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【発明の名称】 乳化剤組成物及び水中油型エマルジョン
【発明者】 【氏名】峯村 剛

【氏名】新井田 沙亜梨

【氏名】瀬川 丈史

【要約】 【課題】コエンザイムQ10などの非水溶性物質を多量に含有でき、耐アルコール性・耐塩性に優れる水中油型エマルジョンを製造するための乳化剤組成物を提供すること。

【解決手段】本発明の乳化剤組成物は、特定の要件を満たす(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルと(B)ショ糖と脂肪酸とのモノエステルと(C)レシチンと(D)有機酸モノグリセライドとからなる。その乳化剤組成物を含み、平均粒子径70〜300nmである水中油型エマルジョンを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)平均重合度5〜15のポリグリセリンと炭素原子数8〜22の脂肪酸とのエステルであるポリグリセリン脂肪酸エステル、
(B)ショ糖と、炭素原子数8〜22の脂肪酸とのエステルであるショ糖脂肪酸エステル、
(C)レシチン
を含む乳化剤組成物であって、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル100重量部に対し、(B)ショ糖脂肪酸エステルを5〜35重量部、(C)レシチンを2〜25重量部の量で含むことを特徴とする乳化剤組成物。
【請求項2】
さらに(D)有機酸モノグリセライドを2〜20重量部の量で含むことを特徴とする請求項1に記載の乳化剤組成物。
【請求項3】
前記(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、平均重合度3〜6の短鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルと平均重合度7〜15の長鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルとを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の乳化剤組成物。
【請求項4】
非水溶性物質0.1〜40重量%と、請求項1〜3のいずれかに記載の乳化剤組成物2〜50重量%と、水性成分10〜97.9重量%との量で含むことを特徴とする水中油型エマルジョン。
【請求項5】
非水溶性物質がコエンザイムQ10であることを特徴とする請求項4に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項6】
エマルジョンの平均粒子径が70〜300nmであることを特徴とする、請求項4または5に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載の水中油型エマルジョンが添加されていることを特徴とする食品類。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、耐アルコール性に優れる水中油型エマルジョンを製造するための乳化剤組成物、およびこれを用いた水中油型エマルジョンに関する。より詳しくは、耐アルコール性に優れるだけでなく、耐熱性、耐酸性、耐塩性にも優れた乳化剤組成物およびこれを用いた水中油型エマルジョンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康食品市場は大きな成長を遂げてきており、美容、健康、ダイエット等に効果を有する機能性素材を含有する飲料も多種多様化してきた。機能性素材には、疎水性・油溶性である非水溶性物質が多く存在し、飲料にこれら機能性素材を配合する場合において、何らかの方法にて乳化させ、水溶化する必要がある。一般的には、乳化剤を用いてこれら機能性素材を水中油型エマルジョンにする方法が採用されている。
【0003】
このように機能性素材に対する要求が多様化してきたことから、飲料または食品などの食品類にはビタミン類、アミノ酸、機能性脂質、生薬抽出エキスなどの様々な成分が配合されている。たとえば、健康飲料としてコエンザイムQ10を配合した水中油型エマルジョンが注目されており、機能を多様化するため、このエマルジョンにさらに生薬・植物などの抽出エキス成分を配合することが望まれている。
【0004】
これらの食品類を工業的に生産する場合、水中油型エマルジョンが安定に使用される必要があるため、水中油型エマルジョンの特性として殺菌工程に耐えうる耐熱性、幅広いpH条件に耐えうる耐酸性が要求される。しかしながら、生薬・植物などの抽出エキス成分にはエタノールが含まれているため、このエタノールが乳化を破壊する外的要因となってしまい、乳化状態を維持するのが困難となる。したがって、耐熱性、耐酸性に加え、耐アルコール性にも優れた水中油型エマルジョンの開発が望まれており、これまで種々の検討がなされてきた。
【0005】
特許文献1には、ショ糖パルミチン酸エステルおよびまたはショ糖ステアリン酸エステルを用いて、クリームリカー組成物を安定化する技術が開示され、特許文献2には、微細結晶セルロースを用いる技術が開示されている。また、特許文献3には、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびイオン性乳化剤を組み合わせる方法が開示され、特許文献4には、乳化剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及び有機酸モノグリセライドを用いた技術が開示されている。
【0006】
しかし、これらに開示された乳化剤組成物のいずれを用いても、エタノールなどのアルコール溶液中で長期的な乳化安定性を維持できる水中油型エマルジョンを製造するにはいまだ困難を伴うものであった。
【特許文献1】特開平5−219885号公報
【特許文献2】特開平8−173135号公報
【特許文献3】特開2005−143424号公報
【特許文献4】特開2003−284510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、非水溶性物質を多量に含有でき、耐アルコール性に優れる水中油型エマルジョンを製造するための乳化剤組成物を提供することを目的としている。
また、本発明は、この乳化剤組成物を用い、耐アルコール性だけでなく、耐熱性、耐酸
性、および耐塩性にも優れた水中油型エマルジョンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の乳化剤組成物は、
(A)平均重合度5〜15のポリグリセリンと炭素原子数8〜22の脂肪酸とのエステルであるポリグリセリン脂肪酸エステル、
(B)ショ糖と、炭素原子数8〜22の脂肪酸とのエステルであるショ糖脂肪酸エステル、
(C)レシチン
を含む乳化剤組成物であって、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル100重量部に対し、(B)ショ糖脂肪酸エステルを5〜35重量部、(C)レシチンを2〜25重量部であることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の乳化剤組成物は、さらに(D)有機酸モノグリセライドを2〜20重量部の量で含んでいてもよい。
さらに、前記(A)は、平均重合度3〜6の短鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルと平均重合度7〜15の長鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルであるのが好ましい。
【0010】
本発明の水中油型エマルジョンは、非水溶性物質0.1〜40重量%と、請求項1〜3のいずれかに記載の乳化剤組成物2〜50重量%と、水性成分10〜97.9重量%との量で含むことを特徴とする。
【0011】
前記非水溶性物質はコエンザイムQ10であるのが好ましい。
本発明の水中油型エマルジョンの平均粒子径は70〜300nmであるのが好ましい。
本発明の水中油型エマルジョンは食品類に添加されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の乳化剤組成物によれば、耐アルコール性に優れる水中油型エマルジョンを製造することができる。
本発明の水中油型エマルジョンは、耐アルコール性が良好で、30重量%という高濃度アルコール溶液中に添加した際にも長期的に安定な乳化状態を保持することができる。さらに、耐熱性、耐酸性も良好であるので、機能性素材や生薬、エキス類などを多種配合した飲料または食品などの食品類において、高い安定性を維持することができる。また、水中油型エマルジョンの平均粒子径を一定の範囲にすることで、より耐塩性を向上させることができる。
【0013】
特にコエンザイムQ10などを配合した健康飲料、健康食品等の製造に好適な乳化剤組成物及び水中油型エマルジョンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に本発明の乳化剤組成物、および水中油型エマルジョンについて具体的に説明する。
<乳化剤組成物>
本発明の乳化剤組成物は、(A)平均重合度5〜15のポリグリセリンと炭素原子数8〜22の脂肪酸とのエステルであるポリグリセリン脂肪酸エステル、(B)ショ糖と、炭素原子数8〜22である脂肪酸とのモノエステルであるショ糖脂肪酸エステル、(C)レシチンを含むことを特徴としている。
【0015】
[(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル]
本発明の乳化剤組成物に用いられる(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、成分(A)ともいう)は、平均重合度5〜15のポリグリセリンと炭素原子数8〜22の脂肪
酸とのエステルである。平均重合度5〜15のポリグリセリンとは、具体的には、たとえば、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリン、ドデカグリセリン、ウンデカグリセリンなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0016】
炭素原子数8〜22の脂肪酸とは、具体的には、たとえば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、アラキジン酸、エルカ酸などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0017】
成分(A)は上記ポリグリセリンと脂肪酸がエステル結合したものであり、モノエステルであっても、ジエステルであっても、トリエステルであってもよい。モノエステルとしては、具体的には、たとえば、ペンタグリセリンモノラウレート、ペンタグリセリンモノオレート、ペンタグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノステアレートなどが挙げられる。
【0018】
ジエステルとしては、具体的には、たとえば、ペンタグリセリンジラウレート、ペンタグリセリンジミリステート、ペンタグリセリンジステアレート、デカグリセリンジオレート、デカグリセリンジステアレートなどが挙げられる。
【0019】
トリエステルとしては、具体的には、たとえば、ペンタグリセリントリラウレート、ペンタグリセリントリミリステート、ペンタグリセリントリステアレート、デカグリセリントリオレート、デカグリセリントリステアレートなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0020】
短鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルとは、平均重合度3〜6、好ましくは、平均重合度5〜6の短鎖ポリグリセリンと、炭素原子数8〜22の脂肪酸、好ましくは炭素原子数14〜18の脂肪酸とがエステル結合したものであり、モノエステル、ジエステル、トリエステルであってもよい。短鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、ペンタグリセリンモノオレート、ペンタグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリンモノオレート等が挙げられる。好ましくは、ペンタグリセリンモノオレート、ペンタグリセリンモノステアレートである。
【0021】
長鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルとは、平均重合度7〜15、好ましくは平均重合度10の長鎖ポリグリセリンと、炭素原子数8〜22の脂肪酸、好ましくは炭素原子数14〜18の脂肪酸とのモノエステル、ジエステル、トリエステルである。長鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、デカグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノリノレート等が挙げられる。好ましくは、デカグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノステアレートである。
【0022】
ポリグリセリンの平均重合度が5未満であると、製造される水中油型エマルジョンの耐アルコール性が悪くなるおそれがある。ポリグリセリンの平均重合度が10を超えても特に問題はないが、食品用としてはあまり流通していないため、入手が困難となるおそれがある。
【0023】
脂肪酸の炭素原子数が8未満のものの使用は、製造される水中油型エマルジョンの耐アルコール性が悪くなるおそれがあり、脂肪酸の炭素原子数が22を超えるものは工業的な規模での入手が困難となるおそれがある。
【0024】
成分(A)として、これら短鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルと長鎖ポリグリセリン脂
肪酸エステルとを組み合わせて使用すると、より安定性の高い水中油型エマルジョンを製造することができる。具体的には、デカグリセリンモノステアレートまたはデカグリセリンモノオレートおよび、ペンタグリセリンモノステアレートまたはペンタグリセリンモノオレートとを組み合わせて使用することが好ましい。
【0025】
[(B)ショ糖脂肪酸エステル]
本発明の乳化剤組成物に用いられる(B)ショ糖脂肪酸エステル(以下、成分(B)ともいう)は、ショ糖と、炭素原子数8〜22の脂肪酸、好ましくは炭素原子数14〜18の脂肪酸とのモノエステルである。
【0026】
脂肪酸の炭素原子数が8未満であると、製造される水中油型エマルジョンの安定性が劣る傾向にあり、炭素原子数が22を超える脂肪酸は、工業的な規模での入手が困難となるおそれがある。
【0027】
成分(B)とは、具体的には、たとえば、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等が挙げられる。なかでもショ糖ステアリン酸エステル、またはショ糖ミリスチン酸エステルが好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0028】
本発明において、乳化剤組成物中の成分(B)の含有量は、成分(A)100重量部に対して、5〜35重量部、好ましくは10〜30重量部の量である。
成分(B)の含有量が5重量部未満であると、後述する(C)レシチンの使用の有無にかかわらず、製造される水中油型エマルジョンにおいて充分な耐アルコール性が得られなくなるおそれがある。また、成分(B)の含有量が35重量部を超えると、製造される水中油型エマルジョンにおいて耐アルコール性が低下するおそれがあるとともに、粘度が高くなる可能性があり、食品類に適用しにくくなる。
【0029】
[(C)レシチン]
本発明の乳化剤組成物に用いられる(C)レシチン(以下、成分(C)ともいう)は、大豆、卵黄等を原料とする天然由来のレシチンである。具体的には、たとえば、植物レシチン(たとえば、大豆レシチン、コーンレシチン、ナタネレシチン等)、卵黄レシチン、分別レシチン、酵素分解レシチン等が挙げられ、これらの中でも、大豆レシチン、卵黄レシチン、酵素分解レシチンが好ましい。
【0030】
分別レシチンは、植物レシチンや卵黄レシチンからエタノールなどの有機溶媒を用い、溶解度の差を利用して特定成分を分画して得られる。酵素分解レシチンは、植物レシチン、卵黄レシチン、分別レシチン等にホスホリパーゼを作用させて、加水分解、転移反応等を行わせることによって得られる。酵素分解レシチンは、レシチンの種類やホスホリパーゼの種類によって種々のものが得られるが、本発明においては、これらを総称して酵素分解レシチンという。本発明においては、いずれの種類の酵素分解レシチンであってもよい。また、これらのレシチンを1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0031】
このように、本発明の乳化剤組成物に成分(C)を配合することにより、後述する本発明の乳化剤組成物を用いた水中油型エマルジョンにおいて、非水溶性物質からなる油性成分を水性成分中に適度に分散させることができ、かつこの分散された状態(乳化状態)を長期間にわたって維持することができるという優れた効果を奏する。
【0032】
本発明において、乳化剤組成物中における成分(C)の含有量は、成分(A)100重量部に対して、2〜25重量部、好ましくは3〜15重量部、より好ましくは3〜10重
量部の量である。成分(C)の含有量が2未満であると、成分(B)の使用にかかわらず、製造される水中油型エマルジョンにおいて充分な耐アルコール性が得られなくなる。
【0033】
成分(C)の含有量が25を超えると、製造される水中油型エマルジョンにおいて充分な耐塩性が得られなくなるおそれがある。また、食品類に添加した際に、乳化剤特有の味が食品類の味に悪影響を与えるおそれがある。
【0034】
[有機酸モノグリセライド(D)]
本発明の乳化剤組成物に、さらに有機酸モノグリセライド(D)(以下、成分(D)ともいう)を添加すると、製造される水中油型エマルジョンの耐アルコール性がより向上する。成分(D)は、有機酸とモノグリセライドとのエステルであり、このような有機酸モノグリセライドを誘導する有機酸としては、具体的には、たとえば、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸などが挙げられる。なかでも、コハク酸、またはクエン酸が好ましい。
【0035】
有機酸モノグリセライドとしては、具体的には、たとえば、コハク酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド等が挙げられる。なかでも、コハク酸モノグリセリドが好ましい。
【0036】
成分(D)の含有量は、成分(A)100重量部に対して、通常2〜20重量部、好ましくは3〜15重量部の量である。
[その他の成分]
本発明の乳化剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で前記成分(A)〜(D)の乳化剤に、モノグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、サポニンなどの他の乳化剤を加えてもよい。
【0037】
本発明の乳化剤組成物は、上述した各成分を、公知の方法で、撹拌、混合、加熱、溶解等することによって製造することができる。また、後述する水中油型エマルジョンを製造する際に上述した各成分を単体で適宜、本発明の組成比となるように添加して、使用してもよい。
【0038】
<水中油型エマルジョン>
本発明の水中油型エマルジョンは、上記本発明の乳化剤組成物、非水溶性物質、および水性成分を含むことを特徴としている。水中油型エマルジョンとは、互いに溶解しない2種の液体のうち水が連続相となり、油が微細な多数の液滴となって、水中に分散保持されている系を意味する。
【0039】
[非水溶性物質]
本発明の水中油型エマルジョンに用いられる非水溶性物質とは、食品類に用いられる水に不溶な物質を意味し、具体的には、油脂、油溶性ビタミン、油溶性香料、脂質、ユビキノンなどが挙げられる。油脂には、動物、植物、微生物を原料とする油脂または化学反応・酵素反応により得られる油脂が含まれる。具体的には、たとえば、マグロ油、イワシ油、サバ油、サンマ油、カツオ油、肝油、大豆油、シソ油、エゴマ油、カカオ脂、落花生油、ヤシ油、月見草油、ボラージ油、綿実油、ナタネ油、スクワレン、スクワラン、ラノリン、流動パラフィン、ホホバ油など、および、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどを配合した油脂が挙げられる。油溶性ビタミンとしては、具体的には、たとえば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンK、ビタミンPなどが挙げられる。油溶性香料としては、具体的には、たとえば、メントール、オレンジオイル、レモンオイル、ユズオイル、精油などが挙げられる。その他脂質などの例としては、具体的には、たと
えば、グリコシルセラミド、オクタコサノール、フィトステロール、コエンザイムQ10、α−リポ酸、リコピン、ベータカロチン、ルテインなどが挙げられる。これらのなかでも、コエンザイムQ10、トコフェロール、α−リポ酸などが好ましく、コエンザイムQ10がより好ましい。
【0040】
これらコエンザイムQ10、トコフェロール、α−リポ酸などの機能性素材を食品類に利用することは広く望まれており、本発明の乳化剤組成物または水中油型エマルジョンを食品類に使用すると、食品類に必須の特性である耐酸性、耐塩性のみならず、高い耐アルコール性が付与された製品を得ることができる。
【0041】
非水溶性物質の含有量は、0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%である。非水溶性物質の含有量が0.1重量%未満であると、飲料や食品に添加する際、非水溶性物質に対する水中油型エマルジョン中の乳化剤組成物と水性成分の相対量が多くなり、飲料や食品の保存状態や味に悪影響を与えるおそれがある。またこの場合、コスト高になる可能性がある。非水溶性物質の含有量が40重量%を超えると、水中油型エマルジョンの安定性が劣る傾向にあり、耐アルコール性が悪化するおそれがある。
【0042】
[水性成分]
本発明で使用する水性成分とは、水中油型エマルジョンの水相部となる水または多価アルコールを意味する。
【0043】
水としては食品類に使用できる水であれば特に制限はなく、たとえば、水道水、蒸留水などが挙げられる。多価アルコールとは、1分子中に2つ以上の水酸基を持つアルコールを意味し、具体的には、たとえば、プロピレングリコール、グリセリン、ブドウ糖、果糖、およびマルチトール、還元水飴、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどの糖アルコールが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、グリセリン、還元水飴、ブドウ糖と果糖との混合物(ブドウ糖果糖液糖)が好ましい。
【0044】
水中油型エマルジョン中の水性成分の含有量は、水中油型エマルジョン100重量%中、通常10〜97.9重量%、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは35〜70重量%の量である。
【0045】
水性成分の含有量が10重量%未満であると、得られる水中油型エマルジョンの安定性が悪化する傾向にある。水性成分の含有量が97.9重量%を超えると、非水溶性物質や乳化剤組成物の配合量が減少し、該水中油型エマルジョンを用いて製造された食品類を摂取しても所望の効果が得られにくくなる可能性がある。
【0046】
[その他の成分]
さらに、水中油型エマルジョンには本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分、たとえばグァーガム、キサンタンガム、アラビアガム、ペクチン等の増粘剤などを加えることもできる。
【0047】
<水中油型エマルジョンの各成分量>
本発明の水中油型エマルジョンは、上記乳化剤組成物2〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%、非水溶性物質0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%、および水性成分10〜97.9重量%、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは50〜85重量%からなる。
【0048】
さらに、本発明の水中油型エマルジョンは、上記非水溶性物質100重量部に対して、上記乳化剤組成物を通常10〜10000重量部、好ましくは30〜2500重量部、より好ましくは50〜500重量部の量で、水性成分を50〜90000重量部、好ましくは120〜9000重量部、より好ましくは200〜2000重量部の量で含有する水中油型エマルジョンであってもよい。。
【0049】
乳化剤組成物の含有量が2重量%未満であると、安定な水中油型エマルジョンを製造できない可能性があり、耐アルコール性も悪くなるおそれがある。乳化剤組成物の含有量が50重量%を超えると、飲料や食品の状態や味に悪影響を与えるおそれがあり、またコスト高になる可能性がある。
【0050】
[水中油型エマルジョンの製造方法]
本発明の水中油型エマルジョンは、従来公知の方法を用いて製造することができ、たとえば、以下のような方法を用いて製造することができる。
【0051】
成分(A)であるポリグリセリン脂肪酸エステルに水および多価アルコールを添加し、これをプロペラ等で強く攪拌しながら、成分(B)であるショ糖脂肪酸エステルを混合したものを少量ずつ添加していく。次いで攪拌力を弱め、75℃〜80℃まで加熱し乳化剤を完全に溶解させる。このようにして調製した水相部に、成分(C)であるレシチンを添加して溶解させた後、油相部として非水溶性物質を添加し、予備乳化物を調製する。この予備乳化物について、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、アルティマイザー、ナノマイザーなどの均質化処理機を使用することにより均質な状態の水中油型エマルジョンを得ることができる。この均質化処理を2回以上行ってもよい。また、均質化処理は前記の均質化処理機以外にも、超音波乳化機等の均質化処理機やTKホモミキサー、アジホモミキサー、ウルトラミキサー、クレアミックスなどのホモミキサーを用いることができる。
【0052】
乳化方法としては、自然乳化法、転相乳化法、ゲル乳化法、およびD相乳化法なども利用できる。また、これらの方法と前記均質化処理などの機械式乳化法を組み合わせて行ってもよい。
【0053】
[水中油型エマルジョンの平均粒子径]
水中油型エマルジョンの平均粒子径とは、水中において乳化剤によって安定に保持された油滴(球状ミセル)の直径の平均値を意味し、本明細書においては、光子相関法に基づき測定した値を平均粒子径とする。また、その測定装置としては、光子相関法によって数nm以上の範囲が測定できる、粒度分布測定装置N5型[ベックマン・コールター(株)製]を使用する。
【0054】
上記測定法により求めた本発明の水中油型エマルジョンの平均粒子径は、70〜300nmであるのが好ましく、70〜200nmであるのがより好ましい。平均粒子径が上記範囲内であると、長期間にわたって本発明の水性油型エマルジョンの種々の特性を保持しつつ、良好な乳化状態を維持することができる。
【0055】
たとえば、本発明の水中油型エマルジョンとアルコール濃度30%のアルコール水溶液とを混合した場合、混合後3ヶ月経過後においても上記平均粒子径の増大量が、通常50nm以下となり、高い耐アルコール性を示すこととなる。
【0056】
また、本発明の水中油型エマルジョンをpH=3に調整したクエン酸水溶液に添加・混合し、この溶液を85℃で30分間処理した際、7日後の上記平均粒子径の変化量が、好ましくは10〜50nm以下、より好ましくは10nm以下となる場合、高い耐酸・耐熱
性を示すこととなる。
【0057】
同様に、本発明の水中油型エマルジョンを、食塩を5%含有する精製水に、添加・混合し、この溶液を85℃で30分間処理した際、7日後の上記平均粒子径の変化量が、好ましくは10〜50nm以下、より好ましくは10nm以下となる場合、高い耐塩・耐熱性を示すこととなる。
【0058】
[水中油型エマルジョンの応用]
本発明の水中油型エマルジョンは、下記の飲料や食品などの食品類に添加することができる。
【0059】
本発明の水中油型エマルジョンを含有する飲料としては、食塩や炭酸カリウムなどのミネラル、酸味料、甘味料、アルコール、ビタミン、フレーバー、果汁の中から1種または2種以上を含む飲料であり、具体的には、たとえばスポーツ飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、アルコール飲料、ビタミン飲料、ミネラル飲料などのほか、加工乳、豆乳および体質改善のための飲料などを挙げることができる。
【0060】
また、生薬、ハーブ、植物のアルコール抽出エキスとして、たとえば田七人参エキス、朝鮮人参エキス、甘草エキス、黒胡椒エキス、松樹皮エキス、イチョウ葉エキス、セントジョーンズワートエキス、ローズマリーエキス等を含む飲料にも添加することができる。
【0061】
本発明の水中油型エマルジョンを利用できる食品としては、パン、ドーナツ、ケーキ、クッキー、ビスケット、キャンディー、ゼリー、生クリーム、アイスクリーム、チョコレートなどのパンや菓子;ヨーグルト、ハムなどの乳肉加工食品;薩摩揚げ、ちくわ、かまぼこなどの水産練り食品;醤油、味噌、ソース、たれ、ドレッシングなどの調味料;たくあん、奈良漬け、浅漬け、糠漬けなどの漬物;マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどの油脂加工食品;粉末飲料、粉末スープなどの粉末飲食品;カプセル状、タブレット状、粉末状、顆粒状の健康食品および栄養補助食品などを挙げることができる。また、高齢者用食品、経管経腸栄養剤などにも容易に添加することができる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。
非水溶性物質としてコエンザイムQ10を用いて水中油型エマルジョンを調製した実施例1〜4および比較例1〜7の組成を表1に、非水溶性物質としてマグロ油を用いた実施例5〜9および比較例8の組成を表3に、さらに、均質化処理を複数回行った実施例10〜13および比較例9の組成を表5に、それぞれ示した。なお、表中のB/AおよびC/Aは、成分(A)を100とした場合の成分(B)および成分(C)の割合を意味する。また、調製した水中油型エマルジョンの性能評価は、耐アルコール試験、耐酸・耐熱試験、耐塩・耐熱試験により行った。調製した水中油型エマルジョンの平均粒子径、および評価結果を表2、4、6に示した。
【0063】
(耐アルコール性試験)
調製した水中油型エマルジョンについて、アルコール濃度が30%のアルコール水溶液と混合し1ヶ月後または3ヵ月後の平均粒子径により耐アルコール性を評価した。表中の数字の単位はnmであり、また記号の○、△、×は以下の状態を表す。
【0064】
○:保存後に水中油型エマルジョンの平均粒子径変化が50nm以下に抑えられており、かつ沈殿物または嗅覚による油臭を認めず、安定な乳化を保持している。
△:保存後に水中油型エマルジョンの平均粒子径が50nm以上増大しているが、沈
殿物や分離等は認めず、乳化を保持している。
【0065】
×:保存後に水中油型エマルジョンの平均粒子径が50nm以上増大しており、かつ沈殿物や油臭が発現して乳化が安定に保持されていない。
(耐酸・耐熱試験)
pH=3に調整したクエン酸水溶液に、調製した水中油型エマルジョンを1重量%の濃度になるよう添加・混合し、この溶液を湯煎にかけ液温が85℃に達した時点より30分間加熱処理を行った。これを室温にて放冷し、7日後の平均粒径により耐酸・耐熱性を評価した。表中の数字の単位はnmであり、また記号の○、×は以下の状態を表す。
【0066】
○:保存後に水中油型エマルジョンの平均粒子径にほぼ変化が見られず(10nm以内)、安定である。
△:保存後に水中油型エマルジョンの平均粒子径が10〜50nm増大しており、若干不安定である。
【0067】
×:保存後に水中油型エマルジョンの平均粒子径が50nm以上増大しており、安定ではない。
(耐塩・耐熱試験)
同様に、食塩を5%含有する精製水に、調製した水中油型エマルジョンを1重量%添加し、この溶液を湯煎にかけ液温が85℃に達した時点より30分間加熱処理を行った。ここの溶液を室温にて放冷し、7日後の平均粒径により耐塩・耐熱性を評価した。表中の数字の単位はnmであり、また記号の○、×は以下の状態を表す。
【0068】
○:保存後に水中油型エマルジョンの平均粒子径がほぼ変化しておらず(10nm以内)、安定である。
△:保存後に水中油型エマルジョンの平均粒子径が10〜50nm増大しており、若干不安定である。
【0069】
×:保存後に水中油型エマルジョンの平均粒子径が50nm以上増大しており、安定ではない。
〔実施例1〕
デカグリセリンモノオレート[商品名:サンソフトQ−17S 太陽化学(株)製]3.0g、ペンタグリセリンモノステアレート[商品名:サンソフトQ−181E 太陽化学(株)製]0.5g、ショ糖ステアリン酸エステル[商品名:リョートーシュガーエステルS−1670 三菱化学フーズ(株)製]0.8g、酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチンW−1 太陽化学(株)製]0.2g、コエンザイムQ10[日清ファルマ(株)製]:4g、ブドウ糖果糖液糖[商品名:ニューフラクトF0 昭和産業(株)製]7.5g、水4gをガラス瓶に入れ、超音波乳化機にて処理し均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0070】
〔実施例2〕
実施例1のデカグリセリンモノオレート:3.0g、ペンタグリセリンモノステアレート:0.5g、ショ糖ステアリン酸エステル:0.8g、酵素分解大豆レシチン:0.2gを、デカグリセリンモノステアレート[商品名:サンソフトQ−18S 太陽化学(株
)製]2.5g、ペンタグリセリンモノオレート[商品名:サンソフトA−171E 太陽化学(株)製]1.0g、ショ糖ミリスチン酸エステル[商品名:リョートーシュガーエステルM−1695]0.7g、酵素分解大豆レシチン:0.3gとした以外は、実施例1
と全く同じ操作を行い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0071】
〔実施例3〕
実施例1のデカグリセリンモノオレート:3.0g、ペンタグリセリンモノステアレート:0.5g、ショ糖ステアリン酸エステル:0.8g、酵素分解大豆レシチン:0.2gを、デカグリセリンモノステアレート:2.9g、ペンタグリセリンモノステアレート:0.8g、ショ糖ミリスチン酸エステル:0.3g、酵素分解大豆レシチン:0.5gとした以外は、実施例1と全く同じ操作を行い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0072】
〔実施例4〕
実施例1のデカグリセリンモノオレート:3.0g、ペンタグリセリンモノステアレート:0.5g、酵素分解大豆レシチン:0.2gを、デカグリセリンモノステアレート:3.4g、酵素分解大豆レシチン0.3gとした以外は、実施例1と全く同じ操作を行い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0073】
〔比較例1〕
実施例1のデカグリセリンモノオレート:3.0g、ペンタグリセリンモノステアレート:0.5g、ショ糖ステアリン酸エステル:0.8g、酵素分解大豆レシチン:0.2gを、デカグリセリンモノオレート:2.7g、ペンタグリセリンモノオレート:0.8g、ショ糖ミリスチン酸エステル:1.0gとした以外は、実施例1と全く同じ操作を行い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0074】
〔比較例2〕
実施例1のデカグリセリンモノオレート:3.0g、ペンタグリセリンモノステアレート:0.5g、酵素分解大豆レシチン:0.2gを、デカグリセリンモノオレート2.5g、ペンタグリセリンモノステアレート:1.0g、キラヤサポニン[商品名:キラヤニ
ンC−100 丸善製薬(株)製]0.2gとした以外は、実施例1と全く同じ操作を行
い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0075】
〔比較例3〕
実施例1のデカグリセリンモノオレート:3.0g、ペンタグリセリンモノステアレート:0.5g、酵素分解大豆レシチン:0.2gを、デカグリセリンモノステアレート:2.5g、ペンタグリセリンモノステアレート:1.0g、モノグリセリンモノステアレート[商品名:エマルジーMS 理研ビタミン(株)製]0.2gとした以外は、実施例1と全く同じ操作を行い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0076】
〔比較例4〕
実施例1のデカグリセリンモノオレート:3.0g、ペンタグリセリンモノステアレート:0.5g、ショ糖ステアリン酸エステル:0.8g、酵素分解大豆レシチン:0.2gを、デカグリセリンモノオレート:2.7g、ペンタグリセリンモノオレート:1.4g、酵素分解大豆レシチン:0.4gとした以外は、実施例1と全く同じ操作を行い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0077】
〔比較例5〕
実施例1のデカグリセリンモノオレート:3.0g、ショ糖ステアリン酸エステル:0.8g、酵素分解大豆レシチン:0.2gを、デカグリセリンモノステアレート:3g、ショ糖ミリスチン酸エステル:0.95g、酵素分解大豆レシチン:0.05gとした以外は、実施例1と全く同じ操作を行い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0078】
〔比較例6〕
実施例1のショ糖ステアリン酸エステル:0.8g、酵素分解大豆レシチン:0.2gを、ショ糖ステアリン酸エステル:0.98g、酵素分解大豆レシチン:0.02gとした以外は、実施例1と全く同じ操作を行い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0079】
〔比較例7〕
実施例1のペンタグリセリンモノステアレート:0.5g、ショ糖ステアリン酸エステル:0.8g、酵素分解大豆レシチン:0.2gを、ショ糖ステアリン酸エステル:1.28g、レシチン:0.22gとした以外は、実施例1と全く同じ操作を行い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0080】
【表1】


【0081】
【表2】


表1、2に示したように、乳化剤組成物として成分(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル、成分(B)ショ糖脂肪酸エステル、および成分(C)レシチンを含有する実施例1〜4では、耐アルコール試験において1ヶ月後も沈殿等を認めず、耐アルコール性が良好であった。長鎖ポリグリセリン脂肪酸エステル(デカグリセリンモノオレートおよびデカグリセリンモノステアレート)、短鎖ポリグリセリン脂肪酸エステル(ペンタグリセリンモノオレートおよびペンタグリセリンモノステアート)からそれぞれ選択し、2種類の成分(A)を併用した実施例1〜3では、長鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノオレート単独の実施例4よりも耐塩性が優れていた。これに対し、乳化剤組成物がそれぞれ成分(A)と成分(B)のみの場合(比較例1)、成分(A)と成分(B)に他の乳化剤としてサポニンの一種であるキラヤサポニンを添加した場合(比較例2)、成分(A)と成分(B)にレシチンのネガティブ・コントロールとしてモノグリセリンモノステアートを添加した場合(比較例3)、成分(A)と成分(C)のみの場合(比較例4)は、いずれも沈殿を生じ平均粒子径も大きく増大しており、耐アルコール性が劣っていた。さらに、成分(A)と成分(B)と成分(C)を含有していても、成分(A)100重量部に対して成分(C)が2重量部以下の場合(比較例5、6)も、同様に耐アルコール性が劣っていた。
【0082】
〔実施例5〕
デカグリセリンモノオレート[商品名:サンソフトQ−17S 太陽化学(株)製]3.0g、ペンタグリセリンモノステアレート[商品名:サンソフトQ−181E 太陽化学(株)製]0.5g、ショ糖ステアリン酸エステル[商品名:リョートーシュガーエステルS−1670 三菱化学フーズ(株)製]0.8g、酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチンW−1 太陽化学(株)製]0.2g、マグロ油[商品名:サンオメガDHA27 日本油脂(株)製]2.0g、ブドウ糖果糖液糖[商品名:ニューフラクトF0 昭和産業(株)製]9.3g、水:4.2gをガラス瓶に入れ、超音波乳化機にて処理し均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0083】
〔実施例6〕
実施例5のデカグリセリンモノオレート:3.0g、ペンタグリセリンモノステアレート:0.5g、ショ糖ステアリン酸エステル:0.8g、酵素分解大豆レシチン:0.2gを、デカグリセリンモノステアレート[商品名:サンソフトQ−18S 太陽化学(株
)製]2.5g、ペンタグリセリンモノオレート[サンソフトA−171E 太陽化学(株)製]1.0g、ショ糖ミリスチン酸エステル[商品名:リョートーシュガーエステルM−1695 三菱化学フーズ(株)製]0.7g、酵素分解大豆レシチン:0.3gとした以外は、実施例5と全く同じ操作を行い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0084】
〔実施例7〕
実施例5のデカグリセリンモノオレート:3.0g、ペンタグリセリンモノステアレート:0.5g、ショ糖ステアリン酸エステル:0.8g、酵素分解大豆レシチン:0.2gを、デカグリセリンモノステアレート:2.9g、ペンタグリセリンモノステアレート:0.8g、ショ糖ミリスチン酸エステル:0.3g、酵素分解大豆レシチン:0.5gとした以外は、実施例5と全く同じ操作を行い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0085】
〔実施例8〕
実施例5のショ糖ステアリン酸エステル:0.8gを、ショ糖ステアリン酸エステル:0.6g、コハク酸モノグリセライド[商品名:ポエムB−10 理研ビタミン(株)製]0.2gとした以外は、実施例5と全く同じ操作を行い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0086】
〔実施例9〕
実施例5のデカグリセリンモノオレート:3.0g、ペンタグリセリンモノステアレート:0.5g、酵素分解大豆レシチン:0.2gを、デカグリセリンモノオレート3.4g、酵素分解大豆レシチン0.3gとした以外は、実施例5と全く同じ操作を行い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0087】
〔比較例8〕
実施例5のデカグリセリンモノオレート:3.0g、ペンタグリセリンモノステアレート:0.5g、ショ糖ステアリン酸エステル:0.8g、酵素分解大豆レシチン:0.2gを、デカグリセリンモノオレート:2.7g、ペンタグリセリンモノオレート:0.8g、ショ糖ステアリン酸エステル:1.0gとした以外は、実施例4と全く同じ操作を行い、均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0088】
【表3】


【0089】
【表4】


非水溶性物質としてマグロ油を用いた場合も、表3、4に示したように、成分(A)と成分(B)と成分(C)とを含有した実施例5〜9では、3ヶ月後にも耐アルコール性が良好であった。長鎖および短鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルからそれぞれ選択し2種類の成分(A)を併用した実施例5〜8では、長鎖ポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノオレート単独の実施例9よりも耐塩性が優れていた。また成分(A)と成分(B)と成分(C)とに加えて成分(D)である有機酸モノグリセライドを含有した実施例8では、実施例5、6、7、9よりも平均粒子径の増大量が小さく、より耐アルコール性が向上した。成分(A)と成分(B)のみの比較例8では、油臭の発生や平均粒子径の増大を認め、耐アルコール性が劣っていた。
【0090】
〔実施例10〕
デカグリセリンモノオレート[商品名:サンソフトQ−17S 太陽化学(株)製]60g、ペンタグリセリンモノステアレート[商品名:サンソフトQ−181E 太陽化学(株)製]10g、ブドウ糖果糖液糖[商品名:ニューフラクトF0 昭和産業(株)製]160g、水:70gを混合し、強く攪拌しながら、ショ糖ステアリン酸エステル[商品名:リョートーシュガーエステルS−1670 三菱化学フーズ(株)製]12g、コハク酸モノグリセライド[商品名:ポエムB−10 理研ビタミン(株)製]4.0gを徐々に添加、分散させた。その後攪拌を弱めて75℃まで加温して完全に溶解したところに、酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチンW−1 太陽化学(株)製]4.0gを添加して溶解させ、水相部を調製した。
【0091】
油相部としてコエンザイムQ10[日清ファルマ(株)製]80gを先の水相部へ徐々に混合・撹拌し、次いで高圧ホモジナイザーにて均質化処理を行い、平均粒子径108nmの均一な水中油型エマルジョン(10−a)を、および同様な処理を複数回行い、平均粒子径65.5nmの均一な水中油型エマルジョン(10−b)を得た。
【0092】
〔実施例11〕
実施例10のデカグリセリンモノオレート:60g、ペンタグリセリンモノステアレート:10g、ショ糖ステアリン酸エステル:12g、コハク酸モノグリセライド:4.0g、酵素分解大豆レシチン:4.0gを、デカグリセリンモノステアレート[商品名:サ
ンソフトQ−18S 太陽化学(株)製]44g、ペンタグリセリンモノオレート[商品名:サンソフトA−171E 太陽化学(株)製]20g、ショ糖ミリスチン酸エステル[商品名:リョートーシュガーエステルM−1695]8.0g、コハク酸モノグリセライド
:8.0g、酵素分解大豆レシチン:10gとした以外は、実施例10と全く同じ操作を行い、平均粒子径111nm(11−a)、67.9nm(11−b)の均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0093】
〔実施例12〕
実施例10のペンタグリセリンモノステアレート:10g、ショ糖ステアリン酸エステル:12gを、ペンタグリセリンモノオレート:16g、ショ糖ステアリン酸エステル:6.0gとした以外は、実施例10と全く同じ操作を行い、平均粒子径114nm(12−a)、68.8nm(12−b)の均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0094】
〔実施例13〕
実施例10のデカグリセリンモノオレート:60g、ブドウ糖果糖液糖:160g、ショ糖ステアリン酸エステル:12g、コハク酸モノグリセライド:4.0g、コエンザイムQ10:80gを、デカグリセリンモノオレート:52g、ブドウ糖果糖液糖:210g、ショ糖ミリスチン酸エステル:14g、コエンザイムQ10:40gとした以外は、実施例10と全く同じ操作を行い、平均粒子径89nm(13−a)、60.5nm(13−b)の均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0095】
〔比較例9〕
実施例10のペンタグリセリンモノステアレート:10g、ショ糖ステアリン酸エステル:12g、コハク酸モノグリセライド:4.0g、酵素分解大豆レシチン:4.0gを、ペンタグリセリンモノオレート:10g、ショ糖ステアリン酸エステル:14g、コハク酸モノグリセライド:6.0gとした以外は、実施例10と全く同じ操作を行い、平均粒子径118nmの均一な水中油型エマルジョンを得た。
【0096】
【表5】


【0097】
【表6】


高圧ホモジナイザーを用いて製造した水中油型エマルジョンについても、表5、6に示したように、成分(A)と成分(B)と成分(C)(と成分(D))とを含有した実施例10−a、11−a、12−a、13−aでは耐酸性、耐塩性、耐アルコール性それぞれが良好であった。成分(A)と成分(B)と成分(D)のみの比較例9では、耐アルコール性が劣っていた。一方、高圧ホモジナイザーにて均質化処理を複数回行い微細な平均粒子径とした実施例10−b、11−b、12−b、13−bでは、耐アルコール性及び耐酸性は良好であるが、耐塩性については若干不安定であった。
【0098】
〔実施例14〕
クエン酸(田辺製薬製)1.0g、ブドウ糖液(日本食品加工工業製)200gを精製
水724gに室温で撹拌溶解させ、pH3.0〜3.5に調整した。そこに実施例1の水中油型エマルジョン75gを添加・溶解させ、コエンザイムQ10含有する均一な飲料組成物を得た。この飲料組成物は澄明な液でネックリングや沈殿などは見られなかった。
【0099】
〔実施例15〕
クエン酸(田辺製薬製)1.0g、ブドウ糖液(日本食品加工工業製)200gを精製
水724gに室温で撹拌溶解させ、pH3.0〜3.5に調整した。そこに実施例10−aの水中油型エマルジョン75gを添加・溶解させ、コエンザイムQ10を含有する均一な飲料組成物を得た。この飲料組成物は澄明な液でネックリングや沈殿などは見られなかった。
【0100】
〔実施例16〕
クエン酸(田辺製薬製)1.0g、ブドウ糖液(日本食品加工工業製)200g、ビタ
ミンB1(DSM)10mg、ビタミンB6(DSM)10mgを精製水724gに室温で撹拌溶
解させ、pH3.0〜3.5に調整した。そこに実施例2の水中油型エマルジョン75gを添加・溶解させ、コエンザイムQ10を含有する均一な飲料組成物を得た。この飲料組成物は澄明な液でネックリングや沈殿などは見られなかった。
【0101】
〔比較例10〕
クエン酸(田辺製薬製)1.0g、ブドウ糖液(日本食品加工工業製)200gを精製
水724gに室温で撹拌溶解させ、pH3.0〜3.5に調整した。そこに比較例6の水中油型エマルジョン75gを添加・溶解させ、コエンザイムQ10を含有する均一な飲料組成物を得た。この飲料組成物は澄明な液でネックリングや沈殿などは見られなかった。
【0102】
実施例1および比較例6の水中油型エマルジョンを用いて飲料を試作した実施例14および比較例10について安定性試験を行い、それらの品質を評価した。評価の基準を表7に、その結果を表8に示す。実施例1を用いた飲料は各保存条件においても品質に問題がなかった。
【0103】
【表7】


【0104】
【表8】


〔実施例17〕
小麦粉(強力粉)120gとドライイースト2gを混合した。他に、砂糖20g、食塩3g、脱脂粉乳6gを温湯70gに溶かし、鶏卵1個を添加してよく混ぜ、そこにリンゴ酸8g、実施例1の水中油型エマルジョン5gを添加し、さらに混合した。これを小麦粉に添加して、手でよくこねた後、バター約40gを加えてよくこね、20個のロールパン生地を作製した。次いで、発酵させた後、表面に溶き卵を塗り、オーブンにて180℃で約12分焼き、ロールパンを製造した。ロールパン1個あたりコエンザイムQ10が約50mg含有していた。また、風味も味香り共に問題なかった。
【0105】
〔実施例18〕
小麦粉(強力粉)200gとドライイースト4gを混合した。他に、実施例2の水中油型エマルジョン5g、砂糖10g、食塩4g、スキムミルク10g、ショートニング15gを水150gに溶かし、よく混合した。次いで、発酵させた後、オーブンにて150℃で約15分焼き、食パンを製造した。
【0106】
食パン一斤あたりコエンザイムQ10が約63mg含有していた。また、風味も味香り
共に問題なかった。
〔実施例19〕
パスタ用のミートソース一人前(150g)を鍋に入れ、実施例1の水中油型エマルジョン300mgを加え、温めながら混ぜ、コエンザイムQ10を含有するパスタ用ミートソースを得た。このソースをパウチへ充填した後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌してコエンザイムQ10パスタ用ミートソースを得た。ミートソース一人前(150g)あたりコエンザイムQ10約60mg含有していた。また、風味や味香り共に問題なかった。
【0107】
〔実施例20〕
牛乳200mlに対して、ゼラチン4.5g、砂糖45g、水15gをとり、火にかけ
、ゼラチンを完全に溶解させた。溶解したことを確認後、実施例2の水中油型エマルジョン0.6gをよく混ぜて溶解させた。この後、4個分のカップに流し込み、冷蔵庫で2時
間以上冷やして固め、ミルクゼリーを得た。ミルクゼリー1個あたりコエンザイムQ10約30mg含有していた。また、風味や味香り共に問題なかった。
【0108】
〔実施例21〕
ガラス容器に、氷砂糖100g、ホワイトリカー(アルコール濃度35v/v%)1.8Lを混合し、実施例2の組成物10gを添加しよく撹拌して、完全に溶解させた。ここに青梅、いちご、りんごの生果実を合計1kg添加した。容器蓋をして、時々撹拌しながら冷暗所で静置し、2ヶ月間浸出した。得られた浸出液を精製水を用いて5倍に希釈し、アルコール飲料を得た。このアルコール飲料200mLにはコエンザイムQ10が約40mg含まれており、沈殿や浮遊物は認められなかった。
【出願人】 【識別番号】301049744
【氏名又は名称】日清ファルマ株式会社
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
【出願日】 平成19年3月30日(2007.3.30)
【代理人】 【識別番号】100081994
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊一郎

【識別番号】100103218
【弁理士】
【氏名又は名称】牧村 浩次

【識別番号】100115392
【弁理士】
【氏名又は名称】八本 佳子


【公開番号】 特開2008−245588(P2008−245588A)
【公開日】 平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願番号】 特願2007−92111(P2007−92111)