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【発明の名称】 経口用組成物
【発明者】 【氏名】武井 拓人

【氏名】伊藤 充

【要約】 【課題】従来問題とされていたカテキンを含有する茶の渋み・えぐみ、こくおよび各種の後味などの苦味を改良した、極めて服用しやすい経口用組成物を提供する。

【構成】0.1〜10重量%のタウリン及び植物由来のカテキンを含有する経口用組成物。本発明の組成物は、特に従来問題とされていたカテキンの大量服用時に感じやすい
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1〜10重量%のタウリン及び植物由来のカテキンを含有する経口用組成物。
【請求項2】
カテキン1重量部に対してタウリンを0.01〜500重量部含む、請求項1に記載の経口用組成物。
【請求項3】
緑茶抽出飲料である、請求項1又は2に記載の経口用組成物。
【請求項4】
穀物抽出飲料である、請求項1又は2に記載の経口用組成物。
【請求項5】
pHが2.5〜7である、請求項3又は4に記載の経口用組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、カテキンが呈する渋み、えぐみに代表される苦味が低減された経口用組成物に関する。また、渋み、えぐみに代表される苦味を呈するカテキンを含有する経口用組成物にタウリンを配合して、当該苦味を低減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
茶は、主に植物の葉、茎、種実などの組織から水や湯で抽出した成分を含む飲食品の総称である。その代表例は、ツバキ科に属し中国南部に起源を持つ、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)という植物の新芽を原材料とした緑茶である。
【0003】
約4000年前に中国皇帝により初めて緑茶の健康的可能性が記録されて以来、茶は薬用として利用されてきた。茶祖と呼ばれる栄西禅師は「養生の仙薬、延命の妙薬」と、茶の薬物としての可能性ないし効能を指摘している。
【0004】
一方、茶は独特のえぐみ、渋み、こく等のいわゆる苦味を有しているが為に、嗜好性に優れる飲料としても重宝されている。また栽培しやすい植物であることもあって、次第にその生産地が広がり、現在では日本、インド、スリランカなどでも栽培されている。生産量は年間約260万tで、その内訳は78%が黒茶、約20%が緑茶、2%ほどがウーロン茶である。
【0005】
前述の通り、茶には多くの効能が言われ伝えられてきている。また、最近は、緑茶のような茶葉抽出物だけではなく、粟やヒエ、黒豆などの穀物をはじめ、植物組織の殆ど全てを対象にした抽出物を含む飲食品も広く茶として扱われるようになり、それぞれの茶飲食品が人の健康維持に有益な効能を有していることも広く知られるようになった。
【0006】
この様な種々の茶の効能に関する科学的研究が盛んに行われた結果、茶の効用の多くがカテキンによるものであることが明らかにされてきた。この研究は同時に、茶の苦味もカテキンが呈するものであることも明らかにした。前述の通り、茶の苦味は嗜好性を決定する要因の一つであるが、同時に茶の服用が避けられる原因ともなっている。
【0007】
特に、より簡便に大量のカテキンを摂取するために、飲料にカテキンを高濃度に配合する技術も開発されてきている(例えば特許文献1、2参照)が、市販の緑茶抽出物の濃縮物をそのまま用いると、緑茶抽出物の濃縮物に含まれる成分の影響によって苦味が強くなり、また喉越しも悪く、カテキンによる有益な生理効果を発現させる上で必要となる長期間の飲用には不適であった。
【0008】
この問題に対して、容器詰飲料に配合する茶抽出物の濃縮物又は精製物中の非重合体カテキンとキナ酸の比率を制御することによって風味を改善する方法が提案されている。(例えば特許文献3参照)。また、カテキンの風味改善として甘味閾値以下のステビアを配合すること(例えば特許文献3参照)、ステビアとアスパルテームとの併用(例えば特許文献4参照)、スクラロースの配合(例えば特許文献5)も提案されている。
【0009】
しかし、いずれもカテキン由来の苦味の低減効果が弱く、特に飲料後の服用感が悪いという問題があった。
【0010】
【特許文献1】特開2002−142677号公報
【特許文献2】特開平8−109178号公報
【特許文献3】特開平10−248501号公報
【特許文献4】特開平10−262600号公報
【特許文献5】特開平10−262601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、茶にそれ自体は無味無臭であるタウリンを配合することにより、カテキンが呈する苦味が低減され、より服用し易い経口用組成物が得られることを見いだし、下記の各発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)0.1〜10重量%のタウリン及び植物由来のカテキンを含有する経口用組成物。
【0013】
(2)カテキン1重量部に対してタウリンを0.01〜500重量部含む、(1)に記載の経口用組成物。
【0014】
(3)緑茶抽出飲料である、(1)又は(2)に記載の経口用組成物。
【0015】
(4)穀物抽出飲料である、(1)又は(2)に記載の経口用組成物。
【0016】
(5)pHが2.5〜7である、(3)又は(4)に記載の経口用組成物。
【発明の効果】
【0017】
本発明の組成物は従来問題とされていた苦みだけではなく、甘味、酸味、辛味、苦味、渋み・えぐみ、こくおよび各種の後味の改良された極めて服用しやすい経口用組成物である。
【0018】
また、カテキンの生理作用、例えば抗酸化作用、抗菌作用、消臭作用、活性酸素消去作用、コレステロール上昇抑制作用、血糖上昇抑制作用、血圧上昇抑制作用、抗腫瘍作用、血小板凝集抑制作用、抗アレルギー作用、紫外線吸収作用を享受するには、カテキンの摂取量を増やすことが重要であるが、カテキンを多量に摂取すること、あるいは濃縮したカテキンを服用することは、同時に苦味をより長く又は強く感じることを意味する。本発明はこのカテキンの大量服用時に感じやすい苦味を低減することができるので、カテキンの大量摂取による恩恵をより容易に享受することを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、茶の各種効能の元であるカテキンが呈する苦味を低減し、カテキンをより服用し易くする手段を提供するものである。
【0020】
カテキンは大きく4種類に分類されるが、一般的には「カテキン」は、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキンおよびエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキンをあわせた総称として理解されている。これらの味はそれぞれ異なるが、いずれも渋みやえぐみなどの苦味を呈する成分である。本発明に言う「カテキン」はこれら苦味を呈する全てのカテキンを指して言うものとする。
【0021】
かかるカテキンは、茶葉等の植物組織から熱水もしくは水溶性有機溶媒により抽出された抽出物、又はこれを濃縮して固体、水溶液、スラリー状の形態としたものを利用してもよく、また抽出物をさらに精製したものであってもよい。また化学合成されたカテキンも利用可能である。なお、茶の抽出液中ではカテキンは非重合体として存在しており、従って、本発明におけるカテキンはこの非重合体も含めて意味するものとする。
【0022】
カテキンを得るための茶葉としては、Camellia属、例えばC.sinensis及びC.assamica、やぶきた種又はそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された煎茶、玉露、てん茶等の発酵茶、総称して烏龍茶と呼ばれる鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の半発酵茶、紅茶と呼ばれるダージリン、アッサム、スリランカ等の発酵茶を挙げることができる。これらの茶葉に対して、例えば40〜140℃、0.1分〜120時間加熱処理して、抽出物を得ることができる。
【0023】
また市販の商品名「ポリフェノン」(三井農林(株)製)、商品名「テアフラン」(伊藤園(株)製)、商品名「サンフェノン」(太陽化学(株)製)などの緑茶抽出物の濃縮物を利用しても良い。
【0024】
なお、カテキンとしては、合成品だけでなく果実や種子等の抽出物由来のカテキンや、果実や種子等をすり潰した果汁由来のカテキンも使用することができる。この様な抽出物又は果汁としては、バラ科、ツバキ科、ブドウ科、シソ科、アカネ科、アオギリ科、タデ科に属する植物の抽出物又は果汁が好ましい。
【0025】
本発明において上記カテキンの苦味を低減する作用を示すタウリン(アミノエチルスルホン酸)は、分子量125.15の単純な化学構造をもつ含硫アミノ酸である。タウリンは化学構造的にはアミノ酸に属するが、タンパク質を構成するアミノ酸とは異なり、ビタミン類やホルモンのような作用、さらには脳神経系、循環系、肝胆系をはじめとして様々な薬理作用を示すことが知られている。この様に、タウリンは生理活性物質として注目され、利用されてきたが、その性状は無色または白色の結晶の粉末で臭いも味もないことから、矯味成分として、また特に嗜好性を形成するほどの強い苦味に対してのマスキング成分としては利用されていない。
【0026】
一般にカテキンの摂取量は、健康成人で一日で非重合カテキンとして50mg〜800mgであり、好ましくは450mg〜650mgとされている。本発明では、カテキン1重量部に対してタウリンを0.01〜500重量部配合して利用することができるが、タウリンの配合比はカテキン1重量部に対して0.3〜7.5重量部、より好ましくは2.2重量部〜6.7重量部とすることが本発明においては好ましい態様である。また組成物全重量当たりで表せば、組成物当たりのタウリンの配合量は0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%とすればよい。
【0027】
なお、植物抽出物に含まれるカテキン(非重合体カテキンとして)の含有量は、茶葉毎あるいは抽出法や精製度によって異なるが、岸らの方法(神奈川県衛生研究所研究報告、2005年、第35号、http://www.eiken.pref.kanagawa.jp/004_chousa/04_reserch/files/35_HTML/no8/no8.htm)に基づいて測定することができる。従って、カテキンを含む植物抽出物を用いて本発明の経口用組成物を調製するには、該抽出物中のカテキンを測定し、その含有量に対して上記の量比のタウリンを配合すればよい。
【0028】
カテキンならびにタウリンはいずれも易水溶性であるが、比較的安定な化合物であることから、本発明における好適な形態は飲料であり、特にpHが2.5〜7、好ましくは4.5〜6.5に調整されている、容器詰の飲料である。
【0029】
pHは適当なpH調節剤を用いて調整すればよい。pH調整剤としては、有機及び無機の食用酸を用いることができる。酸はそれらの非解離形で、あるいはそれらの各塩、例えばリン酸水素カリウム又はナトリウム、リン酸二水素カリウム又はナトリウム塩のような形態で用いてもよい。好ましい酸は、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、リン酸、グルコン酸、酒石酸、アスコルビン酸、酢酸、リン酸又はそれらの混合物を含めた食用有機酸である。また、重炭酸塩等も用いることができる。
【0030】
この様にpHが調整された飲料として本発明にかかる経口用組成物を製造するには、同飲料は容器詰の形態で製造されることが好ましい。容器の種類に特に制限はないが、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶など、いずれの容器も利用することができる。
【0031】
また、本発明の経口用組成物において、特に生理電解質であるナトリウムイオンやカリウムイオンを配合することによって、いわゆるスポーツ飲料やアイソトニック飲料とすることも有益である。ナトリウムイオンやカリウムイオンの他にも、ミネラル類としてカルシウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデンまたは亜鉛等を添加することもできる。
【0032】
さらに、嗜好性を高めるために、適宜甘味料を選択して配合してもよい。例えば、ステビアなどの天然甘味料、アスパルテーム等の人工甘味料類、蔗糖等の炭水化物類、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール等の糖アルコール、グリセリン等のグリセロール類を利用することができる。
【0033】
本発明の経口用組成物の調製に際しては、特別な界面活性剤等の添加物は必須ではないが、必要に応じて他の公知の添加剤、賦形剤その他を加えて適当な剤型へと加工してもよい。例えば液剤であれば、抗酸化剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤、pH調整剤などを混合して常法により、ドライシロップ剤、液剤などの経口物とすることができる。また固形剤であれば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤などを混合して常法により、顆粒剤、散剤、カプセル剤、錠剤などを製造することができる。
【0034】
抗酸化剤としては、例えばビタミンC、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHT)、α−トコフェロール、クエン酸などが挙げられる。
【0035】
着色剤としては、例えばタール色素、酸化チタンなどが挙げられる。
【0036】
界面活性剤としては、例えばポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0037】
また、必要に応じてタウリンあるいはカテキンの他に各種の生理活性成分、例えばビタミン類などを混合することもできる。好ましいビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD及びビタミンEもしくはそれらの各種誘導体を挙げることができる。
【0038】
また、本発明の組成物に嗜好性を持たせるために、各種の香料等を添加しても良い。
【0039】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0040】
市販の緑茶抽出成分の濃縮物(商品名「テアフラン90S」、株式会社伊藤園製)1gとタウリン10gを精製水に溶解して全量を1000mlとし、飲料組成物を得た。pHは重曹を用いてpH6.4に調整した。
【実施例2】
【0041】
市販の緑茶抽出成分の濃縮物(商品名「テアフラン90S」、株式会社伊藤園製)1gとタウリン30gを精製水に溶解して全量を1000mlとし、飲料組成物を得た。pHは重曹を用いてpH6.4に調整した。
【実施例3】
【0042】
緑茶葉10gから60℃の熱水で抽出し、ビタミンC0.2g、適量の重曹およびタウリン10g、さらに市販の緑茶抽出成分の濃縮物(商品名「テアフラン90S」、株式会社伊藤園製)1gを水に溶解し、最終量を1000mlとして、pH6.4の飲料組成物を得た。
【実施例4】
【0043】
緑茶葉10gから60℃の熱水で抽出し、ビタミンC0.2g、適量の重曹およびタウリン30mg、さらに市販の緑茶抽出成分の濃縮物(商品名「テアフラン90S」、株式会社伊藤園製)1gを水に溶解し、最終量を1000mlとして、pH6.4の飲料組成物を得た。
【0044】
<試験例>
実施例1〜4で調製した飲料組成物、ならびに実施例1、3からそれぞれタウリンを除いた組成からなる2種類のコントロ−ル(それぞれコントロール1、コントロール3とする)の風味について、20歳代〜50歳代の健常な成人男性6名からなるパネラーによる調査を行った。
【0045】
実施例1〜6の飲料組成物ならびにコントロール1、3、5をそれぞれ前記パネラーに飲用させた後、各飲料組成物について設定した項目(渋み、青臭さなど)について、「感じない」:5点、「僅かに感じる」:4点、「少し感じる」:3点、「感じる」:2点、「強く感じる」:1点から選択させ、その合計点で判定した。
【0046】
なお、検体の服用はダブルブラインドで行い、パネラーは、中味が解らない状況で検体を服用した。データ解析には、SD法による絶対評価法を用いた。この各飲料についてのスコアを表1に示す。
【0047】
【表1】


【0048】
この様に、タウリンを添加することで、コントロール1、3、5でそれぞれ認められている渋味が著しく改善されることが確認された。

【出願人】 【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
【出願日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【代理人】 【識別番号】100115406
【弁理士】
【氏名又は名称】佐鳥 宗一


【公開番号】 特開2008−22754(P2008−22754A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−197768(P2006−197768)