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【発明の名称】 殺菌処理済み煮豆食品包装体及び殺菌処理済み煮豆食品包装体の製造方法
【発明者】 【氏名】岡本 一郎

【氏名】森 光弘

【氏名】中園 美幸

【氏名】都志 敦子

【要約】 【課題】煮豆食品包装体において、時間の経過に伴う調味液の粘度の増加は食品衛生上は何ら問題はないが、粘度の増加が一般消費者に品質の経時変化を意識させ、また、煮豆の風味・食味を変えたりするために好ましいものではなかった。本発明は、前記加圧加熱殺菌処理された殺菌処理済み煮豆食品包装体において、食品包装体中の煮豆食品の調味液の粘度を低下させうる煮豆食品包装体及び煮豆食品包装体の製造方法に関する。

【構成】煮豆食品が充填された耐熱性包装容器を密封して得られる未殺菌処理煮豆食品包装体を加圧加熱殺菌処理して得られる殺菌処理済み煮豆食品包装体であって、前記煮豆食品中にコラーゲンペプチドを含有することを特徴とする殺菌処理済み煮豆食品包装体を用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
煮豆食品が充填された耐熱性包装容器を密封して得られる未殺菌処理煮豆食品包装体を加圧加熱殺菌処理して得られる殺菌処理済み煮豆食品包装体であって、前記煮豆食品中にコラーゲンペプチドを含有することを特徴とする殺菌処理済み煮豆食品包装体。
【請求項2】
前記コラーゲンペプチドの重量平均分子量が1000〜5000である請求項1に記載の殺菌処理済み煮豆食品包装体。
【請求項3】
前記殺菌処理済み煮豆食品包装体中に煮豆100質量部に対して、前記コラーゲンペプチドを0.25〜4.5質量部含有する請求項1又は請求項2に記載の殺菌処理済み煮豆食品包装体。
【請求項4】
煮豆とコラーゲンペプチドを含有する調味液とを耐熱性包装容器に充填して密封することにより未殺菌処理煮豆食品包装体を形成する煮豆食品包装工程と、
前記未殺菌処理煮豆食品包装体を加圧加熱殺菌処理する工程とを備えることを特徴とする殺菌処理済み煮豆食品包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、煮豆食品が充填された耐熱性包装容器を密封して得られる未殺菌処理煮豆食品包装体を加圧加熱殺菌処理して得られる殺菌処理済み煮豆食品包装体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、煮豆食品を包装容器に充填して密封した後、加熱殺菌処理して得られる煮豆食品包装体が広く知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記のような煮豆食品包装体は、予め水または湯で膨潤させた原料豆を煮た後、調味液に浸漬して味付けし、味付けされた豆を耐熱性樹脂フィルム包装体に充填して密封した後、包装体ごと加圧加熱殺菌処理(レトルト殺菌処理とも呼ばれる)することにより得られる。
【0004】
前記加圧加熱殺菌処理は、殺菌前の煮豆包装体中に存在する耐熱性細菌の殺菌を目的として、100℃を超える蒸気や加圧熱水中で所定の時間保持する処理である。
【0005】
このように加圧加熱殺菌処理された煮豆食品包装体は常温でも一定期間の間、腐敗しないために、一般家庭における簡便なおかず用食品として好まれている。
【0006】
しかしながら、加圧加熱殺菌処理された煮豆食品包装体は一定期間の間、腐敗は抑制されるものの、食品包装体中の煮豆食品の調味液の粘度が徐々に増加するということが知られていた。
【特許文献1】特開2005−341911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような調味液の粘度の増加は食品衛生上は何ら問題はないが、粘度の増加が一般消費者に品質の経時変化を意識させ、また、煮豆の風味・食味を変えたりするために好ましいものではなかった。
【0008】
本発明は、前記加圧加熱殺菌処理された殺菌処理済み煮豆食品包装体において、食品包装体中の煮豆食品の調味液の粘度を低下させうる煮豆食品包装体及び煮豆食品包装体の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、殺菌処理済み煮豆食品包装体にコラーゲンペプチドを含有させることにより、調味液の粘度を低下させうることを見出し、前記課題を解決できることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明の殺菌処理済み煮豆食品包装体は、煮豆食品が充填された耐熱性包装容器を密封して得られる未殺菌処理煮豆食品包装体を加圧加熱殺菌処理して得られる殺菌処理済み煮豆食品包装体であって、前記煮豆食品中にコラーゲンペプチドを含有することを特徴とするものである。このように煮豆食品包装体中に充填されている煮豆食品にコラーゲンペプチドを含有させることにより、殺菌処理済み煮豆食品包装体における経時的に増加する調味液の粘度を低下させうる。
【0011】
また、前記コラーゲンペプチドとしては、その重量平均分子量が1000〜5000であることが好ましい。コラーゲンペプチドの分子量が前記範囲の場合には、調味液の粘度を低下させうる点でより好ましい。
【0012】
さらに、前記コラーゲンペプチドの含有量としては、煮豆食品中の煮豆100質量部に対して前記コラーゲンペプチドを0.25〜4.5質量部含有することが調味液の粘度を低下させうる効果が適度であって、また、煮豆食品の風味や食味に影響を与えない点から好ましい。
【0013】
また、本発明の殺菌処理済み煮豆食品包装体の製造方法は、煮豆とコラーゲンペプチドを含有する調味液とを耐熱性包装容器に充填して密封することにより未殺菌処理煮豆食品包装体を形成する煮豆食品包装工程と、前記未殺菌処理煮豆食品包装体を加圧加熱殺菌処理する工程とを備えることを特徴とするものである。殺菌処理済み煮豆食品包装体をこのような方法により製造することにより、調味液の粘度を低下させうる殺菌処理済み煮豆食品包装体を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、殺菌処理済み煮豆食品包装体における調味液の粘度を低下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の殺菌処理済み煮豆食品包装体は、煮豆食品が充填された耐熱性包装容器を密封して得られる未殺菌処理煮豆食品包装体を加圧加熱殺菌処理して得られる殺菌処理済み煮豆食品包装体であって、前記煮豆食品中にコラーゲンペプチドを含有することを特徴とするものである。
【0016】
以下に上記のような殺菌処理済み煮豆食品包装体の製造方法の好ましい実施形態について、詳しく説明する。
【0017】
本発明における煮豆食品に含有される煮豆の原料豆としては、大豆、小豆、黒豆、金時豆、うずら豆、えんどう豆、そら豆、大白花芸豆、大黒花芸豆等の食用豆が挙げられる。これらの豆は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
上記のような原料豆は、はじめに、石や砂等の不純物が除去され、さらに洗浄された後、水または湯に浸漬される。この浸漬工程は、原料豆を水または湯で膨潤させて、後述する煮加工を容易にするための前処理工程である。このような浸漬工程は、通常、6〜20時間程度水に膨潤させることにより行うことが好ましい。
【0019】
そして、上記のように水または湯で膨潤された原料豆は、次に、煮加工される。
【0020】
煮加工としては、水煮及び蒸煮等、従来から知られた煮加工の方法を適宜用いうる。
【0021】
煮加工の条件の一例としては、水煮の場合には、90〜100℃、更には95〜98℃の温水中で10〜40分間、更には15〜30分間程度ボイルする条件が挙げられる。
【0022】
次に煮加工された原料豆は、味付けされる。
【0023】
味付けの方法は、特に、限定されないが、予め、各種調味料を所定の割合であわせた調味液に浸漬することが好ましい。
【0024】
前記調味料としては、グラニュー糖、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、マルチトール,パラチトール,マンニトール,キシリトール,イノシトール, トレハロース,ソルビトール,エリスリトール等の還元糖、ショ糖、乳糖、麦芽糖、オリゴ糖、デキストリン等の糖類、食塩、醤油、味醂、各種天然エキス類、各種人工調味料、各種複合調味料等が挙げられる。
【0025】
前記調味液は、前記調味料を所定の調味割合で混合して水に溶解することにより得られる。
【0026】
このような調味液に前記煮豆を所定の条件、具体的には、例えば70〜98℃の調味液に10〜20時間浸漬することにより味付けされた煮豆が得られる。
【0027】
そして、このようにして味付けされた煮豆は調味液とともに耐熱性包装容器に充填される。
【0028】
なお、本発明の殺菌処理済み煮豆食品包装体の製造においては、煮豆とともに耐熱性包装容器に充填される調味液(充填用調味液)に予めコラーゲンペプチドを含有させておくことが好ましい。
【0029】
ここで、前記コラーゲンペプチドについて説明する。
【0030】
コラーゲンペプチドとは、牛や豚、あるいは魚類から得られるコラーゲンを加水分解することで得られる低分子量のコラーゲンである。なお、前記加水分解の方法や処理条件は、通常の加水分解コラーゲンの製造技術が適用できる。具体的には、例えば、加水分解法として、パパインなどの蛋白質分解酵素を用いる方法、酸やアルカリで化学的に処理する方法、加熱する方法などが適用できる。
【0031】
前記コラーゲンペプチドの重量平均分子量としては、500〜10000、さらには1000〜5000程度のものが好ましく用いられる。
【0032】
前記コラーゲンの具体例としては、例えば、新田ゼラチン(株)製「コラーゲンペプチドSCP−5100」(重量平均分子量5100)、野洲化学工業(株)製の「コラーゲンペプチドP−5000」(重量平均分子量5000)、「コラーゲンペプチドF−5000」(重量平均分子量5000)、「コラーゲンペプチドYS−P1」(重量平均分子量5000)、チッソ(株)製の「マリンコラーゲンオリゴCF」(重量平均分子量900〜1100)等が挙げられる。これらの中で、「コラーゲンペプチドF−5000」及び「マリンコラーゲンCF」は魚に由来するものであり、「コラーゲンペプチドP−5000」及び「コラーゲンペプチドSCP−5100」は豚皮に由来するものであり、「コラーゲンペプチドYS−P1」は牛皮に由来するものである。
【0033】
これらの中では、煮豆の風味や食味への影響が小さく、また、褐変を生じにくい点等から、豚皮に由来するコラーゲンペプチドが特に好ましく用いられる。
【0034】
上記のようなコラーゲンペプチドを充填用調味液に配合することにより煮豆食品包装体中にコラーゲンペプチドを含有させることができる。
【0035】
前記コラーゲンペプチドの含有量としては、煮豆食品包装体中に含有される煮豆100質量部に対して0.25〜4.5質量部、更には0.6〜4.3質量部含有させることが好ましい。
【0036】
そして、上記のような煮豆及び充填用調味液を耐熱性包装容器に充填して密封することにより未殺菌処理煮豆食品包装体が形成される。
【0037】
前記耐熱性包装容器とは、後述する加圧加熱殺菌処理によって破損しないような容器であれば特に限定なく用いられ、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等をベース基材とし、バリヤ層等の各種機能層を有する複層のラミネートフィルム等からなるレトルトパウチ等が好ましく用いられる。
【0038】
前記耐熱性包装容器に煮豆及び充填用調味液を充填する方法は特に限定されない。
【0039】
耐熱性包装容器には煮豆及び充填用調味液の他に、従来から家庭で調理されていたような煮豆料理に煮豆と同時に調理されている昆布や人参や大根等の野菜類等を前記煮豆等とともに充填しても良い。また、必要に応じて、各種食品添加物を含有しても良い。
【0040】
そして、上記のようにして煮豆、コラーゲンペプチドを含有する充填用調味液及びその他の成分が充填された耐熱性包装容器を密封することにより未殺菌処理煮豆食品包装体が得られる。
【0041】
前記密封方法は、特に限定されないが、前記耐熱性包装容器内の空気等を脱気した後、包装体の開口部を熱圧着してシールする方法である、いわゆる脱気包装等の方法を用いることが好ましい。
【0042】
得られた未殺菌処理煮豆食品包装体は加圧加熱殺菌処理装置等により、高圧高温で処理されて殺菌処理される。前記加圧加熱処理条件としては、従来から知られた煮豆食品包装体の加圧加熱殺菌の条件、好ましくは105〜140℃、さらに好ましくは110〜125℃の温度と前記温度を維持しうる圧力で、好ましくは15〜45分間、さらに好ましくは25〜35分間保持するような条件が用いられる。
【0043】
このように、加圧加熱殺菌処理することにより、本発明の殺菌処理済み煮豆食品包装体が得られる。
【0044】
このようにして製造された本発明の殺菌処理済み煮豆食品包装体は、その内容物である調味液の粘度を低下させることができる。
【0045】
以下に、本発明を実施例により、更に具体的に説明する。なお、本発明は、実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
はじめに、本実施例で用いた原材料を以下にまとめて示す。
(原料豆)
・大白花芸豆
・大黒花芸豆
・金時豆
・大豆
(調味液)
大白花芸豆及び大黒花芸豆の調味液は、水100部(質量部、以下同様)にグラニュー糖15部、還元水あめ3部、食塩0.3部を溶解させた調味液を用いた。また、金時豆には水100部にグラニュー糖37部、還元水あめ20部、食塩1部を溶解させた調味液を用いた。さらに、大豆には、水100部にグラニュー糖203部、還元水あめ42部、醤油67部、食塩11部に天然エキスを少量を溶解させた調味液を用いた。
(コラーゲンペプチド)
・コラーゲンペプチドP−5000(野洲化学工業(株)製、重量平均分子量5000)
・マリンコラーゲンオリゴCF(チッソ(株)製、重量平均分子量1000)
【0047】
(実施例1)
大黒花芸豆300部を1500部の水に15時間浸漬して膨潤させた。このとき大黒花芸豆の質量は浸漬前の2〜2.6倍程度になっていた。そして、前記膨潤された大黒花芸豆を96℃の熱水で30分間煮た後、熱水から取り出して冷却することにより大黒花芸豆煮豆を得た。
【0048】
次に、前記大黒花芸豆煮豆を80℃の調味液に10時間浸漬した。そして、調味液から煮豆を取りだした後、送風冷却して味付けされた大黒花芸豆煮豆を得た。
【0049】
一方、調味液40gにコラーゲンペプチドP−5000を3g溶解させて充填用調味液を調製した。
【0050】
次に、容量300mlの耐熱性包装袋(高さ185mm、横幅122mm、奥行40mm)に煮豆180gとコラーゲンペプチド3gを含有する充填用調味液43gを充填したのち、前記耐熱性包装体内の空気を脱気して減圧状態で前記耐熱性包装体の開口部を熱融着することにより密封し、未殺菌処理煮豆食品包装体を得た。
【0051】
得られた未殺菌処理煮豆食品包装体は加圧加熱殺菌処理装置内で117℃のスチーム中で30分間加熱殺菌処理した。
【0052】
加熱殺菌処理された殺菌処理済み煮豆食品包装体について、以下の液切り量の測定により粘性を評価した。なお、液切り量が多いほど、調味液の粘度が低いことを示す。
〈液切り量の測定〉
前記殺菌処理後、1日間、7日間、14日間、21日間経過した殺菌処理済み煮豆食品包装体を開封し、その内容物を円形ふるい(目開き9.5mm、直径150mm)上に載せ、そのまま25分間放置することにより固液分離した。そして、前記固液分離操作により分離された調味液の重量を測定した。なお、液切り量が多いほど、調味液の粘度が低いことを示す。
結果を表1に示す。
【0053】
(実施例2〜15)
表1に記載の原材料組成で殺菌処理済み煮豆食品包装体を得た以外は実施例1と同様にして煮豆食品包装体を得、評価した。結果を表1に示す。
【0054】
(比較例1〜比較例4)
表1に記載のコラーゲンペプチドを含有しない原材料組成で殺菌処理済み煮豆食品包装体を得た以外は、実施例1と同様にして煮豆食品包装体を得、評価した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】


【0056】
【表2】


【0057】
表1において、大黒花芸豆を原料豆とし、重量平均分子量5000のコラーゲンペプチドを含有する実施例1及び実施例2の殺菌処理済み煮豆食品包装体中の内容物の1,7,14,21日間のそれぞれの液切り量は、コラーゲンペプチドを含有しない比較例1の前記液切り量に比べて何れの経過時間においても多く、コラーゲンを含有することにより前記内容物中の調味液の粘度が低下することがわかる。
【0058】
また、大豆を原料豆とし、重量平均分子量5000のコラーゲンペプチドを含有する実施例3及び重量平均分子量1000のコラーゲンペプチドを含有する実施例4の殺菌処理済み煮豆食品包装体中の内容物の1,7,14,21日間のそれぞれの液切り量は、コラーゲンペプチドを含有しない比較例2の前記液切り量に比べて何れの経過時間においても多く、コラーゲンを含有することにより調味液の粘度が低下することがわかる。
【0059】
さらに、金時豆を原料とする実施例5,6と比較例3、大白花芸豆を原料とする実施例7〜15と比較例4においても、同様の結果が得られた。
【0060】
前記結果のように、コラーゲンペプチドを含有する殺菌処理済み煮豆食品包装体に含有される調味液の粘度は、コラーゲンペプチドを含有しない前記煮豆包装体に比べて大幅に低くなっていることがわかる。
【出願人】 【識別番号】592020703
【氏名又は名称】株式会社小倉屋柳本
【出願日】 平成18年8月18日(2006.8.18)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司

【識別番号】100096150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝夫

【識別番号】100099955
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 次郎


【公開番号】 特開2008−43270(P2008−43270A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−222927(P2006−222927)