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釣竿 - 特開2008−245614 | j-tokkyo
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【発明の名称】 釣竿
【発明者】 【氏名】渡邊 正憲

【氏名】森 裕幸

【氏名】西川 太

【要約】 【課題】本発明の目的は、リールシートの装着穴に挿入される竿杆の端部を強固に固定することができる釣竿を得ることにある。

【解決手段】釣竿1は、竿杆2の端部22が着脱可能に挿入される装着穴23が開口した金属製のリールシート11を具備する。この釣竿1は、装着穴23の内周面23aに接する外周面31bと、竿杆2の端部22を取り囲む内周面31aとを有する筒状の弾性部材31を備える。装着穴23の開口端部24と弾性部材31との間には、装着穴23の内周面23aと弾性部材31の外周面31bとが互いに離間する拡径許容領域51が設けられている。竿杆2の端部22は、装着穴23の開口端部24において弾性部材31を拡径許容領域51内に向いて拡径するように弾性変形させて、リールシート11に継合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竿杆と、
上記竿杆の端部が着脱可能に挿入される装着穴が開口した金属製のリールシートと、を具備する釣竿であって、
上記装着穴の内周面に接する外周面と、上記装着穴に挿入された竿杆の端部を取り囲む内周面とを有する筒状の弾性部材を備え、
上記装着穴の開口端部と上記弾性部材との間には、上記装着穴の内周面と上記弾性部材の外周面とが互いに離間する拡径許容領域が設けられ、
上記竿杆の端部は、上記装着穴の開口端部において上記弾性部材を上記拡径許容領域内に向いて拡径するように弾性変形させて、上記リールシートに継合されることを特徴とする釣竿。
【請求項2】
請求項1の記載において、上記装着穴の開口端部には、上記装着穴の他の領域に比べて内径が大きくなるとともに、上記弾性部材との間に上記拡径許容領域を形成する大径部が設けられ、
上記弾性部材の外径は、上記拡径許容領域において、上記大径部を外れた装着穴の領域の内径よりも大きくなることを特徴とする釣竿。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の記載において、上記拡径許容領域に配置される柔軟部材を備え、この柔軟部材は、上記弾性部材よりも軟らかい材料で造られるとともに、弾性を有することを特徴とする釣竿。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかの記載において、上記竿杆の端部の少なくとも一部は、上記端部の端面から離れる方向に進むに従い上記竿杆の外径が大きくなるとともに、該竿杆が上記装着穴に挿入されるに伴い上記弾性部材の内周面を拡径方向に向いて押圧するテーパ面を有することを特徴とする釣竿。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、竿杆が着脱可能に装着されるリールシートを備えた釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
釣竿は、その用途に応じて種々のタイプのものがあるが、そのなかには伸縮式元竿構造を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の釣竿は、小径竿体と、この小径竿体を出退自在に内嵌する大径竿体とを備える。この小径竿体と大径竿体との前後端部それぞれには、互い継合する継合部が形成されている。
【0003】
この釣竿は、上記継合部を形成する大径竿体の前端内周面に、小径竿体の外周面に接する弾性保持体を備えている。これにより、小径竿体の端部外周面の外径が基準寸法より多少異なったものであっても、弾性保持体がその弾性撓みによって外径寸法の違いを吸収し、小径竿体の退入状態を維持する。
【0004】
またこの釣竿は、上記継合部を形成する大径竿体の後端部に、小径竿体の外周面に密着する抜け止め具を備える。
【特許文献1】実開平4−21260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の弾性保持体および抜け止め具は、小径竿体の外周面に密着することで小径竿体を所定位置に保持する。すなわち弾性保持体や抜け止め具と小径竿体との間には摩擦抵抗が働き、この摩擦抵抗によって両者が係合されている。
【0006】
本発明者らは、リールシートに開口する装着穴に竿杆の端部を直接挿入して継合する釣竿を考えている。この装着穴の内周面に弾性部材を設け、この弾性部材と竿杆の端部との間の摩擦抵抗によって竿杆を継合することが考えられるが、摩擦抵抗だけではリールシートと竿杆との間の係合力があまり大きくならない場合がある。リールシートと竿杆との継合部には大きな力が加わることがあるので、リールシートと竿杆との間の係合力は大きい方が好ましい。
【0007】
本発明の目的は、リールシートの装着穴に挿入される竿杆の端部を強固に固定することができる釣竿を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る釣竿は、竿杆と、上記竿杆の端部が着脱可能に挿入される装着穴が開口した金属製のリールシートとを具備する。この釣竿は、上記装着穴の内周面に接する外周面と、上記装着穴に挿入された竿杆の端部を取り囲む内周面とを有する筒状の弾性部材を備える。
【0009】
上記装着穴の開口端部と上記弾性部材との間には、上記装着穴の内周面と上記弾性部材の外周面とが互いに離間する拡径許容領域が設けられている。上記竿杆の端部は、上記装着穴の開口端部において上記弾性部材を上記拡径許容領域内に向いて拡径するように弾性変形させて、上記リールシートに継合される。
【発明の効果】
【0010】
この構成によれば、竿杆の端部が差し込まれた弾性部材は、装着穴の内部で拡径方向に弾性変形することができる。拡径方向に弾性変形した弾性部材は、縮径方向に向いて竿杆の端部を締め付けるので、竿杆の端部が強固に固定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の第1の実施形態に係る釣竿1について、図1ないし図5を参照して説明する。図1は、例えばキャスティングロッドのような釣竿1を開示している。釣竿1は、竿杆2と、この竿杆2が装着されるハンドル部材3とを備える。
【0012】
竿杆2は、釣り糸をガイドするとともに、この竿杆2の外周面に釣り糸が付着するのを防止する複数の釣糸ガイド4を備える。複数の釣糸ガイド4は、釣竿1の穂先に向けて所定間隔をおいて竿杆2の外周面に設けられている。また、竿杆2の先端部には、トップガイド5が設けられている。なお竿杆2は、一本竿だけでなく、二本或いはそれ以上の竿杆を継合させたものでもよい。
【0013】
竿杆2の一例は、例えば強化繊維に合成樹脂材料を含浸させた繊維強化樹脂材料で造られている。尚、竿杆2の材質は上記の例に限られない。また本実施形態に係る竿杆2は、例えば中空円筒状に形成されているが、これに代えて中実状に形成してもよい。
【0014】
一方、ハンドル部材3は、リールシート11と、このリールシート11の後方に設けられた握り部12とを有する。なお本実施形態では、リールシート11から竿杆2の穂先を見て、前、後、左、右を定義している。リールシート11は、例えば外径が約20mm〜30mm程度の略円筒状部材として形成されている。
【0015】
リールシート11の一例は、例えばアルミニウム合金、真鍮、ステンレス鋼、マグネシウム合金、或いはチタン合金のような金属材料で造られている。尚、リールシート11の材質は、上記の例に限らず、種々の金属材料を適宜選択的に用いることができる。
【0016】
図2に示すように、リールシート11の長手方向(すなわち前後方向)の中央部は、上下方向に比較して幅方向の差渡し寸法が大きい偏平構造を有するとともに、魚釣リール13が取り付けられるリール載置部14が形成されている。握り部12には、例えば木製、或いは硬質の合成樹脂製のグリップ部材15が設けられている。このグリップ部材15は、リールシート11の下部から下方に向いて突出したトリガー16を備える。
【0017】
リールシート11の先端部(すなわち握り部12とは反対側の端部)には、竿杆2が取り付けられる取付部21が設けられている。取付部21は、例えば円筒状に形成されるとともに、リールシート11から一体部材として延びている。
【0018】
図3に示すように、取付部21には、竿杆2の竿尻部22が着脱可能に挿入される装着穴23が設けられている。装着穴23は、リールシート11の前方(すなわち握り部12とは反対方向)に向いてリールシート11の外部に開口する開口23cを有する。装着穴23は、開口23cからリールシート11の長手方向に沿って取付部21の内部に延びている。
【0019】
装着穴23の軸方向は、リールシート11の長手方向に一致する。装着穴23の軸方向長さは、竿杆2の取り付け強度を確保するために、例えば約50mm〜70mm程度に形成されている。装着穴23は、例えば円筒状の内周面23aと、装着穴23の軸方向に沿う最奥部に設けられた底壁26とを有する。底壁26は、装着穴23の最奥部を塞いでいる。内周面23aは、開口23cに隣接した開口端部24と、この開口端部24とは反対側の端部であるとともに底壁26に隣接する底側端部25とを有する。
【0020】
図3に示すように、装着穴23の内部には、竿尻部22を嵌合保持する弾性部材31が設けられている。弾性部材31は、装着穴23の内周面23aに沿う筒状に形成されている。すなわち弾性部材31は、内周面31aと外周面31bとを有する筒状に形成されている。外周面31bは、装着穴23の内周面23aに接する。内周面31aは、装着穴23に挿入された竿尻部22を取り囲むとともに、竿尻部22の外周面22bに接する。本実施形態に係る弾性部材31は、例えば軸方向に沿って装着穴23の開口端部24から底側端部25まで連続して設けられている。
【0021】
より詳しくは、弾性部材31は、装着穴23の開口23cから底壁26に隣接する内周面23aの縁23dまで連続して設けられている。すなわち弾性部材31は、装着穴23の軸方向に沿う全長に亘り、装着穴23の内周面23aを覆っている。これにより、装着穴23に竿尻部22が挿入されたとき、装着穴23の内周面23aと竿尻部22の外周面22bとの間には弾性部材31が介在される。
【0022】
弾性部材31は、リールシート11の外部に向いて開口する開口42を有する。開口42は内周面31aに連続しており、竿尻部22はこの開口42を通じて弾性部材31の内側に差し込まれる。開口42は、例えばRまたはCの面取りがされている。開口42が面取りされていると、後述する弾性部材31の弾性変形時に開口42に応力が集中するのを避けることができ、釣竿1の破損を避けることができる。
【0023】
弾性部材31は、弾性を有し、且つ、リールシート11よりも軟らかい材料で造られている。弾性部材31の一例は、例えばカーボンパイプ、ガラスパイプ、或いは合成樹脂パイプである。尚、弾性部材31の材質は、上記の例に限られず、種々の材料を適宜選択的に用いることができる。
【0024】
弾性部材31を備えることなく、例えばアルミニウム合金で形成されたリールシート11を長期に亘り使用すると、直接継合された竿杆2とリールシート11との接触部分において電食が生じるおそれがある。釣竿1が弾性部材31を備えるとともに、この弾性部材31が例えば絶縁性を有する繊維強化樹脂材料で形成されていると、リールシート11の電食防止を図ることができる。
【0025】
弾性部材31は、例えば接着剤により装着穴23の内周面23aに固着される。尚、装着穴23に対する弾性部材31の固着方法は接着に限らず、例えば両面接着テープを用いてもよく、或いは装着穴23の内周面23aに雌ねじを形成するとともに、弾性部材31の外周面31bに雄ねじを形成し、弾性部材31を装着穴23に螺合させてもよい。
【0026】
図3に示すように、装着穴23の開口端部24には、開口23cに連なる大径部35が設けられている。大径部35は、装着穴23の周方向に沿って内周面23aの全周に亘るとともに、装着穴23の軸方向に沿って同軸状に連続するように形成されている。
【0027】
この大径部35では、装着穴23の他の領域(すなわち大径部35を外れた領域)に比べて内径が大きくなっている。すなわち装着穴23の内周面23aは、大径部35に形成された第1の内周面23aaと、大径部35を外れた領域に形成された第2の内周面23abとを含む。第1の内周面23aaは、第2の内周面23abに比べて径方向の外側に形成されている。第2の内周面23abは、例えば弾性部材31の外周面31bに密着する。第1の内周面23aaは、弾性部材31の外周面31bとの間に隔たりを有し、外周面31bから離間している。
【0028】
図3に示すように、第1の内周面23aaの一例は、例えば装着穴23の軸線Pと平行である。すなわち大径部35の深さd(すなわち第1の内周面23aaと第2の内周面23abとの内径差)が大径部35の全長に亘って一定となっている。尚、大径部35の形状は上記に限らず、例えば開口端部24から底側端部25に向かう方向に進むに従い第1の内周面23aaの内径が小さくなるテーパ面を有してもよい。
【0029】
第1の内周面23aaは、取付部21の端面37に開口している。第1の内周面23aaと取付部21の端面37とが交差する部分は、略直角に尖る端縁となっている。この端縁は、装着穴23の開口23cを規定している。
【0030】
図3に示すように、第1の内周面23aaと第2の内周面23abとの境界部分には、段差38が形成されている。段差38は、装着穴23の径方向に沿うとともに、第1の内周面23aaの縁を第2の内周面23abの縁に繋げている。段差38の径方向に沿う内側の縁38aは、例えばRまたはCの面取りがされている。段差38の縁38aが面取りされていると、後述する弾性部材31の弾性変形時に縁38aに応力が集中するのを避けることができ、釣竿1の破損を避けることができる。
なお段差38は必ずしも必要な構成要素ではなく、上述したようなテーパ面を有する第1の内周面23aaが段差を設けることなく第2の内周面23abに連続してもよい。
【0031】
大径部35の一例は、第1の内周面23aaの軸方向に沿う全長が約5mmに形成されている。尚、第1の内周面23aaの全長の好適な範囲は、例えば3mm〜合わせ長さの約半分である。第1の内周面23aaの全長が上記範囲内であれば、竿尻部22をぐらつくことなく安定して装着穴23に固定することができる。ここで「合わせ長さ」とは、装着穴23の軸方向に沿って装着穴23の開口23cから竿尻部22の端面41までの距離であり、すなわち竿杆2と弾性部材31との締まり代のことである。
また大径部35の深さdは、半径基準で約0.05mmである。尚、大径部35の深さdの好適な範囲は、例えば0.02mm〜5mmである。
【0032】
図3に示すように、釣竿1は、弾性部材31の拡径変形を許容する拡径許容領域51を有している。すなわち、釣竿1は、大径部35を備えることで、装着穴23の開口端部24と弾性部材31との間に、装着穴23の内周面23aaと弾性部材31の外周面31bとが互いに離間している拡径許容領域51を有している。本実施形態に係る拡径許容領域51は、大径部35の第1の内周面23aaと段差38と弾性部材31の外周面31bとによって形成されている。
【0033】
拡径許容領域51は、例えば空隙であってもよい。図3および図4に示すように、本実施形態に係る拡径許容領域51には、柔軟部材52が設けられている。なお柔軟部材52は、拡径許容領域51の全域に亘って設けられてもよく、或いは拡径許容領域51の一部に設けられてもよい。拡径許容領域51に配置された柔軟部材52は、大径部35の第1の内周面23aaと弾性部材31の外周面31bとの間に介在される。
【0034】
柔軟部材52は、リールシート11よりも軟らかく、さらに弾性部材31よりも軟らかい材料で造られている。柔軟部材52の好適な例は、弾性を有する。柔軟部材52の材質の一例は、例えばゴム、EVA、コルク、エラストマー、或いは合成樹脂である。尚、柔軟部材52の材質は、上記の例に限られず、種々の材料を適宜選択的に用いることができる。
【0035】
柔軟部材52の一例は合成樹脂製のテープ部材である。柔軟部材52は、例えば弾性部材31の外周面31bにテープを巻き付け、この巻き付けたテープの表面に接着剤を塗布して弾性部材31とともに装着穴23に押し込まれることで設けられている。尚、柔軟部材52としては、リング状に形成された成形品を装着穴23の第1の内周面23aaに沿って直接取り付けてもよく、或いは装着穴23の内周面23aに型を取り付けて成形や充填といった手法で形成してもよい。
【0036】
竿杆2の竿尻部22は、リールシート11に装着される竿杆2の端部である。図3に示すように、例えば中空円筒状に形成された竿尻部22の端部内側には、尻栓55が設けられている。尻栓55は、例えばゴム、エラストマー、EVA、コルク、合成樹脂、または金属材料で造られている。尚、上記合成樹脂の詳しい例は、ABS、ナイロン、またはPOMなどである。ただし尻栓55の材料は、上記の例に限られるものではない。尻栓55は、竿尻部22の内周面に例えば接着剤で固着され、竿尻部22の開口を塞いでいる。尻栓55が設けられることで、竿尻部22の強度が確保され、竿尻部22の保護が図られている。
【0037】
尻栓55には、例えば空気抜き用の孔としての貫通孔55aが形成されている。貫通孔55aは、尻栓55を貫通し、竿杆2の内部を外部に連通させている。竿尻部22を装着穴23に差し込むとき、装着穴23の内部の空気はこの貫通孔55aを通じて装着穴23の内部から逃がされる。尚、貫通孔55aは、尻栓55の中央に設けられる必要はなく、どの領域に形成されてもよい。また空気抜き孔としての貫通孔55aは、尻栓55に設けられるものに限らず、竿杆2が中実状に形成されている場合などは例えばリールシート11側に設けてもよい。
【0038】
図3に示すように、竿尻部22が弾性部材31の内側に差し込まれたとき、竿尻部22の端面41と装着穴23の底壁26との間に隙間Sが形成されるように装着穴23が形成されている。隙間Sが設けられていると、竿杆2の合わせ長さのばらつきを許容することができる。
【0039】
竿杆2の一例は、その最外層に繊維方向が軸方向に対して例えば±45°斜向する補強層を備える。このような補強層を竿杆2が備えると、径方向に沿う竿杆2のせん断変形を抑えて、竿杆2の破損を防ぐことができる。さらにこのような補強層を竿杆2が備えると、リールシート11に対して竿杆2がより抜けにくくなる。
【0040】
次に竿尻部22および弾性部材31の形状の一例について詳しく説明する。なおこの一例は、本発明の適用可能範囲をなんら特定するものではない。
図4および図5は、説明のため竿尻部22および弾性部材31のテーパ形状を拡大して示したものである。図4は、竿杆2が取り付けられていない状態の取付部21を示す。図5は、竿杆2が取り付けられた状態の取付部21を示す。
【0041】
図5に示すように、竿尻部22の端面41の外径は、弾性部材31の開口42の内径に比べて小さく形成され、開口42に挿通可能である。竿尻部22の一部は、竿尻部22の軸方向に沿って端面41から離れる方向に進むに従い竿杆2の外径が大きくなるテーパ面である第1の外周面22baを有する。
【0042】
第1の外周面22baは、例えば竿杆2の軸方向に沿って端面41から所定距離だけ離れた領域から設けられている。この第1の外周面22baは、外径差を軸方向距離で除したテーパ率が例えば1/1000〜3/1000の範囲の値に設定される。本実施形態ではこのテーパ率は、2/1000に設定されている。図5に示すように、第1の外周面22baは、弾性部材31の開口42の内径よりも外径が大きくなる部分を含む。
【0043】
本実施形態に係る竿尻部22は、端面41と第1の外周面22baとの間に、第1の外周面22baとは傾斜が異なる第2の外周面22bbを有する。第2の外周面22bbは、第1の外周面22baに連続するとともに、第1の外周面22baよりも傾斜が小さい。第2の外周面22bbは、例えば傾斜がゼロのいわゆるストレート面、或いは第1の外周面22baよりもテーパ率が小さいとともに第1の外周面22baと同じ方向に傾斜するテーパ面に形成されている。第2の外周面22bbの外径は、弾性部材31の開口42の内径よりも小さい。
【0044】
一方、弾性部材31の内周面31aは、例えば軸方向の全長に亘り傾斜が一定のテーパ面を有する。弾性部材31の内周面31aは、底側端部25から開口端部24に向かう方向に進むに従いその内径が拡大されるテーパ面、すなわち竿尻部22の第1の外周面22baと同じ方向に傾斜するテーパ面を有する。弾性部材31の内周面31aは、竿尻部22の第1の外周面22baよりも傾斜が小さく、第2の外周面22bbよりも傾斜が大きい。また、弾性部材31の内周面31aは、竿尻部22の端面41の外径よりも内径が小さくなる部分を含む。
【0045】
図5に示すように、本実施形態に係る竿尻部22および弾性部材31によると、第1の外周面22baおよび第2の外周面22bbがそれぞれ弾性部材31の内周面31aに当接する。また第1の外周面22baと第2の外周面22bbとの境界部分22bcは、弾性部材31の内周面31aから離間するとともに、内周面31aとの間に空隙kを形成する。
【0046】
このように形成された竿尻部22を装着穴23に対して所定距離だけ差し込むと、竿尻部22の第1の外周面22baの一部が弾性部材31の開口42に当接する。第1の外周面22baが弾性部材31の開口42に当接した状態から竿尻部22をさらに装着穴23の奥に向けて差し込むと、第2の外周面22bbが弾性部材31の内周面31aに嵌合するとともに、開口端部24において第1の外周面22baが弾性部材31を拡径方向に弾性変形させる。
【0047】
詳しく述べると、竿杆2が装着穴23に挿入されるに伴い、テーパ面を有する第1の外周面22baが弾性部材31の内周面31aの一部を拡径方向に向いて押圧する。これにより、弾性部材31は、装着穴23の第1の内周面23aaに向いて拡径するように弾性変形する。
【0048】
ここで、径方向に沿う弾性部材31の外側には、弾性部材31よりも軟らかい柔軟部材52が配置された拡径許容領域51が設けられている。したがって図5に示すように、押圧された弾性部材31の領域は、拡径許容領域51内に向いて拡径方向に弾性変形し、柔軟部材52を圧縮するとともに拡径許容領域51内に入り込む。すなわち弾性部材31の外径は、拡径許容領域51において、大径部35を外れた領域である第2の内周面23abの内径よりも大きくなる。
【0049】
拡径方向に弾性変形した弾性部材31の領域は、その弾性力により元の形状に復帰しようとし、縮径方向に向いて竿尻部22を締め付ける。本実施形態ではさらに、弾性部材31の拡径変形により圧縮された柔軟部材52が縮径方向に向いて竿尻部22を締め付ける力を作用させる。これにより、弾性部材31の開口42の近傍に対向する弾性部材31の領域61が弾性部材31の内周面31aに嵌合される。
【0050】
さらに竿尻部22の端面41の近傍の領域62が、弾性部材31の内周面31aに嵌合される。これにより竿杆2のなかで装着穴23に挿入された部分の両端部が内周面31aに嵌合され、竿杆2は弾性部材31の内側に嵌合固定される。これにより、竿杆2はリールシート11に継合される。
【0051】
さらに本実施形態の竿尻部22は、第1の外周面22baと第2の外周面22bbとの間の境界部分22bcが弾性部材31の内周面31aとの間に空隙kを形成する。この竿尻部22は、装着穴23の奥に向けて差し込まれるに伴い空隙k内の空気の一部を追い出すとともに上記二つの領域61,62がそれぞれ弾性部材31の内周面31aに気密に密着する。これにより、竿杆2の外周面22bと装着穴23の内周面23aとの間に密封状態に基づく吸引力が働き、竿杆2は装着穴23に強固に固定される。
【0052】
このような構成の釣竿1によれば、リールシート11の装着穴23に竿尻部22を強固に固定することができる。すなわち、装着穴23と弾性部材31との間に拡径許容領域51が設けられるとともに、弾性部材31に差し込まれた竿尻部22が弾性部材31を拡径方向に弾性変形させると、拡径方向に弾性変形した弾性部材31が縮径方向に向いて竿尻部22を締め付ける。竿尻部22を締め付ける力が働くと、単に摩擦抵抗による場合に比べて竿杆2とリールシート11との間の係合力がずっと大きくなり、竿杆2をリールシート11に強固に固定することができる。
【0053】
特に金属製であるリールシート11は剛性が高いため、例えば拡径許容領域51を備えることなく装着穴23の内周面23aが弾性部材31に密着している場合、弾性部材31が径方向の外側に広がることができない。そのため弾性部材31は竿尻部22に対して大きな締め付け力を加えることなく、弾性部材31と竿尻部22との間の係合力は大きなものにはならない。一方、拡径許容領域51を備えたリールシート11によれば、例えリールシート11が金属で形成されていても弾性部材31の変形を許容することができる。
【0054】
弾性部材31の弾性変形した部分の外径が装着穴23の第2の内周面23abの内径よりも大きくなると、それだけ大きく弾性変形した弾性部材31が竿尻部22をきつく締め付ける。これにより竿杆2をリールシート11に強固に固定することができる。
【0055】
拡径許容領域51が設けられるのが装着穴23の開口端部24であると、竿杆2が装着穴23に差し込まれたときにこの開口端部24において弾性部材31と竿尻部22との間に係合力が生じる。開口端部24において係合力が生じると竿杆2の固定が安定するので好ましい。
【0056】
柔軟部材52が弾性部材31よりも軟らかい材料で造られていると、柔軟部材52は弾性部材31の弾性変形を阻害しない。さらに柔軟部材52が弾性を有すると、弾性部材31に加えて柔軟部材52も竿尻部22に対して締め付け力を作用させるので、より強固に竿杆2をリールシート11に固定することができる。
【0057】
竿尻部22が弾性部材31の内周面31aを拡径方向に向いて押圧するテーパ面を有すると、竿尻部22を装着穴23に挿入する過程で自然と弾性部材31を拡径方向に弾性変形させる力を加えることができる。これは釣竿1の使いやすさの向上に寄与する。
【0058】
竿尻部22が第1の外周面22baよりも傾斜の小さな第2の外周面22bbを有するとともに、弾性部材31の内周面31aが第1の外周面22baよりも傾斜が小さく、且つ、第2の外周面22bbよりも傾斜が大きなテーパ面を有すると、開口端部24に加えて端面41の近傍でも竿尻部22は装着穴23に嵌合される。このように竿杆2のなかで装着穴23に挿入された部分の両端部が内周面31aに嵌合されると、リールシート11に対する竿杆2の固定が非常に安定する。
【0059】
さらにこのような構成の釣竿1によれば、竿尻部22の損傷防止に有利である。すなわち、竿尻部22は装着穴23の内周面23aに直接擦れることなく、リールシート11に比べて軟らかな弾性部材31に沿って装着穴23に着脱されるため、竿尻部22の外周部に傷が付きにくく、さらに磨耗によって細くなりにくい。
【0060】
さらに、このような弾性部材31によって竿杆2が嵌合保持されると、竿杆2を固定するための他の固定部品などを省略することができる。これは釣竿1のコストダウンおよび軽量化に寄与する。
【0061】
弾性部材31を竿尻部22の外周面22bに固着して設けるのではなく、装着穴23の内周面23aに固着して設けると以下の点で有利である。例えばガラスパイプやカーボンパイプなどの弾性部材31は、外径に比べて内径の方が寸法出しが容易である。これは上記のような材料で形成された弾性部材31の内周面31aは、例えばマンドレル工法により高精度に仕上げることができるためである。したがって装着穴23に弾性部材31を固着し、その弾性部材31の内周面31aに竿尻部22を嵌合保持させる釣竿1は、製造性および信頼性が高いといえる。
【0062】
次に、本発明の第2の実施形態に係る釣竿71について、図6および図7を参照して説明する。なお第1の実施形態に係る釣竿1と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係る釣竿71には、装着穴23の大径部35が設けられておらず、装着穴23の内周面23aはその全長に亘り平滑面を有する。
【0063】
図6および図7に示すように、弾性部材31の先端部72(すなわち開口端部24側の端部)には、小径部73が設けられている。小径部73は、例えば弾性部材31の全周に亘って設けられている。この小径部73では、弾性部材31の他の領域(すなわち小径部73を外れた領域)に比べて外径が小さくなっている。すなわち弾性部材31の外周面31bは、小径部73に形成された第1の外周面31baと、小径部73を外れた領域に形成された第2の外周面31bbとを含む。第1の外周面31baは、第2の外周面31bbに比べて径方向の内側に形成されている。
【0064】
第2の外周面31bbは、例えば装着穴23の内周面23aに密着する。第1の外周面31baは、装着穴23の内周面23aとの間に隔たりを有し、内周面23aから離間している。小径部73の深さd(すなわち第1の外周面31baと第2の外周面31bbとの外径差)は、小径部73の全長に亘り一定でもよく、変化してもよい。
【0065】
図6および図7に示すように、釣竿71は、弾性部材31の拡径変形を許容する拡径許容領域51を有している。すなわち、釣竿71は、小径部73を備えることで、装着穴23の開口端部24と弾性部材31との間に、装着穴23の内周面23aと弾性部材31の外周面31baとが互いに離間している拡径許容領域51を有している。本実施形態に係る拡径許容領域51は、小径部73の第1の外周面31baと段差38と装着穴23の内周面23aとによって形成されている。拡径許容領域51には、柔軟部材52が設けられている。
【0066】
竿尻部22および弾性部材31の形状の一例は、第1の実施形態と同様である。すなわち、竿尻部22は、第1の実施形態と同様に形成された第1および第2の外周面22ba,22bbを有する。弾性部材31は、第1の実施形態と同様に形成された内周面31aを有する。
【0067】
このような構成の釣竿71によれば、リールシート11の装着穴23に竿尻部22を強固に固定することができる。すなわち、第1の実施形態と同様に、拡径方向に弾性変形した弾性部材31が縮径方向に向いて竿尻部22を締め付ける。竿尻部22を締め付ける力が働くと、竿杆2をリールシート11に強固に固定することができる。
【0068】
さらに柔軟部材52が弾性を有すると、弾性部材31に加えて柔軟部材52も竿尻部22に対して締め付け力を作用させるので、より強固に竿杆2をリールシート11に固定することができる。
【0069】
次に、本発明の第3の実施形態に係る釣竿81について、図8を参照して説明する。なお第1および第2の実施形態に係る釣竿1,71と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係る釣竿81には、装着穴23の大径部35および弾性部材31の小径部73は設けられておらず、装着穴23の内周面23aおよび弾性部材31の外周面31bはそれぞれ全長に亘り平滑面を有する。
【0070】
図8は、竿杆2が取り外された状態のリールシート11を示す。図8に示すように、弾性部材31の先端部72には、柔軟部材52が取り付けられている。柔軟部材52は、例えば弾性部材31の外周面31bに巻回された合成樹脂製のテープ部材である。このような柔軟部材52が取り付けられた弾性部材31は、その外周面31bに接着剤が塗布されて、装着穴23に挿入される。
【0071】
外周面31bに接着剤が塗布された弾性部材31が装着穴23に挿入されると、接着剤が装着穴23の内周面23aと弾性部材31の外周面31bとの間に広がり、装着穴23の内周面23aと弾性部材31の外周面31bとの間に接着層82が形成される。さらにこの接着剤の一部は、装着穴23の内周面23aと柔軟部材52の外周面52bとの間に浸入し、装着穴23の内周面23aと柔軟部材52の外周面52bとの間に接着層82の一部を形成する。
【0072】
図8に示すように、釣竿81は、弾性部材31の拡径変形を許容する拡径許容領域51を有している。すなわち、本実施形態に係る釣竿81は、柔軟部材52を備えることで、装着穴23の開口端部24と弾性部材31との間に、装着穴23の内周面23aと弾性部材31の外周面31bとが互いに離間している拡径許容領域51を有している。
【0073】
竿尻部22および弾性部材31の形状の一例は、第1の実施形態と同様である。すなわち、竿尻部22は、第1の実施形態と同様に形成された第1および第2の外周面22ba,22bbを有する。弾性部材31は、第1の実施形態と同様に形成された内周面31aを有する。
【0074】
このような構成の釣竿81によれば、リールシート11の装着穴23に竿尻部22を強固に固定することができる。すなわち、第1の実施形態と同様に、拡径方向に弾性変形した弾性部材31が縮径方向に向いて竿尻部22を締め付ける。竿尻部22を締め付ける力が働くと、竿杆2をリールシート11に強固に固定することができる。
【0075】
さらに柔軟部材52が弾性を有すると、弾性部材31に加えて柔軟部材52も竿尻部22に対して締め付け力を作用させるので、より強固に竿杆2をリールシート11に固定することができる。
【0076】
本実施形態のような釣竿81によれば、装着穴23の内周面23aおよび弾性部材31の外周面31bはそれぞれ平滑面を有する釣竿81において、簡単な構成で拡径許容領域51を設けることができる。したがって、装着穴23および弾性部材31に大径部35や小径部73を設ける必要がないため、製造コストの削減および製造時間の短縮などに有利な釣竿81を得ることができる。
【0077】
以上、第1ないし第3の実施形態に係る釣竿1,71,81について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0078】
例えば、竿尻部22は、第2の外周面22bbを有することなく、竿尻部22の全長に亘って第1の外周面22baを有してもよい。このような竿尻部22によっても開口端部24にて弾性部材31が拡径変形して竿尻部22を締め付けるので、竿杆2が装着穴23に強固に固定される。
【0079】
竿尻部22がテーパ面を有しなくても、弾性部材31の内周面31aに種々のテーパ面を形成することで開口端部24において弾性部材31を拡径方向に弾性変形させるようにしてもよい。さらに弾性部材31を拡径変形させる要素はテーパ面に限らず、例えば突起によってもよい。柔軟部材52を備えることなく、拡径許容領域51は空隙でもよい。このような拡径許容領域51によっても弾性部材31が拡径変形して竿尻部22を締め付けるので、竿杆2が装着穴23に強固に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る釣竿の側面図。
【図2】図1中に示された釣竿のハンドル部材の側面図。
【図3】図2中に示されたリールシートの取付部の断面図。
【図4】図3中に示された取付部の竿杆が取り付けられていない状態を示す断面図。
【図5】図3中に示された取付部の竿杆が取り付けられた状態を示す断面図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るリールシートの取付部の断面図。
【図7】図6中に示された取付部の竿杆が取り付けられていない状態を示す断面図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る取付部の竿杆が取り付けられていない状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0081】
1,71,81…釣竿、2…竿杆、11…リールシート、21…取付部、22…竿尻部、22ba…第1の外周面、22bb…第2の外周面、23…装着穴、23aa…第1の内周面、23ab…第2の内周面、24…開口端部、31…弾性部材、31a…内周面、31b…外周面、35…大径部、41…端面、51…拡径許容領域、52…柔軟部材、73…小径部、82…接着層。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成19年3月30日(2007.3.30)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100100952
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 鉄也


【公開番号】 特開2008−245614(P2008−245614A)
【公開日】 平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願番号】 特願2007−93652(P2007−93652)