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【発明の名称】 システムキッチン
【発明者】 【氏名】持田 真之

【氏名】勝川 由美子

【氏名】幸松 良昌

【氏名】矢野 裕美

【氏名】佐藤 稔

【要約】 【課題】本発明は、キッチンカウンタのコーナー部に調理スペースを確保しつつ、心理的にこの調理スペースに作業者が来るよう誘導することができ、機器の制御部によってさらに調理中にそこに居続けさせ得るシステムキッチンを提供することを目的とする。

【構成】略直交する第1及び第2の方向にそれぞれ延在する第1の部分と第2の部分とを有する略L字形状に形成されてなるキッチンカウンタと、前記キッチンカウンタに配置される機器と、前記キッチンカウンタのコーナー部の上に設けられるアイレベルキャビネットと、前記アイレベルキャビネットに備えられた前記機器の状態を制御する制御部と、前記第1の部分と前記第2の部分との接続部において、前記キッチンカウンタの天板がせり出した延出部と、を備え、前記キッチンカウンタの前記コーナー部において前記延出部を含むように調理スペースが設けられ、前記延出部に向けて前記アイレベルキャビネットの開口部が位置することを特徴とするシステムキッチンを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直交する第1及び第2の方向にそれぞれ延在する第1の部分と第2の部分とを有する略L字形状に形成されてなるキッチンカウンタと、
前記キッチンカウンタに配置される機器と、
前記キッチンカウンタのコーナー部の上に設けられるアイレベルキャビネットと、
前記アイレベルキャビネットに備えられた前記機器の状態を制御する制御部と、
前記第1の部分と前記第2の部分との接続部において、前記キッチンカウンタの天板がせり出した延出部と、
を備え、
前記キッチンカウンタの前記コーナー部において前記延出部を含むように調理スペースが設けられ、
前記延出部に向けて前記アイレベルキャビネットの開口部が位置することを特徴とするシステムキッチン。
【請求項2】
前記機器がコンロであることを特徴とする請求項1記載のシステムキッチン。
【請求項3】
前記機器の状態を表示する表示部を前記アイレベルキャビネットに備えたことを特徴とする請求項1または2記載のシステムキッチン。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチンに関し、特に、キッチンカウンタのコーナー部に調理スペースを設けたシステムキッチンに関する。
【背景技術】
【0002】
炊事に使用するシステムキッチンに、炊事に用いる備品や道具食材などを収納するためのキャビネットを設けると、スムーズに炊事を行うことができる。このようなキャビネットについてみると、例えば、平面視で略L型のキッチンカウンタのコーナー部の全域を占拠し、シンク方向及びコンロ方向へそれぞれ引き出し式収納をスライド可能な略直方体状のキャビネットが開示されている(特許文献1)。しかし、このキャビネットの場合、キッチンカウンタのコーナー部の全域を占拠するため、調理スペースを確保できないという問題がある。
【0003】
また、平面視で略L型のキッチンカウンタのコーナー部背面側に、平面視で略三角形状のキャビネットを設け、このキャビネットがガイド機構とキャスターとによりコーナー部に向けてスライド可能とされたコーナーキャビネットが開示されている(特許文献2)。しかし、このコーナーキャビネットは、前方にスライドさせた状態においてやはりキッチンカウンタのコーナー部のほぼ全域を占拠してしまうため、調理スペースを確保することができなかった。
【0004】
一方、平面視で略L型のキッチンカウンタのコーナー部背面側に、キッチンカウンタ前縁とほぼ平行に前面が形成された収納キャビネットが開示されている(特許文献3)。しかし、この収納キャビネットの下方のキッチンカウンタ上にはシンクが設けられており、キッチンカウンタのコーナー部を調理スペースとして用いることができなかった。
一方、本願出願人は、L型のキッチンカウンタの上にキャビネットが設けられたシステムキッチンを開示している(例えば、特許文献4)。
【特許文献1】特開昭59−218111号公報
【特許文献2】特開平7−289368号公報
【特許文献3】特許第2676834号公報
【特許文献4】特開昭58−81010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、キッチンカウンタのコーナー部に便利な調理スペースを確保しつつ、心理的にこの調理スペースに作業者が来るよう誘導することができ、キッチンカウンタに備えられた機器の制御部の工夫によってさらに調理中にそこに居続けさせ得るシステムキッチンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
略直交する第1及び第2の方向にそれぞれ延在する第1の部分と第2の部分とを有する略L字形状に形成されてなるキッチンカウンタと、
前記キッチンカウンタに配置される機器と、
前記キッチンカウンタのコーナー部の上に設けられるアイレベルキャビネットと、
前記アイレベルキャビネットに備えられた前記機器の状態を制御する制御部と、
前記第1の部分と前記第2の部分との接続部において、前記キッチンカウンタの天板がせり出した延出部と、
を備え、
前記キッチンカウンタの前記コーナー部において前記延出部を含むように調理スペースが設けられ、
前記延出部に向けて前記アイレベルキャビネットの開口部が位置することを特徴とするシステムキッチンが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キッチンカウンタのコーナー部に調理スペースを確保しつつ、心理的にこの調理スペースに作業者が来るよう誘導することが出き、さらに調理中にそこに居続けさせ得るシステムキッチンを提供でき、産業上のメリットは多大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンの基本構成を例示する模式斜視図である。
また、図2は、図1に示す本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンを例示するための模式平面図である。
【0009】
本具体例のシステムキッチン10は、平面視で略L字状のキッチンカウンタ20を備え、機器としてコンロ55とシンク60とがキッチンカウンタ20上の略同一平面上に設けられている。すなわち、システムキッチン10は、略直交する第1及び第2の方向にそれぞれ延在する第1の部分と第2の部分とを有する略L字形状に形成されてなるキッチンカウンタ20を有する。また、キッチンカウンタ20の下には、フロアキャビネット23や食洗機(食器自動洗浄機)25などが設けられている。これら各部の表面は、例えば、汚れがつきにくい壁材や鏡面仕上げあるいは木目調仕上げの扉材などを採用することにより、手入れや掃除がしやすく美観にも優れる。さらに、ユニバーサルデザインの観点からも工夫がされている。例えば、高齢者や身体障害者が椅子100に座りながら炊事した時に、着座した状態で膝がキッチンカウンタ20の下側に当たらないように「ニー・スペース54」を設け、楽な姿勢で作業を行うこともできる。このニー・スペース54は、キッチンカウンタ20を支える背板27及び、フロアキャビネット23の側板28と食洗機25の側板29とに囲まれた空間として形成されている。
【0010】
なお本実施例で第1の方向はコーナーキャビネット30に相対した作業者から見て右側であり、その方向に延在する第1の部分の端にサブスペース53があり、その横に機器としてシンク60を配置している。このシンク60で用いる水栓61はシンク内のコーナー部寄りである調理スペース50の脇に設けられており、水栓レバーの開閉によって水を出し止めすることができる。一方、第2の方向はコーナーキャビネット30に相対した作業者から見て左側であり、その方向に延在する第2の部分の端にサブスペース88があり、その横に機器としてコンロ55を配置している。
【0011】
また、従来の略L型のシステムキッチンの前面側コーナーは、ほぼ直角すなわち90度であったのに対して、本具体例では、図2に示すようにキッチンカウンタ20のコーナー部に、作業者に向かってせり出したキッチンカウンタ20の天板の延出部21が設けられている。延出部21の前面の両側のコーナー角度は、それぞれ135度程度の角度を有する。尚、このコーナー角度は120度以上であることが望ましい。もし、120度以下であれば、座位作業時に作業者の腕・肘がキッチンカウンタ20のコーナー部と干渉することがあるからである。なお、本実施例はコーナーを角ばらせているが、これをコーナーに向いた方向にへこんだR形状にすれば人がぶつかっても滑らかな面なので使いやすい。
【0012】
このような延出部21を設けることにより、キッチンカウンタ20のコーナー部において作業者との間の空間領域を有効利用でき、後述する調理スペース50を確保することができる。
【0013】
略L字状のキッチンカウンタ20のコーナー部には、その高さにアイレベルすなわち立位あるいは座位の作業者の目の高さ位置を含んでいるアイレベルキャビネット30がその背面をキッチンカウンタ20の背面と連なるように設けられている。つまり、キッチンカウンタ20のコーナー部の上において、キッチンカウンタ20の背面に沿ってアイレベルキャビネット30が設けられている。そして、延出部21の前縁20aとアイレベルキャビネット30の前面との間にできるキッチンカウンタのスペースが調理スペース50となる。この調理スペース50は、コンロ55とシンク60との間に位置し、水洗いした食材を加工したり、コンロで加熱した鍋などの調理用器具などを臨時的に置いたり、料理を食器に盛りつけるなどの一連の作業を行うことができる場所もある。なお、本実施例ではアイレベルキャビネットの底板80の前縁部80aに機器を制御する制御部71と、機器の状態を示す表示部72を備え、コンロ55や水栓61などの制御が出来る。
【0014】
また本実施形態においては、アイレベルキャビネット30の前面上方に、照明82を設けている。この照明82はスポット光がアイレベルキャビネット30の前方に拡がり延出部21を含む調理スペース50を照らすことができるようにされている。調理スペース50を照明手段で照らすことができれば、調理作業がし易くなるばかりではなく、スポットライト的な効果により作業者を心理的にさらに誘導しやすく、また心地よく調理作業ができる。
【0015】
さらに、キッチンカウンタ20とアイレベルキャビネット30との間には隙間が設けられ、この隙間も補助的な調理スペースとして利用することができる。すなわち、キッチンカウンタ20と、アイレベルキャビネット30の底板と、により挟まれた空間が隙間として設けられている。
図3は、アイレベルキャビネット30の平面寸法を例示する模式図である。アイレベルキャビネット30の前面の幅は例えば42cmであり、この前面の両端部における奥行きは24cmであり、奥行きの最大寸法は52cmである。このようなサイズのスペースがあると、後に詳述するように、標準的なサイズのまな板やボウルなどを完全に収納することが可能となる。
【0016】
このアイレベルキャビネット30は、キッチンカウンタ20背面に沿って2つの収納部39が略直角に設けられ、それらの内部には収納抽斗40がスライド引き出し自在にそれぞれ設けられている。なお、図1は、これら収納抽斗40がそれぞれ引き出された状態を表す。これら収納抽斗40は、収納部39の長軸に沿ってそれぞれ独立にスライドする。
【0017】
アイレベルキャビネット30の内部には、キッチンカウンタ20の天板に対して略平行な棚板45が設けられている。この棚板45はアイレベルキャビネット30の底板80と平行に設けられる。立位及び座位の作業者からみて少なくともアイレベル位置にある棚板45の前縁45aを含むコーナー面45bと延出部21の前縁20aとは、略平行となっている。コーナー面45bとは、アイレベルキャビネット30の前面に位置し、キッチンカウンタ20の天板に略垂直な面であり、アイレベルキャビネット30の開口部である。そして、前縁20aの寸法L1よりもコーナー面45bの幅方向寸法L2の方が同じまたは長いものとなっている。
【0018】
本実施形態では、このような構成を取るため、心理的に作業者が調理スペース50に来るよう誘導することができる。人は、平行な面の前に正対すると心が落ち着くという性質を有する。特に、アイレベル位置に平行な面があれば無意識のうちにその平行な面に正対して作業をするようになる。すなわち、アイレベルキャビネット30の前面のコーナー面45bに正対して作業をすることを無意識のうちに望むようになり、作業者がコーナー面45bの前方の調理スペース50で作業をするためにそこに来るよう誘導することができるようになる。また、前縁20aの寸法L1よりもコーナー面45bの幅方向寸法L2の方が長いものとなっているため、アイレベル位置により広い平行な面ができ、さらに効果的に作業者を誘導できることになる。
【0019】
このように、本実施形態によれば、コーナー面45bと延出部21の前縁20aとが略平行となっているので、そこに立つだけでも平行なコーナー面45bと正対することになり、心が落ち着きそこでの作業能率も高くなるという効果を生じる。また、延出部21の前縁20aが直線のため作業者が作業をする際に腹部を当てながら作業ができ、直ぐ前面に調理に用いる備品、道具食材などを収納するためのアイレベルキャビネット30も設けられているので調理スペース50での作業がますます容易となる。このように、心理的にも落ち着き、かつ、作業がし易い調理スペース50に、無意識のうちに作業者が来るようになる。その結果、使い勝手の良さからも作業者を心理的にさらに誘導しやすくなる。
【0020】
さて、調理における作業動作の中心は、まな板やボウルなどを使った調理作業であり、これを中心にシンクを使った作業やコンロを使った作業のために放射状に動くことになる。本実施形態においては、略L字状のキッチンカウンタ20のほぼ中央であるコーナー部に調理スペース50を設け、ここに作業者が来るよう心理的に誘導することができる。そのため、キッチンカウンタ20のほぼ中央であるコーナー部をメイン作業区域(主に作業をする場所)として、放射状にシンクを使った作業やコンロを使った作業ができることになり、一連の作業をも効率的に行えるという効果も生じる。
【0021】
図4は、調理スペースの寸法関係を例示する模式図である。
延出部21の前縁20aとアイレベルキャビネット30の前面との寸法L3(調理スペース50の奥行き寸法)は、調理に用いる中心的な道具であるまな板やボウルが置ける寸法で、かつ、アイレベルキャビネット30まで手が届く寸法である必要がある。ここで、まな板の寸法はその作業性を考慮すると20センチメートルが最小と考えられる。成人女性の腹部から指先までの寸法は短い人で70センチメートル程度であるので、上体を軽く屈めてアイレベルキャビネット30まで手が届くのは図4に示すように65センチメートル程度と考えられる。
【0022】
そのため、延出部21の前縁20aとアイレベルキャビネット30の前面との寸法範囲(調理スペース50の奥行き寸法範囲)は20センチメートル〜65センチメートルとすることが望ましい。さらに、60センチメートルとすれば楽にアイレベルキャビネット30まで手が届くこと、成人女性の肘から指先までの寸法が短い人で30センチメートル程度であることを考慮すると、30センチメートル〜65センチメートルとすることが作業性の面からより望ましい。さらに、成人女性の肘から指先までの寸法が長い人を考慮すると、肘から指先までの寸法が45センチメートル程度であるので、45センチメートル〜65センチメートルとすることがより望ましい。このようにすれば、アイレベルキャビネット30から必要な調理器具や調味料等の備品を取り出す際にも、移動することなく、手を伸ばすだけで取り出せるので、「作業動線」を縮小でき、作業をスムーズにかつ楽に行うことができるので作業者を心理的にさらに誘導しやすくなる。
【0023】
本実施形態によれば、作業者がアイレベルキャビネット30に正対したときに、コーナー面45bの幅方向の両端が前縁20aの両端より外側に出るようにしている。このようにすれば、コーナー面45bの幅方向の片端が外側に出ているときよりも作業者の心を落ち着かせ、作業者を心理的にさらに誘導しやすくなる。
【0024】
図5は、図1に示す本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンの調理スペース50付近の断面を例示するための模式断面図である。
同図に示すように、キッチンカウンタ20の天板とアイレベルキャビネット30の底面との間に隙間31を設けることもできる。ただし、アイレベルキャビネット30の底面が座位の作業者のアイレベル位置よりも下になるようにする。そのようにすれば、アイレベル位置にコーナー面45bを確保することが可能となるので前述の作業者の誘導効果は失われることがない。
【0025】
そして、このような隙間31を設ければ、調理のための作業スペースがさらに広くなり作業もし易くなる、また、調理に使う他の道具や材料を収納することも可能となるので他の場所に移動することなしに多くの作業がメイン作業区域にいながらにしてできることにもなる。特に、調理作業の中心となる道具であるまな板を収納したり、まな板を収納する手段を別途設けるようにすれば、作業能率をさらに向上させることができるので、作業者を心理的にさらに誘導しやすくなる。
【0026】
また図6にアイレベルキャビネット30の底板80の前縁部80aに機器の制御部71及び表示部72を設けた図1のアイレベルキャビネット30の拡大図を示す。ここで立位及び座位の作業者からみて少なくともアイレベル位置にある棚板45の前縁45aを含むコーナー面45bと延出部21の前縁20a、機器の制御部71及び表示部72を設置した底板80の前縁部80aとは、略平行となっている。よって、作業者が延出部21の前縁20a前に正対した時、機器の制御部71及び表示部72は作業者から見て正面に位置し、利き手に関係なく機器の制御部71にあるスイッチを押す時に使いやすく表示部72が見やすい。また、アイレベル位置に平行な面があれば無意識のうちにその平行な面に正対して作業をするようになる為、さらに効果的に作業者をメイン作業区域に誘導できることになる。
【0027】
本実施例では、後で詳細に説明する照明、コンロ、フード、水栓などの機器の電源入切、または火力、風量、水量などの強弱を制御できる制御部71をコーナー面に備える。なお制御部71は機器の入切や強弱を制御するスイッチと機器の使用状況を確認する表示部72からなる。よって、メイン作業区域から離れて操作しなければならない機器を、メイン作業区域にいたままで操作でき、使用者は移動せずに調理を進めることができる。また機器の使用状況を表示部で確認することで、移動量を減らして調理作業を進めることができ作業効率が上がるだけでなく、火加減など確認できるため安心して調理を進められる。
【0028】
図7に図6の制御部71を拡大した図を示す。制御部71の中心に表示部72を備え、それを挟むようにスイッチが配置される。スイッチは左から照明の入切スイッチ71a、水栓の入切スイッチ71b、フードの入切スイッチ71c、フードの強弱スイッチ71dが並び、表示部72を挟んで、コンロの強弱スイッチ71e、コンロの入切スイッチ71f、制御部71の主電源71gという配置となる。なおここで入切スイッチは各電源のオンオフを制御し、強弱スイッチは各制御対象の状態を強めたり弱めたりするスイッチである。
【0029】
キッチンに照明82が取り付けられている場合、照明を制御部71で入切ができると、作業者はメイン作業区域に居たままで移動せずに照明を設定することができる。また移動せずに操作できると、照明をこまめに消すようになり節電効果もある。本実施例ではスイッチ71aのボタンを押すと照明を入切できる。しかし、照明の制御部がメイン作業区域に集約されていないと、照明をつける時、消す時に作業者は照明のスイッチの場所に移動せねばならず作業効率を悪化させる原因となる。本実施例では図示しないが、コンロ55やシンク60を照らす照明が設けられている場合は、制御部に照明の入切を集約することで更に使い勝手が良い。よって本実施例のように照明の制御部をアイレベルキャビネット30の底板80の前縁部80aに設置すると作業の効率化を図れる。
【0030】
また本実施例ではコンロ55の入切、火加減の調整も制御部71のスイッチで可能である。ここでスイッチ71fはコンロの入切ができ、スイッチ71eはコンロの火加減を調整できる。このようなコンロの制御部を使用すれば、一度鍋をコンロ上に置いてしまえば、出汁をとるため昆布を水の入った鍋に入れておき、漬け置きした後で沸騰させる時や、先に作っておいたみそ汁を後で温めなおす時などわざわざコンロ55の前まで行かなくても操作できるため、移動しなくてよい。例えば、スープを作り終えた後に、コーナー部でメインディッシュであるハンバーグを盛り付けている時、メインディッシュの盛り付けが完成する直前にスープの温めなおしをすれば、温かいハンバーグとスープを同時に完成されることが出来る。この時、温め直しをコンロまで行かずに制御部71を操作することで、無駄な移動なしに並行して調理が行え、作業効率が良い。
【0031】
メイン作業区域で主に作業する内容は、まな板やボウルなどを使った調理作業であり、特にまな板での調理は調理スペース50の中でもシンク脇66で作業することが多い。なぜなら、野菜を切る時に野菜から生じた水分をシンクに流したり、包丁で剥いた野菜の皮、切り落とした野菜の茎や根などをシンク内に設置した生ゴミを入れる三角コーナーに入れる場合、シンク脇66にまな板を置くと作業がスムーズだからである。このような場合、コンロを操作する為には作業者が体を回転させるか、移動する必要があるが、本実施例では制御部71があり、手元でコンロを制御できる為、その必要がない。またコンロ55を制御するスイッチ71e、71fは制御部71の中でもコンロ55から離れた右側でありシンク60に近い位置配置しており、シンク脇66にいた時にもすぐにスイッチを押しやすい。
【0032】
例えば、コンロ上の鍋でパスタを茹でながら、まな板でパスタソースを作る為に使うトマトを切っている時、コンロ上の鍋の中の湯が沸騰しても、作業者はコンロ前まで移動したり、回転せずにコンロ55の火加減を調整できるスイッチ71eのボタンを押すことで、使用しているコンロの火加減を変えることが出来る。また、表示部72にどれくらいの火力か、どのコンロが使用しているかが表示されるので、火力の確認をするだけでなく、消し忘れの確認が出来る。調理中、コンロに鍋を置いて火を使っていても、他の作業をし始めると鍋のことを忘れてしまうことがあるが、目の前に表示部72があれば視界に入りやすく、忘れにくい。
【0033】
また表示部72にはコンロで煮込み料理をする時などに設定するコンロのタイマーの残時間を表示する機能を持つ。よって、コンロ前以外で調理をしていてもアイレベルキャビネット30に設けられた表示部72によって、気になる時にすぐ残時間を確認することができるので、作業しやすい。
【0034】
コンロを使用するときには、煙や蒸気が発生する為フードを動かす。本実施例では、フードの入切をスイッチ71c、フードの強弱の設定をスイッチ71dでできるため、調理中に匂いが気になった時にもすぐにフードを動かすことが出来る。また、使用後しばらくフードは付けっぱなしにし、匂いが気にならなくなるまで動かす傾向にあり、フードを止めるという動作は、実際の調理工程を進める中で必要となる動きではない。よって止める為だけにフード前まで移動することは作業効率を下げる原因となるので、メイン作業区域から動かずにフードの操作ができることは効果的である。
【0035】
水栓61の操作も制御部71bで可能である。例えばパスタ用の鍋など大きな鍋ややかんに水を溜めている作業は時間がかかる為、作業者が鍋の前にずっといることは時間の無駄となり、他の作業を始める人が多い。よって他の作業をしている最中に鍋に水が溜まった場合、制御部71bで水栓を止めることができれば、わざわざシンク前まで動く必要がなくなり作業効率が良い。また表示部72に水栓から出た水量を表示する機能を設ければ、どれくらいの水が鍋に溜まったかを確認することができる。本実施例では水栓61を制御するスイッチ71bは制御部71の中でもシンク60から離れた左側であり、シンクから離れた状態でもすぐにスイッチを押しやすい。また水を溜めている時に他の作業を進めている場合、水だけ止めておいて、自分の好きなタイミングで鍋を取りにいけると作業効率が良い。
【0036】
これまで制御部が固定されている実施例について説明してきたが、以下に可動する部分に制御部を設けた例を示す。なお本実施例での可動する部分とは後で詳述するボックス81であるが、アイレベルキャビネット30の収納抽斗41の延出部側でも同様の効果が見られる。このように可動する部分に制御部を設ければ、使用するときには制御部を出し、不使用時は収納するなど意匠性、安全性も高い。
【0037】
キッチンカウンタ20とアイレベルキャビネット30の間に隙間31がある場合、アイレベルキャビネットの底板92に制御部71を前面に備えた箱形状のボックス81を設けた例を図8に示す。またこのボックス81の拡大図を図9に示す。このように横方向に伸びた回転軸66がボックス81の上面に設けられ、アイレベルキャビネットの底板92に設けられた図示しない軸受けに取り付けることで回動可能となる。よって、不使用時にはボックス81の回転軸66を中心に回転することで、アイレベルキャビネットの底板92とボックスの背面がフラットになる機構を持つ。調理部スペース50での調理は主に野菜などを切る作業や、ボウルに入れた食材に調味料を入れて混ぜるといった作業である為、水ハネすることが多い。よってこの制御部71を収納する機構は水ハネを防ぐ隠蔽機構になる。また、制御部を使用しないときには、キャビネット内に収納されるため、意匠性が上がるだけでなく、仮置きスペースとして隙間31を使用でき、空間の有効利用になる
【0038】
このように本発明は、キッチンカウンタのコーナー部に便利な調理スペースを確保しつつ、心理的にこの調理スペースに作業者が来るよう誘導することができ、さらに機器の制御部によってさらに調理中にそこに居続けさせシステムキッチンを提供することができる。調理中、コンロやシンクといった機器を使用する場合、メイン作業区域から外れてしまったり、回転や移動を伴う動作であったりと作業効率を悪くする原因となる。よってメイン作業区域の前のアイレベルキャビネットに制御部を設けるとそのような作業効率を悪化させる原因を取り払うことができる。よって言い換えると延出部があることでコーナー部で効率よく作業でき、更に制御部があることでまわりの機器の使い勝手を向上させるといった効果がある。
【0039】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
本発明のシステムキッチン10は、その一部を台所の壁面に接して設置してもよく、あるいは壁面から離間させて設置してもよい。例えば、アイレベルキャビネット30の背後には台所の壁面があり、そこからシンクを横方向に突出させることにより、シンクの部分を対面式にすることかできる。このような、いわゆる対面型のシステムキッチンも本発明の範囲に包含される。
【0040】
本発明において用いられるキャビネット30やこれらに付設される要素などは図示した収納抽斗、数、方向、形状、サイズ、配置、取手の形状、取り付け面、に限定されず、当業者が適宜変更を加えたものであっても、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜設計変更して採用したものも、本発明の要旨を有する限りにおいて本発明の範囲に包含される。
【0041】
また、システムキッチンのレイアウトに関しても、例示したものに限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜設計変更して採用したものも、本発明の要旨を有する限りにおいて本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンの基本構成を例示する模式斜視図である。
【図2】図1に示す本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンを例示するための模式平面図である。
【図3】棚板の寸法を例示した模式図である。
【図4】上体を軽く屈めてアイレベルキャビネットまで手を伸ばした状態を例示した模式図である。
【図5】図1に示す本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンの調理スペース50付近の断面を例示するための模式断面図である。
【図6】アイレベルキャビネット30の底板80の前縁部80aに機器の制御部71及び表示部72を設けた模式図である。
【図7】図6に示す制御部71及び表示部72の拡大図である。
【図8】アイレベルキャビネット30の底板に制御部を設置した場合を示す模式図である。
【図9】図8に示すボックス81の拡大図である。
【符号の説明】
【0043】
10 システムキッチン、20 キッチンカウンタ、 20a 前縁、 21 延出部、 23 フロアキャビネット、 25 食洗機、 30 アイレベルキャビネット、 31 隙間、 39 収納部、 40 収納抽斗、 45 棚板、 45a 前縁、 45b コーナー面、 50 調理スペース、 53 サブ作業スペース、 54 ニー・スペース、 55 コンロ、 55a 鍋、 60 シンク、66 回転軸、71 制御部、72 表示部、80 底板、80a 底板前縁部、81 ボックス、100 椅子

【出願人】 【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
【出願日】 平成18年8月11日(2006.8.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−43393(P2008−43393A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−219326(P2006−219326)