角頭ボルトである。そして、図19に示すように、前述した第二支持部材77Rに開けられたネジ孔に、貫通状態で下方から螺嵌している。
【0046】
スライド押圧板材79Rは、図18に示すように、ベース板材76Rと同じ奥行幅の板材であり、下端面791の中央部に係合穴790が形成されている。この係合穴790に、第二ネジ式調節棒78Rの上部782が係合して、第二ネジ式調節棒の上部に起立状態で連設される。係合穴790の大きさは、第二ネジ式調節棒78Rの上部782の大きさより大きく、第二ネジ式調節棒78Rは係合穴790に対して回動自在に係合する。
【0047】
これらを、図19に示すように組み上げて、第二ネジ式調節棒78Rの下端に位置した六角頭781を所定方向に回転させると、ベース板材76Rに対してスライド押圧板材79Rが上下にスライドし、これによって、家具本体の上面21と天井面81との間に形成される空間S(図17参照)を側面視から隠すような形状に化粧部材75Rを調節することができる。ベース板材76Rに対してスライド押圧板材79Rを下げた状態としておけば、家具本体に2に化粧部材75Rを容易に取り付けることもできる。
【0048】
また、図19に示すように、第二ネジ式調節棒78Rの下端に位置した六角頭781を、矢印Rの方向に回転させると、第二ネジ式調節棒78Rが、上向き矢印Hの方向に進んでスライド押圧板材79Rを上方に押し上げる。そして、図17に示すように、スライド押圧板材79L,79Rの上端面792が天井面81を下方から押圧して、壁面家具16の耐震性を向上させることもできるのである。
【0049】
[第七実施形態]
最後に、図20を用いて、本発明の第七実施形態を例示説明する。図20は第七実施形態の壁面家具を示す斜視図である。本実施形態の壁面家具17は、左右のスライド押圧板材79L,79Rの上端間に、天井板53を架設した点で、前記第六実施形態のものと異なる。
【0050】
天井板53は、家具本体2の上板26と同じ奥行幅の長尺板材であり、左右のスライド押圧板材79L,79Rの上端間に架設されている。こうすると、スライド押圧板材79L,79Rの上端面で、据付場所の天井面81を傷付けにくくなる。また、扉3の上端部31と天井面81との間の隙間を、天井板53の前方側端部531で隠すことができ、さらに、天井板53の上面が天井面81を押圧することから両者間にも隙間が生じにくいため、据付場所と一体化した、より一層見栄えの良い壁面家具とすることができるのである。
【0051】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本出願の願書に添付された特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第一実施形態の壁面家具を示す分解斜視図である。
【図2】図1におけるA部の拡大図である。
【図3】第一実施形態の壁面家具を示す斜視図である。
【図4】第一実施形態の壁面家具において化粧部材を備えていない場合の課題の一つを模式的に説明するための斜視図である。
【図5】第一実施形態の壁面家具を示す左側面図である。
【図6】図5におけるB部の拡大図である。
【図7】第一実施形態の壁面家具の別例を示す斜視図である。
【図8】第二実施形態の壁面家具を示す斜視図である。
【図9】第二実施形態の壁面家具を示す左側面図である。
【図10】図9におけるC部の拡大図である。
【図11】第三実施形態の壁面家具を示す斜視図である。
【図12】第四実施形態の壁面家具を示す斜視図である。
【図13】第五実施形態の壁面家具を示す斜視図である。
【図14】第五実施形態の壁面家具の化粧部材と押圧耐震部材を示す拡大分解斜視図である。
【図15】第五実施形態の壁面家具の化粧部材と押圧耐震部材を示す拡大斜視図である。
【図16】第五実施形態の壁面家具の据付け方法の別例を示す斜視図である。
【図17】第六実施形態の壁面家具を示す斜視図である。
【図18】第六実施形態の壁面家具の化粧部材を示す拡大分解斜視図である。
【図19】第六実施形態の壁面家具の化粧部材を示す拡大斜視図である。
【図20】第七実施形態の壁面家具を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
10〜17 壁面家具
2,25 家具本体
201 前面上端
21 上面
29L,29R アリミゾ(線状溝)
3,35 扉
30 スリット状の隙間
31 上端部
4L,4R 化粧部材
45L,45R 化粧部材
40L,40R 切欠部
43L,43R 対向する側面
49L,49R アリ(線状突起)
51 棚板
52 天板
53 天井板
6L,6R 押圧耐震部材
61L,61R 第一支持部材
62L,62R 第一ネジ式調節棒
63L,63R 皿状押圧体
75L,75R 化粧部材
76L,76R ベース板材
77L,77R 第二支持部材
78L,78R 第二ネジ式調節棒
79L,79R スライド押圧板材
790 係合穴
81 天井面
82 壁面
83 梁
S 家具本体の上方空間
【出願人】 【識別番号】594185237
【氏名又は名称】株式会社すえ木工
【出願日】 平成18年9月12日(2006.9.12)
【代理人】 【識別番号】100129104
【弁理士】
【氏名又は名称】舩曵 崇章


【公開番号】 特開2008−67769(P2008−67769A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−246921(P2006−246921)