トップ :: A 生活必需品 :: A23 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理




【発明の名称】 動物において脂肪の堅さを増して肉品質を改良する剤
【発明者】 【氏名】クック, マーク イー.

【氏名】ジエロメ, ダリア エル.

【氏名】パリザ, マイケル デイー.

【氏名】ブエジ, デニス アール.

【要約】 【課題】食肉用動物の脂肪の堅さおよび肉質の指標を高め、肉の加工性を高める。

【構成】食肉用動物に、安全かつ有効量の共役リノール酸またはCLAを投与することからなる。CLAは天然の食物成分であり、共役リノール酸の非毒性塩、共役リノール酸の活性エステル、共役リノール酸の活性異性体、共役リノール酸の活性代謝産物などからなり、比較的毒性が無いため経口投与されて、食肉用動物の食餌において増加されている不飽和脂肪酸の悪影響を中和する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食肉用動物の脂肪の堅さおよび肉の品質の指標を高めるのに有効な安全量の共役リノール酸(CLA)を含んでなる、食肉用動物の脂肪の堅さおよび肉の品質を改良する剤。
【請求項2】
前記動物がブタである、請求項1に記載の食肉用動物の脂肪の堅さおよび肉の品質を改良する剤。
【請求項3】
前記CLAが遊離の共役リノール酸である、請求項1に記載の食肉用動物の脂肪の堅さおよび肉の品質を改良する剤。
【請求項4】
前記CLAが共役リノール酸の非毒性塩である、請求項1に記載の食肉用動物の脂肪の堅さおよび肉の品質を改良する剤。
【請求項5】
前記CLAが共役リノール酸のエステルである、請求項1に記載の食肉用動物の脂肪の堅さおよび肉の品質を改良する剤。
【請求項6】
前記CLAが経口投与される、請求項1に記載の食肉用動物の脂肪の堅さおよび肉の品質を改良する剤。
【請求項7】
前記CLAが非経口投与される、請求項1に記載の食肉用動物の脂肪の堅さおよび肉の品質を改良する剤。
【請求項8】
投与量が動物食餌の0.01重量%〜5.0重量%である、請求項1に記載の食肉用動物の脂肪の堅さおよび肉の品質を改良する剤。
【請求項9】
食肉用動物の食餌における不飽和脂肪の悪影響を中和するのに有効な安全量の共役リノール酸(CLA)を含んでなる、食肉用動物の食餌における不飽和脂肪の悪影響を中和する剤。
【請求項10】
投与量が動物食餌の0.01重量%〜5.0重量%である、請求項9に記載の食肉用動物の食餌における不飽和脂肪の悪影響を中和する剤。
【請求項11】
動物の食物を改質して、該動物食物の能力を高め、動物の食餌における不飽和脂肪の悪影響を中和するのに有効な安全量の共役リノール酸(CLA)を含んでなる、動物の食餌における不飽和脂肪の悪影響を中和する剤。
【請求項12】
投与量が動物食餌の0.01重量%〜5.0重量%である、請求項11に記載の動物の食餌における不飽和脂肪の悪影響を中和する剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本出願は、一般的には、動物の処理方法に関する。より詳細には、本出願は、肉の品質を改良するために動物を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アメリカ人は食品調製において不飽和脂肪をますます使用するようになっているので、その結果、消費されるレストランでのグリースは、ますます不飽和化している。このようなグリース/オイルは、次には、動物飼料産業によって使用され、ブタなどの食肉用動物が飼育されている。このようなオイルの高い不飽和度のために、これらのオイルを摂取している動物は、より軟らかい脂肪および組織を有している。加えて、トウモロコシは、より高いレベルの不飽和脂肪となるように遺伝学的に選択されている。トウモロコシは、動物食餌の主要成分であるので、高オイルのトウモロコシを飽和脂肪の代わりに使用することによっても同様に、脂肪および組織は軟らかくなる。これは、肉(例えば、ベーコン)をスライスするときに重大な問題を引き起こす。軟らかい脂肪は、通常は1日24時間操業しているベーコンスライス作業での切断ラインを詰まらせてしまう。
【0003】
確実に固い脂肪にするために以前に知られていた唯一の方法は、飽和脂肪の多い脂肪またはオイルで動物を飼育することであった。ヒトの栄養学における近年の傾向のために、そのような脂肪は、動物飼育のためには一層入手できなくなっている。同様に、様々な高オイルのトウモロコシを使用することによって、食餌中の添加される動物脂肪レベルが減少している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、脂肪の堅さ(fat firmness)を増す方法を開示し、ブタなどの食肉用動物の肉質を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
我々は、不飽和脂肪である共役リノール酸を食肉用動物に与えることによって、食肉用動物の食餌において増加されている不飽和脂肪の悪影響を中和し、その結果、より堅い脂肪を有する改良された品質の肉が生産されるという驚くべき事実を発見した。
【0006】
本発明の方法は、食肉を目的とする動物に、肉質を改良し、そして同様に肉の品質を改良することである食肉中の脂肪の堅さを増すのに有効な、安全量の共役リノール酸(9,11-オクタデカジエン酸および10,12-オクタデカジエン酸など)、共役リノール酸の非毒性塩、共役リノール酸の活性エステル、共役リノール酸の活性異性体、共役リノール酸の活性代謝産物、またはそれらの混合物を投与することを含んでなる。脂肪の堅さが増大することは、ブタの腹肉をベーコンにスライスするなどの加工を改良することを可能にする。本発明の方法はまた、望ましくない軟らかい組織および軟らかい脂肪の肉製品を生じることなく、飼料産業が、より高い濃度の不飽和胞肪酸(すなわち、植物オイル)で食肉用動物を飼育することを可能にする。
【0007】
共役リノール酸類、それらの非毒性塩、活性エステル、活性異性体、活性代謝産物、およびそれらの混合物をまとめて、本明細書及び請求の範囲中では、「共役リノール酸」または「CLA」と呼ぶ。
【0008】
前述の目的および他の利点が、本発明の実施によって達成され得ることは当業者には明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の好ましい方法において、CLAは、肉の品質を改良するのに有効であり、そして動物から得られる肉の品質を同様に改良することである動物の脂肪の堅さを増すのに有効な安全量で動物に経口投与される。その安全かつ有効である量は、年齢、大きさおよび動物の性質の違いにより大きく変化し得る。CLAは天然の食物成分であり、比較的毒性がないために、本発明の方法で投与され得る量は、効果的であるために十分である限り、臨界的ではない。
【0010】
本発明の実施を、下記の例によってさらに例示する。
【実施例】
【0011】
例1
体重が約55ポンドのブタを、食餌中0.重量%、0.5重量%または1.0重量%のCLAで飼育した。3か月半後、ブタを屠殺し、その胴体を冷やし、その後、加工した。胴体を解体したとき、コントロールブタとCLA給餌ブタとの間で豚腹肉および皮下脂肪の堅さ(stiffness)に目に見える違いが認められた。CLA給餌動物からの豚腹肉および皮下脂肪はより堅く、その腹肉は、棒に吊るしたときにつぶれて折りたたまれることがなかった。腹肉は、外見、稠度(consistency)及び脂肪の堅さで評価した。同様に、肉品質の指標(色、霜降りおよび水分保持能力)を測定した。結果を表1および表2に示す。
【0012】
【表1】


【0013】
1 主観的色彩:これは、1〜5のスコアに基づく。1は望ましくなく、3〜4は好ましく、5は暗すぎる。
2 主観的霜降り:これは、1〜5のスコアである。1は、霜降り(筋肉中の脂肪)がほとんどないし全くないことを意味し、5は、(最上級品質に等しい)多量の霜降りを有する。今日では、2〜3の範囲が好まれる傾向がある。
3 ミノルタ色彩計読み値:L*値は明度の尺度であり、値が大きいほど明るくなる(白色に近づく)。豚肉は色彩が白色であるべきではない;もしそうであれば、これはPSE(色がうすい、軟らかい、浸出性)であることを示す。PSE豚肉は、そのはずれた味、乏しい結合特性、および水分の喪失のために非常に望ましくない。
a+値は肉の赤味であり、値が大きいほど、より赤いことを意味する。
4 水分保持能力:これは、PSEの別の尺度である。これは、1枚のろ紙を筋肉上に置いて10分間さらし(赤らませ)た後、次いで、ろ紙に吸い取られた水分量をmg単位で重量測定することによって行われる。
【0014】
【表2】


【0015】
1 主観的堅さ:これは、1〜5のスコアである。1は、取り扱うには極端に軟らかく、5は、取り扱うには非常に堅く、好ましくは、3〜4の付近である。
2 腹肉堅さを、腹肉を赤身側を上にして棒の上に吊るし、腹肉の両端間の距離をインチ単位で計測することによって測定した。距離が大きいほど、腹肉は堅い。
【0016】
上記からわかるように、CLAを含有するCLA食餌が与えられたブタは、コントロールブタの腹肉よりも良好な筋肉質を有し、ベーコンを製造するのに著しく良好な豚腹肉を有していた。
【0017】
本発明の方法は、いくつかの実施態様をとることができる。1つの実施態様において、CLAは、CLAを飼料に添加することによって動物の食餌に添加される。別の実施態様において、CLAは、安全かつ有効用量のCLAを含有する獣医学的組成物で動物に投与することができる。さらに別の実施態様において、食肉用動物は、高濃度のCLAを含有するように強化されている、ミルク、野菜オイルまたは卵固体などの食物製造物で飼育される。
【0018】
本発明の方法において使用される飼料および獣医学的調製品は、好ましくは、遊離脂肪酸またはトリグリセリドエステルの形態のCLAを、従来の飼料または許容された獣医学的稀釈剤と組み合わせて含有するものである。非毒性塩および混合物を含むCLAの他の活性形態、ただしこれらに限定されない、を使用することができる。
【0019】
遊離の共役リノール酸類(CLA)は、フライにした肉から以前に単離されており、カルシノジェネシス(Carcinogenesis)、第8巻、第12号、1881〜1887頁(1987)に、ワイ.エル.ハ(Y.L.Ha)、エヌ.ケー.グリム(N.K.Grimm)およびエム.ダブリュー.パリザ(M.W.Pariza)により抗発ガン物質として記載されている。それ以降、遊離の共役リノール酸類は、いくつかのプロセスチーズ製品中で見出されている(ワイ.エル.ハ、エヌ.ケー.グリムおよびエム.ダブリュー.パリザ、ジェイ.アグリク.フード ケム.(J.Agric.Food Chem.)、第37巻、第1号、75〜81頁(1987))。
【0020】
CLAの遊離酸型は、リノール酸を異性化することによって調製することができる。遊離CLA酸の非毒性塩は、遊離酸を非毒性塩基と反応させることによってつくることができる。天然のCLAはまた、獣脂から単離することができ、あるいはルーメン細菌ブチリビブリオ フィブリソルベンス(Butyrivibrio fibrisolvens)などの無害な微生物からのW12−シス、W11−トランスイソメラーゼの作用によってリノール酸から調製することができる。ラットおよび他の単胃動物の腸管内の無害な微生物もまた、リノール酸をCLAに変換することができる(エス.エフ.チン(S.F.Chin)、ダブリュー.リウ(W.Liu)、ケイ.アルブライト(K.Albright)およびエム.ダブリュー.パリザ、1992、FESEB J.6:アブストラクト#2665)。
【0021】
記載された調製方法を実施することによって得られるCLAは、9,11−オクタデカジエン酸類および/または10,12−オクタデカジエン酸類およびそれらの活性異性体の1つまたは複数を含有する。そのようなCLAは、遊離型であり得るか、またはエステル結合を介して化学的に結合し得る。CLAは熱安定性であり、そのまま使用することができ、あるいは乾燥化および粉末化を行うことができる。遊離酸は、化学的に等量の遊離酸を水酸化アルカリと約8〜9のpHで反応させることによって、ナトリウム塩またはカリウム塩などの非毒性塩に容易に変換される。
【0022】
理論的には、9,11−オクタデカジエン酸および10,12−オクタデカジエン酸の8個の可能な幾何異性体(c9,c11;c9,t11;t9,c11;t9,t11;c10,c12;c10,t12;t10,c12およびt10,t12)が、c9,c12−オクタデカジエン酸の異性化から形成されるであろう。異性化の結果として、4個の異性体のみ(c9,c11;c9,t11;t10,c12;およびc10,c12)が予想されるであろう。しかし、この4個の異性体の内、c9,t11およびt10,c12異性体が、共役二重結合付近の5個の炭素原子が同一平面にあるという特性および共鳴ラジカルの立体的衝突のために、c9,c12−リノール酸の自己酸化またはアルカリ異性化の間に優先的に製造される。残りの2つのc,c−異性体は、重要でない寄与物(minor contributors)である。
【0023】
9,11−オクタデカジエン酸または10,12−オクタデカジエン酸のt,t−異性体の相対的によりいっそう高い分布は、より長い処理時間または長いエージング期間の間におけるc9,t11−またはt10,c12幾何異性体の熱力学的に好ましいよりいっそうの安定化に明らかに結果する。さらに、リノール酸の幾何異性体(t9,t12−オクタデカジエン酸、c9,t12−オクタデカジエン酸およびt9,c12−オクタデカジエン酸)の異性化の間に優先的に生成される9,11−オクタデカジエン酸または10,12−オクタデカジエン酸のt,t−異性体は、サンプルにおける最終異性体比または最終的なCLA含有量に影響し得る。
【0024】
リノール酸の幾何異性体はまた、重要でない寄与物(9,11−オクタデカジエン酸および10,12−オクタデカジエン酸、t9,c11−オクタデカジエン酸およびc11,t12−オクタデカジエン酸のc,c−異性体)の分布にも影響する。11,13−異性体は、処理中に、c9,c12−オクタデカジエン酸またはその異性体から主要でない生成物として製造することができるかもしれない。
【0025】
CLAは、溶液または乳化物などの獣医学的組成物の形態で投与することができる。投与すべき正確な量は、当然なことではあるが、用いられるCLAの形態および投与の径路に依存する。
【0026】
CLAの好ましい獣医学的組成物は、CLAの非毒性なナトリウム塩またはカリウム塩を、適当な稀釈剤との組み合わせで含有する。経口投与を目的とする溶液または懸濁物に加えて、組成物は、粉剤または粉砕可能な錠剤であり得る。組成物が、非経口投与を目的とする溶液または懸濁物である場合、好ましい稀釈剤は、米国薬局方注射用滅菌水であろう。
【0027】
動物の飼料に添加されるCLA量は、動物食餌の約.01重量%〜約5.0重量%またはそれ以上の範囲であり得る。動物には、CLAを含有する食餌を、生後から屠殺まで与えることができ、あるいは脂肪の堅さにおけるCLA給餌の少なくともいくつかの有益な効果が得られるまでの他の期間与えることができる。
【0028】
ブタの脂肪の堅さおよび肉の品質を高めることに加えて、本発明の方法は、ウシ、ウマ、ヒツジおよびヤギなどの他の食肉用動物の脂肪の堅さを増すのに有用である。
【0029】
多数の変更または変形を、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行い得ることもまた、当業者には容易に明らかであろう。従って、本発明は、請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【出願人】 【識別番号】390023641
【氏名又は名称】ウイスコンシン アラムナイ リサーチ フオンデーシヨン
【氏名又は名称原語表記】WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION
【出願日】 平成19年9月13日(2007.9.13)
【代理人】 【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫

【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三


【公開番号】 特開2008−43339(P2008−43339A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2007−238475(P2007−238475)