| 【発明の名称】 |
昆布粉末調味料の製造法 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐野 公一朗
【氏名】大塚 正人
【氏名】菅野 由美子
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| 【要約】 |
【課題】昆布粉末原料を混合してなる昆布粉末調味料の製造過程において、製造・包装・流通中に原料間の相互作用により、固結もしくは偏析を起こすことにより、昆布粉末調味料としての製品価値が著しく損なわれる現象について、その現象の発生を抑制する方法を提供する。
【構成】水分含量3.8%以下の昆布粉末原料を、純度99%以上のマルチトールと混合することにより、昆布粉末調味料の固結もしくは偏析の発生を抑制する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水分含量3.8%以下の昆布粉末原料を、純度99%以上のマルチトールと混合することを特徴とする昆布粉末調味料の製造法。 【請求項2】 請求項1に記載の昆布粉末原料が、単独で45℃16時間保存した際には固結しないが、純度95%のマルチトールと混合して同条件で保存した際に、固結が発生するものであることを特徴とする昆布粉末調味料の製造法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、昆布粉末とマルチトールを原料とする昆布粉末調味料の製造法に関する。 【背景技術】 【0002】 昆布はその日本人に慣れ親しんだ呈味から、広く加工食品一般のだし成分として用いられていることから、昆布の呈味成分を含有する調味料は加工食品市場において広く用いられている。この昆布の呈味成分を解析した結果として、昆布エキスに特定量の糖アルコールを添加すると好ましい味、風味を有する嗜好性の高い澄明な昆布エキスを製造することができることを見出され(特開昭62−32864号公報)、さらに、マンニトールの呈味成分としての有用性が明らかになった(特開平1−243961号公報)。このことから、マンニトールも昆布系をはじめとした調味料に用いられている。 【0003】 ところが、粉末調味料は、使用する粉末原料の組み合わせによっては、原料同士が固結して粉体特性が失われたり、また製造の過程で偏析が見られたりすることがあり、特に昆布系の粉末調味料においてその傾向が顕著であった。ただし、この現象は、使用する粉体原料単体では、同一条件で処理しても固結は起こらないことから、昆布系粉末調味料に使用している粉体原料同士の相互作用により起こることが推察される。 【0004】 固結・偏析が粉末調味料の市場価値に及ぼす影響については、(1)製造途中での固結による混合性の低下、(2)混合された複数成分の粒度が固結により変化し、最終商品を個包装する際に袋毎の成分の振れ、(3)加工食品製造時の粉体特性の変化による製造特性への影響、が挙げられ、いずれも粉体調味料としての価値を著しく低下させる要素である。 【0005】 固結防止技術については、糖アルコールの固結防止技術として、固結性の高い原料に、固結防止効果のある成分を添加して、固結を抑制する技術(特開平9−28310号公報、特開平8−196300号公報、特開平8−38200号公報)等さまざま知られているが、昆布系粉末調味料において、単体では固結を生じない条件でも、他の原料との共存により固結を生じるものについての知見と、これを抑制する技術については報告が無い。 【0006】 特に、マルチトールに限っても、マルチトールシロップは、ソルビトールやグリセリンよりも、吸・放湿性が緩慢であり、食品の水分を一定に保つのに適しているとの記載がある(「糖アルコールの新知識」45頁;食品化学出版社、2006年)。これは、マルチトール原料が固結の原因である吸・放湿性において一般的に優れており、他原料との混合によっては固結を生じるというのが新しい知見であることを示していると思われる。 【特許文献1】特開平9−28310号公報 【特許文献2】特開平8−196300号公報 【特許文献3】特開平8−38200号公報 【非特許文献1】「糖アルコールの新知識」45頁;食品化学出版社、2006年 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明が解決しようとする課題は、単体では固結しない昆布由来の粉末原料、マルチトールでも、両者を混合して調味料を製造する際に、強固な固結を生じたり、固結に至らないまでも、偏析を生じたりして、粉末調味料の品質に重大な影響を与えることを抑制する方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者らは鋭意検討を進めた結果、昆布系粉末調味料において用いられる昆布粉末原料、及びマルチトールの製造途中における相互作用が原因であることを見出し、その解決法として、昆布粉末原料の水分含量、及びマルチトールの純度を適切にコントロールすることにより、製造途中でもマルチトールの純度を99%まで上げることにより、固結や偏析の課題を解決可能であることを見出した。昆布由来原料の水分と、マルチトールの純度が固結発生に大きな影響を及ぼす知見を得て、水分含量と純度を調整することによって、固結のほとんど見られない昆布系粉末調味料が製造できることを明らかにした。 【0009】 即ち、本発明は、水分含量3.8%以下の昆布粉末原料を、純度99%以上のマルチトールと混合することを特徴とする昆布粉末調味料の製造法である。 【発明の効果】 【0010】 本発明は、昆布系の粉末調味料、並びにその関連製品の固結による製品劣化を抑え、安定的な生産、流通を可能にし、ひいては一般家庭用、業務用の昆布系粉末調味料の製造業に広く貢献する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 次に本発明に関わる昆布系の粉末調味料の製造法について説明する。 【0012】 本発明で用いる昆布粉末原料とは、天然原料である昆布を何らかの方法で粉末化したものであり、また前出特許で示された昆布の呈味成分であるグルタミン酸ナトリウム、塩化カリウム、マンニットの混合物を含有するものも該当する。原料の昆布粉末原料の水分含量は3.8%以下であればよく、水分含量が3.8%より高い場合には、固結または偏析の効果を充分にえることができない。特に、単独で45℃16時間保存した際には固結しないが、純度95%のマルチトールと混合して同条件で保存した際に、固結が発生するものである場合に、本発明の効果が得られ易い。ここでいう、45℃16時間保存するという条件は、粉末調味料の保存時の固結の有無を比較的短時間に測定する評価方法である。 【0013】 純度99%以上のマルチトールを得る方法については、市販品のマルチトール製品から選択すればよい。例えば、東和化成工業(株)製の「レシス」、(株)林原商事製の「マビット」等のマルチトール純度が99%以上のものを用いればよい。 【0014】 混合の方法については、工業的に複数の粉末原料を混合できる方法であればよく、ナウターミキサーのみならず、トートビンそのままを何らかの手段を用いて混合する方法であればよい。 【0015】 この方法によって作られる製品については、混合した粉末製品を、コンテナ、アルミ袋その他業務用、一般家庭用すべてに用いられうる包装形態であればよい。また、保存・流通条件というのは、密閉系の包材中で、原料の特性に応じた室温もしくは冷蔵、冷凍の温度条件でメーカーから需要家もしくは一般消費者に渡るまでのあらゆる条件を含む。 【0016】 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものでない。 【実施例1】 【0017】 (純度の異なるマルチトールと昆布粉末原料との固結性確認) 昆布エキスC−F、昆布エキスC(いずれも佐藤食品工業(株)製)と純度の異なるマルチトール(「アマルティAP−50」[マルチトール純度95%]、「レシス」[マルチトール純度99%](いずれも東和化成工業(株)製)を昆布エキス:マルチトール=13:21の比率で混和し、アルミ蒸着袋(細川洋行(株)製 BS−B−1)に入れ、空気を除いて密封した後、45℃にて16時間定温保管した後、粉体特性を確認した。結果を表1に示す。 【0018】 【表1】
【比較例2】 【0019】 (マルチトールと昆布エキスの固結温度) 次に、昆布エキスC−Fと「アマルティAP−50」の共存による固結が温度条件でどのように現れるかを示した。方法は実施例1に記載の通り。その結果を図1に示す。固結状態の評点は、表2に記載の点数である。 【0020】 【表2】
両原料の共存で、44℃16時間の保温で、固結が見られることが分かった。一方、昆布エキスC−Fのみでは、同条件で固結は見られなかった。このことから、マルチトールと昆布エキスC−Fの固結は44℃16時間以上の保温条件で起こることがわかった。 【実施例2】 【0021】 (マルチトールと昆布エキスC−Fの固結温度) 一方、「レシス」と昆布エキスC−Fについても、同じ条件で検討を行なった。方法は実施例1に記載の通り。その結果を図2に示す。55℃で180時間の保温を行なっても、固結がまったく発生しないことがわかった。このことから、同じマルチトール原料でも、純度の違いによって昆布エキスとの共存による固結性に違いがあることが明らかになった。 【実施例3】 【0022】 (昆布エキスの水分含量) 上記昆布エキスC−Fで観察された現象は、同様の昆布粉末原料である昆布エキスCでも観察された。一方、昆布エキスPでは「レシス」でも固結が確認された。このことから、各原料の水分含量を測定したところ、昆布エキスC−Fと昆布エキスCに対し、昆布エキスPの水分含量が高いことが示された。結果を表3に示す。 【0023】 【表3】
以上の知見により、昆布粉末原料とマルチトールの共存下における固結の発生は、昆布エキス中の水分含量も要因であることが分かった。 【産業上の利用可能性】 【0024】 本発明は、昆布系の粉末調味料の生産を安定化し、ひいては製造コストを抑え、より高品質な商品を安定的に供給することにより産業の発展に資する。 【図面の簡単な説明】 【0025】 【図1−1】昆布エキスC−Fの固結状態の変化 【図1−2】昆布エキスC−Fと「アルマティAP−50」の固結状態の変化 【図2】昆布エキスC−F+「レシス」
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000066 【氏名又は名称】味の素株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年9月14日(2006.9.14) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−67650(P2008−67650A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月27日(2008.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願2006−250105(P2006−250105) |
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