| 【発明の名称】 |
ブラシ及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】近藤 勝俊
|
| 【要約】 |
【課題】
【構成】ブラシ毛2を植毛した板ブラシ1は、ブラシ毛2が、複数の炭素繊維を束ねた少なくとも一の炭素繊維束4と、炭素繊維束4を構成する各炭素繊維の少なくとも一を互いに接着するナイロン樹脂5と、炭素繊維束4を被覆する銅メッキ被膜6と、炭素繊維束4を被覆するニッケルメッキ被膜7とを備える。板ブラシ1は、炭素繊維束4を束ごと撚る工程と、撚り工程を経た炭素繊維束4にナイロン製糸を巻き付ける工程と、巻付工程を経た複数束の炭素繊維束4の間にナイロン製糸を挟んで熱処理を行う工程と、熱処理工程を経た炭素繊維束4に銅メッキをかける工程と、銅メッキ工程を経た炭素繊維束4にニッケルメッキをかける工程と、ニッケルメッキ工程を経て得られた炭素繊維束4を植毛する工程を経ることによって得られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ブラシ毛をブラシ基板に植毛したブラシにおいて、 前記ブラシ毛が、複数の炭素繊維を束ねた少なくとも一の炭素繊維束と、 当該炭素繊維束を構成する各炭素繊維の少なくとも一を互いに接着するナイロン樹脂と、 当該炭素繊維束を被覆する銅メッキ被膜と、 当該炭素繊維束を被覆するニッケルメッキ被膜と、 を備えたことを特徴とするブラシ。 【請求項2】 更に、前記ブラシ基板が繊維強化セメント板又はチタンアルミ合金板からなることを特徴とする請求項1に記載のブラシ。 【請求項3】 複数の炭素繊維を束ねた炭素繊維束を束ごと撚る撚り工程と、 前記撚り工程を経た炭素繊維束に第一及び第二のナイロン製糸を巻き付ける巻付工程と、 前記巻付工程を経た炭素繊維束を複数束取り出して、それらの間に第三のナイロン製糸を挟んで捻った状態で200℃以上の環境下に晒す熱処理工程と、 前記熱処理工程を経た炭素繊維束に銅メッキをかける銅メッキ工程と、 前記銅メッキ工程を経た炭素繊維束にニッケルメッキをかけるニッケルメッキ工程と、 前記ニッケルメッキ工程を経て得られた炭素繊維束をブラシ基板に植毛する植毛工程と、 を備えたことを特徴とするブラシの製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ブラシ及びその製造方法に関し、更に詳しくは、高温下での使用に好適なブラシ及びその製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、複合加工装置として、パンチプレス加工装置とレーザー加工装置とを複合させた装置が開発されている。パンチプレス加工装置としての複合加工装置は、金属製被加工材に所定の孔を開ける装置であり、レーザー加工装置としての複合加工装置は、レーザーなどの熱エネルギーによって金属製被加工材を所定の形状にカットする装置である。複合加工装置は、支持テーブル上で金属製被加工材を支持し順次移動させ、これによって、絶え間ないパンチプレス加工やレーザー加工を行う。支持テーブル上には、耐熱温度が約200℃のナイロン製の板ブラシ・ロールブラシが取り付けられ、その上を金属製被加工材が移動する。 【0003】 複合加工装置がパンチプレス加工装置として機能する場合、そのパンチプレス部分の温度は、約80℃である。従って、複合加工装置のパンチプレス部分に、ナイロン製の板ブラシ・ロールブラシを取り付けた支持テーブルを用いても、耐熱性の点で特に問題になることは起こらなかった。 【0004】 一方、複合加工装置がレーザー加工装置として機能する場合、そのレーザーが金属製被加工材に当たる付近は、約800〜1500℃程度の高温にある。その付近では火花も飛び散る。従って、ナイロン製の板ブラシ・ロールブラシを支持テーブルに取り付けた状態で、この複合加工装置をレーザー加工装置として使用すると、レーザーや火花が当たる付近のブラシ毛が焦げる、溶ける、磨り減るという問題があった。焦げたり、溶けたりしたブラシ毛は、固まって1本の棒状のものになり、稼働を重ねるにつれて磨り減り具合が増し、板ブラシ・ロールブラシの基板が露出するという問題があった。 【0005】 従来、このような問題があるにもかかわらず、ナイロン樹脂の板ブラシ・ロールブラシを取り付けたままで、複合加工装置によるレーザー加工を行っていた。 その理由は、レーザーや火花が当たる付近のブラシ毛だけが焦げ・溶け・磨り減り、それ以外の部分のブラシ毛は、こうした問題が生じなかったからである。また、レーザー加工後の金属製被加工材の状態は、板ブラシ・ロールブラシのブラシ毛の焦げ具合、溶け具合、磨り減り具合にあまり影響を受けなかったからである。 【0006】 更に、板ブラシ・ロールブラシを取り替えるには、複合加工装置に取り付けられる全ての板ブラシ・ロールブラシ一式のうち悪くなったものだけを取り替えることはできず、全ての板ブラシ・ロールブラシ一式でなければ取り替えができなかった。そのため、まだ充分に使える板ブラシ・ロールブラシも取り替えなければならず、取り替えにかかるコストが非常に高いという問題があった。このことも、ナイロン製の板ブラシ・ロールブラシを使用していた理由である。 【0007】 そこで、特許文献1には、レーザーや火花が当たる付近のブラシ毛が焦げ・溶け・磨り減るという問題を解決すべく、ブラシ毛を耐熱温度が高い炭素繊維によって構成したブラシテーブルを設けた複合加工装置が開示されている。 【0008】 【特許文献1】特開平9−327786号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 しかしながら、従来のナイロン製のブラシ毛を用いた板ブラシ・ロールブラシの基板(図1のブラシ基板3参照)は変更せずに、ブラシ毛だけを耐熱性の高い炭素繊維製のものに変更し、熱加工装置のブラシテーブルに植設したところ、炭素繊維のブラシ毛が切れたり、毛根ごと(ブラシ毛ユニットごと)抜けたりするという問題が生じた。 更に、ブラシ毛だけを炭素繊維製のものに変更しただけでは、ブラシ毛が柔らかすぎて腰がないという問題があった。 また、特許文献1では、炭素繊維からなるブラシをブラシテーブルに植設することについて言及はあるものの、具体的なブラシの構造については何ら開示がなされていない。 【0010】 本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その第一の目的は、複合加工装置をレーザー加工装置として機能させたときに、ブラシ毛が焦げる・溶ける・磨り減ることがない耐熱性を備えたブラシ及びその製造方法を提供することにある。その第二の目的は、ブラシ毛の腰を強くして、ブラシ毛の切れやブラシ毛根の抜けを防止することができるブラシ及びその製造方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0011】 上記課題を解決するために、本発明に係るブラシは、ブラシ毛をブラシ基板に植毛したブラシにおいて、前記ブラシ毛が、複数の炭素繊維を束ねた少なくとも一の炭素繊維束と、当該炭素繊維束を構成する各炭素繊維の少なくとも一を互いに接着するナイロン樹脂と、当該炭素繊維束を被覆する銅メッキ被膜と、当該炭素繊維束を被覆するニッケルメッキ被膜とを備えたことを要旨とするものである。 この場合に、ブラシ基板が繊維強化セメント板又はチタンアルミ合金板からなるものであることが望ましい。 【0012】 上記課題を解決するために、本発明に係るブラシの製造方法は、複数の炭素繊維を束ねた炭素繊維束を束ごと撚る撚り工程と、前記撚り工程を経た炭素繊維束に第一及び第二のナイロン製糸を巻き付ける巻付工程と、前記巻付工程を経た炭素繊維束を複数束取り出して、それらの間に第三のナイロン製糸を挟んで捻った状態で200℃以上の環境下に晒す熱処理工程と、前記熱処理工程を経た炭素繊維束に銅メッキをかける銅メッキ工程と、前記銅メッキ工程を経た炭素繊維束にニッケルメッキをかけるニッケルメッキ工程と、前記ニッケルメッキ工程を経て得られた炭素繊維束をブラシ基板に植毛する植毛工程とを備えたことを要旨とするものである。 【発明の効果】 【0013】 本発明に係るブラシは、ブラシ毛が炭素繊維束と、その炭素繊維束を被覆する銅メッキ被膜及びニッケルメッキ被膜とを備えるため、複合加工装置をレーザー加工装置として機能させたときに、ブラシ毛が焦げる・溶ける・磨り減ることがない耐熱性を備えるという効果がある。このときに、ブラシ基板を繊維強化セメント板又はチタンアルミ合金板とすれば、ブラシ基板の焦げ・溶け・磨り減りを確実に回避できるという効果がある。 本発明に係るブラシは、ナイロン樹脂によって炭素繊維束を構成する各炭素繊維の少なくとも一を互いに接着し、更に、炭素繊維束に銅メッキ被膜及びニッケルメッキ被膜をしたものであるから、ブラシ毛の腰を強くして、ブラシ毛の切れやブラシ毛根の抜けを防止することができるという効果がある。 本発明に係るブラシの製造方法も同様の効果がある。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 以下に、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。 図1(a)は、本発明の第一の実施形態に係る板ブラシ1の外観斜視図であり、同図(b)は、板ブラシ1のブラシ毛2の断面図である。本発明の一実施形態に係る板ブラシ1は、ブラシ毛2をブラシ基板3に植毛したものである。 【0015】 板ブラシ1は、ブラシ毛2が炭素繊維束4と、ナイロン樹脂5と、銅メッキ被膜6と、ニッケルメッキ被膜7とからなる。ブラシ毛2は、所定の長さにカットされ、所定の本数が束線8(図2参照)で束ねられて折り畳まれ、その状態でその折り畳み部分を毛根としてブラシ基板3に植毛される。ブラシ毛2がブラシ基板3に植毛される際の構成は、特に限定されないが、好ましい構成は、次の通りである。すなわち、植毛孔10(図2参照)の直径が5mmの場合には、ブラシ毛2を62〜66mmの長さにカットして、14〜20本束ねたブラシ毛が好ましく、特に64mmの長さにカットして17本束ねたブラシ毛が好ましい。 また、植毛孔10(図2参照)の直径が3.2mmの場合には、ブラシ毛2を58〜62mmの長さにカットして、5〜9本束ねたブラシ毛が好ましく、特に60mmの長さにカットして、7本束ねたブラシ毛が好ましい。 【0016】 炭素繊維束4は、複数の炭素繊維を束ねた少なくとも一の炭素繊維束からなるものである。ここで用いる炭素繊維は、特に限定されるものではなく、市販のものであればよい。炭素繊維束4を構成する炭素繊維の直径及び本数は、特に限定されるものではないが、0.001〜0.030mmの炭素繊維を1000〜6000本束ねた炭素繊維束が好ましく、特に0.007mmの炭素繊維を3000本束ねた炭素繊維束が好ましい。 【0017】 ナイロン樹脂5は、炭素繊維束4を構成する各炭素繊維の少なくとも一を互いに接着するものであればよい。ここで用いるナイロン樹脂5は、特に限定されるものではなく、市販の融着糸を熱により溶かしたもの、及び/又は、6,6−ナイロンを熱により溶かしたものであればよい。ナイロン樹脂5は、炭素繊維束4を構成する各炭素繊維どうしの間に入り込んで各炭素繊維どうしを接着する。ナイロン樹脂5の入り込み具合は、各炭素繊維の表面の少なくとも一部にからむものであればよい。 【0018】 銅メッキ被膜6は、ナイロン樹脂5によって各炭素繊維の少なくとも一が互いに接着された炭素繊維束4を被覆するものである。銅メッキ被膜6の膜厚は、特に限定されるものではない。銅メッキ被膜6の組成は、特に限定されるものではないが、99.5wt%以上のCuと不可避的不純物からなるものが好ましい。 ニッケルメッキ被膜7は、銅メッキ被膜6がなされた炭素繊維束4を被覆するものである。ニッケルメッキ被膜7の膜厚は、特に限定されるものではない。ニッケルメッキ被膜7の組成は、特に限定されるものではないが、約90〜97wt%のNiと約3〜10wt%のPと不可避的不純物(ほとんど無視できる程度)からなるものが好ましい。 【0019】 なお、図1(c)に示すように、炭素繊維束4は、これを構成する各炭素繊維14の表面全体がナイロン樹脂5で被覆され、更に、そのナイロン樹脂5で被覆された表面全体が銅メッキ被膜6で被覆され、更に、その銅メッキ被膜6が被覆された表面全体がニッケルメッキ被膜7で被覆されたものがより好ましい。各炭素繊維の表面にナイロン樹脂、銅メッキ被膜、ニッケルメッキ被膜がなされていない箇所が全くできないからである。また、ブラシ1に適用したときにブラシ毛2の耐熱性やその強度を高めることができるからである。 【0020】 ブラシ基板3の材質は、特に限定されるものではないが、1000〜1500℃の温度に耐えうるものであることが好ましい。また、ブラシ基板3は、ブラシ毛2を束線8(図2参照)で所定数束ねたブラシ毛ユニット9(図2参照)にかかる引っ張りトルクに耐えうる材質及び形状のものであれば、特に、その材質及び形状は限定されない。ブラシ基板3としては、例えば、繊維強化セメント板、ベークライト、鉄板、アルミ板、チタン合金アルミ板からなるものが好ましい。 【0021】 ブラシ基板3の表面には、複数の植毛孔10,10…が規則的又は不規則的に形成されている。この植毛孔10,10…は、ブラシ毛ユニット9を植設するための孔であり、その孔径は特に限定されないが、3〜10mmが好ましい。また、上端11から先端部12までの深さDは特に限定されないが、3〜30mmが好ましい。例えば、植毛孔10,10…を孔径5mmとした場合、上端11から先端部12までの深さDは9mmとすることができる。 【0022】 植毛孔10,10…の上端角部13には、アールが施され、そのアールは、0.3mm〜0.75mmである。その理由は、表1に示したように、アールが0.3mm未満だと、上端11のエッジでブラシ毛2が切れる一方、アールが0.75mmを超えると、ブラシ毛ユニット9のブラシ毛が立たなくなったからである。そこで、アールを上記範囲としている。 【0023】 【表1】
【0024】 また、植毛孔10,10…は、その底部が逆円錐状であり、その先端部12の角度が100°〜120°である。その理由は、表2に示したように、先端部12の角度が90°以下だと、4kgfの引っ張りトルクをかけるとブラシ毛ユニット9がごそっと抜ける一方、120°を超えると、ブラシ毛2が途中で切れてしまい実測できなかったからである。この評価では7kgfに耐えられれば、要求特性は満たすものとした。そこで、先端部12の角度を上記範囲としている。 【0025】 【表2】
【0026】 次に、本発明の第一の実施形態に係る板ブラシ1の製造方法について説明する。 本発明の一実施形態に係る板ブラシ1の製造方法は、撚り工程と、巻付工程と、熱処理工程と、銅メッキ工程と、ニッケルメッキ工程と、植毛工程と、を備える。 (1)撚り工程 複数の炭素繊維を束ねた炭素繊維束を束ごと撚る。例えば、直径0.007mmの炭素繊維を約3000本束ね、その単位長さ1mの間に、ほぼ均等の間隔で180±10回の撚りができるように、その炭素繊維束を撚る。炭素繊維の本数や撚り回数は、特に限定されるものではない。撚り工程を経た炭素繊維束を「炭素繊維束A」とする。 【0027】 (2)巻付工程 炭素繊維束Aに第一及び第二のナイロン製糸を巻き付ける。第一のナイロン製糸として6,6−ナイロン製糸を用いることができ、第二のナイロン製糸として6,6−ナイロン製糸を用いることができるが、これに限定されるものではない。炭素繊維束Aの単位長さ1mの間に、第一及び第二のナイロン製糸(合計2本のナイロン製糸)を、ほぼ均等の間隔で、それぞれ600±10回巻き付ける。巻付工程を経た炭素繊維束を「炭素繊維束B」とする。 (3)熱処理工程 炭素繊維束Bを二束取り出して、それらの間に第三のナイロン製糸を挟み、捻る。第三のナイロン製糸として6,6−ナイロン製糸を用いることができる。そして、その捻った二束からなる炭素繊維束Bを約200℃の雰囲気下に約10秒間置く。これにより、第一〜第三のナイロン製糸(ナイロン樹脂)が溶け出して、炭素繊維束を構成する各炭素繊維を互いに接着する。これにより、炭素繊維束の強度が高められ、炭素繊維束に腰が出る。熱処理工程を経た炭素繊維束を「炭素繊維束C」とする。 【0028】 (4)銅メッキ工程 図3を参照して炭素繊維束Cに銅メッキをかける手順について説明する。なお、炭素繊維束Cに対して行う各処理は、液透過性の巻き筒にソフト巻き(メッキ液が入り込みやすい程度の巻き方をいう。以下同じ。)にした炭素繊維束Cを各処理槽に浸漬、又は、これに各処理液を噴射することによって行う。 (銅メッキ工程の前処理) 前処理として図3に示す(i)〜(vi)の処理を行う。同図(i)の脱脂処理においては、炭素繊維束Cの表面の残存油脂を除去する。そして、同図(ii)の水洗処理を行う。 同図(iii)の触媒付与処理においては、炭素繊維束CをPdとSnのコロイド溶液に浸漬し、PdとSnを炭素繊維束Cの表面に吸着させる。そして、同図(iv)の水洗処理を行う。 同図(v)のアクセレーター処理においては、吸着させたPd及びSnのうち、Snを溶かし、Pdのみを吸着させた状態とする。そして、同図(vi)の水洗処理を行う。 【0029】 (銅メッキ工程の本処理) 以上が終わると、本処理として図3に示す(vii-1)の銅メッキ処理を行う(無電解銅メッキ)。本処理の手順は次の通りである。 (A)銅メッキ液の調整 銅メッキ液を以下の(a)〜(f)の手順に従って調整する。 (a)硫酸銅3グラムを水300ccに溶かす(A液)。 (b)酒石酸カリウムナトリウム30グラムを水300ccに溶かす(B液)。 (c)A液とB液とを混合する(C液) (d)カセイソーダ10グラムを水100ccに溶かしたものと、安定剤(例えば、チオ尿素)0.1グラムを水100ccに溶かしたものとを混合する(D液)。 (e)C液と、D液とを混合する(E液)。 (f)ホルムアルデヒド(還元剤)10グラムをE液に溶かし、水を加えて、全体で1リットルとする(F液:銅メッキ液)。 (B)銅メッキ液(F液)に浸漬 次に、(A)の前処理が済んだ炭素繊維Cを30℃のF液に30分間浸漬する。すると、炭素繊維Cの表面に純Cu(純度95wt%以上)が析出し、銅メッキが完了する。銅メッキ工程を経た炭素繊維束を「炭素繊維束D」とする。 【0030】 (5)ニッケルメッキ工程 図3を参照して炭素繊維束Dにニッケルメッキをかける手順について説明する。なお、炭素繊維束Dに対して行う各処理は、液透過性の巻き筒にソフト巻きにした炭素繊維束Dを各処理槽に浸漬、又は、これに各処理液を噴射することによって行う。 【0031】 (ニッケルメッキ工程の前処理) 前処理として図3に示す(viii)の処理及び(iii)〜(vi)の処理を行う。まず、銅メッキ後であるため同図(viii)の水洗処理を行う。 同図(iii)の触媒付与処理においては、炭素繊維束DをPdとSnのコロイド溶液に浸漬し、PdとSnを炭素繊維束Dの表面に吸着させる。そして、同図(iv)の水洗処理を行う。 同図(v)のアクセレーター処理においては、吸着させたPd及びSnのうち、Snを溶かし、Pdのみを吸着させた状態とする。そして、同図(vi)の水洗処理を行う。 【0032】 (ニッケルメッキ工程の本処理) 以上が終わると、本処理として図3に示す(vii-2)のニッケルメッキ処理を行う(無電解ニッケルメッキ)。本処理の手順は次の通りである。 (A)ニッケルメッキ液の調整 ニッケルメッキ液を以下の(a)〜(f)の手順に従って調整する。 (a)硫酸ニッケル20グラムを水300ccに溶かす(a液)。 (b)クエン酸ナトリウム40グラムを水300ccに溶かす(b液)。 (c)a液とb液とを混合する(c液) (d)c液にアンモニアを入れてpHを9にあわせる(d液)。 (e)d液に次亜リン酸ソーダ15グラムを溶かす(e液)。 (f)e液に水を加えて全体で1リットルとする(f液:ニッケルメッキ液)。 (B)ニッケルメッキ液(f液)に浸漬 次に、(A)の前処理が済んだ炭素繊維Dを30℃のf液に30分浸漬する。すると、炭素繊維Dの表面にNiとPの合金(Niが95wt%、Pが5wt%)が析出し、ニッケルメッキが完了する。ニッケルメッキ工程を経た炭素繊維束を「炭素繊維束E」とする。 【0033】 (6)植毛工程 ブラシ毛2を植毛する。植毛は、植毛作業を自動的に行う自動植毛機を用いて次の工程で行う。 まず、ブラシ毛2(炭素繊維束E)を、数十本単位で、針金状の束線8によって束ね、ブラシ毛ユニット9とし、ブラシ基板3の植毛孔10,10…へ植設する。すなわち、ブラシ毛2(炭素繊維束E)の植設は、図2に示したように、(a)植毛孔10,10…の上に所定の長さにカットしたブラシ毛2の束を所定の本数載置する、(b)ブラシ毛2の束をU字状に折り曲げられた束線8によって一つに束ね、束線8を少なくとも一回交差させるか又は捻りを施すかすることにより、ブラシ毛2を確実に一つに束ねた状態、すなわち、ブラシ毛ユニット9とする、(c)ブラシ毛ユニット9をその毛根からブラシ基板3に埋設する、という工程によって行う。これによって、板ブラシ1ができあがる。 【0034】 次に、本発明の第二の実施形態に係るブラシについて説明する。 図4は、本発明の第二の実施形態に係るロールブラシ21の外観斜視図、図5は、その植毛工程を示した図である。これらの図において、本発明の一実施形態に係るロールブラシ21は、ブラシ毛22を所定の長さにカットして束ねて折り畳んだブラシ毛ユニット23を、金属製の一枚の板を中空の三角柱状に折り曲げた形状をしたブラシ毛保持具24によって狭持させ、これをかしめたものをブラシ毛22が放射状に立つ状態で、内径シャフト25に螺旋状に巻き付けたものである。 【0035】 ブラシ毛22がブラシ毛保持具24に保持される際の構成は、特に限定されないが、好ましい構成は、次の通りである。すなわち、ブラシ毛22を58〜62mmの長さにカットして17〜25本束ねたブラシ毛が好ましく、特に、60mmの長さにカットして21本束ねたブラシ毛が好ましい。 【0036】 ブラシ毛保持具24は、その底側角部26には、アールが施され、そのアールは特に限定されないが、1.0〜1.5mmが好ましい。その理由は、表3に示したように、アールが1.0mm未満の場合、及び、アールが1.5mmを超えた場合のいずれもブラシ毛が抜けたからである。そこで、アールを上記範囲としている。 【0037】 【表3】
【0038】 また、ブラシ毛保持具24の開口部27の開口幅は特に限定されないが、3.0〜4.3mmが好ましい。その理由は、表4に示したように、開口幅が3.0mm未満の場合、及び、開口幅が4.3mmを超えた場合のいずれもブラシ毛が切れたからである。そこで、開口幅を上記範囲としている。 【0039】 【表4】
【0040】 更に、ブラシ毛を束ねる束線28は、その材質は特に限定されないが、SUS304が好ましい。また、束線28の直径は特に限定されないが、1.05〜1.35mmが好ましく、特に1.2mmが好ましい。その理由は、表5に示したように、直径が1.0mm以下の場合、及び、直径が1.4mmを超えた場合のいずれもブラシ毛が切れたり抜けたりしたからである。そこで、束線28の直径を上記範囲としている。 【0041】 【表5】
【0042】 また、内径シャフト25は、ステンレスからなり、その内径は特に限定されないが5〜20mmが好ましく、特にブラシ種類に応じて10mm、13mm、17mmが好ましい。また、ブラシ毛22の長さ(ブラシ毛保持具24から外に出ている長さ)は、特に限定されないが5〜20mmが好ましく、特に8〜11mmが好ましい。 【0043】 次に、本発明の第二の実施形態に係るロールブラシ21の製造方法について説明する。本発明の一実施形態に係るロールブラシ21の製造方法は、撚り工程と、巻付工程と、熱処理工程と、銅メッキ工程と、ニッケルメッキ工程と、植毛工程とを備える。なお、植毛工程以外は、板ブラシ1と同じ製造工程であるため、その説明を省略し、植毛工程について説明する。 (1)植毛工程 ブラシ毛22を植毛する。植毛は、植毛作業を自動的に行う自動植毛機を用いて次の工程で行う。 ブラシ毛22(炭素繊維束E)を、針金状の束線28によって所定の本数分束ね、ブラシ毛ユニット23とし、ブラシ毛保持具24によって狭持させる。すなわち、ブラシ毛22(炭素繊維束E)の植設は、図5に示したように、(a)ブラシ毛保持具24の上に所定の長さにカットしたブラシ毛22の束を所定の本数セットする、(b)ブラシ毛22の束をU字状に折り曲げられた束線28によって一つに束ね、束線28を少なくとも一回交差させるか又は捻りを施すかすることにより、ブラシ毛22を確実に一つに束ねた状態、すなわち、ブラシ毛ユニット23とする、(c)ブラシ毛ユニット23をその毛根を収容した状態でブラシ毛保持具24に狭持させ、ブラシ毛保持具24をかしめる、(d)ブラシ毛保持具24を、ブラシ毛22が放射状に立つ状態で、内径シャフト25に螺旋状に巻き付ける、という工程によって行う。これによって、ロールブラシ21ができあがる。 【0044】 本発明の一実施形態に係る板ブラシ1及びロールブラシ21の作用について説明する。板ブラシ1及びロールブラシ21を複合加工装置にセットして金属製被加工材にレーザー加工を行うと、金属製被加工材に当たる付近が約800〜1500℃程度の高温になり、火花が飛び散るが、レーザーや火花が当たる付近のブラシ毛2,22の溶け・焦げ・磨り減りは生じない。また、ブラシ毛2,22の材質に併せて上端角部13や底側角部26にアールを施したため、ブラシ毛の切れや抜けが防止される。 【実施例】 【0045】 表6に示した材料を用いて実施例及び比較例について供試材としての板ブラシ及びブラシ基板を作製又は準備し、同表に示す方法・条件で耐熱テストを行った。耐熱テストは、(1)高温で鉄板板(厚さ3.2mm)を溶断し、その溶断後の鉄板板をブラシ毛にこすりつけ、その後のブラシ毛の状態を目視によって観察することにより、又は、(2)直接バーナーでブラシ毛(又はブラシ基板)を照射し、その後のブラシ毛(又はブラシ基板)の状態を目視によって観察することにより行った。 【0046】 【表6】
【0047】 このことから、ブラシ毛として炭素繊維束Eを用いた実施例の板ブラシでは耐熱テストの前後を通じてブラシ毛に変化はみられず、良好な耐熱性を示すことが確認された。一方、ブラシ毛としてPPSを用いた比較例の板ブラシでは溶断された鉄板をこすりつけると溶けたことが確認された。 また、ブラシ基板として繊維強化セメント板に超耐熱塗料を塗布したものや、Ti−Al合金板が好適であることが確認された。もっとも、実施例1〜6でブラシ基板の材質として用いた繊維強化セメント板に超耐熱塗料を塗布したものは、直接バーナーの火を照射すると、比較例2で示したように溶けるため、直接火が照射されるような使い方は回避する必要がある。 【0048】 以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。 【産業上の利用可能性】 【0049】 本発明に係るブラシは、1500℃の温度に曝される環境下での使用に耐え、熱エネルギーを使用する熱加工装置に用いて好適であり、例えば金属製被加工材を所定の形状に切断加工するレーザー加工装置や、金属製被加工材を所定の形状に切断加工するとともに、孔開け加工を行う複合加工装置(レーザー加工装置とパンチング加工装置とを複合させた装置)に用いることができる。本発明に係るブラシの製造方法は、1500℃の温度に曝される環境下での使用に耐えるブラシを製造するのに適している。 更に、本発明に係るブラシは、高温下での使用に限らず、パンチング加工装置や、洗車用、掃除用、頭髪用ブラシ等、あらゆるブラシの用途に適用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0050】 【図1】同図(a)が本発明の一実施形態に係るブラシ板1の外観斜視図、同図(b)がブラシ毛2の断面図,同図(c)が他の実施形態に係る炭素繊維束4の断面図である。 【図2】ブラシ毛2の植毛部分をその植毛工程を含めて概念的に示した工程図である。 【図3】本発明の一実施形態に係るメッキ工程を示した図である。 【図4】本発明の第二の実施形態に係るロールブラシ21の外観斜視図である。 【図5】ブラシ毛22の植毛部分をその植毛工程を含めて概念的に示した工程図である。 【符号の説明】 【0051】 1 板ブラシ 2、22 ブラシ毛 3 ブラシ基板 4 炭素繊維束 14 炭素繊維 5 ナイロン樹脂 6 銅メッキ被膜 7 ニッケルメッキ被膜 8、28 束線 9、23 ブラシ毛ユニット 10 植毛孔 11 上端 12 先端部 13 上端角部 21 ロールブラシ 24 ブラシ毛保持具 25 内径シャフト 26 底側角部 27 開口部
|
| 【出願人】 |
【識別番号】306030921 【氏名又は名称】米津ブラシ株式会社
|
| 【出願日】 |
平成18年8月7日(2006.8.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100123537 【弁理士】 【氏名又は名称】小林 かおる
【識別番号】100110227 【弁理士】 【氏名又は名称】畠山 文夫
|
| 【公開番号】 |
特開2008−36106(P2008−36106A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月21日(2008.2.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−214073(P2006−214073) |
|