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【発明の名称】 害虫駆除部材
【発明者】 【氏名】五十嵐 治

【氏名】田 ▲丹▼

【氏名】宮田 弘樹

【氏名】稲岡 徹

【氏名】川島 哲文

【要約】 【課題】害虫駆除成分を徐々に放出させることができ、薬理的な害虫駆除効果を長期間にわたって維持することができると共に、害虫が対象物内に侵入することを物理的に防止可能な形状を有する害虫駆除部材を提供する。

【構成】建物やハウジング等の対象物に設置され、害虫駆除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成されると共に、当該害虫の対象物に対する侵入経路を強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下あるいは前進を停止させる害虫駆除部材である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に設置され、当該対象物内に害虫が侵入することを防止する害虫駆除部材であって、
害虫駆除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成されると共に、当該害虫の前記対象物に対する侵入経路を強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下あるいは前進を停止させる害虫駆除部材。
【請求項2】
前記侵入経路の途中に、少なくとも1つの屈曲部を形成し、当該屈曲部によって前記害虫を落下あるいは前進を停止させる請求項1記載の害虫駆除部材。
【請求項3】
少なくとも前記屈曲部が弾性変形可能である請求項1または2記載の害虫駆除部材。
【請求項4】
対象物に設置され、当該対象物内に害虫が侵入することを防止する害虫駆除部材であって、
害虫駆除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成されると共に、当該害虫の前記対象物に対する侵入経路を強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下あるいは前進を停止させる害虫駆除部材本体と、
前記害虫駆除部材本体を補強して当該害虫駆除部材本体の形状を維持する補強部材と、
を備えた害虫駆除部材。
【請求項5】
前記害虫駆除部材本体の侵入経路の途中に、少なくとも1つの屈曲部を形成し、当該屈曲部によって前記害虫を落下あるいは前進を停止させる請求項4記載の害虫駆除部材。
【請求項6】
対象物に設置され、当該対象物内に害虫が侵入することを防止する害虫駆除部材であって、
害虫駆除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成されると共に、当該害虫の前記対象物に対する侵入経路を第1の屈曲部によって強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下あるいは前進を停止させる第1の害虫駆除部材と、
害虫駆除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成されると共に、当該害虫の前記対象物に対する侵入経路を第2の屈曲部によって強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下あるいは前進を停止させる第2の害虫駆除部材と、
を備え、前記第1の屈曲部は、前記第2の屈曲部よりも大きく構成されてなる害虫駆除部材。
【請求項7】
前記第1の害虫駆除部材と第2の害虫駆除部材は、前記第1の屈曲部と第2の屈曲部の屈曲方向が略一致すると共に、当該第1の屈曲部と第2の屈曲部とが互いに間隔をおいて配置されてなる請求項6記載の害虫駆除部材。
【請求項8】
前記第1の屈曲部及び第2の屈曲部が、湾曲形状を有し、当該第1の屈曲部の曲率半径が、前記第2の屈曲部の曲率半径よりも大きく構成されてなる請求項6または請求項7記載の害虫駆除部材。
【請求項9】
前記第1の害虫駆除部材と第2の害虫駆除部材が一体的に形成されてなる請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載の害虫駆除部材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、建物や各種機器のハウジング等の様々な対象物内に害虫が侵入することを防止すると共に、害虫を駆除する害虫駆除部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、ゴキブリ、蟻、クモ、ムカデ等の昆虫等や、ネズミ等の小動物等(以下、このような昆虫や小動物等を総称して「害虫」と記す)が、建物や各種機器のハウジング等の様々な対象物内に侵入することを防止する害虫駆除部材が紹介されている。
【0003】
このような害虫駆除部材としては、例えば、建物に固定されて害虫の侵入を阻止する害虫ガードが薬溝を有し、この薬溝に粉末状の薬剤が充填されてなる家屋の害虫駆除部材がある。この害虫駆除部材は、薬溝を構成する側壁であって、基礎と対向する側に、それ自体を貫通して薬孔が穿設されており、この薬孔の下方で薬溝の背面に載片が設けられ、この載片と基礎とでバリヤ溝を構成しており、前記薬孔を通って薬溝に充填された薬剤が、薬溝背面のバリヤ溝に充填されるように構成されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、スルホンアミド誘導体、スルホン酸エステル誘導体、リン酸エステル誘導体、ホスファゼン誘導体、カルボン酸アミド誘導体、カルボン酸エステル誘導体より選ばれる少なくとも1種の化合物と、小動物防除性を有する薬剤と、を含有する小動物防除性樹脂組成物を、構造材料等として用いられる樹脂材料として用いることも紹介されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらにまた、キャニスター本体により蒸発燃料を吸着し、この吸着した蒸発燃料をドレイン配管から吸入された空気と共にエンジン側へ供給するようにした車両用キャニスター構造において、当該ドレイン配管内に害虫が侵入することを防止するものが紹介されている。この車両用キャニスター構造では、ドレイン配管の空気吸入口部の内壁に、小動物除去性薬剤が含有された管状の薬剤含有樹脂体を設けることで、害虫の侵入を防止している。(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
そしてまた、害虫から保護すべき対象物に、害虫忌避成分が含有された樹脂から構成された害虫忌避用製品を取り付けることにより、害虫忌避用製品から徐々に放出される害虫忌避成分の効果によって、前記対象物を昆虫から保護する方法も紹介されている。(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特公平6−3053号公報
【特許文献2】特開2000−212005号公報
【特許文献3】特開2001−73886号公報
【特許文献4】特開2004−357553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された害虫駆除部材は、害虫ガードに設けられた薬溝に充填された粉末状の薬剤によって、害虫を駆除するものであるが、薬剤が粉末状であると共に、外部に露出された状態となっているため、この薬剤が外部に飛散する虞がある。また、薬剤の害虫駆除成分が短期間で放出されるため、害虫駆除効果を長期にわたって維持することが困難であり、薬剤を頻繁に補充する必要もある。
【0008】
また、特許文献2に記載された小動物防除性樹脂組成物は、薬理的な害虫駆除効果を有しているが、この害虫駆除効果が経時的に無くなった際には、害虫を駆除することができなくなってしまう。さらに、害虫駆除成分を徐々に放出することで、長期にわたって害虫駆除効果を維持するための工夫もなされていない。
【0009】
そしてまた、特許文献3に記載された車両用キャニスター構造は、車両の特定部位(ドレイン配管)に害虫が侵入することを薬理的な害虫駆除効果によって防止するためのものであり、ドレイン配管に侵入しようとした害虫を物理的に阻止する形状を有するものではない。
【0010】
さらにまた、特許文献4に記載された害虫忌避用製品は、害虫忌避用製品から徐々に放出される害虫忌避成分の効果によって、害虫を薬理的に駆除することができるが、対象物内に侵入しようとした害虫を物理的に阻止する形状を有するものではない。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、害虫駆除成分を徐々に放出させることができ、薬理的な害虫駆除効果を長期間にわたって維持することができると共に、害虫が対象物内に侵入することを物理的に防止可能な形状を有する害虫駆除部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するため本発明は、対象物に設置され、当該対象物内に害虫が侵入することを防止する害虫駆除部材であって、害虫駆除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成されると共に、当該害虫の前記対象物に対する侵入経路を強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下あるいは前進を停止させる害虫駆除部材を提供するものである。
【0013】
この構成を備えた害虫駆除部材は、害虫駆除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成されているため、当該害虫駆除成分が微量ずつ徐々に放出される。したがって、薬理的な害虫駆除効果(害虫駆除成分の放出による害虫忌避効果、害虫駆除成分に触れることによる殺虫効果等)を長期間にわたって発揮させることができる。さらに、害虫の前記対象物に対する侵入経路を強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下あるいは前進を停止させる形状を有しているため、害虫が対象物に侵入することを物理的に阻止することもできる。
【0014】
また、本発明にかかる害虫駆除部材は、当該害虫駆除部材における害虫の侵入経路の途中に、少なくとも1つの屈曲部を形成し、当該屈曲部によって前記害虫を落下あるいは前進を停止させることができる。この場合、前記屈曲部は、例えば、略U字状等のように湾曲した形状であってもよく、略L字状や略コ字状等のように所定の角度で折り曲げられた形状であってもよい。
【0015】
そしてまた、本発明にかかる害虫駆除部材は、少なくとも前記屈曲部を弾性変形可能に構成することもできる。このように構成することで、この害虫駆除部材を、例えば、建物やハウジング等の扉や窓等の開閉部の縁付近に配設した場合、前記害虫駆除効果に加え、当該屈曲部の弾性復元性によって、前記扉や窓に密閉性を持たせることができる。
【0016】
また、本発明は、対象物に設置され、当該対象物内に害虫が侵入することを防止する害虫駆除部材であって、害虫駆除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成されると共に、当該害虫の前記対象物に対する侵入経路を強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下あるいは前進を停止させる害虫駆除部材本体と、前記害虫駆除部材本体を補強して当該害虫駆除部材本体の形状を維持する補強部材と、を備えた害虫駆除部材を提供するものである。
【0017】
この構成を備えた害虫駆除部材は、害虫駆除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成された害虫駆除部材本体を備えているため、当該害虫駆除成分が微量ずつ徐々に放出される。したがって、薬理的な害虫駆除効果(害虫駆除成分の放出による害虫忌避効果、害虫駆除成分に触れることによる殺虫効果等)を長期間にわたって発揮させることができる。さらに、前記害虫駆除部材本体は、害虫の前記対象物に対する侵入経路を強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下あるいは前進を停止させる形状を有しているため、害虫が対象物に侵入することを物理的に阻止することもできる。そしてまた、この害虫駆除部材本体は、補強部材によって補強され、その形状が維持されるため、外部から荷重がかけられたとしても、害虫が対象物に侵入することを物理的に阻止する機能を維持することができる。
【0018】
また、本発明にかかる害虫駆除部材は、前記害虫駆除部材本体の侵入経路の途中に、少なくとも1つの屈曲部を形成し、当該屈曲部によって前記害虫を落下あるいは前進を停止させることができる。
【0019】
そしてまた、本発明は、対象物に設置され、当該対象物内に害虫が侵入することを防止する害虫駆除部材であって、害虫駆除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成されると共に、当該害虫の前記対象物に対する侵入経路を第1の屈曲部によって強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下あるいは前進を停止させる第1の害虫駆除部材と、害虫駆除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成されると共に、当該害虫の前記対象物に対する侵入経路を第2の屈曲部によって強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下あるいは前進を停止させる第2の害虫駆除部材と、を備え、前記第1の屈曲部は、前記第2の屈曲部よりも大きく構成されてなる害虫駆除部材を提供するものである。
【0020】
この構成を備えた害虫駆除部材は、害虫駆除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成された第1の害虫駆除部材及び第2の害虫駆除部材を備えているため、当該害虫駆除成分が微量ずつ徐々に放出される。したがって、薬理的な害虫駆除効果(害虫駆除成分の放出による害虫忌避効果、害虫駆除成分に触れることによる殺虫効果等)を長期間にわたって発揮させることができる。さらに、前記第1の害虫駆除部材及び第2の害虫駆除部材は、害虫の前記対象物に対する侵入経路を強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下あるいは前進を停止させる形状を有しているため、害虫が対象物に侵入することを物理的に阻止することもできる。さらにまた、前記第1の害虫駆除部材の第1の屈曲部が、第2の害虫駆除部材の第2の屈曲部よりも大きく構成されているため、害虫のサイズが多岐にわたったとしても、これらの害虫が対象物に侵入することを物理的に阻止することもできる。
【0021】
また、この構成の場合、前記第1の害虫駆除部材と第2の害虫駆除部材は、前記第1の屈曲部と第2の屈曲部の屈曲方向が略一致すると共に、当該第1の屈曲部と第2の屈曲部とが互いに間隔をおいて配置することができる。
【0022】
そしてまた、この構成の場合、前記第1の屈曲部及び第2の屈曲部を湾曲形状から構成し、当該第1の屈曲部の曲率半径が、前記第2の屈曲部の曲率半径よりも大きくなるように構成することもできる。
【0023】
さらにまた、この構成の場合、前記第1の害虫駆除部材と第2の害虫駆除部材は、一体的に形成することもできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる害虫駆除部材は、害虫駆除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成され、且つ害虫の侵入経路に沿って前進する害虫を落下あるいは前進を停止させる形状を有しているため、害虫駆除成分を微量ずつ徐々に放出させ、薬理的な害虫駆除効果を長期間にわたって発揮させることができる。この結果、害虫駆除効果を有する薬剤の使用量を大幅に削減することができ経済的であると共に、環境破壊を引き起こす可能性も殆どない。また、害虫駆除効果を有する薬剤を散布する必要もなく、人体への影響もない。さらにまた、メンテナンスの回数を大幅に削減することができ経済的である。また、本発明にかかる害虫駆除部材は、害虫が対象物に侵入することを物理的に阻止することもできるため、今まで困難とされていた歩行性害虫の対象物への侵入阻止を簡単に行うこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる害虫駆除部材について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる害虫駆除部材の斜視図、図2は、図1に示す害虫駆除部材を建物の外壁に配設した場合を示す斜視図、図3は、図1に示す害虫駆除部材を建物の外壁に配設した場合を示す側面図である。なお、実施の形態1では、害虫駆除部材を建物の外壁100(図2及び図3参照)に取り付ける場合について説明する。
【0027】
図1〜図3に示すように、実施の形態1にかかる害虫駆除部材1は、害虫駆除成分が含有された樹脂から形成されており、建物の外壁100に取付けるため略平面状を有する取付部11と、取付部11に連続して形成され、内側が凹状となるように、なだらかな円弧状に湾曲した面からなる湾曲部12を有している。湾曲部12は、取付部11に沿って前進する害虫の侵入経路を強制的に変更し、この害虫を落下させる、あるいは害虫の前進を停止させる(Uターンさせる)役割を果たしている。
【0028】
害虫駆除部材1を構成する材料として使用される樹脂としては、例えば、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、及びこれらの樹脂にエストラマーを混合した熱可塑性エストラマーの少なくとも1種の樹脂等が選択される。
【0029】
さらに、前記樹脂には、当該樹脂に対して害虫駆除成分を溶解保持し、徐放性を付与する作用を有するための化合物を含めることがより好ましい。このような化合物としては、例えば、スルホンアミド誘導体、スルホン酸エステル誘導体、カルボン酸アミド誘導体、カルボン酸エステル誘導体より選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。このような化合物を樹脂に含有させることにより、害虫駆除部材1から害虫駆除成分を長期間にわたり放出することが可能となる。
【0030】
また、害虫駆除成分としては、例えば、薬殺成分、成長制御成分、忌避成分、誘引成分等が挙げられる。具体的には、例えば、害虫駆除活性を有する化合物、殺傷害虫活性を有する化合物、害虫の摂食阻害活性、害虫の成長コントロール活性を有する化合物等を挙げることができる。
【0031】
このような害虫駆除効果を発揮する化合物としては、例えば、イミダクロプリドの様なクロロニコチニル系殺虫剤、シラフルオフェンの様なケイ素原子を有するネオフィルラジカルからなる化合物、ベンフラカルブ、アラニカルブ、メトキシジアゾン、カルボスファン、フェノブカルブ、カルバリル、メソミル、プロポクサー、フェノキシカルブ等のカーバメート系化合物、ピレトリン、アレスリン、dl,d-T80−アレスリン、d-T80-レスメトリン、バイオアレスリン、d-T80-フタルスリン、フタルスリン、レスメトリン、フラメトリン、プロパスリン、ペルメトリン、アクリナトリン、エトフェンプロックス、トラロメトリン、フェノトリン、d-フェノトリン、フェンバレレート、エンペントリン、プラレトリン、テフルスリン、ベンフルスリン等のピレスロイド系化合物、ジクロロボス、フェニトロチオン、ダイアジノン、マラソン、プロモフォス、フェンチオン、トリクロルホン、ナレド、テメホス、フェンクロホス、クロルピリホスメチル、シアホス、カルクロホス、アザメチホス、ピリダフェンチオン、プロペタンホス、クロルピリホス等の有機リン系化合物及びこれらの異性体、誘導体、類縁体等を例示できる。また、メトプレン、ピリプロキシフェン、キノプレン、ハイドロプレン、デオヘノラン、NC-170、フルフェノロクスロン、ジフルベンズロン、ルフェヌロン、クロルアズロン等の小動物の成長をコントロールする活性を有する化合物が挙げられる。また、殺ダニ剤としてケルセン、クロルフェナビル、デブフェンピラドピリダベン、ミルベメクチン、フェンピロキシメート、殺鼠剤としてはシリロシド、ノルボマイド、隣化亜鉛、硫酸タリウム、貴隣、アンツー、ワルファリン、エンドサイド、クマリン、クマテトラリン、プロマジオロン、ディフェチアロン等が挙げられる。
【0032】
なお、実施の形態1にかかる害虫駆除部材1は、射出成形等の公知の成形方法により成形することができる。
【0033】
この構成を備えた害虫駆除部材1は、例えば、図2及び図3に示すように、建物の外壁100の所定位置に、湾曲部12の凹面が地面側を向くようにして配置し、取付部11を外壁100に固定する。固定方法としては、外壁100に取付部11を粘着剤や両面テープ等により接着することができる。あるいは、図4に示すように、害虫駆除部材1を着脱可能に固定する形状を有する固定具110を用意し、粘着剤、両面テープ、ねじ、釘、ボルト等によって、この固定具110を外壁100に固定し、図5及び図6に示すように、この固定具110によって、害虫駆除部材1を外壁100に固定してもよい。
【0034】
なお、この固定具110は、害虫駆除部材1が、紫外線により劣化することを防止したり、汚れや破損から保護する効果も有している。また、害虫駆除部材1を外部から受ける荷重から保護する効果も有しており、害虫駆除部材1の形状を維持することができる。
【0035】
また、図7に示すように、湾曲部12の先端側に、害虫駆除部材1を補強して、湾曲部12の形状を維持する略柱状(略円筒形、略多角柱形等)の補強部材111を配設してもよい。この補強部材111は、所望により、任意の配設数で設置することができる。このように補強部材111を配設することで、害虫駆除部材1に対し、外部から荷重(負荷)がかかったとしても、その形状が変わることを防止することができる。
【0036】
害虫駆除部材1が外壁100に取付けられた建物は、例えば、地面から外壁100を這い上がってきた害虫を、害虫駆除部材1から放出される害虫駆除成分によって、遠ざけたり(忌避効果)、害虫駆除部材1に触れた害虫を殺虫したりする。また、害虫駆除部材1を這い上がってきた害虫がいたとしても、湾曲部12に到達した害虫は湾曲部12のオーバーハング構造効果(いわゆる「虫返し」効果)により、落下し、あるいはその前進が阻止される。したがって、建物内に害虫が侵入することを確実に防止することができる。
【0037】
また、湾曲部12は、害虫の侵入経路を強制的に変更し、当該害虫を落下させる、あるいは害虫の前進を停止させる効果に加え、害虫駆除部材1が、紫外線により劣化することを防止したり、汚れや破損から保護する効果も有している。さらにまた、害虫駆除成分が放出された空気を、湾曲部12によって画定される空間に滞留させておくことができ、湾曲部12付近に到達した害虫を効果的に殺虫させることができる。そしてまた、湾曲部12によって、害虫が害虫駆除部材1と接触する時間を長くとることができ、害虫を一層殺虫し易くすることができる。
【0038】
ここで、湾曲部12によって画定される空間は、通常、暗渠となり易く、害虫が棲み着く傾向にあるが、本発明にかかる害虫駆除部材1は、害虫駆除成分が含有された材料から構成されているため、害虫が棲み着くことがない。
【0039】
次に、本発明にかかる害虫駆除部材1について以下に示す実験を行い、その害虫駆除効果を調査した。なお、実験は、日本国内において最も頻繁に見られる蟻の一種であるトビイロシワアリを使用して行った。
【0040】
(実験1)
15cm角の塩化ビニル板の中心にピーナツバターをおいたものを6つ用意し、そのうちの3つには、塩化ビニル板の外周に本発明にかかる害虫駆除部材1を配設した。これらのサンプルを、屋外にあるトビイロシワアリの巣の近傍に所定時間置き、その状態を観察した。
【0041】
害虫駆除部材1を配設したサンプル(発明品)については、3つとも、24時間放置した後も1匹のトビイロシワアリもピーナツバターに近づいて来なかった。一方、害虫駆除部材1を配設していないサンプル(比較品)については、3つとも、30分放置した段階でトビイロシワアリがピーナツバターに集まり始め、150分放置した段階では、30〜90匹のトビイロシワアリがピーナツバターに群がった。
【0042】
(実験2)
10匹のトビイロシワアリを害虫駆除部材1に所定時間(1秒、5秒、10秒、30秒、60秒)接触させた後、害虫駆除部材1から離し、これらのトビイロシワアリの行動を観察した。この結果を図8に示す。図8から、全てのトビイロシワアリが死亡したことがわかる。
【0043】
なお、トビイロシワアリの歩行速度が、1〜3cm/秒程度であること、害虫駆除部材1に1秒接触しただけでも、全てのトビイロシワアリが死亡したことから、トビイロシワアリに対しては、害虫駆除部材1の取付部11の先端(図1に符号Aで示す位置)から湾曲部12の先端(図1に符号Bで示す位置)までの距離が、約3cmあればよいことがわかる。
【0044】
また、害虫は、害虫駆除部材1に接触した後、短時間で死亡するため、建物内部への侵入経路のごく初期の段階で害虫の侵入を阻止することができることも判る。このように、本発明にかかる害虫駆除部材1の優れた害虫駆除効果が立証された。
【0045】
なお、実施の形態1では、湾曲部12を、内側が凹状となり、なだらかな円弧状に湾曲した面から構成した場合について説明したが、これに限らず、湾曲部12の形状は、害虫の侵入経路を強制的に変更し、害虫を落下させる、あるいは害虫の前進を停止させることが可能な形状であればよい。例えば、図9に示すように、曲率半径が異なる湾曲部12A及び湾曲部12Bを連続して形成してもよい。このようにすることで、より多岐にわたるサイズの害虫に対応することができる。また、図10に示すように、湾曲部12に代えて、取付部11から略L字状や略コ字状等のように所定の角度で折り曲げられた折曲部22を形成してもよい。
【0046】
そしてまた、図11に示すように、湾曲部12の曲率半径が異なる複数種(図11では2種類)の害虫駆除部材1を、外壁100の高さ方向に互いに間隔をおいて配設してもよい。また、図12に示すように、湾曲部12の曲率半径が異なる害虫駆除部材1を、互いの湾曲部12が接触しないように外壁100の高さ方向にずらして配設してもよい。このようにすることでも、より多岐にわたるサイズの害虫に対応することができる。なお、この場合は、曲率半径が小さい湾曲部12を有する害虫駆除部材1が、曲率半径が大きい湾曲部12を有する害虫駆除部材1よりも、地面に近い側となるように配設することが望ましい。
【0047】
また、実施の形態1では、害虫駆除部材1の全体を、害虫駆除成分が含有された材料から形成した場合について説明したが、これに限らず、害虫駆除部材1は、その少なくとも一部(任意の一部)が、害虫駆除成分を含有した材料から形成されていてもよい。
【0048】
さらにまた、実施の形態1では、害虫駆除部材1を建物の外壁100に配設した場合について説明したが、これに限らず、例えば、階段のステップの略垂直な面、軒下、床面等、任意の場所に設置することができる。特に、害虫駆除部材1を構成する材料に害虫駆除成分が含有されているため、粉末状の害虫駆除薬剤を使用する場合と異なり、粉末が大気中に飛散することもなく、安全であり、設置場所を選ぶことがない。
【0049】
また、図13〜図15に示すように、害虫駆除部材1は、建物や各種機器(特に、電源ボックス、無人測定器、自動販売機等の外部設備)のハウジング200の出入口を画定する枠部202に沿って配設してもよい。この場合、害虫駆除部材1を弾性復元可能な形状にしておけば、前述した害虫駆除効果に加え、扉201を閉めた際に、害虫駆除部材1をパッキン(シール部材)として代用することもできる。また、図16及び図17に示すように、害虫駆除部材1をシャッター300の底面に配設しても同様の効果が得られる。
【0050】
そしてまた、害虫駆除部材1の幅、長さ、厚さ等のサイズ等は、所望により決定することができる。例えば、害虫駆除部材1を外壁100に取り付けた際に、外壁100の水平方向に延出する十分な長さを有することもできる。
【0051】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかる害虫駆除部材について図面を参照して説明する。図18は、実施の形態2にかかる害虫駆除部材の斜視図、図19は、図18に示す害虫駆除部材を床面に配設した場合を示す側面図である。なお、実施の形態2では、実施の形態1で説明した部材と同様の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図18及び図19に示すように、実施の形態2にかかる害虫駆除部材2は、前述した実施の形態1にかかる害虫駆除部材1と同様の材料から形成され且つ同様の形状を有する害虫駆除部材本体50と、害虫駆除部材本体50を補強して、害虫駆除部材本体50の形状を維持する補強部材60を備えている。
【0053】
補強部材60は、例えば、金属、セラミックス、木、樹脂等、外部からかかる負荷に対する耐性を有する材料から形成されている。この補強部材60は、害虫駆除部材本体50を外側から包囲可能な略U字状を有している。
【0054】
この害虫駆除部材2は、例えば図19に示すように、建物の入口付近に形成された段差400の近傍(地面、コンクリート面、床面等)のように、往来する歩行者等の荷重(負荷)がかけられる可能性がある場所に設置された場合、補強部材60が、その荷重を受け止めて害虫駆除部材本体50を保護することができる。したがって、外部からの荷重がかかりやすい場所に害虫駆除部材2を取り付けた場合でも、害虫駆除部材本体50の形状が維持されるため、害虫が侵入することを物理的に阻止する機能(いわゆる「虫返し効果」)を十分に発揮させることができる。
【0055】
なお、実施の形態2では、補強部材60によって、害虫駆除部材本体50を外側から包囲した場合について説明したが、これに限らず、例えば図20に示すように、補強部材60は、害虫駆除部材本体50の芯材として配設してもよい。また、図21のように、取付部11と湾曲部12との間に、略柱状(略円筒形、略多角柱形等)の補強部材60を、互いに間隔をおいて複数配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる害虫駆除部材の斜視図である。
【図2】図1に示す害虫駆除部材を建物の外壁に配設した場合を示す斜視図である。
【図3】図1に示す害虫駆除部材を建物の外壁に配設した場合を示す側面図である。
【図4】図1に示す害虫駆除部材を建物の外壁に取り付けるための固定具の一例を示す斜視図である。
【図5】図4に示す固定具を使用して図1に示す害虫駆除部材を建物の外壁に配設した場合を示す斜視図である。
【図6】図4に示す固定具を使用して図1に示す害虫駆除部材を建物の外壁に配設した場合を示す斜視図である。
【図7】図1に示す害虫駆除部材を建物の外壁に配設した際に、この害虫駆除部材を補強する場合を示す斜視図である。
【図8】図1に示す害虫駆除部材にトビイロシワアリが接触した時間と、接触後の生存時間との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の他の実施の形態にかかる害虫駆除部材の斜視図である。
【図10】本発明の他の実施の形態にかかる害虫駆除部材の斜視図である。
【図11】本発明の他の実施の形態にかかる害虫駆除部材の斜視図である。
【図12】本発明の他の実施の形態にかかる害虫駆除部材の斜視図である。
【図13】図1に示す害虫駆除部材をハウジングの出入口を画定する枠部に沿って配設した状態を示す斜視図である。
【図14】図13に示すXIV−XIV線に沿った断面を拡大して示す図であり、扉が開放されている状態を示す図である。
【図15】図13に示すXIV−XIV線に沿った断面を拡大して示す図であり、扉が閉じられた状態を示す図である。
【図16】図1に示す害虫駆除部材をシャッターの底面に配設した状態を示す側面図であり、シャッターが開放されている状態を示す図である。
【図17】図1に示す害虫駆除部材をシャッターの底面に配設した状態を示す側面図であり、シャッターが閉じられた状態を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態2にかかる害虫駆除部材の斜視図である。
【図19】図18に示す害虫駆除部材を床面に配設した場合を示す側面図である。
【図20】本発明の他の実施の形態にかかる害虫駆除部材の斜視図である。
【図21】本発明の他の実施の形態にかかる害虫駆除部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1、2 害虫駆除部材
11 取付部
12、12A、12B 湾曲部
50 害虫駆除部材本体
60、111 補強部材
100 外壁
110 固定具
200 ハウジング
300 シャッター
【出願人】 【識別番号】000226507
【氏名又は名称】株式会社ニックス
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
【出願日】 平成18年8月4日(2006.8.4)
【代理人】 【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸

【識別番号】100080953
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 克郎

【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司


【公開番号】 特開2008−35776(P2008−35776A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−213823(P2006−213823)