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【発明の名称】 凝固食品の製造装置
【発明者】 【氏名】西岡 賢治

【氏名】今井 健

【要約】 【課題】液相から固相に移行する遷移状態を静的に保つために、半凝固豆腐を移動させる際に力学的な外乱要素をできるだけなくし、しかも均一な組織の豆腐を連続的に量産できる凝固食品の製造装置を提供する。

【構成】開閉シャッター2を閉鎖した状態で昇降ピストン3が下降することに伴う半凝固空間11の容積拡大に追従して液状原料が充填されていくと共に、その充填状態で攪拌装置4により攪拌され、攪拌が終了した後、半凝固食品が開閉シャッターの開放状態で昇降ピストンの上昇により静的に押上げられて熟成凝固空間10内の棒状凝固食品に一体的に連結されると共に、棒状凝固食品が押上げられて上端部が吐出口15から吐出するように形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に凝固食品の吐出口が形成された熟成凝固空間と、この熟成凝固空間の下端に半凝固空間が連続して形成されている成形筒体を備え、
前記半凝固空間は、上側を仕切る開閉シャッターと下側を仕切る昇降ピストンによって容積可変に形成されると共に、攪拌装置が出し入れ可能に設けられ、
前記開閉シャッターを閉鎖した状態で前記昇降ピストンが下降することに伴う半凝固空間の容積拡大に追従して半凝固空間内に液状原料が充填され、その充填状態で半凝固空間内に凝固剤が注入されると共に攪拌装置が進出して液状原料が攪拌され、かつ攪拌装置が止まることで凝固剤が全体に分散され、
この攪拌装置による攪拌分散が終了した後、半凝固空間内で半凝固した半凝固食品が前記開閉シャッターの開放状態で昇降ピストンの上昇により静的に押上げられて熟成凝固空間内の棒状凝固食品に一体的に連結されると共に、この熟成凝固空間内の棒状凝固食品が押上げられて上端部が吐出口から吐出するように形成されていることを特徴とする凝固食品の製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の凝固食品の製造装置において、半凝固空間に供給される液体原料が豆乳であり、この豆乳に凝固剤を混合して半凝固空間で半凝固食品が作られるように形成されている凝固食品の製造装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、豆腐(絹豆腐、寄せ豆腐、おぼろ豆腐、木綿豆腐の原反となる半凝固状の豆腐)、寒天、ゼリー等、液相から固相に移行する凝固食品を製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、豆腐関連食品は、原料大豆の高栄養価と、消費者の健康志向の高まりもあって、いろいろなアイテムの商品が市場に出回っている。
その中でも、木綿豆腐や、絹豆腐、厚揚げ等の従来からなじみの深い商品に加え、寄せ豆腐(おぼろ豆腐)など豆腐関連の商品群が店頭に並べられることが多くなった。
【0003】
従来から豆腐を連続的に生産しようとする試みは種々なされているが、実際の製造現場では、凝固成形箱をいくつも準備したり、半凝固状態の豆腐をストックするバケットを準備したりするなど、これらを連続的に生産している現場は一般的でない。
【0004】
本来、凝固剤を混合した後の豆乳は、その凝固が完全に終了するまでは、できるだけ動かさないというのが一般的である。
これは、完全に凝固していない半凝固状態の豆腐に外的な力が作用することにより崩れを生じてしまったような場合、その崩れた組織の面からホエー分が遊離水として分離するため、絹豆腐の場合、このような状況が現れると、その崩れた部分は修復することが出来ず、不良品となってしまうからである。
【0005】
これに対し、従来、ベルト、あるいはスチール板上の端面に凝固剤を混合した豆乳を供給し、ベルト等をゆっくり移動させることで連続的に豆腐を製造する方式等が試みられ、そのうち、いくらかは実際の製造現場に導入されてきている。
しかしながら、これらは、その連続的な凝固を平面的に行おうとするため、装置の占有面積が広く、装置が大掛かりになってしまうため、規模の小さい製造業者などでは設備が出来ないなどの欠点があった。
【0006】
また、筒体の内部に形成した縦長空間の端面から豆乳を連続的に供給させることで連続的に豆腐を製造させる装置等も試みられている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−233322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この装置は、半凝固豆腐を凝固空間の最上部に移動させる際に、液相から固相に移行する遷移状態を静的に保つことができず、後から供給された豆乳の流速が速いなど、何らかの力学的な外乱を受けてしまい、1度凝固を始めた組織を崩してしまい、その崩れた組織からはホエー分が遊離水として分離する。
後に供給された液相の豆乳は、この水分が分離した後の隙間を水分と混ざり合いながら縫うように流れていくため、豆乳の濃度が急激に低下し、さらに凝固を阻害して均一な組織の形成を妨げる場合がある。
このようなことから連続で稼動させているうちに、筒体の内面に接している部分の表面が荒れてしまい、ある程度のサイズより大きな断面積を持つ筒体ではキレイな凝固が出来ないなどの問題点があった。
【0008】
本発明は、前述のような従来の問題点を解決するためになされたもので、液相から固相に移行する遷移状態を静的に保つために、半凝固豆腐を移動させる際に力学的な外乱要素をできるだけなくし、しかも均一な組織の豆腐を連続的に量産できる凝固食品の製造装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の凝固食品の製造装置(請求項1)は、
上端に凝固食品の吐出口が形成された熟成凝固空間と、この熟成凝固空間の下端に半凝固空間が連続して形成されている成形筒体を備え、
前記半凝固空間は、上側を仕切る開閉シャッターと下側を仕切る昇降ピストンによって容積可変に形成されると共に、攪拌装置が出し入れ可能に設けられ、
前記開閉シャッターを閉鎖した状態で前記昇降ピストンが下降することに伴う半凝固空間の容積拡大に追従して半凝固空間内に液状原料が充填され、その充填状態で半凝固空間内に凝固剤が注入されると共に攪拌装置が進出して液状原料が攪拌され、かつ攪拌装置が止まることで凝固剤が全体に分散され、
この攪拌装置による攪拌分散が終了した後、半凝固空間内で半凝固した半凝固食品が前記開閉シャッターの開放状態で昇降ピストンの上昇により静的に押上げられて熟成凝固空間内の棒状凝固食品に一体的に連結されると共に、この熟成凝固空間内の棒状凝固食品が押上げられて上端部が吐出口から吐出するように形成されている構成とした。
【0010】
又、本発明の凝固食品の製造装置(請求項2)は、
請求項1記載の凝固食品の製造装置において、半凝固空間に供給される液体原料が豆乳であり、この豆乳に凝固剤を混合して半凝固空間で半凝固食品が作られるように形成されている構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、開閉シャッターと昇降ピストンによって区画された半凝固空間の内部で、昇降ピストンの下降に伴う容積拡大に追従して液体原料が静かに充填され、その充填状態で攪拌装置により均一に攪拌される。
そして、この半凝固空間において液体原料を半凝固させ、その半凝固食品を昇降ピストンにより押上げ、一工程前に既に熟成凝固空間内に押上げられている棒状凝固食品に一体的に連結させるものである。
このように、半凝固状態で棒状凝固食品に連結させるため、半凝固食品が棒状凝固食品に一体化され、棒状凝固食品を連続的に製造することができる。
【0012】
このように、半凝固食品は昇降ピストンにより内断面全体で押上げられるため、力学的な外乱要素をなくして静的に移動させることができ、凝固し始めた半凝固食品の組織を崩すことなく均一な組織の豆腐を連続的に量産することができる。
【0013】
また、成形筒体の内部に形成した熟成凝固空間及び半凝固空間は、外気に開放することがないので、衛生的である。
又、攪拌装置が半凝固空間に常設されたものではなく、半凝固空間に出し入れ可能に設けられているため、この攪拌装置の存在が半凝固食品の昇降ピストンによる押上げの障害になることはなく、半凝固食品を崩すことなく移動させることができる。
【0014】
このように、本発明の凝固食品の製造装置は、半凝固食品を静的に移動させることができるため、この半凝固食品が崩れたり、凝固が不完全に陥ったりすることがなく、安定的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例により説明する。
図1は実施例にかかる凝固食品の製造装置の側面断面図、図2はその正面断面図である。
【0016】
図において、1は成形筒体で、上下方向に延長し内部に断面角形の空間が形成された縦長角筒体に形成され、上端に凝固食品の吐出口15が形成された熟成凝固空間10と、この熟成凝固空間10の下端に半凝固空間11が連続して形成されている。
なお、成形筒体1の空間形状は、断面角形に限らず断面円形でもよいし、又、その断面積や容積も限定されないし、成形筒体1の材質もプラスチックやステンレス等の金属などを使用できる。
又、これら一連の装置は、図のように垂直方向で使用してもよいし、水平方向で使用してもよく、その向き角度は限定されない。
【0017】
前記半凝固空間11は、上側を仕切る開閉シャッター2と下側を仕切る昇降ピストン3によって容積可変に形成されている。
前記開閉シャッター2は、シリンダ20の伸縮動作により成形筒体1の内部を横断するように往復移動し、この開閉シャッター2を境にして熟成凝固空間10と半凝固空間11が区画されている。
【0018】
前記昇降ピストン3は、シリンダ30の伸縮動作により成形筒体1の内部を昇降移動し、上昇位置から下降することに伴う半凝固空間11の容積拡大に追従して、この半凝固空間11内に液状原料が充填されていく。
又、下降位置から上昇することにより、半凝固空間11内で半凝固した半凝固食品を静的に押上げていく。
【0019】
前記半凝固空間11には攪拌装置4が出し入れ可能に設けられている。
この攪拌装置4は、電動モータ40の駆動軸41に回転方向には固定され、軸方向にはシリンダ42の伸縮動作に伴い摺動可能に形成された攪拌部材4aを備えている。
前記攪拌部材4aは、半凝固空間11からの退出状態で先端板材43が半凝固空間11の内面と均一面に形成され、進入状態で数本の攪拌棒44が半凝固空間11の内部に突出するように形成されている。
【0020】
又、前記半凝固空間11には豆乳供給口5a及び凝固剤供給口5bが接続されている。
前記豆乳供給口5aは、半凝固空間11に臨むように昇降ピストン3を貫通して形成され、この豆乳供給口5aには豆乳供給管51が接続されている。
前記凝固剤供給口5bは、半凝固空間11に臨むように成形筒体1の筒壁を貫通して形成され、この凝固剤供給口5bには凝固剤供給管52が接続されている。
【0021】
又、本実施例では、前記半凝固空間11が、成形筒体1の筒壁60をシリンダ61により外方向に移動させることにより、その内容積を拡大できるように形成されている。
前記攪拌装置4の攪拌部材4aが半凝固空間11内に進出すると、半凝固空間11内に充填された豆乳(液体原料)のうち、攪拌部材4aの体積に相当する体積分が半凝固空間11から溢れ出ることになる。
この溢れ分を、前記筒壁60を外方向に移動させることによる半凝固空間11の拡大によって吸収し、豆乳への加圧やシール洩れ等を防止させるようにしている。
【0022】
又、半凝固空間11の上端部には、豆乳の流出弁7が接続されている。
この流出弁7は、半凝固空間11内に豆乳が充填される際に、その圧力によりボール弁体70を開放させて豆乳や気泡を半凝固空間11から排出させるためのもので、これにより、半凝固空間11を豆乳で完全に充満させることができ、空気溜りや気泡の発生を防止できる。
【0023】
図3〜図7は本実施例にかかる製造装置の動作説明図である。以下、この図に基づき製造工程を説明する。
【0024】
まず、開閉シャッター2が閉鎖した状態で、昇降ピストン3がシリンダ30の作動により半凝固空間11の上端に上昇した上昇位置(図3に示す)から下降していくと、半凝固空間11の容積が拡大していくもので、この容積拡大に追従して半凝固空間11内に豆乳供給口5aから豆乳mが充填されていく。
このとき、前記した流出弁7から豆乳mが溢れ出し、昇降ピストン3が半凝固空間11の下端に位置した下降位置(図4に示す)において半凝固空間11に豆乳mが完全に充満する。
【0025】
次に、半凝固空間11に攪拌装置4の攪拌部材4aがシリンダ42の作動により進入すると共に、電動モータ40によって攪拌部材4aが回転し、かつ凝固剤供給口5bから凝固剤が供給される。これにより豆乳m及び凝固剤が攪拌されて均一に混合される(図5に示す)。
このとき、成形筒体1の筒壁60がシリンダ61により外方向に移動し、半凝固空間11の容積が、攪拌部材4aの体積に相当する体積分だけ拡大する。
【0026】
次に、攪拌装置4による攪拌が終了し、前記攪拌部材4aが半凝固空間11から退出すると(図6に示す)、半凝固空間11内で凝固剤が全体に分散した状態で豆乳が凝固して行くもので、この豆乳が半凝固した状態で前記開閉シャッター2が開放すると共に、半凝固豆腐Mが昇降ピストン3の上昇により静的に押上げられる(図7に示す)。
これにより、半凝固豆腐M(半凝固食品)が熟成凝固空間10内の棒状豆腐N(熟成凝固食品)に一体的に連結されると共に、この熟成凝固空間10内の棒状豆腐Nが押上げられていく。
【0027】
以後は、上記の動作を1サイクルとして繰り返しながら熟成凝固空間10内で棒状豆腐Nを成形していくことになる。
なお、熟成凝固空間10内で成形された棒状豆腐Nは、1サイクル毎に吐出口15から吐出されていくことになるが、その吐出分を切り取って商品としての豆腐にする。
【0028】
本発明において、液体原料としては、寒天やゼリー等の液相より固相に移行するものであればよく、豆乳に限定されない。
豆乳を液体原料とした場合、凝固剤を別の供給口から供給させる必要はなく、予め豆乳に凝固剤を混合させたものを一ヶ所の供給口から供給させてもよい。
又、液体原料の供給構造は、ポンプやデポジッタ等で強制的に送り込んでもよいし、昇降ピストンを下降させるときに生じる負圧と高低差を利用して半凝固空間に吸入させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例にかかる凝固食品の製造装置の側面断面図である。
【図2】その正面断面図である。
【図3】本実施例にかかる製造装置の動作説明図である。
【図4】本実施例にかかる製造装置の動作説明図である。
【図5】本実施例にかかる製造装置の動作説明図である。
【図6】本実施例にかかる製造装置の動作説明図である。
【図7】本実施例にかかる製造装置の動作説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 成形筒体
10 熟成凝固空間
11 半凝固空間
15 吐出口
2 開閉シャッター
20 シリンダ
3 昇降ピストン
30 シリンダ
4 攪拌装置
4a 攪拌部材
40 電動モータ
41 駆動軸
42 シリンダ
43 先端板材
44 攪拌棒
5a 豆乳供給口
5b 凝固剤供給口
51 豆乳供給管
52 凝固剤供給管
60 筒壁
61 シリンダ
7 流出弁
70 ボール弁体
m 豆乳
M 半凝固豆腐
N 棒状豆腐
【出願人】 【識別番号】000138288
【氏名又は名称】株式会社ヤナギヤ
【出願日】 平成18年7月7日(2006.7.7)
【代理人】 【識別番号】100081592
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 義則


【公開番号】 特開2008−11800(P2008−11800A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−187517(P2006−187517)