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【発明の名称】 アカヒゲホソミドリカスミカメの性フェロモン徐放性誘引製剤
【発明者】 【氏名】柿▲崎▼ 昌志

【要約】 【課題】安定した誘引能力を発揮させるための成分改良を行い、改良したフェロモンを長期安定して空気中に放出可能とする。

【解決手段】誘引性のある性フェロモンとして知られるn−カプロン酸n−ヘキシル、n−カプロン酸(E)−2−ヘキセニル、n−酪酸n−オクチルに、第四の成分として酢酸n−ヘキシルを加える。これにより、誘引性能が向上することが確認された。また性フェロモンを長期安定して放出可能とするため、性フェロモンを徐放性の樹脂2と混合し、開口3を備える容器1に装填する。樹脂と性フェロモンを混練すると、樹脂からの揮発に従って性フェロモンが空気中に放散される。性フェロモンの放出量は、徐放性の樹脂からの放散スピード、透過性の容器による放出コントロールまたは難透過性の容器の開口径によって調整可能となり、安定した結果を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アカヒゲホソミドリカスミカメの既知の合成性フェロモンである、n−カプロン酸n−ヘキシル、n−カプロン酸(E)−2−ヘキセニル、n−酪酸n−オクチルに、第四の成分として酢酸n−ヘキシルを加えたことを特徴とするアカヒゲホソミドリカスミカメの性フェロモン徐放性誘引製剤。
【請求項2】
第四の成分である酢酸n−ヘキシルは、既知の合成性フェロモンであるn−カプロン酸n−ヘキシルの0.1〜0.3%を添加することを特徴とする請求項1記載のアカヒゲホソミドリカスミカメの性フェロモン徐放性誘引製剤。
【請求項3】
n−カプロン酸n−ヘキシル、n−カプロン酸(E)−2−ヘキセニル、n−酪酸n−オクチル、酢酸n−ヘキシルを徐放性の樹脂と混合し、これを容器に装填することを特徴とする請求項1または請求項2記載のアカヒゲホソミドリカスミカメの性フェロモン徐放性誘引製剤。
【請求項4】
請求項3記載の容器は、開口を備えることを特徴とする請求項3記載のアカヒゲホソミドリカスミカメの性フェロモン徐放性誘引製剤。
【請求項5】
請求項3または請求項4記載の容器は、n−カプロン酸n−ヘキシル、n−カプロン酸(E)−2−ヘキセニル、n−酪酸n−オクチル、酢酸n−ヘキシルの成分が透過し徐放性を有する素材によって成形することを特徴とする請求項3または請求項4記載のアカヒゲホソミドリカスミカメの性フェロモン徐放性誘引製剤。
【請求項6】
請求項3または請求項4記載の容器は、n−カプロン酸n−ヘキシル、n−カプロン酸(E)−2−ヘキセニル、n−酪酸n−オクチル、酢酸n−ヘキシルの成分が透過しない素材によって成形することを特徴とする請求項3または請求項4記載のアカヒゲホソミドリカスミカメの性フェロモン徐放性誘引製剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、イネ科作物の害虫であるカメムシ類、特にイネの斑点米の被害を発生させる重要害虫のアカヒゲホソミドリカスミカメ(Trigonotylus caelestialium (Kirkaldy))の性フェロモンを利用した誘引製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
カメムシによる稲作物への被害を抑えるには、成虫の発生消長を捉えて(モニタリング)、農薬による適期防除を実施することが有効である。このため、従来から、捕虫網によるすくい取り法や予察灯によって、栽培期間中の捕獲消長の調査が行われている。しかし、これらの方法は、調査労力が大きく、捕獲虫の選別や判別などに熟練を要する上に、すくい取り法では、雨・風などの気象要因による捕獲効率の変動や調査精度の個人差が大きいために簡易に実施できる調査方法とはなっていない。そのため、種特異的な誘引物質である性フェロモンを利用したフェロモントラップは、誰でも同じ精度で簡易にできるモニタリング法として実用化が期待されている。
【0003】
平成12年度北海道農業試験会議(平成13年1月)において、カメムシ雌成虫の抽出物中のEAD活性物質17物質(本発明の第四成分の物質同定を含む。しかし、誘引活性は不明。)を同定し、そのうち性フェロモンの主成分2成分(n−カプロン酸n−ヘキシル、n−カプロン酸(E)−2−ヘキセニル)を解明し、それらの成分をガラス細管、灰色ゴムセプタム、白色ゴムセプタムに担持した誘引製剤での誘引性を明らかにした(ホームページ上http://www.agri.pref.hokkaido.jpで公表)。
【0004】
さらに、性フェロモン三成分(n−カプロン酸n−ヘキシル:n−カプロン酸(E)−2−ヘキセニル:n−酪酸n−オクチル)の誘引性と最適混合比率(100:40:3)を解明し、ガラス細管製剤での性フェロモンの最適担持量(4.29−14.3μg/製剤)を報告した(文献1:Kakizaki and Sugie (2001) J.Chem.Ecol. 27:2447−2458.)。
【0005】
実際にモニタリングを行うときには、性フェロモンの放出量を長期にわたって安定させるため、従来は、例えばガラス細管やゴムセプタム類を用いた。ゴムセプタムを用いる誘引製剤としては、特許文献1がある。
【特許文献1】特開2005−47889
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の問題は二つある。
【0007】
第一に、既知の三成分のみを用いた誘引製剤では誘引性が不安定で捕獲虫数のばらつきがあり、精度の高い安定した調査を実現するには不十分であり、さらに誘引性を高める成分の付加などの検討が必要であった。
【0008】
第二に、性フェロモンを長期にわたって安定放出させる技術の問題である。性フェロモンを封入させたガラス細管は、ゴムセプタム類の製剤より優れた誘引性を示す。しかしながら、ガラス細管は破損し易く、取り扱いに注意を要する難点がある。
【0009】
また蛾類などの性フェロモンの誘引製剤の材質として多く用いられているゴムセプタム類では、性フェロモンの放出量が設置初期には多く、以降は急速に放出量が減少するという欠点がある。これは、性フェロモン物質の分子量が小さく揮発性の高い物質ほど顕著である。このため、誘引性が経時的に大きく変化し一定ではない。(参考文献:性フェロモン実験法(2)日本植物防疫協会編(1984)、平野・堀池著;製剤調整法 p.4−23)。本カメムシの性フェロモン物質の炭素数は8−12個で、蛾類の性フェロモン物質(炭素数14−22個)に比較すると分子量がかなり小さく揮発性が高い。このため、ゴムセプタム類を製剤に用いた場合、誘引製剤からの性フェロモンの放出速度は経時的に大きく変化するため、本カメムシに対する誘引性を一定に維持することは困難である。このように、既知の性フェロモン三成分をゴムセプタム類を担持しただけの誘引製剤では、安定した誘引性が持続されず、本カメムシの正確な発生消長を把握するのは困難であり、防除要否の判定など高精度な調査が求められる実用場面での使用には、目的を達成できない状況である。
【0010】
そこで、本発明の目的は、第一に、より安定した信頼性の高い誘引能力を発揮させるための成分改良を行う点にあり、第二に、改良したフェロモンを長期安定して空気中に放出可能とする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、請求項1に係るアカヒゲホソミドリカスミカメの性フェロモン徐放性誘引製剤は、誘引性のある性フェロモンとして知られるn−カプロン酸n−ヘキシル、n−カプロン酸(E)−2−ヘキセニル、n−酪酸n−オクチルに、第四の成分として酢酸n−ヘキシルを加える。これにより、誘引性能が向上することが確認された。
【0012】
請求項2は、第四の成分である酢酸n−ヘキシルを、第一成分(n−カプロン酸n−ヘキシル)の0.1〜0.3%を添加する。この程度の量を添加すると、特に優れた誘引性能が得られる。
【0013】
請求項3は、性フェロモンを長期安定して空気中に放出可能とする樹脂に関するもので、四成分からなる性フェロモン(n−カプロン酸n−ヘキシル、n−カプロン酸(E)−2−ヘキセニル、n−酪酸n−オクチル、酢酸n−ヘキシル)を徐放性の樹脂(例えばパラフィン)と均一に混練すると、樹脂からの揮発に従って性フェロモンが空気中に徐々に放散される。
【0014】
しかし、この場合でも性フェロモンの放出量は、諸条件、例えば設置後の経過日数、温度や湿度による変動があるために、さらに性フェロモンの透過性が異なる容器に装填する。
【0015】
請求項4は、開口をもった容器に、樹脂と混合させた性フェロモンを入れる。これによれば、性フェロモンの放出量を徐放性の樹脂からの放散スピードと容器の開口径によって調整可能となり、長期にわたって安定した結果を得ることが出来る。
【0016】
請求項5は、容器の素材に関するものである。容器は、性フェロモン(n−カプロン酸n−ヘキシル、n−カプロン酸(E)−2−ヘキセニル、n−酪酸n−オクチル、酢酸n−ヘキシル)を透過し徐放性を有する素材によって成形する。容器の素材が性フェロモンを透過する素材である場合は、容器素材の透過率により性フェロモンの放散スピードをコントロールし、開口を設けず性フェロモンを封入した場合であっても性フェロモンの誘引性能を発揮させることが出来る。
【0017】
請求項6は、樹脂と混合した性フェロモンを入れる容器の素材に関するものである。容器は、性フェロモン(n−カプロン酸n−ヘキシル、n−カプロン酸(E)−2−ヘキセニル、n−酪酸n−オクチル、酢酸n−ヘキシル)の透過率が低い素材(ほとんど透過させない素材)によって成形する。開口をもっている容器の場合は、開口径に応じた徐放性のコントロールがしやすく長期安定した誘引性能の保証が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1、2に係る誘引製剤によれば、従来の誘引製剤以上に高い誘引能力を発揮させることが可能となり、請求項3〜6に係る誘引製剤によれば、性フェロモンを長期にわたって安定量を空気中に放出させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明者は、前述の本カメムシの性フェロモンに係る課題について研究を行い、本カメムシ雌成虫の抽出成分および化学合成品を用いた野外誘引試験において誘引成分の探索と製剤作成法の検討を行うことによって、新規誘引成分を発見し、長期間徐放性製剤を見出した。本発明はこれらの知見にもとづいて完成されたものである。
【0020】
まず、本発明に係る誘引製剤の概略を説明する。
【0021】
誘引製剤となる性フェロモンの成分は、既知の性フェロモン三成分(第一成分n−カプロン酸n−ヘキシル:第二成分n−カプロン酸(E)−2−ヘキセニル:第三成分n−酪酸n−オクチル = 100:40:3(混合比の一例))に新規の第四成分(酢酸n−ヘキシル)を加えることにより誘引性が向上することが確認された。
【0022】
第四成分を、高濃度で添加した場合、誘引抑制作用を示すことがあるため、第四成分は、第一成分(n−カプロン酸n−ヘキシル)の量に対して0.1〜0.3%の範囲で加えることが好ましい。このことにより、既知三成分のみの場合より誘引性が1.2〜2.3倍に向上し、捕獲数のばらつきが少くなり誘引性が安定し、誘引性の向上に関して優れた効果を発揮する。具体的な実験結果は、下記の実施例において述べる。
【0023】
次に、このような四成分からなる性フェロモンを、長期にわたって安定して空気中に放散して効果を得るため、徐放性材質(参考文献:Atterholt et al. (1999) J. Controlled Release 57: 233−247.)として報告のあるパラフィン(パラフィンワックス)などの樹脂に、四成分からなる性フェロモンを混合させる。
【0024】
性フェロモンのパラフィン樹脂に対する添加量は、第一成分(n−カプロン酸n−ヘキシル)の量を基準として1〜10000μg/樹脂g(0.001〜10mg/樹脂g)の相当量、好ましくは30〜1000μg/樹脂g(0.03〜1.0mg/樹脂g)の相当量の範囲で、より好ましくは100μg/樹脂g(0.1mg/樹脂g)の相当量で添加・混合して、パラフィンを固め成形する。
【0025】
1個の製剤(誘引製剤)として用いるパラフィン樹脂の量は、0.1〜100gの範囲、好ましくは0.5〜3gであるが、容器に入れる場合には0.5〜1g程度を目安とすることが望ましい。
【0026】
次に、既知の三成分に新規の成分を加えた性フェロモンを用いモニタリングを具体的に行う最良の形態について説明する。
【0027】
アカヒゲホソミドリカスミカメの既知の性フェロモン三成分(n−カプロン酸n−ヘキシル:n−カプロン酸(E)−2−ヘキセニル:n−酪酸n−オクチル)に第四成分(酢酸n−ヘキシル)を0.1〜0.3%添加した性フェロモンの混合物を、第一成分(n−カプロン酸n−ヘキシル)の量を基準として30〜1000μg/樹脂g(0.03〜1.0mg/樹脂g)の割合でパラフィン樹脂(融点50〜52℃)に添加・混合して固化させたもの0.3〜1gを、性フェロモンが難透過性の(ほとんど透過しない)素材の容器(例えばポリプロピレン製、ガラス瓶、または金属容器製等;開放口の面積0.3〜0.8cm2程度)に入れ、その開放口の大きさで放出量をコントロールした誘引製剤が、最も好ましい実施の形態である。
【0028】
樹脂に添加する性フェロモンの各有効成分の含有量および比率は、設置環境など使用諸条件により適宜定めることができる。
【0029】
性フェロモンの徐放性の材質として、固形パラフィンを用いるが、各融点のものを状況に応じて使用できる。なお、固形パラフィン以外にも徐放性の材料として流動パラフィン、ワックス類、および徐放性の各種樹脂を使用できる。
【0030】
性フェロモンを添加した樹脂はそのままでも使用出来る。従来のものよりも誘引性も高く、徐放性も優れるからである。しかしながら、好ましくは、徐放性をより高度に担保するため、性フェロモンの成分がある程度透過する材質を用いた容器、例えばポリエチレン製など、あるいは、性フェロモンの成分が透過しにくい難透過性の材質を用いた容器、例えばポリプロピレン製、ポリスチレン製、フッ素樹脂製、ガラス製、金属製などの容器であって、徐放性を保ちやすい開放口径をもったものに装填して使用する。容器の形状は任意である。既存の製品容器も利用できる。
【0031】
誘引製剤の使用にあたっては、紫外線吸収剤、例えばブチルヒドロキシトルエン、ビタミンE等の抗酸化剤や2−ヒドロキシ−4−オクトベンゾフェノン等をパラフィンや容器材料に適量加えてもよい。
【実施例】
【0032】
実施例1
以下に、新規成分(第四成分)の添加量に関する実施例を例示する。
供試誘引製剤は、既知の性フェロモン三成分(第一成分:第二成分:第三成分=100:40:3)に、第四成分を第一成分量の0.03〜10%の範囲で混合し、これを60〜70℃で溶かした固形パラフィン樹脂(融点50〜52℃、他の実施例も同様)に第一成分の量で100μg/樹脂g(0.1mg/樹脂g)の相当量を添加・混和したもの0.8gを、ポリエチレン容器に入れて固めたものを使用した。
【0033】
ポリエチレン容器は、長さ18.9mm、径8.1mm、肉厚0.75mmのものを使用した。このポリエチレン容器は市販品のものを使用できる。
【0034】
これをイタリアンライグラスの牧草ほ場の地面に約10m間隔で設置し、各トラップへの捕獲数を毎日〜数日毎に調査した。調査期間の捕獲数を合計し、平均誘引数を算出した。これを表1に示す。
【0035】
【表1】


【0036】
この試験結果を見ると、第四成分を第一成分に対して0.1〜0.3%加えることにより、既知三成分のみの誘引製剤よりも誘引数が増加していることがわかる。この試験例では、第四成分の添加率が10%超えると誘引数は既知三成分のみの場合より少なくなり、高濃度での誘引抑制効果がみられたが、この性質(添加濃度)は製剤材質で異なっている。
【0037】
実施例2。
次に、合成性フェロモンの固形パラフィン樹脂への添加量の検討として、固形パラフィン1gに対して合成性フェロモン三成分(前述の混合比)を第一成分の量として10〜1000μg/樹脂g(0.01〜1.0mg/樹脂g)の範囲で添加し、その樹脂0.8gをポリエチレン容器(前述)に入れた製剤を作成し、実施例1と同様な方法で野外での誘引性を比較した。
【0038】
固形パラフィン樹脂1g当たりの合成性フェロモンの添加量は第一成分量で30μg〜1000μg/樹脂g(0.03〜1.0mg/樹脂g)の範囲で誘引性が高く、特に100μg/樹脂g(0.1mg/樹脂g)が最も誘引性が優れていた。
【0039】
【表2】


【0040】
実施例3。
製剤からの性フェロモンの放出量を確認するため、固形パラフィン樹脂1gに対して合成フェロモン三成分の混合物(前述の混合比)を第一成分量で100μg/樹脂g(0.1mg/樹脂g)を添加した樹脂0.8gを、そのまま成形(径8mm、長さ16mmの短円筒形)した製剤、および、その樹脂をポリプロピレン製容器(長さ38.5mm、口径8.9mm(開放口の面積約62mm2)、肉厚0.75mm、スピッチ型のチューブ、フタなし:本材質は本カメムシの性フェロモンは難透過性)に入れた製剤を作成した。これらの製剤を、室内一定温度条件(22℃)のドラフト内に設置して、設置後80日間にわたり各製剤から放出した性フェロモンを、ポーラパックQに吸着させガスクロマトグラフィー装置で分析し、第一成分の毎時放出量(ng/hr)を比較した。
【0041】
合成性フェロモンの放出量は、固形パラフィン樹脂のみの製剤(無容器)では、設置当日から80日間に漸減傾向がみられ変動がみられた。一方、この樹脂をポリプロピレン容器に入れた製剤では60日間にわたりほぼ一定の放出量が維持された。これを図1に示す。
【0042】
実施例4。
野外での誘引性の持続期間を確認するために、合成性フェロモン四成分(第一成分:第二成分:第三成分:第四成分 =100:40:3:0.1)を第一成分量で100μg/樹脂g(0.1mg/樹脂g)の相当量を添加した固形パラフィン樹脂0.8gをポリプロピレン容器(前述)入れた誘引製剤を付けたトラップを、3時期(5月下旬、7月中旬、8月下旬)にほ場(水田畦畔)に設置し、誘引の持続性を比較した。
【0043】
本誘引製剤の5月下旬および7月中旬設置区は、10月中旬まで8月下旬設置とほぼ同じ誘引消長を示し、本製剤が少なくとも3ヶ月間以上は一定の誘引性が持続していることを確認した。また、この実施例で、仮に途中で製剤を交換したとしても新旧の製剤で誘引数が変動することは少ないことを確認し、本誘引製剤がモニタリング用の製剤として安定した誘引性が長期間持続していることを確認した。これを図2に示す。
【0044】
また、本調査での誘引製剤を付けた性フェロモントラップによる誘引消長と従来の調査法である「すくい取法」による捕獲消長と比較を行った結果、性フェロモントラップはすくい取り法より約5倍捕獲虫数が多く、明瞭な消長が得られ、簡易で精度の高い調査法であることを確認した。
【0045】
なお、ポリプロピレン容器1に固形パラフィン樹脂2を詰めて固化させた状態を図3に例示する。固形パラフィン樹脂2は四つの成分からなる性フェロモンを担持している。3は、性フェロモンを放出する開口である。フタはあってもなくても良い。モニタリング時にはフタを開放して用いるからである。
【0046】
また図4は、製剤(1)を設置する網円筒トラップ5を例示するものである。網円筒トラップ5は、5mm目の黒色ポリエチレン製網を長さ30cm、径6cmの円筒状のものである。これを地面に垂直に立て、網に粘着スプレーを吹き付けてから、網円筒トラップ5の内部に製剤(1)を吊した。6は、紐である。開口3は下向きに開放されている。これをほ場に設置する。
【0047】
本発明による誘引製剤は、このような網円筒トラップの他に、各種のトラップに付けて使用できる。トラップは、調査目的に応じて水田などのほ場や本種の発生源となる周辺の畦畔やイネ科牧草地・雑草地などに適当な数を設置し、トラップは作物表層面のやや上に設置する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例に係る性フェロモンの放出量推移を示すグラフ図である。
【図2】実施例に係る誘引性の持続期間を確認したグラフ図である。
【図3】実施例に係る容器を例示する図である。
【図4】実施例に係る網円筒トラップを例示する図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ポリプロピレン容器
2 固形パラフィン樹脂
3 開口
5 網円筒トラップ
6 紐
【出願人】 【識別番号】591190955
【氏名又は名称】北海道
【出願日】 平成19年3月30日(2007.3.30)
【代理人】 【識別番号】100099014
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 滿茂


【公開番号】 特開2008−247863(P2008−247863A)
【公開日】 平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願番号】 特願2007−94023(P2007−94023)