| 【発明の名称】 |
茶類抽出物の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】清田 麻衣
【氏名】前川 浩一郎
【氏名】村社 篤
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| 【要約】 |
【課題】苦味および渋味が少なく、茶本来の風味を維持し、強い旨味を有する茶類抽出物を製造する方法を提供する。
【構成】茶類原料の抽出時および/または抽出後に、好ましくは、30〜80℃の温度範囲、10分〜6時間およびpH3.0〜6.5の条件下で、インベルターゼを作用させることを特徴とする、苦味および渋味が少なく、茶本来の風味を維持し、強い旨味を有する茶類抽出物の製造方法、および該製造方法により製造された茶類抽出物並びに該抽出物を添加した飲食物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 茶類原料の抽出時および/または抽出後にインベルターゼを作用させることを特徴とする茶類抽出物の製造方法。 【請求項2】 30〜80℃の温度範囲、10分〜6時間およびpH3.0〜6.5の条件下で、酵素分解抽出処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の茶類抽出物の製造方法。 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載された製造方法により製造された茶類抽出物。 【請求項4】 請求項3に記載の茶類抽出物を添加する事により、苦味および渋味を付与せず、茶本来の風味が増強された飲食物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、インベルターゼを用いることによる、苦味および渋味が少ない茶類抽出物の製造方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 近年、缶やペットボトルなどに充填された緑茶、紅茶、ウーロン茶に代表される茶類飲料は、手軽さや健康志向から消費者の高い支持を得ており、生産量は高い伸びを示している。特に、最近の傾向では、旨味やコク味が強く、渋味や苦味の少ない茶類飲料が好まれている。 【0003】 茶類への酵素を利用した呈味改善に関しては、茶類原料にプロテアーゼを作用させることにより、茶類原料に含まれているタンパク質を加水分解してグルタミン酸等の旨味のもととなるアミノ酸を遊離させて旨味やコク味の強い茶類エキスとする方法が提案されている(特許文献1、同2)。また、茶抽出物にグルタミナーゼを作用させることにより、茶抽出物に含まれているテアニンをグルタミン酸に変換させることで旨味を増加させる方法が提案されている(特許文献3、同4)。また、セルラーゼやペクチナーゼ等の酵素を組み合わせて茶葉を酵素分解抽出処理する方法も提案されている(特許文献5)。 【0004】 【特許文献1】特開2003−144049号公報 【特許文献2】特開2006−61125号公報 【特許文献3】特開2005−124500号公報 【特許文献4】特開2006−42625号公報 【特許文献5】特開2003−210110号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 従来の茶類への酵素を利用した呈味改善については、プロテアーゼによる遊離アミノ酸の増加やグルタミナーゼによるグルタミン酸の増加などのアミノ酸に代表される旨味やコク味に着目したものが多く、苦味や渋味の改善については十分な効果ではなかった。本発明は、苦味および渋味が少ない茶類抽出物を製造する方法を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、茶類原料の抽出時および/または抽出後にインベルターゼを作用させると、苦味および渋味の少ない飲用に適した抽出物が得られることを見出した。 さらに、インベルターゼを作用させることにより得られた茶抽出物を各種飲食物に添加すると、苦味および渋味を付与せず、茶類本来の風味を増強する効果を有することを見出し、本発明を完成した。 【0007】 すなわち、本発明は、インベルターゼを用いて、茶類原料を酵素分解抽出処理することを特徴とする茶類抽出物の製造方法であり、詳しくは、30〜80℃の温度範囲、10分〜6時間およびpH3.0〜6.5の条件下で、酵素分解抽出処理を行うことを特徴とする前記茶類抽出物の製造方法であり、また、前記製造方法により製造された茶類抽出物であり、また、前記茶類抽出物を添加する事により、苦味および渋味を付与せず、茶本来の風味が増強された飲食物である。 【発明の効果】 【0008】 本発明の茶類抽出物の製造方法による茶類抽出物は苦味および渋味を有さず、茶類原料に含まれる蔗糖がブドウ糖および果糖に変換されているため、強い旨味・コク味を有している。したがって、本発明の茶類抽出物を飲食物に添加すると、苦味および渋味を付与せず、茶本来の風味が増強された飲食物を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 以下、本発明をさらに詳細に説明する。 【0010】 (1)茶類原料 本発明に使用する茶類原料とは、ツバキ科茶の樹(Camellia sinensis var.) の芽、葉、茎であり、品種、産地を問わず使用することができ、また、生であっても、飲料用として前処理を施したものであってもよい。 茶の前処理方法としては不発酵、半発酵、後発酵があるが、いずれの処理方法によるものでもよい。不発酵茶としては緑茶(煎茶、玉露、かぶせ茶、番茶、玉緑茶、抹茶、ほうじ茶、釜炒り茶、てん茶等)、半発酵茶としてはウーロン茶、包種茶等、発酵茶としては紅茶、プーアール茶が挙げられる。 また、必要に応じて、副原料として玄米などの穀類や各種植物の葉、茎、根などを加えても良い。 【0011】 (2)酵素反応 本発明に使用するインベルターゼは、蔗糖をブドウ糖および果糖に加水分解する活性を有するものであれば任意のものを使用することが出来る。具体的には、インベルターゼ生産能を有する糸状菌や細菌を定法に従って培養し、得られた培養物を定法により精製したものをあげることができ、市販されているインベルターゼ、例えば、インベルターゼ「三共」(三共社製)、インベルターゼ(ノボノルディスクバイオインダストリー社製)、マキシンヴェルトL10000(日本シイベルヘグナー社製)、スミチーム(登録商標)INV(新日本化学工業社製)などを用いても良い。インベルターゼの使用量は、力価などにより異なるが、例えば、茶類原料の質量を基準として0.01〜1000unit/gの範囲を例示することができる。茶類原料へのインベルターゼの処理は、茶類原料の抽出時または抽出後のいずれであってもよく、茶類原料1質量部に水5〜200質量部を添加して静置条件下や、好ましくは撹拌条件下で、通常は30〜80℃、特に好ましくは40〜60℃の温度範囲で、通常は10分〜6時間、特に好ましくは30分〜2時間の範囲で、通常はpH3.0〜6.5、特に好ましくはpH4.5〜6.0の条件下で作用させる方法を例示することができる。なお、この際に、インベルターゼと共にセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、プロトペクチナーゼ、プロテアーゼ、タンナーゼから選ばれる少なくとも1種の酵素を添加してもよく、さらに、酸化防止剤としてアスコルビン酸またはその塩などを添加してもよい。 【0012】 (3)精製処理 得られた抽出物は、例えば80〜90℃、10〜30分間で酵素を失活させて抽出処理を終了する。本発明の茶類抽出物は、苦味および渋味が少ないので不溶物を除去した後、そのまま飲用あるいは飲食物に添加することができるが、減圧蒸留濃縮、凍結濃縮あるいは膜濃縮などの手段により濃縮して使用することもできる。さらに抽出液を合成吸着剤で精製処理を行うことにより、苦味や渋味がさらに低減された抽出物を得ることもできる。 【0013】 本発明で使用される合成吸着剤としては、その母体がスチレン系ポリマー、例えば「アンバーライト(登録商標)XAD−16」(オルガノ株式会社製)、スチレン−ジビニルベンゼン系ポリマー、例えば「ダイヤイオン(登録商標)HP−20」(三菱化学株式会社製)、アクリル系ポリマー、例えば「ダイヤイオン(登録商標)WK−10」(三菱化学株式会社製)、メタクリル系ポリマー、例えば「ダイヤイオン(登録商標)HP−2MG」(三菱化学株式会社製)、アクリル酸エステル系ポリマー、例えば「アンバーライト(登録商標)XAD−7」(オルガノ株式会社製)、アミド系ポリマー、例えば「アンバーライト(登録商標)XAD−11」(オルガノ株式会社製)、二酸化ケイ素系、例えば「サイロピュート(登録商標)202」(富士シリシア化学株式会社製)、デキストラン系、例えば「セファデックス(登録商標)G−25」(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)、ポリビニル系、例えば「ダイヤイオン(登録商標)FP−II」(三菱化学株式会社製)などが使用できる。 【0014】 また、本発明における合成吸着剤の処理方法は通常行われている方法で行えば良く、例えば、カラムに充填された合成吸着剤に茶類の抽出液を一定流量で送液する方法や、抽出釜に仕込んだ抽出液に合成吸着剤を投入し、一定時間撹拌後に合成吸着剤を分離する方法がある。その方法に格別の制約はなく、目的により選択することができる。 【0015】 (4)製剤化 上記方法で得られた茶類抽出物はそのまま飲用あるいは飲食物に添加できるが、抽出液を凍結乾燥等により粉末化して使用することもできる。さらに、抽出物を以下のように製剤化して使用することもできる。一般的には水、アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、トリエチルシトレート等の(混合)溶剤に適当な濃度で溶解させて(具体的には、水/エタノール、水/エタノール/グリセリン、水/グリセリン等の混合溶剤)液剤とし、またはこれにデキストリン、シュークロース、ペクチン、キチン等を加えることもできる。さらにこれらを濃縮してペースト状の抽出エキスとすることもでき、また、各種成分の溶液に賦形剤(デキストリン等)を添加し噴霧乾燥によりパウダー状にすることも可能であり、用途に応じて種々の剤形を採用することができる。 【0016】 (5)用法 本発明の茶類抽出物は苦味および渋味が少なく、旨味が増強されるので、そのまま飲用に供することができる。また、茶類飲料に添加すれば、茶類飲料の旨味を増強することができる。さらに、茶類飲料以外の飲食物に添加すると、飲食物等に茶の風味とともに旨味を付与することができる。本発明の茶類抽出物は飲食物の加工段階で適宜添加することができ、添加量は茶類抽出物の濃縮の程度により異なるが、一般的には飲食物に対して0.001〜100質量%、好ましくは0.002〜5質量%の添加量(抽出物の固形成分として)が適当である。 【0017】 本発明の茶類抽出物は各種飲食物に特に制限なく使用することができる。例えば、果実類またはその加工品、野菜またはその加工品、魚介類またはその加工品、練製品、調理食品、総菜類、スナック類、珍味類、加工食品、栄養食品、茶飲料およびコーヒー飲料などの嗜好飲料、果汁飲料、炭酸飲料、清涼飲料、機能性飲料、アルコール飲料、アイスクリーム、シャーベット等の冷菓類、ゼリー、プリン、羊かん等のデザート類、クッキー、ケーキ、チョコレート、チューイングガム、饅頭等の菓子類、菓子パン、食パン等のパン類、ジャム類、ラムネ、タブレット、錠菓類などがあげられる。 【0018】 さらに、日本料理のだし、例えば、鰹節、魚介類、昆布、シイタケ、鶏肉、野菜類などのだし汁および和風調味料、または、西洋料理のスープストック、例えば、牛肉、鶏肉、豚肉、魚介類、野菜類などのだし汁および洋風調味料、または、中華料理のタン(湯)、例えば、牛肉、鶏肉、豚肉、魚介類、野菜類などからとったスープおよび中華調味料などがあげられる。 また、本発明の茶類抽出物は、適宜、香味成分あるいは色素を調合し香味および色調を増強することもできる。調合に使用される香味成分あるいは色素には特に制限はなく、公知の香味成分あるいは色素が目的に応じて適宜配合して用いられる。 【0019】 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。 【0020】 〔緑茶抽出物〕 緑茶葉30gに80℃の熱水(イオン交換水)を3000g投入し5分間抽出後、100メッシュの篩いにてろ過し、直ちに50℃以下まで冷却して緑茶抽出物2800gを得た。 【0021】 〔実施例1〕 緑茶抽出物1000gにスミチームINV(新日本化学工業社製)0.01gを添加し、50℃にて1時間酵素処理を行った。酵素処理後、80℃で10分間加熱して酵素を失活させた後、ろ紙ろ過することにより清澄な緑茶抽出物(本発明品1)を得た。 【0022】 〔比較例1〕 緑茶抽出物をろ紙ろ過することにより清澄な緑茶抽出物(比較品1)を得た。 【0023】 〔試験例1〕 実施例1および比較例1で得られたそれぞれの緑茶抽出物(本発明品1および比較品1)について10名の熟練したパネルによる官能評価を行った。評価基準は、苦味、渋味および旨味は比較品1を4点とした場合の7段階相対評価とした。その結果を表1に示す。 【0024】 【表1】
【0025】 以上の結果から、本発明品1は、苦味および渋味が減少し、旨味が増強された緑茶抽出物であることが示された。 【0026】 〔烏龍茶抽出物〕 烏龍茶葉30gに80℃の熱水(イオン交換水)を3000g投入し5分間抽出後、100メッシュの篩いにてろ過し、直ちに50℃以下まで冷却して烏龍茶抽出物2800gを得た。 【0027】 〔実施例2〕 烏龍茶抽出物1000gにスミチームINV(新日本化学工業社製)0.01gを添加し、50℃、pH5.5にて1時間酵素処理を行った。酵素処理後、80℃で10分間加熱して酵素を失活させた後、ろ紙ろ過することにより清澄な烏龍茶抽出物(本発明品2)を得た。 【0028】 〔比較例2〕 烏龍茶抽出物をろ紙ろ過することにより清澄な烏龍茶抽出物(比較品2)を得た。 【0029】 〔試験例2〕 実施例2および比較例2で得られたそれぞれの烏龍茶抽出物(本発明品2および比較品2)について10名の熟練したパネルによる官能評価を行った。評価基準は、苦味、渋味および旨味は比較品2を4点とした場合の7段階相対評価とした。その結果を表2に示す。 【0030】 【表2】
【0031】 以上の結果から、本発明品2は、苦味および渋味が減少し、旨味が増強された烏龍茶抽出物であることが示された。 【0032】 〔紅茶抽出物〕 紅茶葉18gに80℃の熱水(イオン交換水)を3000g投入し5分間抽出後、100メッシュの篩いにてろ過し、直ちに50℃以下まで冷却して紅茶抽出物2800gを得た。 【0033】 〔実施例3〕 紅茶抽出物1000gにスミチームINV(新日本化学工業社製)0.01gを添加し、50℃にて1時間酵素処理を行った。酵素処理後、80℃で10分間加熱して酵素を失活させた後、ろ紙ろ過することにより清澄な紅茶抽出物(本発明品3)を得た。 【0034】 〔比較例3〕 紅茶抽出物をろ紙ろ過することにより清澄な紅茶抽出物(比較品3)を得た。 【0035】 〔試験例3〕 実施例3および比較例3で得られたそれぞれの紅茶抽出物(本発明品3および比較品3)について10名の熟練したパネルによる官能評価を行った。評価基準は、苦味、渋味および旨味は比較品3を4点とした場合の7段階相対評価とした。その結果を表3に示す。 【0036】 【表3】
【0037】 以上の結果から、本発明品3は、苦味および渋味が減少し、旨味が増強された紅茶抽出物であることが示された。 【産業上の利用可能性】 【0038】 本発明の茶類原料の抽出時および/または抽出後にインベルターゼを作用させる製造方法により、苦味および渋味が少なく、旨味が増強された茶類抽出物が得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591011410 【氏名又は名称】小川香料株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年8月9日(2006.8.9) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−35812(P2008−35812A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月21日(2008.2.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−216388(P2006−216388) |
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