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【発明の名称】 コーヒー豆の焙煎方法
【発明者】 【氏名】堀井 清

【氏名】宗 威史

【氏名】大釜 清一

【氏名】藤井 祥造

【氏名】高塚 浩司

【要約】 【課題】コーヒーの雑味の元となる生豆表面の渋皮を、簡単な方法でほぼ完全に取り除くことができるコーヒー豆の焙煎方法を提供する。

【構成】未焙煎の乾燥コーヒー生豆に対して水分を1〜10重量%添加した後、焙煎を行う。水分の添加は乾燥コーヒー生豆に水を噴霧又は散水して行い、乾燥コーヒー生豆の全体が均一な水分量となるようにすることが好ましく、水分の添加は焙煎の直前に行うことが好ましい。また、乾燥コーヒー生豆に対する水分の添加量は、水分添加前の乾燥コーヒー生豆における水分含有量を考慮して増減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未焙煎の乾燥コーヒー生豆に対して水分を1〜10重量%添加した後、焙煎を行うことを特徴とするコーヒー豆の焙煎方法。
【請求項2】
前記水分の添加は、前記乾燥コーヒー生豆に水を噴霧又は散水して行うことを特徴とする請求項1記載のコーヒー豆の焙煎方法。
【請求項3】
前記水分の添加は、焙煎の直前に行うことを特徴とする請求項1又は2記載のコーヒー豆の焙煎方法。
【請求項4】
前記水分の添加量を前記乾燥コーヒー生豆の水分含有量に応じて増減することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコーヒー豆の焙煎方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー豆の焙煎方法に関し、詳しくは、渋みや苦みを減少させた焙煎コーヒー豆を得ることができるコーヒー豆の焙煎方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー生豆の処理方法として、コーヒー生豆を撹拌しながら水洗いし、直ちに遠心脱水して生豆の水分量を20%以下とした後、乾燥することにより、保存性を損なうことなく生豆の汚れを落とす方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−333609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、生豆を大量の水を使用して水洗いすると、生豆表面の汚れや渋皮、埃等を除去することはできるが、以下の表1のように、コーヒーの香味生成に重要な成分であるカフェイン及び糖質アミノ酸類等の水溶性物質が洗浄水中に溶け出して、コーヒー本来の味覚が損なわれてしまうことがあった。
【表1】


【0004】
一方、コーヒーの渋み成分であるクロロゲン酸類(タンニン)やジカフェルキナ酸、苦み成分であるトリゴネリン、その他のいわゆる雑味成分の多くは、生豆表面の渋皮部分に多く存在するため、従来から研磨機等を使用して渋皮を取り除くようにしているが、研磨機械的な方法では、渋皮を完全に除去することは困難であった。
【0005】
そこで本発明は、コーヒーの雑味の元となる生豆表面の渋皮を、簡単な方法でほぼ完全に取り除くことができるコーヒー豆の焙煎方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため本発明は、未焙煎の乾燥コーヒー生豆に対して水分を1〜10重量%添加した後、焙煎を行うことを特徴としている。水分添加後のコーヒー生豆の焙煎条件は、コーヒー豆の品種、生産地、生産工程、保存条件等に応じて従来と同様の焙煎条件で行うことができる。
【0007】
また、本発明において、前記水分の添加は、前記乾燥コーヒー生豆に水を噴霧又は散水して行い、乾燥コーヒー生豆の全体が均一な水分量となるようにすることが好ましい。さらに、前記水分の添加を焙煎の直前に行うことにより、黴等の微生物の繁殖を防止できる。また、乾燥コーヒー生豆に対する水分の添加量は、水分添加前の乾燥コーヒー生豆における水分含有量を考慮し、水分添加後の乾燥コーヒー生豆における水分含有量が多くなりすぎないように設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
乾燥コーヒー生豆に適当量の水分を添加することにより、生豆表面の渋皮を膨潤させて生豆表面からはがれやすくすることができ、この状態で焙煎することにより、表面から渋皮をほぼ完全に取り除いたコーヒー豆を得ることができる。このコーヒー豆を使用してコーヒーを抽出することにより、雑味が抑えられ、口当たりが軽く、柔らかい味わいのコーヒーを得ることができ、無糖、微糖等の甘さを抑えたコーヒー飲料に最適なものを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
まず、本発明で使用する乾燥コーヒー生豆の品種、生産地、生産工程は、特に限定されるものではなく、品種は、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種のいずれであってもよく、生産地で精製、乾燥された未焙煎のコーヒー生豆を用いることができる。また、生産工程についても、水洗方式、自然乾燥方式のいずれであってもよい。通常、コーヒー生豆の水分含有量は、自然乾燥方式のもので11〜13%(重量%、以下同じ)程度、水洗方式のもので14〜15%程度となっている。
【0010】
本発明では、上述のような乾燥コーヒー生豆を焙煎する前、好ましくは直前に所定量の水分を添加する。乾燥コーヒー生豆に添加する水分量は、生豆に対して1〜10%、好ましくは 1〜5%、特に好ましくは1〜3%程度が適当であり、乾燥コーヒー生豆における水分含有量に応じて調整することが望ましい。例えば、水分含有量が10%程度の乾燥コーヒー生豆に対しては水分添加量を数%多くし、水分含有量が13%程度の乾燥コーヒー生豆に対しては水分添加量を数%少なくすることが望ましい。
【0011】
生豆に対する水分添加量が少ない場合は、本発明の目的とする渋皮の除去を十分に行うことができず、また、水分添加量が多いとカフェイン等の水溶性物質が水中に溶け出してしまうことがある。さらに、多量の水分を添加してから焙煎までの時間が長いと、黴等の微生物の繁殖による腐敗(発酵)等によってコーヒー豆としての商品価値が失われることがある。
【0012】
水分を添加してから焙煎を開始するまでの時間は短いほどよく、水分が生豆の全体に均一に付着してから1分以内、特に、均一に付着した直後に行うことが好ましい。
この生豆への水分の添加は、別の容器や撹拌機中に投入した乾燥コーヒー生豆に水を添加することによって行ってもよいが、焙煎機に乾燥コーヒー生豆を投入した状態で行うことが好ましい。すなわち、所定量の水を散布又は噴霧するためのノズルを設置した焙煎機内に所定量のコーヒー生豆を投入した後、コーヒー生豆を適度に撹拌しながらコーヒー生豆に対して所定割合の水分をノズルから添加し、生豆の表面全体に均一に水を付着させた状態としてから焙煎機内に熱風や過熱蒸気等を供給してコーヒー生豆の焙煎を行うことが好ましい。
【0013】
水分添加後の焙煎条件は、コーヒー生豆の品種等の条件や、焙煎後のコーヒー豆の用途、焙煎機の能力等の条件に応じて従来と同じ条件で行うことができる。例えば、焙煎開始時には、撹拌状態のコーヒー生豆に450〜500℃程度の熱風を所定量で供給し、生豆が色付き始めたら熱風供給量を減らし、焙煎している豆の温度が所定温度になったら熱風の供給を停止するという周知の方法を採用することができる。
【実施例】
【0014】
実施例1
まず、3kgの乾燥コーヒー生豆に、市販の霧吹きを使用して異なる水量を添加し、同じ条件で焙煎を行った。焙煎後の豆表面の明度(L値)を測定し、また、焙煎後の5−CQA(クロロゲン酸)、トリゴネリン及びカフェインの含有量をそれぞれ測定した。なお、コーヒー豆にはブラジル種#4/5を使用し、焙煎は430℃の熱風を6分間供給することで行った。測定結果を以下に示す。
【表2】


【0015】
この結果から、生豆に水分を添加してから直ちに焙煎することにより、5−CQAやトリゴネリンが減少することが分かる。一方、カフェインの含有量はほとんど変化しないことがわかる。
これらの焙煎コーヒー豆を使用して同一条件で抽出したコーヒーを試飲した官能試験の結果、水分添加量が生豆に対して10%以下のものは、他のものに比べて口当たりが軽く、柔らかい味わいとなっていることがわかった。
なお、生豆に対する水分添加率が10%を超えると、水分量が多くなりすぎて焙煎に長時間を要することがあり、好ましくない。
【0016】
実施例2
乾燥コーヒー生豆として、ブラジル種#4/5、メキシコ種HG及びコスタリカ種HBを使用し、250kgの焙煎能力を有する焙煎機を使用し、乾燥コーヒー生豆250kgに対して3リットルの水(添加量1.2%)を添加して焙煎を行った。焙煎機には、水配管からバルブ、水量計、流量センサ、電磁弁を介してスプレーノズルを設置し、バルブを開いた状態で電磁弁を所定時間開放することによって所定量の水を機内に散布できるようにした。また、250kgの乾燥コーヒー生豆の投入が完了してから5秒後に電磁弁が開いてノズルから所定量の水(本実施例では3リットル)を噴霧し、噴霧終了後(電磁弁が閉じた後)に直ちに焙煎を開始するように設定した。焙煎条件は中煎り焙煎とし、各コーヒー豆における一般的な条件と同じ条件とした。なお、比較として、ブラジル種#4/5に水を添加せずに同じ条件で焙煎を行った。以下に焙煎時のデータを表3に示す。
【表3】


【0017】
焙煎後の各品種について官能試験を行ったところ、水を添加しないものに比べて、いずれも渋みや苦みといった雑味が無く、口当たりが軽く、柔らかい味わいとなっており、無糖、微糖の甘さを抑えたコーヒー飲料として最適なものとなっていた。
【出願人】 【識別番号】000104489
【氏名又は名称】キーコーヒー株式会社
【出願日】 平成18年9月8日(2006.9.8)
【代理人】 【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一


【公開番号】 特開2008−61603(P2008−61603A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−244407(P2006−244407)