| 【発明の名称】 |
ニームオイルの精製方法及び当該方法により得られた生成物を用いた害虫忌避剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】竹野 芳廣
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| 【要約】 |
【課題】アザジラクチンを高濃度で含有するニームオイルの精製方法を提供することを解決課題とする。また、アザジラクチンが酸化しにくく、長期間効果が持続するニームオイルの精製方法を提供することも解決課題とする。
【構成】下記の工程1乃至4よりなることを特徴とするニームオイルの精製方法に関する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の工程1乃至3よりなることを特徴とするニームオイルの精製方法。 (工程1)ニーム抽出液を加水分解し、甘水を得る工程 (工程2)該甘水を、アザジラクチン吸着性物質に噴霧する工程 (工程3)甘水を噴霧したアザジラクチン吸着性物質を遠心して、該アザジラクチン吸着性物質から分離された液体を、ニームオイルとして回収する工程 【請求項2】 前記工程1乃至3の後に、前記ニームオイルを、シクロデキストリンにより包接する工程を行うことを特徴とする請求項1記載のニームオイルの精製方法。 【請求項3】 前記アザジラクチン吸着性物質が木片を湿熱処理したものであることを特徴とする請求項1又は2記載のニームオイルの精製方法。 【請求項4】 前記木片が杉の木片であることを特徴とする請求項3記載のニームオイルの精製方法。 【請求項5】 請求項1乃至4いずれか記載のニームオイルの精製方法により精製されたニームオイルを含有する害虫忌避剤。 【請求項6】 請求項3又は4記載のニームオイルの精製方法において、工程3での遠心処理後に得られるアザジラクチン吸着性物質を用いた害虫忌避剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明はニームオイルの精製方法及び当該方法により得られた生成物を用いた害虫忌避剤に関し、より詳しくは、高濃度のアザジラクチンを含有するニームオイルの精製方法及び当該方法により得られた生成物を用いた害虫忌避剤に関する。 【背景技術】 【0002】 ニーム(英語名:Neemtree)は、東南アジアから中近東に自生する広葉樹であり、学名をAzadirachta indica A.JUSS、Melia azadiracta L、Melia indica BRANDISDEARUという。 また、ニームの樹皮、葉、枝、根、花、実、種子等の部位から抽出されるニームオイルに、害虫忌避効果があることは古くから知られており、農薬や害虫忌避剤として利用するための研究も数多く行われている。 【0003】 ニームオイル中の害虫忌避成分は、3乃至4の化合物の混合体を主要な構造として有している。そして、ニームではこれらの化合物を用いて、20通り、或いはそれ以上の混合体を生成している。また、これらの混合体の生成量は少量であるが、活発に働き、害虫忌避成分として有効に作用している。 これらの混合体は、一般的にはトリテルペン、専門的にはリモイド(limonoid)と呼ばれる天然の生成物である。具体的には、アザジラクチン(azadirachtin)、サラニン(salanin)、メリアントリオール(meliantriol)及びニムビンジン(nimbidin)等のリモノイドが挙げられる。 【0004】 なかでも、アザジラクチンは害虫忌避剤の主成分として特に広く知られている。その理由は、アザジラクチンが虫の成長や繁殖を抑制或いは阻害する成長抑制物質として有効な物質であるからだとされている。 なお、アザジラクチンの化学式を以下に示す。 【0005】 【化1】
【0006】 アザジラクチンの成長抑制物質としての作用を以下説明する。 アザジラクチンは「エクディソン」と呼ばれる昆虫ホルモンと構造的に近似している。エクディソンは昆虫が幼虫から蛹を経て成虫になる変態プロセスを制御しているホルモンである。アザジラクチンはエクディソンと似た構造を有するため、エクディソンを昆虫の体内で生成、供給することを阻害している。そのため、昆虫が変態することができず、昆虫のライフサイクルが破壊される。 このようなアザジラクチンの成長抑制物質としての性質が害虫忌避剤として有効に働く所以である。 【0007】 一方、ニームオイルを抽出する方法としては、ニーム種子等を圧縮する方法や、メタノール、エタノール等の有機溶媒、水、これらの混液等により、ニーム種子等からニームオイルを抽出する方法が一般的である。また、誘電率10以下の有機溶媒で抽出処理し、その抽出残査から誘電率15〜35の親水性溶媒を用いて抽出する方法も開示されている(下記特許文献1及び2参照)。 【0008】 しかしながら、上記方法で抽出したニームオイルは、アザジラクチンの濃度が2000ppm程度と非常に低いものであった。このようなニームオイルを害虫忌避剤として利用した場合、油脂成分の割合が高いため、油脂成分が固化してしまうといった問題が生じる。油脂が固化すると、アザジラクチンが害虫忌避剤として有効に働かないため、ニームオイルの油脂成分の多い場合、害虫忌避剤としての効果を長時間持続させることが困難となる。 また、アザジラクチンは酸化が早いといった問題もある。当該酸化も、効果を長時間持続させることを妨げる要因となっている。 【0009】 【特許文献1】特開昭57−38719号公報 【特許文献2】特開昭57−38720号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、アザジラクチンを高濃度で含有するニームオイルの精製方法を提供することを解決課題とする。また、アザジラクチンが酸化しにくく、長期間効果が持続するニームオイルの精製方法を提供することも解決課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0011】 請求項1に係る発明は、下記の工程1乃至3よりなることを特徴とするニームオイルの精製方法に関する。 (工程1)ニーム抽出液を加水分解し、甘水を得る工程 (工程2)該甘水を、アザジラクチン吸着性物質に噴霧する工程 (工程3)甘水を噴霧したアザジラクチン吸着性物質を遠心して、該アザジラクチン吸着性物質から分離された液体を、ニームオイルとして回収する工程 【0012】 請求項2に係る発明は、前記工程1乃至3の後に、前記ニームオイルを、シクロデキストリンにより包接する工程を行うことを特徴とする請求項1記載のニームオイルの精製方法に関する。 【0013】 請求項3に係る発明は、前記アザジラクチン吸着性物質が木片を湿熱処理したものであることを特徴とする請求項1又は2記載のニームオイルの精製方法に関する。 【0014】 請求項4に係る発明は、前記木片が杉の木片であることを特徴とする請求項3記載のニームオイルの精製方法に関する。 【0015】 請求項5に係る発明は、請求項1乃至4いずれか記載のニームオイルの精製方法により精製されたニームオイルを含有する害虫忌避剤に関する。 【0016】 請求項6に係る発明は、請求項3又は4記載のニームオイルの精製方法において、工程3での遠心処理後に得られるアザジラクチン吸着性物質を用いた害虫忌避剤に関する。 【発明の効果】 【0017】 請求項1に係る発明によれば、ニーム抽出液を加水分解し、甘水を得る工程、該甘水を、アザジラクチン吸着性物質に噴霧する工程、甘水を噴霧したアザジラクチン吸着性物質を遠心して、該アザジラクチン吸着性物質から分離された液体を、ニームオイルとして回収する工程を経ることによって、高濃度のアザジラクチンを含有するニームオイルを精製することができる。 【0018】 請求項2に係る発明によれば、工程1乃至3の後に、ニームオイルを、シクロデキストリンにより包接することにより、アザジラクチンの酸化を防ぐことができ、アザジラクチンの害虫忌避効果を長時間持続させることができる。 【0019】 請求項3に係る発明によれば、アザジラクチン吸着性物質が木片を湿熱処理したものであることにより、工程3での遠心処理を経た後のアザジラクチン吸着性物質がテルペンを放出する物質となる。そのため、当該アザジラクチン吸着性物質に害虫忌避性を持たせることができる。 【0020】 請求項4に係る発明によれば、木片が杉の木片であることにより、工程3での遠心処理を経た後のアザジラクチン吸着性物質からのテルペンの放出量がさらに向上する。 【0021】 請求項5に係る発明によれば、害虫忌避剤として、請求項1乃至4いずれか記載のニームオイルの精製方法により精製されたニームオイルを用いることにより、高品質で、安全性の高い害虫忌避剤となる。また、油脂成分が少ないため、油脂の固化による害虫忌避剤としての効果の減少を防ぐことができる。そのため、長期間使用可能な害虫忌避剤となる。 さらに、シクロデキストリンで包接することにより、アザジラクチンの酸化を防ぐことができる。そのため、さらに長期間、高い効果を維持した状態で、害虫忌避剤として使用することができる。 【0022】 請求項6に係る発明によれば、害虫忌避剤として、請求項3又は4記載のニームオイルの精製方法において、工程3での遠心処理を経た後のアザジラクチン吸着性物質を用いることにより、安全で、高品質の害虫忌避剤を得ることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0023】 以下、本発明に係るニームオイルの精製方法を説明する。なお、下記の記載により本発明は何ら限定されるものではない。 【0024】 本発明に係るニームオイルの精製方法は、ニーム(学名:Azadirachta indica A.JUSS、Melia azadiracta L、Melia indica BRANDISDEARU)から抽出したニーム抽出液を精製する方法である。 ニーム抽出液は、例えば、ニーム種子を粉砕し、圧搾機で抽出して、未脱油ケーキのさらなる抽出のためにn−ヘキサンに浸すことにより得ることができる。 なお、この時点でのニーム抽出液のアザジラクチンの濃度は2000ppm程度である。 【0025】 その後、当該ニーム抽出液を以下の工程1乃至3を経て精製する。 (工程1)ニーム抽出液を加水分解し、甘水を得る工程 (工程2)該甘水を、アザジラクチン吸着性物質に噴霧する工程 (工程3)甘水を噴霧したアザジラクチン吸着性物質を遠心して、該アザジラクチン吸着性物質から分離された液体を、ニームオイルとして回収する工程 以下、夫々の工程について説明する。 【0026】 まず、工程1について説明する。 工程1では、ニーム抽出液を加水分解により、脂肪酸と甘水に分解・分離する。ここで甘水とは、分解水にグリセリンが溶解したものをいう。 ニーム抽出液を加水分解することにより、アザジラクチンを含む種々のグリセリンを含有する甘水を得ることができる。 【0027】 加水分解を行う方法は特に問わないが、本発明において精製されたニームオイルを大量に精製するためには所謂工業的分解法が好ましい。工業的分解法としては、Twitchell法、中圧触媒分解法、連続高圧分解法が挙げられる。 以下、代表的な連続高圧分解法であるColgate-Emery(C.E)法について説明する。 【0028】 C.E法は最も広く採用されている方法の一つで、分解率は98から99%と高いものである。 図1は、C.E法による加水分解に用いる装置100の概略図である。 装置100は、抽出液導入パイプ1、原料脱気器2、分解塔3、取出し蒸発缶4、分解水導入パイプ5、甘水排出パイプ6、脂肪酸排出パイプ7により構成される。 【0029】 まず、ニーム抽出液は、抽出液導入パイプ1から導入される。そして原料脱気器2により脱気され、その後、分解塔3に導入される。 分解塔3では、原料脱気器2により脱気されたニーム抽出液を、分解水と反応させて、加水分解を行う。 分解塔3内部は、耐圧鋼鉄製で、耐酸ステンレスを内張りした円筒形反応器であり、トレイ式熱交換器31、油脂分散圧入用多孔リング32、甘水引出し用パイプ33、制御装置34、脂肪酸取り出し用パイプ35、分解水分散圧入用多孔リング36が備えられている。 また、分解塔3は、高圧蒸気の直接吹き込みによって、温度が250℃から260℃、圧力が50kgf/cm2Gから55kgf/cm2Gに保たれている。 【0030】 ここで、油脂分散圧入用多孔リング32から圧入されたニーム抽出液は甘水層を通って上昇する。 一方、分解水は分解導入パイプ5を経て分解水分散圧入用多孔リング36から導入される。そして、分解塔3上部からトレイ式熱交換器31を経由して分解塔3内部を向流下降する。この時、分解水はニーム抽出液及び脂肪酸との比重差により生成したグリセリン(アザジラクチンを含む)を溶解して甘水となる。 そして、生成した脂肪酸は塔頂の脂肪酸取り出し用パイプ35から取り出され、脂肪酸排出パイプ7から排出される。一方甘水は、塔底の甘水引出し用パイプ33から取り出され、甘水排出パイプ6から排出される。 【0031】 C.E法では、分解塔3が高温高圧状態を維持しているので、油相への水の溶解度を増大させることができる。加えて、連続的に加水することにより生成したグリセリンを系外へ取り出し、加水分解における平衡を解消することができる。また、連続的に一定の条件で操作されるため、同一原料からは常に一定品質の脂肪酸と甘水を得ることができる。 【0032】 次いで、工程2について説明する。 図2は工程2を示す模式図であり、噴霧器11から工程1で得られた甘水15をアザジラクチン吸着性物質12に噴霧している様子を示している。 工程2を行うことにより、甘水15を濃縮して、アザジラクチンのみをアザジラクチン吸着性物質12に吸着することができる。なお、アザジラクチン以外の成分は吸着されずに、排水層14に落下する。 【0033】 この時、甘水15は、噴霧時の温度が31.5℃以上であることが好ましい。甘水の噴霧時の温度が31.5℃より低い場合、甘水15中の油脂成分が固化してしまい、適当な噴霧・濃縮ができないからである。 また、甘水15の噴霧時の温度条件としては、65.0℃以上であることがさらに好ましい。65.0℃以上であることにより、甘水15の固化が殆ど生じないからである。加えて、甘水15中の水分も蒸発しやすくなるため、アザジラクチンの濃縮をさらに効率的に行うことができる。なお、あまり温度を上げすぎると、アザジラクチンの構造が変化する等するため、実際には、65.0℃〜75.0℃程度で行うことが好ましいが、当該温度条件に限定されるわけではない。 【0034】 さらに、アザジラクチン吸着性物質12の周辺には、ヒーター13が備えられている。ヒーター13により、アザジラクチン吸着性物質が一定温度雰囲気下におかれ、噴霧された甘水15の温度が低下して、固化することを防ぐことができる。加えて、甘水中の水分の蒸発を促進させる働きもあり、より効率的にアザジラクチンの濃縮を行うことができる。なお、ヒーター13の温度条件としては、アザジラクチン吸着性物質のおかれている雰囲気温度を50℃程度に保つ条件が挙げられる。 【0035】 加えて、甘水15が噴霧されているため、水分の蒸発がより顕著に起こり、アザジラクチンの濃縮をさらに促進することができる。 甘水を噴霧する噴霧機としては、人力噴霧器でも、動力噴霧器でもよいが、噴霧された甘水の粒径が小さいほうが好ましい。粒経が小さいほうが、水分が蒸発しやすく、アザジラクチンも濃縮されやすいからである。 【0036】 また、アザジラクチン吸着性物質としては木片を湿熱処理したものが好ましい。これにより、アザジラクチンを効率良く吸着させるだけでなく、工程3を経た後の残渣木片がテルペンを多く放出する物質となるからである。 テルペンとは、植物の精油成分から得られる化学物質の総称であり、テルペンの基本骨格は炭素数5個のイソプレンという成分単位の倍数になっている。 さらに、アザジラクチン吸着性物質となる木片を湿熱処理しているため、木片の細胞壁が破壊され、テルペンがより多く放出される。 また、テルペンは、害虫忌避性を有しているため、残渣木片は、害虫忌避剤として好適に利用可能である。詳しくは後述する。 【0037】 また、木片としては、杉、広葉樹、アカマツ等の木片が挙げられるが、中でも杉の木片が好ましい。杉の木片を使用することで、テルペンが多く放出される残渣木片が得られるからである。 なお、アザジラクチン吸着性物質12としては、上記木片に限られるわけではなく、ガラスや麦飯石等も挙げることができる。なお、ガラスや麦飯石等の構造は、固体粉末を焼結等して得られた多結晶体等が挙げられる。多結晶体であることにより、噴霧された甘水が吸着されやすい。 【0038】 工程3は、工程2を経た後、甘水を噴霧したアザジラクチン吸着性物質を遠心して、高濃度アザジラクチン溶液を得る工程である。 工程2を経たアザジラクチン吸着有機物は、高濃度のアザジラクチンが吸着しているため、遠心分離を行い、吸着しているアザジラクチン溶液を回収することで、高濃度のアザジラクチンを含有するニームオイルを得ることができる。 【0039】 また、工程2及び3は、複数回繰り返し行ってもよい。複数回繰り返すことで、さらに高濃度のアザジラクチンを含有するニームオイルを得ることができる。 本願発明者らは、上記方法により、50万ppm程度の高濃度のアザジラクチンを含有するニームオイルを得ることに成功している。なお、工程2及び3をさらに繰り返すことで、アザジラクチン濃度が50万ppm以上のニームオイルを得ることも可能である。 【0040】 上記したように、工程1乃至3を経ることで、高濃度のアザジラクチンを含有するニームオイルを得ることができる。 当該ニームオイルは、従来にない高濃度のアザジラクチンを含むニームオイルではあるが、その後さらに、当該ニームオイルをシクロデキストリン(以下、CDと略すこともある)により包接することが好ましい。以下、当該包接する工程を工程4と称す。 【0041】 ここで包接とは、CD中にゲスト分子(アザジラクチン)の全体又はその一部を取り込み、包接複合体を形成することをいう。 CDは水溶液中で疎水性空洞を有し、脂溶性物質を中心とする各種ゲスト分子を取り込む性質(包接機能)を有する。即ち、CDは分子内に疎水性空洞を有する単分子的ホスト分子に分類され、様々なゲスト分子を取り込む。CDは、包接分子を包接していない時は水分子を取り込んで、僅かな歪みを生じているが、ゲスト分子であるアザジラクチンが近づくと、水分子と入れ替わって安定なエネルギー状態になろうとする。この包接には、van der Waals力、水素結合力、イオン双極子間力、疎水性結合力等が総合的に且つ複雑に関与している。 【0042】 アザジラクチンが包接されることにより、アザジラクチンの酸化を防ぐことができる。そのため、長時間アザジラクチンの効果を持続させることができる。 【0043】 包接の方法としては、乳化法、飽和水溶液法、混練法、混合粉砕法等が挙げられる。 【0044】 なお、包接に使用されるCDは、αCD、βCD、γCDに分類されるが、αCDとγCDを用いることが好ましい。αCDとγCDは毒性が低く、安全性の高いCDであるからである。アザジラクチンは食品として利用することも可能であるが、このような場合、特にαCDとγCDを用いることが好ましい。 但し、βCDも世界食品添加物合同専門家会議(JECFA)の使用摂取量(ADI)の提案に従って使用制限を設定した上で使用すれば安全性に問題はない。 【0045】 上記した工程1乃至3及び4を経て得られたニームオイルは害虫忌避剤として好適に利用可能である。以下、当該ニームオイルを含有する害虫忌避剤の効果を具体的に説明する。 【0046】 まず、ニームオイルは高濃度のアザジラクチン溶液であるため、油脂成分が少ない。これにより、油脂成分が固化してしまい、アザジラクチンの昆虫に対する忌避効果が低下することを防止することができる。そのため、害虫忌避剤として効果が長期間持続可能なものとなる。 また、CDにより包接しているため、アザジラクチンの酸化を抑制することができ、使用可能期間をさらに延ばすことができる。 【0047】 このような高濃度のアザジラクチンを含有する害虫忌避剤は、センチュウ、ダニ、アブラムシ等多くの害虫に効果を奏するものである。 害虫忌避剤の利用形態としては、ニームオイルを水等で、例えばアザジラクチン濃度3ppm程度に希釈して使用することもできるし、粉末化して使用することもできる。また、ニームオイルをテープに塗布・乾燥してコーティングした害虫忌避テープとして利用することも考えられる。 【0048】 また、アザジラクチン吸着性物質として木片を湿熱処理したものを使用した場合、工程3において、遠心処理した後の残渣木片は、テルペンを多く放出するため、害虫忌避剤として好適に利用可能である。この場合、対象となる害虫は、ナメクジ、カタツムリ、シロアリ、アリ、ケラ、ダニ、原生生物(例えば、アメーバ、ゾウリムシ、アオミドロ等)等であり、特にナメクジ、アリ、原生生物に対して優れた害虫忌避作用を示す。 【0049】 また、当該残渣木片を用いた害虫忌避剤は、菌や黴に対しても有効に作用する。 対象となる菌としては、大腸菌、枯草菌等の腐敗菌等が挙げられる。対象となる黴としては、アオカビ、クロカビ等が挙げられる。 【0050】 害虫忌避剤としての利用形態としては、そのまま固形物として利用する、粉末化して利用する、溶液化して利用する等が考えられるが、特にこれらに限定されるわけではない。 【産業上の利用可能性】 【0051】 本発明により得られたニームオイルは、アザジラクチンを高濃度に含有するものであり、害虫忌避剤としてだけでなく、化粧品、医薬品、食品等にも好適に利用可能である。 また、アザジラクチン吸着性物質として、木片を湿熱処理したものを用いた場合の残渣木片は香料、医薬中間体、樹脂原料等の原料としても好適に利用可能である。 【図面の簡単な説明】 【0052】 【図1】C.E法による加水分解に用いる装置の概略図である。 【図2】工程2を示す模式図である。 【符号の説明】 【0053】 12 アザジラクチン吸着性物質 15 甘水
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| 【出願人】 |
【識別番号】503356901 【氏名又は名称】株式会社バイオマス高度利用機構 【識別番号】503065302 【氏名又は名称】株式会社シクロケム 【識別番号】595012006 【氏名又は名称】竹野 芳廣
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| 【出願日】 |
平成18年7月12日(2006.7.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082072 【弁理士】 【氏名又は名称】清原 義博
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| 【公開番号】 |
特開2008−19206(P2008−19206A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月31日(2008.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2006−192190(P2006−192190) |
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