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【発明の名称】 流動体加熱殺菌装置
【発明者】 【氏名】古宮 徳子

【氏名】鈴木 重治

【氏名】山元 志記

【要約】 【課題】少量の流動体を品質を損なうことなく加熱殺菌処理する。

【構成】第一の貯留タンク1から第二の貯留タンク2へ移送管3を通して流動体を送り、上流側で加熱殺菌手段により流動体を加熱殺菌処理し、下流側で冷却手段により流動体を冷却するようにした流動体加熱殺菌装置において、第一の貯留タンクに加熱殺菌手段9を設け、移送管3に冷却手段19を設ける。流動体を第一の貯留タンク内で加熱殺菌手段により所定の温度まで加熱し殺菌した後、直ちに移送管内に送って冷却手段により冷却し、しかる後第二の貯留タンクに送るようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の貯留タンクから第二の貯留タンクへ移送管を通して流動体を送り、上流側の所定箇所で加熱殺菌手段により流動体を加熱殺菌処理し、下流側の所定箇所で冷却手段により流動体を冷却するようにした流動体加熱殺菌装置において、上記第一の貯留タンクに上記加熱殺菌手段を設け、上記移送管に上記冷却手段を設け、流動体を上記第一の貯留タンク内で上記加熱殺菌手段により所定の温度まで加熱し殺菌した後、直ちに上記移送管内に送って上記冷却手段により冷却し、しかる後上記第二の貯留タンクに送るようにしたことを特徴とする流動体加熱殺菌装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流動体加熱殺菌装置において、圧空供給手段からの無菌の圧空により流動体を移送するようにしたことを特徴とする流動体加熱殺菌装置。
【請求項3】
請求項2に記載の流動体加熱殺菌装置において、移送管の下流側を弁で遮蔽し、上流側から圧空供給手段により無菌の圧空を供給して、流動体を移送管の冷却手段の位置に保持しつつ冷却するようにしたことを特徴とする流動体加熱殺菌装置。
【請求項4】
請求項1に記載の流動体加熱殺菌装置において、移送管内に移動可能に挿入されたピグと、移送管における冷却手段よりも上流側に設けられたピグの待機室と、移送管における冷却手段よりも下流側に設けられたピグの行止室とを備えたことを特徴とする流動体加熱殺菌装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食品等の流動体を加熱殺菌するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スープ、ソース、ジュース等の流動体を長期保存するには予め加熱して滅菌する必要があり、その殺菌方法としてはレトルト殺菌法、UHT(Ultra High Temperature)殺菌法等がある。
【0003】
レトルト殺菌法は、スープ等の流動体を缶、パウチ等の気密性容器に入れて密封し、レトルト釜内で高温・高圧の下、容器ごと滅菌する方法である。この殺菌方法はバッチ処理となるので、小容量の流動体であっても比較的容易に処理可能である。
【0004】
また、UHT殺菌法は、流動体をポンプによりタンクから移送管内に送り出しながら殺菌する方法である(例えば、特許文献1、2参照。)。この殺菌方法は連続的な処理となるので、殺菌に必要な熱量だけ流動体に加えることができ、したがって流動体を高品質で殺菌することができる。
【0005】
このUHT殺菌方法によれば、流動体を移送管で送るので、移送終了後に流動体が移送管内に残留するという問題があるが、従来、そのような残留物を回収するためピグが使用されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開平8−322463号公報
【特許文献2】特開平11−239469号公報
【特許文献3】特開平9−192620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
レトルト殺菌法は、缶、パウチ等の気密性容器内に封入された流動体の中心部が所定の温度に達するまで長時間加熱しなければならないことから、一般にUHT殺菌方に比べて過加熱となりやすく、風味、テクスチャー、栄養素が低下したり、褐色等に変色したりし、流動体の品質が低下しやすいという傾向がある。
【0008】
一方、UHT殺菌法は、ポンプ等により流動体を移送管内に連続的に送りながら加熱殺菌と冷却を行うので、移送管の全体積以上の流動体を常時流す必要があり、従って容量が少ない流動体には適さない。また、UHT殺菌法は流動体を移送管で送るので、移送が終了した際に流動体が移送管の内面に付着し残留しやすいという問題がある。
【0009】
本発明はこのような問題点を解消する流動体加熱殺菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0011】
すなわち、請求項1に係る発明は、第一の貯留タンク(1)から第二の貯留タンク(2)へ移送管(3)を通して流動体(A)を送り、上流側の所定箇所で加熱殺菌手段(9)により流動体(A)を加熱殺菌処理し、下流側の所定箇所で冷却手段(19)により流動体(A)を冷却するようにした流動体加熱殺菌装置において、上記第一の貯留タンク(1)に上記加熱殺菌手段(9)を設け、上記移送管(3)に上記冷却手段(19)を設け、流動体(A)を上記第一の貯留タンク(1)内で上記加熱殺菌手段(9)により所定の温度まで加熱し殺菌した後、直ちに上記移送管(3)内に送って上記冷却手段(19)により冷却し、しかる後上記第二の貯留タンク(2)に送るようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の流動体加熱殺菌装置において、圧空供給手段(18)からの無菌の圧空により流動体(A)を移送するようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の流動体加熱殺菌装置において、移送管(3)の下流側を弁(10)で遮蔽し、上流側から圧空供給手段(18)により無菌の圧空を供給して、流動体(A)を移送管(3)の冷却手段(19)の位置に保持しつつ冷却するようにしたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、請求項1に記載の流動体加熱殺菌装置において、移送管(3)内に移動可能に挿入されたピグ(4)と、移送管(3)における冷却手段(19)よりも上流側に設けられたピグ(4)の待機室(5)と、移送管(3)における冷却手段(19)よりも下流側に設けられたピグ(4)の行止室(6)とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第一の貯留タンク(1)から第二の貯留タンク(2)へ移送管(3)を通して流動体(A)を送り、上流側の所定箇所で加熱殺菌手段(9)により流動体(A)を加熱殺菌処理し、下流側の所定箇所で冷却手段(19)により流動体(A)を冷却するようにした流動体加熱殺菌装置において、上記第一の貯留タンク(1)に上記加熱殺菌手段(9)を設け、上記移送管(3)に上記冷却手段(19)を設け、流動体(A)を上記第一の貯留タンク(1)内で上記加熱殺菌手段(9)により所定の温度まで加熱し殺菌した後、直ちに上記移送管(3)内に送って上記冷却手段(19)により冷却し、しかる後上記第二の貯留タンク(2)に送るようにしたことから、流動体(A)の過加熱を防止し、風味、テクスチャー、栄養素等の品質低下や変色を来たすことなく流動体(A)を殺菌することができ、また、流動体(A)を移送管(3)内で連続的に流しながら加熱殺菌等を行う必要はないので、移送管(3)の体積程度の量であれば殺菌処理可能であり、従って容量が少ない流動体(A)であっても殺菌可能である。
【0016】
また、本発明によれば、移送管(3)内に移動可能に挿入されたピグ(4)と、移送管(3)における冷却手段(19)よりも上流側に設けられたピグ(4)の待機室(5)と、移送管(3)における冷却手段(19)よりも下流側に設けられたピグ(4)の行止室(6)とを備えたことから、流動体(A)を移送管(3)で冷却することにより流動体(A)が移送管(3)の内面に多く付着し残留したとしても、その残留した流動体(A)を適正に回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1に示すように、この流動体加熱殺菌装置は、第一の貯留タンク1から第二の貯留タンク2へ移送管3を通して流動体を送り、上流側の所定箇所で加熱殺菌手段により流動体を加熱殺菌処理し、下流側の所定箇所で冷却手段により流動体を冷却するように構成される。
【0019】
第一の貯留タンク1から第二の貯留タンク2へと移送管3を介して送られる流動体は、スープ、ソース、ジュース等であるが、飲食物に限られるものではない。
【0020】
第一の貯留タンク1は、流動体を溜めておくための容積の大きい密封容器である。図5に示すように、第一の貯留タンク1は開閉可能な蓋1aを有し、この蓋1aを開けて流動体Aをタンク本体内に流し込むようになっている。
【0021】
第二の貯留タンク2は、第一の貯留タンク1と同様な大きさを有し、第一の貯留タンク1に貯留された流動体のすべてが移送管3を通して流入可能である。第二の貯留タンク2には、図示しないが袋、容器等に流動体を充填して包装する無菌充填機に流動体を送るための導管が接続される。
【0022】
移送管3は、第一の貯留タンク1から第二の貯留タンク2へと伸び、第一の貯留タンク1側すなわち上流側の送出部3aと、第二の貯留タンク2側すなわち下流側の流入部3cと、送出部3aと流入部3cとの間の中間部3bとで構成される。
【0023】
移送管3の送出部3aには、第一の貯留タンク1寄りの箇所と、中間部3b寄りの箇所とにそれぞれ電磁弁である開閉弁7,8が設けられる。また、流入部3cにも電磁弁である開閉弁10が設けられる。
【0024】
この流動体加熱殺菌装置には、流動体Aを供給する前に予めこの装置内を殺菌する蒸気殺菌手段が設けられる。すなわち、図1に示すように、第一の貯留タンク1には、殺菌用蒸気の供給管9が連結される。移送管3の中間部3bの上流側にも殺菌用蒸気の供給管14が連結される。第二の貯留タンク2には、上記殺菌用蒸気の供給管9から第一の貯留タンク1内と移送管3とに注入された蒸気を排出するための排気管11が接続される。移送管3の中間部3bの上流側にも蒸気の排気管16が接続される。
【0025】
当初第一及び第二の貯留タンク1,2内は空の状態とされ、殺菌用蒸気の供給管9から第一の貯留タンク1内に蒸気が注入されると、蒸気は第一の貯留タンク1、移送管3、第二の貯留タンク2等の内部を殺菌した後、排気管11から排出される。この殺菌用の蒸気は注入時に例えば130℃程度であり、約30分間注入される。
【0026】
この流動体加熱殺菌装置には、第一の貯留タンク1から第二の貯留タンク2へと流動体Aを供給するため、後述するピグ4を駆動するため、流動体加熱殺菌装置内を陽圧に保つために、圧空供給手段が設けられる。すなわち、図1に示すように、第一の貯留タンク1と第二の貯留タンク2には、それぞれ圧空供給管18,20が連結される。移送管3の中間部3bの上流側にも圧空供給管15が連結される。圧空供給管15,18,20の上流側には図示しないコンプレッサ、フィルタ等が設けられ、そこから無菌化された圧空が各圧空供給管15,18を通してこの流動体加熱殺菌装置内に供給される。
【0027】
図7に示すように、圧空供給管18から第一の貯留タンク1内に供給される無菌の加圧された空気により、第一の貯留タンク1内の流動体Aは移送管3内に送り出される。また、図10に示すように、圧空供給管15から移送管3の中間部3b内に供給される無菌の加圧された空気により、ピグ4が中間部3b内を下流側へと移動し、中間部3b内に残留した流動体Aを掻き落として第二の貯留タンク2へと送り出す。また、圧空供給管18,15,20からこの流動体加熱殺菌装置内に供給されることにより、この装置内が陽圧に保持される。
【0028】
上記第一の貯留タンク1には、流動体Aの加熱殺菌手段が設けられる。この加熱殺菌手段としては、図1に示した第一の貯留タンク1に接続された殺菌用蒸気の供給管9と圧空供給管18とを用いることができる。圧空供給管18から圧空を第一の貯留タンク1内に供給して流動体Aを加圧しつつ殺菌用蒸気の供給管9から蒸気を第一の貯留タンク1内に注入することにより、第一の貯留タンク1に貯留された流動体Aを高温・高圧のもとで加熱殺菌することができる。
【0029】
流動体Aの加熱殺菌は、蒸気を直接流動体A内に吹き込むことによるほか、第一の貯留タンク1の壁をジャケットで覆い、このジャケット内に蒸気を供給し、伝熱により流動体Aを加熱することによっても行うことができる。また、流動体Aに電気を直接流すことにより流動体A自体の電気抵抗により発生するジュール熱で流動体Aを加熱することもできる。これらの手段を用いる場合も圧空供給管18から圧空を送って加圧状態の下で加熱することができる。
【0030】
上記移送管3には、加熱殺菌された流動体Aを冷却するための冷却手段が設けられる。図1に示すように、冷却手段は、移送管3の中間部3bに被せられた冷却用ジャケット19を備える。冷却用ジャケット19には、冷却水の給水管19aと排水管19bが接続される。図8に示すように、冷却水が給水管19aから冷却用ジャケット19内に供給され、排水管19bから排出されることにより、移送管3の中間部3b内に導入された流動体Aが例えば後の包装に支障を生じない程度の温度である30℃〜40℃まで冷却される。また、図8に示すように、この冷却手段による流動体Aの冷却の際は、望ましくは移送管3の下流側が開閉弁10で遮蔽され、上流側から圧空供給管18により無菌の圧空が供給されることで、流動体Aが移送管3の中間部3b内に静止状態で保持される。このように加熱部分から冷却部分が分けられていることにより、流動体Aは速やかに上記適正温度まで冷却される。
【0031】
図9に示すように、移送管3の中間部3b内で冷却された流動体Aは第二の貯留タンク2へと送られるが、流動体Aは冷却される結果粘度が高くなり移送管3の中間部3bの内面に厚い層となって付着し残留しやすくなる。この残留した流動体Aを回収するため、図1及び図2に示すように、移送管3の中間部3b内にピグ4が移動可能に設けられる。また、移送管3の中間部3bにおける冷却用ジャケット19よりも上流側にはピグ4の待機室5が設けられ、冷却用ジャケット19よりも下流側にはピグ4の行止室6が設けられる。
【0032】
移送管3の中間部3bは、その上流側から下流側へと所望の箇所で屈曲して伸びるものであってもよいが、望ましくは図1に示すように待機室5と行止室6との間において直管すなわち真っ直ぐに伸びる管として構成される。これにより、この流動体加熱殺菌装置の構造が簡素化され、省スペース化も可能になる。
【0033】
ピグ4は、軟質材であり弾性材である樹脂、ゴム等により、図3に示すごとく、略円柱体として形成される。ピグ4は、移送管3内を移動しつつ移送管3の内面に付着し残留した流動体Aを掻き落とすことができるように、その外径が移送管3の内径よりもやや小さくなるように形成される。ピグ4の前部すなわち移送管3内で流動体Aの流れる方向に向く前部分の回りには、必要に応じてOリング12が嵌め込まれる。Oリング12により移送管3の中間部3bの内面に付着した流動体Aはより効果的に掻き落とされる。
【0034】
また、ピグ4の中央部には、後述する拘束具13が係脱自在に入り込む環状溝4aが設けられる。拘束具13がこの環状溝4a内に入り込むとピグ4は待機室5内の定位置から移動しないように拘束され、環状溝4a外に出るとピグ4は解放され移送管3内を移動可能となる。
【0035】
図2に示すように、待機室5は、ピグ4の前部が挿入される移送管3の中間部3bと略同じ太さの延長管5aと、ピグ4の後部が挿入される移送管3より太い拡張管5bとで構成される。延長管5aは移送管3の中間部3bと送出部3aとの境界近傍から中間部3bの延長方向に突出するごとく分岐する。拡張管5bはピグ4の径よりも大きい内径を有し、ピグ4の外周面との間に空室を形成する。拡張管5bと延長管5aとの間には内径を徐々に変化させるための円錐管5cが必要に応じて設けられる。
【0036】
拡張管5bには、上述した蒸気供給管14と、圧空供給管15とが接続される。また、蒸気排気管16も接続される。図4に示すように、蒸気供給管14から殺菌用の蒸気が拡張管5b内に注入されると、この蒸気がピグ4の表面を加熱殺菌する。この蒸気は例えば130℃程度であり、約30分間注入される。ピグ4は待機室5内で待機中その前部が延長管5a内に嵌り込むことから拡張管5b内で宙吊り状に保持され、その略全表面に蒸気が接触する。従って、ピグ4の表面が適正に殺菌処理される。蒸気はピグ4の殺菌後、拡張管5bに接続された排気管16から外部に排出される。また、殺菌用蒸気の供給を停止し、図10に示すように、圧空をその供給管15から拡張管5b内に注入すると、その圧力によりピグ4が待機室5から移送管3内に出て移送管3内を下流側に移動し、図11に示すように、行止室6内に到達して停止する。ピグ4を移動させるための圧空の圧力は例えば0.3〜0.4MPa程度である。
【0037】
図2に示すように、待機室5には、拡張管5bの管壁に形成された貫通孔17を管内へ貫通する拘束具13が設けられる。拘束具13は具体的には丸棒であり、作業者が貫通孔17から待機室5内に拘束具13を挿入した際にその先端部がピグ4の環状溝4a内に食い込むことで、ピグ4を待機室5中に拘束する。これにより、殺菌用蒸気供給管14から殺菌用蒸気を供給する際に、ピグ4は蒸気圧に抗して待機室5中の定位置に留まることになる。また、作業者が拘束具13を拡張管5bの外側へと引いて拘束具13の先端部をピグ4の環状溝4aから離脱させると、ピグ4は待機室5中での拘束を解かれる。これにより、圧空供給管15から圧空が供給されると、ピグ4は待機室5から移送管3内に押し出されることとなる。
【0038】
行止室6は、移送管3の中間部3bと流入部3cとの境界近傍から中間部3bが分岐することにより形成される。この分岐部の末端は端板6aで閉じられ、ピグ4はこの端板6aに当たって停止する。この行止室6の上流端から上記第二の貯留タンク2に向かって流入部3cが伸びている。ピグ4が上記待機室5から行止室6へと移動することにより、移送管3の内壁面に付着し残留した流動体Aがピグ4により掻き落とされ、流入部3cから第二の貯留タンク2内に流れ込むことで回収される。
【0039】
次に、上記流動体加熱殺菌装置の作用について説明する。
【0040】
(1)当初、図4に示すように、第一及び第二の貯留タンク1,2内は空の状態とされる。また、図2に示すように、作業者により拘束具13が拡張管5bの貫通孔17から待機室5内に挿入され、拘束具13の先端がピグ4の環状溝4aに差し込まれる。これにより、ピグ4は待機室5内に拘束される。
【0041】
(2)図4に示すように、移送管3上の開閉弁7,8,10が開けられ、殺菌用の蒸気が殺菌用蒸気の供給管9から第一の貯留タンク1内に注入される。この蒸気は第一の貯留タンク1から、移送管3内に流入し、その送出部3a、中間部3b及び流入部3cを通って第二の貯留タンク2へと流れつつ、これらの内部を殺菌した後、排気管11から第二の貯留タンク2外へ排出される。
また、図2に示すように、殺菌用の蒸気は、待機室5内すなわち拡張管5b、延長管5aの内部にも殺菌用蒸気供給管14から注入される。ピグ4は待機室5内においてその前部が延長管5a内に嵌り込み拡張管5b内で宙吊り状に保持される。これにより、拡張管5b内に注入された蒸気はピグ4の略全表面を殺菌する。蒸気はピグ4の殺菌後、拡張管5bに接続された排気管16から外部に排出される。
かくて流動体加熱殺菌装置の内部が殺菌処理されると、殺菌用蒸気供給管9,14、排気管11,16等の各種配管に設けられた図示しないバルブが閉じられ、系内が密閉される。
【0042】
(3)図5に示すように、移送管3の最上流側の開閉弁7が閉じられ、各種圧空供給管15,20から移送管3内に無菌の圧空が供給される。これにより、流動体加熱殺菌装置の内部が第一の貯留タンク1を除き陽圧に保たれ、菌類の流動体加熱殺菌装置内への侵入が阻止される。
そこで、図5に示すように、第一の貯留タンク1の蓋1aが開けられ、第一の貯留タンク1内にスープ、ソース、ジュース等所望の流動体Aが無菌的に一定量充填され、図6に示すように、再び蓋1aが被せられ第一の貯留タンク1が密閉される。
【0043】
(4)図6に示すように、第一の貯留タンク1内に圧空供給管18から圧空が供給され、殺菌用蒸気供給管9から殺菌用の蒸気が注入される。これにより、第一の貯留タンク1内の流動体Aは高温・高圧のもとで加熱殺菌される。このように流動体Aは一定容積の貯留タンク内に貯留された状態で、しかもレトルト殺菌のような袋等の包装体を介することなく加熱されるので、速やかに加熱され、過加熱による品質の劣化が防止される。
【0044】
(5)第一の貯留タンク1内の流動体Aが所定の温度まで加熱され殺菌されると、図7に示すように、第一の貯留タンク1内への蒸気の供給が停止され、直ちに移送管3の最上流側の開閉弁7が開けられ、最下流側の開閉弁10が閉じられる。これにより、第一の貯留タンク1内の流動体Aは、圧空供給管18から供給される圧空により、速やかに移送管3内に流入し、移送管3の中間部3b内に溜まる。流動体Aはポンプによることなく圧空で送られるので、移送管3内を円滑に流れる。
【0045】
(6)図8に示すように、冷却用ジャケット19内に冷却水が供給され、移送管3の中間部3b内に溜まった流動体Aの冷却が行われる。流動体Aは第一の貯留タンク1内から速やかに移送管3内に流入し、直ちに冷却されるので、過度に加熱されることがなく、風味、テクスチャー、栄養素等の品質が高度に保持され、変色等も来たすことがない。
この流動体Aの冷却時、圧空供給管18,15から無菌の圧空が移送管3側へ供給され、その圧力により流動体Aは移送管3の中間部3b内に適正に保持される。また、流動体Aのピグ待機室5内への流入が防止される。また、圧空供給管20から無菌の圧空が第二の貯留タンク2内へ供給され、第二の貯留タンク2内が陽圧に保持される。
【0046】
(7)図9に示すように、第二の貯留タンク2への圧空供給管20からの圧空の供給が遮断され、移送管3の最下流側の開閉弁10が開けられる。これにより、移送管3の中間部3b内で冷却された流動体Aが第二の貯留タンク2内に流入する。
【0047】
(8)冷却された流動体Aが第二の貯留タンク2内に流入すると、図10に示すように、作業者により拘束具13が拡張管5bの外側へと引かれる。拘束具13は拡張管5bの貫通孔17から抜き取ってもよいし、貫通孔17内に残してもよい。貫通孔17内に残すようにすると、圧空の漏れ出しを防止することができる。このように拘束具13を管外に引いて拘束具13の先端部をピグ4の環状溝4aから離脱させると、ピグ4は待機室5内での拘束を解かれる。
【0048】
(9)図10に示すように、移送管3の流入部3aが中間部3bに合流する箇所に設けられた開閉弁8が閉じられると、待機室5内に供給される圧空によりピグ4は待機室5から移送管3の中間部3b内に押し出され、中間部3b内を下流側に移動する。
ピグ4は移送管3の中間部3b内を移動しつつ、移送管3の内壁面に付着し残留した流動体Aを掻き落とし、掻き落とした流動体Aを流入部3cから第二の貯留タンク2内に押し込む。
【0049】
(10)やがてピグ4は、図11に示すように行止室6内に入り込み、端板6aに当たって停止する。これにより、移送管3の中間部3b内に残留したすべての流動体Aの回収が完了し、また第一の貯留タンク1から第二の貯留タンク2への流動体Aの移送が完了する。
【0050】
(11)第二の貯留タンク2には、図示しない導管が接続され、第二の貯留タンク2内の流動体Aはこの導管から図示しない無菌充填機に送られ、袋、容器等に充填され包装される。
【0051】
(12)行止室6内に入ったピグ4は、例えば端板6aに予め穿設されプラグで閉じられた孔から作業者によって操作棒が挿入されることにより、待機室5内へ押し戻される。或いは端板6aの孔から圧縮空気を注入して押し戻すことも可能である。
待機室5内に復帰したピグ4は、図1及び図2に示すように、拘束具13により再び待機室5内に拘束される。
【0052】
本発明は以上説明したように構成されるが、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る流動体加熱殺菌装置の概念図である。
【図2】図1中、ピグが待機する箇所の拡大図である。
【図3】ピグの一例の斜視図である。
【図4】流動体加熱殺菌装置の内部を殺菌する工程を示す説明図である。
【図5】流動体加熱殺菌装置内に流動体を供給する工程を示す説明図である。
【図6】流動体加熱殺菌装置内で流動体を加熱殺菌する工程を示す説明図である。
【図7】流動体加熱殺菌装置内で流動体を第一の貯留タンクから移送管内へと送り出す工程を示す説明図である。
【図8】流動体加熱殺菌装置内で流動体を冷却する工程を示す説明図である。
【図9】流動体加熱殺菌装置内で流動体を移送管内から第二の貯留タンクへと送り出す工程を示す説明図である。
【図10】流動体加熱殺菌装置内でピグを移送管中下流側に移動させる工程を示す説明図である。
【図11】流動体加熱殺菌装置内でピグが行止室へ到達し流動体の回収が完了した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
A…流動体
1…第一の貯留タンク
2…第二の貯留タンク
3…移送管
4…ピグ
5…待機室
6…行止室
9…蒸気供給管
10…開閉弁
18…圧空供給管
19…冷却用ジャケット
【出願人】 【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【出願日】 平成18年8月22日(2006.8.22)
【代理人】 【識別番号】100083839
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男


【公開番号】 特開2008−48616(P2008−48616A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−225104(P2006−225104)