| 【発明の名称】 |
乾燥ポテトパウダー及び当該乾燥ポテトパウダーを用いた粉末状食品 |
| 【発明者】 |
【氏名】薄衣 広悌
【氏名】島 圭吾
【氏名】野坂 千秋
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| 【要約】 |
【課題】工程上での問題もなく、しかも適度なとろみを有すると共に、べとつきのない、さらっとした好ましい食感を有する液体状食品を得ることのできる乾燥ポテトパウダーと、当該乾燥ポテトパウダーを用いた、喫食時にコーンクリームスープなどの液体状食品となりうる粉末状食品と、を提供することを目的とする。
【構成】乾燥状態での粒径が500μm以下であるポテトパウダーを90%以上含み、かつ乾燥状態での粒径が180μm以下であるポテトパウダーが10%未満である乾燥ポテトパウダーであって、吸水倍率が3.5〜5.2である乾燥ポテトパウダー;並びに前記乾燥ポテトパウダーを用いた、喫食時に液体状食品となる粉末状食品を提供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 乾燥状態での粒径が500μm以下であるポテトパウダーを90%以上含み、かつ、乾燥状態での粒径が180μm以下であるポテトパウダーが10%未満である乾燥ポテトパウダーであって、吸水倍率が3.5〜5.2である乾燥ポテトパウダー。 【請求項2】 原料であるポテトの平均細胞径が200μm以下であり、かつ、原料であるポテトの単離澱粉の膨潤倍率が3.8〜4.6である請求項1記載の乾燥ポテトパウダー。 【請求項3】 請求項1又は2記載の乾燥ポテトパウダーを用いた、喫食時に液体状食品となる粉末状食品。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、乾燥ポテトパウダー及び当該乾燥ポテトパウダーを用いた粉末状食品に関し、詳しくは乾燥ポテトパウダーと、当該乾燥ポテトパウダーを用いた、喫食時にコーンクリームスープなどの液体状食品となりうる粉末状食品と、に関する。 【背景技術】 【0002】 著名なシェフが調理したコーンスープ、例えばコーンクリームスープは、適度なとろみを有すると共に、べとつきのない、さらっとした好ましい食感を有している。それはシェフが、素材の種類や量、厨房の条件等を的確に把握し、過去の経験等に基づいて調理条件を細かく調節しているからである。 【0003】 一方、そのように細かく調理条件を調節することが困難であることから、市販のコーンクリームスープは、適度なとろみを有しているものの、べとつくものであったり、或いはべとつきのない、さらっとした食感を有しているものの、とろみがなさ過ぎるものであったりするなどなど、充分に満足しうるものではなかった。 【0004】 そのような欠点を改良したものとして、液体状食品であって、当該液体の粘度及び付着性がそれぞれ40〜500mPa・s及び200〜1000gとなるように調製されたことを特徴とする密封容器に充填された液体状食品と、喫食時に液体状食品となり得る非液体状食品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。 【0005】 この発明は、食物繊維の中の柔組織細胞セルロース(Parenchyaml Cell Cellulose)が、シェフの作り出す食感、特にべとつきのない、さらっとした食感に関与している可能性があることが分かったとの知見に基づいて完成されたものである。 この発明によれば、乾燥スープに当該液体状食品を0.5g以下添加するだけで、テクスチャー測定器(例えば、英光精機株式会社製のTexture Analyzer)を用いて測定温度(25℃)にて、アクリル製プローブ(プローブ径:直径25mmの円形)での付着力測定試験における応力(gf)で表される「付着性」を、350gf以下に低減することができ、さらっとした食感を得ることができた。 【0006】 しかしながら、上記発明においては、食物繊維が必須の構成要件である。また、食物繊維を粉砕して10〜300μmの粒子が90%以上であることが好ましいとの記載があるように、粒子径が小さいほど好ましいとされている。さらに、実際の食物繊維の製造は、複数の工程が必要であり、より簡便な方法が求められていた。 【0007】 【特許文献1】特開2003−299465 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本発明は、上記従来の問題点を解消し、工程上での問題もなく、しかも適度なとろみを有すると共に、べとつきのない、さらっとした好ましい食感を有する液体状食品を得ることのできる乾燥ポテトパウダーと、当該乾燥ポテトパウダーを用いた、喫食時にコーンクリームスープなどの液体状食品となりうる粉末状食品と、を提供することを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明者は上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた。その過程において、まず野菜繊維を得る対象野菜としてジャガイモ(ポテト)を選定した。 即ち、野菜繊維を得る対象野菜として、オニオンとジャガイモ(ポテト)を用い、両者の機能の違いを物性測定、官能評価、顕微鏡観察にて評価した。その結果、物性上はオニオンの機能はジャガイモ(ポテト)に比べ少ないことが分かった。次に、官能評価結果として、オニオンではザラツキが発生した。さらに、顕微鏡観察結果として、乾燥によりオニオン細胞が崩壊されてしまうことが分かった。 その結果、インスタントカップスープに添加した場合、オニオンはジャガイモ(ポテト)に比べて付着性が強かった。 従って、野菜繊維を得る対象野菜としてジャガイモ(ポテト)を選定した。 【0010】 本発明者はさらに検討を重ねた結果、乾燥状態での粒径が500μm以下であるポテトパウダーを90%以上、好ましくは95%以上含み、かつ、乾燥状態での粒径が180μm以下であるポテトパウダーが10%未満、好ましくは5%以下である乾燥ポテトパウダーであって、吸水倍率が3.5〜5.2である乾燥ポテトパウダーを用いることによって、上記課題を解決しうることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。 【0011】 即ち、請求項1に係る本発明は、乾燥状態での粒径が500μm以下であるポテトパウダーを90%以上含み、かつ、乾燥状態での粒径が180μm以下であるポテトパウダーが10%未満である乾燥ポテトパウダーであって、吸水倍率が3.5〜5.2である乾燥ポテトパウダーを提供するものである。 請求項2に係る本発明は、原料であるポテトの平均細胞径が200μm以下であり、かつ、原料であるポテトの単離澱粉の膨潤倍率が3.8〜4.6である請求項1記載の乾燥ポテトパウダーを提供するものである。 請求項3に係る本発明は、請求項1又は2記載の乾燥ポテトパウダーを用いた、喫食時に液体状食品となる粉末状食品を提供するものである。 【発明の効果】 【0012】 本発明によれば、添加するだけで、適度なとろみを有すると共に、べとつきのない、さらっとした好ましい食感のある液体状食品を得ることのできる乾燥ポテトパウダーが提供される。 また、本発明によれば、適度なとろみを有すると共に、べとつきのない、さらっとした好ましい食感のある液体状食品となりうる粉末状食品が提供される。 即ち、スッキリとした食感を持ち、口溶けのよいインスタントカップスープ等が提供される。また、冷めたときに、ボテボテした食感が生ずるのを抑えることができる。 なお、本発明の乾燥ポテトパウダーは、少量にて優位性を発揮するポテト素材である。本発明の乾燥ポテトパウダーは、少量にて付着性低減効果が高いため、官能的にも好ましいものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 以下、本発明について更に詳細に説明する。 請求項1に係る本発明は、乾燥状態での粒径が500μm以下であるポテトパウダーを90%以上含み、かつ、乾燥状態での粒径が180μm以下であるポテトパウダーが10%未満である乾燥ポテトパウダーであって、吸水倍率が3.5〜5.2である乾燥ポテトパウダーに関するものである。 請求項1に係る本発明の乾燥ポテトパウダーは、ポテト(ジャガイモ)を乾燥させて得られるパウダー(粉末)である。 パウダー化は特に限定はないが、一例として、原料ポテト(ジャガイモ)を、ブランチング、蒸煮、マッシュし、ドライヤー(乾燥機)にてフレーク化し、さらに粉砕機にて粉砕することにより達成される。 【0014】 請求項1に係る本発明の乾燥ポテトパウダーは、乾燥状態での粒径が500μm以下であるポテトパウダーを90%以上含み、かつ、乾燥状態での粒径が180μm以下であるポテトパウダーが10%未満である乾燥ポテトパウダーである。 ここで乾燥状態での粒径が500μmを超えた場合には、ポテトの食感が強く、ざらつくものとなるため、乾燥状態での粒径が500μm以下であるポテトパウダーを90%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは100%含むものとする。 一方、乾燥状態での粒径が180μm以下の場合には、細胞の壊れが多くなり、べたつくものとなるため、乾燥状態での粒径が180μm以下であるポテトパウダーが10%未満であるもの、好ましくは5%以下、更に好ましくは0%であるものとする。 ここで粒径[μm]は、光学顕微鏡にてポテト断面(中央部)の粒径を観察し(倍率500倍)、画像処理ソフト(ナノハンターNS2K−PRO、ナノシステム株式会社製)を用いて各細胞を二値化処理し、ビット解析により面積を算出し、そこから円相当径(面積から粒径を算出)を得たものである。円相当径は、φ=√(4×細胞面積/π)(但し、φ:円相当径)にて算出し、平均値を求めたものである(n=30)。 【0015】 さらに、請求項1に係る本発明の乾燥ポテトパウダーは、吸水倍率が3.5〜5.2のものである。 ここで吸水倍率が3.5未満であると、分散性が低下してしまうため好ましくない。 一方、吸水倍率が5.2を超えたものであると、付着性が強くなり過ぎてしまうため好ましくない。 これに対して、吸水倍率が3.5〜5.2のものであると、細胞が破壊されずに残り、しかもフワフワしていて、適度なとろみを有すると共に、べとつきのない、さらっとした好ましい食感のある液体状食品を得ることのできる乾燥ポテトパウダーとなる。 【0016】 ここで吸水倍率は、200mlのメスシリンダーに10gサンプルを入れ、10回軽く叩いたときの体積を初期体積とし、攪拌しながら(未溶解物をなくしながら)水を150ml加え、15分間静置したときの沈殿物体積を測定し、次の式により求めたものである。 ・吸水倍率=沈殿物体積(ml)÷初期体積(ml) 【0017】 上記式中、ゲル体積とは、試料に水を加えてゲル化させた後の該ゲルの体積を示している。また、初期体積とは、水を加える前の試料の体積を示している。 【0018】 なお、乾燥ポテトパウダーとしては、請求項2に記載したように、原料であるポテトの平均細胞径が200μm以下であり、かつ、原料であるポテトの単離澱粉の膨潤倍率が70〜90であるものが好ましい。 即ち、乾燥ポテトパウダーとしては、まず原料であるポテトの平均細胞径が200μm以下のものが好ましい。 ここで平均細胞径[μm]は、光学顕微鏡にてポテト断面(中央部)の細胞を観察し(倍率500倍)、画像処理ソフト(ナノハンターNS2K−PRO、ナノシステム株式会社製)を用いて各細胞を二値化処理し、ビット解析により面積を算出し、そこから円相当径(面積から粒径を算出)を得たものである。円相当径は、φ=√(4×細胞面積/π)(但し、φ:円相当径)にて算出し、平均値を求めたものである(n=30)。 原料であるポテトの平均細胞径が200μmを超えたものであると、煮崩れしやすいものとなるため好ましくない。 そのような平均細胞径が200μm以下であり、煮崩れしにくいポテト(ジャガイモ)としては、いわゆる粘質ポテトが挙げられ、より具体的には、「インカの目覚め」、「サヤカ」、「ベニマル」、「北海こがね」、「とうや」などの品種を挙げることができる。一方、いわゆる粉質ポテトとして具体的には、例えば「男爵」、「キタアカリ」、「コナフブキ」などを挙げることができる。 【0019】 次に、乾燥ポテトパウダーとしては、原料であるポテトの単離澱粉の膨潤倍率(膨潤度)が3.8〜4.6であるものが好ましい。 原料であるポテトの単離澱粉の膨潤倍率は、次のようにして求めたものである。 即ち、ポテトをすりおろし、メッシュやガーゼを通すことで澱粉を抽出する。その後、5mlの澱粉を水溶液内で攪拌後、沈殿させ、70℃の温浴内で30分間保持し、膨潤後の澱粉体積を測定する。このときの変化率(膨潤後体積÷初期体積5ml)を膨潤倍率とする。 原料であるポテトの単離澱粉の膨潤倍率は、保持する温度や時間によって変化するが、具体的には、70℃の温度、30分〜2時間の時間で保持させても、3.8〜4.6の範囲とならないものは好ましくない。 ここで原料であるポテトの単離澱粉の膨潤倍率が3.8未満のものであると、水中での復元力が弱いため好ましくない。 【0020】 請求項1又は2記載の乾燥ポテトパウダーは、例えば以下のようにして製造することができる。 まず、原料ポテトの汚れ等を除去した後、スチームピーラー等を用いて剥皮し、スラーサー等を用いてスライスする。これを例えば70〜75℃にて20分間程度ブランチした後、例えば15〜30℃にて20分間程度冷却し、さらに例えばスチームクッカー等を用い95〜100℃にて25分間程度蒸煮し、次いで乳化剤や酸化防止剤等の添加剤を添加する。しかる後、例えば19mmパンチングを用いて裏ごしし、次いで水分5%以下に乾燥した後、分級(未乾燥物除去)し、さらに例えば9mmスクリーンカッター等を用いて破砕すればよい。必要に応じて、さらに破砕、篩分けを行えばよい。 請求項1又は2記載の乾燥ポテトパウダーとするには、ポテトの品種や、破砕条件等を適宜選定すればよい。 【0021】 請求項1及び/又は請求項2記載の乾燥ポテトパウダーは、請求項1及び/又は請求項2にそれぞれ規定する条件を満たさない乾燥ポテトパウダーと混合して用いることもできる。 例えば、請求項1及び/又は請求項2記載の乾燥ポテトパウダーを10〜100質量%、それ以外の乾燥ポテトパウダーを90〜0質量%とすることもできる。添加量のブレによる機能の大きな低下を抑制するには、請求項1及び/又は請求項2記載の乾燥ポテトパウダーは、30〜100質量%であることが好ましい。 【0022】 請求項3に係る本発明は、上記した如き請求項1又は2記載の乾燥ポテトパウダーを用いた、喫食時に液体状食品となる粉末状食品である。 喫食時に液体状食品となる粉末状食品とは、具体的には例えば喫食時にコーンクリームスープ、ポタージュスープ、ホワイトソース、デミグラスソース、シチューなどの液体状食品となりうる粉末状食品を指す。 そのような喫食時に液体状食品となる粉末状食品としては、市販されているインスタントカップスープなどの粉末スープや、粉末ソース等を挙げることができる。 請求項3に係る本発明においては、そのような喫食時に液体状食品となる粉末状食品に、上記した如き請求項1又は2記載の乾燥ポテトパウダーを配合添加すること以外は、公知の喫食時に液体状食品となる粉末状食品の製法に従って得ることができる。 喫食時に液体状食品となる粉末状食品に対する、上記した如き請求項1又は2記載の乾燥ポテトパウダーの添加量は、少量でよく、乾燥品換算で、通常、0.03〜20質量%、好ましくは0.03〜10質量%である。 【0023】 特に60℃での粘度が40〜500mPa・s、60℃での付着性が300gf以上である、喫食時に液体状食品となる粉末状食品に、上記した如き請求項1又は2記載の乾燥ポテトパウダーを、乾燥品換算あたり0.03〜20%(質量)添加することで、a)80℃から60℃の粘度変化を20%〜80%低減し、かつ、b)60℃での付着性を30%〜80%低減することができる。 即ち、a)上記した如き請求項1又は2記載の乾燥ポテトパウダーを添加しない食品の80℃から60℃の粘度変化を100とすると、当該乾燥ポテトパウダーを、乾燥品換算あたり0.03〜20%(質量)添加することで、添加した食品の80℃から60℃の粘度変化を80〜20とすることができる。 また、b)上記した如き請求項1又は2記載の乾燥ポテトパウダーを添加しない食品の60℃での付着性を100とすると、当該乾燥ポテトパウダーを、乾燥品換算あたり0.03〜20%(質量)添加することで、添加した食品の60℃での付着性を70〜20とすることができる。 なお、請求項1又は2記載の乾燥ポテトパウダーは、コーンクリームスープ、スープ、ソース、ドレッシング、レトルト食品などの液体状食品自体にも添加配合することができる。 【実施例】 【0024】 次に、本発明を実施例等によって詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。 【0025】 実験例1 ポテト各品種の性質と物性(付着性)の関係性を次のようにして調査した。 まず、以下のようにして作成したスープに、以下のようにして作成した、表1に示す品種の乾燥ポテトパウダーを0.5g又は0.1g添加し、付着性を調べた。結果を表1に示す。併せて細胞径と平均澱粉価を表1に示す。 【0026】 ・スープ作成法:ポテトスターチを含む乾燥スープ(約20g)に100℃の熱湯を150ml加え、スープを調整した。このスープの粘度は、80〜150mPa・s であり、付着性は700gfであった。 【0027】 ・乾燥ポテトパウダー作成法:各品種ごと2kgをブランチング(70℃、20分)、蒸煮(100℃、20分)、マッシュし、ドラムドライヤー(130℃)にてフレーク化し、粉砕器にて粉砕後、篩で各粒度に分けた。 【0028】 なお、付着性[gf]とは、テクスチャー測定器(英光精機株式会社製のTexture Analyzer)を用いて測定温度(25度)で、アクリル製プローブ(直径25mm円型)での付着力測定(Adhesive Test)における応力(gf)である。 また、細胞径[μm]は、光学顕微鏡にてポテト断面(中央部)の細胞を観察し(倍率500倍)、画像処理ソフト(ナノハンターNS2K−PRO、ナノシステム株式会社製)にて、各細胞を二値化処理し、ビット解析により面積を算出し、円相当径は、φ=√(4×細胞面積/π)(但し、φ:円相当径)にて算出し、平均値を求めたものである(n=30)。 さらに、平均澱粉価は、使用したポテトの比重から計算した。 【0029】 表1の結果によれば、粒径が大きい程、付着性低下することが分かる。また、表1の結果によれば、平均澱粉価が高く、かつ、粘質の品種の方が、付着性が低下することが分かる。 即ち、粉質の品種に比べ、粘質の品種にて、有意に付着性が低下することが分かる。粒径を大きくさせたり、添加量を減らすほど、その差はより顕著になる。また、粘質の品種は、粉質の品種に比べ、細胞径が小さいことが分かる。 【0030】 【表1】
【0031】 実験例2 同品種間で澱粉価の異なる4つの区分で分類し、パウダー化をした。 得られた各乾燥ポテトパウダーを、実験例1で作成したスープに0.5g添加し、付着性を測定した。結果を表2に示す。 【0032】 表2の結果によれば、同品種間では澱粉価が異なっていても、付着性は変化しないことがわかる。 これは、澱粉が力価に影響を与えているのではなく、「澱粉を多く内包しうる細胞(繊維)構造」が力価に影響を与えているものと考えられる。また、澱粉は細胞内で成長につれて生成するため、ポテトサンプル数を増やせば、その平均値は構造に影響すると考えられる。 【0033】 原料であるポテトの単離澱粉の膨潤倍率を測定した。結果を表3に示す。 【0034】 表2、3の結果によれば、細胞径が小さい品種でも、単離澱粉の膨潤倍率が高い品種の方が、平均澱粉価が高く、且つ、付着性を大きく低下させることが分かる。 【0035】 【表2】
【0036】 【表3】
【0037】 実験例3 粒径の異なる各乾燥ポテトパウダーを、実験例1で作成したスープに所定量添加し、付着性を測定した。結果を表4に示す。 【0038】 表4の結果によれば、0.2g〜0.5g添加では、粒径の大きいほうが、付着性が低下することが分かる。 また、少量であると、粒径が250-350μmであるものが、付着性が高いことが分かる。さらに、吸水倍率の高いサンプル(吸水倍率が5.2以上のサンプル)では、添加量が増えても、付着性はほとんど低下しないことが分かる。 【0039】 【表4】
【0040】 実験例4 市販ポテトAの粉砕条件を変化させ、表4に示す粒径分布を有する乾燥ポテトパウダーを、実験例1で作成したスープに0.1g添加し、付着性を測定した。結果を表5に示す。 【0041】 表5の結果によれば、粒径が250-350μmのものを多く含むことで、付着性が最も低下することが分かる。 一方、粒径が180μm以下のものが増えると付着性が増加することが分かる。 なお、実験例では粒径が350-500μmのものを0.5g添加することで、付着性を低減することができたが、本実験例4では添加量が0.1gと少ないため、必ずしも効力を発揮しない。 このような少量添加では、溶液内に分散することが重要であり、吸水倍率で確認することができる。(4.5〜4.8) 【0042】 【表5】
【0043】 実験例5 実験例4の「市販ポテトA−3」(スタンダード品)に、粒径が180μm以下の市販ポテトAパウダーを所定量添加し(粒径が180μm以下のものを増量し)、付着性の変化を調べた(試作(1)〜(4))。結果を表6に示す。 【0044】 表6の結果によれば、粒径が180μm以下のものが10%以上になることで、付着性が劇的に増加することが分かる。従って、付着性を低減させるためには、粒径が180μm以下のものを10%未満に抑えることが必要であることが分かる。 【0045】 【表6】
【0046】 実験例6 実験例1で作成したスープに、粒径が250-350μmの市販ポテトAパウダー及び/又はトヨシロパウダーを所定量添加し、付着性の変化を調べた。結果を表7に示す。 なお、吸水倍率は、200mlのメスシリンダーに10gサンプルを入れ、10回軽く叩いたときの体積を初期体積とし、攪拌しながら(未溶解物をなくしながら)水を150ml加え、15分間静置したときの沈殿物体積を測定し、次の式により求めた。 ・吸水倍率=沈殿物体積(ml)÷初期体積(ml) 【0047】 表7の結果によれば、力価の強いパウダー(市販ポテトパウダーA)の添加量を減らしても、付着性の低下機能が十分得られない場合には、力価の弱いパウダー(トヨシロパウダー)を2〜4倍混合すれば相乗効果を生じることが分かる。 【0048】 【表7】
【0049】 実験例7 実験例1で作成したスープに、表8に示す粒径分布を有する乾燥ポテトパウダー(実験例4の市販ポテトA−2と、トヨシロパウダー)を所定量添加し、付着性の変化を調べた。結果を表8及び表9に示す。 【0050】 表8、表9の結果によれば、乾燥ポテトパウダーの吸水倍率が5.2を超えると付着性が増加することが分かる。 【0051】 【表8】
【0052】 【表9】
【0053】 実験例8 市販ポテトAパウダーを各粒径ごとに所定量添加し、官能評価にてポテト感を感じる粒径、添加量を調べた。結果を表10に示す。 【0054】 なお、官能評価は、パネラー7人により次の4段階にて行った。 [評価基準] ◎:7人全員がポテト感(粉っぽさ)を感じない ○:6〜4人がポテト感(粉っぽさ)を感じない △:3〜1人全員がポテト感(粉っぽさ)を感じない ×:7人全員がポテト感(粉っぽさ)を感じる 【0055】 表10の結果によれば、ポテト感は、市販ポテトAパウダーの添加量が多く、市販ポテトAパウダーの粒径が大きい程、感じやすいことが分かる。 また、ポテト感を感じさせず、食感を変化させるためには、500μm以下の粒径で、添加量が0.1〜0.2gが好ましいことが分かる。 【0056】 【表10】
【0057】 実験例9 付着性300gf前後のポテト品種、条件にて官能評価を実施し、食感の違いを調べた。結果を表11に示す。 なお、すっきり感、口溶け感は、0点をスタンダードとし、最高5点で評価した(n=8)。 【0058】 表11によれば、同程度の付着性であれば、すっきり感には変化はないことが分かる。しかし、口溶け感はその力価による。 また、乾燥ポテトパウダーの添加量が少ない、または粒径が小さくても同じ付着性を達成できれば、口溶け感は増加する。 【0059】 【表11】
【0060】 実験例10 実験例 実験例1で作成したスープに、実験例4の市販ポテトA−3を0.1g添加前後のスープの物性で感じる違いを調べた(n=40)。結果を表12に示す。 【0061】 表12の結果によれば、実験例4の市販ポテトA−3を0.1g添加することにより、95%以上が口溶け感を感じた。 【0062】 【表12】
【0063】 上記した一連の実験の結果から、以下の点が分かった。 1)まず使用したポテト品種の平均澱粉価と付着性を比較したところ、平均澱粉価の大きい品種に優位性が見られた。 2)そこで、ポテト品種内での平均澱粉価を変化させ、付着性を比較したところ、付着性に違いは見られなかった。 3)品種の特性を調査したところ、前記1)にて使用したポテト品種の平均澱粉価は、年間の平均澱粉価とほぼ一致していることが分かった。 4)そこで、平均澱粉価自体は機能に影響を与えないが、年間の平均澱粉価を決定する別の因子が機能に影響を与えていると推察した。 5)澱粉は細胞内で生成するため、細胞構造が機能に与えていると仮説を立てた。 6)細胞構造は澱粉特性(膨潤度)にも影響を与えているはずであると考えて実験を行った。 7)その結果、膨潤度に差が見られ、膨潤度は品種固有の値であることから、膨潤度がきわめて重要なファクターであることが分かった。 【産業上の利用可能性】 【0064】 本発明によれば、添加するだけで、適度なとろみを有すると共に、べとつきのない、さらっとした好ましい食感のある液体状食品を得ることのできる乾燥ポテトパウダーと、適度なとろみを有すると共に、べとつきのない、さらっとした好ましい食感のある液体状食品となりうる粉末状食品が提供される。 従って、本発明は食品産業分野において有効に利用されることが期待される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591101504 【氏名又は名称】クノール食品株式会社 【識別番号】000000066 【氏名又は名称】味の素株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月4日(2006.7.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086221 【弁理士】 【氏名又は名称】矢野 裕也
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| 【公開番号】 |
特開2008−11733(P2008−11733A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月24日(2008.1.24) |
| 【出願番号】 |
特願2006−184174(P2006−184174) |
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