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【発明の名称】 発芽ピーナッツの製法及び発芽ピーナッツよりなるアラニン補給用食品
【発明者】 【氏名】塚原 菊一

【氏名】浦野 孝明

【要約】 【課題】ピーナッツを安全かつ簡便に発芽させ、豊富な栄養素、特にアラニンを補給できる食品を開発することを課題とする。

【構成】ピーナッツ原料をぬるま湯に浸漬し、その後流水状態で保持することで、簡便にアラニンを豊富に含む発芽ピーナッツを生成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーナッツ原料をぬるま湯に浸漬し、その後流水状態で保持することを特徴とする発芽ピーナッツの製造方法。
【請求項2】
流水状態で12時間以上保持することを特徴とする請求項1記載の発芽ピーナッツの製造方法。
【請求項3】
ピーナッツ原料をぬるま湯に浸漬し、その後流水状態で保持して生成する発芽ピーナッツを主成分とするアラニン補給用食品。
【請求項4】
ピーナッツ原料をぬるま湯に浸漬し、その後流水状態で保持して生成される発芽ピーナッツを加熱することにより発芽を停止させた発芽ピーナッツ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
ピーナッツを発芽させることによって、アラニン豊富な食品を開発することに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康食品ブームが到来し、各種の健康食品が開発されている。その中で発芽玄米は特に脚光を浴びているが、本出願人も発芽玄米について古くから研究開発をすすめ、その成果を特許出願し特許も取得している。例えば、平成11年には、「安全性及び炊飯性に優れた発芽玄米、その製造法並びにその加工食品」(特開2000−217520号公報)(特許文献1)を特許出願し、特許を取得している。
【0003】
また、本出願人は発芽玄米の有用性を開発し、プロピルエンドペプチダーゼ阻害剤(特開2000−325042号公報(特許文献2)、特許第3148739号)や「発芽玄米から抽出された美白成分」(特開2001−240556号公報(特許文献3))の出願も行っている。
【0004】
従来、発芽玄米以外にも大豆、小豆、納豆のように水に浸漬して発芽させることは行われていた。落花生についても、特開平05−76245号公報(特許文献4)に「落花生もやしおよびその製造方法」が開示されている。しかしながら、これは落花生を生物必須金属含有水溶液に浸漬後、発芽させることによって、春夏秋冬を問わず、随時希望する時期に発芽させ、何時でも収穫できる栄養豊富でコクのある落花生もやしを得ることを目的としたものである。従って、生物必須金属含有水溶液として鉄、マンガン、亜鉛、銅、コバルト、ホウ素及びモリブデン等を含有する水溶液に浸漬するため、安全性に疑問があった。
そこで、ピーナッツ(落花生)を安全にしかも簡便に発芽させ、栄養豊富な食品を開発することが求められている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−217520号公報
【特許文献2】特開2000−325042号公報
【特許文献3】特開2001−240556号公報
【特許文献4】特開平05−76245号公報
【非特許文献1】Ajico News No. 217 (2005年6月)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ピーナッツを安全かつ簡便に発芽させ、豊富な栄養素、特にアラニンを補給できる食品を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願人は、上記課題を解決するために鋭意努力した結果、安全かつ簡便なピーナッツを発芽させる方法を開発することができた。しかも、発芽ピーナッツにはアラニンが多量に含まれていることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は
(1) ピーナッツ原料をぬるま湯に浸漬し、その後流水状態で保持することを特徴とする発芽ピーナッツの製造方法、
(2) 流水状態の保持が12時間以上であることを特徴とする(1)記載の発芽ピーナッツの製造方法、
(3) ピーナッツ原料をぬるま湯に浸漬し、その後流水状態で保持して生成される発芽ピーナッツを主成分とするアラニン補給用食品、
(4) ピーナッツ原料をぬるま湯に浸漬し、その後流水状態で保持して生成される発芽ピーナッツを加熱することにより発芽を停止させた発芽ピーナッツ
に関する。
【0009】
一般的に、ピーナッツ(落花生)の栽培は、種子の準備に始まり、莢むきは手作業で3月頃から始める。種子は健全なものを選び、病害粒、かび粒、種子の皮がむけた粒等の障害粒、過熟粒などの形状、色沢の不良なものや細粒(未熟粒)等を除去する。なお、ウィルス病の発生した圃場のものは種子として使用しない。
【0010】
発芽力を確認する。確認は100粒程度用い、ハウスや育苗器などの温度が25℃前後確保できるところで、植木鉢などに浅く種をまく。発芽率は80%以上を目標とする。
種子は紙や麻袋など、ある程度通気性のあるものに入れ、冷涼で温度の変化が少ないところに保管する。
種子更新を積極的に行い、良質な種子使用によって安定生産、高品質保持に努める。
【0011】
種子の準備が終了したら播種に移るが、播種の適期は5月中旬から下旬である。播種密度および播種量は条間45cmの2条マルチを使用し、平均畦間60cmとする。株間は24〜27cmとし、播種が遅くなった場合は24cmとする。
【0012】
播種量は、株間が27cmの場合、5.6kg/10a、株間が24cmの場合、6.3kg/10aである(ナカテユタカ100粒重を90gとし、1粒播きとして計算したもの)。
播種法は、1穴1粒まきとし、3cm前後の深さに横向きにして土中に押し込み、穴をふさぐようにマルチの上2〜3cm覆土する。
【0013】
追播きと称して、出芽直前頃から子葉展開期にかけて欠株箇所は速やかに追播きする。
その後、雑草防除・マルチの除去・中耕培土・かん水・開花を経て収穫に至る。
【0014】
収穫の時期については、品種によって異なるが、「ナカテユタカ」は開花期から80日頃の9月中旬から下旬にかけて、「サヤカ」は開花期から85日頃の9月中旬から下旬にかけて、「千葉半立」は開花期から90日頃の9月下旬から10月上旬にかけて収穫する。
【0015】
収穫後、地干し乾燥を行い、子実水分が20%になったら速やかに野積みする。水分20%の場合、ピーナッツの柔らかみを感じるとともに、少し縮んで横しわが入る。
【0016】
野積み乾燥は、吸湿防止のため麦わらなどを敷き、その上に莢部を内側に向け中心に縦の通気用の空洞ができるように放射状に丸く積む。高さは1.5m〜1.8mとし、その上に稲わらなどをかぶせ雨水の浸入を防ぎ、雨よけが風に飛ばされないように縄がけする。
【0017】
十分乾燥(子実水分9%)したら専用脱莢機で脱莢する。水分9%とは、ピーナッツの硬さが感じられ、子実の尖った先端部が指に食い込んで痛みを感じ、押すことができない程度である。
【0018】
一方、本発明の発芽ピーナッツは、予め水洗し上記のように脱莢したピーナッツを水浸漬し、その後流水状態で12時間以上保持して発芽させることにより作成できる。「流水状態」とは、いわゆる川のように流れる水に保持してもよいが、簡便に行うには上部からシャワーのように散布することが好ましい。
【0019】
この発芽ピーナッツには、アラニンが豊富に含まれていることを、本発明者が見出したことも本発明の大きな特徴である。表1に示されているように、本発明の発芽ピーナッツは発芽していないピーナッツに比し、約4倍のアラニンが含まれていることを見出したのである。従来、ピーナッツにはタンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミンB、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンや葉酸が含まれていることは知られているが、アラニンが含まれていることは知られていない。従って、ピーナッツを発芽させることにより、アラニンが醸成されたものと考えられる。
【0020】
アラニンは、アルコールの代謝を促進し、肝機能を保護し、血糖値を下げるインスリンの分泌を促し、脂肪分解酵素を活性化するという顕著な効果を奏するものである。また、肝臓で筋肉にエネルギーを与え、スタミナとなるブドウ糖の生産も促す。
【0021】
Ajico News No.217(2005年6月)(非特許文献1)に、「アラニン、グルタミンによる肝障害改善作用」と題して、「肝臓や血中のNAD/NADH比を反映するとされている、血中アセト酢酸/β―ヒドロキシ酪酸濃度比(血中ケトン体濃度比)をアルコール投与後、アラニンとグルタミンを投与もしくは非投与の条件で同様に経験的に測定したところ、アルコール投与後一過性に著しく低下した血中ケトン体濃度比(NADHの過量産生を反映する)が、アラニン・グルタミンの投与によってほぼ正常範囲内に保たれたことから、過量に産生されたNADHがアラニンとグルタミンの投与によって、うまく糖新生に利用された可能性が高いと考えられた。」と記載されているように、アラニンは肝障害改善の作用を有することが確認されている。
【0022】
本願発明は、ピーナッツを発芽させる工程が重要であるが、発芽ピーナッツの製造工程は、
原料受入れ→精選→発芽処理→計量・充填→発芽停止処理・殺菌→ウェイトチェック→
金属探知機検査→検品→箱詰め→出荷
であり、極めて単純な工程で生成することができる。
【0023】
上記工程において、「原料」とは前述の脱莢したピーナッツのことである。
また上記工程中最も注意すべき工程は、発芽処理工程であるが、発芽処理工程は、
ぬるま湯に2時間程度浸漬→流水に12時間以上→脱水
という工程を経過することを特徴とする。
【0024】
ぬるま湯に浸漬するのは、水分を十分に吸水させて飽和状態にするための工程で、その後「流水に12時間以上保持」すること、例えば上部からシャワー状態でぬるま湯を散布することにより発芽を促進させることができる。水温は20℃以上40℃程度でよいが、32℃前後が好ましい。
【0025】
また、流水の保持時間が12時間未満では十分な発芽は行えないことが、下記の実施例4により分かった。
【0026】
更に、ぬるま湯に漬け続けると、発芽がし難いこと及び甘皮の色が落ちて商品価値が落ちるため、浸漬時間は2時間程度が好ましい。また、間欠的に浸漬すると発芽が不揃いになり、かつ発芽が遅くなることも実施例2により確認されており、更に高湿度雰囲気中(サウナ状態)の場合、発芽はするが異臭が出るという欠点があることも実施例3により判明している。
【0027】
従って、上記のようにぬるま湯に2時間程度浸漬した後、シャワー状態でぬるま湯を12時間以上散布すれば、発芽が揃い異臭もなく、良好な製品を生産することができる。
また、発芽停止処理及び殺菌工程として、高圧加熱殺菌機により121℃で30分程度
処理することにより、達成できる。
【0028】
発芽させたピーナッツを示す写真を図1として掲載する。
本発明の発芽ピーナッツは、そのまま食して十分美味しく、サクサクとした食感が新鮮で、ポリフェノールがたっぷりの薄皮も摂取でき、しかも発芽によって栄養成分が富化されるばかりでなく、なにも加えていないので、安全で自然な無添加食品の典型であり、酒のつまみやおやつとして最適の食品を提供することができる。
【0029】
更には、多くの食材への利用も可能な食品素材である。例えば、食酢に漬けて味を付けた「酢発芽落花生」、「発芽ピーナッツご飯」、「発芽ピーナッツスープ」、「発芽ピーナッツサラダ」、「発芽ピーナッツバター」、「発芽ピーナッツプリン、羊羹」(洋菓子・和菓子)、「発芽ピーナッツパン」等が挙げられる。いずれにしても、発芽ピーナッツの持つ独特の食感、さわやかな甘み、豊富な栄養、そして調理の容易さなどにより和洋中韓など世界中の料理に新たな食原料として利用することができ、新たな食品群を構成する可能性がある。
【発明の効果】
【0030】
本発明の発芽ピーナッツにより、アラニンを豊富に含む安全な食品を簡便に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明を具体的に説明するために、以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではないことは、言うまでもない。
【実施例1】
【0032】
[発芽ピーナッツのアミノ酸組成分析]
本発明品の発芽ピーナッツと他社製品とをアミノ酸の観点から、分析してみた結果を表1に示す。
【0033】
【表1】


【0034】
表1を見ると、本発明品は、発芽させていない他社製品と比較するといずれのアミノ酸も多いが、特にアラニンについては3.8から4.2倍程度多くなっている。更に、アミノ酸の総量も2〜4倍程度多くなっている。
【実施例2】
【0035】
[間欠浸漬による発芽試験の状況]
「ナカテユタカ」100粒を原料として以下のような発芽処理を施した。
浸漬 1時間
排水後静置 5時間
浸漬 1時間
排水後静置 5時間
浸漬 1時間
排水後静置 5時間
発芽率は、72%と高かったが、発芽するまでの時間が18時間以上かかった。臭いはそれ程なかった。
【実施例3】
【0036】
[高湿度雰囲気中での発芽試験の状況]
実施例2と同様に「ナカテユタカ」100粒を原料として以下のような発芽処理を施した。
浸漬 1時間
高湿度(95%)中 19時間
発芽率58%で、異臭がありカビの生えているものもあった。
【実施例4】
【0037】
実施例2及び3を踏まえて、「ナカテユタカ」100粒を原料として以下のような発芽処理を施した。
浸漬 2時間
循環流水(シャワー) 12時間
脱水 2分
で行ったところ、発芽率は66%であったが、発芽するまでの時間が14時間と短く、また異臭は全くなかった。
【0038】
なお、循環流水の途中において、発芽状態を観察したところ、5時間では発芽率3%、8時間で19%、10時間で47%であった。
従って、効率的な発芽率からみると循環流水は12時間以上が好ましいとの結論に達した。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】発芽させたピーナッツを示す図。
【出願人】 【識別番号】597050059
【氏名又は名称】ドーマー株式会社
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔

【識別番号】100096183
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貞次

【識別番号】100107168
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 徹夫

【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節


【公開番号】 特開2008−11718(P2008−11718A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183526(P2006−183526)