| 【発明の名称】 |
魚肉加工品の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】石田 隆
|
| 【要約】 |
【課題】ゼラチンを使用した魚肉の加工方法は存在しなかった。ゼラチンは通常0℃以下にすることによって、物性が変化するため、魚肉の加工方法の使用には不向きであった。また、保存性の高い魚肉の加工製品がなかった。
【構成】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 略−10℃〜略+5℃の魚肉を裁断する第一の工程と、 裁断された魚肉をさらに細断すると共に、所定の温度条件下で酸化防止剤、植物性油脂、コラーゲンを混合する第二の工程と、 第二の工程でできた魚肉の混合物の温度を略12℃〜略20℃に上げ、ゼラチン水溶液を混合する第三の工程と、 第三の工程でできた魚肉の混合物を略−60℃〜略−30℃で急速冷凍する第四の工程と、 で構成される魚肉加工品の製造方法。 【請求項2】 略−10℃〜略+5℃の魚肉を裁断する第一の工程と、 裁断された魚肉をさらに細断すると共に、所定の温度条件下で酸化防止剤、植物性油脂、コラーゲンを混合する第二の工程と、 第二の工程でできた魚肉の混合物の温度を略12℃〜略20℃に上げ、ゼラチン水溶液を混合する第三の工程と、 第三の工程でできた魚肉の混合物を略5℃で略1時間〜略5時間冷蔵する第四の工程と、 で構成される魚肉加工品の製造方法。 【請求項3】 酸化防止剤が魚肉100に対して0.5〜3、植物性油脂が魚肉100に対して7〜20、コラーゲンが魚肉100に対して0.3〜5の割合で混合することを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の魚肉加工品の製造方法。 【請求項4】 ゼラチン水溶液の温度が略30℃〜略60℃であって、ゼラチン濃度略4%〜略18%であることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の魚肉加工品の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、魚肉加工品の製造方法に関する。特にキハダマグロ、バチマグロのような鮪肉加工品の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 日本において魚は非常に食卓に上る機会の多い食材であり、また、魚の中でも鮪は刺身や鮨用として用いられることが多く、日本ではゆかりのある食材である。鮪は刺身や鮨用で主に用いられる場合が多いにも関わらず、特に変色しやすい非常にデリケートな魚であり、鮪を早い段階で切り身にすると、変色を起こしてしまい、製品としての寿命は極めて短いものであった。 【0003】 そこで、従来から、鮪肉の加工方法に注目が集まっており、特許出願もされている。文献1は特開平7−170946号の「食用加工鮪肉及び鮪肉加工品の製造方法」であり、細断した鮪肉に油脂乳化物を添加して、鮪肉と油脂乳化物とを混合することを特徴とする食用加工鮪肉の製造方法である。 【0004】 また、文献2は、特開平8−163968号の「まぐろ肉の加工方法」であり、まぐろの赤身肉を挽肉機によって粉砕し、粉砕肉に、ガス量が100g中5〜20mlである急冷練り合せをしたショートニングを、粉砕肉100重量部当たり5〜25重量部加えて練り合せ、練り合せ品を適宜成形する加工方法である。 【0005】 【特許文献1】特開平7−170946号 【特許文献2】特開平8−163968号 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 前記のように鮪肉は非常にデリケートな魚であるため、鮪肉を加工する方法には様々な方法があることが知られているが、現在までゼラチンを使用した魚肉(鮪肉)の加工方法は存在しなかった。なぜなら、ゼラチンは通常0℃以下にすることによって、物性が変化するため、魚肉の加工方法の使用には不向きであり敬遠されてきたためである。そのため、今までの魚肉と、例えば植物性油脂を混ぜる加工方法でできた製品は、冷凍保存でないと形を保持することができず、解凍後もすぐに食さねばならなかった。 【0007】 また、文献1は、優れたトロ風味を付与できるが、従来からある食感を凌駕するものではなく、また、油脂乳化物を使用するために、非常にカロリーの高い加工品であること、また、冷凍保存でないと形を保持することができない、等の課題がある。 【0008】 文献2は、非常に簡便な加工が可能であるが、文献2の方法の場合、加工済み製品の保存中に肉が黒ずむことがある。また食した風味も鮪のトロの様な風味を感じさせるものではあるが、必ずしも満足のできる風味であるとはいえず、従来からある食感を凌駕するものではない。また、冷凍保存でないと形を保持することができない。尚、文献1、2とも、ゼラチンの使用は記載されていない。 【課題を解決するための手段】 【0009】 そこで、本発明は、今まで敬遠されてきた素材であるゼラチンを使用し、魚肉と混合することで、今までに無い新しい食感を提供すると共に、ゼラチンを混合しても保存性の高い魚肉の加工製品を提供できること、ミンチ魚肉を成形し、様々な形での調理が可能な魚肉の加工製品を提供すること、等を意図する。 【0010】 請求項1は、略−10℃〜略+5℃の魚肉を裁断する第一の工程と、裁断された魚肉をさらに細断すると共に、所定の温度条件下で酸化防止剤、植物性油脂、コラーゲンを混合する第二の工程と、第二の工程でできた魚肉の混合物の温度を略12℃〜略20℃に上げ、ゼラチン水溶液を混合する第三の工程と、第三の工程でできた魚肉の混合物を略−60℃〜略−30℃で急速冷凍する第四の工程と、で構成される魚肉加工品の製造方法である。 【0011】 請求項2は、略−10℃〜略+5℃の魚肉を裁断する第一の工程と、裁断された魚肉をさらに細断すると共に、所定の温度条件下で酸化防止剤、植物性油脂、コラーゲンを混合する第二の工程と、第二の工程でできた魚肉の混合物の温度を略12℃〜略20℃に上げ、ゼラチン水溶液を混合する第三の工程と、第三の工程でできた魚肉の混合物を略5℃で略1時間〜略5時間冷蔵する第四の工程と、で構成される魚肉加工品の製造方法である。 【0012】 本発明は、魚肉をより加工し易くする製造方法を提供することを意図する。 【0013】 請求項3は、酸化防止剤が魚肉100に対して0.5〜3、植物性油脂が魚肉100に対して7〜20、コラーゲンが魚肉100に対して0.3〜5の割合で混合することを特徴とする魚肉加工品の製造方法である。 【0014】 請求項4は、ゼラチン水溶液の温度が略30℃〜略60℃であって、ゼラチン濃度略4%〜略18%であることを特徴とする魚肉加工品の製造方法である。 【発明の効果】 【0015】 請求項1は、略−10℃〜略+5℃の魚肉を裁断する第一の工程と、裁断された魚肉をさらに細断すると共に、所定の温度条件下で酸化防止剤、植物性油脂、コラーゲンを混合する第二の工程と、第二の工程でできた魚肉の混合物の温度を略12℃〜略20℃に上げ、ゼラチン水溶液を混合する第三の工程と、第三の工程でできた魚肉の混合物を略−60℃〜略−30℃で急速冷凍する第四の工程と、で構成される魚肉加工品の製造方法である。 【0016】 請求項2は、略−10℃〜略+5℃の魚肉を裁断する第一の工程と、裁断された魚肉をさらに細断すると共に、所定の温度条件下で酸化防止剤、植物性油脂、コラーゲンを混合する第二の工程と、第二の工程でできた魚肉の混合物の温度を略12℃〜略20℃に上げ、ゼラチン水溶液を混合する第三の工程と、第三の工程でできた魚肉の混合物を略5℃で略1時間〜略5時間冷蔵する第四の工程と、で構成される魚肉加工品の製造方法である。 【0017】 従って、今までに無い新しい食感を提供すると共に、保存性の高い魚肉の加工製品を提供できること、ミンチ魚肉を成形し、様々な形での調理が可能な魚肉の加工製品を提供すること、等の効果がある。 【0018】 請求項3は、酸化防止剤が魚肉100に対して0.5〜3、植物性油脂が魚肉100に対して7〜20、コラーゲンが魚肉100に対して0.3〜5の割合で混合することを特徴とする魚肉加工品の製造方法である。 【0019】 請求項4は、ゼラチン水溶液が温度が略30℃〜略60℃であって、ゼラチン濃度略4%〜略18%であることを特徴とする魚肉加工品の製造方法である。 【0020】 従って、魚肉をより加工し易くする製造方法を提供すること、等の効果がある。 【発明を実施するための最良の形態】 【0021】 以下、本発明の一実施例を説明する。尚、今回の一実施例は鮪肉を例としているが、本発明は魚肉であれば特に限定されない。 【0022】 まず、本発明は−60℃に保管された原料であるキハダマグロ・バチマグロ等の鮪肉1を電解水を利用して解凍する。解凍後、電解水を利用して洗浄を行う。洗浄を行った後、鮪肉1をスライサー2等の裁断機により一定の大きさに裁断する(図1参照)。鮪肉1の大きさは5mm〜15mm程度が望ましい。5mm以下であると、細断時(後述する)に細かくなりすぎるため、見た目がすり身のようになり、商品としての価値が上がらず、また、新しい食感を提供するのに不向きである。また、15mm以上であると、細断時又は細断後に混合する酸化防止剤、植物性油脂、コラーゲン、ゼラチン水溶液と鮪肉1とが均一に混ざらず分断された状態となり、鮪肉1との均一な混合ができない。また、混合が不均一であるため、見た目にも違和感があり、製品として価値のあるものができず、新しい食感を提供するのに不向きである。また、裁断の際には鮪肉1の温度は−10℃〜+5℃にする。鮪肉1の温度が5℃以上になると、菌類の繁殖する確率が上がり、生菌数の増加に繋がり、食中毒菌の増加や鮪肉1の劣化速度を早める等の問題に繋がるためである。 【0023】 一定の大きさに裁断後、フードカッター3、ギロチンカッター、サイレントカッター、真空ボールカッター等により、鮪肉1をより細かく細断する(図2参照)。フードカッター3等により細断中又は細断後に酸化防止剤、植物性油脂、コラーゲンを混合する。酸化防止剤は例えば、株式会社ハイペロンのアミー21F2があり、植物性油脂は例えば、日本油脂株式会社のトロミユ500があり、コラーゲンは例えば、新田ゼラチン株式会社のコラーゲンペプチド800Fがある。 【0024】 なお、配合割合であるが、まず、酸化防止剤は、鮪肉1を100とした場合、酸化防止剤は0.5〜3程度の配合割合がよい。特に理想的な配合割合としては、鮪肉1を100とした場合、酸化防止剤は1程度の配合割合がよい。次に、植物性油脂は、鮪肉1を100とした場合、植物性油脂は7〜20程度の配合割合がよい。特に理想的な配合割合としては、鮪肉1を100とした場合、植物性油脂は18程度の配合割合がよい。最後にコラーゲンは、鮪肉1を100とした場合、コラーゲンは0.3〜5程度の配合割合がよい。特に理想的な配合割合としては、鮪肉1を100とした場合、コラーゲンは1程度の配合割合がよい。 【0025】 細断中又は細断後に鮪肉1に酸化防止剤、植物性油脂、コラーゲンを混合し、酸化防止剤、植物性油脂、コラーゲンと鮪肉の混合物10(以下、鮪肉の混合物10とする。)を作る。その後、細断を止め、ゼラチン水溶液4を混合して、鮪肉の混合物10とゼラチン水溶液の混合物11(以下、鮪肉とゼラチン水溶液の混合物11とする。)を作る(図3、図4参照)。ゼラチン水溶液4は30℃〜60℃のお湯に対して、4%〜18%の濃度のゼラチン水溶液4が望ましい。ゼラチン水溶液4の温度であるが、お湯が30℃以下の場合、ゼラチンが冷えて固まることによって、ゲル化が始まってしまい、ゼラチン水溶液4と鮪肉の混合物10が均一に混合されない。また、60℃以上であると、ゼラチン水溶液4の温度が高すぎるため、鮪肉の混合物10が白色に変色してしまう。従って、ゼラチン水溶液4の温度は30℃〜60℃の間で混合する。 【0026】 なお、細断・混合した鮪肉の混合物10は、12℃〜20℃にするのが望ましい。前記裁断の際には鮪肉1の温度は−10℃〜+5℃であるため、鮪肉の混合物10の温度を12℃〜20℃に上げる必要がある。尚、温度を上げるには約10分程度かかる。前記のように、鮪肉の混合物10の温度を上げると、生菌数の増加等の問題が懸念されるが、ゼラチン水溶液4と混合する際の適温維持には必要な行為であり、また、短時間で温度を上げることが可能であるため、特に影響は無い。 【0027】 鮪肉の混合物10の温度が低すぎると、ゼラチン水溶液4は前記のように30℃〜60℃に保たれているとしても、鮪肉の混合物10とゼラチン水溶液4を混合した際に鮪肉の混合物10の温度が低いことによって、鮪肉とゼラチン水溶液の混合物11の温度が30℃以下になってしまう。それによって、ゼラチン水溶液4のゼラチンが冷えて固まり、ゲル化を起こしてしまい、流動性が無くなるため、型に移し変えることができなくなる。また、鮪肉の混合物10の温度を20℃以上に上げた場合、鮪肉の混合物10を長時間放置すると、鮪肉の混合物10が溶け始め、鮪肉中(鮪肉の細胞膜の中)にある水分(俗に言う「旨み」と呼ばれるもの)が高温により溶け出してしまい、鮪肉の混合物10の色が変色し、品質の劣化を起こす。 【0028】 つまり、鮪肉の混合物10とゼラチン水溶液4の混合時に30℃以下にならないよう、鮪肉の混合物10の温度を下げすぎず、かつ、旨み成分の溶け出しを避けるため、鮪肉の混合物10の温度を20℃を超えないようにする。鮪肉の混合物10の温度を12℃〜20℃に保つことによって、植物性油脂とゼラチンにより、鮪肉中(鮪肉の混合物10)の旨み成分をコーティングすることが可能であり、旨み成分が鮪肉中に残るため、風味のある、新しい食感の美味しい食材の提供が可能である。 【0029】 ゼラチン水溶液4を均一に混合した後、鮪肉とゼラチン水溶液の混合物11を型に入れる。型に入れた後、型に入った鮪肉とゼラチン水溶液の混合物11を−60℃〜−30℃の冷凍庫で急速冷凍する。若しくは、約5℃前後のチルドで1時間〜5時間ほど冷蔵する。冷蔵する際には、鮪肉とゼラチン水溶液の混合物11の型との接地面が茶褐色に変色することを防止するため、冷蔵中に鮪肉とゼラチン水溶液の混合物11の型への接地面を定期的に替える。接地面の変色は鮪の中に含まれているヘモグロビン(赤色色素)が酸欠状態になるために起こる減少である。 【0030】 なお、−60℃〜−30℃の冷凍庫で急速冷凍後、解凍すると時間の経過により、鮪肉とゼラチン水溶液の混合物11の色が鮮紅色から暗褐色に変化するが、今回のように、酸化防止剤、植物性油脂、コラーゲンを混合しその後、ゼラチン水溶液4を混合することで、変色するまで目視により通常の5倍程度の時間がかかり、鮪肉とゼラチン水溶液の混合物11の新鮮さが失われにくい。また、前記のようにゼラチンは30℃以下になると固まってしまいゲル化が始まるが、30℃以上になると溶けるので、解凍後に口の中に入れることによって、融点である30℃を超えるため、ゼラチンが溶け、旨み成分が溶け出すため、新しい食感を提供することができる。 【0031】 また、今までの鮪肉と植物性油脂を混合して加工する方法により製造されてきた製品は、冷凍保存しておかないと、形を維持することができず、また、変色し易い等の問題があった。しかし、本発明の方法で製造された鮪肉の加工製品は、融点である30℃以下で保存することによって、形の維持が可能であり、変色のしにくい加工製品を提供することができる。 【0032】 冷凍又は冷蔵後、出来上がった鮪肉とゼラチン水溶液の混合物11を梱包し、完成する。図6はビニールパックタイプの鮪肉の加工製品12であり、30℃以上のお湯で解凍すると、鮪肉の成分の変化及びゼラチンが溶け出してしまう虞があるため、流水で解凍、冷蔵庫で解凍、常温で自然解凍することにより、握りずしのネタ等として食すことができる。図7は刺身風の鮪肉の加工製品13であり、図7のように刺身風にして食すこともでき、また、マリネ、シーフードサラダ等にも使用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0033】 【図1】本発明の鮪肉を裁断する工程を表す図である。 【図2】本発明の鮪肉をフードカッターで細断する工程を表す図である。 【図3】本発明の鮪肉にゼラチン水溶液を投入した図である。 【図4】図3のゼラチン水溶液を混合した図である。 【図5】本発明の鮪肉の混合物を型入れした図である。 【図6】本発明の完成品(ビニールパック)を表した図である。 【図7】本発明の完成品(刺身風)を表した図である。 【符号の説明】 【0034】 1 鮪肉 10 鮪肉の混合物 11 鮪肉とゼラチン水溶液の混合物 12 ビニールパックタイプの鮪肉の加工製品 13 刺身風の鮪肉の加工製品 2 スライサー 3 フードカッター 4 ゼラチン水溶液
|
| 【出願人】 |
【識別番号】592063283 【氏名又は名称】株式会社増久商店
|
| 【出願日】 |
平成18年7月14日(2006.7.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083068 【弁理士】 【氏名又は名称】竹中 一宣
【識別番号】100137899 【弁理士】 【氏名又は名称】大矢 広文
|
| 【公開番号】 |
特開2008−17805(P2008−17805A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月31日(2008.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2006−194551(P2006−194551) |
|