| 【発明の名称】 |
柿の脱渋方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】堀池 楽次郎
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| 【要約】 |
【課題】柿の脱渋効果と果実の軟化遅延効果に優れた柿の脱渋方法を提供する。
【構成】柿の果芯に脱渋用アルコールを注入し、次いで、ガス透過性の低い樹脂製袋に封入・脱気した後、常温保存する柿の脱渋方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 柿の果芯に脱渋用アルコールを注入し脱渋することを特徴とする柿の脱渋方法。 【請求項2】 脱渋用アルコールがエチルアルコールおよび/または変性アルコールであることを特徴とする請求項1記載の柿の脱渋方法。 【請求項3】 脱渋用アルコールの注入量が、柿1kgあたりアルコール濃度100%換算で約0.5ml〜約10mlであることを特徴とする請求項1記載の柿の脱渋方法。 【請求項4】 柿の果芯に脱渋用アルコールを注入し、次いで、ガス透過性の低い樹脂製袋に封入し、脱気した後、保存することを特徴とする請求項1記載の柿の脱渋方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、柿の脱渋方法に関する。詳しくは脱渋効果と渋柿果実の軟化遅延効果に優れた柿の脱渋方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 渋柿は果肉中のタンニン細胞に存在する水溶性タンニンに起因する渋味があり、そのままでは食用に適さない。そのため出荷に当たっては果肉中のタンニンを不溶性として渋味を取り去る、所謂、脱渋(渋抜き)が行われる。脱渋方法としては湯抜き法、アルコール法、炭酸ガス法、炭酸ガス・アルコール併用法等が知られているが、脱渋後の食味がよいこと、簡便であることよりアルコール法が多用されている。アルコール法はガス透過性の低いポリエチレン等の樹脂フィルムに大きさの揃った渋柿を入れ、エチルアルコール等の脱渋用アルコールを添加後、密封して脱渋する方法である。アルコール脱渋の最大の欠点は日持ちが短く軟化すること、さらに果実の表皮が黒変して著しく商品価値を落とすことである。このため脱渋処理に際しては脱渋効果を発揮し、かつ果実の外観を損なわないで日持ちをよくするような工夫が種々提案されている。たとえば0℃〜−1℃の冷蔵庫での保管、容器中の酸素濃度と二酸化炭素を特定割合に保ちCA効果を利用し軟化を遅延する方法が非特許文献1等に開示されている。 【0003】 【非特許文献1】果樹園芸大百科6 カキ(317頁〜341頁) 発行所 社団法人農村漁村協会 発行年 2000年 【0004】 しかしながら、これらの方法は多大の設備投資を必要とするため、作付け規模の小さい農家での導入はコスト面から困難である。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明が解決しようとする課題は、柿の脱渋効果と果実の軟化遅延効果に優れた廉価な柿の脱渋方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者らはかかる課題を解決するために、鋭意検討した結果、脱渋を行う柿の特定部に脱渋用アルコールを注入し、脱渋処理を行う場合には、従来よりも脱渋に時間を要するものの、脱渋処理による柿表面の黒変が少なく、常温で1カ月以上、普通には2カ月以上軟化することなく鮮度維持効果を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。 【0007】 すなわち、本発明は柿の果芯に脱渋用アルコールを注入し脱渋することを特徴とする柿の脱渋方法を提供するものである。 【0008】 また、本発明は、柿の果芯に脱渋用アルコールとしてエチルアルコールおよび/または変性アルコールを注入し脱渋することを特徴とする柿の脱渋方法を提供するものである。 【0009】 さらに、本発明は、柿の果芯に脱渋用アルコールを注入し柿の脱渋を行うにあたり、脱渋用アルコールの注入量が柿1kgあたりアルコール濃度100%換算で約0.5ml〜約10mlであることを特徴と柿の脱渋方法を提供するものである。 【0010】 さらに、本発明は、柿の果芯に脱渋用アルコールを注入し、次いで、ガス透過性の低い樹脂製袋に封入し、脱気した後、保存することを特徴とする柿の脱渋方法を提供するものである。 【発明の効果】 【0011】 本発明によって、優れた脱渋効果と軟化遅延効果を有する柿の脱渋方法を容易に提供することができる。脱渋は処理する柿の種類や大きさ、温度条件、果芯へのアルコール注入量にもよるが、通常20日〜30日で渋味は抜け、外観もアルコール脱渋によく見られるヤケや黒変の発生が殆どなく、常温保存で1カ月以上、普通には2カ月以上、更には3カ月以上軟化することなく鮮度を維持することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 本発明の処理対象としての柿は、アルコール脱渋処理され市販されている種類の柿であれば特に制限されないが、たとえば、西条、会津身不知、平核無、愛宕、横野、四つ溝、刀根、清田、田倉、作州身不知、祇園坊、堂上蜂屋、葉隠、衣紋等が挙げられる。これら脱渋処理に供する柿は木上での熟成度(果皮の着色度合い)、果実の大きさが同じ程度のものを処理することが推奨される。 【0013】 本発明においては脱渋用アルコールを柿の果芯に注入する。果芯とは図1に示すように蔕(ヘタ)から果頂部に至る部分であり、図1に示す部位である。これは柿を縦に2分割しその断面を見れば容易に判別しえる。図1に模式的に示すように果芯は蔕周辺が広い面積を有することから、アルコールの注入においては、蔕周辺の果芯部分に注入することが推奨される。より好ましくは図1Aとして示すように蔕を貫通して果芯部にアルコールを注入するか、或いは蔕に覆われている部分側面から果芯に注入してもよい。果芯部以外の果肉部にアルコールを注入する場合には、注入部分の果皮が変色し部分的に軟化が進行し商品価値が低下する。商品価値を低下することがない、すなわちアルコール注入の失敗が少ない点からは果実の中心近傍で、かつ蔕から果頂部に向けての高さで5mm〜30mm、より好ましくは10mm〜20mmの部位に注入することが推奨される。 【0014】 本発明の実施に際し、柿に注入する脱渋用アルコールの量は柿の種類や大きさにもより一義的ではないが、柿1Kgあたりアルコール濃度100%換算で約0.5ml〜約5ml、普通には約1ml〜約6mlである。通常l果(200〜250g)当たり約0.1ml〜1.5ml注入すればよい。使用する脱渋用アルコールの濃度は20%〜100%、通常25%〜60%のものが使用される。脱渋用アルコールの注入方法は果芯に注入できるものであれば特に制限されないが、通常、果実表面をあまり傷つけない針先の細いマイクロシリンジが利用される。果芯への脱渋用アルコールの注入量が少ない場合には脱渋効果が劣り、他方、多すぎる場合には脱渋効果は高いが軟化が早くなる。 【0015】 本発明に適用する脱渋用アルコールは、当該分野で使用されている脱渋用アルコールであれば特に制限されないが、通常エチルアルコールや変性アルコール、焼酎、ウィスキー、ウォッカ等が挙げられ、就中、エチルアルコールおよび/または変性アルコールが使用される。変性アルコールとはレモンエッセンス変性アルコールや梅フレーバー変性アルコール等が挙げられる。またエチルアルコールとしては食品衛生法に適合する工業用アルコールを適用してもよい。これら脱渋用アルコールは単独で用いてもよく、併用することも可能である。 【0016】 脱渋用アルコールを果芯に注入した柿は、次いでプラスチック製の袋に入れ、脱気し、脱渋効果が生じる期間保管する。脱渋に要する期間は柿の種類、大きさ、アルコールの種類や注入量、さらには保管温度等により一義的でないが、通常、常温保存(10℃〜25℃)で20日〜30日で完全脱渋され、出荷可能となる。勿論、柿のアルコール脱渋法で従来適用されている冷蔵保管によっても本発明はその効果を発現する。 【0017】 使用するプラスチック製フィルムは当該分野で使用されているものであればよく、通常、酸素透過率が500ml/m2・24hr・atm以下、一般的には10ml/m2・24hr・atm〜100ml/m2・24hr・atm程度のガスバリヤー性を有するプラスチック製のフィルムが用いられる。フィルムは脱渋工程、或いは保存工程においてフィルムが破れた場合には過熟が進行し鮮度劣化を生じる恐れがあるので、容易に破れない程度の強度を有するフィルムの使用が好ましい。このようなフィルムとしては低密度ポリエチレンフィルムや外層がポリプロピレンフィルム、内層が低密度ポリエチレンフィルムであるラミネートフィルム等が挙げられる。 【0018】 果芯に脱渋用アルコールを注入した柿は、通常プラスチック製フィルムで形成した袋中に封入し、次いで袋中のガスを真空ポンプ等を用い脱気する。袋に挿入する柿の数は、処理規模、商品コンセプトにより一義的ではなく、包装用のダンボール箱内に予めプラスチック製の袋を設置し、この中に多数の柿を並べ、封入した後、脱気する方法、或いは1袋に1〜2個の粒の揃った柿を封入し、脱気し、これを包装用ダンボール箱に並べて、脱渋後、出荷する方法のいずれであってもよい。 渋柿をポリエチレンの袋に入れて密封すると果実の呼吸によって袋内は減圧になることが知られている。また果実の軟化遅延法としては真空包装機で減圧状態にした減圧包装がよいことが知られている。本発明の実施においても、必要に応じ柿を袋に封入後、脱気・真空包装する減圧包装の適用を妨げるものではなく、これらの方法を併用することにより軟化遅延効果は増大する。 【0019】 袋に封入、脱気後の柿は通常、10℃〜25℃の温度雰囲気下に保管することにより通常20日〜30日で略完全に脱渋を達成する。本発明方法での処理品は、このようにして処理した脱渋品をそのまま常温で保管しても1ヶ月以上、普通には2カ月以上、更には3カ月以上軟化することなく鮮度を維持することができるが、冷蔵保存する場合には更なる鮮度維持効果を発揮する。 【0020】 また、本発明においては柿の果芯に脱渋用アルコールを注入し脱渋することによる脱渋効果と軟化遅延効果とを損なわない限り、当該分野において公知である、脱渋効果の促進や、軟化遅延効果を目的とする、例えば、炭酸ガスの併用、エチレン除去材や高吸水性樹脂を用いることの併用は、何ら本発明を阻害するものではない。 【実施例】 【0021】 以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。 実施例1 渋柿の脱渋方法の相違による脱渋効果、鮮度維持効果(軟化遅延効果)を確認すべく、以下のサンプルを作製し、実験を行った。その結果を表1および表2に示す。 【0022】 脱渋サンプルの作製 脱渋用渋柿として、果実表面に傷がなく、着色程度が同じで、1個当たりの平均重量250gの愛宕柿と横野柿を準備し、A〜Dに記載の方法で各々脱渋処理を行った後、低密度ポリエチレン製の袋(厚さ0.08mm×幅150mm×長さ200mm)μ、商品名:ヘイコーポリ:株式会社シモジマ社製)に1個づつ挿入し、真空包装機を用いて100%脱気処理し、15℃に調整した恒温槽に貯蔵し、官能試験(経験者3名による判定)による脱渋程度の変化および目視、触診による軟化程度の変化を試験した。その結果を表1(愛宕柿を処理)及び表2(横野柿を処理)に示す。 【0023】 脱渋方法A:脱脂綿に55%濃度のエチルアルコール1.5mlを染込ませた後、柿に 直接脱脂綿が触れないように柿とアルコールを染込ませた脱脂綿を袋に封 入し、脱気したもの。 脱渋方法B:脱脂綿に55%濃度のエチルアルコール1.5mlを染込ませた後、柿に 直接脱脂綿が触れないように柿とアルコールを染込ませた脱脂綿を袋に封 入、脱気した後、30CCの二酸化炭素を袋内に封入したもの。 脱渋方法C:55%濃度のエチルアルコール1.5mlを柿の蔕部を穿孔して果芯部に 注入(アルコール注入果芯部:果実の略中心部で、蔕から果頂部に向けて 15mmの位置に注入)した後、該柿を袋に封入し、脱気したもの。 脱渋方法D:55%濃度のエチルアルコール3mlを柿の蔕部を穿孔して果芯部に注入 した以外は脱渋方法Cと同じ方法で袋に封入し、脱気したもの。 【0024】 表1、表2において脱渋欄の○は脱渋完了を、×は脱渋不完全を表し、鮮度欄の○は、鮮度劣化見られず、×は鮮度劣化ありを表す。尚、鮮度の劣化は、判定時に果実の表面が黒化したり、斑点が現れたり軟化したものを鮮度劣化ありとした。 【0025】 【表1】
【0026】 【表2】
【0027】 表1及び表2の結果から明らかなように、本発明においては単に脱渋処理として脱渋用アルコールを果芯に注入するという極めて簡便な方法で、従来方法に比較し常温で2ヶ月以上、普通には3ヶ月以上の軟化遅延効果を発現することがわかる。 【図面の簡単な説明】 【0028】 【0029】 【図1】本発明の脱渋方法を適用する渋柿の断面概略模式図を示す。 【符号の説明】 【0030】 1 蔕 2 果芯 3 果頂部 A アルコール注入部例
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| 【出願人】 |
【識別番号】591069879 【氏名又は名称】堀池 楽次郎
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| 【出願日】 |
平成18年8月3日(2006.8.3) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−35846(P2008−35846A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月21日(2008.2.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−234555(P2006−234555) |
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