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【発明の名称】 愛玩動物の排尿用床材
【発明者】 【氏名】清水 真吾

【氏名】松尾 剛之

【氏名】望月 昇太郎

【要約】 【課題】排尿吸収速度と吸収量を抑制して通過せしめる効果と、粒状物の表面を濡らす残尿を漸次吸収する低吸水性効果を併有し、更に吸収しても崩壊しない保形性に富み、愛玩動物の排尿用床材としての適性を富有する排尿用床材を提供する。

【解決手段】吸水性粒状物1′の表面を透水率が1〜30%の半透水膜にて被覆し、該半透水膜6にて上記吸水性粒状物1′間における排尿の通過を促すと共に、該半透水膜6の表面を濡らす残尿分8を同半透水膜6を通し吸水性粒状物1′内へ吸収することを特徴とする愛玩動物の排尿用床材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位に愛玩動物の排泄行為を促す吸水性粒状物から成る排尿用床材を配し、下位に該床材を通過した排尿を吸収する吸収材を配した愛玩動物用のトイレシステムを構成する上記排尿用床材であって、上記吸水性粒状物の表面を透水率が1〜30%の半透水膜にて被覆し、該半透水膜にて上記吸水性粒状物間における排尿の通過を促すと共に、該半透水膜の表面を濡らす残尿分を同半透水膜を通し吸水性粒状物内へ吸収する構成を有することを特徴とする愛玩動物の排尿用床材。
【請求項2】
上記半透水膜中にサイズ剤を含有することを特徴とする請求項1記載の愛玩動物の排尿用床材。
【請求項3】
上記吸水性粒状物が扁平に圧縮成形した形状を有することを特徴とする請求項1記載の愛玩動物の排尿用床材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は愛玩動物が排泄行為を行う場所を提供する目的で使用される愛玩動物の排尿用床材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2に代表されるように、排尿用床材と排尿吸収材とを二段に配設し、排尿用床材上で排泄行為を促し、該排尿用床材を通過した排尿を吸収材で吸水せしめるようにした愛玩動物用トイレシステムが既知である。
【0003】
愛玩動物は砂状物の上で好んで排泄する習性を有し、上記特許文献1及び2においては、排尿用床材として排尿を吸収せずにその通過を許容する粒状材を敷設し、これを上位に配することによって愛玩動物のトイレ内への出入りと排泄行為を促し、下位の吸収材にて排尿を吸収する構成にしている。
【0004】
特許文献1においては、植物由来の粉砕物と合成樹脂の粉末を混合撹拌して粒状に成形し、この成形機による成形時に発生する自然発熱で上記合成樹脂の粉末を溶融し、溶融によって上記植物由来の粉砕物を結着し、尿吸収抑制効果と排尿を吸収しても崩壊しない保形性を与えるとしている。
【0005】
又特許文献2においては、上記排尿用床材として川砂等の鉱物質の砂を用い、該砂にシリコンやワックス等の撥水剤の膜を施して尿を吸収せずに通過せしめる方法を示している。
【0006】
【特許文献1】特許第3519353号公報
【特許文献2】特開平7−67489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
然るに特許文献1のように植物由来の粉砕物と合成樹脂の粉末を混合撹拌して粒状に成形した排尿用床材は、合成樹脂の粉末を粒状成形時の熱で溶融し結合を強化するとしているが、仮に合成樹脂の粉末が成形熱で溶融し、植物由来の粉砕物を結合する現象が期待できたとしても、合成樹脂粉末の貧混合では植物由来の粉砕物全量の結合を得ることは困難であり、このため実際には排尿が粒状体の芯部まで浸透されてしまい、この浸透が排尿の都度繰り返されると、粒状体全体が崩壊し、排尿用床材としての機能を喪失する問題を有している。
【0008】
又仮に合成樹脂粉末を富混合すると上記崩壊は防げるが、特許文献1が予定する低吸水性(排尿吸収抑制効果)が損なわれ、所期の目的が達成できない。
【0009】
他方上記特許文献2のように鉱物質の砂に撥水剤を混合撹拌して乾燥し、砂の粒子の表面を撥水剤でコーティングした排尿用床材は、上記特許文献1の如き崩壊の懸念は解決されるが、砂の粒子の表面が撥水剤で覆われ、低吸水性を期待することが全く困難であるために、個々の砂の粒子を被覆する撥水剤の表面に、残尿の表面張力による細かな水滴が多数形成される現象を生ずる。この残尿の水滴は撥水剤に遮断された状態で外気と接しており、腐敗の進行に伴う悪臭が顕著なる問題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記問題点を有効に解決する、愛玩動物の排泄行為を促す排尿用床材として適性を富加した同床材を提供するものである。この排尿用床材は吸水性粒状物の表面を透水率が1〜30%の半透水膜にて被覆し、該半透水膜にて上記吸水性粒状物間における排尿の通過を促すと共に、該半透水膜の表面を濡らす残尿分を同半透水膜を通し吸水性粒状物内へ吸収する構成としたものである。
【0011】
上記吸水性粒状物は球面形状にするか、該球面形状の粒状物を扁平に圧縮成形した形状にする。即ち粒状物の外面に平坦面を有する形状にする。
【0012】
好ましい例示として、上記半透水膜中には吸水性を調整するサイズ剤を含有せしめる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る上記構造の愛玩動物の排尿用床材は、排尿吸収速度と吸収量を抑制して排泄行為の尿を通過せしめる効果と、排泄後に粒状物の表面を濡らしている残尿分を漸次吸収する低吸水性効果を併有し、更に吸収しても崩壊しない保形性に富み、愛玩動物の排尿用床材としての適性を富有する。
【0014】
更には残尿分を上記半透水膜を通して粒状物内に取り込み、同半透水膜で隠蔽する状態を形成し、残尿の腐敗の進行を抑制し悪臭発生を有効に防止することができる。
【0015】
更に吸水性粒状物を扁平に圧縮成形した形状にすることによって、床材敷設時における定着性を良好にし、飛散を有効に防止できる。
【0016】
又半透水膜内へのサイズ剤の配合により耐水性を向上し半透水効果を改善でき、該耐水性の向上によって保形性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図3に基づき説明する。前記のように、図1に示す、上位に愛玩動物の排泄行為を促す粒状物1′から成る排尿用床材1を配し、下位に該床材1を通過した排尿を吸収する吸収材2を配した愛玩動物用のトイレシステムが既知である。
【0018】
上記トイレシステムにおいては、上位に簀の子等の多孔板3を配し、下位に受尿トレー4を配し、上記多孔板3上に粒状物1′から成る排尿用床材1を敷設すると共に、受尿トレー4上に吸水シート等の吸収材2を敷設した構造を有している。
【0019】
上記粒状材1′は排泄行為時の尿を吸収する目的機能を有さず、前記のように、愛玩動物5の排泄行為を促す排泄の場を形成する目的を有するものであり、愛玩動物5は上記粒状物1′(排尿床材1)上に乗って排泄し、排泄された尿は粒状物1′間を通過し、更に多孔板3を通じて吸水材2上に落下し吸収され、該使用済み吸収材2は例えば1週間程度の短期間で交換し、上記粒状物1′は例えば1ヶ月程度の繰り返し使用に供し交換する。
【0020】
本発明は上記排尿用床材1として合目的的な粒状物1′を提供するものであり、この粒状物1′は植物繊維9を主材とする吸水性粒状物1′を主体とする。
【0021】
上記植物繊維9としては、木材パルプ等の植物由来のパルプ、木粉、古紙を粉砕した繊維等を用いる。
【0022】
以下に上記粒状物1′の配合例と配合比(重量%)を例示する。

<第1配合例と配合比>
パルプ 100%

<第2配合例と配合比>
パルプ 50〜99%
無機充填材 1〜50%

<第3配合例と配合比>
パルプ 45〜98%
無機充填材 1〜50%
抗菌剤 1〜 5%
【0023】
上記植物繊維9の集合材を主材とする上記各配合材を加水又は無加水にて造粒機にかけ、図2に示す如き吸水性粒状物1′を成形する。
【0024】
第2、第3配合例における無機充填材10は、上記植物繊維9の粒状物1′の重量を増加し、植物繊維9間の空隙度を調整して吸水量を低減方向に調整する手段として用いる。この無機充填材10はタルク、クレー、炭酸カルシウム等の粉末から成る。
【0025】
又上記第3配合例における抗菌剤は、後記する遅速性の半透水膜6を透過して上記吸水性粒状物1′内に吸収された残尿分の腐敗を防止し、異臭発生を防止する。
【0026】
上記各例における吸水性粒状物1′の造粒手段としては、第1乃至第3配合例に示した配合材を回転テーブル上又はドラム内で転動させつつ成長を促し、吸水性粒状物1′を無圧縮で成形する。
【0027】
又は上記各配合例に示した配合材を加水混練して圧縮成形機にかけ、所定形状の吸水性粒状物1′を圧縮成形する。
【0028】
又は上記各配合例に示した配合材を無加水で打錠機又は押し出し機にかけ、吸水性粒状物1′を圧縮成形する。
【0029】
上記各吸水性粒状物1′は上記各種造粒機にかけ、3mm〜15mm程度の大きさに成形する。
【0030】
次に上記吸水性粒状物1′の表面を同粒状物1′の吸水性能を抑制する遅速性の半透水膜6で被覆する。
【0031】
ここに遅速性の半透水膜6とは透水膜に比較して水分の透過速度が遅く、透過量が限定された膜乃至層である。
【0032】
再述すると、愛玩動物5、例えば猫の排尿時間は10〜25秒程度であり、上記遅速性とは、この排尿時間中の尿に対しては略遮水性を発揮し、且つ排尿後の半透水膜6表面を濡らしている残尿分8を漸次吸収するタイムラグを有することを意味し、半透水性とは排尿時においては略全量を遮水し、且つ残尿分8を透水せしめることを意味する。
【0033】
従って上記遅速性の半透水膜6は排尿の略全量を吸収する目的の処理材と異なり、排尿時には半透水膜6を施した粒状物1′間を通しての尿の通過を促し、排尿後(排泄行為後)に半透水膜6の表面を濡らしている残尿分8を吸収する、吸水性を制限する低吸水性の抑制材である。
【0034】
上記半透水膜6の形成材としては、水溶性を有するPVA、同EVA、ポリウレタン等を使用する。これら被覆材は遅速性の半透水膜6に限定された透水性とタイムラグを付与し適材であり、殊にPVAは水分散性に富み、安価に入手可能であり有効である。
【0035】
以下に上記半透水膜6の配合例と配合比(重量%)を例示し、各例における透水率を示す。

<第1配合例と配合比>
PVA 100%
第1配合例の透水率:10〜30%

<第2配合例と配合比>
PVA 10〜99%
サイズ剤 1〜90%
第2配合例の透水率:1〜10%

<第3配合例と配合比>
PVA 95〜99%
抗菌剤 1〜 5%
第3配合例の透水率:10〜20%

<第4配合例と配合比>
PVA 5〜98%
サイズ剤 1〜90%
抗菌剤 1〜 5%
第4配合例の透水率:5〜10%
【0036】
上記透水率の測定方法は、直径50mm、深さ50mmの底が網状の筒形容器を用意して、その中に半透水膜6を施した粒状物1′を20mmの高さまで入れ、その粒状物1′の上から注射器(テルモ株式会社シリンジSS-50ESZ)に入れた濃度2%、35℃の食塩水20mlを落下させ、上記粒状物1′の入った筒を通過した食塩水を測量し、20mlから測量した量を引いて20で割って100を掛け、透水率とした。
【0037】
上記半透水膜6の透水率が3〜15%である時に、排尿遮水性と残尿透水性、保形性、消臭性の何れにおいても有効であった。
【0038】
上記抗菌剤の種類として、有機系、無機金属系、光触媒系、天然系の何れも使用可能であるが、有機系の界面活性剤型抗菌剤が有効である。この界面活性剤型抗菌剤は抗菌機能を半透水膜6に付与すると共に、界面活性剤により半透水膜6の透水性能(透水率)を調整することができる。
【0039】
上記第3配合例における抗菌剤は半透水膜6内に抗菌剤を配合せずに吸水性粒状物1′内のみに内添するか、又は吸水性粒状物1′と半透水膜6の双方に抗菌剤を配合する。
【0040】
更に上記界面活性剤の効果を得るために、半透水膜6中に単独で界面活性剤を配合することができる。即ち半透水膜6の第1乃至第4配合例の何れかにおいて、界面活性剤を1〜5%の範囲で配合する。この場合には、界面活性剤の配合比に応じ、各配合例における組成材の配合比が変わる。
【0041】
上記半透水膜6は、例えば上記各配合例における半透水膜6形成材を吸水性粒状物1′の表面に噴霧することによって形成する。該半透水膜6の厚みは該噴霧量と半透水膜形成材の濃度によって設定される。
【0042】
上記各例示の遅速性の半透水膜6にて上記吸水性粒状物1′による排泄行為時の排尿吸収を抑止して排尿時における尿の通過を促すと共に、同半透水膜6の表面を濡らす残尿分8を同半透水膜6を通し吸水性粒状物1′内へ漸次吸収せしめることができる。
【0043】
図2に示すように、上記吸水性粒状物1′はその断面形状を略球面形状にするか、図3に示すように、該球面形状の粒状物を扁平に圧縮成形した形状にする。即ち上記に例示する造粒機にかけて造粒した後、例えばローラー間を通し圧縮して扁平形状に付形する。
【0044】
上記扁平形状の吸水性粒状物1′は上面と下面に面積の大なる略平面7を形成し、該平面7にて前記多孔板3上に安定に敷設する。
【0045】
上記半透水膜6としては、第1配合例に示す如く前記PVA等を単独で用いる他、又は第3配合例の如くPVA等と抗菌剤を用いる他、第2、第4配合例に示す如くサイズ剤を内添して成層し、上記遅速性の半透水膜6中にサイズ剤を含有せしめる。又PVAとEVA等を混合して使用することを妨げない。
【0046】
上記サイズ剤は製紙における紙に耐水性を付与する目的で使用されており、このサイズ剤を上記遅速性の半透水膜6中に含有せしめることにより、吸水性粒状物1′の表面を覆う半透水膜6の耐水性を向上し、該耐水性によって残尿分8を繰り返し吸収しても崩壊しない保形強度、即ち被層強度を高める。
【0047】
即ち遅速性半透水膜6内へのサイズ剤の配合により耐水性を向上し半透水効果を改善でき、該耐水性の向上によって保形性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る愛玩動物の排尿用床材の使用例を示す断面図。
【図2】Aは本発明に係る愛玩動物の排尿用床材として構成された、遅速性の半透水膜で覆われた吸水性粒状物を示す拡大断面図、Bは同粒状物が残尿を吸収する状態を説明する拡大断面図。
【図3】Aは上記半透水膜を施した吸水性粒状物を扁平形状にした例を示す斜視図、Bは同断面図。
【符号の説明】
【0049】
1…排尿用床材、1′…吸水性粒状物、2…吸収材、3…多孔板、4…受尿トレー、5…愛玩動物、6…半透水膜、7…平面、8…残尿分、9…植物繊維、10…無機充填材。
【出願人】 【識別番号】393000283
【氏名又は名称】ユニ・チャームペットケア株式会社
【識別番号】591030031
【氏名又は名称】ペパーレット株式会社
【出願日】 平成20年9月26日(2008.9.26)
【代理人】 【識別番号】100070323
【弁理士】
【氏名又は名称】中畑 孝


【公開番号】 特開2008−301836(P2008−301836A)
【公開日】 平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願番号】 特願2008−247660(P2008−247660)