| 【発明の名称】 |
焙煎コーヒー豆の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】小林 真一
【氏名】重野 千年
|
| 【要約】 |
【課題】飲用後の体内での過酸化水素の生成を抑制するコーヒー抽出液を供するコーヒー豆の製造方法を提供する。
【構成】焙煎したコーヒー豆に40〜150℃、特に好ましくは80〜120℃の温度条件下で、かつ焙煎温度よりも低い温度で熟成処理を施すコーヒー豆の製造方法。処理時間としては、好ましくは、40〜70℃では60日以上、70〜100℃では1日以上、100〜150℃であれば30分以上である。また、熟成処理は、窒素などの不活性ガス下または減圧下において行うことが、風味の点で好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 焙煎したコーヒー豆に40〜150℃の温度条件下で、かつ焙煎温度よりも低い温度で熟成処理を施すコーヒー豆の製造方法。 【請求項2】 熟成処理を30分以上施す請求項1記載のコーヒー豆の製造方法。 【請求項3】 熟成処理の温度条件が80〜150℃である請求項1又は2記載のコーヒー豆の製造方法。 【請求項4】 熟成処理を窒素下または減圧下で施す請求項1〜3の何れか1項記載のコーヒー豆の製造方法。 【請求項5】 コーヒー焙煎豆が未粉砕コーヒー豆である請求項1〜4の何れか1項記載のコーヒー豆の製造方法。 【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項記載の方法で製造されたコーヒー豆。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、焙煎コーヒー豆の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 活性酸素の一つである過酸化水素は、変異原性、癌原性等の他、動脈硬化症、虚血性心疾患等の循環器系疾患、消化器疾患、アレルギー疾患、眼疾患など多くの疾患に深く関与しているといわれている(非特許文献1)。一方、コーヒーには、焙煎によって自然発生する過酸化水素が含まれており(非特許文献2)、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、抗酸化剤(特許文献1〜4)等を添加することにより、コーヒー中の過酸化水素を除去する技術が報告されている。 【非特許文献1】栄養 評価と治療 19,3 (2002) 【非特許文献2】Mutat. Res. 16,308(2) (1994) 【特許文献1】特公平4−29326号公報 【特許文献2】特開平3−127950号公報 【特許文献3】特開平11−266842号公報 【特許文献4】特開2003−81824号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 本発明者らが、過酸化水素を除去したコーヒーをラットに飲用させたところ、体内で過酸化水素が生成し、尿中過酸化水素濃度が上昇することが判明した。すなわち、従来の、コーヒー飲料中の過酸化水素除去技術によっては、コーヒー飲用後に体内での過酸化水素生成を抑制することはできなかった。 【0004】 本発明の目的は、飲用後の体内での過酸化水素の生成を抑制するコーヒー抽出液を供するコーヒー豆の製造方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明者は、コーヒー中の何らかの成分が生体内において過酸化水素を生成させるのではないかとの仮説に基づき、種々検討した結果、コーヒー中に含まれるヒドロキシヒドロキノンに、生体内で過酸化水素を生成させる作用があること、及びヒドロキシヒドロキノンの含有量を通常含まれる量より少なくすれば、生体内で過酸化水素生成が少ないコーヒー飲料組成物が得られることを見出した。(WO2005/072533) さらに本発明者は、クロロゲン酸類が優れた血圧降下作用を示すにもかからず(特開2002−363075号公報、特開2002−22062号公報、特開2002−53464号公報)、クロロゲン酸類を多く含むコーヒー飲料が十分な血圧降下作用を示さないことに着目し(Eur. J. Clin. Nutr., 53(11), 831(1999))、血圧降下作用とコーヒー飲料の成分との関係について検討した結果、コーヒー飲料に含まれているヒドロキシヒドロキノンがクロロゲン酸類の血圧降下作用を阻害していることも見出した。 そして、更に検討した結果、コーヒー焙煎豆について特定の熟成処理を施すことによって、焙煎豆中のクロロゲン酸類量を一定範囲に保持しつつ、ヒドロキシヒドロキノン含量を低減させることができることを見出し、本発明を完成した。 即ち本発明は、焙煎したコーヒー豆に40〜150℃の温度条件下で、かつ焙煎温度よりも低い温度で熟成処理を施すコーヒー豆の製造方法である。 【発明の効果】 【0006】 本発明の処理を行ったコーヒー豆を使用すれば、コーヒー抽出液中のクロロゲン酸類量を一定範囲に保持しつつ、血圧降下作用を阻害するヒドロキシヒドロキノン含量が低減し、飲用後の体内での過酸化水素の生成が抑制できるコーヒー抽出液を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0007】 本発明において、コーヒー豆の種類は、特に限定されないが、例えばブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジェロ、マンデリン、ブルーマウンテン等が挙げられる。コーヒー豆種としては、アラビカ種、ロブスタ種などがある。コーヒー豆は1種でもよいし、複数種をブレンドして用いてもよい。 コーヒー豆を焙煎により焙煎コーヒー豆とする方法については、特に制限はなく、焙煎温度、焙煎環境についても制限はないが、好ましい焙煎温度は100〜300℃であり、更に好ましくは150〜250℃、特に好ましくは180〜250℃である。好ましい焙煎方法としては直火式、熱風式、半熱風式があり、回転ドラムを有している形式が更に好ましい。また、風味の観点より焙煎後30分以内に0〜100℃まで、更に好ましくは10〜60℃まで冷却することが好ましい。 【0008】 焙煎コーヒー豆の焙煎度としては、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアン等があり、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティが好ましい。焙煎度を色差計で測定したL値としては、通常10〜30、好ましくは15〜25である。尚、焙煎度の違うコーヒー豆を混合しても良い。 【0009】 本発明は、上記の条件で焙煎した焙煎コーヒー豆(焙煎後、室温まで放冷され、保管されたもの等も含む)について、焙煎温度よりも低い温度条件下の熟成処理を施すことにより、ヒドロキシヒドロキノン含有量を低減するものである。処理温度は40〜150℃、特に好ましくは80〜120℃の温度条件がよい。150℃を超えると有効成分であるクロロゲン酸類が著しく減少するので好ましくない。 【0010】 40〜150℃の温度条件下の熟成処理における処理時間としては、30分以上であれば良いが、低温ではなるべく処理時間を長くすると効果が高く、高温であるほど短時間で効果が得られる。好ましい処理時間を具体的に挙げると、40〜70℃では60日以上、70〜100℃では1日以上、100〜150℃であれば30分以上である。処理時間の上限としては、それぞれ、180日、30日、1日であることが、豆の品質を 良好な状態に保つ点で好ましい。 また、熟成処理は、常圧下、加圧下、減圧下、飽和水蒸気下で行うことも可能であるが、窒素などの不活性ガス下または減圧下において酸素濃度が20vol%以下、好ましくは2vol%以下、より好ましくは0.2vol%以下となる雰囲気で行うことが、風味の点で好ましい。 【0011】 熟成方法としては、焙煎後に室温まで冷却した後の焙煎豆に対して加温する方法や、焙煎後に相当時間をかけて徐冷し、40〜150℃の温度条件に焙煎豆を保持する方法が挙げられる。前者の方法が特定温度条件での熟成処理を制御しやすいので好ましい。 【0012】 また、処理するコーヒー焙煎豆は、未粉砕コーヒー豆であっても、粉砕コーヒー豆であっても良いが、未粉砕コーヒー豆を使用すると風味がよくなるので好ましい。 熟成の装置としては、特に制限はなく、焙煎豆静置型、焙煎豆移送型、焙煎豆攪拌型等の装置が使用でき、具体的には棚式乾燥機、コンベア式乾燥機、回転ドラム型乾燥機、回転V型乾燥機などが使用できる。また焙煎機を使用してもよい。加熱源としては、熱風、遠赤外線、赤外線、マイクロ波、過熱水蒸気などがあげられる。 【0013】 コーヒー豆からの抽出方法についても制限はなく、例えば未粉砕の焙煎コーヒー豆又は粉砕物から水〜熱水(0〜100℃)などの抽出溶媒を用いて10秒〜120分抽出する方法が挙げられる。粉砕度合いは、極細挽き(0.250-0.500mm)、細挽き(0.300-0.650mm)、中細挽き(0.530-1.000mm)、中挽き(0.650-1.500mm)、中粗挽き、粗挽き(0.850-2.100mm)、極粗挽き(1.000-2.500mm)や平均粒径3mmや同5mm、同10mm程度のカット品が挙げられる。抽出方法は、ボイリング式、エスプレッソ式、サイホン式、ドリップ式(ペーパー、ネル等)等が挙げられる。 【0014】 抽出溶媒としては、水、アルコール含有水、ミルク、炭酸水などが挙げられる。抽出溶媒のpHは通常4〜10であり、風味の観点からは5〜7が好ましい。尚、抽出溶媒中にpH調整剤、例えば重炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、L−アルコルビン酸Naを含有させ、pH調整しても良い。 【0015】 抽出器としては、ペーパードリップ、不織布ドリップ、サイフォン、ネルドリップ、エスプレッソマシン、コーヒーマシン、パーコレーター、コーヒープレス、イブリック、ウォータードリップ、ボイリング、コーヒーカップへ実質的に懸架可能なペーパー又は不織布の袋状構造体、上部にスプレーノズル下部に実質的にコーヒー豆の固液分離可能な構造体(メッシュやパンチングメタルなど)を有するドリップ抽出器、上部及び下部に実質的にコーヒー豆の固液分離可能な構造体(メッシュやパンチングメタルなど)を有するカラム抽出器等が挙げられる。抽出器に加熱又は冷却可能な構造(例えば、電気ヒーター、温水や蒸気、冷水が通液可能なジャケット)を有していても良い。 【0016】 抽出方法としてはバッチ式抽出法、半バッチ式抽出法、連続式抽出法が挙げられる。バッチ式抽出法又は半バッチ式抽出法の抽出時間は風味の観点より10秒〜120分が好ましく、更に30秒〜30分が好ましい。 【0017】 得られた抽出液のヒドロキシヒドロキノン含量をさらに低減させるために、抽出液を多孔質吸着体に接触させてもよい。 多孔質吸着体としては細孔半径が0.7ナノメーター(nm)以下の細孔の容量が多孔質吸着体の細孔容量全体に対して10%以上である多孔質吸着体を用いる。好ましくは細孔半径が0.7ナノメーター(nm)以下の細孔の容量が多孔質吸着体の細孔容量全体に対して30%以上、更に50%以上、特に70%以上のものが好ましい。細孔半径が0.7ナノメーター(nm)以下の細孔の容量が多孔質吸着体の細孔容量全体に対して10%未満の多孔質吸着体は、ヒドロキシヒドロキノン除去の選択性が低くなるため好ましくない。ここで、多孔質吸着体の細孔半径及び容量は、細孔半径1ナノメーター(nm)以下域においてはMP法により測定された値であり、細孔半径1ナノメーター(nm)超過域においてはKJH法により測定された値であり、細孔半径が0.7ナノメーター(nm)以下の細孔の容量が多孔質吸着体の細孔容量全体に対して10%であるか否かはMP法及びKJH法により得られた細孔分布曲線から判定することができる。ここで、MP法とは、Colloid and Interface Science, 26,46(1968)に記載された細孔測定方法であり、KJH法とは、J. Amer. Chem. Soc., 73, 373(1951)に記載の細孔測定方法であり、株式会社住化分析センター、株式会社東レリサーチセンターにて測定可能である。 【0018】 多孔質吸着体の種類としては、吸着技術便覧―プロセス・材料・設計―(平成11年1月11日、エヌ・ティー・エス発行、監修者:竹内 雍)に記載されている、炭素質吸着材、シリカ・アルミナ系吸着材、高分子吸着材、キトサン樹脂などが使用できる。コーヒー風味を残存させる観点から、炭素質吸着材が好ましい。 炭素質吸着材としては、ヒドロキシヒドロキノンを高い選択性をもって吸着する観点から、粉末状活性炭、粒状活性炭、活性炭繊維が好ましい。 粉末状及び粒状活性炭の由来原料としては、オガコ、石炭やヤシ殻などがあるが、ヤシ殻由来のヤシ殻活性炭が好ましく、特に、水蒸気などのガスにより賦活した活性炭が好ましい。このような水蒸気賦活活性炭の市販品としては、白鷺WH2c(日本エンバイロケミカルズ株式会社)、太閣CW(二村化学工業株式会社)、クラレコールGL(クラレケミカル株式会社)等を用いることができる。 【0019】 粉末状及び粒状等の多孔質吸着体の粒子径は特に限定されないが、大きすぎると被吸着体との接触面積が小さくなり、吸着速度が遅くなる。小さすぎるとコーヒー抽出液と活性炭との分離に負荷がかかる。以上の点から平均粒径としては50μm以上2mm以下が好ましく、さらに150μm以上400μm以下が好ましい。 【0020】 活性炭繊維としては、ファインガード(東邦レーヨン製)のようなポリアクリロニトリル系、アドール(ユニチカ製)のようなピッチ系、クラクティブ(クラレ製)のようなフェノール系、Kフィルター(東洋紡績製)のようなセルロース系、その他フェノール系や綿花系などが挙げられる。 【0021】 また、多孔質吸着体の形状は特に限定されず、通常の粉体・粒状はもとより吸着体を繊維に練りこんだもの、各多孔質吸着剤同士で成型したもの、セルロース、不織布、バインダーを用い成型したものでも良い。 当該多孔質吸着体の使用量は、原料コーヒー抽出液の固形分に対して10質量%以上、更に10〜200質量%が好ましい。なお、原料コーヒー抽出液の固形分とは、凍結乾燥などにより原料コーヒー抽出液から水分を除去して得られたものを示す。 【0022】 接触処理手段としては、バッチ法又はカラム通液方法が挙げられる。 バッチ法としては、コーヒー抽出液を含む液に、多孔質吸着剤を加え−10〜100℃で0.5分〜5時間撹拌した後、吸着剤を除去すればよい。処理時の雰囲気としては、空気下、不活性ガス下(窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、二酸化炭素)が挙げられるが、風味の観点より不活性ガス下が好ましい。 【0023】 カラム通液法としては、吸着カラム内に吸着剤を充填し、コーヒー抽出液を含む液をカラム下部又は上部から通液させ、他方から排出させる。吸着剤の充填高さL及びD(径)の比L/Dは通常0.1〜10である。吸着剤のカラム内への充填量は、通液前に吸着カラムに充填できる量であれば良い。吸着カラムの上段又は下段の少なくとも1つにメッシュ(網)又はパンチングメタルなど有し実質的に吸着剤が漏れ出さない分離構造体を有していれば良い。分離構造体の開口径は、吸着剤の平均粒径より小さければ良く、好ましくは吸着剤の平均粒径の1/2以下、特に好ましくは1/3以下の目開きが良い。具体的な開口径は、0.1〜1000μmである。コーヒー抽出液を含む液の吸着処理温度は−10℃〜100℃で、風味の観点より0〜40℃が好ましい。吸着カラム内の吸着剤量(K[g])対するコーヒー抽出液を含む液流量(QC[g/分])の滞留時間(K/QC)は0.5〜300分である。 【0024】 本発明方法により製造されたコーヒー豆から得られるコーヒー組成物には、糖成分として、グラニュー糖、上白糖、マルトース、スクラロース等が適宜配合でき、乳成分としては、生乳、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、脱脂乳、部分脱脂乳、練乳等を適宜配合できる。また乳化剤として、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセンリン脂肪酸エステルなどが使用できる。上記乳化剤は、キサンタンガム、カラギーナンなどの多糖類、カゼイン蛋白質と組み合わせることができる。 【0025】 本発明で用いるコーヒー抽出液は、100gあたりコーヒー豆を生豆換算で1g以上使用したものをいう。好ましくはコーヒー豆を2.5g以上使用しているものである。更に好ましくはコーヒー豆を5g以上使用しているものである。 【0026】 このようなコーヒー抽出液は、通常クロロゲン酸類を0.01〜1質量%含有し、かつ該クロロゲン酸類量の約1質量%のヒドロキシヒドロキノンを含有している。ここで、当該クロロゲン酸類としてはモノカフェオイルキナ酸、フェルラキナ酸、ジカフェオイルキナ酸の三種が知られており、クロロゲン酸類の含有量はこれらの合計量で示される。モノカフェオイルキナ酸としては3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。またフェルラキナ酸としては、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び3−フェルラキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。ジカフェオイルキナ酸としては3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。 【0027】 当該クロロゲン酸類の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定することができる。HPLCにおける検出手段としては、UV検出が一般的であるが、CL(化学発光)検出、EC(電気化学)検出、LC−Mass検出等により更に高感度で検出することもできる。 【0028】 当該ヒドロキシヒドロキノン含量は、HPLCにより測定することができる。HPLCにおける検出手段としては、UV検出が一般的であるが、CL検出、EC検出、LC−Mass検出等により更に高感度で検出することもできる。なお、HPLCによるヒドロキシヒドロキノン含量の測定にあたっては、コーヒー溶液を濃縮した後に測定することもできるが、リン酸や塩酸などの添加であらかじめpH3以下に調整するのが好ましい。 【実施例】 【0029】 実施例1 200℃以上で焙煎された焙煎コーヒー豆粉砕品としてコロンビア豆(L値24)中挽きを使用し、大気下で110℃、20時間の熟成処理を実施した。熟成処理はヤマト科学(株)真空定温乾燥機ADP300を使用した。得られた熟成処理豆0.4kgを80メッシュの金網を備えた内径72mmのカラム抽出機(図1)に仕込み、イオン交換水0.25kg(93℃)をカラム抽出機下部から供給した。次いで、カラム抽出機上部からイオン交換水1.02kg(93℃)を供給したのち、供給を停止し、6分間保持した。その後、カラム抽出機上部からイオン交換水(93℃)を供給しながらカラム抽出機下方から抽出液を抜き出し、1.97kgの抽出液を得た。イオン交換水の供給流量および抽出液の抜き出し速度は4.92kg/hで行った。 【0030】 実施例2 実施例1で使用した焙煎コーヒー豆粉砕品と同じものを、大気下で150℃、20時間の熟成処理を実施した。得られた熟成処理豆0.4kgを使用し、実施例1と同様の条件で抽出を行い、抽出液1.97kgを得た。 【0031】 実施例3 実施例1で使用した焙煎コーヒー豆粉砕品と同じものに対して、低酸素下で110℃、20時間の熟成処理を実施した。熟成処理はヤマト科学(株)真空定温乾燥機ADP300を使用し、チャンバー内を窒素で置換した後、−0.08MPaGに減圧した雰囲気下で行った。得られた熟成処理豆を中挽きに粉砕し、実施例1と同様の条件で抽出操作を行い、抽出液1.97kgを得た。 【0032】 比較例1 実施例1で使用した焙煎コーヒー豆粉砕品と同じものを0.4kg使用し、熟成処理を施さず、実施例1と同様の条件で抽出操作を行い、抽出液1.97kgを得た。 【0033】 実施例1〜3及び比較例1のコーヒー抽出液中のクロロゲン酸類およびヒドロキシヒドロキノン量を分析した。クロロゲン酸は分析条件Kで測定し、ヒドロキシヒドロキノンはHPLC−電気化学検出器により測定した。結果を表1に示す。 【0034】 【表1】
【0035】 実施例4 200℃以上で焙煎された焙煎コーヒー豆未粉砕品としてコロンビア豆(L値22)を使用し、低酸素下で110℃、20時間の熟成処理を実施した。熟成処理はヤマト科学(株)真空定温乾燥機ADP300を使用し、チャンバー内を窒素で置換した後、-0.08MPaGに減圧した雰囲気下で行った。得られた熟成処理豆を粉砕し(デロンギ社 KG-100 極粗挽き)、粉砕豆0.04kgに対して10倍量のイオン交換水を使用してコーヒーメーカー(メリタ社 JCM1041)で抽出操作を行った。 【0036】 実施例5 実施例4で使用した焙煎コーヒー豆未粉砕品と同じものを、コーヒーミルにて粉砕し(デロンギ社 KG-100 極粗挽き)、低酸素下で120℃、20時間の熟成処理を実施した。熟成処理はヤマト科学(株)真空定温乾燥機ADP300を使用し、チャンバー内を窒素で置換した後、-0.08MPaGに減圧した雰囲気下で行った。得られた熟成処理豆0.04kgに対して実施例4と同様に抽出操作を行い、抽出液を得た。 【0037】 実施例6 実施例4で使用した焙煎コーヒー豆未粉砕品と同じものを、低酸素下で150℃、0.5時間の熟成処理を実施した。熟成処理はヤマト科学(株)真空定温乾燥機ADP300を使用し、チャンバー内を窒素で置換した後、-0.08MPaGに減圧した雰囲気下で行った。得られた熟成処理豆を粉砕し(デロンギ社 KG-100 極粗挽き)、粉砕豆0.04kgに対して実施例4と同様に抽出操作を行い、抽出液を得た。 【0038】 比較例2 焙煎コーヒー豆未粉砕品としてコロンビア豆(L値22)を、コーヒーミルにて粉砕(デロンギ社 KG-100 極粗挽き)し、粉砕豆0.04kgに対して実施例4と同様に抽出操作を行い、抽出液を得た。 【0039】 実施例4〜6及び比較例2のコーヒー抽出液中のクロロゲン酸類およびヒドロキシヒドロキノン量を分析した。クロロゲン酸は分析条件で測定し、ヒドロキシヒドロキノンはHPLC−電気化学検出器により測定した。結果を表2に示す。 【0040】 【表2】
【0041】 実施例7 実施例1で使用した焙煎コーヒー豆粉砕品と同じものを、低酸素下で40℃、60日間熟成処理を実施した。熟成処理は、焙煎コーヒー豆粉砕品を、窒素で置換した後、-0.08MPaGに減圧したデシケーター内に入れ、これをヤマト科学(株)社製のインキュベーターIC801に入れて行った。得られた熟成処理豆0.04kgに対して10倍量のイオン交換水を使用してコーヒーメーカーで抽出を行い、抽出液を得た。抽出にはメリタ社 JCM1041を使用した。 【0042】 比較例3 実施例1で使用した焙煎コーヒー豆粉砕品と同じもの0.04kgに対して実施例7と同様に抽出を行い、抽出液を得た。 実施例7及び比較例3のコーヒー抽出液中のクロロゲン酸類およびヒドロキシヒドロキノン量を分析した。クロロゲン酸は分析条件Kで測定し、ヒドロキシヒドロキノンはHPLC−電気化学検出器により測定した。結果を表3に示す。 【0043】 【表3】
【0044】 クロロゲン酸類の分析方法:分析条件 容器詰コーヒー飲料又はコーヒー組成物のクロロゲン酸類の分析法は次の通りである。分析機器はHPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通り。UV−VIS検出器:L−2420((株)日立ハイテクノロジーズ)、カラムオーブン:L−2300((株)日立ハイテクノロジーズ)、ポンプ:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ)、オートサンプラー:L−2200((株)日立ハイテクノロジーズ)、カラム:Cadenza CD−C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト(株))。 分析条件は次の通りである。サンプル注入量:10μL、流量:1.0mL/min、UV−VIS検出器設定波長:325nm、カラムオーブン設定温度:35℃、溶離液A:0.05M 酢酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液、溶離液B:アセトニトリル。 【0045】 濃度勾配条件 時間 溶離液A 溶離液B 0.0分 100% 0% 10.0分 100% 0% 15.0分 95% 5% 20.0分 95% 5% 22.0分 92% 8% 50.0分 92% 8% 52.0分 10% 90% 60.0分 10% 90% 60.1分 100% 0% 70.0分 100% 0% 【0046】 HPLCでは、試料1gを精秤後、溶離液Aにて10mLにメスアップし、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過後、分析に供した。 クロロゲン酸類の保持時間(単位:分) (A1)モノカフェオイルキナ酸:5.3、8.8、11.6の計3点(A2)フェルラキナ酸:13.0、19.9、21.0の計3点(A3)ジカフェオイルキナ酸:36.6、37.4、44.2の計3点。ここで求めた9種のクロロゲン酸類の面積値から5−カフェオイルキナ酸を標準物質とし、質量%を求めた。 【0047】 HPLC−電気化学検出器によるヒドロキシヒドロキノンの分析方法 コーヒー飲料のヒドロキシヒドロキノンの分析法は次の通りである。分析機器はHPLC−電気化学検出器(クーロメトリック型)であるクーロアレイシステム(モデル5600A、開発・製造:米国ESA社、輸入・販売:エム・シー・メディカル(株))を使用した。装置の構成ユニットの名称・型番は次の通りである。 アナリティカルセル:モデル5010、クーロアレイオーガナイザー、クーロアレイエレクトロニクスモジュール・ソフトウエア:モデル5600A、溶媒送液モジュール:モデル582、グラジエントミキサー、オートサンプラー:モデル542、パルスダンパー、デガッサー:Degasys Ultimate DU3003、カラムオーブン:505。カラム:CAPCELL PAK C18 AQ 内径4.6mm×長さ250mm 粒子径5μm((株)資生堂)。 【0048】 分析条件は次の通りである。 サンプル注入量:10μL、流量:1.0mL/min、電気化学検出器の印加電圧:0mV、カラムオーブン設定温度:40℃、溶離液A:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液、溶離液B:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、50(V/V)%メタノール溶液。 【0049】 溶離液A及びBの調製には、高速液体クロマトグラフィー用蒸留水(関東化学(株))、高速液体クロマトグラフィー用メタノール(関東化学(株))、リン酸(特級、和光純薬工業(株))、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(60%水溶液、東京化成工業(株))を用いた。 【0050】 濃度勾配条件 時間 溶離液A 溶離液B 0.0分 100% 0% 10.0分 100% 0% 10.1分 0% 100% 20.0分 0% 100% 20.1分 100% 0% 50.0分 100% 0% 【0051】 分析試料の調製は、試料5gを精秤後、0.5(W/V)%リン酸、0.5mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液にて10mLにメスアップし、この溶液について遠心分離を行い上清を得た。この上清について、ボンドエルートSCX(固相充填量:500mg、リザーバ容量:3mL、ジーエルサイエンス(株))に通液し、初通過液約0.5mLを除いて通過液を得た。この通過液について、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過し、速やかに分析に供した。 【0052】 HPLC−電気化学検出器の上記の条件における分析において、ヒドロキシヒドロキノンの保持時間は、6.38分であった。得られたピークの面積値から、ヒドロキシヒドロキノン(和光純薬工業(株))を標準物質とし、質量%を求めた。 【図面の簡単な説明】 【0053】 【図1】図1は実施例でコーヒー抽出液の製造に用いたカラム抽出機を示す図である。 【符号の説明】 【0054】 1 カラム抽出機 1A シャワーノズル 2 熱水供給ライン 3 焙煎粉砕豆分離メッシュ 4 熱水供給ライン 5 抽出液抜き出しライン
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000918 【氏名又は名称】花王株式会社
|
| 【出願日】 |
平成19年7月23日(2007.7.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087642 【弁理士】 【氏名又は名称】古谷 聡
【識別番号】100076680 【弁理士】 【氏名又は名称】溝部 孝彦
【識別番号】100091845 【弁理士】 【氏名又は名称】持田 信二
【識別番号】100098408 【弁理士】 【氏名又は名称】義経 和昌
|
| 【公開番号】 |
特開2008−48728(P2008−48728A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月6日(2008.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願2007−190392(P2007−190392) |
|