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【発明の名称】 天然ジェランガムを含む殺菌ミルク組成物の製造方法
【発明者】 【氏名】バリ レイモンド シー.

【氏名】モリソン ネイル エー.

【要約】 【課題】天然ジェランガムを含む殺菌ミルク組成物の製造方法を提供する。

【解決手段】変性剤で前処理されている天然ジェランガムを含む、殺菌ミルク組成物の製造方法であって、ミルク中に天然ジェランを混合および殺菌する前に、一般的酸化剤またはアルカリ腐食剤などの変性剤で天然ジェランガムを前処理する段階を含む。好ましくは、変性剤処理により12ヶ月保存後の殺菌天然ジェラン/ミルク組成物中のパラ-クレゾールレベルが25ppb以下に低下する結果となり、最も好ましくは、味覚でパラ-クレゾールが検出できないレベルになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ジェランガムを含む殺菌ミルク組成物の製造方法であって、ジェランガムをミルクと混合する前に天然ジェランガムを変性剤で前処理する段階を含む方法。
【請求項2】
ジェランガムをミルクと混合した後にミルク組成物を殺菌する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
変性剤処理が12か月保存後の殺菌ミルク組成物中のパラ-クレゾールを25 ppbより減少させる効力を有する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
パラ-クレゾールが味覚で検出不可能である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
変性剤が酸化剤である、請求項3記載の方法。
【請求項6】
酸化剤が約250 ppmから約 1500 ppmの量で添加される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
酸化剤が、過酸化水素、オゾン、および次亜塩素酸塩からなる群より選択される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
変性剤がアルカリ腐食剤である、請求項3記載の方法。
【請求項9】
アルカリ腐食剤が約500 ppmから約2000 ppmの量で添加される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
アルカリ腐食剤が、水酸化物塩、炭酸塩、およびアルカリリン酸塩からなる群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項11】
クエン酸塩、EDTA、またはポリリン酸からなる群より選択されるキレート剤を、変性剤処理をしている間に添加する段階をさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項12】
変性剤処理の後にリゾチームを添加する段階をさらに含む、請求項3または11記載の方法。
【請求項13】
変性剤処理の後にプロテアーゼを添加する段階をさらに含む、請求項3または12記載の方法。
【請求項14】
アルカリ腐食剤処理の前にリゾチームを添加する段階をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項15】
アルカリ腐食剤処理の後にプロテアーゼを添加する段階をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
請求項5または8記載の方法によって調製された殺菌ミルク組成物。
【請求項17】
ミルクおよび天然ジェランガムを含む殺菌組成物であって、該天然ジェランガムが12か月保存後の該組成物中のパラ-クレゾールを25 ppbより減少させる有効量の変性剤で前処理されている組成物。
【請求項18】
変性剤が酸化剤である、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
ジェランガムが約250 ppmから約1500 ppmの酸化剤で処理されている、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
酸化剤が、過酸化水素、オゾン、および次亜塩素酸塩からなる群より選択される、請求項18記載の組成物。
【請求項21】
変性剤がアルカリ腐食剤である、請求項17記載の組成物。
【請求項22】
ジェランガムが約500 ppmから約2000 ppmのアルカリ腐食剤で処理されている、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
アルカリ腐食剤が、水酸化物塩、炭酸塩、およびアルカリリン酸塩からなる群より選択される、請求項21記載の組成物。
【請求項24】
天然ジェランガムが、クエン酸塩、EDTA、またはポリリン酸からなる群より選択されるキレート剤でさらに前処理されている、請求項17記載の組成物。
【請求項25】
天然ジェランガムがリゾチームでさらに前処理されている、請求項17または24記載の組成物。
【請求項26】
天然ジェランガムがプロテアーゼでさらに前処理されている、請求項17または25記載の組成物。
【請求項27】
牛乳、アイスクリーム、フローズンヨーグルト、プリン、ホイップ、クリーマー、クレームブリュレ、および飲料からなる群より選択される、請求項17記載の組成物を含む乳製品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、変性剤で前処理されている天然ジェランガムを含む、殺菌ミルク組成物の製造方法に関する。本発明はさらに、結果として生じる殺菌ミルク組成物およびミルクを主成分とするジェラン食製品に関する。
【背景技術】
【0002】
関連する背景技術
ジェランガムは、細菌スフィンゴモナス・エロデア(Sphingomonas elodea)が産生する菌体外多糖類である。多くのS.エロデア(S. elodea)株は、S-60、LPG-2、PDG-1、およびPDG-4を含む、異なる特質のジェランガムを産生する。S.エロデアが産生するジェランガムは、カリフォルニア州サンディエゴのCP Kelcoより、Kelcogel LT100(登録商標)として販売されている。
【0003】
商業上、ジェランガムは好気性条件下で発酵培地にS.エロデア細菌を植え付けて作製される。発酵培地は、炭素源、リン酸塩、有機および無機窒素源、ならびに適当な微量元素を含む。発酵は無菌条件下で行われ、通気、攪拌、温度、およびpHは厳密に制御されている。発酵完了時には、ガムの回収前に生細胞を殺すために粘着性の発酵液を低温殺菌する。
【0004】
ジェランガムの一次構造は、モル比2:1:1の糖類グルコース、グルクロン酸、およびラムノースを含み、これらは互いが結合し、以下に示すように四糖類の繰り返しユニットを形成する。天然型では、ジェランガムは同じグルコース残基においてアセチル置換基とグリセリル置換基による修飾が起こっている。平均すると、四糖類の繰り返しユニット1つ当たりグリセレート置換基1つ、四糖類の繰り返しユニット2つ当たりアセテート置換基1つが存在する。天然ジェランガムの化学構造は次のように示される。
【化1】


式中、nは約500と約2500の間である。ジェランガムは、発酵液からの回収方法によって異なる特質を呈する。発酵液からの直接回収は、S.エロデアにより1つのグルコース残基においてアセチル置換基とグリセリル置換基が修飾された、天然型で高アシル型のジェランガムをもたらす。この天然、高アシル型のジェランガムの単離は、柔軟で可撓性のゲルをもたらす。低用量レベルでは、ジェランガムは非常に高い低剪断粘度と真降伏応力を特徴とする。
【0005】
天然ジェランガムのテクスチャーは、プリン、コーヒークリーム、飲料、およびデザートなどのミルクに基づいた製品を含む、多くの市販食品の応用にとって理想的である。低用量におけるジェランガムのレオロジーは、ミルクシステム中のココアのように細かい粒子を浮遊させることを可能にする。これらの構造的特質の結果として、ジェランガムは、培養乳製品、レトルト乳製品、および冷凍乳製品における使用が長い間求められてきた。
【0006】
しかしながら、残念なことに、長期保存可能なミルクを主成分にするジェラン製品では短期間のうちに異臭および悪臭が発生し、それが食料品を口に合わないものにしている。この異臭および悪臭は、洗浄剤または糞便物を思い出させるものと言われてきた。食料品の解析により、この異臭および悪臭がパラ-クレゾールと呼ばれる化学物質の発生と結びつけられた。パラ-クレゾールは、超高温処理され、さらに室温で保存されたミルクに基づいたジェラン製品において検出可能である。天然ジェランガムを含む殺菌ミルク組成物におけるパラ-クレゾールの発生は、多くの飲料やプリンを含む長期保存が必要な製品の潜在的な商業への応用を制限する。
【0007】
超高温処理で殺菌された乳製品中で使用できるようにするために、ジェランガムを改良する試みがいくつか行われてきた。グルコース部分の脱アシル化は、パラ-クレゾールの除去に有効である一方で、それにもかかわらずジェランガムのテクスチャーが変化し、食品への応用に用いるためには、もろさの増加および伝導性の低下をもたらされた。
【0008】
組成物の味、臭い、または構造的特性に不適当な変化を加えることなしに、パラ-クレゾールの発生が排除、または軽減された、天然ジェランガムを含む殺菌ミルク組成物を製造する方法を提供することは都合が良いと考えられる。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、変性剤で前処理されている、天然ジェランガムを含む殺菌ミルク組成物の製造方法に関する。その方法は、天然ジェラン/ミルク組成物を混合および殺菌する前に、一般的酸化剤またはアルカリ腐食剤などの変性剤で天然ジェランガムを前処理する段階を含む。好ましくは、変性剤処理により12ヶ月保存後の殺菌天然ジェラン/ミルク組成物中のパラ-クレゾールレベルが十億分の25単位 (ppb)よりも低下する結果となり、最も好ましくは、味覚でパラ-クレゾールが検出できないレベルになる。
【0010】
本発明の1つの好ましい態様は、本発明の変性剤が、次亜塩素酸ナトリウムのような一般的な酸化剤である。代替的な態様は、変性剤が水酸化カリウムのような腐食剤である。本発明の好ましい態様は、天然ジェランガムがさらにリゾチームおよび/またはプロテアーゼのような酵素により前処理される。
【0011】
本発明はさらに、処理されたジェランガムと殺菌ミルクを含む食品に関する。
【0012】
発明の詳細な説明
本明細書に定義されているように、殺菌とは138 ℃以上、2秒以上の超高温処理をさす。最も好ましくは、約140〜150 ℃で約4〜6秒間殺菌を行う。殺菌および密閉容器に詰めた後、殺菌ミルクは室温で12か月まで変質することなしに保存することができる。
【0013】
パラ-クレゾールは、酵素であるグルクロニダーゼとアリールスルファターゼが添加された場合に、殺菌ミルク中で発生することが知られている(J. Agr. Food Chem. 第1巻, 1973)。天然ジェランガムがミルクと混合され、殺菌されたときに、天然ジェランガム中に認められる少量の残存酵素(おそらく、グルクロニダーゼとアリールスルファターゼ)が、超高温の加熱処理を生き残るものと考えられている。その後にわたり、天然ジェランガム中のこれらの残存酵素は、殺菌天然ジェラン/ミルク組成物中に自然発生するパラ-クレゾール結合物を分解し、遊離パラ-クレゾールを発生させる。
【0014】
理論に束縛されることなく、さらに進んで、天然ジェランガム中に存在する残存酵素を変性させることにより、パラ-クレゾール産生を途絶できると考えられている。特に、変性剤を添加することによりパラ-クレゾール産生を阻止することができる。
【0015】
本発明の変性剤は、パラ-クレゾールが産生される酵素経路を途絶することができる任意の薬剤である。1つの好ましい態様は、変性剤が、過酸化水素、オゾン、または任意の次亜塩素酸塩のような酸化剤である。最も好ましくは、酸化剤は次亜塩素酸ナトリウムである。
【0016】
別の好ましい態様は、変性剤が、水酸化物塩、炭酸塩、アルカリリン酸塩、または当技術分野においてよく知られているその他のアルカリ腐食剤からなる群より選択されるアルカリ腐食剤である。好ましいアルカリ腐食剤には、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、ポリリン酸三ナトリウム、またはポリリン酸四ナトリウムが含まれる。
【0017】
パラ-クレゾールの減少を最大限にするために、付加的処理を行ってもよい。キレート剤の添加というさらに選択的な工程を、変性剤処理をしている間に行ってもよい。さらに、変性剤および選択的なキレート剤処理の後に、残存する細胞破片を破壊するために、天然ジェランガムをリゾチームまたはプロテアーゼによる処理にかけてもよい。または、水酸化カリウムのような腐食剤を使用した場合には、リゾチームが酸性から中性の至適pHで機能できるように、水酸化カリウム添加の前にリゾチームを加えてもよい。この代替的な方法では、ジェランガムを最初にリゾチームで処理し、次にアルカリ腐食剤処理と選択的な中和処理を行い、その後プロテアーゼで処理する。プロテアーゼは約8またはそれ以上のpHにおいて反応することができる。この後者の代替的な方法は、pH条件を最適化し、至適な反応条件を提供することができる。
【0018】
上述の態様の各々において、12か月保存後の殺菌天然ジェラン/ミルク組成物中のパラ-クレゾール産生は、好ましくは約25 ppbよりも減少し、または最も好ましくは、検出限界以下のレベルにまで低下する。パラ-クレゾールの検査は、臭いまたは味覚、すなわち原始的なマウススワール検査で行いうる。一般的に、パラ-クレゾールは水中で2 ppb程度の低い濃度で味覚により検出できる。加えて、パラ-クレゾール含有量の正確な定量は、等量のジクロロメタンを使った液体-液体抽出装置中で連続的にミルクを抽出することで行いうる。その後、溶液の有機相を無水硫化ナトリウム上で乾燥し、その後ダニッシュ-クデルナ(Danish-Kuderna)装置で濃縮できる。濃縮された抽出物は、その後、ガスクロマトグラフィー質量分析による解析を行い、既知のパラ-クレゾール溶液を用いて定量することができる。上記の定量法は、最低0.5 ppbまでのレベルのパラ-クレゾールを検出する。
【0019】
変性剤の添加
パラ-クレゾール産生を低下させる方法は、天然ジェランガムに直接行われる。好ましくは、その方法は沈殿前の天然ジェラン発酵液中、または既に沈殿済みの場合には再構成液中などの液体試料中で行われる。発酵または再構成後に、例えば、カバーされた水槽中の温度調節、または蒸気の直接注入などの当技術分野において周知の技術によりジェラン溶液を約25℃から約100℃の範囲の温度まで加熱する。好ましくは、加熱時間を減らすために蒸気注入が用いられる。溶液の望ましい温度範囲は、用いる変性剤によって異なる。次亜塩素酸ナトリウムのような酸化剤を変性剤に用いる場合には、温度範囲は約5℃から約100℃であり、好ましくは、約20℃から約50℃である。アルカリ腐食剤を変性剤に用いる場合には、温度範囲は約25℃から約70℃であり、好ましくは、約40℃から約60℃である。
【0020】
さらに、アルカリ腐食剤を変性剤に用いる場合には、ジェランガム溶液のpHを、好ましくは約pH 5から約pH 9の範囲に中和するべきであり、最も好ましくはpH 7よりも低くするべきである。PHを9よりも高くすることは、天然ジェランのグルコース成分の脱アシル化を起こす危険性があり、たいていの食品への応用では、不適な、固く、もろいゲルを生じる。
【0021】
変性剤、キレート剤、および酵素は、以下に示す2つのプロトコールのどちらかよる攪拌法で溶液内へ順番に加えられる。
【0022】
第一のプロトコールでは、変性剤はジェラン溶液に直接添加される。ジェラン溶液中での変性剤の攪拌時間は、一般的に0.5時間から約2時間であり、好ましくは0.5時間から約1.0時間行い、その後24時間まで保存する。攪拌は、擦過表面のプロペラ攪拌、または他の周知の攪拌技術などによる当技術分野において周知の技術によって行われる。さらに、酸化剤を変性剤に用いる場合には、溶液と変性剤との攪拌時間は1分ほどで十分であると思われる。変性剤の好ましい濃度範囲は、用いる変性剤のタイプにより異なる。酸化剤に対しては、好ましい範囲は約250 ppmから約1500 ppmの間であり、最も好ましくは約500 ppmから約1000 ppmの間である。アルカリ腐食剤に対しては、好ましい範囲は約500 ppmから約2000 ppmの間であり、最も好ましくは約500 ppmから約1500 ppmの間である。
【0023】
キレート剤の添加
クエン酸塩、EDTA、または様々なポリリン酸塩などの選択的なキレート剤をジェラン溶液中に変性剤とともに添加してもよい。キレート剤の好ましい範囲は0〜3000 ppmの間であり、最も好ましくは約1000〜2000 ppmの間である。キレート剤による処置は、好ましくは約1時間であり、その後、下記のような酵素処理が行われる。
【0024】
酵素処理
本発明の最も好ましい態様は、残存する細胞破片を破壊するために、ジェラン溶液に対して選択的な工程である酵素処理を行う。変性剤(および、選択された場合にはキレート剤)処理の後に、ジェラン溶液の酵素処理を行う。1つまたはそれ以上の酵素は、連続的または同時に添加可能であり、一般的にはそれぞれ1時間から3時間処理を継続する。最も好ましくは、酵素処理はリゾチームおよびプロテアーゼの両者を含み、それぞれ約2時間処理する。リゾチーム濃度は1〜100活性単位の間で変動し、好ましくは約22活性単位である。プロテアーゼ濃度は220〜440活性単位の範囲であり、好ましくは約220活性単位である。リゾチームおよび/またはプロテアーゼによる処理は、同時または順番に行ってよく、いかなる順序であってもよい。
【0025】
アルカリ腐食剤を用いた場合の変動
上述のように、変性剤は過酸化水素、オゾン、もしくは次亜塩素酸塩などの一般的な酸化剤でよく、または変性剤は水酸化物塩、炭酸塩、およびアルカリリン酸塩などのアルカリ腐食剤でよい。変性剤がアルカリ腐食剤の場合には、第二のプロトコールが好ましい。第二のプロトコールでは、リゾチーム処理をアルカリ腐食剤処理の前に行い、プロテアーゼ処理を最後に行う。この第二のプロトコールは、リゾチームが、酸性から中性の至適pH条件においてジェラン溶液中で反応することを可能にする。アルカリ腐食剤添加およびそれに続く中和の後では、それによってpHが上昇し、プロテアーゼを約pH 8またはそれ以上という好ましいpHにおいて反応に加えることが可能になる。第一のプロトコールと同様に、腐食剤の攪拌時間は一般的にはそれぞれ0.5時間から2時間であり、最も好ましくは0.5時間から約1.0時間である。アルカリ腐食剤の一般的なレベルは上記と同様で、約500 ppmから約2000 ppmの間であり、最も好ましくは約500 ppmから約1500 ppmの間である。キレート剤濃度の範囲は上述と同様で、リゾチームおよびプロテアーゼ濃度も同様である。
【0026】
天然ジェランの沈殿
変性剤、ならびに選択的なキレート剤および酵素処理の後に、試料は80℃またはそれ以上で殺菌され、望ましい量でミルクと混合させる前に、約pH 5から7の範囲の軽度酸性のpHに調整される。ミルクと混合させたら、天然ジェラン/ミルク組成物は超高温殺菌にかけられる。
【0027】
好ましくは、ミルクと混合し殺菌する前に、アルコール中で天然ジェランを沈殿、または場合によっては再沈殿させる。最も好ましくは、イソプロパノールと水(90% IPA)で処理してジェランを沈殿させる。十分に混合するまで攪拌した後に、沈殿した繊維は、40〜50℃の温度で一晩、オーブンの中で乾燥させてもよい。その結果生じた乾燥繊維は、ミルク溶液中で水和させることができ、その後、殺菌され、望ましい懸濁液またはレオロジー特質が提供される。
【0028】
上記の連続する工程に加えて、最終的な天然ジェランガムの純度をさらに向上させるために、腐食剤および封鎖剤を用いる過程でSDSおよびTween 80(登録商標)などの界面活性剤を使用することができる。
【0029】
上記の一連の工程は、ミルクと混合および保存した場合に、ゲルテクスチャーに目立った影響を与えずに、パラ-クレゾールの著しい低減を可能にする。さらに、上記の方法は、乳製品本来の味および臭いを維持する。
【0030】
上記の方法は、多数の乳製品で使用されうる殺菌天然ジェラン/ミルク組成物を提供する。そのような乳製品には、牛乳、アイスクリーム、フローズンヨーグルト、プリン、ホイップ、クリーマー、クレームブリュレ、および飲料などの冷凍、冷蔵、または保存食品が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
実施例1
変性剤として酸化剤を用いた処理によるパラ-クレゾールの低減
5ガロンの温かいKelcogel LT100(登録商標)(ジェラン溶液)を40℃に加熱した。その後、下記の表Aに提示される酸化剤をジェラン溶液中に導入し、高速攪拌機により約5分間攪拌した。その後、溶液は時間を変えて24℃で保存した。
【0032】
ジェランを沈殿させるために、50リットルの湯沸かし中で蒸気に覆われた擦過表面炊事道具を用いて熱いジェラン溶液を90℃に加熱した。溶解した溶液を2300 ppmのH3PO4で約5分間処理し、その後プロペラ攪拌機を約2000 rpmで用いて、2倍量の86%イソプロパノールによる処理を行った。攪拌の後、沈殿したジェラン繊維を取り出し、24℃のオーブン中で一晩(約12時間)乾燥させ、それから約0.5 mmに製粉した。
【0033】
製粉されたジェランガムは、それからミルク中に0.12%で懸濁し、超高温殺菌して室温で保存した。一ヶ月間保存した後、天然ジェラン/ミルク試料中のパラ-クレゾール産生を、味覚(マウススワール試験)および臭いで検査し、その後、パラ-クレゾール濃度を定量した。パラ-クレゾールの定量は、約700 mlの天然ジェラン/ミルクを連続して4時間以上、約700 mlのジクロロメタンを用いた液体-液体抽出機で抽出することで行った。有機相は無水硫化ナトリウム上で乾燥し、ダニッシュ-クデルナ装置で1 mlに濃縮し、ガスクロマトグラフィー-質量分析により解析した。パラ-クレゾール検査の結果は、下記の表Aに示す。
【0034】
ゲル試料は、脱イオン水295 ml、0.3 Mカルシウムストック溶液2 ml、およびジェラン産物3.0 gを、風袋を量った600 mlビーカー中で混合して作製した。溶液中で1分〜2分攪拌した後、あらかじめ約100℃を維持するように熱しておいた水浴中にビーカーを入れ、内側の温度が95℃になる間、アルミホイルで覆っておいた。試料の攪拌はプロペラ攪拌機を使い、攪拌により空気を取りこまないように十分に遅いスピードで3分間行った。その後、ビーカーを熱い水浴から取り出し、あらかじめ熱しておいた脱イオン水を用いて300 gに合わせ、30秒間手動で攪拌した。その後、アルミホイルを外し、ビーカーをさらに4分間水浴中に戻し、その後ビーカーを再び取り出し、テクスチャー分析器にかけるために試料を輪形の型に入れた。室温に20時間〜24時間おいた後、ゲルを少なくとも2時間、20℃〜21℃で平衡化し、TA-19 Plunger(登録商標)(Texture Technologies Corp., Scarsdale, NY)を使用してTA-TX2テクスチャー分析器(TA-TX2 Texture Analyzer)(登録商標)で検査した。 TA-TX2テクスチャー分析器は、圧力センサー付きピストン棒により用意したゲル表面を破砕するのに必要な穿刺強度および距離の値という、2つの指標の所産としてゲルのテクスチャーを計測する。試料各々のゲルテクスチャーデータ、すなわち穿刺強度および穿刺距離も下記の表Aに示す。
【0035】
(表A)変性剤として酸化剤を適用することによるパラ-クレゾールの低減


【0036】
上記表Aに示されるように、一ヶ月後にパラ-クレゾールの発生を完全に除去するには、1000 ppmの次亜塩素酸ナトリウムが十分であった。
【0037】
表Aに示されるように、穿刺強度を指標にしたゲルの強度は、対照の1007.73 gと比較して、1000 ppmの次亜塩素酸ナトリウム処理試料で約174.32 g低下した。したがって、穿刺強度は約17%低下し、より低濃度の500 ppm次亜塩素酸ナトリウム処理ではその明らかな低下の程度は低かった。穿刺距離は、酸化剤処理されたいずれの試料においても有意な影響が認められず、ゲルテクスチャーは総合的に比較的変化しないで維持されることが示された。
【0038】
実施例2
変性剤としてアルカリ腐食剤を用いた処理によるパラ-クレゾールの低減
5ガロンのKelcogel LT100(登録商標)(ジェラン溶液)を50リットルの湯沸かし中の振とうしたスチーム炊事道具に移し、40℃に加熱した。この時点で、ジェラン溶液の一部を対照試料として注ぎ出し、実施例1に記載したように沈殿させた。沈殿の後、天然ジェランの対照試料を0.12%でミルクと混合し、殺菌して一ヶ月保存した。その後、味覚と臭いによりパラ-クレゾールを検査した。
【0039】
ジェラン溶液の残りは、1.5 gのアルカリ腐食剤、水酸化カリウムによる処理にかけ、約pH 6.0、40℃で約6時間振とうした。この時点で、溶液の一部を第2試料として注ぎ出し、実施例1に記載したように沈殿させた。沈殿の後、天然ジェランの第2試料を0.12%でミルクと混合し、殺菌して一ヶ月保存した。その後、味覚と臭いによりパラ-クレゾールを検査した。
【0040】
水酸化カリウム処理したジェラン溶液の残りは、次の処置のためにpHを約7.0に合わせ、約50活性単位のMULTIFECT(登録商標)リゾチーム(Genencor, Rochester, NY)と40℃で約2時間反応させた。この時点で、ジェラン溶液の一部を第3試料として注ぎ出し、実施例1に記載したように沈殿させた。沈殿の後、天然ジェランの第3試料を0.12%でミルクと混合し、殺菌して一ヶ月保存した。その後、味覚と臭いの検査によりパラ-クレゾールを検査した。
【0041】
水酸化カリウム処理およびリゾチーム処理を受けたジェラン溶液の残りを、さらに約22000活性単位のHT PROLYTIC(登録商標)プロテアーゼ(Enmex, S.A., Mexico)で40℃、2時間処理した。残ったプロテアーゼ処理済みジェラン溶液は、第4試料として注ぎ出し、実施例1に記載したように沈殿させた。沈殿の後、ジェランの第4試料を0.12%でミルクと混合し、殺菌して一ヶ月保存した。その後、マウススワール試験によりパラ-クレゾールを検査した。
【0042】
上記試料の各々に対して、ジェラン繊維は約pH 6.0で回収した。
【0043】
味覚および臭い検査の結果は、下記の表Bに示す。パラ-クレゾールレベルの定量は、上記の実施例1に記載される技術に従って行われた。
【0044】
上記の実施例1に記載されているように、ゲル試料を調製し、テクスチャーを測定した。試料各々のゲルテクスチャーデータ、すなわち穿刺強度および穿刺距離も下記の表Bに示す。
【0045】
(表B)変性剤として腐食剤を適用することによるパラ-クレゾールの低減


【0046】
上記表Bに示されるように、一ヶ月後にパラ-クレゾールの味を完全に除去するには、1.5 gの水酸化カリウムが十分であった。水酸化カリウムならびにリゾチームおよびプロテアーゼの両処理もまた、パラ-クレゾールを25 ppbまたはそれよりも低減させることができ、上記の1.5 g水酸化カリウム処理試料各々は、認識できるパラ-クレゾールの臭いおよび味を発生させなかった。
【0047】
さらに、表Bは穿刺強度を指標にしたゲル強度が、対照の429.532 gと比較して、1.5 gの水酸化カリウムのみで処理した試料では約97.105 g増加したことを示している。したがって、穿刺強度は約22%増加し、さらにリゾチームおよびプロテアーゼの両方の処理を加えた水酸化カリウム処理試料では、より大きな増加が示された。酸化剤処理の場合と同様に、穿刺距離はアルカリ腐食剤処理されたいずれの試料においても有意な影響が認められず、ゲルテクスチャーは比較的変化しないで維持されることが示された。
【0048】
本発明のその他の変化および変更は、当業者にとって明らかなものであると思われる。本発明は、特許請求の範囲内で明らかにされたことを除いては限定されるものではない。
【出願人】 【識別番号】501190918
【氏名又は名称】シーピー ケルコ ユー.エス.インク.
【出願日】 平成20年6月2日(2008.6.2)
【代理人】 【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志


【公開番号】 特開2008−245655(P2008−245655A)
【公開日】 平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願番号】 特願2008−144969(P2008−144969)