| 【発明の名称】 |
ファットスプレッド |
| 【発明者】 |
【氏名】北野 高寛
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| 【要約】 |
【課題】
【構成】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱不可逆性ゲル化剤を水相に含有し、水相のゲル強度が5℃において12〜100N/m2であることを特徴とするファットスプレッド。 【請求項2】 ロールイン用である請求項1記載のファットスプレッド。 【請求項3】 請求項1〜2記載のファットスプレッドを用いた層状小麦粉膨化食品。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、油中水型油脂組成物に関し、さらに詳しくは、主にパイ、デニッシュペーストリーなどの層状小麦粉膨化食品の製造に用いられるペーストリー用ファットスプレッドに関するものである。 【背景技術】 【0002】 近年、食生活の多様化、高度化とともに、健康に対する意識が高まり、低脂肪を謳った食品が数多く出回っている。バターの代用品として広く普及しているマーガリンも、油脂含有率が80%以上のものが主流であったが、最近は油脂含有率80%未満のファットスプレッドの需要が伸びている。 【0003】 また、これらバター、マーガリン、ファットスプレッドをシート状に成型し折り込み油脂として使用した、様々なパイ、デニッシュペーストリーなどの層状小麦粉膨化食品が売り出されている。これらの多くは、折り込み油脂の配合量が多いため、市場からは低カロリーなパイ、デニッシュペーストリーなどの層状小麦粉膨化食品が求められている。 【0004】 しかし、ファットスプレッドを折り込み油脂として用いると油脂含有率が低いため、展延、伸展性が悪く、特にパイ、デニッシュペーストリーなどの層状小麦粉膨化食品の製造に用いると、油脂含有率が80%以上であるマーガリンを用いたものと比較すると、浮き、ボリュームが低下し、ベーカリー製品としての外観、品質を損なうため、製菓、製パンメーカー各社から改善が要求されている。 【0005】 油脂含有率の低いファットスプレッドの品質の安定を目的に、水相に変性熱硬化性タンパク質としてホエータンパク質、卵アルブミン、大豆タンパク質等を使用するファットスプレッド(特許文献1)に関する記載があるが、熱硬化性タンパク質を多量に使用することが必要で、従来のマーガリンと風味が大きく異なるという問題がある。 【0006】 パイ、デニッシュペーストリーなどの層状小麦粉膨化食品の浮きの改善策として、エタノールを含有するロールイン用油中水型乳化油脂組成物(特許文献2)、SFC(固体脂含量)が特定範囲にある油相とモノグリセリド有機酸エステルを一定量含有するロールイン用油脂組成物(特許文献3)、シア脂から抽出したガム質を有効成分とするパフ性改良剤(特許文献3)等が提案されているが、これらの効果は低油分、高水分含量のファットスプレッドでは十分に発揮できない。 【0007】 また低脂肪ペーストリー用ファットスプレッドの物性改善策として、水相にデキストリンを添加し、折り込み油脂として良好な展延性を得る方法(特許文献5、6)が提案されているが、いずれもデキストリンの添加量がファットスプレッド中に5重量%以上と多量のデキストリンを必要としており、得られるパイ、デニッシュペーストリーなどの層状小麦粉膨化食品の風味が異なるという問題がある。 【0008】 【特許文献1】特開平2−190145号公報 【特許文献2】特開平10−229820号公報 【特許文献3】特開2000−253816号公報 【特許文献4】特開2003−136号公報 【特許文献5】特開平4−258242号公報 【特許文献6】特開2004−8147号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 従って、本発明の目的は、浮きの良い、パイ、デニッシュペーストリーなどの層状小麦粉膨化食品を製造することのできる、ペーストリー用ファットスプレッドを提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明者は、上記目的について鋭意研究の結果、意外にも熱不可逆性ゲル化剤を水相のゲル強度を上げすぎない程度の添加量使用したファットスプレッドを用いることで、パイ、デニッシュペーストリーなどの層状小麦粉膨化食品の浮きが改善されるという知見を見出し、本発明を完成するに至った。 【0011】 すなわち本発明は、熱不可逆性ゲル化剤を水相に含有し、水相のゲル強度が5℃において12〜100N/m2であることを特徴とするファットスプレッドを提供するものである。また、ロールイン用である上記ファットスプレッドである。また、上記ファットスプレッドを用いた層状小麦粉膨化食品である。 【発明の効果】 【0012】 本発明の低脂肪ペーストリー用ファットスプレッドを利用することで、従来よりも浮きの良い低カロリーなパイ、デニッシュペーストリーなどの層状小麦粉膨化食品を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 本発明で用いる熱不可逆性ゲル化剤とは、ファットスプレッドを折り込んだパイ、デニッシュペーストリーなどの層状小麦粉膨化食品の生地を焼成した際にゲル化剤が溶融しないものでなければならず、これを満足するものであれば特に制限なく用いることができ、具体的にはカードラン、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸及びその塩などの多糖類が挙げられ、特に好適なものとしてアルギン酸塩にアルカリ土類金属塩を加えたものを例示することができる。 ゲル化剤の添加量は、ゲル化剤の種類により異なるが、水相のゲル強度が12〜100N/m2になるように適宜調整し、例えばアルギン酸ナトリウムの場合には、水相に対する比率が0.2〜1.5重量%の範囲、ジェランガムの場合には0.01〜1.0重量%の範囲が適当である。 【0014】 水相のゲル強度は5℃において12〜100N/m2であり、好ましくは14〜70N/m2の範囲が適するが、本発明のファットスプレッドそのものの水相のゲル強度を測定することは不可能なので、水相のゲル強度はファットスプレッドの調製に先立って、適宜測定する。 水相の調製方法は、水にゲル化剤を分散、溶解後、水相の温度を80℃まで加熱し、ゲル化剤を完全に水相に溶解させた後、直径8cm、深さ4cmの円筒容器に180gサンプリングし、5℃で一晩冷却したものを、ゲル強度測定用サンプルとする。 測定にはクリープメータ(株式会社山電製)を用い、測定条件は、ロードセルは20N、プランジャーは直径40mm円板状、測定スピードは10mm/秒、測定歪率は70%で行ない、破断強度解析による最大強度をゲル強度とする。 水相のゲル強度が12N/m2未満ではファットスプレッドの可塑性、展延性を改善する効果が少なく、100N/m2を超えると、逆に硬すぎて、ファットスプレッドとして可塑性、展延性に欠ける物性となり、パイ、デニッシュペーストリーなどの層状小麦粉膨化食品の浮きを改善する効果は得られにくくなる。この中でも、水相のゲル強度が14〜70N/m2の範囲において、ファットスプレッドを小麦粉生地に折り込む際の良好な作業性が得られ、パイ、デニッシュペーストリーなどの層状小麦粉膨化食品の浮きを改善する効果が最も発揮される。 【0015】 本発明におけるファットスプレッドとは、JAS規格の分類における油脂含有率80%未満のものであるが、油脂含有率が80〜70%では通常の油脂含有率80%以上のマーガリンと物性的な差異は少なく、本発明による物性の改善効果は薄い。また、油脂含有率の下限値は規格化されておらず、特に限定されないが、油脂含有率40%未満では安定した油中水型乳化物を得るのが難しく、ペーストリー用途のファットスプレッドに適さない。本発明に好適な油脂含有率は40〜70%、より好ましくは油脂含有率60%のファットスプレッドにおいて最も効果が発揮される。 【0016】 本発明に用いられる油脂は、例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類の単独又は混合油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂が適する。 【0017】 本発明のファットスプレッドは必要に応じて乳化剤を添加しても良い。乳化剤としてはショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよび酢酸モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酢酸酒石酸混合モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド等各種有機酸モノグリセリド、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、レシチンなどが例示でき、より好適な組み合わせとして、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。 【0018】 本発明において、以上の他に、所望により、色素、抗酸化剤、香料などの油溶性成分、食塩、糖類、粉乳、発酵乳などの水溶性成分を使用することができる。 【0019】 ファットスプレッドは、公知の方法によって製造できるが、代表的な方法を述べると、油相部と熱不可逆性ゲル化剤を添加した水相部を加熱混合して予備乳化を行う。予備乳化後、コンビネーター、パーフェクター、コンプレクター等の冷却、混合機により製造することができる。 【0020】 このようにして得られたファットスプレッドを小麦粉生地に折り込み、圧延、折りたたみ、成型し、必要により醗酵工程をとり、焼成することにより、パイ、デニッシュペーストリーなどの層状小麦粉膨化食品を製造する。 【実施例】 【0021】 以下に実施例及び比較例を例示して、この発見の効果をより一層に明確にするが、これらは例示であって、本発明が特に限定されるものではない。 【0022】 実施例1 水70部、食塩5部に、熱不可逆性ゲル化剤としてジェランガム0.05部を添加後、水相の温度を80℃まで加熱し、ゲル化剤を完全に水相に溶解し、さらに水25部に塩化カルシウム0.1部を溶解し、80℃まで加熱した水相を添加し、水相を調製した。この水相の5℃におけるゲル強度は13.2N/m2であった。 精製大豆硬化油50部(融点36℃)、精製硬化菜種油20部(融点31℃)、精製大豆油30部、モノグリセリン脂肪酸エステル(HLB4.3)0.5部、レシチン0.3部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB10)0.2部からなる油相60部に対し、上記水相を40部添加し、予備乳化後、コンビネーターで急冷、捏和してファットスプレッドを調製した。 【0023】 実施例2 水70部、食塩5部に、熱不可逆性ゲル化剤としてアルギン酸Na0.4部を添加後、水相の温度を80℃まで加熱し、ゲル化剤を完全に水相に溶解し、さらに水25部に塩化カルシウム0.1部を溶解し、80℃まで加熱した水相を添加し、水相を調製した。この水相の5℃におけるゲル強度は15.9N/m2であった。 実施例1と同様の油相60部に対し、上記水相を40部添加し、実施例1と同様の方法で、ファットスプレッドを調製した。 【0024】 実施例3 水70部、食塩5部に、熱不可逆性ゲル化剤としてジェランガム0.15部を添加後、水相の温度を80℃まで加熱し、ゲル化剤を完全に水相に溶解し、さらに水25部に塩化カルシウム0.1部を溶解し、80℃まで加熱した水相を添加し、水相を調製した。この水相の5℃におけるゲル強度は27.3N/m2であった。 実施例1と同様の油相60部に対し、上記水相を40部添加し、実施例1と同様の方法で、ファットスプレッドを調製した。 【0025】 実施例4 水70部、食塩5部に、熱不可逆性ゲル化剤としてアルギン酸Na0.65部を添加後、水相の温度を80℃まで加熱し、ゲル化剤を完全に水相に溶解し、さらに水25部に塩化カルシウム0.1部を溶解し、80℃まで加熱した水相を添加し、水相を調製した。この水相の5℃におけるゲル強度は61.2N/m2であった。 実施例1と同様の油脂60部に対し、上記水相を40部添加し、実施例1と同様の方法で、ファットスプレッドを調製した。 【0026】 実施例5 水70部、食塩5部に、熱不可逆性ゲル化剤としてアルギン酸Na0.75部を添加後、水相の温度を80℃まで加熱し、ゲル化剤を完全に水相に溶解し、さらに水25部に塩化カルシウム0.1部を溶解し、80℃まで加熱した水相を添加し、水相を調製した。この水相の5℃におけるゲル強度は86.4N/m2であった。 実施例1と同様の油相60部に対し、上記水相を40部添加し、実施例1と同様の方法で、ファットスプレッドを調製した。 【0027】 比較例1 実施例1と同様の油相60部に対し、水95部、食塩5部からなる水相を40部添加し、実施例1と同様の方法で、ファットスプレッドを調製した。この水相の5℃におけるゲル強度は11.6N/m2であった。 【0028】 比較例2 水95部、食塩5部に、熱可逆性ゲル化剤としてキサンタンガム0.125部を添加後、水相の温度を80℃まで加熱し、ゲル化剤を完全に水相に溶解し、水相を調製した。この水相の5℃におけるゲル強度は15.8N/m2であった。 実施例1と同様の油脂60部に対し、上記水相を40部添加し、実施例1と同様の方法で、ファットスプレッドを調製した。 【0029】 比較例3 水95部、食塩5部に、熱可逆性ゲル化剤として寒天0.75部を添加後、水相の温度を80℃まで加熱し、ゲル化剤を完全に水相に溶解し、水相を調製した。この水相の5℃におけるゲル強度は38.1N/m2であった。 実施例1と同様の油脂60部に対し、上記水相を40部添加し、実施例1と同様の方法で、ファットスプレッドを調製した。 【0030】 パイの作製 実施例1〜5、比較例1〜3のファットスプレッドを使用し、以下の表1の配合、表2の製造条件にてパイを焼成した。 【0031】 <表1>
【0032】 <表2>
【0033】 ファットスプレッドの物性、パイの浮きの比較 表3に実施例1〜5、比較例1〜3のファットスプレッドの物性評価及びファットスプレッドを使用して、焼成したパイの浮き倍率を示す。なお、ファットスプレッドの物性評価はパイ生地にロールインする際に、生地とともに伸展、展延し、割れが無いかなどの物性について、5段階評価(1〜2点:展延せず割れがあり不良、3〜4点:展延性が良く、割れが無く良好、5点:展延性が非常に良く、割れがなく非常に良好)を行なったものである。また、浮き倍率は焼成後のパイの高さを焼成前の生地厚で割ったものである。 【0034】 <表3>
【0035】 以上のように、実施例1〜5、比較例1の結果から、熱不可逆性ゲル化剤を使用することにより、ファットスプレッドの物性及び浮き倍率の改善が見られた。また、比較例2、3の結果から、熱可逆性ゲル化剤を使用した場合には、ファットスプレッドの物性の改善は見られたが、浮きへの効果は見られず、熱不可逆性ゲル化剤を水相のゲル強度を上げすぎない程度ファットスプレッドに使用することで、ファットスプレッドの物性及びパイの浮きを改善する効果が見られた。 【産業上の利用可能性】 【0036】 本発明のペーストリー用ファットスプレッドを利用することで、浮きの良い低カロリーなパイ、デニッシュペーストリーなどの層状小麦粉膨化食品を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000236768 【氏名又は名称】不二製油株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年6月23日(2006.6.23) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−82(P2008−82A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月10日(2008.1.10) |
| 【出願番号】 |
特願2006−173473(P2006−173473) |
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