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【発明の名称】 低GI飲料
【発明者】 【氏名】石原 則幸

【氏名】山際 均

【氏名】余川 丈夫

【氏名】青井 暢之

【要約】 【課題】本発明は、膵臓ランゲルハンス島のベータ細胞のインスリン分泌へ負担を軽減し、生活習慣病、糖尿病発症、肥満を予防する低GI飲料を提供することを目的とする。

【構成】分子式がC12、又はC122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオール、又は(A)分子式がC12、又はC122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオールと(B)アスコルビン酸、クエン酸もしくはリン酸及びこれらの塩類のうち(A)及び(B)から選ばれる1種又は2種以上を含有することにより上記課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子式がC12、又はC122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオールを含有することを特徴とする低GI飲料。
【請求項2】
ポリオールが飲料中の水不溶性部分を除去した水溶性部分にアミログルコシダーゼ処理し、エタノールを添加し、80%エタノール濃度となったときに生じる沈殿物であることを特徴とする請求項1記載の低GI飲料。
【請求項3】
ポリオールがポリガラクトマンノース、チコリファイバー、難消化性デキストリン、ポリデキストロースの群より選ばれる1種又は2種以上の多糖類であることを特徴とする請求項1又は2記載の低GI飲料。
【請求項4】
ポリオールがグァー由来であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の低GI飲料。
【請求項5】
さらに、アスコルビン酸、クエン酸もしくはリン酸及びこれらの塩類の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の低GI飲料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、分子式がC12、又はC122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオールを含有することを特徴とする低GI飲料に関する。又は(A)分子式がC12、又はC122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオールと(B)アスコルビン酸、クエン酸もしくはリン酸及びこれらの塩類のうち(A)及び(B)から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする低GI飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
生活習慣病と肥満は密接に関係している。食後血糖が高い状態ではインスリンが過剰分泌し、脂肪合成の促進と分解の抑制が生じ、肥満につながる。また、肥満の指標として知られているBMI(Body Mass Index)が26.4を超える肥満の40歳以上の男性のうち28.0%に糖尿病が強く疑われ、26.9%に糖尿病の可能性を否定できないといわれている(例えば、非特許文献1参照)。
また、1997年に現在の厚生労働省が行った調査では、糖尿病が強く疑われる人は約690万人、糖尿病が否定できない人は約680万人と推定されており、糖尿病予備軍を含めると約2000万人に達するといわれている。糖尿病患者の増加の原因は遺伝的な要因と「肥満、過食、運動不足、不規則な生活」といった生活習慣に起因するものに分けられるが、主に後者の原因の糖尿患者が増え続けている。発症のしくみは、食後血糖上昇に伴うインスリン分泌不全や、分泌されていても抵抗性を示し、ホルモンとして効いていない場合、糖代謝障害を起こし糖尿病となる。従って、限られたインスリンでの糖代謝を行うために食事由来の糖質制限を行う食事療法や糖吸収阻害剤などの薬物療法が用いられている。
【0003】
このような時代背景に伴い、近年、人工膵臓の開発の進歩や自己血糖測定法の普及してきた結果、糖尿病性血管障害の発症及び進展には24時間にわたる血糖の正常化が必須であることが明らかにされ、1982年に食品のGIの概念がJenkinsら(例えば、非特許文献2参照)により導入された。
【0004】
食品のGIとは、食品を摂取したときに上昇する血糖値のピークの高さを示す指標である。一般的には、対象となる食品を摂取した後の血糖値の変化に対して、ブドウ糖、白米及び食パンを摂取した後の血糖値の変化と比較して、ブドウ糖、白米及び食パンのいずれかを100として指数化したものである。この指数が低いほど、血糖値を下げる働きのあるインシュリンの分泌量が少なくなる。また、GIが高い場合、インスリンが過剰に分泌されるため、膵臓ランゲルハンス島のベータ細胞の負担になり、糖尿病発症の原因となる。つまり、GIを調節することで膵臓の負担が減り糖尿病発症を予防することができると考えられる。このGIは、糖尿病患者では食後の急激な血糖上昇が膵臓ランゲルハンス島ベータ細胞のインスリン分泌へ負担を大きくすることがわかっているために、既にオーストラリア等では糖尿病患者の標準的な食事指導等で用いられている。
【0005】
これまでに食品のGIを調節する試みがなされている。例えば、Heatonらは、小麦、トウモロコシ及びエンバクの粒子径の違いでGIを調節することを報告している(例えば、非特許文献3参照)。また、同じ食品でも米を粉末にしたものより米飯、また、りんごの“うらごし”よりもりんごを丸ごと摂取する方がGIは低くなることも知られている(例えば、非特許文献4参照)。
【0006】
これらの試みは、食品の形態による消化及び吸収の違いを利用して調節する方法であり、固形食品を対象としたものであり、液状食品、すなわち飲料に関してGIを低くする手段は皆無である。これらのことから、GIが低い飲料の開発が望まれているのが現状である。
【0007】
【非特許文献1】厚生労働省:平成10年糖尿病実態調査(速報)
【非特許文献2】Jenkins DJ,Ghafari H,Wolever TM,Taylor RH,Jenkins AL, Barker HM,Fielden H,Bowling AC: Relationship between rate of digestion of foods and post−prandial glycaemia,Diabetologia,Vol.22,450−455(1982)
【非特許文献3】Heaton KW,Marcus SN,Emmett PM,Bolton CH: Particle size of wheat,maize,and oat test meals:effects on plasma glucose and insulin responses and on the rate of starch digestion in vitro,Am.J.Clin.Nutr.,Vol.47,675−682(1988)
【非特許文献4】土井 邦紘,辻 啓介編集,食物繊維,p.412−420(朝倉書店,東京,1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、GIが低い飲料、すなわち低GI飲料を提供することに関する。すなわち、膵臓ランゲルハンス島のベータ細胞のインスリン分泌へ負担を軽減し、生活習慣病、糖尿病発症、肥満を予防する低GI飲料を供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、GIが低い飲料、すなわち低GI飲料を開発することを目的として鋭意研究を重ねた結果、本発明は、分子式がC12、又はC122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオール、
又は
(A)分子式がC12、又はC122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオール

(B)アスコルビン酸、クエン酸もしくはリン酸及びこれらの塩類のうち(A)及び(B)から選ばれる1種又は2種以上を含有する飲料が上記目的課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、分子式がC12、又は、C122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオールを含有することを特徴とする低GI飲料、
又は
(A)分子式がC12、又はC122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオール

(B)アスコルビン酸、クエン酸もしくはリン酸及びこれらの塩類のうち(A)及び、(B)から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする低GI飲料に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の低GI飲料によれば、飲料摂取後のGIが低いため、膵臓ランゲルハンス島のベータ細胞のインスリン分泌への負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のGIとは、50gのブドウ糖、白米及び食パンのいずれかを摂取後2〜3時間までの血糖曲線下面積に対する飲料250mLを摂取後2〜3時間までの血糖曲線下面積の百分率を指し、好ましくは50gのブドウ糖及び食パンを摂取後2〜3時間までの血糖曲線下面積に対する飲料250mLを摂取後2〜3時間までの血糖曲線下面積の百分率を指し、最も好ましくは50gのブドウ糖を摂取後2〜3時間までの血糖曲線下面積に対する飲料250mLを摂取後2〜3時間までの血糖曲線下面積の百分率を指す。
【0012】
本発明の低GI飲料は、分子式がC12、又はC122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオールを含有していない飲料と比較して、GIが70%以下、好ましくは60%以下に低下したもの、もしくは分子式がC12、又はC122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオール、又は(A)分子式がC12、又は、C122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオールと(B)アスコルビン酸、クエン酸もしくはリン酸及びこれらの塩類のうち(A)及び(B)を含有していない飲料と比較して、GIが70%以下、好ましくは60%以下に低下したものを指す。
【0013】
本発明の分子式がC12、又はC122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオールとは、食品及び食品添加物として使用できるものであり、糖アルコール、少糖類、多糖類及びこれらの誘導体を指し、最も好ましくはGIを低下させる効果の観点より多糖類である。多糖類としては、飲料製造上の取り扱いの容易さの観点から、好ましくは、添加した飲料中の水不溶性部分を除去した水溶性部分にアミログルコシダーゼ処理し、エタノールを添加し、80%エタノール濃度となったときに生じる沈殿物である。水不溶性部分を除去した水溶性部分にアミログルコシダーゼ処理し、エタノールを添加し、80%エタノール濃度となったときに生じる沈殿物としては、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、低分子アルギン酸、サイリウム、アラビアガム、ポリガラクトマンノース、寒天、フコイダン、ラミナラン、カラギナン、ウェランガム、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、デキストラン、ラムザンサンガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、トラガントガム、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリガラクトース及びポリガラクトース誘導体が例示でき、飲料への風味及びテクスチャへの影響の観点から、低分子アルギン酸、ポリガラクトマンノース、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリガラクトース及びポリガラクトース誘導体が好ましく、最も好ましくはポリガラクトマンノースである。
本発明の難消化性デンプンとは、特に限定されるものではないが、ヒトの消化酵素で分解されないデンプンを指す。具体的にはレジスタントスターチ及び酵素抵抗性デンプンである。
【0014】
本発明のポリガラクトシルマンノースとは、主鎖のβ−(1→4)マンナン鎖のO−6位からα−ガラクトシル基が結合した櫛状の分岐構造を有するものを指し、化学合成品及び天然物由来のいずれのものも利用できるが、製造コスト及び食品の観点から天然物由来のものが好ましい。天然物としては、植物、動物、海藻及び微生物のいずれの原料も利用できるが、原料の入手のしやすさから植物が好ましい。植物としては、グアー(Cyamopsis tetragonolobus)、イナゴマメ(Ceratonia siliqua)、ケンタッキー・コーヒーマメ(Gymnocladus dioica)、コロハ(Trigohella foenumgracum)、ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa)、クローバ(Trifolium pratense)及びダイズサヤ(Glycine hispida)、タラ(Actinidia callosa LINDLEY)、セスバニア(Sesbania bisibinonia)及びカシア(Cassia tora Linn)フェヌグリーク(Trigonella foenum−graecum)が例示でき、資源の豊富さと味の観点からグアー(Cyamopsis tetragonolobus)及びイナゴマメ(Ceratonia siliqua)、由来のグアーガム及びローカストビーンガムが好ましく、最も好ましくはグアー(Cyamopsis tetragonolobus)由来のグアーガムである。植物由来のポリガラクトシルマンノースの分子内のガラクトースに対するマンノースの割合は0.5〜5.0であり、好ましくは1.0〜3.0、最も好ましくは1.5〜2.5である。また、本発明では、これら上記の植物由来で工業的利用できるグアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、カシアガム及びセスバニアガム等の天然粘質物、好ましくは、グアーガム、ローカストビーンガム、セスバニアガム、さらに好ましくはグアーガム、ローカストビーンガム、最も好ましくはグアーガムを加水分解し低分子化することにより得られるものである。加水分解の方法としては酵素分解法及び酸分解法等があり、特に限定するものではないが、分解物の分子量が揃い易い点から酵素分解法が好ましい。酵素分解法に用いられる酵素は、マンノース直鎖を加水分解する酵素であれば市販のものでも天然由来のものでも特に限定されるものではないが、アスペルギルス属菌やリゾープス属菌等に由来するβ−マンナナーゼが好ましい。
【0015】
本発明のポリガラクトシルマンノースの分子量分布は、1.8×10〜1.8×10であり、好ましくは8×10〜1.0×10、さらに好ましくは、1.5×10〜2.5×10である。分子量分布が1.8×10以下では本発明の低GI飲料を供することが不可能となり、分子量分布が1.8×10を超えると、粘度が高く飲料に含有させる場合に不都合が生じる。分子量分布の測定方法は、特に限定するものではないが、例えばポリエチレングリコール(分子量:2.0×10、2.0×10及び1.0×10)をマーカーに高速液体クロマトグラフ法(カラム:YMC−Pack Diol−120(ワイエムシイ社製、検出器:示差屈折計)を用いて、分子量分布を測定する方法等を用いることにより求めることができる。本発明のポリガラクトシルマンノースは、上記分子量分布のものが70%以上含まれる。
【0016】
本発明のポリガラクトシルマンノースは、重合度30〜40のものを25%以上含んだものである。重合度30〜40のポリガラクトシルマンノースの割合は上記測定方法により算出した平均分子量とマンノース及びガラクトースの分子量より算出できる。
【0017】
本発明のポリガラクトシルマンノースの粘度は、5%水溶液を、B型粘度計で、ローターがLowローター、ローター回転数が60rpm、測定時間が30秒測定した時に5℃で50mPa・s以下であり、好ましくは30mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下である。
【0018】
本発明のポリガラクトシルマンノースの市販品としては、サンファイバー(太陽化学(株)製)、ファイバロン(大日本製薬(株)製)、グアファイバー(明治製菓(株)製)及びG−ファイバー(グリコ栄養食品(株)製)等が挙げられる。
【0019】
本発明における難消化性デキストリンとは、特に限定されないが商品名「パインファイバー」、「ファイバーソル」(松谷化学工業(株)製)、「ホリカファイバー」、「オクノス食物繊維」(ホリカフーズ(株)製)、「ニュートリオース FB」(ロケットジャパン(株)製)などの、澱粉及び小麦粉を加熱、酵素処理して得られる難消化性の食物繊維を用いることができる。具体的には例えば、澱粉を酸性下で加熱処理して得られる焙焼デキストリンを、α−アミラーゼで加水分解処理し、さらに必要に応じて、グルコアミラーゼ処理、イオン交換樹脂クロマトグラフィー処理などの精製処理などを施して得ることができる。その分子量は、特に限定されないが、好ましくは500〜10,000の範囲のものを用いることができる。分子量が500未満のものは呈味性の問題、分子量10,000以上では呈味性、食感の面で問題となることがある。
【0020】
本発明におけるポリデキストロースとは、特に限定されないが商品名「ライテス」(ダニスコカルター社製)などの、ブドウ糖、ソルビトール及びクエン酸をおおよそ89:10:1の割合で混合し高温真空下で重合させたものなどを用いることができる。その分子量は、特に限定されないが、好ましくは500〜10,000の範囲のものを用いることができる。分子量が500未満のものは呈味性の問題、分子量10,000以上では呈味性、食感の面で問題となることがある。
【0021】
本発明におけるチコリファイバーとは、特に限定されないが商品名「ラフィテリン」(日本シーベルヘグナー社製)などの、チコリの根から温水抽出し、精製、スプレードライにより粉末化したものを用いることができる。その分子量は、特に限定されないが、好ましくは500〜5,000の範囲のものを用いることができる。分子量が500未満のものは呈味性の問題、分子量5,000以上では呈味性、食感の面で問題となることがある。
【0022】
本発明のポリガラクトースとは、ガラクトースのみで構成されるホモ多糖類である。結合様式は特に限定しないが、好ましくはβ1→3結合を有するポリガラクトースであり、最も好ましくはβ1→3結合直鎖ポリガラクトースである。分子量は特に限定されないが、飲料に添加したときの粘度やテクスチャの影響より、平均分子量は3,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜50,000である。
【0023】
また、本発明のポリガラクトース誘導体とは、特に限定するものではないが、例えば、ポリガラクトースが誘導体化されたものである。例えば、合成による誘導体化、植物,動物等の天然品から得ることができる。誘導体化の様式は、特に限定されるものではなく、グルコース,フルクトース,ガラクトース,アラビノース、キシロース等からなる糖鎖を側鎖として修飾、スルホニル基,アミノ基,カルボキシル基等による糖質中のヒドロキシル基の置換、さらにはエステル化,アセチル化等による糖質中のヒドロキシル基に対する修飾、等が挙げられる。好ましくはアラビノース及び/又はガラクトースを側鎖に有するポリガラクトースであり、最も好ましくはアラビノース及び/又はガラクトースを側鎖に有するβ1→3直鎖ポリガラクトースである。
【0024】
本発明のポリガラクトース及び/又はポリガラクトース誘導体は、天然品,合成品等特に起源は限定しないが、好ましくはラリックス(Larix)属の植物由来のポリガラクトース誘導体であり、より好ましくはラリックス・レプトレピス(Larix leptolepis),ラリックス・ケンフェリ(Larix kaempferi),ラリックス・カジャンデリ(Larix cajanderi)、ラリックス・デチヅ(Larix decidu)、ラリックス・グメンリニイ(Larix gmenlinii)、ラリックス・グリフィチアナ(Larix griffithiana)、ラリックス・シブリカ(Larix sibrica)、ラリックス・デクヅア(Larix decudua)、ラリックス・オルゲンシス(Larix olgensis)由来のポリガラクトース誘導体であり、最も好ましくはラリックス・レプトレピス(Larix leptolepis)由来のポリガラクトース誘導体である。
【0025】
本発明のポリガラクトース又はポリガラクトース誘導体の粘度は、30%(w/v)の水溶液を5℃でB型粘度計で、Lowローター、回転数60rpm、測定時間30秒で測定した時に5〜15mPa・sである。さらに好ましくは7〜14mPa・sであり、最も好ましくは9〜13mPa・sである。
【0026】
本発明のポリガラクトース又はポリガラクトース誘導体の分子量は、10,000以上120,000以下であることが好ましい。さらに好ましくは12,000以上100,000以下、最も好ましくは15,000以上25,000以下が良い。分子量10,000未満では十分な効果を発揮せず、また分子量120,000を超えると粘度が高くなるという問題が生じためである。ここで、分子量は、ゲル濾過用カラム(例えば、Amarsham Pharmacia Biotech社製Sephacryl S−300)を用いたゲル濾過クロマトグラフィーにて、標準物質から得られる検量線に基づき算出した。標準物質としては、例えば平均分子量が既知のデキストランを使用することができる。
【0027】
本発明におけるポリガラクトース又はポリガラクトース誘導体中の全糖質に対するガラクトース含量は、特に限定しないが、好ましくは82〜90moL%の範囲である。さらに好ましくは、全糖質に対するガラクトース含量が83〜88moL%の範囲であり、最も好ましくは84〜86moL%の範囲である。ここで、全糖質に対するガラクトース含量は、例えば、本発明の低GI飲料中の糖質を酸分解しHPAE−PAD法にて単糖組成を明らかにすることにより、求めることができる。また、HPAE−PAD法はダイオネクス社の糖類分析システムDXC−500を用いると簡便である。
【0028】
本発明のアミログルコシダーゼ処理とは、飲料の不溶性部分を除去して得られた水溶性部分にpH 4.3±0.3、60±2℃でアミログルコシダーゼ0.3mL(140U /mL)処理することをいう。80アルコール不溶性糖質の測定法は、80%アルコール(エタノール)で60分間、室温放置後、遠心分離し粉末を得る。この粉末重量から蛋白質量、灰分量と水分量を差し引き得られた量を80%アルコール不溶性糖質量とする。
【0029】
本発明の低GI飲料における分子式がC12、又はC122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオールの含有量は特に限定されないが、好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.3%以上、最も好ましくは0.5%以上である。含有量が0.1%より低いと飲料のGIを低下させる効果が認められない。上限に関しては、使用する分子式がC12、又はC122211の糖質及び難消化性デンプンを除くデンプン以外のポリオールのコスト、飲料製造時の作業性、飲料の物性及び飲料の呈味性から適宜設定すれば問題ない。
【0030】
本発明の低GI飲料におけるアスコルビン酸、クエン酸もしくはリン酸及びこれらの塩類の含有量は、特に限定されないが好ましくは、アスコルビン酸、クエン酸もしくはリン酸として0.03%以上、さらに好ましくは0.05%以上、最も好ましくは0.08%以上である。含有量が0.03%より低いと飲料のGIを低下させる効果が認められない。
【0031】
本発明の低GI飲料の種類は特に限定されず、スポーツ飲料、アイソトニック飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳飲料等が例示でき、好ましくはGIが70以上とされているスポーツ飲料及び/又はアイソトニック飲料である。
【0032】
本発明におけるスポーツ飲料及び/又はアイソトニック飲料とは、身体運動後に汗として失われる水分、ミネラルを速やかに補給できる飲料を指す。
【0033】
本発明の低GI飲料の摂取においては、それ単独あるいは他の食事成分との併用でも、その摂取方法は特に限定されない。
【0034】
以下、実施例により詳細に説明する。
【実施例】
【0035】
実施例1−6及び比較例1
表1に示す成分を混合して、充填後殺菌処理を行い、低GIアイソトニック飲料を製造した。
【0036】
【表1】


【0037】
実施例7−12及び比較例2
表2に示す成分の低GIコーラ様炭酸飲料を製造した。
【0038】
【表2】


【0039】
実施例13−18及び比較例3
表3に示す成分を混合して、充填後殺菌処理を行い、低GI果汁入りニアーウォーター飲料を製造した。
【0040】
【表3】


【0041】
実施例19−24及び比較例4
表4に示す成分を混合して、充填後殺菌処理を行い、低GIオレンジ果汁飲料を製造した。
【0042】
【表4】


【0043】
試験例1
喫煙習慣のない健常人(平均年齢:46.5才、男性:7名、女性:7名、平均BMI:25.0kg/m、平均空腹時血糖:5.2mmoL/L)14名を用いて飲料のGIを測定する臨床試験を実施した。試験は、標準飲料、実施例1−6もしくは比較例1のアイソトニック飲料を摂取させるRandomized cross‐over designにより実施した。標準飲料は、標準の炭水化物としてブドウ糖を50g含んだブドウ糖液1本(Medic Diagnostic Laboratory社製、製品名:Medic Orange 50 Glucose Tolerance Test Beverage、ブドウ糖含量:50g/本)を摂取させた。実施例1−6もしくは比較例1のアイソトニック飲料は、250mLを摂取させた。
【0044】
試験当日の12時間前より被験者を絶食させた後に採血した。採血後に標準飲料または実施例1−6もしくは比較例1のアイソトニック飲料を摂取させ、15分おきに食後2時間まで採血した。採血した血液の血糖値を測定し、経時的な血糖値の変化を記録した。
【0045】
標準飲料、実施例1−6もしくは比較例1のアイソトニック飲料を摂取した時の食後2時間までの血糖値の曲線下面積を算出し、標準飲料に対してGIを計算した。すなわち、標準飲料のGIを100とした。その結果を表5に示した。
【0046】
【表5】


【0047】
表5に示したように、実施例1−6のアイソトニック飲料は、比較例1のそれと比較してGIが50以下と低GIを示した。特に、実施例1及び2のアイソトニック飲料が最も低いGIを示した。
【0048】
試験例2
喫煙習慣のない健常人(平均年齢:47.3才、男性:7名、女性:7名、平均BMI:25.2kg/m、平均空腹時血糖:5.1mmoL/L)14名を用いて飲料のGIを測定する臨床試験を実施した。試験は、標準飲料、実施例7−12もしくは比較例2のコーラ様飲料を摂取させるRandomized cross‐over designにより実施した。標準飲料は、標準の炭水化物としてブドウ糖を50g含んだブドウ糖液1本(Medic Diagnostic Laboratory社製、製品名:Medic Orange 50 Glucose Tolerance Test Beverage、ブドウ糖含量:50g/本)を摂取させた。実施例7−12もしくは比較例2のコーラ様飲料は、250mLを摂取させた。
【0049】
試験当日の12時間前より被験者を絶食させた後に採血した。採血後に標準飲料または実施例7−12もしくは比較例2のコーラ様飲料を摂取させ、15分おきに食後2時間まで採血した。採血した血液の血糖値を測定し、経時的に血糖値を記録した。
【0050】
標準飲料、実施例7−12もしくは比較例2のコーラ様飲料を摂取した時の食後2時間までの血糖値の曲線下面積を算出し、標準飲料に対してGIを計算した。すなわち、標準飲料のGIを100とした。その結果を表6に示した。
【0051】
【表6】


【0052】
表6に示したように、実施例7−12のコーラ様飲料は、比較例2のそれと比較してGIが50以下と低GIを示した。特に、実施例7及び8のコーラ様飲料が最も低いGIを示した。
【0053】
試験例3
喫煙習慣のない健常人(平均年齢:45.8才、男性:7名、女性:7名、平均BMI:25.7kg/m、平均空腹時血糖:5.0mmoL/L)14名を用いて飲料のGIを測定する臨床試験を実施した。試験は、標準飲料、実施例13−18もしくは比較例3の果汁入りニアーウォーター飲料を摂取させるRandomized cross‐over designにより実施した。標準飲料は、標準の炭水化物としてブドウ糖を50g含んだブドウ糖液1本(Medic Diagnostic Laboratory社製、製品名:Medic Orange 50 Glucose Tolerance Test Beverage、ブドウ糖含量:50g/本)を摂取させた。実施例13−18もしくは比較例3の果汁入りニアーウォーター飲料は、250mLを摂取させた。
【0054】
試験当日の12時間前より被験者を絶食させた後に採血した。採血後に標準飲料または実施例13−18もしくは比較例3の果汁入りニアーウォーター飲料を摂取させ、15分おきに食後2時間まで採血した。採血した血液の血糖値を測定し、経時的に血糖値を記録した。
【0055】
標準飲料、実施例13−18もしくは比較例3の果汁入りニアーウォーター飲料を摂取した時の食後2時間までの血糖値の曲線下面積を算出し、標準飲料に対してGIを計算した。すなわち、標準飲料のGIを100とした。その結果を表7に示した。
【0056】
【表7】


【0057】
表7に示したように、実施例13−18の果汁入りニアーウォーター飲料は、比較例3のそれと比較してGIが50以下と低GIを示した。特に、実施例13及び14の果汁入りニアーウォーター飲料が最も低いGIを示した。
【0058】
試験例4
喫煙習慣のない健常人(平均年齢:46.9才、男性:7名、女性:7名、平均BMI:25.2kg/m、平均空腹時血糖:5.2mmoL/L)14名を用いて飲料のGIを測定する臨床試験を実施した。試験は、標準飲料、実施例19−24もしくは比較例4のオレンジ果汁飲料を摂取させるRandomized cross‐over designにより実施した。標準飲料は、標準の炭水化物としてブドウ糖を50g含んだブドウ糖液1本(Medic Diagnostic Laboratory社製、製品名:Medic Orange 50 Glucose Tolerance Test Beverage、ブドウ糖含量:50g/本)を摂取させた。実施例19−24もしくは比較例4のオレンジ果汁飲料は、250mLを摂取させた。
【0059】
試験当日の12時間前より被験者を絶食させた後に採血した。採血後に標準飲料または実施例19−24もしくは比較例4のオレンジ果汁飲料を摂取させ、15分おきに食後2時間まで採血した。採血した血液の血糖値を測定し、経時的に血糖値を記録した。
【0060】
標準飲料、実施例19−24もしくは比較例4のオレンジ果汁飲料を摂取した時の食後2時間までの血糖値の曲線下面積を算出し、標準飲料に対してGIを計算した。すなわち、標準飲料のGIを100とした。その結果を表8に示した。
【0061】
【表8】


【0062】
表8に示したように、実施例19−24のオレンジ果汁飲料は、比較例4のそれと比較してGIが50以下と低GIを示した。特に、実施例19及び20のオレンジ果汁飲料が最も低いGIを示した。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の低GI飲料は、従来問題となっている飲料のGIが低下していることから、膵臓ランゲルハンス島のベータ細胞のインスリン分泌への負担を軽減することにより生活習慣病、糖尿病発症、肥満を予防でき、食品産業や医療産業に大いに貢献するものである。
【出願人】 【識別番号】000204181
【氏名又は名称】太陽化学株式会社
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−11783(P2008−11783A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186356(P2006−186356)