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【発明の名称】 帽子
【発明者】 【氏名】田中 豊

【要約】 【課題】着用時に快適であり、毛髪の脱落防止に非常に優れる作業用の帽子を提供する。また、洗濯耐久性にも優れ、繰り返し使用することが可能であり、経済的にも有利な帽子を提供する。

【解決手段】熱可塑性エラストマー繊維からなる不織布を少なくともその一部に用いてなる帽子であって、上記熱可塑性エラストマー繊維の平均繊維径が10μm以上50μm以下であり、これら繊維が厚み方向に5層以上積層してなることを特徴とする帽子。好ましくは、上記不織布の目付が50g/m以上200g/m以下である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性エラストマーからなる不織布を少なくともその一部に用いてなる帽子であって、上記不織布において、その平均繊維径が10μm以上50μm以下であり、これら繊維が厚み方向に5層以上積層してなることを特徴とする帽子。
【請求項2】
不織布の目付が50g/m以上200g/m以下である請求項1記載の帽子。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、食品製造業、病院等で大量に使用される作業用帽子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品製造業、病院等で大量に使用される作業帽子は織物や編物布地を縫製したものや、伸縮性のない不織布を縫製したものが使用されてきた。これらは、着用する目的である毛髪の脱落防止という点で不十分であり、改善を要望されていた。
【0003】
また、熱可塑性エラストマー繊維を使用した帽子が提案されている(特許文献1参照)が、実用化するに当たっては、繊維層が5層未満の場合に作業内容によっては毛髪が抜け落ちることがあることが判明した。
【特許文献1】特開2001−192991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、着用時に快適であり、毛髪の脱落防止に非常に優れる作業用の帽子を提供することにある。
また、本発明の目的は、洗濯耐久性にも優れ、繰り返し使用することが可能であり、経済的にも有利な帽子を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、着用感を快適にする為に、不織布が十分な伸縮性と通気性を持ち、且つ、不織布を構成する繊維がランダムに5層以上積層していることで、毛髪の突き出しが防げることに着目し、本発明の完成に至った。
すなわち、上記の目的は、熱可塑性エラストマー繊維からなる不織布を少なくともその一部に用いてなる帽子であって、上記熱可塑性エラストマー繊維の平均繊維径が10μm以上50μm以下であり、これら繊維が厚み方向に5層以上積層してなることを特徴とする帽子によって達成される。
また、上記不織布の目付が50g/m以上200g/m以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の帽子は、着用時に快適であり、毛髪の脱落防止に非常に優れる作業帽子である。また、洗濯耐久性にも優れ、繰り返し使用することが可能であり、経済的にも有利な帽子を提供し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に係る不織布の製造に用いられる、熱可塑性エラストマーは伸縮性に富む素材である。熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。
ポリウレタンには、ソフト成分がポリエステル,例えばアルキレン基の炭素数が2〜8であるポリアルキレングリコールやポリアルキレンアジペート、ポリエーテル,例えばポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネート等、ハード成分がジフェニルメタンジイソシアネートなどのジイソシアネートと低分子ジオールとの反応によるウレタン結合などである熱可塑性ポリウレタンエラストマーであるものがある。また、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールのブロックポリマーのようなポリエステルタイプエラストマーなどが挙げられるが、かかるエラストマーはほんの一例であり、本発明はこれら例示のみによって限定されるものではない。
【0008】
本発明に係る不織布は、上記ポリウレタンまたはポリエステルエラストマー等の熱可塑性エラストマーからなるフィラメントを積層したいわゆるメルトブロウまたはスパンボンド不織布であり、通常、熱可塑性エラストマーを溶融し、この溶融物を急速にノズルから空気中に噴出させ、得られたフィラメントを積層した後、冷却することにより得られるものである。かかる熱可塑性エラストマー繊維からなる不織布は、溶融紡糸された熱可塑性エラストマー繊維が実質的に集束されずに積層され、積層されたフィラメントの接触点がフィラメント自体により熱接着している。
【0009】
上記不織布は、熱可塑性エラストマーからなるので、優れた伸縮性を有する。また、フィラメントが自己接着して形成されており、繊維脱落がなくリントフリー効果を持ち、食品、医薬品、半導体等の製造工場等での使用に適している。また、フィラメントがランダムに積層しているために織物や編物と異なり、毛髪が外に出にくく、織編物と比較して低目付で目的を達することが可能である。その為に不織布を用いて得られる帽子が軽くなると共に、通気性も良くなり、着用感がより快適な帽子が得られる。特に、食品工場では作業現場が高温の場合があり、このような環境下では一層快適な帽子であると言える。
【0010】
本発明に係る不織布を構成する熱可塑性エラストマー繊維の平均繊維径は、10μm以上50μm以下であることが必要である。繊維径が10μm未満であると、通気性が低下して帽子としたとき着用感が悪くなり、また、強力を維持するために目付けを大きくする必要が生じる。一方、繊維径が50μmを超えると、フィルター効果が低下して、毛髪が突き出やすくなる。平均繊維径は、好ましくは15〜40μmである。
【0011】
また、不織布の繊維の積層は5層以上であることが必要である。繊維層が1層の場合、毛髪は容易に突き出て、脱落してしまう。2層の場合も作業中の動作に伴い毛髪が突き出る可能性があり、脱落することが多い。5層以上になると、作業動作が激しくなっても、容易に毛髪が突き出ることもなく、脱落することも減少させることができる。繊維の積層は5層以上であることが好ましい。
【0012】
また、不織布の目付けは、50g/m以上が好ましく、より好ましくは75g/m以上である。
毛髪の脱落防止という点では目付けは大きければ、大きいほど効果があるといえるが、快適性からいえば、小さい方が軽く、また蒸れなくて快適である。よって、200g/m以下が好ましく、より好ましくは150g/m以下である。
【0013】
上記不織布としては、例えば、KBセーレン(株)製エスパンシオーネ(登録商標)などがある。これらの不織布はいずれも100%伸張時における応力は40〜470g/cmと小さく、またそのときの回復率は約80%以上と優れ、破断強度は0.1kg/cm以上、破断時における伸度は300%以上であり、伸縮性及び引っ張り強度に優れ、かつ適度な通気性を有するものであるから、本発明において好適に使用し得るものである。
【0014】
また、上記不織布に高電場を付与することにより、エレクトレット加工を付与することも可能である。その際には疎水性を強化することが好ましく、シリコーン樹脂、フッ素樹脂による撥水加工により静電気が発生しやすくなるが、静電気による塵埃の吸着効果も付与でき、好適である。樹脂加工方法は浸漬法、スプレー法等の公知の方法で加工することができる。フッ素系撥水処理剤の具体例としては、例えば、旭硝子(株)製アサヒガードAG730(商品名)、ユニオン化学工業(株)製ユニカポロンLK420(商品名)、大日本インキ化学工業(株)製ディックガードX−10(商品名)、東海製油(株)製TSガードK317(商品名)などが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。上記樹脂の付与量は、その固形分量で好ましくは0.5〜10g/m、更には好ましくは1〜5g/mである。
【0015】
本発明に係る不織布は原料素材に顔料を添加することにより、着色することができる。また、熱転写プリント、グラビア印刷等により、プリント模様を付与することもできる。抗菌剤や難燃剤を添加し、それぞれの機能を付与することも可能である。
【0016】
本発明は、上記不織布を少なくともその一部に用いて帽子を構成する。
本発明の帽子の縫製は、融着縫製でもミシン縫製でもどちらでも可能である。融着縫製では、熱融着や超音波ミシンによる融着等が可能である。融着縫製の場合は同一素材で行うことが融着強度の点から好ましい。
一方、ミシン縫製の場合は他素材との組み合わせも可能である。例えば、ニットや織物の帽子で、頭部や顔面に即した部分に伸縮性を有する上記不織布を使用することで着用感がよく快適で、毛髪脱落防止性に優れ、より耐久性のある帽子を得ることが可能となる。
【0017】
本発明の帽子の一実施形態としては、例えば、図1及び2に示すような帽子が挙げられる。
図1に示すように、本発明の一実施形態である帽子1は、上記したような不織布2だけで構成されているものであり、装着者の頭頂部、後頭部及び側頭部を覆い、毛髪と両耳とを被包するように構成されている。また、帽子1は、装着者の顔面を露出する開口部分3を有しており、開口部分の縁部4は、装着状態において装着者の顔面周囲に密着し、帽子1の内側から毛髪や頭垢等の落下を防ぐように構成されている。また、帽子下方部は、肩全体を覆うように構成されている。
【0018】
また、図2に示すように、本発明の他の実施形態である帽子10は、他の素材と組み合わせて構成されたものであり、装着者の頭頂部、後頭部及び側頭部を覆い、毛髪と両耳とを被包するように構成されている。また、帽子10は、装着者の顔面を露出する開口部分16を有しており、開口部分の縁部17は、装着状態において装着者の顔面周囲に密着し、帽子1の内側から毛髪や頭垢等の落下を防ぐように構成されている。更に、帽子10は、肩部を被包するようケープ部14が設けられている。
【0019】
このような帽子10において、頭頂部11と、後頭部と側頭部を覆う部分13とに上記不織布を用いることが好適である。すなわち、頭頂部11と、後頭部と側頭部を覆う部分13とに上記不織布を用いることにより、帽子10の通気性がより良好となり、また、毛髪等の脱落防止に非常に優れた帽子10とすることができる。また、着用感も良好で、快適である。
また、後頭部と側頭部を覆う部分12とケープ部14とつば部15には、ポリエステル
ニット等が用いられる。
【0020】
毛髪の脱落が発生する箇所が頭部及び顔面と帽子との隙間からであることは、早くから指摘されており、上記帽子10のような構成とすることにより、この箇所での毛髪の突き出しを防ぐことができ、十分な効果を期待できる。
尚、本発明の帽子の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成する形態であればよい。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
不織布として、KBセーレン(株)製エスパンシオーネ(登録商標)UHF−75(平均繊維径25μm、目付75g/m、電顕写真で確認すると繊維層が11層、厚さ300μm)を用い、これを2枚重ね、高周波ウェルダーで融着縫製し、図1に示すようなズキンタイプの帽子を作成した。
これを食品工場の従業員20名が着用試験を行った結果、一日(8時間)の作業後に現場には毛髪の脱落は発見しなかった。
また、着用感についても蒸れや不快感を訴える者はいなかった。
【0022】
この帽子をJIS−1096の家庭洗濯機による洗濯を50回繰り返し、耐洗濯性を評価した結果、外観に異常は認められず、優れた洗濯性を示した。
【0023】
(実施例2)
不織布として、KBセーレン(株)製エスパンシオーネ(登録商標)UHF−50(繊維径25μm、目付50g/m、繊維層が8層、厚さ210μm)を用い、図2に示すように、この不織布を頭頂部11と後頭部及び側頭部13に使用し、その他の部位にはポリエステル繊維の編み物を使用し、ミシンにて立体的な作業帽子を縫製した。
この作業帽子について、実施例1と同様に、食品工場での着用試験を行った結果、使用時の着用感に優れ、また、毛髪の脱落は発見されず、良好な結果が得られた。
【0024】
(比較例1)
伸縮性のないポリプロピレン不織布(繊維径25μm、目付75g/m、繊維層が13層、厚さ330μm)を用い、実施例1と同様にして、図1に示すような作業帽子を作成した。
この作業帽子について、実施例1と同様に、食品工場で着用試験を実施した。その結果、毛髪の脱落は頭部からはなかったが、顔面に沿った部分からの突き出しがあり、少量発生した。サイズも3種類が必要となった。
【0025】
(比較例2)
ポリエステル繊維の編み物のみを使用し、実施例2と同様にして、図2に示すような作業帽子を作成した。
この作業帽子について、実施例1と同様に、食品工場での着用試験を実施した。その結果、布地の場合は繊維層としては1層になるため、頭部からの毛髪の突き出しが発生し、一日の作業終了後では毛髪の脱落が散見された。
【0026】
(比較例3)
不織布として、KBセーレン(株)製エスパンシオーネ(登録商標)UHF−15(繊維径40μm、目付15g/m、繊維層が3層、厚さ120μm)を用い、実施例1と同様にして、図1に示すようなズキンタイプの帽子を作成した。
着用試験も実施例1と同様の方法で実施した結果着用時に破れを生じたものや、一日の作業終了後に毛髪の脱落が散見された。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の帽子は、食品製造業、病院等で大量に使用される作業の帽子として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施態様を示す説明図。
【図2】本発明の他の実施態様を示す説明図。
【符号の説明】
【0029】
1 帽子
2 不織布
10 帽子
【出願人】 【識別番号】305037123
【氏名又は名称】KBセーレン株式会社
【出願日】 平成19年3月30日(2007.3.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−248430(P2008−248430A)
【公開日】 平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願番号】 特願2007−90818(P2007−90818)