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【発明の名称】 多段式オーブンの焼成システム
【発明者】 【氏名】田中 利政

【要約】 【課題】パン類の多品種少量生産に対応して、生産効率を向上させた、多段式オーブンの焼成システムを提供する。

【解決手段】多段階に積層された複数の焼成室18を有する多段式オーブンの焼成システム11であって、被焼成物が載った天板12を横送りコンベア13で所定位置に順次搬送し、該横送りコンベア13上に整揃した複数の前記天板12をプッシャー装置14で押し出して搬入出コンベア15上に移載し、前記天板12が複数列移載した前記搬入出コンベア15を所定の焼成室18の投入口18aまでリフト17で上昇させ、前記搬入出コンベア15上の天板12を搬入出手段で前記焼成室18内に移動してから所定の焼成条件で焼成し、焼成終了後に前記焼成室18内の天板12を前記搬入出手段で前記搬入出コンベア15上に移動し、該搬入出コンベア15を天板12の移載位置までリフト17で下降させ、前記搬入出コンベア15上の前記天板12を前記横送りコンベア13上に移載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段階に積層された複数の焼成室を有する多段式オーブンの焼成システムであって、
被焼成物が載った天板を横送りコンベアで所定位置に順次搬送し、
該横送りコンベア上に整揃した複数の前記天板をプッシャー装置で押し出して搬入出コンベア上に移載し、
前記天板が複数列移載した前記搬入出コンベアを所定の焼成室の投入口までリフトで上昇させ、
前記搬入出コンベア上の天板を搬入出手段で前記焼成室内に移動してから所定の焼成条件で焼成し、
焼成終了後に前記焼成室内の天板を前記搬入出手段で前記搬入出コンベア上に移動し、
該搬入出コンベアを天板の移載位置までリフトで下降させ、
前記搬入出コンベア上の前記天板を前記横送りコンベア上に移載すること
を特徴とする多段式オーブンの焼成システム。
【請求項2】
前記複数の焼成室は、それぞれに焼成時間、焼成温度、及び焼成湿度等の焼成条件を設定できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の多段式オーブンの焼成システム。
【請求項3】
前記搬入出手段は、前記搬入出コンベアの近傍に設けられるプッシュチェーン装置と、前記焼成室に設けられる搬入出枠体とからなることを特徴とする請求項1に記載の多段式オーブンの焼成システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、パン類の多品種少量生産に対応した、多段式オーブンの焼成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、菓子パン等は、連続的に生産可能な生産ラインで、大型のトンネルオーブンを使用して、少ない種類の商品をそれぞれ多量に生産していた。しかしながら、近年においては、消費者の嗜好の多様化に伴い、色々な種類のパン類を少量ずつ生産する多品種少量生産の時代に変化しているのが現状である。
【0003】
なお、特公平7−102066号公報には、パン等の連続大量製造方法及びそれに使用する装置が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平7−102066号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、菓子パン等は品種が変わると、焼成装置の焼成時間、焼成温度、及び焼成湿度等の焼成条件の設定を変える必要があり、それぞれの品種に対応した焼成条件で焼成する必要がある。
【0005】
一方、上述のトンネルオーブンでは、一種類の品がオーブンの有効長さの少なくとも3分の2以上を通過しないと、次の種類の品を投入することができない。なぜなら、焼成時間や焼成温度等を適宜に変える必要があるからである。その場合、オーブンの3分の2以上が空の状態で稼働することとなり、エネルギー損失が大きく、生産効率が非常に悪いので、従来のトンネルオーブンは多品種少量生産に不向きである。
【0006】
従って、従来例における場合においては、パン類の多品種少量生産に対応して、生産効率を向上させるために、トンネルオーブンに替わる新規な焼成システムを提供することに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来例の課題を解決する具体的手段として本発明は、多段階に積層された複数の焼成室を有する多段式オーブンの焼成システムであって、被焼成物が載った天板を横送りコンベアで所定位置に順次搬送し、該横送りコンベア上に整揃した複数の前記天板をプッシャー装置で押し出して搬入出コンベア上に移載し、前記天板が複数列移載した前記搬入出コンベアを所定の焼成室の投入口までリフトで上昇させ、前記搬入出コンベア上の天板を搬入出手段で前記焼成室内に移動してから所定の焼成条件で焼成し、焼成終了後に前記焼成室内の天板を前記搬入出手段で前記搬入出コンベア上に移動し、該搬入出コンベアを天板の移載位置までリフトで下降させ、前記搬入出コンベア上の前記天板を前記横送りコンベア上に移載することを特徴とする多段式オーブンの焼成システムを提供するものである。
【0008】
また、前記複数の焼成室は、それぞれに焼成時間、焼成温度、及び焼成湿度等の焼成条件を設定できるようにした構成としたものであり、そして、前記搬入出手段は、前記搬入出コンベアの近傍に設けられるプッシュチェーン装置と、前記焼成室に設けられる搬入出枠体とからなる構成としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る多段式オーブンの焼成システムは、多段階に積層された複数の焼成室を有する多段式オーブンの焼成システムであって、被焼成物が載った天板を横送りコンベアで所定位置に順次搬送し、該横送りコンベア上に整揃した複数の前記天板をプッシャー装置で押し出して搬入出コンベア上に移載し、前記天板が複数列移載した前記搬入出コンベアを所定の焼成室の投入口までリフトで上昇させ、前記搬入出コンベア上の天板を搬入出手段で前記焼成室内に移動してから所定の焼成条件で焼成し、焼成終了後に前記焼成室内の天板を前記搬入出手段で前記搬入出コンベア上に移動し、該搬入出コンベアを天板の移載位置までリフトで下降させ、前記搬入出コンベア上の前記天板を前記横送りコンベア上に移載することによって、色々な種類のパン類を所定量ずつ、各焼成室においてそれぞれの焼成条件で焼成できるので、パン類の多品種少量生産に対応できるという優れた効果を奏する。
【0010】
また、複数の焼成室は、それぞれに焼成時間、焼成温度、及び焼成湿度等の焼成条件を設定できるようにしたことによって、各焼成室ごとにパン等の品種に対応した最適の焼成条件で焼成できるという優れた効果を奏する。
【0011】
そして、搬入出手段は、前記搬入出コンベアの近傍に設けられるプッシュチェーン装置と、前記焼成室に設けられる搬入出枠体とからなることによって、プッシュチェーンで、搬入出枠体に囲繞された複数の天板群を焼成室内に挿入し、又は焼成室から引き出すので、天板の挿入と引き出しとがスムーズで確実におこなえるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、図1から図4において、符号11は多段式オーブンの焼成システムを示し、この焼成システム11は、被焼成物が載った天板12を順次搬送する横送りコンベア13と、この横送りコンベア13上に整揃した複数の天板12を押し出すプッシャー装置14と、搬入出コンベア15と、この搬入出コンベア15の近傍に設けられるプッシュチェーン装置(搬入出手段)16と、搬入出コンベア15を上昇又は下降させるリフト17と、多段階に積層された複数の焼成室18、18…を有する多段式オーブン19と、それぞれの焼成室18に設けられる搬入出枠体(搬入出手段)20とを有している。また、この焼成システム11は、全工程をコンピュータ制御による自動運行が可能なように構成される。
【0013】
天板12は、略長方形状のトレー形に形成されており、図示しない整形ラインにおいて複数のパン生地が配列されている。また、パン生地は所定の発酵工程で発酵処理が施されている。
【0014】
横送りコンベア13は、天板12が所定間隔ごとに1枚ずつ順次搬送される。また、横送りコンベア13の所定位置には、昇降ストッパー21が設けられており、この昇降ストッパーが所定のタイミングで上昇又は下降するように構成されている。
【0015】
横送りコンベア13で搬送された天板12は、上昇した昇降ストッパー21に当接して搬送状態がストップする。この停止した天板12に、次に搬送される天板12が当接して搬送状態がストップする。このようにして順次搬送される複数の天板12、12…、例えば4枚の天板12の搬送状態がストップして、横送りコンベア13上に整列した状態に揃うと(図3の横送りコンベア13参照)、図示しない所定のセンサが感知して、プッシャー装置14が作動する。
【0016】
プッシャー装置14は、横送りコンベア13の側部に設けられており、このプッシャー装置14が作動すると、横長の押出部14aが突出して、4枚の天板12を同時に横方向に押し出す。押し出された4枚の天板12は、搬入出コンベア15上に移載される。搬入出コンベア15上に移載された4枚の天板12は、押出方向に搬送される。
【0017】
更に、横送りコンベア13は、天板12が順次搬送されて、前述の動作が繰り返され、4枚の天板12が整列した状態に揃うと、プッシャー装置14が作動して、4枚の天板12を搬入出コンベア15上に移載する。
【0018】
このようにして搬入出コンベア15上に複数列、例えば4列の天板12が移載されると(図2及び図3の搬入出コンベア15参照)、図示しない所定のセンサが感知して、リフト17が作動する。リフト17は、搬入出コンベア15を予め設定した所定の焼成室18の投入口18aの近傍位置まで上昇させる。リフト17と搬入出コンベア15の詳細な動作は後述する。
【0019】
搬入出コンベア15の近傍には、プッシュチェーン装置16が設けられており、これらはリフト17によって一緒に上下移動する仕組みになっている。このプッシュチェーン装置16は、図1及び図2に示すように、駆動機構16aと、この駆動機構16aの駆動により回転駆動するスプロケット16bと、このスプロケット16bの回転によって押し出され又は引き戻されるプッシュチェーン16cと、プッシュチェーン16cの先端部に設けられる可動フック16dと、プッシュチェーン16cをコンパクトに収納するハウジング16eとを有する。
【0020】
また、搬入出コンベア15の外周部には、図2、図3及び図4に示すように、枠体22が立設しており、この枠体22の内側の両端部には、固定レール26、26が設けられている。この固定レール26は、各段の焼成室18と対応する位置にそれぞれ設けられており、固定レール26の上を搬入出枠体20が移動できるようになっている。
【0021】
多段式オーブン19は、多段階に積層された複数の、例えば5段階の焼成室18を有する。それぞれの焼成室18は、図1に示すように、炉床板27と、この炉床板27の下部に設けられた下火バーナー28と、炉床板27の上部に設けられた上火バーナー29と、搬入出枠体20とが設けられている。
【0022】
搬入出枠体20は、長方形状に形成されており、この搬入出枠体20が、4枚の天板12が4列に整揃した16枚の天板群の外周部を囲繞できる大きさに形成されている(図2及び図3の焼成室18参照)。図2中符号20aは、搬入出枠体20の四隅に設けられるローラを示し、このローラ20aが固定レール26の上を転動する。
【0023】
なお、図1中符号31は、排気部を示し、図2及び図3中符号32は、焼成室18の焼成条件や種々の部位の動作を設定するスイッチボックス部を示す。
【0024】
次に、搬入出コンベア15が、図1に示す最上段(5段目)に上昇する場合のリフト17、プッシュチェーン装置16等の動作について説明する。前述のように、4列の天板12が移載された搬入出コンベア15は、リフト17が作動して焼成室18の投入口18aの位置に上昇する。
【0025】
そして、プッシュチェーン装置16が駆動して、プッシュチェーン16cが焼成室18内に延出する。更に、先端部の可動フック16dが傾斜して、搬入出枠体20の係合部30と係合する。この後、プッシュチェーン装置16が逆方向に駆動して、プッシュチェーン16cが引き戻り、搬入出枠体20が搬入出コンベア15の上部に引き出される。このとき、搬入出枠体20が、16枚の整揃した天板群の外周部を囲繞した状態に位置することとなる(図2及び図3の搬入出コンベア15参照)。
【0026】
更に、プッシュチェーン装置16が再び駆動して、プッシュチェーン16cが押し出され、搬入出枠体20を焼成室18内に挿入すると共に、搬入出枠体20に囲繞された16枚の天板群も一緒に焼成室18内に挿入する。その後、搬入出枠体20はそのまま焼成室18内に残置され、可動フック16cは焼成室18の外部に引き戻る。
【0027】
焼成室18は、それぞれに焼成時間、焼成温度、及び焼成湿度等の焼成条件を設定できるように構成されており、各段の焼成室18ごとにパン等の品種に対応した最適の焼成条件で焼成する。
【0028】
焼成終了後には、プッシュチェーン装置16が駆動して、プッシュチェーン16cが焼成室18内に延出する。そして、可動フック16dが傾斜して、搬入出枠体20の係合部30と係合する。更に、プッシュチェーン装置16が逆方向に駆動して、プッシュチェーン16cが引き戻り、搬入出枠体20と共に、搬入出枠体20に囲繞された16枚の天板群を搬入出コンベア15の上部に引き出す。
【0029】
このとき、搬入出コンベア15を、炉床板27よりもやや低い位置に停止させておき、その落差によって、引き出したパンにショックを与える。何故ならば、ショックを与えることで焼成後のパンから気泡が一気に抜けるので、その後のパンの変形を防止できるからである。
【0030】
次に、リフト17が下降して、搬入出コンベア15を天板12の移載位置まで下降させる。
【0031】
リフト17が下降したら、搬入出コンベア15が駆動して天板12が一列ずつ横送りコンベア13に移載される。横送りコンベア13に移載された天板12は、図示しないデパンナーへ順次搬送される。
【0032】
以上のように多段式オーブンの焼成システム11は、色々な種類のパンを所定量ずつ、各段の焼成室18においてそれぞれの焼成条件で焼成できるので、パン類の多品種少量生産に対応できることとなる。また、各段の焼成室18ごとにパンの品種に対応した最適の焼成条件で焼成できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の多段式オーブンの焼成システム11は、主に多段式のガスオーブンを使用するが、これ以外にも多段式の電気オーブンや、種々の焼成方法の多段式オーブンを使用してもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る多段式オーブンの焼成システム11の側面を示す説明図である。
【図2】本発明に係る多段式オーブンの焼成システム11の平面を示す説明図である。
【図3】本発明に係る多段式オーブンの焼成システム11の、プッシュチェーン装置16を省略した状態の平面を示す説明図である。
【図4】本発明に係る多段式オーブンの焼成システム11の、プッシュチェーン装置16を省略した状態の正面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
11 多段式オーブンの焼成システム
12 天板
13 横送りコンベア
14 プッシャー装置
14a押出部
15 搬入出コンベア
16 プッシュチェーン装置(搬入出手段)
16a駆動機構
16bスプロケット
16cプッシュチェーン
16d可動フック
16eハウジング
17 リフト
18 焼成室
18a投入口
19 多段式オーブン
20 搬入出枠体(搬入出手段)
20aローラ
21 昇降ストッパー
22 枠体
26 固定レール
27 炉床板
28 下火バーナー
29 上火バーナー
30 係合部
31 排気部
32 スイッチボックス部
【出願人】 【識別番号】398018700
【氏名又は名称】三幸機械株式会社
【出願日】 平成19年6月1日(2007.6.1)
【代理人】 【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功

【識別番号】100087099
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 恭子


【公開番号】 特開2008−295403(P2008−295403A)
【公開日】 平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願番号】 特願2007−147049(P2007−147049)