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【発明の名称】 γ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法、γ−アミノ酪酸強化食品の製造方法、γ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材、γ−アミノ酪酸強化食品、及びγ−アミノ酪酸製造用食品素材。
【発明者】 【氏名】斉藤 武

【氏名】清水 篤

【要約】 【課題】機能性アミノ酸の一種であるγ−アミノ酪酸(GABA)を多量に含有する食品素材及びGABA強化食品の提供、並びにこれらの製造方法の提供。

【解決手段】下記の(1)及び(2)、又はこれらに(3)もしくは(及び)(4)を混合して得られるスラリーを一定時間保持して、L−グルタミン酸をGABAに変換させることを特徴とするGABAを多量に含有する食品素材の製造方法、及びこの方法により得られるGABAを多量に含有する食品素材、及びこの食品素材を含有するGABA強化食品。(1)バナナ(Musa acuminata)の可食部又はその誘導物であって、生のバナナの酵素活性を有するもの。(2)L−グルタミン酸又はL−グルタミン酸ナトリウム(3)ピリドキサルリン酸(4)水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(1)及び(2)、又はこれらに(3)もしくは(及び)(4)を混合して得られるスラリーを一定時間保持して、L−グルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換させることを特徴とするγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法。
(1)バナナ(Musa acuminata)の可食部又はその誘導物であって、生のバナナの酵素活性を有するもの
(2)L−グルタミン酸又はL−グルタミン酸ナトリウム
(3)ピリドキサルリン酸
(4)水
【請求項2】
ピリドキサルリン酸の使用量が、L−グルタミン酸又はL−グルタミン酸ナトリウムの0.1〜2.0重量%である請求項1に記載するγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法。
【請求項3】
生のバナナの酵素活性を有するバナナの可食部の誘導物として、バナナの果肉の破砕ピューレ、もしくはその濃縮物、又は果肉の乾燥物を用いる請求項1に記載するγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法。
【請求項4】
L−グルタミン酸又はL−グルタミン酸ナトリウムの使用量が、バナナの可食部、又はその誘導物を生のバナナの果肉に換算した重量の0.5%〜10%である請求項1に記載するγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法。
【請求項5】
スラリーのpHが4.0〜8.0、好ましくは4.5〜6.5である請求項1に記載するγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法。
【請求項6】
スラリーの保持温度及び保持時間が、好ましくは20〜50℃で30〜120分、より好ましくは40℃で30〜90分である請求項1に記載するγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6に記載する製造方法により製造されるγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材、又はこの食品素材を添加したγ−アミノ酪酸強化食品。
【請求項8】
食品一般の製造工程中において、単独に、又は他の食品成分と共に、下記の(1)及び(2)、又はこれらに(3)もしくは(及び)(4)に記載する物質を混合して一定時間保持し、L−グルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換させることにより、γ−アミノ酪酸を多量に含有させることを特徴とするγ−アミノ酪酸強化食品の製造方法。
(1)バナナ(Musa acuminata)の可食部又はその誘導物であって、生のバナナの酵素活性を有するもの。
(2)L−グルタミン酸又はL−グルタミン酸ナトリウム
(3)ピリドキサルリン酸
(4)水
【請求項9】
請求項8の製造方法により得られるγ−アミノ酪酸強化食品。
【請求項10】
バナナの可食部又はその誘導物であって、生のバナナの酵素活性を有するもの、又はこれを含有することを特徴とするγ−アミノ酪酸製造用食品素材。
【請求項11】
生のバナナの酵素活性を有するバナナの可食部の誘導物が、生のバナナ本体から皮を除去した部分(果肉)を、破砕し、濃縮し、もしくは抽出し、又はこれらを凍結し、もしくは乾燥したものである請求項10に記載するγ−アミノ酪酸製造用食品素材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性アミノ酸の一種であるγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法、γ−アミノ酪酸強化食品の製造方法、並びにγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材、γ−アミノ酪酸強化食品、及びγ−アミノ酪酸製造用食品素材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
γ−アミノ酪酸(以下、GABAともいう。)は、抑制性神経伝達物質として知られている。その作用効果として血圧低下作用、脳代謝促進作用、精神安定作用、成長ホルモン分泌促進作用等が認められ、この物質を富化した食品の開発が活発化している。
【0003】
食品素材のGABAを富化したものとしては、茶葉を嫌気的条件に晒すことにより製造したギャバロン茶(農林水産省野菜・茶業試験場)、乳酸菌発酵により製造したプレティオ(ヤクルト本社)、発酵大麦エキス(大麦発酵研究所)、テンペ菌発酵により製造したGABA発酵大豆(池田糖化工業)、食品素材が持つ酵素によりL−グルタミン酸をGABAに変換させたパンプキンギャバ(ロッテ電子工業)等が既に商品化されている。また、米胚芽にGABAが多く含まれることが知られ、GABA高含有量を謳った発芽玄米関連製品が幾つか発売されている。更に、発酵法で純度の高いGABAが製造・販売されており(協和ウェルネス、ファーマフーズ、山口化研)、それらを添加したチョコレート(江崎グリコ)等がある。
【0004】
ギャバロン茶や発芽玄米は、その素材が持つL−グルタミン酸をGABAに変換させることでGABAが富化するが、その含有量はギャバロン茶で乾物100g当たり250mg(例えば、非特許文献1参照)、発芽玄米でもコシヒカリの場合、最適条件下、8時間の処理で100g当たり400mgである(例えば、特許文献1参照)。これら食品素材のGABA含有量は100g当たり1%以下であるため、前項記載の諸効果を期待するには多量の摂取を必要とし、食品素材や健康食品原料としては利用し難い等の問題点がある。
【0005】
GABAを多量に作る方法として発酵法がある。乳酸菌発酵による方法(例えば、特許文献2〜4参照)、酵母による発酵法(例えば、特許文献5参照)、麹菌を培養する方法(例えば、特許文献6参照)、テンペ菌により大豆を発酵させる方法(例えば、特許文献7参照)等である。しかしながら、発酵による生産は雑菌の混入を防ぐための殺菌機能を持つジャーファメンター等の特別な装置が必要であり、しかもGABAの濃度は容易には増加せず、数十〜数百ミリグラム/100g(または100ml)のGABAを得るのに数日〜数週間程度の時間を要する等の問題がある。
【0006】
GABAは、グルタミン酸脱炭酸酵素によりL−グルタミン酸から炭酸が除去されて生成する。グルタミン酸脱炭酸酵素の活性の強い微生物や食品素材を選抜し、多量のグルタミン酸あるいはグルタミン酸ナトリウムをGABAに変換させる方法も開発されている。キノコの一種であるAgaricus blazei Murillやシイタケを用いる方法(例えば、特許文献8参照)、カボチャを用いる方法(例えば、特許文献9参照)等である。さらに、活性型ビタミンBであるピリドキサルリン酸を米胚芽懸濁液に添加することでグルタミン酸脱炭酸酵素の活性を高め、多量のGABAを得る方法も開発されている(例えば、特許文献10参照)。
【0007】
GABAの有効摂取量は精神安定作用においては26.7〜70mg/日(例えば、非特許文献2、3参照)、血圧低下作用においては10mg〜3g/日(例えば、非特許文献4、5参照)、成長ホルモン分泌促進作用においては3〜18g/日(例えば、非特許文献6、7参照)と報告されている。これらの報告の中で、問題となるような副作用は報告されていない。
【0008】
市場に流通している果物で、メロン類のようにGABA含有量の比較的高い果物は知られているが、上記キノコやカボチャ、米胚芽に匹敵する強いグルタミン酸脱炭酸酵素活性を持つものは知られていない。
【特許文献1】特開平7−213252
【特許文献2】特開平6−45141
【特許文献3】特開2000−210075
【特許文献4】特開2001−120179
【特許文献5】特開平9−238650
【特許文献6】特開平10−165191
【特許文献7】WO01/093696
【特許文献8】特開2002−247966
【特許文献9】特開2001−252091
【特許文献10】特開2000−201651
【非特許文献1】Agric.Biol.Chem.,51,2865−2871,1987
【非特許文献2】日本食品科学工学会誌 47,596−603,2000
【非特許文献3】Food Style 21,7,64−68,2003
【非特許文献4】薬理と治療 30,963−972,2002
【非特許文献5】日本食品科学工学会誌 49,409−415,2001.
【非特許文献6】Medicine & Science in Sports & Excercise 35,Suppliment1,S271,2003
【非特許文献7】Journal of Clinical Endocrinology & Metabolizm,51,789−792,1980
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
GABAは有用な物質であるが、短時間に大量に生産することは難しい。発酵法では数百ミリグラム/100mlのGABAを得るために特別な設備が必要なのに加え、数日〜数週間程度の時間を要する。また、グルタミン酸脱炭酸酵素の活性の強い素材は一部のキノコやカボチャ、米胚芽が知られているが、これらの素材は酵素を失活させないようにするため殺菌が困難である。特許文献8及び9によれば、これらの素材を用いたGABAの富化反応は4〜30時間を要するため、雑菌繁殖の危険性を排除できない。さらに、これらの素材はGABAを富化した後、食品素材としてすぐに利用することは難しい。
【0010】
本発明は、バナナ(以下、バナナ本体から皮を除去した果肉をいう)が有するグルタミン酸脱炭酸酵素の活性が非常に強いことを見出し、特別な設備を要することなく短時間でGABA高含有量の食品素材を製造する方法、及びこの食品素材を添加したGABA高含有量食品を提供することを目的とするものである。また、本発明によれば、食品の製造中に原料の十分な混合或いは練り込み、及び保温の工程を設ければ、原料にバナナの果実等及びL−グルタミン酸もしくはL−グルタミン酸ナトリウムを加えることにより、目的のGABA強化食品を製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、数ある野菜、果物の中でバナナの果実に特に強いGABAの生産能力があり、バナナにL−グルタミン酸もしくはL−グルタミン酸ナトリウムを添加して保温すると、短時間で多量のGABAが生成することを見出した。
【0012】
従って、本発明は以下の請求項により構成されている。
<請求項1> 下記の(1)及び(2)、又はこれらに(3)もしくは(及び)(4)を混合して得られるスラリーを一定時間保持して、L−グルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換させることを特徴とするγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法。
(1)バナナ(Musa acuminata)の可食部又はその誘導物であって、生のバナナの酵素活性を有するもの
(2)L−グルタミン酸又はL−グルタミン酸ナトリウム
(3)ピリドキサルリン酸
(4)水
<請求項2> ピリドキサルリン酸の使用量が、L−グルタミン酸又はL−グルタミン酸ナトリウムの0.1〜2.0重量%である請求項1に記載するγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法。
<請求項3> 生のバナナの酵素活性を有するバナナの可食部の誘導物として、バナナの果肉の破砕ピューレ、もしくはその濃縮物、又は果肉の乾燥物を用いる請求項1に記載するγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法。
<請求項4> L−グルタミン酸又はL−グルタミン酸ナトリウムの使用量が、バナナの可食部、又はその誘導物を生のバナナの果肉に換算した重量の0.5%〜10%である請求項1に記載するγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法。
<請求項5> スラリーのpHが4.0〜8.0、好ましくは4.5〜6.5である請求項1に記載するγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法。
<請求項6> スラリーの保持温度及び保持時間が、好ましくは20〜50℃で30〜120分、より好ましくは40℃で30〜90分である請求項1に記載するγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法。
<請求項7> 請求項1〜請求項6に記載する製造方法により製造されるγ−アミノ酪酸を多量に含有する食品素材、又はこの食品素材を添加したγ−アミノ酪酸強化食品。
<請求項8> 食品一般の製造工程中において、単独に、又は他の食品成分と共に、下記の(1)及び(2)、又はこれらに(3)もしくは(及び)(4)に記載する物質を混合して一定時間保持し、L−グルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換させることにより、γ−アミノ酪酸を多量に含有させることを特徴とするγ−アミノ酪酸強化食品の製造方法。
(1)バナナ(Musa acuminata)の可食部又はその誘導物であって、生のバナナの酵素活性を有するもの。
(2)L−グルタミン酸又はL−グルタミン酸ナトリウム
(3)ピリドキサルリン酸
(4)水
<請求項9> 請求項8の製造方法により得られるγ−アミノ酪酸強化食品。
<請求項10> バナナの可食部又はその誘導物であって、生のバナナの酵素活性を有するもの、又はこれを含有することを特徴とするγ−アミノ酪酸製造用食品素材。
<請求項11> 生のバナナの酵素活性を有するバナナの可食部の誘導物が、生のバナナ本体から皮を除去した部分(果肉)を、破砕し、濃縮し、もしくは抽出し、又はこれらを凍結し、もしくは乾燥したものである請求項10に記載するγ−アミノ酪酸製造用食品素材。
【0013】
本願発明において、「バナナの可食部の誘導物であって、生のバナナの酵素活性を有するもの」とは、生のバナナ本体から皮を除去した部分(果肉)を、その酵素活性を可能な限り保持したまま、破砕し、濃縮し、もしくは乾燥したものをいう。
これらの誘導物は、ピューレ、ペースト、もしくはこれらの凍結ブロック、又は粉末の形態で市場に流通する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バナナという価格の安い原料を用い、培養装置やバイオリアクターのような特殊な設備を必要とせず、しかも30分〜90分という短時間の反応で含有量1%以上のGABAを含む食品素材を製造することができる。また、GABAは無味に近いため、本発明の食品素材は、従来のバナナピューレと同様に、又これを乾燥させて粉末化した場合、従来の乾燥バナナ粉末と同様に使用できる。さらに、パン、焼菓子、麺類等、原料の練り込みやその後の発酵、膨張、寝かせ等の工程を有する食品の場合、原料にバナナとL−グルタミン酸もしくはL−グルタミン酸ナトリウムを加えておくだけで簡単に多量のGABAを含有する食品を製造することができる。以上のことから、本発明は幅広い用途で使用、応用が可能であり、多くの食品に精神安定効果や血圧降下作用等の機能性を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明で用いられるバナナ(可食部)は、酵素類の活性が維持されている状態のものであればいかなるものでも良い。具体的には、生の果実、生の果実を冷凍したもの、生の果実を凍結乾燥したもの、生の果実を天日乾燥或いは酵素類が失活し難い温度で乾燥させた物等である。
【0016】
これらのバナナを、そのまま或いは適量の水や緩衝液及びL−グルタミン酸もしくはL−グルタミン酸ナトリウムを加えて、ジューサーあるいはミルまたはこれらと同等以上に粉砕可能な装置を用いてピューレ状になるまで粉砕する。バナナは酸化して褐変しやすいので、同時にL−アスコルビン酸(ビタミンC)等の酸化防止剤を添加しても良い。この時点でピューレのpHが4.0〜8.0、好ましくは4.5〜6.5であることを確認し、この範囲から外れていれば塩酸やリン酸等の無機酸或いはアスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸等の有機酸で、食品添加物として使用が認められている酸、もしくは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等、食品添加物として使用が認められているアルカリ性物質によりpHを5.5付近に調製する。
【0017】
このピューレを30〜50℃で30〜120分、最も好ましくは40℃で30〜90分保温し、バナナのグルタミン酸脱炭酸酵素を働かせて添加したL−グルタミン酸をGABAに変換させる。この方法では、約1時間で生バナナの重量に対して2%重量程度のL−グルタミン酸ナトリウムのほとんどをGABAに変換できる。
【0018】
更に多量のGABAを生産させるには、活性型のビタミンBであるピリドキサルリン酸をピューレに添加する。L−グルタミン酸ナトリウムの0.1〜2.0重量%を添加した場合、40℃、4時間の保温で生バナナの重量に対し最高10%重量程度のL−グルタミン酸ナトリウムをGABAに変換できる。
【0019】
凍結乾燥バナナの粉末にL−グルタミン酸もしくはL−グルタミン酸ナトリウムを混合し、水を加えて攪拌後40℃で保温すると、生のバナナ果実と同様にGABAが生成する。すなわち、バナナの凍結乾燥粉末は、GABA製造用の酵素製剤としても利用可能である。
【0020】
本発明の食品素材を工業的に製造するには、例えばパルパーフィニッシャーでバナナを裏ごししてピューレ状にした直後、バナナに対して2%重量のL−グルタミン酸ナトリウム、及び1%重量のL−アスコルビン酸を添加してかき混ぜ、40℃で1時間程度放置する。GABAは非常に安定な物質で、160℃、1時間の過熱でも分解しないので、富化反応終了後通常の加熱殺菌操作を行い殺菌することができる。
【0021】
多くのパンはドライイースト等の酵母を加え、発酵工程を設けることでパン生地を膨張させる。この工程では一般に酵母が活動しやすい20〜40℃に保温されるが、この温度帯はバナナのグルタミン酸脱炭酸酵素が最も働く温度帯でもある。従って、例えば生のバナナにL−グルタミン酸或いはL−グルタミン酸ナトリウムをバナナ重量の2%程度加え、さらに水を加えてジューサー等でホモジナイズする。このホモジネートに他のパン生地の材料を加えて良く練り、通常のパンの製造と同様に発酵工程を経ると、パン生地の膨張と同時にL−グルタミン酸がGABAに変換される。すなわち、パン生地の材料にバナナとL−グルタミン酸或いはL−グルタミン酸ナトリウムのホモジネートを加えるだけで、GABA高含有量のパンが製造できる。また、凍結乾燥バナナの粉末、L−グルタミン酸或いはL−グルタミン酸ナトリウム、小麦粉、塩、砂糖等を混合したGABA高含有量パン用のミックス粉を作ることもできる。このミックス粉にバター或いはショートニング及びドライイーストと水を加えれば、GABA高含有量のパンが製造できる。20〜40℃で1時間以上保温する工程を設ければ、パンに限らず材料に水を加えて練る工程を経て製造される全ての食品、例えば麺類等にも応用が可能である。
【実施例】
【0022】
<実施例1>
スーパーマーケット等で普通に購入可能なフィリピン産バナナ、台湾産バナナ、エクアドル産バナナ、モラード(皮の赤いバナナ)、オリート(長さが10cm程度のミニバナナ)の遊離アミノ酸分析を行った。各種バナナの果肉を10.0gずつ取り、ホモジナイザー(エースホモジナイザーAM−3、株式会社日本精機製作所)用カップに入れて99.5%特級エタノール20mlと純水で75%に調製したエタノール20mlを加え、15,000 rpm、10分間ホモジナイズした。ホモジネートをフラスコに移し、遊離アミノ酸を80℃、20分間還流抽出した。抽出液を定量濾紙(No.5A,150mm、東洋濾紙株式会社)で濾過した後、濾紙に残った残渣を回収し75%エタノールを加えて再度80℃、20分間還流抽出した。抽出後濾過し、先の濾液と合わせてロータリエバポレーター(RE400、ヤマト科学株式会社)でエタノールを除去した後、残液を回収して純水にて100mlに定容した。この溶液の一部をポアサイズ0.2μmのメンブランフィルター(ミニザルトRC15、ザルトリウス株式会社)で濾過し、濾液をアミノ酸分析用サンプル希釈液(クエン酸リチウム緩衝液:6.9g/L クエン酸リチウム(4HO)、1.3g/L 塩化リチウム、8.8g/L クエン酸、4.0ml/L 塩酸、40.0ml/L エタノール、3.1ml/L BRIJ−35(20%)、2.5ml/L チオジグリコール、0.1ml/L n−カプリル酸(日本電子株式会社で販売))で適宜希釈してアミノ酸分析用サンプル溶液とした。サンプル溶液を全自動アミノ酸分析機(JLC−500/V、日本電子株式会社)用のバイアル瓶に入れてセットし、50μlを注入して分析を行った。装置の操作は付属の操作マニュアルに従った。表1に各バナナの遊離のグルタミン酸(Glu)とGABAの含有量を示す。
【0023】
【表1】


【0024】
表1に示されるように、一般にバナナには13〜22mg/100g程度のGABAが含まれている一方、GABAの原料であるグルタミン酸は非常に少ないことがわかる。
【0025】
実施例2
フィリピン産バナナ、台湾産バナナ、エクアドル産バナナ、モラード、オリートの果肉100gに0.5gのL−アスコルビン酸を加え、ジューサー(TM807、株式会社テスコム)でホモジナイズした。このホモジネートを20.0gずつ50ml遠心チューブに分注し、3本のチューブにL−グルタミン酸ナトリウムをそれぞれホモジネート重量の1%(0.2g)、2%(0.4g)、3%(0.6g)加えて良く攪拌した後、40℃、4時間反応させた。反応後ホモジネートを80℃の水浴に10分間浸して酵素を失活させ、純水を各チューブに20ml加えて良く攪拌した。攪拌後、遠心機(CN−1050、アズワン株式会社)で約3,000×g、10分間遠心し、各チューブから上清を回収した。この操作を4回繰り返した後、回収した上清を純水で100mlに定容して各ホモジネートの水抽出液とした。これらの抽出液を一部採ってポアサイズ0.2μmのメンブランフィルター(ミニザルトRC15、ザルトリウス株式会社)で濾過し、実施例1と同様にサンプル溶液を調製してアミノ酸分析を行った。生成したGABA含有量を表2、残存したL−グルタミン酸の含有量を表3に示す。
【0026】
【表2】


【0027】
【表3】


【0028】
表2及び表3に示されるように、フィリピン産バナナ、台湾産バナナ、エクアドル産バナナ、モラードは、果肉重量の2%のL−グルタミン酸ナトリウムを90〜100%消費し、添加したL−グルタミン酸ナトリウムの36.5〜81.4%をGABAに変換した。オリートは他のバナナに比べて残存したL−グルタミン酸が多かったが、生成したGABAはエクアドル産よりも多かった。バナナはL−グルタミン酸をGABAに変換する能力が非常に高く、特にフィリピン産バナナの能力が高いことがわかる。
【0029】
実施例3
フィリピン産バナナの果肉150gに3g(2%重量)のL−グルタミン酸ナトリウムを加え、ジューサー(TM807、株式会社テスコム)でホモジナイズした。50ml遠心チューブ5本に20.0gずつ分注後、そのうちの4本にそれぞれホモジネート重量の0.3%(0.06g)、0.4%(0.08g)、0.5%(0.1g)、1%(0.2g)のL−アスコルビン酸を加えてよく攪拌し、L−アスコルビン酸無添加のホモジネートと共に40℃、4時間反応させた。反応後実施例2の場合と同様に酵素の失活操作、水抽出、アミノ酸分析用サンプルの調製及びアミノ酸分析を行った。表4に各ホモジネートのGABAとL−グルタミン酸(Glu)の含有量を示す。
【0030】
【表4】


【0031】
表4に示されるように、L−アスコルビン酸を0.3〜1.0%添加量した場合、GABAの生成量はほとんど変わらないことが判明した。しかしながら、添加量が多くなるにつれて初発pHが低下し、残存するL−グルタミン酸が減少する傾向が見られた。L−アスコルビン酸は、バナナピューレを製造する際の酸化防止剤(褐変防止剤)としてごく一般的に使用される有機酸である。上記の結果は、少なくとも1%程度までは、GABA生成反応を阻害することなく、酸化防止剤としてL−アスコルビン酸を使用することが可能であることを示している。
【0032】
実施例4
フィリピン産バナナの果肉200gに2gのL−アスコルビン酸と6gのL−グルタミン酸ナトリウムを加え、ジューサー(TM807、株式会社テスコム)でホモジナイズした。このようなホモジネートを3セット用意し、20℃、40℃、50℃に設定した恒温容器に入れて保温した。それぞれのホモジネートを10分、20分、30分、40分、50分、60分、90分経過後に10.0gずつサンプリングし、実施例2の場合と同様に酵素の失活操作、水抽出、アミノ酸分析用サンプルの調製及びアミノ酸分析を行った。各ホモジネートのGABA生成量とL−グルタミン酸の残存量の経時変化を図1に示す。
【0033】
図1に示されるように、バナナのGABA生成反応は極めて速く進行し、40℃、10分間の保温で1189.6mg/100gのGABAが検出された。L−グルタミン酸ナトリウム添加前のホモジネートのGABA含有量は21.2mg/100gであったので、添加後1168.4mg/100gのGABAが生成したことになる。L−グルタミン酸ナトリウムのGABAへの変換率はモル比計算で約63.9%であった。40℃保温では90分でGABA含有量が最高値(1500.5mg/100g)に達し、L−グルタミン酸の残存量は90分で最小値(54.0mg/100g)となった(変換率は約82.0%)。しかしながら、60分の保温でGABA含有量は1484.5mg/100gと最高値の約99%に達するため、実質的には60分の保温で十分である。20℃保温では40℃に比べて時間がかかるものの、100分で40℃、60分保温と同等のGABA含有量に達した。しかしながら、L−グルタミン酸の残存量を少なくするには更なる保温時間が必要であることがわかった。50℃では90分保温でGABA含有量が最高値(1279.6mg/100g)に達するが、40℃保温の場合の約85.3%の生成量であった。また、L−グルタミン酸の残存量は478.7mg/100gで、40℃保温の場合の約8.86倍であった。以上のことにより、バナナのGABA生成反応は40℃が最適温度であり、反応時間は60〜90分で良いことが判明した。
【0034】
実施例5
フィリピン産バナナの果肉200gに2gのL−アスコルビン酸と6gのL−グルタミン酸ナトリウムを加え、ジューサー(TM807、株式会社テスコム)でホモジナイズした。このホモジネートをすばやく20.0gずつ50ml遠心チューブ8本に分注し、1N塩酸もしくは1N水酸化ナトリウムを用いてpHを4、5、5.5、6、7、8、9、10にそれぞれ調製し40℃、60分間保温した。60分後実施例2の場合と同様に酵素の失活操作、水抽出、アミノ酸分析用サンプルの調製及びアミノ酸分析を行った。各ホモジネートのGABA生成量とL−グルタミン酸の残存量を図2に示す。
【0035】
図2に示されるように、バナナのGABA生成反応は初発pHを5〜7にした場合に効率的に進行し、特にpH5.5で最も生成量が多かった。実施例2において、バナナの褐変防止のためL−アスコルビン酸を添加したときのGABA生成反応への影響について示したが、L−グルタミン酸ナトリウムを2%添加した場合、L−アスコルビン酸を1%添加することでpH値が5.23となる。L−グルタミン酸ナトリウムを3%添加した場合でもL−アスコルビン酸を1%添加するとpH値が5.6付近となるため、L−アスコルビン酸の添加はpH調整の意味からも好都合である。
【0036】
実施例6
フィリピン産バナナの果肉200gにL−アスコルビン酸を2g加え、ジューサー(TM807、株式会社テスコム)でホモジナイズした。このホモジネートを20.0gずつ10本の50ml遠心チューブに分注した。これらのチューブにそれぞれホモジネート重量の1%(0.2g)、2%(0.4g)、3%(0.6g)、4%(0.8g)、5%(1.0g)、6%(1.2g)、7%(1.4g)、8%(1.6g)、9%(1.8g)、10%(2.0g)、15%(3.0g)、20%(4.0g)のL−グルタミン酸ナトリウムとL−グルタミン酸ナトリウムの200分の1重量のピリドキサルリン酸を添加し、良く攪拌した後40℃、4時間保温した。保温後、実施例2の場合と同様に酵素の失活操作、水抽出、アミノ酸分析用サンプルの調製及びアミノ酸分析を行った。結果を図3に示す。
【0037】
図3に示されるように、グルタミン酸脱炭酸酵素の補酵素として知られるピリドキサルリン酸(活性型ビタミンB)を添加することにより、GABAの生成能力は飛躍的に増大した。フィリピン産バナナはピリドキサルリン酸を加えない場合、バナナの重量に対して2%のL−グルタミン酸ナトリウムの約82%をGABAに変換したが、添加したL−グルタミン酸ナトリウムの200分の1重量のピリドキサルリン酸を加えると、10%のL−グルタミン酸ナトリウムの約70.9%がGABAに変換された。この結果は、バナナのGABA生成反応において、ピリドキサルリン酸の含有量が律速になっていることを示している。
【0038】
実施例7
フィリピン産バナナの果肉200gにL−アスコルビン酸を2gとL−グルタミン酸ナトリウムを20.0g加え、ジューサー(TM807、株式会社テスコム)でホモジナイズした。このホモジネートを11.1gずつ5本の50ml遠心チューブに分注した。各遠心チューブにピリドキサルリン酸を0、1mg、2.5mg、5mg、10mg、20mg(L−グルタミン酸ナトリウムに対し重量比でそれぞれ0、1/1000、1/400、1/200、1/100、1/50)添加し、40℃、4時間保温した。保温後、実施例2の場合と同様に酵素の失活操作、水抽出、アミノ酸分析用サンプルの調製及びアミノ酸分析を行った。結果を図4に示す。
【0039】
図4に示されるように、バナナ重量に対し10%のL−グルタミン酸ナトリウムを添加して最も多くのGABAを生成させようとする場合、L−グルタミン酸ナトリウムの1/100重量のピリドキサルリン酸を添加すれば良いことがわかる。1/1000重量の添加量でも、無添加の場合に比べてGABAの生産量が約1.65倍に増加した。
【0040】
実施例8
フィリピン産バナナの果肉100gにL−アスコルビン酸を1g、L−グルタミン酸ナトリウムを2g、水を50ml加え、ジューサー(TM807、株式会社テスコム)でホモジナイズした。このホモジネートを40℃、1時間保温してL−グルタミン酸をGABAに変換させた後、80℃の水浴に10分間浸して酵素を失活させた。このホモジネート10.0gを採って実施例2の場合と同様に水抽出、アミノ酸分析用サンプルの調製、及びアミノ酸分析を行った。一方、残りのホモジネートは真空凍結乾燥機(DC800、ヤマト科学株式会社)で凍結乾燥した後細かく砕き、この粉砕物10.0gを採って実施例2の場合と同様に水抽出、アミノ酸分析用サンプルの調製及びアミノ酸分析を行った。表5に各サンプルのGABA及びL−グルタミン酸(Glu)の含有量を示す。
【0041】
【表5】


【0042】
表5に示されるように、真空凍結乾燥を行うことによりGABA生成反応後のバナナホモジネートは水分を失って濃縮され、その結果約3.7g/100gという高濃度のGABAを含有する食品素材ができることがわかった。
【0043】
実施例9
フィリピン産バナナの果肉470gにL−アスコルビン酸を4.7g、L−グルタミン酸ナトリウムを9.4g、純水を470ml加え、ジューサー(TM807、株式会社テスコム)でホモジナイズした。このホモジネートを40℃、1時間保温した後、80℃の水浴で10分間保温して酵素を失活させた。遠心分離により液体成分を回収して容量を測定したところ、640mlであった。この果汁溶液に0.64gのセルラーゼ(セルラーゼTP3、協和化成株式会社)、0.64gのプロテアーゼ(スミチームLP50D、協和化成株式会社)を加えて溶解し、50℃、2時間保温した。80℃の水浴で10分間保温して酵素を失活させ、32gの珪藻土を加えて良く攪拌後吸引濾過し、透明果汁溶液630mlを得た。この溶液をロータリーエバポレーター(RE400、ヤマト科学株式会社)で濃縮し、純水で100mlに定容した。遠心分離直後の果汁溶液、珪藻土濾過後の果汁溶液、濃縮後の果汁溶液をポアサイズ0.2μmのメンブランフィルター(ミニザルトRC15、ザルトリウス株式会社)で濾過し、実施例2の場合と同様にアミノ酸分析用サンプルを調製してアミノ酸分析を行った。各サンプルのGABA含有量と残存したL−グルタミン酸の含有量を表6に示す。
【0044】
【表6】


【0045】
表6に示されるように、珪藻土濾過後の透明果汁のGABA濃度は遠心分離後の果汁の約99.1%で、ほとんど損失はなかった。また、濃縮果汁のGABA濃度は遠心分離後の果汁の約6.02倍であった。遠心分離後の果汁640mlを損失なく100mlに濃縮したとすれば、濃縮率は6.4倍となるはずなので、本実施例の濃縮果汁のGABA回収率は約94.1%であることがわかる。
【0046】
実施例10
フィリピン産バナナの果肉150g、L−アスコルビン酸1.5g、L−グルタミン酸ナトリウム3gに水を80ml加え、ジューサー(TM807、株式会社テスコム)でホモジナイズした。このホモジネートをホームベーカリー(PY−D533、ツインバード工業株式会社)のパンケースに入れ、さらに市販の強力粉300g、食塩5g、グラニュー糖20g、バター25g、小麦タンパク10g、ドライイースト6gを加えてホームベーカリーにセットし、食パンを作製した。操作はホームベーカリーに添付の取扱説明書に従い、食パンメニューの1.5斤用(早焼き)を選択した。このプログラムには練りと酵母による発酵工程があり、焼き上がりまで全自動で行われ、スタートから終了までの時間は約2時間50分である。焼き上がったパンをすぐにパンケースから取り出し、室温になるまで冷ました後重量を測定したところ、531gであった。このパンを4等分し、そのうちの1つを細かく切り刻んだ後、10.0gを量り取って実施例1の場合と同様にホモジナイズ、還流抽出、エタノール除去、濾過、アミノ酸分析用サンプル溶液の調製及びアミノ酸分析を行った。分析の結果、GABA含有量は213.6mg/100g、L−グルタミン酸含有量は8.7mg/100gであった。
【0047】
このパンを100g食べた場合、摂取できるGABAの量は血圧低下作用により特定保健用食品の認定を受けたプレティオ(ヤクルト本社)1本(含有量10mg/本)よりも多く、また、精神安定作用を示す有効摂取量(26.7〜70mg/日、非特許文献2、3参照)の3倍以上を摂取することができる。
【0048】
実施例11
フィリピン産バナナの果肉100.0gを真空凍結乾燥機(DC800、ヤマト科学株式会社)で凍結乾燥し、乾燥物の重量を測定したところ、24.5gであった。この乾燥物をミル(TM807、株式会社テスコム)で粉砕し、4.9g(生のバナナに換算して20.0g)を量り取って50ml遠心チューブに入れた。さらにL−アスコルビン酸0.2g、L−グルタミン酸ナトリウム0.4g加えた後、水を全量が20mlになるように加えて良く混合した。一方、コントロールとして同じ房のバナナをジューサー(TM807、株式会社テスコム)でホモジナイズし、その20.0gとL−アスコルビン酸0.2g、L−グルタミン酸ナトリウム0.4gを50ml遠心チューブに入れて良く混合した。これらの遠心チューブを40℃、1時間保温して反応させた後、実施例2の場合と同様に酵素の失活操作、水抽出、アミノ酸分析用サンプルの調製及びアミノ酸分析を行った。各サンプルのGABA含有量とL−グルタミン酸(Glu)の含有量を表7に示す。
【0049】
【表7】


【0050】
表7に示されるように、凍結乾燥バナナを生バナナに換算(凍結乾燥バナナ4.9gを生バナナ20.0gとして計算)してGABAの生産能力を生バナナと比較すると、凍結乾燥バナナは生バナナに対して約94.8%の能力を有していることがわかる。
【0051】
実施例12
フィリピン産バナナの果肉の凍結乾燥粉末37.0g(生バナナ100.68g相当)、L−アスコルビン酸1.5g、L−グルタミン酸ナトリウム3gに水を200ml加え、ジューサー(TM807、株式会社テスコム)でホモジナイズした。このホモジネートをホームベーカリー(PY−D533、ツインバード工業株式会社)のパンケースに入れ、実施例10の場合と同様に強力粉、食塩、グラニュー糖、バター、小麦タンパク、ドライイーストを加えて食パンを作製した。焼き上がったパンをすぐにパンケースから取り出し、室温になるまで冷ました後重量を測定したところ、525.3gであった。さらに実施例10の場合と同様にパンのアミノ酸分析を行った結果、GABA含有量は224.8mg/100g、L−グルタミン酸含有量は9.1mg/100gであった。以上のことにより、凍結乾燥バナナ粉末を用いても、生のバナナの場合と同様にパンの製造過程でL−グルタミン酸がGABAに変換されることがわかった。
【0052】
実施例13
フィリピン産バナナの果肉の凍結乾燥粉末37.0g、L−アスコルビン酸1.5g、L−グルタミン酸ナトリウム3g、強力粉300g、食塩5g、グラニュー糖20g、小麦タンパク10gをビニール袋に入れ、振りながら良く混合した。このミックス粉をホームベーカリー(PY−D533、ツインバード工業株式会社)のパンケースに入れ、さらにバター25g、ドライイースト6g、水200mlを加えて、実施例10の場合と同様にパンを作製した。焼き上がったパンをすぐにパンケースから取り出し、室温になるまで冷ました後重量を測定したところ、537.2gであった。実施例10の場合と同様にパンのアミノ酸分析を行った結果、GABA含有量は231.8mg/100g、L−グルタミン酸含有量は28.2mg/100gであった。以上のことにより、凍結乾燥バナナ粉末を上記の様なミックス粉の状態にしても、実施例12の場合とほぼ同様のGABA含有量を有するパンを作ることができることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】20℃、40℃、50℃でのバナナのGABA富化反応において、GABA生成量及びL−グルタミン酸残存量の経時変化を示すグラフである。
【図2】40℃、60分間のバナナのGABA富化反応において、GABA生成量及びL−グルタミン酸残存量に及ぼす初発pHの影響を示すグラフである。
【図3】40℃、4時間のバナナのGABA富化反応において、ピリドキサルリン酸をL−グルタミン酸ナトリウムの200分の1重量添加した場合のGABA生成量及びL−グルタミン酸残存量を示すグラフである。
【図4】40℃、4時間のバナナのGABA富化反応において、ピリドキサルリン酸の添加量別のGABA生成量及びL−グルタミン酸残存量を示すグラフである。
【出願人】 【識別番号】503353025
【氏名又は名称】株式会社アセラ
【識別番号】505193140
【氏名又は名称】サンダイヤ株式会社
【出願日】 平成19年3月29日(2007.3.29)
【代理人】 【識別番号】100086829
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 将夫

【識別番号】100111361
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 卓


【公開番号】 特開2008−245527(P2008−245527A)
【公開日】 平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願番号】 特願2007−87356(P2007−87356)