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【発明の名称】 豆腐ピューレを含有するホイップクリーム
【発明者】 【氏名】鈴木 学

【要約】 【課題】栄養豊富な大豆加工食品を利用し、ホイップ性、造花性および保形性に優れ、かつ、ホイップクリームに求められる風味やテクスチャー(舌触り)を損なうことのないホイップクリームを提供する。

【構成】油脂組成物20〜50質量%と、豆腐ピューレを大豆固形分として1〜8質量%と、水0〜73質量%とを含有し、前記油脂組成物は、油脂と該油脂に対して0.5〜5質量%の乳化剤からなり、前記豆腐ピューレは、下記(a)〜(d)に示す理化学的性質を有することを特徴とするホイップクリーム。(a)粘度が20〜3,000mPa・sであること。;(b)動的貯蔵弾性率が0.2〜600Paであること。;(c)動的損失弾性率が0.2〜250Paであること。;(d)豆腐ピューレ中の粒子の平均粒子径が2〜15μmであり、かつ90%粒子径が35μm以下であること。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂組成物20〜50質量%と、豆腐ピューレを大豆固形分として1〜8質量%と、水0〜73質量%とを含有し、
前記油脂組成物は、油脂と該油脂に対して0.5〜5質量%の乳化剤からなり、
前記豆腐ピューレは、下記(a)〜(d)に示す理化学的性質を有することを特徴とするホイップクリーム。
(a)粘度が20〜3,000mPa・sであること。
(b)動的貯蔵弾性率が0.2〜600Paであること。
(c)動的損失弾性率が0.2〜250Paであること。
(d)豆腐ピューレ中の粒子の平均粒子径が2〜15μmであり、かつ90%粒子径が35μm以下であること。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、豆腐ピューレを含有するホイップクリームに関する。
【背景技術】
【0002】
大豆は良質のたんぱく質を含むばかりではなく、イソフラボン、サポニン、レシチン、トコフェロール、リノール酸(大豆油由来)等の生理活性物質を富に含み、コレステロールを含まないことから、近年の健康志向等により、様々な食品への利用が進められている。従来より、豆乳等の大豆加工食品を含有するホイップクリームを製造する技術として、以下のものが開示されている。
(1)豆乳ホイップクリーム(特許文献1参照。)。
特許文献1に記載のホイップクリームには、豆乳の他に油脂が30〜50質量%含まれている。
【0003】
また、大豆加工食品等に適用される豆腐ペースト等の製造技術として、例えば以下の方法が開示されている。
(1)豆腐をそのままサイレントカッター等でペースト状にしたものを冷凍する方法(特許文献2参照。)。
(2)豆乳に凝固剤を添加して得られる凝固物を脱水し、高速カッター等でペースト状に加工する方法(特許文献3参照。)。
(3)豆乳に凝固剤を添加し、ホモジナイザーによりペーストに加工する方法(特許文献4参照。)。
(4)特定の理化学的性質を有する豆腐ピューレとその製造方法(特許文献5参照。)。
【特許文献1】特公平4−64660号公報
【特許文献2】特開平6−46784号公報
【特許文献3】特公平8−29059号公報
【特許文献4】特開昭59−71641号公報
【特許文献5】特許第3327541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のホイップクリームは、濃厚感に乏しく豆乳特有の青臭みが残り風味が劣るものであった。また、油脂が30質量%未満になるとクリームが軟質となり、ホイップ後の造花性、保形性に問題があった。
また、従来のホイップクリームに使用される大豆加工食品として、豆腐あるいは豆腐ペースト等、いわゆる豆乳に凝固剤を添加して得られる凝固物を用いることはなかった。さらに特許文献2〜5に記載の豆腐をペースト化する技術を、ホイップクリームの製造に適用することもなかった。
【0005】
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、栄養豊富な大豆加工食品を利用し、ホイップ性、造花性および保形性に優れ、かつ、ホイップクリームに求められる風味やテクスチャー(舌触り)を損なうことのないホイップクリームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、大豆加工食品として、青臭み等の癖のある豆乳の代わりに、豆腐ピューレを利用することとした。さらに、ホイップクリームの製造に用いられる豆腐ピューレ、油脂、乳化剤の含有量が、造花性、保形性等といったホイップクリームの特性に影響することを見出した。これらの知見に基き、さらに検討して、以下のホイップクリームを発明した。
本発明は以下の構成を含む。
本発明のホイップクリームは、油脂組成物20〜50質量%と、豆腐ピューレを大豆固形分として1〜8質量%と、水0〜73質量%とを含有し、前記油脂組成物は、油脂と該油脂に対して0.5〜5質量%の乳化剤からなり、前記豆腐ピューレは、下記(a)〜(d)に示す理化学的性質を有することを特徴とする。
(a)粘度が20〜3,000mPa・sであること。
(b)動的貯蔵弾性率が0.2〜600Paであること。
(c)動的損失弾性率が0.2〜250Paであること。
(d)豆腐ピューレ中の粒子の平均粒子径が2〜15μmであり、かつ90%粒子径が35μm以下であること。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、栄養豊富な大豆加工食品を利用し、ホイップ性、造花性および保形性に優れ、かつ、ホイップクリームに求められる風味やテクスチャー(舌触り)を損なうことのないホイップクリームを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のホイップクリームは、油脂と乳化剤からなる油脂組成物、豆腐ピューレおよび水を含有する。
【0009】
<豆腐ピューレ>
本発明に使用する豆腐ピューレは、前記条件(a)〜(d)を満足する豆腐ピューレを用いる。本発明において「豆腐ピューレ」とは、豆乳や豆腐を原料として得られるピューレ状のものを示す。豆腐ピューレは、好適には後述するように、豆乳と凝固剤を混合し、加熱処理を経た凝固物を破砕処理して得られるものである。
【0010】
条件(a):
粘度が20〜3,000mPa・sであることを条件とする。粘度がこの範囲であることにより、ホイップクリームの粘性が適度になり、特にホイップ時のオーバーラン(空気の巻き込み)、造花性、保形性が向上する。
豆腐ピューレの粘度は、原料の豆乳の大豆固形分、後述する第1乳化分散手段や第2乳化分散手段を用いた調製時の分散・均質条件、加熱条件、凝固剤の種類および添加量等によって調整することができる。
【0011】
条件(a)に係る粘度の測定方法は以下の通りである。
試料を10℃にて24時間静置した後、B型粘度計(商品名DVL−BII、トキメック社製)を使用し、No.2、No.3またはNo.4ローターを装着し、60rpmのローター回転数により粘度を測定する。
【0012】
条件(b):
動的貯蔵弾性率が0.2〜600Paであることを条件とする。動的貯蔵弾性率がこの範囲であることにより、ホイップクリームの動的粘弾性が適度になり、特にオーバーラン、造花性、保形性が向上する。
豆腐ピューレの動的貯蔵弾性率は、原料の豆乳の大豆固形分、調製時の分散・均質条件、加熱条件、凝固剤の種類および添加量等によって調整することができる。
【0013】
条件(b)に係る動的貯蔵弾性率の測定方法は以下の通りである。
試料を10℃にて24時間静置した後、粘弾性測定システム(商品名ARES−200FRT、レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)を使用し、50.0rad/sの周波数において、動的貯蔵弾性率を測定する。測定温度は10℃である。
【0014】
条件(c):
動的損失弾性率が0.2〜250Paであることを条件とする。動的損失弾性率がこの範囲であることにより、ホイップクリームの動的粘弾性が適度になり、特にオーバーラン、造花性、保形性が向上する。
豆腐ピューレの動的損失弾性率は、原料の豆乳の大豆固形分、調製時の分散・均質条件、加熱条件、凝固剤の種類および添加量等によって調整することができる。
条件(c)に係る動的損失弾性率の測定方法は、条件(b)の場合と同様にして行う。
【0015】
条件(d):
豆腐ピューレ中の粒子の平均粒子径が2〜15μm、かつ90%粒子径が35μm以下であることを条件とする。平均粒子径が2μm以上であることにより、特にテクスチャー、造花性および保形性が向上する。平均粒子径が15μm以下であることにより、特にテクスチャーが向上する。また、90%粒子径が35μm以下であることにより、特にテクスチャーが向上する。テクスチャーの向上理由として、特に大きな粒子の存在割合がテクスチャーに影響することが挙げられる。
【0016】
ここで、平均粒子径とは、粒度累積分布の50%に相当する粒子径のことである。よって90%粒子径とは、粒度累積分布の90%に相当する粒子径のことである。
豆腐ピューレ中の平均粒子径は、調整時の分散、均質条件によって調整することができる。
【0017】
条件(d)に係る平均粒子径および90%粒子径の測定方法は以下の通りである。
試料を10℃にて24時間静置した後、レーザー回析式粒度分布測定装置(商品名:LA-500、堀場製作所社製)を使用し、平均粒子径(粒度累積分布の50%に相当する粒子径)および90%粒子径(粒度累積分布の、粒径が小さいものから積算して90%に相当する粒子径)を測定する。
【0018】
なお、条件(a)〜(d)に規定した数値は、必ずしも連動するものではない。例えば豆腐ピューレにおいて、粘度が条件(a)を満たしていても、他の1つまたは2つ以上の条件を満たしていない場合もある。
本発明においては、条件(a)に係る「粘度」、条件(b)に係る「動的貯蔵弾性率」、条件(c)に係る「動的損失弾性率」、条件(d)に係る「豆腐ピューレ中の粒子の平均粒子径」および「90%粒子径」が、それぞれのホイップクリームのオーバーラン、造花性、保形性、テクスチャーに影響していることが明らかとなった。これらの数値範囲を全て規定することによって、ホイップクリームのオーバーラン、造花性、保形性、テクスチャーを向上させることができる。なお、後述するように、豆腐ピューレの含有量、油脂の含有量および乳化剤の含有量もこれらの特性に影響するため、本発明おいてはこれらの含有量も規定している。
【0019】
条件(a)〜(d)を満足する豆腐ピューレの含有量は、ホイップクリームに対して10〜80質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。また、豆腐ピューレの、大豆固形分としての含有量は、ホイップクリームに対して1〜8質量%であり、好ましくは2〜5質量%である。豆腐ピューレは、ホイップクリーム中の油脂含有量が多い時には少量用い、油脂含有量が少ない時には多量用いるのが好ましい。このように豆腐ピューレの割合を調整することにより、ホイップ後のクリームの硬さ、オーバーラン等のホイップ特性およびホイップ後の保形性を最も良い状態に保つことができる。
なお、豆腐ピューレは、水を加えて大豆固形分を調整することができ、この場合の水の添加量はホイップクリームに対して0〜73質量%であり、好ましくは10〜50質量%である。
【0020】
<油脂組成物>
油脂組成物は、後述する油脂と乳化剤からなる。油脂組成物の含有量は、ホイップクリームに対して、20〜50質量%であり、好ましくは30〜40質量%である。油脂組成物が20質量%未満ではホイップ後のクリームが軟質で造花が難しくなり、油脂が50質量%超では、適正なオーバーランが得られない。
【0021】
(油脂)
油脂としては、大豆油、なたね油等の液状油脂の硬化油、パーム油、ヤシ油、乳脂、牛脂、豚脂、魚油硬化油等を例示することができるが、これらに限定されるものではなく、通常、ホイップクリームに利用される油脂であればいずれのものを使用しても良い。これらは1種または2種以上混合して用いることができる。
【0022】
(乳化剤)
乳化剤は、通常の乳成分を利用したホイップクリームで用いる乳化剤と同様のものが使用できる。乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
乳化剤の含有量は、油脂に対して0.5〜5質量%であり、好ましくは1〜3質量%である。乳化剤が0.5質量%未満では十分な乳化が行われず、5質量%超では増粘、糊化が起こり易い。
【0023】
<その他>
本発明の効果に影響を及ぼさない限りにおいて、甘味料、安定剤、香料等の添加物を適宜使用することができる。添加物(乳化剤を除く)の総量は、ホイップクリームに対して0〜10質量%が好ましく、0〜0.5質量%がより好ましい。該添加物は、豆腐ピューレと油脂組成物とを混合する際に添加してもよいが、予め上述した豆腐ピューレに添加しておくことが好ましい。
【0024】
本発明のホイップクリームは以下のようにして製造できる。
<豆腐ピューレの製造工程>
豆腐ピューレは、好適には以下の工程を経て製造することができる。
(A)豆乳に凝固剤を添加し、40〜90℃に保持して凝固物を製造する工程(以下、工程(A)ということがある。)。
(B)凝固物を第1乳化分散手段により予備粉砕し、10〜35℃に冷却して予備粉砕物を製造する工程(以下、工程(B)ということがある。)。
(C)予備粉砕物を第2乳化分散手段により、平均粒子径2〜15μm、および90%粒子径35μm以下に破砕する工程(以下、工程(C)ということがある。)。
以下、各工程について詳細に説明する。
【0025】
工程(A):
まず、豆乳に凝固剤を添加し、40〜90℃に保持して凝固物を形成する。出発原料の豆乳としては、常法により製造された豆乳を使用することが可能であり、具体的には、例えば、大豆を水に12時間浸漬し、水を添加しながら磨砕機により磨砕し、磨砕物を蒸煮し、分離機でおからを分離して製造された豆乳を使用することができる。
また、必要に応じて豆乳には、大豆タンパク質、例えば、分離大豆タンパク質(製品名 ニューフジプロSEH:不二製油社製)等を適宜添加することができる。
ここで、出発原料の豆乳の大豆固形分を5〜15質量%とすることにより、特に条件(a)〜(d)を満たすことが容易となる。
【0026】
凝固剤は、食品に使用することが許容され、豆乳を凝固させる機能を有する物質であれば、いずれのものであっても使用することができる。中でもグルコノデルタラクトン、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、および塩化マグネシウムからなる群から選択される物質の1種または2種以上の混合物を使用することにより、豆乳の凝固を速やかに実施することができ、望ましくない風味の発生を抑制でき、好ましい。
凝固剤の添加量は、豆乳を凝固させる量を使用することができる。
特に条件(a)〜(d)を満たすためには、凝固剤の添加量は、豆乳の大豆固形分当たり1〜7質量%とすることが好ましい。
豆乳と凝固剤は、これらを均一に反応させるためには均一に混合する必要がある。そのため、バッチ式であれば各種撹拌機により撹拌することが好ましい。連続的な製造であればインラインで豆乳の流速を20ml/秒以上とし、凝固剤の添加速度を0.2ml/秒以上とすることにより均一に混合することができる。
【0027】
そして、豆乳に凝固剤を添加し、条件(a)〜(d)を満足するために、40〜90℃に保持して凝固物を得る。
保持時間は、原料の豆乳の大豆固形分、凝固剤の種類、および凝固剤の添加量によって変化するが、通常2〜60秒間であり、特に望ましくは2〜20秒間である。
凝固物は、例えばインラインの場合には、豆乳をプレートヒーター(例えば、森永エンジニアリング社製等)等により、好適には40〜90℃に加熱し、好ましくは2〜60秒間の保持時間の達成が可能な保持管に、豆乳および凝固剤の混合物を、流量(流速)を一定で通液することによって製造することができる。
【0028】
工程(B):
工程(A)で得られた凝固物を第1乳化分散手段を用いて予備破砕し、さらに10〜35℃に冷却する。
第1乳化分散手段は、凝固物を予備破砕できるものであれば特に限定されることはなく、連続的な製造を考慮するとインラインが好ましく、シェアーポンプ(例えば、ヤスダファインテ社製等)またはマイルダー(例えば、荏原製作所社製)が望ましい。
この様な予備破砕により、凝固物は通常10〜50μmの平均粒子径に破砕される。具体的には、マイルダーを使用した場合、マイルダーの回転数を3,000〜15,000rpmの範囲で適宜変更することにより、凝固物を平均粒子径10〜50μmの適宜の大きさに予備破砕することができる。
ついで、この予備破砕物を10〜35℃に冷却する。この冷却は、インラインの場合には、予備破砕物をプレートクーラー(例えば、森永エンジニアリング社製等)等に通液することによって行うことができる。温度を35℃以下にすることにより、後の破砕工程において摩擦熱による過加熱が加わっても、条件(a)〜(d)を満足する望ましい豆腐ピューレが得られる。温度を10℃以上にすることにより、予備破砕物の粘度の上昇を防ぎ、充分に破砕することができ、次の第2乳化分散手段によって充分に分散処理することができる。
【0029】
工程(C):
工程(B)で得られた予備破砕物を、第2乳化分散手段を用いて、予備破砕物中の粒子の大きさが平均粒子径2〜15μm、および90%粒子径35μm以下になるまで破砕すると、条件(a)〜(d)を満足する豆腐ピューレが得られる。
第2乳化分散手段は、予備破砕物中に含有される粒子径を規定された条件にまで破砕できるものであれば特に限定されることはない。連続的な製造を考慮するとインライン方式が好ましく、ホモゲナイザー(例えば、三丸機械工業社製等)、シェアーポンプ(例えば、ヤスダファインテ社製等)、またはマイルダー(例えば、荏原製作所社製)が望ましい。
具体的な破砕条件は、ホモゲナイザーを使用した場合、処理圧力を2〜150MPaの範囲で適宜変更することにより、上記規定された条件を満足する破砕物が得られる。この場合、摩擦熱による豆腐ピューレの加熱を防止するため、処理温度を一定値以下、例えば25℃に保持するため、冷却しながら実施することが望ましい。
【0030】
(インラインの製造装置を用いた豆乳ピューレの製造方法)
前記工程(A)〜(C)は、例えば図1に示す様なインラインの製造装置を用いて行うことが好ましい。
図1に示した豆腐ピューレの製造装置は、原料タンク1、加熱手段3、保持管6、第1乳化分散手段10、冷却手段11、および第2乳化分散手段14が、ラインAによって、この順番に配列されてなる系と、この系に接続された凝固剤を供給する凝固剤供給手段7とから概略構成されている。凝固剤供給手段7は、ラインBを介して、ラインAに設けられた加熱手段3と保持管6との間に連結されている。
【0031】
原料タンク1は豆乳が収容できるものであればよく、食品用のサニタリー性のあるタンクであればいずれでもよい。
ラインAにおいて、原料タンク1の下流には、流量調節弁のある定量ポンプ2が配設され、定量ポンプ2の下流には、加熱手段3が配設されている。
【0032】
加熱手段3は、熱源4を有する液体を加熱する装置であり、例えばプレートヒーター、チューブラーヒーター等種々の熱交換器を使用することができる。熱源4としては、蒸気の他、温水を例示することができる。
加熱手段3の出口側には、この出口における液体の温度を自動制御する温度制御機5が設けられている。
また、加熱手段3は、1台に限らず、複数の熱交換器によって段階的に加熱するものであってもよい。
【0033】
また、温度制御機5の下流側には保持管6が配設されている。
保持管6は、豆乳および凝固剤の混合物を一定温度で一定時間保持し、凝固物を形成させるものである。
そして、ラインAにおいては、加熱手段3と保持管6との間に、凝固剤を供給する凝固剤供給手段7から伸びるラインBが連結されている。
凝固剤供給手段7は、凝固剤用タンク8および流量調節弁のある定量ポンプ9から構成されており、加熱手段で40〜90℃に加熱された豆乳に凝固剤を一定量ずつ供給可能なものである。
さらにラインAにおいて、保持管6の下流には、第1乳化分散手段10が配設されている。第1乳化分散手段10は、凝固物を予備破砕できるものであれば特に限定されることはなく、シェアーポンプまたはマイルダーを使用することができる。
【0034】
そして、ラインAの第1乳化分散手段10の下流側は、冷却手段11が配設されている。
冷却手段11は、冷媒供給手段12を備えてなる液体を冷却する装置であり、プレートクーラー、チューブラーヒーター等種々の熱交換器を使用することができる。冷媒供給手段12において用いる冷媒としては、水の他、冷水を例示することができる。
ラインAの冷却手段11の出口付近には、冷却手段11の出口における液体の温度を自動制御する温度制御機13が設けられている。
冷却手段11は、1台に限らず、複数の熱交換器によって段階的に加熱するものであってもよい。
【0035】
冷却手段11の下流には、第2乳化分散手段14が配設されている。 第2乳化分散手段14は予備破砕物に含有される粒子を特定の平均粒子径と90%粒子径に破砕できるものであれば特に限定されることはなく、ホモゲナイザー、シェアーポンプ、またはマイルダーを使用することができる。
また、この装置を構成する各構成を無菌的にシールし、無菌的に製造すると、微生物による汚染がないものを大量に製造できるため、好ましい。
【0036】
この装置を用いて豆腐ピューレを製造する操作を以下に簡単に説明する。
まず、原料タンク1に豆乳を仕込む。そして、定量ポンプ2を作動させて、この豆乳を加熱手段3に供給し、熱源4を作動させて加熱する。豆乳の加熱温度は、温度制御機5によって制御する。
そして、加熱した豆乳を、さらに保持管6に供給する。
一方、凝固剤用タンク8に凝固剤を仕込む。そして、この凝固剤を、定量ポンプ9を作動させて、加熱手段3と保持管6との間に接続されたラインBからラインAに供給する。すると、保持管6の上流側にて豆乳と凝固剤とが混合され、保持管6内においてこれらの混合物が所定の温度に保持されることによって凝固物が得られる[上記工程(A)参照。]。
【0037】
ついで、この凝固物を第1乳化分散手段10に供給して予備破砕処理を経たものを、冷却手段11に送り、冷媒供給手段12を作動させて冷却し、予備破砕物を得る。なお、冷却温度は下流側の温度制御機13によって制御する[上記工程(B)参照]。
【0038】
そして、この予備破砕物を第2乳化分散手段14に送り、規定の条件を満たすまで破砕を行うと、豆腐ピューレが得られる[上記工程(C)参照]。
【0039】
<ホイップクリームの製造工程>
上記のようにして得られた豆腐ピューレを用いて、ホイップクリームを製造することができる。以下に代表的な製造例を示す。
ホイップクリームに対して大豆固形分として1〜8質量%の豆腐ピューレに、水と適宜添加物を加え、60〜80℃に加温する。ついで、油脂に乳化剤を添加し、同じく60〜80℃に加温融解した油脂組成物を先の豆腐ピューレに加え、ホモミキサーにより10,000rpmで5分間撹拌し予備乳化する。これをホモジナイザーにより均質化した後、直ちに10℃に冷却し、ホイップクリームを得る。
【0040】
本発明においては、従来製品では期待することができない、優れたホイップ性、造花性、保形性を有し、かつ、風味やテクスチャーも良好な新しいタイプのホイップクリームを提供することができる。
後述する実施例で明らかにするように、上述の様な豆腐をそのままペースト化した豆腐ペースト、または豆乳と凝固剤を混合して凝固させた後に脱水したものをペースト化した豆腐ペーストは、(a)〜(d)で規定した数値範囲の上限値を超える理化学的性質を有する。そして、これらの豆腐ペーストはざらつき感があり、テクスチャーが不良であり、また、これらの豆腐ペーストを配合したホイップクリームも同様に、テクスチャーが不良である。また、オーバーラン、造花性も不良となる。
また、豆乳に凝固剤を添加し、その後、均質化工程を経ずに得た豆腐ペーストや、ホモジナイザー単独で均質化した豆腐ペーストは、平均粒子径が15μmを超え、さらに90%粒子径が35μmを超える。そのため、この豆腐ペーストを配合したホイップクリームは、テクスチャーが不良であるという問題がある。
さらに、豆乳をそのまま使用したものは、大豆特有の青臭み、渋味、大豆臭等があり、風味が不良である。また、造花性、保形性も特に優れたものは得られない。
本発明においては、この様な大豆製品をホイップクリームに使用した場合にみられる従来製品の問題点を確実に解消した新しいタイプのホイップクリームを提供することができる。
【0041】
この様な効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推測される。
ホイップクリームのオーバーラン、造花性、保形性、風味、テクスチャーに影響を与える因子は、一概には言えないが、ホイップクリームの油脂量、脂肪球の状態、脂肪球の粒度分布、豆腐ピューレの粒度分布等が挙げられる。
これらは、ホイップクリームにしたときの舌触り(テクスチャー)、気泡の状態、油脂の解乳化および凝集状態等に影響しているものと考えられる。また、クリームのホイップは空気の巻き込みとそれに伴う部分的な解乳化による気泡表面への脂肪球の凝集と、その凝集脂肪の連鎖によるネットワーク形成によって気泡が安定化される現象であるが、大豆タンパク質が凝固剤の添加によって凝集し、大豆タンパク質のネットワークを形成することで、更に気泡が安定化され、ホイップクリームの造花性、および保形性の向上に寄与しているものと考えられる。
そして、条件(d)の規定によって粒度分布がシャープであることにより、きめ細かくなめらかで、かつ条件(a)〜(c)を満足する適度な粘度、動的貯蔵弾性率、動的損失弾性率を有する豆腐ピューレを特定の割合で、特定の割合の他の油脂と共に配合することにより、オーバーラン、造花性、保形性に優れた組織が形成され、その結果、オーバーラン、造花性、保形性に優れ、かつ、風味やテクスチャーも良好なホイップクリームが得られるものと考える。
【実施例】
【0042】
以下、本発明のホイップクリームを実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、下記実施例において、特に断りがない限り「%」は質量%を示す。
【0043】
<評価方法>
[1]豆腐ピューレの条件(a)〜(d)に係る特性の測定方法
豆腐ピューレの条件(a)〜(d)に係る特性の測定方法は上記の通りである。
【0044】
[2]ホイップクリームの特性の評価方法
(1)オーバーランの測定方法
試料300gをミキサー(KEN WOOD CHEF:愛工舎製)を使用し、180rpm、6℃の条件でホイップした。予め測定したホイップ前のクリーム100cmにおける質量(X)と、10秒あるいは15秒毎に測定したクリーム100cmにおける質量(Y)から、下記式に基づき算出されるオーバーランの最大値を求めた。なお、オーバーランが50%に満たないものは「ホイップできない」と判断した。
オーバーラン(%)=[(X)−(Y)]/(Y)×100
本発明においてオーバーランの最大値が100〜300%となるものがホイップクリームとして好ましい。オーバーランの最大値が100%未満である場合、気泡が不安定で、造花が困難になる。また、オーバーランの最大値が300%を超える場合、気泡が不安定で、かつ粗くなるとともに食感が悪化して望ましくない。
なお、表2〜6には、オーバーランの最大値を示す。
【0045】
(2)ホイップ時間の測定方法
試料300gをミキサー(KEN WOOD CHEF:愛工舎製)を使用し、180rpm、6℃の条件でホイップした時に最大オーバーランが得られるまでの時間をホイップ時間とした。
【0046】
(3)ペネトロ値の測定方法
最大オーバーランが得られたホイップクリームについて、ペネトロメーター(中村医科理科製)を使用し、先端角度20℃、重り12gのペネトロコーンを用いて測定した際の、ペネトロメーターの示す値をペネトロ値とした。
ペネトロ値は、ホイップクリームの硬さを示す値であり、本発明においてペネトロ値が150〜250となるものがホイップクリームとして好ましい。ペネトロ値が150未満の場合は、ホイップクリームが硬すぎて食感が悪化する。また、ペネトロ値が250を超える場合、ホイップクリームが軟質で造花が困難になり望ましくない。
【0047】
(4)造花性の評価方法
ホイップした試料を絞り袋に入れて、絞って花形に造花したしたときの造花物の状態を以下の基準で目視評価した。
○:きれいなエッジが形成され、先切れが生じず、組織がなめらかである。
△:きれいなエッジとなめらかな組織が得られにくい。
×:造花できない。
【0048】
(5)保形性の評価方法
花形に造花したものを20℃で保存し、1晩経過後の状態を目視観察して、以下の基準で目視評価した。
○:形が崩れず良好であった。
△:形が少し崩れていた。
×:形が崩れていた。
【0049】
(6)風味の評価方法
各試料を、20歳から40歳までの男女20人からなるパネルにより、次の評価方法により官能的に試験した。各パネラーには、各試料を、以下の4段階で評価してもらった。
0点:風味良好。
1点:風味やや良好。
2点:風味やや不良。
3点:風味不良。
そして、各試料毎に、各パネラーが評価した結果を平均した平均値を算出し、この平均値を以下の基準で評価した。
良好:0.5点未満。
やや良好:0.5以上1.5点未満。
やや不良:1.5以上2.5点未満。
不良:2.5点以上3.0点未満。
【0050】
(7)テクスチャーの評価方法
各試料を、20歳から40歳までの男女20人からなるパネルにより、次の評価方法により官能的に試験した。各パネラーには、各試料を、以下の4段階で評価してもらった。
0点:テクスチャー良好。
1点:テクスチャーやや良好。
2点:テクスチャーやや不良。
3点:テクスチャー不良。
そして、各試料毎に、各パネラーが評価した結果を平均した平均値を算出し、この平均値を以下の基準で評価した。
良好:0.5点未満。
やや良好:0.5以上1.5点未満。
やや不良:1.5以上2.5点未満。
不良:2.5点以上3.0点未満。
【0051】
<豆乳、豆腐の製造>
(参考例1;豆乳の製造例)
米国産大豆(ホンダトレーディング社)60kgを洗穀し、流水に12時間浸漬し、大豆を膨潤させ、この浸漬大豆と170kgの水をグラインダー(長沢機械製作所社製)に供給して磨砕し、生呉約220kgを調製した。この生呉約220kgを連続式煮釜(長沢機械製作所社製)により100℃、4分間蒸煮した後、絞り機(荒井鉄工所社製)により豆乳とおからに分離し、豆乳約190kgを製造した。得られた豆乳の大豆固形分は約13%であった。
【0052】
(参考例2;豆腐の製造例)
前記参考例1と同一の米国産大豆60kgを浸漬し、この浸漬大豆と570kgの水をグラインダーに供給して磨砕し、生呉約620kgを調製した。この生呉620kgを連続式煮釜により100℃、4分間蒸煮した後、絞り機により豆乳とおからに分離し、豆乳約600kgを製造した。得られた豆乳の大豆固形分は約4.5%であった。70〜75℃に冷却した前記豆乳100kgに対して、ぬるま湯に懸濁させた硫酸カルシウム(富田製薬社製)を豆乳の大豆固形分当たり7.8%の濃度で添加混合し、10分間放置した。得られた凝固物を軽く崩した後、箱型に移し、20分間圧搾し、豆腐約80kgを製造した。この豆腐を取り出し、水に晒して冷却し、切断した。得られた木綿豆腐の水分は約87%であった。
【0053】
<試験例1;従来技術との対比>
試験例1は、本発明に係るホイップクリームが優れた特性を示すことを、従来技術を適用した比較例と対比して評価したものである。
以下のようにして各実施例、比較例の試料(ホイップクリーム)を製造し評価した。実施例1−1、実施例1−2で使用した豆腐ピューレの特性および、比較例1−1〜比較例1−3で使用した豆腐ペーストの特性を表1に示した。また、各試料の評価結果を表2に示した。
実施例の試料は、特許文献1〜4にそれぞれ記載の方法を適用した比較例1−1〜1−4の試料と対比すると、造花性、保形性において良好であり、短時間でホイップが完了した。また、風味やテクスチャーも良好であった。したがって、従来提案されている豆腐、豆乳を用いた食品材料の中から特定のものを選択することによって、優れたホイップクリームが得られることが確認できた。また、本発明によれば、従来提案されている豆乳を使用したホイップクリームとは異なる優れた特性が発揮できることが確認できた。なお、豆乳または豆腐の種類を適宜変更して同様に試験したところ、ほぼ同様の結果が得られた。
【0054】
(実施例1−1)
(1)豆腐ピューレの調整
図1に示した豆腐ピューレの製造装置により、本発明に使用する豆腐ピューレを製造した。
原料タンク1に収容した、参考例1と同一の方法により製造された大豆固形分13%、温度10℃の豆乳100kgを、流量調節弁のある定量ポンプ2(ナカキン社製)により加熱手段3に送液し、加熱手段3に流入した豆乳を、温度制御機5(横河電機社製)により制御された熱源4の温水により60℃に加熱し、28ml/秒で保持管6へ送液した。
【0055】
一方、凝固剤供給手段7の凝固剤用タンク8(森永エンジニアリング社製)に収納した凝固剤[塩化マグネシウム(日亜化学工業社製)]を、豆乳の大豆固形分に対して4%の割合で添加するために0.4ml/秒で、流量調節弁のある定量ポンプ9(エフ・エム・アイ社製)により加熱手段3から送液される豆乳に供給し、均一に混合し、この混合物を保持管6により60℃で3秒間保持して豆乳凝固物を生成し、第1乳化分散手段10(マイルダー、荏原製作所社製)に移送した。
【0056】
ついで、第1乳化分散手段10に流入した豆乳凝固物を、マイルダーの回転数12,000rpmで、平均粒子径20μmに直ちに予備破砕し、冷却手段11に移送した。冷却手段11に移送した予備破砕物を、温度制御機13(横河電機社製)により30℃に制御された冷媒12である冷水により冷却し、第2乳化分散手段14(ホモジナイザー、三丸機械工業社製)に移送した。
第2乳化分散機14に移送した予備破砕物を、処理圧力12MPaで、平均粒子径13.4μm、かつ90%粒子径23.1μmに破砕し、豆腐ピューレを得た。
得られた豆腐ピューレは、大豆固形分が13%であり、ざらつき感がなく、かつ良好な風味を有する豆腐ピューレであった。
【0057】
(2)豆腐ピューレを含有するホイップクリームの調整
水相として、上記(1)で調製した豆腐ピューレ30.8kgに水38.7kgを混合し、ホイップクリーム中での大豆固形分が4%になるように調整した後、80℃に調温する。一方、油相として、パーム核硬化油(太陽油脂社製)30kgに乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル0.5kgを加えて溶解した油脂組成物を、80℃に調温する。水相をホモミキサー(特殊機化工業社製)により8,000rpm撹拌し、これに油相を徐々に添加し予備乳化する。これをホモジナイザー(三丸機械工業社製)により処理圧力15MPaにて均質化し、10℃まで冷却して豆腐ピューレを含むホイップクリームを得た。これを、5℃で18時間エージングして、実施例1−1の試料を得た。
【0058】
(実施例1−2)
(1)豆腐ピューレの調整
図1に示した豆腐ピューレの製造装置を使用し、下記に示す製造条件を変更したことを除き、実施例1−1と同一の方法により豆腐ピューレを製造した。
(i)加熱手段3の加熱温度を80℃とした。
(ii)保持管6の保持温度を80℃とした。
(iii)マイルダーで予備破砕する際の平均粒子径を10μmとした。
(iv)ホモジナイザーの処理圧力を3MPaとし、破砕する際の平均粒子径を4.8μm、90%粒子径を8.0μmとした。
【0059】
実施例1−2で得られた豆腐ピューレは、大豆固形分が13%であり、ざらつき感がなく、かつ良好な風味を有する豆腐ピューレであった。
【0060】
(2)豆腐ピューレを含有するホイップクリームの調整
水相として、実施例1−2の(1)で調製した豆腐ピューレ38.5kgに水41.2kgを混合し、ホイップクリーム中の大豆固形分が5%になるように調整した後、70℃に調温する。一方、油相として、パーム核硬化油(太陽油脂社製)20kgに乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル0.5kgを加えて溶解した油脂組成物を、70℃に調温する。水相をホモミキサーにより10,000rpm撹拌し、これに油相を徐々に添加し予備乳化する。これをホモジナイザーにより処理圧力13MPaにて均質化し、10℃まで冷却して豆腐ピューレを含むホイップクリームを得た。これを、5℃で18時間エージングして、実施例1−2の試料を得た。
【0061】
(比較例1−1)
豆腐ピューレの代わりに、参考例2と同一の方法により製造した木綿豆腐を、サイレントカッターでペースト状に加工した豆腐ペースト(特許文献2の実施例1に相当する豆腐ペースト)を使用したことを除き、実施例1−1と同一の方法により製造したホイップクリームを試料とした。
【0062】
(比較例1−2)
豆腐ピューレの代わりに、下記に示す豆腐ペーストを使用したことを除き、実施例1−1と同一の方法により製造したホイップクリームを試料とした。
参考例1と同一の方法により製造した豆乳2kgに、凝固剤としてグルコノデルタラクトン4.4gを添加し、80℃にて約30分静置して豆乳を凝固させて、豆乳凝固物(大豆固形分8%)を得た後、この凝固物を圧搾機によって0.2〜1.0kg/cmで約30分間かけて圧搾し、水分含量73%まで脱水し、高速カッターでペースト状に加工した豆腐ペースト(特許文献3の実施例1に相当する豆腐ペースト)を比較例1−2で用いた。
【0063】
(比較例1−3)
豆腐ピューレの代わりに、下記に示す豆腐ペーストを使用したことを除き、実施例1−1と同一の方法により製造したホイップクリームを試料とした。
参考例1と同一の方法により製造した80℃の豆乳5kgに、凝固剤(塩化カルシウム2.5g、塩化マグネシウム1.5g、クエン酸3.5g)を17.5gの水に溶解した後、混合し、80℃にて、5秒間保持して凝固物を製造し、これをホモジナイザーで加工した豆腐ペースト(特許文献4の実施例に相当する豆腐ペースト)を比較例1−3で用いた。
【0064】
(比較例1−4)
下記に示す特許文献1の実施例1に相当するホイップクリームを試料とした。
水相として、参考例1と同一の方法により製造した豆乳0.45kgに水1.75kgを加えて大豆無脂固形分を2.0%に調整し、ヘキサメタリン酸ナトリウム4gを加えて70℃に加温した。一方、油相として、硬化なたね油75%、硬化やし油25%よりなる油脂1.8kgを融解させ、75℃に加温し、この油脂中にレシチン12.6gおよび蔗糖脂肪酸エステル7.2gを混合融解した。水相と油相を混合乳化し、ホモジナイザーにより2回均質化し、その後75℃にて30分殺菌し、5℃まで冷却して豆乳ホイップクリームを得た。これを、5℃で24時間エージングして、比較例1−4の試料を得た。
【0065】
【表1】


【0066】
【表2】


【0067】
<試験例2;豆腐ピューレの理化学的性質が異なる場合の対比>
条件(a)〜(d)の特性に対する影響を調べた。
(試料の調整)
以下のようにホモジナイザーの処理圧力を調節した以外は実施例1−1と同様にして、粘度、動的貯蔵弾性率、および動的損失弾性率の各理化学的性質が異なる豆腐ピューレを製造した。豆腐ピューレの条件(a)〜(d)に係る各特性を表3に示した。
【0068】
(実施例2−1)
ホモジナイザーの処理圧力を1MPaとした。
【0069】
(実施例2−2)
ホモジナイザーの処理圧力を12MPaとした。
【0070】
(実施例2−3)
ホモジナイザーの処理圧力を17MPaとした。
【0071】
(比較例2−1)
ホモジナイザーの処理圧力を0MPaとした。
【0072】
(比較例2−2)
ホモジナイザーの処理圧力を20MPaとした。
【0073】
試験例2の実施例、比較例で得られた各豆腐ピューレを用いて、実施例1−1と同一の方法により、5種類の試料を調製し、評価し、その結果を表3に示した。
表3に示した結果から明らかな通り、特定の理化学的性質を有することにより、ホイップ性、造花性、保形性の3つの良好な特性が得られることが確認できた。また、風味、テクスチャーも良好であった。なお、豆乳の種類、凝固剤の種類、または乳化分散手段を適宜変更して同様に試験したところ、ほぼ同様の結果が得られた。
【0074】
【表3】


【0075】
<試験例3;豆腐ピューレおよび油脂組成物の含有量の対比>
試験例3は豆腐ピューレおよび油脂組成物の含有量の特性への影響を調べるために行った。
表4に示すように、豆腐ピューレの含有量を大豆固形分として0.5〜9%、油脂組成物の含有量を10〜60%の範囲で変更した以外は、実施例1−1と同一の方法により、11種類の試料を調製し評価した。結果を表4、表5に示した。
表4、表5に示した結果から明らかな通り、ホイップ性、造花性、保形性に優れ、かつ、風味やテクスチャーも良好な試料を調製するためには、豆腐ピューレを、大豆固形分として1〜8%配合し、かつ、油脂組成物を20〜50%配合する必要があることが確認できた。また、油脂含量20%においても良好なホイップクリームを得ることができ、特許文献1に開示の豆乳を使用したホイップクリームに比較して、より低脂肪率のホイップクリームが製造できることを確認できた。なお、豆乳の種類、凝固剤の種類、乳化分散手段、または油脂の種類を適宜変更して同様に試験をしたところ、ほぼ同様の結果が得られた。
【0076】
【表4】


【0077】
【表5】


【0078】
<試験例4;乳化剤添加量の対比>
試験例4は乳化剤添加量の特性への影響を調べるために行った。
表6に示す通り、乳化剤添加量を油脂に対して0〜7%の範囲で変更した以外は実施例1−1と同一の方法により、5種類の試料を調製し評価した。結果を表6に示した。
表6に示した結果から明らかの通り、ホイップ性、造花性、保形性に優れ、かつ、風味やテクスチャーも良好な試料を調製するためには、乳化剤を、油脂に対して0.5〜5%配合する必要があることが確認できた。この結果は、乳化剤添加量が少ない場合は、乳化が十分に行われず、乳化剤添加量が多い場合は、ホイップクリームに糊化が生じて、特性が低下することによると推測される。なお、乳化剤の種類を適宜変更して同様に試験をしたところ、ほぼ同様の結果が得られた。
【0079】
【表6】


【0080】
以上の実施例の結果から明らかなように、本発明に係る実施例においては、従来技術ではなし得なかった優れたホイップ性、造花性、保形性を有し、かつ、風味やテクスチャーも良好な新しいタイプのホイップクリームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明のホイップクリームに使用する豆腐ピューレの製造装置の一例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0082】
1:原料タンク、2:定量ポンプ、3:加熱手段(プレートヒーター)、4:熱源、5:温度制御機、6:保持管、7:凝固剤供給手段、8:凝固剤用タンク、9:定量ポンプ、10:第1乳化分散手段(マイルダー)、11:冷却手段(プレートクーラー)、12:冷媒、13:温度制御機、14:第2乳化分散手段(ホモジナイザー)

【出願人】 【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
【出願日】 平成18年7月25日(2006.7.25)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦


【公開番号】 特開2008−22821(P2008−22821A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−201993(P2006−201993)