| 【発明の名称】 |
農薬 |
| 【発明者】 |
【氏名】志岐 和博
|
| 【要約】 |
【課題】光触媒を農薬として良好に作用させること。
【構成】本発明では、植物に向けて散布して使用する粉末状の農薬において、粉末状の光触媒と粉末状のアパタイトとを混合することにした。また、本発明では、前記光触媒は、前記アパタイトよりも小径のものを用いることが望ましく、前記アパタイトよりも含有量を少なくすることが望ましい。また、前記光触媒は、可視光応答型二酸化チタンを含有し、前記アパタイトは、天然アパタイトを用いることが望ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物に向けて散布して使用する粉末状の農薬において、 粉末状の光触媒と粉末状のアパタイトとを混合したことを特徴とする農薬。 【請求項2】 前記光触媒は、前記アパタイトよりも小径のものを用いることを特徴とする請求項1に記載の農薬。 【請求項3】 前記光触媒は、前記アパタイトよりも含有量を少なくしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の農薬。 【請求項4】 前記光触媒は、可視光応答型二酸化チタンを含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の農薬。 【請求項5】 前記アパタイトは、天然アパタイトを用いることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の農薬。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、植物に向けて散布して使用する粉末状の農薬に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来より、植物を病害などから守るために、農薬が広く利用されているが、その一方で、残留農薬による人体への影響などが問題視されている。 【0003】 そのため、近年では、人体や環境への影響を考慮して、無機物である二酸化チタンの光触媒作用に注目して、二酸化チタンを農薬として利用することが考えられている(たとえば、特許文献1参照。)。 【0004】 【特許文献1】特開平11−343209号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 ところが、二酸化チタンに代表される光触媒は、紫外線の照射によってOHラジカルを発生し、このOHラジカルによって有機物を分解する作用を有しているために、植物に害を及ぼす病原菌や害虫に対して有効に作用するものの、それだけでなく、植物の葉や茎や実などの植物体自体の表面をも分解してしまう作用がある。 【0006】 そのため、単に粉末状の二酸化チタンを植物に向けて散布したのでは、植物に多大なる影響を与えてしまうおそれがあり、農薬としての使用には適していなかった。 【0007】 特に、二酸化チタンは付着性が低いために、植物の表面に長期間にわたって付着させておくことができず、農薬として使用する場合には、大量の二酸化チタンを散布しなければならず、植物の表面を白色化してしまい、この点からも農薬としての使用には適していなかった。 【0008】 しかも、近年では、紫外線が植物に与える影響も考慮して、紫外線カットフィルムで被覆されたハウス内で植物の栽培が行われることが多くなってきており、これに伴って、植物に照射される紫外線の量が減少しており、益々大量の二酸化チタンを使用せざるを得ず、コスト面からも農薬としての使用には適していなかった。 【課題を解決するための手段】 【0009】 そこで、請求項1に係る本発明では、植物に向けて散布して使用する粉末状の農薬において、粉末状の光触媒と粉末状のアパタイトとを混合することにした。 【0010】 また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記光触媒は、前記アパタイトよりも小径のものを用いることにした。 【0011】 また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記光触媒は、前記アパタイトよりも含有量を少なくすることにした。 【0012】 また、請求項4に係る本発明では、前記請求項1〜請求項3のいずれかに係る本発明において、前記光触媒は、可視光応答型二酸化チタンを含有することにした。 【0013】 また、請求項5に係る本発明では、前記請求項1〜請求項4のいずれかに係る本発明において、前記アパタイトは、天然アパタイトを用いることにした。 【発明の効果】 【0014】 そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。 【0015】 すなわち、請求項1に係る本発明では、植物に向けて散布して使用する粉末状の農薬において、粉末状の光触媒と粉末状のアパタイトとを混合することにしているために、アパタイトが展着剤として機能して植物の表面に付着し、そのアパタイトの吸着性によってアパタイトの表面に光触媒が吸着されることになる。 【0016】 そのため、植物の表面に長期間にわたって光触媒をアパタイトを介して付着させることができ、農薬としての効果を持続させることができ、また、植物の表面に光触媒が直接的に付着してしまうのを防止することができるので、光触媒の作用で植物自体の表面が分解されてしまうのを防止することができる。 【0017】 しかも、光触媒とアパタイトとを混合しているために、光触媒の使用量を低減することができ、農薬としてのコストを低減することができる。 【0018】 また、アパタイトの吸着性によって病原菌や微生物を吸着することができ、光触媒による殺菌作用や殺虫作用を向上させることができる。 さらに、アパタイトには肥料成分としてのリンが含有されているために、植物の表面から地面に落下したアパタイトが肥料として植物の成長を促成させることができる。 【0019】 また、請求項2に係る本発明では、光触媒としてアパタイトよりも小径のものを用いているために、比較的大径のアパタイトの表面に比較的小径の光触媒を良好に吸着させることができ、植物の表面に光触媒が直接的に付着してしまうのを確実に防止することができる。 【0020】 また、請求項3に係る本発明では、光触媒の含有量をアパタイトの含有量よりも少なくしているために、比較的多量のアパタイトの表面に比較的少量の光触媒を良好に吸着させることができるので、植物の表面に光触媒が直接的に付着してしまうのを確実に防止することができ、しかも、光触媒の使用量を低減することができるので、農薬のコストを低減することができる。 【0021】 また、請求項4に係る本発明では、光触媒として可視光応答型二酸化チタンを含有しているために、紫外線の照射量の少ない場所でも光触媒の殺菌作用や殺虫作用を発揮させることができ、農薬として有効に作用させることができる。 【0022】 また、請求項5に係る本発明では、アパタイトとして天然アパタイトを用いているために、特定防除資材(特定農薬)として指定された農薬とすることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0023】 本発明に係る農薬は、光触媒の殺菌作用や殺虫作用を利用して植物に害を及ぼす病原菌や害虫を除去し、植物の成長を補助し促成するものであり、一般に利用されている薬剤散布器を用いて植物に向けて散布して使用される粉末状の農薬である。 【0024】 そして、本発明では、粉末状の光触媒と粉末状のアパタイトとを混合した組成物となっている。なお、増量剤として、クレー、タクル、炭酸カルシウム、珪藻土、ゼオライトのいずれか一種又は二種以上の混合物を添加することもできる。 【0025】 このように、粉末状の光触媒と粉末状のアパタイトとを混合した農薬とすることで、植物に向けて散布した場合に、展着性が光触媒に比べて良好なアパタイトが植物の表面に付着することになる。 【0026】 また、粉末状の光触媒と粉末状のアパタイトとを混合した農薬とすることで、吸着性が光触媒に比べて良好なアパタイトが光触媒を吸着することになる。 【0027】 その結果、植物の表面には主にアパタイトが直接的に付着し、そのアパタイトの表面に光触媒が付着することになり、植物の表面に光触媒がアパタイトを介して付着した状態となる。 【0028】 これにより、光触媒だけを植物に向けて散布する場合に比べて、アパタイトの展着性によって長期間にわたって植物の表面に光触媒をアパタイトを介して付着させ続けることができ、光触媒の作用による農薬としての効果を持続させることができる。 【0029】 また、光触媒だけを植物に向けて散布する場合と異なって、植物の表面に光触媒が直接的に付着してしまうのを防止することができるので、光触媒の作用で植物自体の表面が分解されてしまうのを防止することができる。 【0030】 しかも、光触媒とアパタイトとを混合しているために、光触媒だけを農薬として用いる場合に比べて、光触媒の使用量を低減することができ、農薬としてのコストを低減することができる。 【0031】 また、アパタイトを含有しているために、吸着性が光触媒に比べて良好なアパタイトによって植物の表面や近傍に存在する病原菌や微生物を吸着することができ、光触媒だけを農薬として用いる場合に比べて、光触媒による殺菌作用や殺虫作用を向上させることができる。 【0032】 さらに、アパタイトを含有しているために、アパタイトに含有される肥料成分としてのリンの作用で植物の表面から地面に落下したアパタイトが肥料として植物の成長を促成させることができる。 【0033】 ここで、光触媒は、光の照射によってOHラジカルを発生し、有機物を分解する能力がある物質であり、金属酸化物(TiO2、ZnO、NiO、Cu2O)や金属硫化物(ZnS、CdS、HgS)や金属セレン化物(CdSe)などがある。 【0034】 特に、光触媒としては、入手性や機能性の面を考慮すると二酸化チタンが好ましく、近年の紫外線カットフィルムを使用したハウス内での使用をも考慮すると可視光応答型二酸化チタンが好ましい。また、光触媒として、一般的な二酸化チタンと可視光応答型二酸化チタンとを混合したものを用いてもよい。 【0035】 このように、光触媒として可視光応答型二酸化チタンを含有させた場合には、紫外線カットフィルムを使用したハウスのように紫外線の照射量の少ない場所でも光触媒の殺菌作用や殺虫作用を発揮させることができ、農薬として有効に作用させることができる。 【0036】 一方、アパタイトは、フッ素燐灰石(Ca5F(PO4)3)や塩素燐灰石(Ca5Cl(PO4)3)や水酸燐灰石(Ca5(OH)(PO4)3)や炭酸燐灰石(Ca5F(CO3)3、Ca5Cl(CO3)3、Ca5(OH)(CO3)3)などを用いることができ、地中から産出される鉱物や焼成骨粉のような天然アパタイトでもよく、人工的に化学合成した人工アパタイトでもよい。 【0037】 特に、アパタイトとしては、焼成骨粉に代表される天然アパタイトが好ましく、この場合には、特定防除資材(特定農薬)として指定された農薬とすることができる。 【0038】 そして、光触媒としては、粒径が30nm〜500nmのものを用い、一方、アパタイトとしては、粒径が1μm〜100μmのものを用いることが好ましく、光触媒の粒径をアパタイトの粒径よりも小さくすることが好ましい。 【0039】 このように、光触媒としてアパタイトよりも小径のものを用いた場合には、比較的大径のアパタイトの表面に比較的小径の光触媒を良好に吸着させることができ、植物の表面に光触媒が直接的に付着してしまうのを確実に防止することができる。 【0040】 また、光触媒の含有量は、30重量%以下が好ましく、光触媒の含有量をアパタイトの含有量よりも少なくすることが好ましい。 【0041】 このように、光触媒の含有量をアパタイトの含有量よりも少なくした場合には、比較的多量のアパタイトの表面に比較的少量の光触媒を良好に吸着させることができるので、植物の表面に光触媒が直接的に付着してしまうのを確実に防止することができ、しかも、光触媒の使用量を低減することができるので、農薬のコストを低減することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】303054560 【氏名又は名称】猿田志岐農産有限会社
|
| 【出願日】 |
平成18年8月8日(2006.8.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100114661 【弁理士】 【氏名又は名称】内野 美洋
|
| 【公開番号】 |
特開2008−37816(P2008−37816A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月21日(2008.2.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−215535(P2006−215535) |
|