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【発明の名称】 衣服
【発明者】 【氏名】橘 良子

【要約】 【課題】前身ごろを表地と裏地と表地および裏地をつなぐつなぎ用表地から形成していても、スライドファスナのテープ部の縫い目からの水の浸入を効果的に防止し得、前立て等を省略しても、水の浸入を抑制し得る衣服の提供。

【構成】つなぎ用表地の一側縁部は、スライドファスナのテープ部の裏側に外層を表側にし内層を裏側にして重ねられて、一側縁部の内層に前記縫着による縫い目を含んでその近傍をシールする防水用テープが貼着され、しかも左右の前身ごろの何れか一方におけるつなぎ用表地は、スライドファスナを閉じた際に縫着された部分からエレメントどうしの合わせ部の裏側に対応するように延長されるとともに裏地側に向けて折返されて他側縁部が裏地に縫着されている構成の衣服。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の前身ごろが表地と裏地と表地および裏地をつなぐつなぎ用表地とを有して上下方向のスライドファスナによって開閉自在とされ、スライドファスナのテープ部は表地におけるスライドファスナの合わせ部側の裏側に重ねられ、つなぎ用表地における一側縁部はスライドファスナのテープ部の裏側に重ねられて表地のスライドファスナのエレメントどうしの合わせ部側、テープ部およびつなぎ用表地の一側縁部が縫着され、つなぎ用表地は外層と内層とを有して外層に水浸入防止のための加工が施され、つなぎ用表地はその一側縁部から表地の裏側に向けて折返されその他側縁部が裏地に縫着された衣服であって、
前記つなぎ用表地の一側縁部は、スライドファスナのテープ部の裏側に外層を表側にし内層を裏側にして重ねられて、該一側縁部の内層に前記縫着による縫い目を含んでその近傍をシールする防水用テープが貼着され、
しかも左右の前身ごろの何れか一方のつなぎ用表地は、スライドファスナを閉じた際に縫着された部分からエレメントどうしの合わせ部の裏側に対応するように延長されるとともに前記裏地側に向けて折返されて他側縁部が裏地に縫着されていることを特徴とする衣服。
【請求項2】
つなぎ用表地の延長した先端部が表側に折返されて、スライドファスナを閉じた際にスライドファスナのエレメントどうしの合わせ部の裏側に対応する位置に堰片が上下方向に形成され、折返した堰片の先端部は、スライドファスナのエレメントどうしの合わせ部よりも左右の前身ごろのうちの他方側に位置ずれしていることを特徴とする請求項1記載の衣服。
【請求項3】
表地およびつなぎ用表地は、外層が撥水加工を施された撥水生地とされ、内層は透湿性生地とされ、外層と内層との間に防水用テープに施した接着剤を内層から浸透させることで、接着剤が接着される貼着用層が設けられた積層構造であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の衣服。
【請求項4】
表地およびつなぎ用表地は、外層が撥水加工を施された撥水生地とされ、内層は防水用テープに施した接着剤が接着されるフィルムとされた積層構造であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の衣服。
【請求項5】
左右の前身ごろが表地と裏地と表地および裏地をつなぐつなぎ用表地とを有し、左右の前身ごろの合わせ部は、表地の裏側に上下方向のスライドファスナのテープ部が重ねられ、スライドファスナのテープ部の裏側につなぎ用表地における一側縁部が重ねられて縫着され、つなぎ用表地は撥水加工を施した外側の生地面と生地面の内側のフィルムから構成され、
つなぎ用表地の一側縁部はその生地面がテープ部に重ねられ、つなぎ用表地のフィルムに縫着による縫い目を覆うように防水用テープが貼着され、左右前身ごろのうち一方のつなぎ用表地における一側縁部が他方の前身ごろの合わせ部側に向けて延長され、延長された先端部が表側に折返されて、先端部がスライドファスナのエレメントどうしを噛合させた際に噛合部よりも他方の前身ごろ側に位置ずれする堰片が形成され、
堰片は前記裏地側に向けて折返されてつなぎ用生地の他側縁部が裏地に縫着されていることを特徴とする衣服。
【請求項6】
堰片を形成するつなぎよう生地のフィルムどうしが接着剤または接着用テープを介して接着されていることを特徴とする請求項5記載の衣服。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りの際に着用するレインスーツなどの衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
雨天時の魚釣りの際にレインスーツが着用されることがあり、この種の衣服は従来から種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。この種の衣服では、左右の前身ごろどうしをスライドファスナによって開閉するよう構成されている場合が多く、この場合スライドファスナのテープ部が左右の前身ごろの合わせ部に縫着されている。このような衣服では、前身ごろを表地だけで形成したもの、前身ごろを表地と裏地と表地および裏地をつなぐつなぎ用表地から形成したものがある。
【特許文献1】特開2004−44005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
レインスーツなどの衣服では、できるだけ水の浸入を抑えることが必要となる。しかしながら、左右の前身ごろにスライドファスナのテープ部を縫着すると、縫い目から水が浸入し易くなる。このため、縫い目から水の浸入を防止する手段が種々提案されている。一例として、スライドファスナのテープ部の縫い目に、前側すなわち人体側から防水用テープ(シームテープ)を貼着して、これによってスライドファスナのテープ部の縫い目から水が浸入するのを防止することが考えられる。
【0004】
ところで、レインスーツなどの衣服においては、前身ごろの生地は水の浸入を抑える工夫がなされている。例えば上記のように前身ごろが表地のみから形成されている場合では防水用テープを表地の裏面側から貼着することで縫い目を覆って効果的に防水するようにしている。しかしながら、前身ごろを表地と裏地と表地および裏地をつなぐつなぎ用表地から形成したものでは、つなぎ用表地の表面が表側に位置するようになる。そしてつなぎ用表地の表面に水の浸入を抑制する撥水加工が施されている場合などは、防水用テープを貼着しにくく、貼着したとしてもすぐに剥がれてしまい、防水性を保持できにくかった。
【0005】
そこで本発明は上記課題に鑑み、前身ごろを表地と裏地と表地および裏地をつなぐつなぎ用表地から形成していても、スライドファスナのテープ部の縫い目からの水の浸入を効果的に防止し得る衣服の提供を課題とする。
さらには、スライドファスナのエレメントどうしの合わせ部から水が浸入してくるのを防止するための前立て等を省略しても、水の浸入を抑制し得る衣服の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の衣服は、左右の前身ごろが表地と裏地と表地および裏地をつなぐつなぎ用表地とを有して上下方向のスライドファスナによって開閉自在とされ、スライドファスナのテープ部は表地におけるスライドファスナの合わせ部側の裏側に重ねられ、つなぎ用表地における一側縁部はスライドファスナのテープ部の裏側に重ねられて表地のスライドファスナのエレメントどうしの合わせ部側、テープ部およびつなぎ用表地の一側縁部が縫着され、つなぎ用表地は外層と内層とを有して外層に水浸入防止のための加工が施され、つなぎ用表地はその一側縁部から表地の裏側に向けて折返されその他側縁部が裏地に縫着され、前記つなぎ用表地の一側縁部は、スライドファスナのテープ部の裏側に外層を表側にし内層を裏側にして重ねられて、該一側縁部の内層に前記縫着による縫い目を含んでその近傍をシールする防水用テープが貼着され、しかも左右の前身ごろの何れか一方におけるつなぎ用表地は、スライドファスナを閉じた際に縫着された部分からエレメントどうしの合わせ部の裏側に対応するように延長されるとともに前記裏地側に向けて折返されて他側縁部が裏地に縫着されていることを特徴としている。
【0007】
上記構成の衣服では、つなぎ用表地において水浸入防止のための加工が施されていない内層に、縫い目を含んでその近傍をシールする防水用テープを貼着しているから、左右の前身ごろに表地、裏地、つなぎ用表地を有する衣服においてもこれらを縫着した縫い目から水が浸入するのを抑制し、しかもつなぎ用表地がスライドファスナを閉じた際にエレメントどうしの合わせ部の裏側に対応するように延長されているから、この延長した部分によって、エレメントどうしの合わせ部から浸入してきた水を止めることが可能となり、よってエレメントどうしの合わせ部から水が浸入してくるのを防止するための前立て等を省略することが可能となり、その分だけ衣服の構成が簡素化される。
【0008】
本発明の衣服は、つなぎ用表地の延長した先端部が表側に折返されて、スライドファスナを閉じた際にスライドファスナのエレメントどうしの合わせ部の裏側に対応する位置に堰片が上下方向に形成され、折返した堰片の先端部は、スライドファスナのエレメントどうしの合わせ部よりも左右の前身ごろの他方側に位置ずれしていることを特徴としている。
【0009】
上記構成の衣服によれば、堰片によってスライドファスナのエレメントどうしの合わせ部から浸入してきた水は、他方側の前身ごろ側にそれ以上浸入するのを防止し、水は堰片によって下方へ流れ、前身ごろの裏側へ浸入するのが抑制される。
【0010】
本発明の衣服では、表地およびつなぎ用表地は、外層が撥水加工を施された撥水生地とされ、内層は透湿性生地とされ、外層と内層との間に防水用テープに施した接着剤を内層から浸透させることで、接着剤が接着される貼着用層が設けられた積層構造であることを特徴としている。
【0011】
上記構成の衣服によれば、防水用テープの接着剤が内層を浸透して貼着用層に至ることにより、防水用テープを内層に確実に貼着することが可能となって、外層で水の撥水を行い、且つ縫い目からの水の浸入が確実に抑制される。
【0012】
本発明の衣服では、表地およびつなぎ用表地は、外層が撥水加工を施された撥水生地とされ、内層は防水用テープに施した接着剤が接着されるフィルムとされた積層構造であることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、防水用テープの接着剤が内層に直接接着されるから、防水用テープの接着が容易で、外層で水の撥水を行い、且つ縫い目からの水の浸入が確実に抑制される。
【0014】
本発明の衣服は、左右の前身ごろが表地と裏地と表地および裏地をつなぐつなぎ用表地とを有し、左右の前身ごろの合わせ部は、表地の裏側に上下方向のスライドファスナのテープ部が重ねられ、スライドファスナのテープ部の裏側につなぎ用表地における一側縁部が重ねられて縫着され、つなぎ用表地は撥水加工を施した外側の生地面と生地面の内側のフィルムから構成され、つなぎ用表地の一側縁部はその生地面がテープ部に重ねられ、つなぎ用表地のフィルムに縫着による縫い目を覆うように防水用テープが貼着され、左右前身ごろのうち一方のつなぎ用表地における一側縁部が他方の前身ごろの合わせ部側に向けて延長され、延長された先端部が表側に折返されて、先端部がスライドファスナのエレメントどうしを噛合させた際に噛合部よりも他方の前身ごろ側に位置ずれする堰片が形成され、堰片は前記裏地側に向けて折返されてつなぎ用生地の他側縁部が裏地に縫着されていることを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、つなぎ用表地のフィルムに、縫い目を含んでその近傍をシールする防水用テープを直接貼着しているから、防水用テープの貼着が容易であり、しかも左右の前身ごろに表地、裏地、つなぎ用表地を有する衣服においてもこれらを縫着した縫い目から水が浸入するのを抑制し、さらにつなぎ用表地がスライドファスナを閉じた際にエレメントどうしの噛合部の裏側には堰片があることになるから、噛合部から浸入してきた水を止めることが可能となり、よってエレメントどうしの噛合部から水が浸入してくるのを防止するための前立て等を省略することが可能となり、その分だけ衣服の構成が簡素化される。
【0016】
本発明の衣服では、堰片を形成するつなぎよう生地のフィルムどうしが接着剤または接着用テープを介して接着されていることを特徴としている。この構成によれば、堰片を生地を折返すことによって形成していたとしても、堰片が型崩れするのを防止して、浸入してきた水のさらなる浸入を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、つなぎ用表地において水浸入防止のための加工が施されていない内層に、縫い目を含んでその近傍をシールする防水用テープを貼着しているから、左右の前身ごろに表地、裏地、つなぎ用表地を有する衣服においてもこれらを縫着した縫い目から水が浸入するのを防止でき、しかもつなぎ用表地がスライドファスナを閉じた際にエレメントどうしの合わせ部の裏側に対応するように延長されているから、この延長した部分によって、エレメントどうしの合わせ部から浸入してきた水を止めることが可能となり、よってエレメントどうしの合わせ部から水が浸入してくるのを防止するための前立て等を省略することが可能となり、その分だけ衣服の構成が簡素化され、衣服の着用者は衣服が簡素化された分だけ着用に際して違和感がなく、動き易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る衣服は、魚釣りの際に着用される衣服を、レインスーツの上衣を例に図面に基づいて説明する。図1は上衣の全体概略正面図、図2は図1におけるA−A線断面図、図3はスライドファスナを閉じた状態のA−A線拡大断面図、図4は防水用テープをつなぎ用表地に貼着した状態の断面図である。
【0019】
図1に示すように、上衣1は左右の前身ごろ3A,3Bからなる前身ごろ3と、後身ごろ4と、左右の袖6を有し、左右の前身ごろ3A,3Bの合わせ部20,21にスライドファスナ7のテープ部10,11がそれぞれ縫着されている。なお、合わせ部20,21はスライドファスナ7を閉じた際、すなわちスライドファスナ7のエレメント7e,7fどうしを噛合させた際、実際には接触するものではないが、ここでは、左右の前身ごろ3A,3Bにおけるスライドファスナ7のテープ部10,11が縫着される部分の上下方向の領域を、合わせ部と称する。
【0020】
上衣1は、ネック部(カラー)1Aの高いハイネック状の構成を有する。そして該ネック部1Aの上端部までスライドファスナ7が達していて、着用者Hの顎に対して外側にスライドファスナ7の上端部7a,7bが位置する。上衣1の外皮生地は防水性、防寒性に優れたものを用いており、ネック部1Aが高いため、上衣1は防寒性に優れる。上衣1は、左前身ごろ3B(ネック部1A)の上端部に上下方向に長く全体として略長方形の顎ガード19を有している。該顎ガード19は第一スライドファスナ7の裏側(着用者Hの身側)に位置し、左端部において左前身ごろ3Bの内面に縫着され、その縫着による取付け部を支点として左右に回動可能となっている。顎ガード19の右端部上部19aは斜め(C面取り状)に切欠かれている。
【0021】
スライドファスナ7は、上衣1の左右幅方向中心に設けられて、それぞれのテープ部10,11を上衣1の左右幅方向中心に上下方向(丈方向)に沿うよう縫着することで左右合わせ部20,20に設けられている。第一スライドファスナ7の開閉操作は引手7cを把持してスライダ7dを上下にスライドさせることで行う。
【0022】
図2および図3に示すように、前身ごろ3(後身ごろ4も同様)は、透湿性生地に撥水処理が施されてなる表地14と、通気性の良好な裏地15を備えている。
【0023】
表地14は前記撥水処理が施された外層としての外生地16と、内層としての透湿性生地からなる内生地17と外生地16および内生地17の間のメンブレン18(フィルム)との積層構造を有する(図4参照)。
【0024】
合わせ部20,21における表地14と裏地15とは、表地14と同一の生地によって形成されたつなぎ用表地12,13によってつながれている。なお、つなぎ用表地12,13は、表地14の合わせ部20,21と裏地15とを渡すようにつなぐ生地であり、表地14と同一のものを用いているため、ここではつなぎ用表地と称している。
【0025】
ここで、左右の前身ごろ3,4の合わせ部20,21の構造にについてさらに詳しく説明する。左右何れの前身ごろ3,4にも同様に、合わせ部20,21は裏側(人体側)から順につなぎ用表地12,13、スライドファスナ7のテープ部10,11、表地14の順に重ねて縫着されることで一体化されている。一方の合わせ部20の表地14の合わせ部側縁部22は、上衣1の左右方向内側で表側から裏側に折返されて一方のスライドファスナ7のテープ部10縫着される。
一方の合わせ部20のつなぎ用表地12の合わせ部側縁部23(一側縁部に相当する)は、スライドファスナ7のテープ部10の裏側で重ねて縫着される縫着片24と、縫着片24から裏側に折返されて他側縁部29が裏地15に縫着される被覆部26とを有している。縫着片24はテープ部10側(表側)が撥水処理を施された外生地16となり前側が内生地17となるようテープ部10に重ねられている。
【0026】
縫着片24と被覆部26との連続部となる折返し端縁23aは、スライドファスナ7のエレメント7eの裏側にほぼ対応する位置にある。この構成により、テープ部10と縫着片24との間に、ある程度の左右方向幅を有する隙間32ができるようになっている。
【0027】
縫着片24の裏側、すなわち内生地17に縫い目33を中心としてその左右側近傍を含む縫着部35に沿ってこれを覆うように、防水用テープ(シームテープ)37が、ヒートシールによって貼着されている。さらに、縫着片24と被覆部26とは接着剤30あるいは接着用テープ(ホット・メルト)によって接着されている。被覆部26の他側縁部29である裏地側端部は、裏地15に縫着されている。
【0028】
防水用テープ37の貼着構造について図4を参照して説明すると、所定の左右幅を有する防水用テープ37を、縫い目33を中心として防水用テープ37の接着剤37aを内生地17に接触させ、防水用テープ37を外生地16側に加圧しつつ加熱することで、接着剤37aが内生地17から浸透してメンブレン18に至り、接着剤37aがメンブレン18と一体化することで、防水用テープ37が縫着片24の裏側(内生地17)に縫い目33を覆うようにして止水部分を形成しているものである。
【0029】
他方の合わせ部21のつなぎ用表地13の合わせ部側縁部23は、スライドファスナ7のテープ部11の裏側に、撥水加工が施された外生地16における外側の生地面が重ねて縫着される縫着片25と、縫着片25から折返されて裏地15に縫着される被覆部27と、生地を一方の合わせ部21側に延長して形成した堰片40とを有している。つなぎ用表地13の合わせ部側縁部23においては、内生地17が裏側(外生地16が表側)になるようテープ部11に重ねられている。テープ部11、縫着片25は、縫い目33を中心として回動自在であって、テープ部11と縫着片25との間に、前記縫着片24と被覆部26との連続部である折返し端縁23aが挿入可能となっている。
【0030】
縫着片25の裏側、すなわち縫着片25の内生地17に、縫い目33を中心としてその左右側近傍を含む縫着部36に沿ってこれを裏側から覆うように、防水用テープ(シームテープ)38が、ヒートシールによって貼着されている。防水用テープ37の貼着構造については、図4で説明した場合と同様であるので、その説明するを省略する。
【0031】
堰片40の構成は、縫着片25の生地を一方の合わせ部20側に延長して左右方向外側(他方の合わせ部21側)かつ表側に一端折返した第一折返し生地片40aと、第一折返し生地片40aの左右方向外側の端縁40bからさらに左右方向内側(一方の合わせ部20側)に折返すことで形成した第二折返し生地片40cとを備えており、さらに生地を縫着片25の裏側へ延長させることで生地は前記被覆部27とされている。第一折返し生地片40aと第二折返し生地片40cとの間、すなわち生地の第一折返し生地片40aと第二折返し生地片40cの裏側どうしは、接着剤30あるいは接着用テープ(ホット・メルト)によって接着されている。このような堰片40においては、縫着片25、第一折返し生地片40aおよび第二折返し生地片40cの左右方向内側が一体に縫着されている。これにより、縫い目33aを中心に堰片40が回動可能となって、堰片40の左右方向外側と縫着片25との間の隙間40dに、水が堰き止められる構成となっている。
【0032】
つなぎ用表地13の合わせ部側縁部23においては、内生地17が裏側(外生地16が表側)になるようテープ部11に重ねられているから、上記のような第一折返し生地片40aおよび第二折返し生地片40cを有する堰片40を形成した場合、被覆部27においては、その裏側が外生地16となっている。
【0033】
堰片40は、スライドファスナ7のエレメント7e,7fを閉じた姿勢で、前記一方の合わせ部20における被覆部26の裏側に位置するものである。すなわち、堰片40は、スライドファスナ7のエレメント7e,7fを閉じた姿勢で、スライドファスナ7のエレメント7e,7fに裏側に対応するものである。さらに具体的に、エレメント7e,7fを閉じた状態では、堰片40はその端縁40bが、エレメント7e,7fどうしの噛合部(合わせ部)Pと表裏方向で同位置となるか、端縁40bが噛合部Pに対して一方の合わせ部20側に左右距離δだけ位置ずれするように設定されている。
【0034】
上記構成において、着用者Hが上衣1を着用してスライドファスナ7のエレメント7e,7fを開いた状態からスライドファスナ7の引手7cを把持してスライダ7dを上方にスライドさせるようにして閉じると、堰片40は被覆部26の裏側に位置するようになる。上衣1の着用時が雨天であったり、上衣1の着用場所が釣場であったりすると、雨や波等、水が上衣1の前身ごろ3にかかる場合が頻繁に発生し、スライドファスナ7のエレメント7e,7fの噛合部Pから水が浸入しやすいが、浸入した水は、先ず縫着部24の撥水加工された生地で止められる。被覆部26で止められなかった水が裏側に至ると、その水は堰片40側に至ることになる。しかしながら、堰片40の端縁40bは、エレメント7e,7fどうしの噛合部Pと表裏方向で同位置となるか、端縁40bが隙間32側に左右距離δだけ位置ずれするように設定されており、水が接触する面には撥水加工が施されているから、エレメント7e,7fの噛合部Pから浸入した水は、堰片40の隙間40dに入って、堰片40によって水が堰き止められ、堰き止められた水はそれ以上一方の合わせ部20側に浸入しなくなる。そして堰き止められた水は、堰片40の隙間40dを伝って下方へ移動して上衣1から排出される。
【0035】
さらに、堰片40において、第一折返し生地片40aと第二折返し生地片40cとの間、すなわち生地の第一折返し生地片40aと第二折返し生地片40cの裏側どうしは、接着剤30あるいは接着用テープによって接着されているから、堰片40は型崩れしにくく、したがって単に生地の折返しによって堰片40を形成した場合にくらべて、確実にしかも長期的に防水性を保持することが可能となっている。
【0036】
さらに、表地14の外生地16には撥水加工が施されているからこの撥水加工により水の浸入を防止し、さらに合わせ部20,21における縫着部35には、縫い目33に沿ってこれを覆うように防水用テープ37,38がつなぎ用表地12,13の内生地17から、つなぎ用表地12,13に強固に貼着されて縫い目33を被覆しているから、縫い目33から水が浸入したとしても、防水用テープ37,38によって上衣1の裏側まで水が浸入するのを防止することができる。
【0037】
このように、スライドファスナ7のエレメント7e,7fの噛合部Pから浸入した水を堰片40によって堰き止め、縫い目30から浸入した水を防水用テープ37,38によって止水するから、従来水の浸入のために上衣1に設けていた前立て等を省略することができる。しかもスライドファスナ7のエレメント7e,7fを閉めるだけの上記のようにして水の浸入を抑制することができる構成としていることから、上衣1の装着が簡単であり、上衣1には前立て等がないことから、上衣1が軽量になるとともに前身ごろ30の合わせ部20,21が分厚くならず、したがって着用感が良好であり、着用した状態での着用者Hの動作も楽になる。
【0038】
なお、縫着片24と被覆部26とは接着剤30によって接着されていることから貼着部分である縫着片24と被覆部26の端縁が離脱しにくい構造となっているから、縫着片24と被覆部26の形状が変化しにくく、したがって、縫着片24と被覆部26との連続部となる折返し端縁23aが、スライドファスナ7のエレメント7eの前側にほぼ対応する位置、あるいはさらに他方側に延長した位置にあったとしても、スライドファスナ7を閉じる際に縫着片24、被覆部26がスライドファスナ7のエレメント7e,7fに噛込まれるという状態を効果的に回避することができる。
【0039】
図5に別の実施形態を示す。この図に示した実施形態において、図1ないし図4の構成と異なる部分を説明する。この異なる部分は、堰片40が二枚の別生地で形成されている点にある。但し、縫着片25に第一折返し生地片40aに相当する部分を有することを共通として、第二折返し生地片40cに相当する部分を第一折返し生地片40aとは別体の生地である連成生地50として、連成生地50を介して第一折返し生地片40aと被覆部27とを一体化するよう縫着している。一体化するための手段として、第一折返し生地片40aを連成生地50(第二折返し生地片40c)側に折返し、連成生地50の左右方向両側を裏側に折返して、折返し部分をそれぞれ第一折返し生地片40a(縫着片25)、被覆部27に縫着している。ここで連成生地50は、表地14と同一の生地を用いており、表側が外生地16となるよう第一折返し生地片40a、被覆部27に縫着されている。
【0040】
第一折返し生地片40aと連成生地50の縫着部における端縁40bの位置とエレメント7e,7fどうしの噛合部(合わせ部)Pとの位置関係は、上記実施形態と同様である。また、他の構成は上記図1ないし図4で示した実施形態と同様であるから、同一の符号を付してその説明を省略する。この実施形態においても、堰片40によって水の浸入を効果的に防止することができる。他の作用効果は、上記実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0041】
上記各実施形態では堰片40を設けているが、単につなぎ用表地を、スライドファスナを閉じた際に縫着された部分からエレメントどうしの合わせ部の裏側に対応するように延長することで止水が可能であれば、堰片40を設けることは必ずしも必要ではない。
【0042】
上記各実施形態では、つなぎ用表地13は、撥水処理が施された外層としての外生地16と、内層としての内生地17と外生地16および内生地17の間のメンブレン18との積層構造を有するものを用いたが、これに限定されるものではなく、内生地17を省略して外生地16およびメンブレン18とからなる積層構造の生地を用いることも可能である。この場合では、防水用テープ37,38をメンブレン18に直接貼着することができるので、内生地17を介して防水用テープ37,38を貼着する場合に比べて、その作業が楽になる。
【0043】
さらに、表地14はメンブレン18を積層した構造とした生地とすることに限定されず、例えばメンブレン18を積層することなく、透湿性の生地の表面に撥水加工を施したもののみから構成することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態を示す上衣の全体概略正面図
【図2】同じく図1におけるA−A線断面図
【図3】同じくスライドファスナを閉じた状態のA−A線拡大断面図
【図4】防水用テープをつなぎ用表地に貼着した状態の断面図
【図5】別の実施形態を示しており図2に相当する線断面図
【符号の説明】
【0045】
1…上衣、3A,3B…左右の前身ごろ、7…スライドファスナ、7e,7f…エレメント、10,11…テープ部、12,13…つなぎ用表地、14…表地、15…裏地、16…外生地、17…内生地、18…メンブレン、19…顎ガード、20,21…合わせ部、23a…折返し端縁、24…縫着片、26…被覆部、27…被覆部、33…縫い目、35,36…縫着部、37…防水用テープ、37a…接着剤、40…堰片、40a…第一折返し生地片、40b…端縁、40c…第二折返し生地片、P…噛合部(合わせ部)、δ…左右距離
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇

【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一

【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭

【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉


【公開番号】 特開2008−13861(P2008−13861A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183582(P2006−183582)