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【発明の名称】 液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物
【発明者】 【氏名】阿部 秀一

【氏名】宮崎 洋祐

【氏名】新井 基晴

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランス酸含有量が1質量%以下の油脂組成物であって、構成脂肪酸に炭素数4〜10の脂肪酸を4〜50質量%、炭素数16〜18の脂肪酸を50〜96質量%含み、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が10質量%以下で、30℃におけるSFCが5以下、5℃におけるSFCが40以下である、液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物。
【請求項2】
下記のA成分の油脂とB成分の油脂を混合して得られる請求項1記載の液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物。
A成分:構成脂肪酸に炭素数4〜10の脂肪酸を4〜100質量%、炭素数16〜18の脂肪酸を50質量%以下含み、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が5質量%以下である、30℃におけるSFCが5以下の植物由来の油脂。
B成分:構成脂肪酸に炭素数4〜10の脂肪酸を4質量%未満、炭素数16〜18の脂肪酸を65〜100質量%含み、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が25質量%以下である、30℃におけるSFCが5以下の植物由来の油脂。
【請求項3】
A成分の油脂が、パーム核オレイン油、ヤシ油、パーム核油、中鎖トリグリセライド油から選ばれる1種又は2以上であり、B成分の油脂がハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワ−油、ハイオレイックナタネ油、オリーブ油から選ばれる1種又は2以上である請求項2記載の液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化油に含まれるトランス酸の摂取が血中LDLコレステロールを増加するため硬化油の摂取が健康上好ましくないとの報告がなされている。デンマークは2001年より加工食品中のトランス酸含量を2質量%未満にするように法規制されるようになった。アメリカ合衆国では2006年より加工食品中に含まれるトランス酸含量の表記義務化がなされるようになった。
液状コーヒーホワイトナー用油脂として、我が国においては硬化油が使用されているが、トランス酸の摂食量を低減することが好ましいことは言うまでもない。
コーヒーホワイトナーの形態には液状のものと粉末状のものがある。液状のものは水中油型乳化液であり、ポーションパックに充填されているポーションクリームと、瓶に充填されているボトルクリームがある。コーヒーホワイトナーは、コーヒーに添加した際にコーヒー本来の風味を生かしながらコク味、ボリューム感などを与えコーヒーの風味を高めるために使用される。また実際の使用にあたっては、沸点に近い高温のコーヒーから氷温に近い低温のコーヒー抽出液(以下ホットコーヒー及びアイスコーヒーと称する)など、種々の温度の飲料に添加されるため、乳液の凝集やオイルオフを起こさず、良好なコーヒーホワイトナー効果が得られることが必要である。特にポーションタイプのコーヒーホワイトナーの製品としての流通を考えた場合、常温管理されるため長期保管時に風味劣化を起こさない性能、すなわち風味安定性が求められる。また、流通時には、製造メーカーからの輸送温度、小売店頭での保存温度、家庭での保存温度など、消費者が口にするまでの流通段階において様々な温度(1℃〜40℃)に置かれるため、低温から高温に対しての乳化安定性が必要である。
【0003】
コーヒーホワイトナーとしては、乳脂、ラウリン系油脂、植物硬化油などが使用されるが、それぞれ長所及び短所を有する。すなわち、乳脂を用いたものは風味に優れ、コーヒーホワイトナーとして使用した場合、コーヒーの味を損なわずにマイルドにするのに最適である。しかし、低温時の結晶生成量が多いことから冷蔵保存時における乳化状態が不安定である。また、乳脂には天然物由来ではあるが、4〜5質量%のトランス酸を有する。たとえ天然物由来であってもトランス酸の摂取は好ましくないと考えられる。
【0004】
ヤシ油、パーム核油などのラウリン系油脂は、乳脂と同様に低温時の結晶生成量が多く、やはり冷蔵時の乳化状態が不安定である。乳化安定性向上のためにラウリン系油脂の分別液体部を使用する方法が公開されている(特許文献1)。
しかし、この分別油脂を用いて作ったコーヒーホワイトナーは、ボリューム感が足りなく、コーヒーのエグ味、酸味を直接的に感じやすく、コーヒーの味をマイルドにする効果において十分ではない。
【0005】
そこで、コーヒーホワイトナー用油脂として現在、一般的に広く用いられている油脂は植物液体油を硬化した融点17℃〜30℃、トランス酸含有量20〜40質量%程度の植物硬化油である。ナタネ硬化油、コーン硬化油などが使用される。植物硬化油を使用したコーヒーホワイトナーは、口どけ感、長期保管時の風味安定性に優れており、低温時での結晶生成量が少ないことから乳化安定性も優れている。また、乳化安定性をより向上させるため、これにエステル交換によって得られる炭素数2〜10の脂肪酸と炭素数14以上の脂肪酸からなる特定構造短中鎖結合トリグリセリドを2〜5重量%含有させる方法も公開されている(特許文献2)。 しかし、このような植物硬化油を使用したコーヒーホワイトナーでは、乳脂やラウリン系油脂の持つコク味は得られない。さらに、硬化油の使用は、油脂組成物中に多量のトランス酸を含有させることになる。
【特許文献1】特開2005−204653号公報
【特許文献2】特開平7−79698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はトランス酸含有量の少ない油脂からなる液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物に関し、コク味、ボリューム感、口どけ感に優れ、油っぽさ、青臭さのようなコーヒーの風味を低下させる油の味を感じることなく、そして製造されるコーヒーホワイトナーの低温保存時の乳化安定性に優れる液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、次の(1)〜(3)である。
(1)トランス酸含有量が1質量%以下の油脂組成物であって、構成脂肪酸に炭素数4〜10の脂肪酸を4〜50質量%、炭素数16〜18の脂肪酸を50〜96質量%含み、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が10質量%以下で、30℃におけるSFCが5以下、5℃におけるSFCが40以下である、液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物。
(2)下記のA成分の油脂とB成分の油脂を混合して得られる前記(1)の液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物。
A成分:構成脂肪酸に炭素数4〜10の脂肪酸を4〜100質量%、炭素数16〜18の脂肪酸を50質量%以下含み、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が5質量%以下である、30℃におけるSFCが5以下の植物由来の油脂。
B成分:構成脂肪酸に炭素数4〜10の脂肪酸を4質量%未満、炭素数16〜18の脂肪酸を65〜100質量%含み、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が25質量%以下である、30℃におけるSFCが5以下の植物由来の油脂。
(3) A成分の油脂が、パーム核オレイン油、ヤシ油、パーム核油、中鎖トリグリセライド油から選ばれる1種又は2以上であり、B成分の油脂がハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワ−油、ハイオレイックナタネ油、オリーブ油から選ばれる1種又は2以上である前記(2)の液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、トランス酸含有量の少ない油脂からなる液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物が提供される。本発明の油脂組成物を使用する液状コーヒーホワイトナーはコク味、ボリューム感、口どけ感に優れ、油っぽさ、青臭さのようなコーヒーの風味を低下させる油の味を感じることなく、製造されるコーヒーホワイトナーの低温保存時の乳化安定性に優れる。さらに、本発明の油脂組成物は酸化防止剤の使用量が少なくても安定である。したがって、酸化防止剤の使用による液状コーヒーホワイトナーの風味の劣化は問題とはならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
コーヒーホワイトナーは、コーヒーに配合し、そのエグ味、酸味をマイルドにし、風味を豊かにするものである。
発明者らは市販されている油脂をコーヒーに配合してその風味を検討し、コーヒーホワイトナー油脂組成物の風味が、コク味、ボリューム感、油っぽさ、口どけ感の観点により評価でき、そのいずれもが良好であるとき、コーヒーホワイトナーの風味が良好となることを見出した。 ここで、コク味とは味の濃淡を意味し、コク味があるとコーヒーの味が深まる。
ボリューム感とは油の持つ量感であり、ボリューム感があるとコーヒーのエグ味、酸味を抑え、味をマイルドにする。
油っぽさ、青臭さ(油っぽさとまとめて記載することもある。)とは油本来の食味にかかわり、このような風味はコーヒーの味を損ねるものである。
口どけ感とは、飲食後の油の後味にかかわり、口どけ感が悪いと飲食後において後味が悪くなる。
そして、本発明の油脂組成物を使用したコーヒーホワイトナー、コク味、ボリューム感、油っぽさ、口どけ感のいずれの点において優れており、さらに、低温保存時における乳化安定性が良好であることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
本発明は、構成脂肪酸に炭素数4〜10の脂肪酸を4〜50質量%、炭素数16〜18の脂肪酸を50〜96質量%含み、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸含有量が10質量%以下で、30℃におけるSFCが5以下、5℃におけるSFCが40以下である、植物由来の油脂からなる液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物である。
【0011】
(構成脂肪酸)
本発明において、構成脂肪酸中に炭素数4〜10の脂肪酸が4質量%未満含む油脂組成物を使用すると、コーヒーホワイトナーに使用する際にコク味がなくなりやすい。コク味、ボリューム感を強く感じるようにするには構成脂肪酸中に炭素数4〜10の脂肪酸が4〜10質量%を含む油脂を使用することがより好ましい。炭素数4〜10の脂肪酸としては、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸が挙げられる。炭素数4〜10の脂肪酸は、まれに喉の奥でのイガらっぽく感じることがあり、コーヒーの風味を損ねる原因となることもある。炭素数4〜10の脂肪酸を10質量%を超えて含むと、この傾向が強くなりやすい。
【0012】
本発明において、構成脂肪酸中に炭素数16〜18の脂肪酸を50質量%未満含む油脂を使用すると、味にボリューム感がなくなりやすく、96質量%を超えて使用するとコク味がなくなりやすい。構成脂肪酸中に炭素数16〜18の脂肪酸が50〜70質量%含む油脂を使用することがより好ましい。
ここで、炭素数16〜18の脂肪酸としては、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が挙げられる。炭素数16〜18の脂肪酸としてはパルミトオレイン酸、オレイン酸の使用が好ましい。パルミチン酸、ステアリン酸を多く含むと、口どけが悪くなりやすい。リノール酸、リノレン酸を多く含むと、油っぽさ、青臭さが感じられ風味において好ましくない。
本発明の油脂組成物は、構成脂肪酸に、炭素数4〜10の脂肪酸、炭素数16〜18の脂肪酸を上記の範囲で含むが、他に、構成脂肪酸として、含むことのできる脂肪酸として、ラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、エイコセン酸、ベヘン酸、エルシン酸が挙げられる。
【0013】
本発明において、構成脂肪酸中に分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸を10質量%を超えて含む油脂を使用すると、油っぽさを感じやすくなる。
ここで、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の具体例としてはリノール酸、リノレン酸が挙げられる。
【0014】
(SFC)
本発明に使用する油脂組成物は、30℃におけるSFCが5以下、5℃におけるSFCが40以下である油脂組成物である。30℃におけるSFCが5を超えると口どけが悪くなりやすく、5℃におけるSFCが40を超えるとコーヒーホワイトナーの低温時の乳化安定が悪くなりやすい。 さらに、5℃におけるSFCは20以上が好ましく、30以上であることがさらに好ましい。SFCは、油脂中の脂肪酸種の異なるトリグリセライドの組成分布の指標ともなる。5℃におけるSFCが高いとき、炭素数12から18の飽和脂肪酸からなるトリグリセライドの量が多く、一方で炭素数4から10の飽和脂肪酸からなるトリグリセライドの量が少なくなる。
本発明において、5℃におけるSFCが20以上になると、味のコク味を増すことができ、30以上になると、味のコク味、ボリューム感を増すことができる。
ここで、SFCとは固体脂指数のことを表し、油脂組成物中に含まれる各温度での固体脂の割合を表す。SFCは、以下の方法(基準油脂分析試験法2.2.9、固体脂含量(NMR法))で測定したものである。その概要を以下に説明する。
SFC測定時のサンプル調整法は、試料を70℃の恒温槽で加熱し、均一に試験管に入れ、ゴム栓をする。試験管に詰めた試料および対照試料(オリーブ油)を、60℃に30分間テンパリング後、それぞれの試料のNMRシグナルを測定する。これらの試料を、0℃で30分間保持し、さらに25℃で30間保持する。再び0℃にして30間テンパリングを行った後、5℃又は30℃の測定温度で30分間テンパリングし、それぞれの試料のNMRシグナルを測定する。
【0015】
(油脂組成物の製造)
本発明の油脂組成物に使用する油脂は植物由来の油脂である。牛脂、豚脂などの動物由来の油脂を使用した場合、天然由来のトランス酸を4〜5質量%含むこともあり、口どけが悪くなりやすく好ましくない。けもの由来の風味を有することもあり、コーヒーホワイトナーの風味として好ましくないことがある。
植物由来の油脂としては、天然の植物やその種から抽出された油脂、その精製油、分別油脂、エステル交換油脂が挙げられる。また、植物由来の油脂を原料に使用した構成脂肪酸が炭素数8〜12の中鎖トリグリセライド油も含まれる。
分別油脂とは、油脂を乾式分別、溶剤分別、乳化分別などの方法により、1つの油脂から高融点部と低融点部に分けられた油脂のことである。エステル交換油脂とは、化学触媒あるいは酵素触媒を用いて、グリセリン骨格に結合している脂肪酸を相互変換させることにより得られる油脂のことである。分別油脂、エステル交換油脂いずれにおいても、原料として植物由来の天然油脂を用いることにより、実質的にトランス酸を含まない油脂を得ることができる。
これらの油脂において、トランス酸含有量は1質量%未満であり、健康上摂取することが好ましくないトランス酸の摂取を避けることができる。同様に、硬化油脂の使用はトランス酸を20〜40質量%含むので、好ましくない。
【0016】
本発明に使用する油脂組成物は、例えば、植物由来油脂を構成脂肪酸に炭素数4〜10の脂肪酸を4〜50質量%、炭素数16〜18の脂肪酸を50〜96質量%含むように、そして、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が10質量%以下となるように配合し、30℃におけるSFCが5以下、5℃におけるSFCが40以下となるようにエステル交換して製造することができる。例えば、本発明のコーヒーホワイトナー用油脂組成物として、パーム核オレイン油50〜70質量%とハイオレイックナタネ油50〜30質量%、パーム核オレイン油50〜70質量%とハイオレイックヒマワリ油50〜30質量%、パーム核オレイン油50〜70質量%とオリーブ油50〜30質量%、あるいは植物油由来中鎖トリグリセライド油4〜40質量%とオリーブ油96〜60質量%のエステル交換油脂が挙げられる。
【0017】
また、油脂を混合して製造することもできる。
例えば、以下のA成分とB成分との油脂を混合すると、その混合比率が広範囲において、本願発明のコーヒーホワイトナー用油脂組成物を調製することができる。
A成分の油脂は、炭素数4〜10の脂肪酸を4〜100質量%、炭素数16〜18の脂肪酸を50質量%以下含み、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が5質量%未満である、30℃におけるSFCが5以下の植物由来の油脂である。
A成分の油脂は、天然界ではヤシ、パーム、パーム核から抽出される油脂が挙げられ、その分別油脂、エステル交換油脂も含まれる。具体的には、パーム核オレイン油、ヤシ油、パーム核油、構成脂肪酸が炭素数8〜12の中鎖トリグリセライド油が挙げられる。 これらの油脂において、その構成脂肪酸として炭素数4〜10の脂肪酸を4〜10質量%以下含む油脂の使用が好ましい。これらの油脂を使用すると、コク味のあるコーヒーホワイトナーを製造できる。
【0018】
B成分の油脂は炭素数4〜10の脂肪酸を4質量%未満、炭素数16〜18の脂肪酸を65〜100質量%含み、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が25質量%以下である、30℃におけるSFCが5以下の植物由来の油脂である。
B成分の油脂は、オリーブ果実、ヒマワリ種子、ナタネ種子、ベニバナ種子から抽出される油脂が挙げられ、その分別油脂、エステル交換油脂も含まれる。具体的には、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワ−油、ハイオレイックナタネ油、オリーブ油などを挙げることができる。これらの油脂において、その構成脂肪酸としてオレイン酸を65〜90質量%含む油脂の使用が好ましい。オレイン酸を多く含むことにより、口どけを悪くすることなく、ボリューム感が得られ、油っぽくなるのを避けることができる。
【0019】
本発明のコーヒーホワイトナー用油脂組成物は、その組成にもよるが、A成分を4〜70質量%とB成分を30〜96質量%を混合することにより製造することができる。
例えば、本発明のコーヒーホワイトナー用油脂組成物として、パーム核オレイン油(A成分)50〜70質量%とハイオレイックナタネ油(B成分)50〜30質量%、パーム核オレイン油50〜70質量%(A成分)とハイオレイックヒマワリ油50〜30質量%(B成分)、パーム核オレイン油(A成分)50〜70質量%とオリーブ油(B成分)50〜30質量%、植物油由来中鎖トリグリセライド油(A成分)4〜50質量%とオリーブ油(B成分)96〜50質量%の混合による油脂組成物を挙げることができる。さらに好ましくは、パーム核オレイン油(A成分)60〜70質量%とハイオレイックナタネ油(B成分)40〜30質量%、パーム核オレイン油60〜70質量%(A成分)とハイオレイックヒマワリ油40〜30質量%(B成分)、パーム核オレイン油(A成分)60〜70質量%とオリーブ油(B成分)40〜30質量%、植物油由来中鎖トリグリセライド油(A成分)4〜40質量%とオリーブ油(B成分)96〜60質量%の混合による油脂組成物を挙げることができる。
【0020】
本発明のコーヒーホワイトナー用油脂組成物を用いて、コーヒーホワイトナーは例えば以下のように調製される。
水相部に水と脱脂粉乳と乳化剤、油相部に油脂組成物と乳化剤を各々配合したのち、プロペラ攪拌にて予備乳化を行ったのち、ホモジナイザーにて均一化して調製することができる。
本発明のコーヒーホワイトナー用油脂組成物には、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、ビタミンE;ビタミンC;ローズマリー抽出物、茶抽出物、コケモモ抽出物等のポリフェノール系天然抽出物を挙げることができる。酸化防止剤の添加総量は500〜5000ppmであることが好ましい。本発明の油脂組成物を使用したコーヒーホワイトナーは、酸化防止剤の使用量が少なくても安定である。したがって、酸化防止剤の使用による風味の劣化が問題とはならず、コーヒーホワイトナーを調整できる。
【実施例】
【0021】
以下に実施例等にて本発明を更に詳しく説明する。
【0022】
以下、実施等において、油脂の脂肪酸組成、SFC(30℃、5℃)、トランス酸含有量は以下のように測定した。
〔脂肪酸組成〕
基準油脂分析試験法(暫15−2003)に準じて脂肪酸組成を測定した。ガスクロカラムとしては、カラムDB−WAXを使用し、ガスクロマトグラフィー装置(Agilent社製、6850型)で測定した。
〔SFC〕
基準油脂分析試験法 2.2.9 固体脂含量(NMR法)に準じて測定した。NMR装置として、 PRAXIS MODEL SFC−900Aを使用した。
〔トランス酸含有量〕
AOCS法 1f−96に準じて測定した。
【0023】
コーヒーホワイトナーは以下のように調整し、風味、耐冷凍性を評価した。
〔コーヒーホワイトナーの調製〕
参考例の油脂を用い、以下の通り液状コーヒーホワイトナーを調製した。すなわち、油脂組成物360gを70℃に加熱溶解しておき、これにエマルジーMS(理研ビタミン製)を4gを溶解する。これに、脱脂粉乳20g、カゼインソーダ30g、SYグリスターMS5S(坂本薬品工業製)5g、第2リン酸ナトリウム3gに水を加えた水相成分636gを65℃に加熱したものを徐々に加えてプロペラ攪拌により予備乳化した。これによって得られた予備乳化液を、ホモジナイザーを用いて10MPaの加圧によって均質化した。その後、加熱滅菌機によって、140℃、4秒間の直接滅菌を行った後、冷却後、1夜5℃でエージングして、液状コーヒーホワイトナーを得た。
【0024】
〔風味評価〕
5%濃度のインスタントコーヒー(80℃)、150mlに、上記液状コーヒーホワイトナーを5g添加、スプーン攪拌後、訓練された10人のパネラーが試飲して風味評価を行った。風味評価は、各項目につき3点法(コク味、ボリューム感、口どけ:良好3点、やや良好2点、不良1点、油っぽさ、青臭さ:感じられない3点、ほとんど感じられない2点、感じられる1点)で採点した。10人の平均点が2.5点以上を○、2.5未満から1.5以上を△、1.5未満を×とした。コク味、ボリューム感についてはさらに2.8点以上を◎とした。
【0025】
〔冷凍耐性試験〕
冷凍耐性試験として、液状コーヒーホワイトナーを200gを規格瓶にとり、−18℃で5時間、30℃で2時間、5℃で一晩放置したのち、B型回転粘度計にて回転粘度を測定した。評価は回転粘度が0.5Pa・s未満のものを○、0.5Pa・s以上〜9Pa・
s未満のものを△、9Pa・s以上を×とした。
【0026】
参考例1〜12
市販の天然油脂を使用してコーヒーホワイトナーの調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】


【0028】
表1の結果より、コーヒーホワイトナーにおける油脂組成物の風味が、コク味、ボリューム感、油っぽさ、口どけ感の観点により評価できることがわかった。
コーヒーに馴染みのよい油脂として使用される乳脂は、コク味、ボリューム感、油っぽさ、口どけ感において良好であった。しかし、冷凍耐性においては、問題があることがわかった。
硬化油脂の使用は、ボリューム感、口どけ感において良好であり、油っぽさがないが、コク味に劣ることがわかる。冷凍耐性は良好であった。
参考例での植物油脂については、いずれの油脂も風味に問題があった。
炭素数4〜10の脂肪酸を多く含む油脂(パーム核オレイン酸油、ヤシ油、パーム核油、炭素数8と10の脂肪酸からなる脂肪酸中鎖トリグリセライドにおいて、風味に乳脂にコク味が感じられるが、ボリューム感が感じられないことがわかる。炭素数16〜18の脂肪酸を多く含む油脂(パーム油、コーン油、米油、ナタネ油、ハイオレイックナタネ油、オリーブ油)においては、ボリューム感が感じられるがコク味が感じられないこと、多価不飽和脂肪酸量が多いと油っぽさ(青くささ)を感じることがわかった。
【0029】
実施例1〜12及び比較例1〜18
参考例の結果より、コク味がある油脂(パーム核オレイン酸油)と、ボリューム感がある油脂(ナタネ油、コーン油、ハイオレイックナタネ油、オリーブ油)を表2〜5に示す組成比で混合(実施例1〜3、5〜8、比較例1〜16)及びエステル交換(実施4、9)した油脂組成物を製造し、コーヒーホワイトナーを調製した。
さらに、コク味がある油脂(炭素数8と10の脂肪酸からなる脂肪酸中鎖トリグリセライド油、MCTと略する。)と、ボリューム感がある油脂(オリーブ油)を表6に示す組成比で混合(実施例10〜12、比較例17、18)した油脂組成物を製造し、コーヒーホワイトナーを調製した。
結果を表2〜6に示す。
【0030】
【表2】


【0031】
【表3】


【0032】
【表4】


【0033】
【表5】


【0034】
【表6】


パーム核オレイン酸油に、ナタネ油、コーン油を混合した油脂組成物では、いずれも、風味及び冷凍耐性の良好なコーヒーホワイトナーの調製することはできなかった(表2及び3)。
パーム核オレイン酸油にハイオレイックナタネ油、オリーブ油を混合した組成物においては、パーム核オレイン/ハイオレイックナタネ油(質量比)が70/30〜60/40、パーム核オレイン/オリーブ油(質量比)が70/30〜60/40において、風味及び冷凍耐性の良好なコーヒーホワイトナーを調製できることがわかった(表4及び5)。
MCT/オリーブ油(質量比)が40/60〜5/95において、風味及び冷凍耐性の良好なコーヒーホワイトナーを調製できることがわかった。
【0035】
本発明のコーヒーホワイトナー用油脂組成物は、構成脂肪酸に炭素数4〜10の脂肪酸を4〜50質量%、炭素数16〜18の脂肪酸を50〜96質量%以下含み、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が10質量%以下で、30℃におけるSFCが5以下、5℃におけるSFCが35以下である、液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物である。表2〜6の結果より、本発明のコーヒーホワイトナー用油脂組成物を使用すると、風味及び冷凍耐性の良好なコーヒーホワイトナーを調製できることがわかった。
【0036】
また、本発明のA成分の油脂は、炭素数4〜10の脂肪酸を4〜100質量%以下、炭素数16〜18の脂肪酸を50質量%以下含み、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が5質量%以下である、30℃におけるSFCが5以下の植物由来の油脂である。B成分の油脂は炭素数4〜10の脂肪酸を5質量%未満、炭素数16〜18の脂肪酸を65〜100質量%含み、分子内に二重結合を2以上含む多価不飽和脂肪酸の含有量が25質量%以下である、30℃におけるSFCが5以下の植物由来の油脂である。
ここで、パーム核オレイン酸油、中鎖トリグリセライド油は本発明のA成分の油脂であり、ハイオレイックナタネ油、オリーブ油はB成分の油脂である。表4〜6の結果より、A成分の油脂とB成分の油脂を混合し、本発明のコーヒーホワイトナー用油脂組成物を製造し、これを使用すると、風味及び冷凍耐性の良好なコーヒーホワイトナーを調製できることがわかった。
【0037】
実施例13
実施例1のコーヒーホワイトナー用油脂組成物に、酸化防止剤であるビタミンE(エーザイ製 エーミックスD)及びビタミンC(日本ロシュ製)を表7に示す量を添加し、風味安定性試験を行った。油脂組成物に酸化防止剤を添加したのち、実施例1と同様にコーヒーホワイトナーを調製し、5gづつコーヒーポーションに封入し、25℃で長期保管試験を行った。調製直後及び120日後に風味を確認した。
風味の評価は実施例1と同様である。結果を表7に示す。
【0038】
【表7】


【0039】
本発明のコーヒーホワイトナー用油脂組成物に酸化防止剤を添加しても、風味が劣化することはなく、また、この量の酸化防止剤の使用量で120日後においても風味は良好であった。
したがって、本発明のコーヒーホワイトナー用油脂組成物は、風味を劣化させることなく、少量の酸化防止剤の使用で安定であることがわかった。
【出願人】 【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
【出願日】 平成18年12月28日(2006.12.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−127(P2008−127A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−353730(P2006−353730)