| 【発明の名称】 |
揚げ物の製造方法及びこれにより得られる揚げ物 |
| 【発明者】 |
【氏名】井村 一彦
【氏名】井村 好男
【氏名】末平 良市
【氏名】井村 悟
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| 【要約】 |
【課題】バッター又はバッターを具材に付着させたものを油ちょうして揚げ物を製造する製造方法であって、内部まで十分加熱された揚げ物を焦げを発生させずに短時間で効率よく製造できる製造方法、及びそれにより得られる揚げ物を提供する。
【構成】水性液体中に油脂を分散させた油脂分散液をバッターの調製又は具材の前処理に用いる。油脂分散液としては、調味料を溶解又は分散させた水に乳化剤を用いて油脂を分散させた乳化液を好適に用いることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 小麦粉を主成分とする衣材料を水性液体と混合してバッターを調製し、該バッター又は該バッターを具材に付着させたものを油ちょうして揚げ物を製造する製造方法であって、 水性液体中に油脂を分散させた油脂分散液を前記バッターの調製又は具材の前処理に用いることを特徴とする揚げ物の製造方法。 【請求項2】 前記具材の前処理が、前記油脂分散液を具材に塗布するか、又は該油脂分散液に具材を浸漬する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の揚げ物の製造方法。 【請求項3】 前記油脂分散液を具材に塗布するか、又は該油脂分散液に具材を浸漬する工程を含む具材の前処理を行った後、前記油脂分散液を用いて調製したバッターを前記具材に付着させて油ちょうすることを特徴とする、請求項1に記載の揚げ物の製造方法。 【請求項4】 前記油脂分散液が、調味料を溶解又は分散させた水に乳化剤を用いて油脂を分散させたものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の揚げ物の製造方法。 【請求項5】 前記油脂分散液が、調味料を溶解又は分散させた水に粉末状油脂を分散させたものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の揚げ物の製造方法。 【請求項6】 小麦粉を主成分とする衣材料を水性液体と混合してバッターを調製し、該バッター又は該バッターを具材に付着させたものを油ちょうして揚げ物を製造する製造方法であって、 油ちょう前に具材の表面に油脂を塗布することを特徴とする揚げ物の製造方法。 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法により製造された揚げ物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、揚げ物の製造方法及びこれにより得られる揚げ物に関するものであり、特に比較的水分の蒸発しにくい具材を用いる場合の揚げ物に適した製造方法及びこれにより得られる揚げ物に関するものである。 【背景技術】 【0002】 揚げ物の製造においては、なるべく短時間で内部まで十分に加熱することが望ましく、特にインスタント食品用等の乾燥度を高くして保存性を向上させた揚げ物(乾燥天ぷら等)を大量生産する場合は重要な課題となっている。 【0003】 上記課題はバッターのみからなる揚げ物を含む揚げ物全般に該当するが、具材を用いる揚げ物では特に重要である。すなわち、揚げ物の具材としては、野菜、海産物、肉類等、種々の物が用いられているが、使用する具材の種類や状態(大きさ、重なり具合等)によっては、内部に含有される水分が非常に蒸発しにくい場合がある。水分を所望の程度まで蒸発させるためには十分な加熱が必要となるが、高温で油ちょうすると衣の表面に焦げが発生するので、これを防止するために時間をかけて油ちょうすることが必要となり、生産性の低下を招いている。 【0004】 揚げ物の製造方法に関しては、衣の食感、風味等を向上させる方法が従来から種々提案されている。例えば、特開平9−163929号公報には、油ちょう用の食用油に乳化剤を添加して界面張力値を一定範囲内とすることにより、衣の水抜けと吸油のバランスをとることが開示されている。また、特開平11−318367号公報や特開2005−287450号公報には、乳化剤を衣の食感等の改良材として用いることが開示されている。 【0005】 しかしながら、水分量の多い具材や重なり合った具材等の水分の蒸発しにくい具材を用いる場合でも具材内部まで水分を効率よく蒸発させて、焦げを生じることなく、効率よく揚げ物を製造できる製造方法としては、満足のいく方法が未だ提案されていない。 【特許文献1】特開平9−163929号公報 【特許文献2】特開平11−318367号公報 【特許文献3】特開2005−287450号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は上記に鑑みてなされたものであり、より短時間で内部まで十分加熱することを可能にする揚げ物の製造方法を提供することを目的とする。特に、水分含量の多い具材等の水分の蒸発しにくい具材を用いた場合でも、焦げを発生させずに短時間で効率よく揚げ物を製造できる製造方法、及びそれにより得られる揚げ物を提供することを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明の揚げ物の製造方法は、小麦粉を主成分とする衣材料と水性液体とを混合してバッターを調製し、このバッター又はこのバッターを具材に付着させたものを油ちょうして揚げ物を製造する製造方法であって、上記課題を解決するために、水性液体中に油脂を分散させた油脂分散液を前記バッターの調製又は具材の前処理に用いるものとする。 【0008】 具材の前処理は、上記油脂分散液を具材に塗布するか、又は油脂分散液に具材を浸漬する工程を含むものとすることができる。 【0009】 特に、油脂分散液を具材に塗布するか、又は油脂分散液に具材を浸漬する工程を含む具材の前処理を行った後、前記油脂分散液を用いて調製したバッターを前記具材に付着させて油ちょうすることが好ましい。 【0010】 上記製造方法において、油脂分散液は、調味料を溶解又は分散させた水に乳化剤を用いて油脂を分散させたもの(乳化液)であることが好ましい。あるいは、調味料を溶解又は分散させた水に粉末状油脂を分散させたもの(懸濁液)を用いることもできる。 【0011】 また、具材の種類や状態によっては、油ちょう前の具材の表面に油脂を塗布することも有効である。 【0012】 本発明の揚げ物は、上記いずれかの方法により製造されたものとする。 【発明の効果】 【0013】 本発明によれば、油ちょうを行った際に加熱が促進され、従来より短時間で効率よく揚げ物を製造することができる。従って、水分含量の多い具材等の水分の蒸発しにくい具材を用いた場合でも、表面に焦げが発生じずに内部まで十分加熱され、乾燥された揚げ物を得ることが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 本発明では、上記の通り、水性液体中に油脂が分散された油脂分散液を揚げ物のバッターの調製及び/又は具材の前処理に使用する。 【0015】 油脂としては食用油脂全般が使用可能であるが、例えばパーム油等の液状油脂や、大豆油等の粉末油脂を好適に使用できる。また、室温で硬化する硬化油脂を使用することもできる。 【0016】 液状油脂の場合は乳化剤を用いて分散させて乳化液とするのが好ましい。乳化剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。中でもグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。 【0017】 粉末油脂の場合は、水性液体に粉末油脂を添加し、攪拌して得られる懸濁液の状態で使用すればよい。 【0018】 本発明でいう水性液体とは水又は水をベースとする液体であり、必要に応じて調味料等を含有させたものである。調味料は、塩、糖類、グルタミン酸ソーダ、醤油、みりん、酢等の一般的な調味料の他、水に溶解又は分散可能なものであれば特に限定されず、だし汁も含むものとする。だし汁は、鰹節・昆布・椎茸等から抽出される一般的なだし汁の他、肉・魚介類・野菜等から抽出されるエキス類でもよい。 【0019】 上記水性液体と油脂の配合割合は、水性液体:油脂の重量比で100:0.1〜100:40の範囲が好ましく、100:3〜100:20の範囲がより好ましい。また、乳化剤の配合割合は、油脂に対する割合で1〜40%(重量%、以下同様。)が好ましく、5〜20%の範囲がより好ましい。 【0020】 上記油脂分散液を用いた具材の前処理としては、油脂分散液を少なくとも具材の表面に付着させ、好ましくは具材の内部まで浸透させる。具体的な方法は特に限定されないが、例えばハケやスプレーにより塗布する方法や、油脂分散液に具材を浸漬する方法を用いることができる。 【0021】 本発明で用いる具材は、素材・形状・大きさ等は特に限定されないが、水分含有量の多い具材や大きな具材、あるいは重なり合ったり、凝集したりしている等のため、内部の水分の蒸発しにくい状態の具材を使用する場合において本発明の効果は顕著となる。なお、具材に着目した揚げ物のタイプとして、本発明で言う揚げ物には、具材を単独で挙げる粒揚の他、かき揚げやトッピングタイプの揚げ物も含まれる。トッピングタイプとは、衣を円盤状に広げ、その上にエビ等の具材を置いて油ちょうするものであり、本発明はその衣と具材の双方に適用可能である。 【0022】 なお、上記油脂分散液による前処理の目的は、具材の内部や表面に油脂を存在させることにあるので、具材の種類や状態によっては、油脂分散液ではなく油脂をそのまま具材の表面に塗布してもよい。塗布は、加熱の促進という点からは具材表面のなるべく広い面積に行うことが好ましく、ほぼ全面に行うのがより好ましい。この方法は、例えば具材の重なり合った部分の加熱の促進に有効である。 【0023】 次に、油脂分散液を用いてバッターを調製する場合について述べる。その具体的な方法は特に限定されず、従来から揚げ物に使用されているバッターの調製において、水に代えて、上記油脂分散液を用いればよい。すなわち、小麦粉、デンプン、食塩、グルタミン酸ソーダ等からなる衣材料を適当な割合で上記油脂分散液と混合すればよい。 【0024】 具材を用いないバッターのみから得られる揚げ物の例としては、球状や不定形の粒状に形成したものや、円盤状に形成したもの等が挙げられるが、これらに限定されず、どのような形状、大きさでもよい。 【0025】 本発明の製造方法では、上記油脂分散液は具材の前処理のみに使用してもよく、バッターの調製にのみ使用してもよいが、両者を併用した場合、すなわち油脂分散液で具材の前処理を行った後、この具材に油脂分散液を用いて調製したバッターを付着させた場合に、特に顕著な効果が得られる。 【0026】 油脂分散液の使用量(付着量及び吸収量)は、具材の水分含有量等によって異なるが、目安としては、具材100重量部に対して10〜2000重量部程度であり、好ましくは30〜1000重量部程度であり、バッターに使用する場合は30〜70重量%程度であり、好ましくは40〜60重量%程度である。 【0027】 具材にバッターを付着させた後は、従来の方法に準じて油ちょうを行えばよい。例えば、インスタント食品等に使用される乾燥天ぷらの製造においては、具材の内部の水分含量を好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下となるようにし、衣の水分含量が好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下となるようにする。水分含量の調整は、油ちょうの温度と時間の調整によって行われ、具体的な温度と時間は、具材の大きさ、含水量等により個別に決定されるが、目安としては、約150〜200℃で3分〜20分間程度である。 【0028】 本発明の製造方法によれば、具材の状態その他の条件を同じにしたときに、従来より短時間で所望の水分含量(乾燥度)が達成され、油ちょうを終了させることができる。これは、水性液体に分散された油脂が具材の表面や内部、バッター内部に存在し、これが油ちょうによる熱で加熱され、その周辺の水分の蒸発を促進するためであると考えられる。 【実施例】 【0029】 以下に、本発明の実施例を示すが、本発明で使用する配合(原材料・配合比率)、油ちょう条件その他の処理条件等は下記に限定されるものではない。 【0030】 [実施例1] 水10kgとパーム油1kgとグリセリン脂肪酸エステル100gを混合し、十分に攪拌して乳化し、油脂分散液(乳化液)Aを調製した。 【0031】 上記油脂分散液Aにかき揚げ天ぷら用具材(乾燥玉ねぎ500g、乾燥エビ3000g)を2時間浸漬した。浸漬後の具材は重量8000gであり、重量増加量(油脂分散液の吸収・付着量)は4500gであった。 【0032】 水20kgとパーム油3kgとグリセリン脂肪酸エステル500gを十分混合攪拌して乳化し、油脂分散液(乳化液)Bを調製し、小麦粉15kg、澱粉5kgと調味料500g(但し、塩50g、グルタミン酸ソーダ50g、膨張剤50g、エビ粉150g、玉ねぎ粉200g)を混合して天ぷらのバッターを調製した。 【0033】 上記浸漬した具材とバッターとを混合し、180℃の油で10分間油ちょうすることによりかき揚げ天ぷらを得た。 【0034】 得られたかき揚げ天ぷらにつき、外観(焦げの発生の有無)を観察して以下の基準で評価し、水分含量を下記の方法で測定した。結果を表1に示す。 【0035】 〈外観(焦げの発生の有無)〉 ○…衣に焦げが生じていない、 △…衣にやや焦げが生じている、 ×…衣に著しい焦げが生じている。 【0036】 〈水分含量(常温加熱乾燥方法)〉 サンプル10gを採取し、105℃の恒温槽に4時間常温保管した。保管後のサンプルの重量A(g)を測定し、次式により水分含量を算出した; 水分含量(%)={(10−A)/10}×100 【0037】 [実施例2] 具材を上記油脂分散液Aに代えて水に浸漬し、油ちょう温度及び時間を表1に示した通りにした以外は実施例1と同様にしてかき揚げ天ぷらを得た。得られたかき揚げ天ぷらにつき、実施例1と同様にして外観を評価し、水分含量を測定した。結果を表1に示す。 【0038】 [実施例3] 上記油脂分散液Bに代えて水を用いて調製したバッターを用い、油ちょう温度及び時間を表1に示した通りにした以外は実施例1と同様にしてかき揚げ天ぷらを得た。得られたかき揚げ天ぷらにつき、実施例1と同様にして外観を評価し、水分含量を測定した。結果を表1に示す。 【0039】 [実施例4] 水10kgに大豆油(粉末油脂)1kgを混合し十分に攪拌して、油脂分散液C(懸濁液)を調製した。また、水20kgと大豆油3kgを混合し十分に攪拌して、油脂分散液D(懸濁液)を調製した。 【0040】 上記具材の前処理に油脂分散液Aに代えて油脂分散液Cを用い、バッターの調製に油脂分散液Bに代えて油脂分散液Dを用い、油ちょう温度及び時間を表1に示した通りにした以外は実施例1と同様にしてかき揚げ天ぷらを得た。得られたかき揚げ天ぷらにつき、実施例1と同様にして外観を評価し、水分含量を測定した。結果を表1に示す。 【0041】 [比較例] 具材を上記油脂分散液Aに代えて水に浸漬し、かつ油脂分散液Bに代えて水を用いて調製したバッターを用い、油ちょう温度及び時間を表1に示した通りにした以外は実施例1と同様にしてかき揚げ天ぷらを得た。得られたかき揚げ天ぷらにつき、実施例1と同様にして外観を評価し、水分含量を測定した。結果を表1に示す。 【0042】 【表1】
【0043】 表に示された結果から明かなように、本発明の製造方法によれば、内部まで高度に乾燥した揚げ物が油ちょう温度を上げなくても短時間で得られる。従って、表面に焦げが生じるのも防止でき、生産効率を顕著に向上させることが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】393006621 【氏名又は名称】株式会社金竜食品産業
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| 【出願日】 |
平成18年7月12日(2006.7.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059225 【弁理士】 【氏名又は名称】蔦田 璋子
【識別番号】100076314 【弁理士】 【氏名又は名称】蔦田 正人
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| 【公開番号】 |
特開2008−17768(P2008−17768A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月31日(2008.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2006−192209(P2006−192209) |
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