| 【発明の名称】 |
耐電性手袋 |
| 【発明者】 |
【氏名】太田 幹人
【氏名】児玉 洋典
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| 【要約】 |
【課題】簡単にそして確実にピンホール等の存在を点検することができる耐電性手袋を提供する。
【構成】内側は嵌め口部の端部31を除いてその他の部分は布または編物4で構成されおり、外側は全面が高分子被膜5で構成されている。上記布または編物4が除かれている端部の形状が環状であり、当該環状の部分の幅が10mm〜100mmである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 簡単にそして確実にピンホール等の存在を点検することができる耐電性手袋であって、当該手袋は、内側は嵌め口部の端部を除いてその他の部分は布または編物で構成されおり、外側は全面が高分子被膜で構成されていることを特徴とする、耐電性手袋。 【請求項2】 布または編物が除かれている端部の形状が環状であることを特徴とする請求項1記載の耐電性手袋。 【請求項3】 環状の部分の幅が10mm〜100mmであることを特徴とする請求項2記載の耐電性手袋。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、作業者の感電を防止するための耐電性手袋に関し、特に、作業者が使用するときに、水漏れ等の原因となるピンホールやその他、目には見えにくい破れ(以下ピンホール等という)の存在を簡単に調べることができる、内側に布または編物を有する耐電性手袋に関する。 【技術背景】 【0002】 内側に布または編物を有する耐電性手袋(以下、布等を有する耐電性手袋ということもある)は、電力会社、電気工事会社等における送電線や配電線等の電気回路での作業に使用されている。電気回路での作業に使用される手袋は、条件の一つとして、指先で部品を掴んで、引っ張ったり,廻したりする作業が容易であること等が要求される。また、条件の他の一つとして、屋外工事が多いため雨中でも感電等に遭わず安全に使用できるように防水性であることが要求される。 【0003】 前者の条件は、内側、即ち手に接する面に伸縮性を有するメリヤス等の編物を使用し、その外側にゴムラテックス等により形成された薄い被膜を使用することにより解決されている。 後者の条件は、製造工程中でゴムラテックス等中に浸漬する工程を採用し,全外面に継ぎ目のない被膜を形成させることにより略解決されている。 【0004】 なお、本発明に関連する公知技術として次の特許文献1及び2を挙げることができる。 【0005】 【特許文献1】 特公平6−21364号公報 【0006】 【特許文献2】 特開平10−331012号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 上記のように、編物を有する耐電性手袋の防水性は、製造工程中でゴムラテックス等中に浸漬する工程を採用し,全外面に継ぎ目のない被膜を形成させることにより略解決されている。 しかしながら、上記のようにして製造された布付き耐電性手袋であっても、少数ではあるが、偶々、ピンホール等が生じている場合がある。また、当該手袋は、上記のように、作業性を良くするために、外側が、ゴムラテックス等により形成された薄い被膜で構成されているので、送電線や配電線等の電気回路での作業に一度でも使用されると、ピンホール等が生じることもある。このようなピンホール等は、特に、作業中に部品等と最も接触が多い指先等で生じ易い。 【0008】 布付き耐電性手袋に、このようなピンホール等が生じると、雨中等での作業中に感電事故を起こす危険がある。そのため、電力会社や電気工事会社等では、作業に入る前に、空気漏れ点検によりピンホール等の有無を確認することを指導し、実施している。 【0009】 空気漏れの点検方法としては、通常、次の様にして行っていた。先ず、耐電性手袋の嵌め口部(手を手袋に挿入する筒状の部分)を掌部側でまたは甲部側で2〜3回折り曲げて横方向(嵌め口部の縁部と並行な方向)に重なった部分を作り、その重なった部分を略中央付近で縦方向(手袋の長さ方向)に折り曲げていた。そして、この折り曲げられ重ねられた部分を一方の手で強く締めていた。 このような操作により、手袋内部の空気は出口が塞がれると同時に、内部の空気は圧縮され、手袋は膨れるので、その膨れた手袋を他の一方の手で押して圧迫し、空気が漏れるのを点検し、ピンホール等の有無を確認していた。 【0010】 しかしながら、上記公知の特許文献に記載されているような耐電性手袋は、内側全面に布や編物等が露出している。そのため、上記のように嵌め口部を掌部側でまたは甲部側で横方向に2〜3回折り曲げて重ね、その重なった部分を略中央付近で縦方向に折り曲げて、膨れた手袋を手で押して圧迫したときに、嵌め口部から空気が漏れてしまい、膨れていた手袋が萎み、ピンホール等の存在を点検することができなかった 嵌め口部から空気がもれるのは、耐電性手袋内側の布や編物等が通気性を有し、当該布や編物等の断面(当該断面は嵌め口部の縁部に存在している)から、外部に空気が漏れるのが、主な原因である。 【0011】 因みに、更に詳述すると、手袋内側の布や編物等が通気性を有することについては、上記公知文献の一つに、下記のような記載がある。 即ち、耐電性手袋の製造工程において、手型に被装した布手袋を、凝固剤を含有し、これを起泡したラテックス中に浸漬するので、ラテックスは布手袋の外面に泡構造のまま凝固する。即ち、発泡ゴムの凝固層が形成される。この凝固層は、一つは、手型を泡の中に浸漬するので通常の液状ラテックスと異なり水圧が低いため目漏れせず、二つは、泡構造のラテックスが孔の中に浸透し難い性質をもっているので目漏れしない。 かくて,両々相俟って、たとえ0.3〜0.5mm程度の編目の孔があっても、発泡ゴムの凝固層で目漏れを防いでいるため、編目の孔が塞がっておらず、布手袋の伸縮性を阻害せず、製品の柔軟性や作業性が保たれる、との記載である。 更に、上記のように、発泡ゴムの層が布へのラテックスの浸透を防いでいるため、布の通気性が保たれているのである。 従って、作業中、手袋の中が蒸れることはなく、気持よく作業ができるのである。 反面、このことが、当該布や編物等の断面から外部に空気が漏れる主な原因となっているのである。 【0012】 本発明は、上記のような事情に鑑み成されたものであり、送電線や配電線等の電気回路での作業を行う前に、現場等で作業者が、簡単にそして確実にピンホール等が存在しているか否かを点検することができる布付き耐電性手袋を提供することを目的とする 【0013】 上記目的を達成するために講じた本発明の手段は、次の通りである。 第1の発明は、簡単にそして確実にピンホール等の存在を点検することができる耐電性手袋であって、当該手袋は、内側は嵌め口部の端部を除いてその他の部分は布または編物で構成されており、外側は全面が高分子被膜で構成されていることを特徴とする、耐電性手袋である。 【0014】 第2の発明は、布または編物が除かれている端部の形状が環状であることを特徴とする請求項1記載の耐電性手袋である。 【0015】 第3の発明は、環状の部分の幅が10mm〜100mmであることを特徴とする請求項2記載の耐電性手袋である。 【発明の効果】 【0016】 第1の発明に係る耐電性手袋は、内側は嵌め口部の端部を除いてその他の部分は布または編物で構成されており、外側は全面が高分子被膜で構成されている。 従って、送電線や配電線等の電気回路での作業を行う前に、現場等で作業者は、先ず、耐電性手袋の布または編物の存在していない嵌め口部の端部、即ち、高分子被膜のみで構成されている部分を、掌部側でまたは甲部側で2〜3回折り曲げて横方向に重なった部分を作ったとき、嵌め口部の内側では、高分子被膜のみで構成されている部分同士が接触している部分ができる。 【0017】 その接触している部分を略中央部付近で縦方向に折り曲げ、この折り曲げられ重ねられた部分を一方の手で強く締め、内部の空気を圧縮し、手袋を膨らませる。 従って、当該接触している部分は、通気性がない高分子被膜同士が密接しているので、当該部分では空気は漏れることはない。このとき、その他の部分、即ち、上記折り曲げられ重ねられた部分以外の部分において、ピンホール等があれば当該ピンホール等の部分で空気は漏れるので、ピンホール等の有無を直ちに確認することができる。 【0018】 第2の発明に係る耐電性手袋は、布または編物が除かれている端部の形状が環状であるので、耐電性手袋の布または編物の存在していない嵌め口部の端部を、掌部側でまたは甲部側で2〜3回折り曲げて横方向に重ねたとき、確実にそして効率よく高分子被膜同士を接触させることができ、当該接触している部分は密接しているので、手袋内部の空気は密封され、そのことにより、ピンホール等の有無を直ちに確認することができる。 【0019】 第3の発明に係る耐電性手袋は、環状の部分の幅が10mm〜100mmである。 従って、嵌め口部の端部を、掌部側でまたは甲部側で最も効率良く、2〜3回折り曲げて横方向に重ね易く、上記第2の発明に係る耐電性手袋の効果を更に確実に上げることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 耐電性手袋の内側を構成している布または編物を覆う外面(外側)を構成する高分子被膜の素材としては、通常、柔軟性のある被膜とすることができる、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジェン共重合ゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリブタジェンゴム、スチレン・ブタジェン共重合ゴム、ポリ塩化ビニルまたはポリウレタン等のラテックス、エマルジョンまたは有機溶剤に溶かした溶液等を使用することができる。 【0021】 内側を構成している布または編物が除かれている端部の環状部分、即ち、高分子被膜の部分のみの幅は、10mm〜100mmであり、好ましくは、30mm〜50mmである。10mm未満であると、ピンホール等の有無の点検操作をするときに、高分子被膜の部分同士の接触面積が不十分となり、密閉を確実にすることができない。また、100mmを超えると、高分子被膜の部分が広くなりすぎて、手の手袋への挿入がしにくくなり、又、作業中に手が蒸れて作業能率が落ちる。 【実施例】 【0022】 以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明に係る手袋の左手の掌から見た場合の正面図、図2は図1のA−A視拡大断面図である。なお、図2では、甲部側の断面図は省いてある。 【0023】 図中,Gは耐電性手袋を示す。耐電性手袋Gは、指部1、中手部2及び嵌め口部3の各区部よりなる。当該耐電性手袋Gは、内側は嵌め口部3の端部31を除いてその他の部分、即ち、指部1、中手部2及び嵌め口部の一部32は布または編物4で構成されており、外側は全面が高分子被膜5で構成されている。 【0024】 ここで、上記耐電性手袋Gの各層または部材の詳細は、次の通りである。布または編物4は綿糸40番手引き揃えのメリヤスより形成されている。高分子被膜5は内側の発泡層51と外側の充実層52とよりなり、前者は天然ゴムの発泡体であり、厚み0,7mm、比重0,3である。後者は天然ゴムとポリイソプレンゴムとの等重量のブレンドゴムの充実体であり、厚み0,5mm、比重1,2である。 【0025】 耐電性手袋Gの製造方法について説明する。先ず、上記メリヤス4を手袋状に縫製する。この縫製物は、中指から嵌め口部の縁部までの長さが260mmである。アルミニウム製の手型(図示はしていない)に上記手袋状に縫製したメリヤス4を被装する。 この手型を凝固剤溶液(硝酸カルシウムをメタノールに溶解し、濃度50パーセントの溶液にしたもの)に浸漬し、70℃の乾燥室に15分間入れて乾燥した。乾燥後、室温で10分間静置し、下記配合の天然ゴム配合ラテックス(ミキサーにて3,5〜4,0倍に泡立てしたもの)の中に1分間浸漬し引き上げた。 このとき、浸漬は、中指から嵌め口部の縁部までの長さが300mmになるように行なった。 【0026】
ここで、チウラム系加硫剤分散体は、テトラメチルチウラムジスルフィド、50%NONOX WSL乳化剤は、ICI社(英国)の商品名、ペレックスIAは、花王(株)の商品名である。 【0027】 上記のようにして処理された手型外面に配合ラテックスにより、発泡した状態の厚み0,7mmの凝固層(この凝固層は後の工程で加硫されて発泡層51となる)を形成した。 このとき、凝固層の表面には、未凝固の発泡層が一部残っているので、空気を吹き付けて飛ばしたり、水シャワーで洗い落としたり、または水中に浸漬したりして除去した。このようにして処理し、発泡した凝固層の厚みは、上記配合ラテックスへの浸漬時間により調整することができる。 【0027】 更に、水道水にて10秒間水洗し、常温で風乾後、下記配合のブレンドゴム配合ラテックスに10秒間浸漬し、上記凝固層の外面に層を形成した。この操作を後1回行なった後、引き上げ、厚み0,5mmの充実層52を形成した。 上記浸漬は、中指から嵌め口部の縁部までの長さが300mmになるように行なった。 【0028】
ここで、ペレックスSSLは、花王(株)製のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、消泡剤は、信越化学工業((株))の商品名KW71シリコンエマルジョンを使用した。 【0029】 以後、全体を段階的に100℃に昇温し、発泡層51と充実層52とを乾燥した。乾燥後、100℃の加硫缶にて50分間加硫した。加硫後、手型から外し、図1及び図2に示すような耐電性手袋Gを得た。当該耐電性手袋Gの嵌め口部3の端部31(メリヤス4が存在せず、高分子被膜5だけの部分)の長さは40mmとなっている。 【0030】 上記耐電性手袋Gの耐電性試験の一つの例として下記の試験を行なった。一般に、電気回路の作業において、嵌めた手袋が濡れた状態であっても、感電事故から免れるためには、手袋を水中に浸漬して引き上げた後、電極間電圧750V(60HZ)において、充電電流が少なくとも10,0mA以下でなければならないと云われている。 【0031】 そこで、上記耐電性手袋Gを20個用意し、4等分した。JIS T8010−1979,4記載の装置を用い、そのうちの一群を2分間水中に浸漬し、他の三郡もそれぞれ、2時間、4時間、6時間浸漬し、引き上げ直ちに、電極間電圧750V(60HZ)での充電電流を測定した。 その結果、それぞれの充電電流は、0,13mA、0,32mA、0,43mA、1,49mAであり、嵌めた手袋が濡れた状態であっても、感電事故から免れうることが分かった。 【0032】 上記耐電性手袋Gの20個を、20人の作業者が嵌めて、晴天日に電柱での架線作業で8時間使用した。その翌日、この耐電性手袋Gの嵌め口部5を掌部側で横方向に2〜3回折り曲げて重ね、その重なった部分を略中央付近で縦方向に折り曲げて、曲げられた部分を左手で締め、耐電性手袋Gの膨れた部分を右手で押して圧迫した。 このようにして圧迫した耐電性手袋Gの全てにおいて、嵌め口部5の縁部からの空気の漏れは認められなかった。しかしながら、一個の耐電性手袋Gにおいて、親指の掌側で空気漏れが認められ、目では見えないピンホールが発生していることが分かった。 【0033】 なお、高分子被膜5の内側の発泡層51は、作業中の蒸れ等を考えて通気性のある連続気泡性の発泡体を使用したが、嵌め口部5を掌部側で横方向に2〜3回折り曲げて重ね、その重なった部分を略中央付近で縦方向に折り曲げて、曲げられた部分を左手で締め、耐電性手袋Gの膨れた部分を右手で押して圧迫したときに、発泡層51中の気泡は上記圧迫により潰れており、実質上、充実層と同じようになっていた。 従って、高分子被膜の内側に発泡層を使用しても、本発明の効果を阻害するものではないことが分かる。 【産業上の利用可能性】 【0034】 本発明の耐電性手袋は、電力会社や電気工事会社の電気回路作業の外、電気機械や電気機器の据付、点検、修理等の作業、及び家庭電器等の修理等にも使用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0035】 【図1】 本発明の耐電性手袋を、左手の掌側から見た正面図である。 【図2】 図1のA−A視拡大断面図である。甲側の断面図は省略してある。 【符号の説明】 【0036】 G 耐電性手袋 1 指部 2 中手部 3 嵌め口部 31 内側の嵌め口部3の端部 32 嵌め口部の一部 4 布または編物(メリヤス) 5 高分子被膜 51 発泡層 52 充実層
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| 【出願人】 |
【識別番号】504190685 【氏名又は名称】株式会社テクノ月星
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| 【出願日】 |
平成18年7月3日(2006.7.3) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−13892(P2008−13892A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月24日(2008.1.24) |
| 【出願番号】 |
特願2006−208984(P2006−208984) |
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