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【発明の名称】 毛髪処理器具
【発明者】 【氏名】大塚 和俊

【氏名】小林 英男

【氏名】東城 武彦

【要約】 【課題】毛髪保持具と毛髪挿入具とを備え、毛髪挿入具による毛髪束の毛髪保持具への挿入操作を正しく行え、設計通りの毛髪束の巻き上げ状態が得られる毛髪処理器具を提供すること。

【構成】本発明の毛髪処理器具1は、2枚の帯状のシート23A,23Bの両側縁部24,24同士が一対のシール部3A,3Aにより接合され、一端部の開口部21から他端部の開口部22に向けて、毛髪束を挿入可能に形成された筒状体2と、該筒状体2の巻き上げ用の巻き上げ用糸7とを有しており、筒状体2には、巻き上げ用糸7を挿通案内する複数個の挿通孔部6A,6Bが筒状体2の両側部に一対のシール部3A,3Aから隙間Sをあけて設けられている毛髪保持具1Aと、所定の幅Wを有し、毛髪保持具1Aの内部に毛髪束を挿入する長尺状の毛髪挿入具1Bを備えており、隙間Sには、毛髪挿入具1Bの挿入を阻止する補助シール部3Bを設けてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の帯状のシートの両側縁部同士が一対のシール部により接合され、一端部の開口部から他端部の開口部に向けて、毛髪束を挿入可能に形成された筒状体と、該筒状体の巻き上げ用の巻き上げ用糸とを有しており、該筒状体には、該巻き上げ用糸を挿通案内する複数個の挿通孔部が、該筒状体の両側部に一対の前記シール部から隙間をあけて設けられている毛髪保持具と、所定の幅を有し、前記毛髪保持具の内部に毛髪束を挿入する長尺状の毛髪挿入具とを備えた毛髪処理器具において、
前記隙間には、前記毛髪挿入具の挿入を阻止する補助シール部を設けてある毛髪処理器具。
【請求項2】
前記補助シール部は、一対の前記シール部から、前記一端部の開口部から前記他端部の開口部に向う方向に且つ前記挿通孔部に向って延びている請求項1記載の毛髪処理器具。
【請求項3】
前記補助シール部は、一対の前記シール部から、前記他端部の開口部から前記一端部の開口部に向う方向に且つ前記挿通孔部に向って延びている請求項1記載の毛髪処理器具。
【請求項4】
前記毛髪挿入具は、毛髪束を係止し得る係止部と、所定の幅を有する長尺状の挿入具本体とを有しており、該係止部は該挿入具本体の一端に設けられている請求項1〜3の何れかに記載の毛髪処理器具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、パーマ等により毛髪にカールを付与する場合に、毛髪束を所定の形状に巻き上げるときの補助具として用いられる毛髪処理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、本出願人による「2枚の帯状のシートの両側縁部同士が一対のシール部により接合され、一端部の開口部から他端部の開口部に向けて毛髪束を挿通可能に形成された筒状体と、該筒状体の巻き上げ用の巻き上げ用糸とを備え、前記巻き上げ用糸は、その一端が前記筒状体の前記他端部近傍に止着され、その他端側を引っ張ることにより該筒状体が巻き上がるようになされており、前記筒状体が巻き上げられた後において該筒状体から引き出されている前記巻き上げ用糸の長さを処理する糸処理機構を備えており、該糸処理機構により、該筒状体から引き出されている該巻き上げ用糸の実質的な延出長さが、該筒状体から引き出されている該巻き上げ用糸の伸長長さよりも短くなるようになっている毛髪保持具」が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の毛髪保持具において、筒状体には、巻き上げ用糸を挿通案内する複数個の挿通孔部が、該筒状体の両側部に一対のシール部から所定幅の隙間をあけて設けられている。該隙間をあけて、挿通孔部を筒状体に設けることにより、毛髪束に大きなカールを形成することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−334628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の毛髪保持具は、その使用に際して、所定の幅を有し、毛髪保持具の内部に毛髪束を挿入する長尺状の毛髪挿入具が用いられる。そして、毛髪束を毛髪保持具に挿入する際には、図12(a)に示すように、毛髪挿入具を、挿通孔部とシール部との間の隙間に挿入してしまう結果、毛髪束も、図12(b)に示すように、該隙間に挿入されて、図12(c)に示すように、設計したとおりの毛髪束の巻き上げ状態が得られない場合があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、毛髪保持具と毛髪挿入具とを備えた毛髪処理器具であって、毛髪挿入具による毛髪束の毛髪保持具への挿入操作を正しく行えて、設計通りの毛髪束の巻き上げ状態が得られる毛髪処理器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、2枚の帯状のシートの両側縁部同士が一対のシール部により接合され、一端部の開口部から他端部の開口部に向けて、毛髪束を挿入可能に形成された筒状体と、該筒状体の巻き上げ用の巻き上げ用糸とを有しており、該筒状体には、該巻き上げ用糸を挿通案内する複数個の挿通孔部が、該筒状体の両側部に一対の前記シール部から隙間をあけて設けられている毛髪保持具と、所定の幅を有し、前記毛髪保持具の内部に毛髪束を挿入する長尺状の毛髪挿入具とを備えた毛髪処理器具において、前記隙間には、前記毛髪挿入具の挿入を阻止する補助シール部を設けてある毛髪処理器具を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の毛髪保持具と毛髪挿入具とを備えた毛髪処理器具によれば、毛髪挿入具による毛髪束の毛髪保持具への挿入操作を正しく行えて、設計通りの毛髪束の巻き上げ状態が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の毛髪処理器具を、その好ましい一実施形態に基づいて、図面を参照しながら説明する。
【0010】
本実施形態の毛髪処理器具1は、図1〜10に示すように、2枚の帯状のシート23A,23Bの両側縁部24,24同士が一対のシール部3A,3Aにより接合され、一端部の開口部21から他端部の開口部22に向けて、毛髪束を挿入可能に形成された筒状体2と、該筒状体2の巻き上げ用の巻き上げ用糸7とを有しており、該筒状体2には、該巻き上げ用糸7を挿通案内する複数個の挿通孔部6A,6Bが、該筒状体2の両側部に一対のシール部3A,3Aから隙間Sをあけて設けられている毛髪保持具1Aと、所定の幅Wを有し、毛髪保持具1Aの内部に毛髪束を挿入する長尺状の毛髪挿入具1Bを備えている。
また、本実施形態の毛髪処理器具1において、隙間Sには、毛髪挿入具1Bの挿入を阻止する補助シール部3Bを設けてある。
【0011】
本実施形態の毛髪処理器具1について、更に説明すると、毛髪挿入具1Bは、図2に示すように、毛髪保持具1A内に挿入された状態で使用される。毛髪挿入具1Bは、毛髪束を係止し得る係止部92と、所定の幅を有する長尺状の挿入具本体91とを有しており、該係止部92は該挿入具本体91の一端に設けられている。毛髪処理器具1の使用前に、毛髪挿入具1Bは予め毛髪保持具1Aに取り付けられていても良いし、或いは毛髪保持具1Aを使用するときに毛髪挿入具1Bを毛髪保持具1Aに取り付けても良い。
【0012】
毛髪挿入具1Bは、図1に示すように、挿入具本体91が、細長板状に形成されており、その他端部は先細形状を有しており、毛髪保持具1Aの一端部の開口部21に挿入し易くなっている。挿入具本体91は、硬質の合成樹脂シート等から形成されることが好ましい。
また、挿入具本体91の一端部には係止部92が設けられている。係止部92は、縦長の輪状に形成されており、この輪の中に毛髪束が挿通し係止される。本実施形態において、毛髪挿入具1Bの幅Wは、その自然状態において、該毛髪挿入具1Bの最も広い部位の幅である。尚、毛髪挿入具1Bの自然状態は、毛髪挿入具1Bに重力以下の外力が実質的に働いていない状態である。
【0013】
次に、本実施形態の毛髪保持具1Aについて更に詳述する。
毛髪保持具1Aは、図1に示すように、縦長であり、筒状体2が主体となって形成されている。
筒状体2は、一方の面を形成する一面シート23A及び他方の面を形成する他面シート23Bからなる。一面シート23A及び他面シート23Bは、帯状のシートであり、その両側端部24A,24B同士が接合されて、一端部の開口部21及び他端部の開口部22を有する筒状体2が形成されている。一端部の開口部21は、毛髪取り込み口となる開口部である。毛髪保持具1Aは、その一端部の開口部21を有する一端部25側を上方にし、他端部の開口部22を有する他端部26側を下方に位置させて用いることが好ましい。
筒状体2の大きさは、毛髪の長さ、くせ付けしたい場所、挿入する毛髪束の量等に応じて適宜設定されるが、好ましくは長さが50〜350mm、幅が20〜100mmである。
【0014】
本実施形態の毛髪保持具1Aにおける筒状体2について、更に説明すると、筒状体2を形成するシート23A,23Bとしては、各種可撓性材料が用いられる。このような可撓性材料としては、メッシュシート、不織布、織布、多孔性若しくは非多孔性の樹脂フィルム、紙又はこれらの複合体等が挙げられる。本実施形態におけるシート23A,23Bは、径が40〜60μmのポリエステルを平織したメッシュシートからなる。
【0015】
筒状体2を形成するシート23A,23Bは、具体的用途に則して材料が選択される。例えば、筒状体2内に挿入された毛髪束に対して筒状体2の外部から毛髪処理剤を施したいときには、該毛髪処理剤に対して透過性を有する材料を用いればよい。筒状体2内に挿入された毛髪束のみに毛髪処理剤を施したいときには、該毛髪処理剤に対して非透過性を有する材料を用いればよい。
【0016】
筒状体2を形成するシート23A,23Bの厚みは、特に限定されないが、好ましくは5〜500μmである。筒状体2を形成するシート23A,23Bの厚み及びテーバーこわさは、シート全体で均一の方が好ましい。尚、前記「テーバーこわさ」は、JIS P8125に規定される「こわさ試験方法」により測定される腰の強さ(剛性)の指標である。
【0017】
筒状体2の側端部24A,24Bには、図1に示すように、直線状に一対のシール部3A,3Aが形成されており、これにより一面シート23Aと他面シート23Bとが一体的に接合されている。
一対のシール部3A,3Aそれぞれの幅は、シート23A,23Bの幅に対して、1〜20%、特に5〜15%であることが、一面シート23Aと他面シート23Bとの接合強度を確保する観点から好ましい。
【0018】
一面シート23Aと他面シート23Bとの接合には、ヒートシール、インパルスシール、超音波シール、接着剤、粘着テープ、縫製等が用いられ、本実施形態においては、ヒートシールが用いられている。
【0019】
また、筒状体2には、巻き上げ用糸7を挿通案内する挿通孔部6A,6Bが、該筒状体2の両側部に一対のシール部3A,3Aから隙間Sをあけて設けられている。このように、挿通孔部6A,6Bとシール部3Aとの間に所定幅の隙間Sを設けることは、毛髪束に大きく良好なカールを形成する上で好ましい。この隙間Sを、筒状体2の幅方向に測定した長さL1(図1参照)は、シート23A,23Bの幅に対して、1〜30%、特に5〜20%の寸法を有していることが、前述した観点から好ましい。
【0020】
次に、毛髪保持具1Aの補助シール部3Bについて、更に説明する。
補助シール部3Bは、各挿通孔部6A,6Bに対応して設けられている。補助シール部3Bは、一対のシール部3A,3Aから、一端部の開口部21から他端部の開口部22に向う方向に且つ挿通孔部6A,6Bに向って延びている部分31を有している。一端部の開口部21から他端部の開口部22に向う方向は、毛髪挿入具1Bを毛髪保持具1Aへ挿入する方向と一致している。
【0021】
また、補助シール部3Bは、一対のシール部3A,3Aから、他端部の開口部22から一端部の開口部21に向う方向に且つ挿通孔部6A,6Bに向って延びている部分32を有している。
このように、筒状体2は、挿通孔部6A,6Bとシール部3Aとの間の隙間Sに、補助シール部3Bが設けられており、隙間Sにおける2枚のシート23A,23B同士が接合されていない部分の幅が、挿入具本体91の幅Wよりも狭くなっており、隙間Sへの毛髪挿入具1Bの挿入が阻止される。
【0022】
本実施形態において、前記部分31、32それぞれは、図1に示すように、所定の幅を有し、帯状に形成されていて、一対のシール部3A,3Aそれぞれから挿通孔部6A,6Bに向って、略直線状に延びている。該部分31と該部分32とは、延びている向きが異なるものの、それ以外は同様に形成されている。
【0023】
前記部分31と前記部分32それぞれの端部同士は、挿通孔部6A,6Bの近傍で接合している。また、補助シール部3Bとシール部3Aとに囲まれている筒状体2の部分において、一面シート23Aと他面シート23Bとは接合されていないことが好ましい。このような構成にすることにより、筒状体2の柔軟性が確保されて、その巻き上げ状態が良好に形成される。
【0024】
補助シール部3Bと、該補助シール部3Bに対応する(最近接している)挿通孔部6A,6Bとの間の長さは、毛髪挿入具の幅Wに対して、60%以下、特に30%以下であることが、毛髪挿入具1Bが挿通孔部6A,6Bとシール部3Aとの間に誤って挿入することを防止する上で好ましい。
ここで、補助シール部3Bと該補助シール部3Bに最近接する挿通孔部6A,6Bとの間の長さとは、該補助シール部3Bと挿通孔部6A,6Bとの間の最短距離をいう。
【0025】
特に、補助シール部3Bは、挿通孔部6A,6Bが該補助シール部3Bの内部に含まれるか又は該補助シール部3Bと部分的に交わるように形成されることが好ましい。このような構成にすることで、挿通孔部6A,6Bと、シール部3Aとの間が隙間なく補助シール部3Bにより接合されるので、毛髪挿入具1Bが挿通孔部6A,6Bとシール部3Aとの間に誤って挿入されることが確実に防止される。
【0026】
前記部分31、32それぞれの幅は、1〜20mm、特に3〜10mmであることが、挿通孔部6A,6Bとシール部3Aとの間を確実に接合しつつ、筒状体2の柔軟性を確保する上で好ましい。
また、該部分31が、筒状体2の側縁部24A,24Bとなす内角の大きさは、10〜60度、特に20〜45度であることが、毛髪挿入具1Bが補助シール部3Bに引っかかることなく、スムーズに毛髪保持具1Aに挿入される上で好ましい。
更に、前記部分32が、筒状体2の側縁部24A,24Bとなす内角の大きさは、10〜60度、特に20〜45度であることが、詳しくは後述するが、毛髪保持具1A内に挿入された毛髪束が部分的に乱れることなく保持される上で好ましい。
【0027】
次に、毛髪保持具1Aに設けられている挿通孔部6A,6B及び巻き上げ用糸7について、以下に更に説明する。
筒状体2を形成する一面シート23A及び他面シート23Bには、図1に示すように、それぞれ、筒状体2の巻き上げ用の巻き上げ用糸7を挿通案内する複数個の挿通孔部6A,6Bが設けられている。巻き上げ用糸7は、その一端71が筒状体2の他端部の開口部22近傍に係止されており、挿通孔部6A,6Bに順次挿通案内されて筒状体2の外周面にスパイラル状に巻き付けられている。
【0028】
巻き上げ用糸7は、筒状体2内に挿入されている毛髪束を、筒状体2ごと巻き上げる手段として用いられる。本発明において巻き上げとは、毛髪束に所定のくせ付けをすること全般を意味し、本来の巻き上げ(スパイラル状の巻き上げ)に加えて例えば湾曲や屈曲も包含される。
【0029】
巻き上げ用糸7は、これを引っ張って毛髪の巻き上げ操作を行うときに、引きちぎれない程度の強度及び巻き上げ操作を円滑に行い得る柔軟性を有していることが好ましい。この点から、巻き上げ用糸7は各種樹脂等の合成物、木綿や麻等の天然物、レーヨン等の半天然物、各種金属、又はこれらの複合体等から構成されていることが好ましい。また、巻き上げ用糸7は、糸状のものに限られず、例えば細長い帯状のものでもよい。
【0030】
巻き上げ用糸7は、一面シート23A及び他面シート23Bにおける両側部に互い違いに形成された挿通孔部6A,6Bに、ジグザグの軌跡を描くように挿通されて、筒状体2に取り付けられている。詳細には、筒状体2は、その両側部に第1の挿通孔部6Aからなる第1の挿通孔部列と、第2の挿通孔部6Bからなる第2の挿通孔部列とを有している。第1の挿通孔部列における隣接する挿通孔部6A,6Aの間隔は一定になっている。第2の挿通孔部列においても同様であり、その間隔は第1の挿通孔部列と同じになっている。そして、各挿通孔部列における挿通孔部6A,6Bは、互いに半ピッチずれるように互い違いに配置されている。
【0031】
巻き上げ用糸7は、他端部の開口部22に最も近接した第1の挿通孔部6Aに、一面シート23Aから他面シート23Bに向けて挿通され、その位置から斜め左上方に位置する第2の挿通孔部6Bに向けて、他面シート23Bの外面に沿って配されている。そして、第2の挿通孔部6Bにおいて、他面シート23Bから一面シート23Aに向けて挿通されている。第2の挿通孔部6Bに挿通された巻き上げ用糸7は、その位置から斜め右上方に位置する第1の挿通孔部6Aに向けて、一面シート23Aの外面に沿って配されている。以後、この挿通が繰り返され、巻き上げ用糸7はジグザグの軌跡を描くことになる。
【0032】
巻き上げ用糸7の一端71には、矩形のシートからなる係止片73が形成されており、該係止片73が、他端部の開口部22に最も近接した挿通孔部6Aに引っ掛かり、引き抜かれないように係止される。一端の開口部21に最も近接した挿通孔部6Bにおいては、巻き上げ用糸7は自由状態になっている。一端の開口部21に最も近接した挿通孔部6Bに隣接して、挿通孔部6Cが設けられており、この挿通孔部6Cに、巻き上げ用糸7の他端72が挿通されている。巻き上げ用糸7の他端72には、矩形のシートからなる係止片74が形成されており、挿通孔部6Cに引っ掛かり、他端72が引き抜かれないように係止される。
従って、巻き上げ用糸7の他端72側を引っ張ると、図4に示すように、筒状体2は、スパイラル状に変形する。
【0033】
尚、巻き上げ用糸7の他端72に位置する係止片74には、筒状体2の一端部25近傍に脱着自在に接合される接合部を設けておくことが好ましい。例えば、後述する一対の指掛け部4,4及び取り込み口補強シート51を面ファスナのメス材となる不織布から形成すると共に、係止片74に前記接合部としての面ファスナのオス材を接合しておくことが好ましい。
【0034】
巻き上げ用糸7の他端72側における、一端の開口部21に最も近接した挿通孔部6Bと挿通孔部6Cとの間には、図1に示すように、糸留め8が取り付けられている。糸留め8は、巻き上げ用糸7に沿って移動自在になっていると共に、所定位置で固定できるようになっている。そのため、筒状体2を巻き上げた後において、糸留め8を、一端の開口部21に最も近接した挿通孔部6B近傍に移動し、その位置で固定することにより、筒状体2の巻き上げ状態を容易に維持できるようになっている。
【0035】
本実施形態において、一端の開口部21に最も近接した挿通孔部6Bには、対応する補助シール部は設けられていない。この理由として、以下の2点が挙げられる。1つ目の理由は、毛髪挿入具1Bが、一端の開口部21から毛髪保持具1A内に挿入されるので、該毛髪挿入具1Bをこの挿通孔部6Bとシール部3Aとの間に誤って挿入する可能性が極めて低いためである。2つ目の理由は、一端の開口部21に最も近接した挿通孔部6Bにも、対応する補助シール部を設けると、一端の開口部21の開口径が小さくなり、毛髪挿入具1B及び毛髪束を、毛髪保持具1A内に挿入する操作性が低下するためである。
【0036】
本実施形態の毛髪処理器具1において、前述した第1の挿通孔部6Aからなる第1の挿通孔部列と、第2の挿通孔部6Bからなる第2の挿通孔部列との間を、筒状体2の幅方向に測定した長さL2(図1参照)は、2つの挿通孔部列の間を通って、毛髪挿入具1Bが筒状体2に挿通可能な寸法であることが好ましい。特に、長さL2は、毛髪挿入具1Bの幅Wに対して、200〜1000%、特に300〜600%の寸法を有していることが、所定量の毛髪束を挿入できると共に、毛髪挿入具1Bを筒状体2内へスムーズに挿通する上で好ましい。
【0037】
本実施形態の毛髪保持具1Aについて、更に説明すると、筒状体2の一端部の開口部21近傍に、図3に示すように、一面シート23A及び他面シート23Bそれぞれの内面及び外面に、取り込み口補強シート51,51が接合されている。そのため、筒状体2における一端部の開口部21近傍のテーバーこわさ(剛性)が向上し、一端部の開口部21への毛髪束の挿入性が向上している。本実施形態における取り込み口補強シート51,51は、一面シート23A及び他面シート23Bと同じ幅の帯状のシートから形成されており、それぞれ一面シート23A及び他面シート23Bに全面的に接合されている。
【0038】
取り込み口補強シート51の形成材料としては、不織布、織布、多孔性若しくは非多孔性の樹脂フィルム、紙又はこれらの複合体等が好ましい。特に、前述した一面シート23A及び他面シート23Bと熱融着性を有する材料を用いることが、取り込み口補強シート51と該一面シート23A及び他面シート23Bとを、熱融着できるので加工上好ましい。
【0039】
更に、筒状体2の一端部の開口部21近傍には、図2及び図5に示すように、一面シート23A及び他面シート23Bの外面それぞれに、指を掛け得る一対の指掛け部4,4が設けられている。
本実施形態における一対の指掛け部4,4は、帯状のシートが輪状にされて形成されている。一面シート23Aの外面に設けられた指掛け部4は、一面シート23Aの内面及び外面に接合されている取り込み口補強シート51,51それぞれの中央部分が、筒状体2の一端部25の外方に向って延出し、互いに接合されて形成されている。この指掛け部4の一部は、図3に示すように、取り込み口補強シート51の外面に接合されている。
また、他面シート23Bの外面に設けられた指掛け部4も同様に形成されている。
【0040】
指掛け部4の内周長は、それに指を掛けた際の安定感等の観点から、好ましくは4〜10cmである。指掛け部4の幅は、それに指を掛けた際の安定感や触感等の観点から、好ましくは5〜60mmである。
指掛け部4は、指を掛けた際の安定性や指の挿入性等の観点から、テーバーこわさが0.4〜1.0mN・mの材料から形成されていることが好ましい。
【0041】
また、本実施形態の毛髪保持具1Aは、筒状体2の内表面における一端部の開口部21側に、毛髪に対して高摩擦性を有する高摩擦性部材(図示せず)が配設されていることが、巻き上げ後の毛髪脱落防止の観点から好ましい。詳述すると、高摩擦性部材は、一面シート23A及び他面シート23Bにおける内表面(筒状体2の挿入空間に面した表面)の幅方向中央部にそれぞれ配設されることが好ましい。
【0042】
高摩擦性部材は、例えば、一面シート23A及び他面シート23Bそれぞれの内表面に、それらとは別体のシート片を接合することにより形成することができる。該シート片としては、樹脂フィルム、紙、金属板又はこれらの複合体が挙げられる。また、高摩擦性部材は、一面シート23A及び他面シート23Bそれぞれの内表面に、ホットメルト接着剤を面状に塗工して形成することができる。
【0043】
このように構成された本実施形態の毛髪処理器具1の一使用方法について、パーマネント処理を例に、図5〜図7を参照しながら説明する。尚、図5〜図7においては、毛髪保持具1を適宜簡略化して図示している。
まず、図5に示すように、筒状体2の一端の開口部21近傍に設けられた一対の指掛け部4,4に、それぞれ指F,Fを掛け、指F,Fを離間させる。その結果、一対の指掛け部4,4も離間し、筒状体2の一端の開口部21がスムーズに開口する。
【0044】
筒状体2における一端の開口部21への毛髪束Hの挿入には、毛髪挿入具1Bを用いる。
まず、図6(a)に示すように、毛髪束Hを毛髪挿入具1Bの係止部92に挿通して係止させる。
【0045】
次いで、毛髪挿入具1Bをその他端側から、開口させた筒状体2の一端の開口部21に挿入する。図6(b)に示すように、毛髪挿入具1Bを筒状体2内に更に挿通させると、毛髪挿入具1Bの係止部92に係止された毛髪束Hが、一対の指掛け部4,4それぞれに掛けられた指F,Fに当接する。毛髪挿入具1Bを筒状体2内に更に挿通させると、毛髪束Hは、指F,Fに当接してくの字に屈曲する。このように、毛髪束Hは筒状体2に挿入される直前で指F,Fに当接して屈曲するため、毛髪挿入具1Bは筒状体2内にスムーズに挿入される。
【0046】
このように毛髪挿入具1Bを筒状体2内に挿通させる際に、毛髪挿入具1Bが、筒状体2内に斜めに挿入されても、挿入具本体91の先端部が、補助シール3Aの部分31に当接し、該先端部が該部分31の傾きに沿って、毛髪挿入具1Bの挿通方向へ誘導されるので、本実施形態の毛髪挿入具1Bを、筒状体2内へ挿通させる操作性は極めて優れている。
【0047】
そして、図6(c)に示すように、毛髪挿入具1Bを筒状体2の他端の開口部22から引き抜く。その結果、毛髪挿入具1Bの係止部92に係止されていた毛髪束Hは、係止部92から外れ、筒状体2の他端の開口部22からはみ出るまで挿通される。尚、毛髪束Hは、筒状体2の他端の開口部22からはみ出させなくてもよい。
【0048】
次に、筒状体2における一端の開口部21近傍を指(図示せず)で軽く押さえる。この状態下に、図7(a)に示すように、筒状体2の外周面に巻き付けられている巻き上げ用糸7の他端72近傍又は糸留め8を引っ張る。すると図7(b)及び図7(c)に示すように、毛髪束Hは、筒状体2と共にスパイラル状に巻き上げられて、小さくまとめられる。
この状態を保持するために、図7(c)に示すように、糸留め8を筒状体2における一端の開口部21に最も近接した挿通孔部6B近傍に移動し、巻き上げ用糸7に係止して、筒状体2の巻き上げ状態を維持する。
【0049】
また、筒状体2内で巻き上げ状態にある毛髪束Hは、図8に示すように、補助シール部3Bの部分32に沿うように納まっている。そのため、毛髪束が部分的に乱れることがないので、毛髪束全体がまとまった状態で保持される。
【0050】
次に、筒状体2が巻き上げられた状態下に、筒状体2に向けて第1のパーマネント処理剤(還元剤)を付与する(図示せず)。筒状体2はパーマネント処理剤に対して透過性の材料から構成されているので、パーマネント処理剤は筒状体2を透過して毛髪束Hに施される。
所定時間放置後、毛髪保持具1A及び毛髪束Hに付着した第1のパーマネント処理剤を水ですすぎ洗いをする。
【0051】
その後、筒状体2に向けて第2のパーマネント処理剤(酸化剤)を付与し、再び所定時間放置する。これによって、筒状体2内に挿入されている毛髪束Hに対して、その巻き上げ形態のパーマネントウエーブが掛けられる。その後、糸留め8を巻き上げ用糸7の他端72側に移動し、毛髪束Hの巻き上げ状態を解除する。引き続き、毛髪束Hを筒状体2から取り出し、すすぎ洗いをし、更にシャンプー及びブローをする。
【0052】
前述した本実施形態の毛髪処理器具1によれば、毛髪保持具1Aには、シール部3Aから毛髪挿入具1Bの挿入方向に延びる部分31を有する補助シール部3Bが形成されているため、毛髪挿入具1Bによる毛髪束の毛髪保持具1Aへの挿入操作を正しく行えて、設計通りの毛髪束の巻き上げ状態が得られる。更に、補助シール部3Bには、シール部3Aから部分31とは逆の方向に延びる部分32が設けられているため、設計通りの毛髪束の巻き上げ状態がより確実に得られる。
【0053】
次に、前述した本実施形態の変形例を、図9〜図11を参照しながら説明する。各変形例ついて、特に説明しない点については、本実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図9〜図11において、図1〜図8と同じ部材に同じ符号を付してある。尚、図9〜図11において、指掛け部4の記載を省略している。
【0054】
図9に示す変形例における補助シール部3Bは、上述した実施形態における補助シール部3Bと同様に、一対のシール部3A,3Aから、一端部の開口部21から他端部の開口部22に向う方向に且つ挿通孔部6A,6Bに向って延びている部分31を有しているが、一対のシール部3A,3Aそれぞれから、他端部の開口部22から一端部の開口部21に向う方向に向かって延びる部分32(図1参照)は有していない。
【0055】
図10に示す変形例において、挿通孔部6A,6Bそれぞれと、該挿通孔部6A,6Bに近い側のシール部3Aとの隙間Sには、部分楕円形状体の補助シール部3Bが形成されており、隙間Sは全て補助シール部3Bにより接合されている。補助シール部3Bは、その一端の開口部21側の部分が、該開口部へ向ってやや凸に湾曲した形状を有しており、挿入具本体91の先端部が当接した際には、その挿通方向へ誘導するようになっている。
【0056】
図11に示す変形例において、挿通孔部6A,6Bそれぞれと、該挿通孔部6A,6Bに近い側のシール部3Aとの隙間Sには、円形状の補助シール部3Bが形成されている。本変形例において、補助シール部3Bは、挿通孔部6A,6B及びシール部3Aから離間した位置に形成されており、補助シール部3Bと、挿通孔部6A,6B又はシール部3Aとの間を、筒状体2の幅方向に測定した長さは、それぞれ毛髪挿入具1Bの幅Wよりも小さくなっている。
【0057】
前述したような各構成を有する変形例によれば、前記実施形態と同様に、毛髪挿入具1Bによる毛髪束の毛髪保持具1Aへの挿入操作を正しく行えて、設計通りの毛髪束の巻き上げ状態が得られる。
【0058】
本発明の毛髪保持具は、前述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、本発明の毛髪処理器具1は、前述した実施形態において、補助シール部3Bが、各挿通孔部6A,6Bに対応して、一つ設けられていたが、補助シール部3Bは、各挿通孔部6A,6Bに対応して、複数個設けていても良い。
また、補助シール3Bは、一端部25から他端部26へ連続的に亘って、一対のシール部3,3それぞれに連設して形成されていても良い。この場合、補助シール部3Bの筒状体2の幅方向内方側の側縁の形状は、直線状でも良いし、波型を有していても良い。
【0059】
前述した一の実施形態又は変形例における要件は、適宜、実施形態及び変形例間で相互に置換可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1(a)及び(b)は、本発明の毛髪処理器具の一実施形態を示しており、(a)は毛髪保持具の正面図であり、(b)は毛髪挿入具の正面図である。
【図2】図2は、図1の毛髪保持具に毛髪挿入具が挿入されている状態を示す正面図である。
【図3】図3は、図1のX−X線部分断面図である。
【図4】図4は、図1に示す毛髪保持具を巻き上げた状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、図1に示す毛髪保持具における一端部の開口部を開口した状態を示す斜視図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、図1に示す毛髪処理器具の一使用態様を示す図で、(a)、(b)及び(c)は、それぞれ毛髪保持具への毛髪挿入具の挿通手順を順次示す正面図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、図1に示す毛髪処理器具の一使用態様を示す図で、(a)、(b)及び(c)は、それぞれ毛髪束の巻き上げ手順を順次示す斜視図である。
【図8】図8は、図7(c)の要部を示す部分拡大図である。
【図9】図9は、図1の変形例を示す毛髪保持具の正面図である。
【図10】図10は、図1の他の変形例を示す毛髪保持具の正面図である。
【図11】図11は、図1の更に他の変形例を示す毛髪保持具の正面図である。
【図12】図12(a)〜(c)それぞれは、従来の毛髪保持具に毛髪挿入具が誤って挿入されている状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0061】
1 毛髪処理器具
1A 毛髪保持具
1B 毛髪挿入具
2 筒状体
21 一端部の開口部
22 他端部の開口部
23A 一面シート
23B 他面シート
24 側端部
25 一端部
26 他端部
3A シール部
3B 補助シール部
4 指掛け部
51 取り込み口補強シート
6A、6B、6C 挿通孔部
6´ 挿通孔部
7 巻き上げ用糸
71 一端
72 他端
73、74 係止片
8 糸留め
91 挿入具本体
92 係止部
S、S´ 隙間
W 挿入具本体の幅(毛髪挿入具の幅)
F 指
H 毛髪束
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成18年9月11日(2006.9.11)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修

【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之


【公開番号】 特開2008−61959(P2008−61959A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−245915(P2006−245915)