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【発明の名称】 センサ保持用ベルト
【発明者】 【氏名】木曾田 繁

【氏名】瀬尾 聡一

【氏名】笹尾 浩史

【氏名】宮本 英基

【氏名】多久和 厚

【氏名】谷 忠幸

【氏名】新田 光志

【要約】 【課題】長期間にわたって牛にストレスを感じさせずにセンサを取り付けること。

【解決手段】牛のき甲部直後の背骨の真上に取り付けるセンサSを保持するセンサ保持用ベルト1であって、前脚直後の胴回りに回す胴ベルト体2と、胴ベルト体2の下部中央から延伸し前脚間を通って後ろ首部分を回って胴ベルト体2の下部中央にもどってくる後首ベルト体3と、から構成され、胴ベルト体2の上部中央には、センサSを取り付ける取付機構を備えたことを特徴とするセンサ保持用ベルト1。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牛のき甲部直後の背骨の真上に取り付けるセンサを保持するセンサ保持用ベルトであって、
前脚直後の胴回りに回す胴ベルト体と、胴ベルト体の下部中央から延伸し前脚間を通って後ろ首部分を回って胴ベルト体の下部中央にもどってくる後首ベルト体と、から構成され、胴ベルト体の上部中央には、センサを取り付ける取付機構を備えたことを特徴とするセンサ保持用ベルト。
【請求項2】
後首ベルト体は伸縮可能な帯体であり、胴ベルト体から延伸する所定長さ部分には延伸方向に沿って複数のヒダが形成されるように伸縮性のない帯体が接合されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ保持用ベルト。
【請求項3】
胴ベルト体の上部中央部分はベルトが二重になっており、下のベルトは伸縮可能な帯体であり、上のベルトは前記取付機構を有する中央部分は伸縮性のない帯体であってその両端は伸縮可能な帯体であり、胴ベルト体の他の部分は伸縮性のない帯体であることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ保持用ベルト。
【請求項4】
センサが牛の発情を検知するためのセンサであることを特徴とする請求項1、2または3に記載のセンサ保持用ベルト。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、牛のセンサ保持用ベルトに関し、特に、長期間連続して着用させるセンサ保持用ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
牛に対して最適時に種付けを行うためには、メスの発情期を正確に把握することが必要である。発情期を把握するひとつの方法として、飼育者が牛の発情行動、例えば乗駕行動などを目視により監視し、発情期にあるメスを特定する方法がある。しかしながらこの方法には、飼育者が常に牛を監視していなければならず作業負担が大きいという問題点と、飼育する牛の数が増えると高い精度で監視を行うことができないという問題点があった。
【0003】
これらの問題点を解決する方法として、牛の背中に発情行動(例えば乗駕回数、被乗駕回数)を加速度センサや傾きセンサなどで検知し、これを、通信や発光により飼育者に通知する方法が考えられている(特開2005−210927)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−210927号
【特許文献2】特開平11−32609号
【特許文献3】特開平11−332411号
【特許文献4】特開平4−320632号
【特許文献5】特開平4−370048号
【特許文献6】特開平4−370049号
【特許文献7】特開平4−370050号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、牛の発情期を把握するためには、センサを長期間(数日〜数十日)取り付ける必要がある。このとき、牛がストレスを感じてしまうと、うまく発情しない場合があり、最適期に種付けができなくなるという問題点があった。
【0006】
また、牛は寝そべったり柵に体をこすりつけたりするので、センサの取り付け位置によっては(例えば、臀部直上では)、センサやその取り付け具のずれが生じたり、これに伴って牛にストレスが発生してしまうという問題が生じる。
【0007】
このほか、乳牛の放牧など発情検知だけでなく、一般的な牛の行動を検知して適正飼育を模索する研究も始まっており、センサの長期装着の潜在的な需要が存在する。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、長期間にわたって牛にストレスを感じさせずにセンサを取り付けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のセンサ保持用ベルトは、牛のき甲部直後の背骨の真上に取り付けるセンサを保持するセンサ保持用ベルトであって、前脚直後の胴回りに回す胴ベルト体と、胴ベルト体の下部中央から延伸し前脚間を通って後ろ首部分を回って胴ベルト体の下部中央にもどってくる後首ベルト体と、から構成され、胴ベルト体の上部中央には、センサを取り付ける取付機構を備えたことを特徴とする。
【0010】
即ち、請求項1に係る発明は、牛の姿勢や動作を検知しやすく接地しにくい(したがってストレスを感じにくい)き甲部直後にセンサを配置するにあたり、前脚を介して安定的にベルトを保持可能となる。詳細には、牛の寝そべり等によりベルトがずれたり回転したりしても、前脚間に後首ベルト体が介在するので胴ベルト体の回転が制限され、かつ、牛の首振り運動によりベルトが正常位置に戻る。したがって、たるまず、いわば、常に丁度の長さでベルトが当接するので、ベルトによって引っ張られたり、突っ張ったりすることなく、ストレスを生じさせない。
【0011】
なお、ベルトは適宜長さ調節が可能な機構、たとえばベルト孔とピン(つく棒)とバックルを有しているものとする。また、後首ベルト体は、胴ベルト体の下部中央から延伸するが、一本が真ん中から延伸している態様でもよく、左右対称に二本延伸していてもよいものとする。センサを取り付ける取付機構も特に制限されず、例えば、面ファスナーであってもよく、バックル留めであってもよい。なお、取付機構を有することにより、センサの着脱が容易になり、ベルトは常時牛に取り付けておことが可能となって作業性が向上する。
【0012】
また、請求項2に記載のセンサ保持用ベルトは、請求項1に記載のセンサ保持用ベルトにおいて、後首ベルト体は伸縮可能な帯体であり、胴ベルト体から延伸する所定長さ部分には延伸方向に沿って複数のヒダが形成されるように伸縮性のない帯体が接合されていることを特徴とする。
【0013】
すなわち、請求項2に係る発明は、後首ベルト体の動きの大きな部分ないし力のかかりやすい部分を補強し、長期間のベルト装着を可能とする(製品寿命が向上する)。
【0014】
また、請求項3に記載のセンサ保持用ベルトは、請求項1または2に記載のセンサ保持用ベルトにおいて、胴ベルト体の上部中央部分はベルトが二重になっており、下のベルトは伸縮可能な帯体であり、上のベルトは前記取付機構を有する中央部分は伸縮性のない帯体であってその両端は伸縮可能な帯体であり、胴ベルト体の他の部分は伸縮性のない帯体であることを特徴とする。
【0015】
すなわち、請求項3に係る発明は、牛の動きに合わせて胴ベルト体の長さが変化し、牛にストレスを発生させにくくする。このとき、地面や柵に接触しにくい、また、他の牛と接触しにくい背中部分を伸縮させるようにしているため、この点からも製品寿命が向上する。
【0016】
また、請求項4に記載のセンサ保持用ベルトは、請求項1、2または3に記載のセンサ保持用ベルトにおいて、センサが牛の発情を検知するためのセンサであることを特徴とする。
【0017】
すなわち、請求項4に係る発明は、長期間の監視が必要な牛の発情期を的確に把握可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、長期間にわたって牛にストレスを感じさせずにセンサを取り付けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、センサ保持用ベルトの装着例を示した模式図である。図2は、センサ保持用ベルトを装着した様子を牛の下側からみた模式図である。図3は、センサの着脱の様子を模式的に示した図である。図4は、センサ保持用ベルトのうち、牛の下腹にあてがう部分と後首ベルト体との概略構成図であり、図5は、牛の背中部分にあてがう胴ベルト体の概略構成図である。図6は、後首ベルト体と胴ベルト体の接合部分の様子(ヒダの様子)を示した外観構成図である。
【0020】
センサ保持用ベルト1は、大きく二つの帯状ベルト、すなわち、胴ベルト体2と、後首ベルト体3、とから構成され、後首ベルト体3は、その端部が、胴ベルト体2の中央部分に接合されている。それぞれのベルト巾は約4cmで厚みは2〜3mmである。素材は、伸縮性を持たせる部分はゴムであり、伸縮性のない部分は化学繊維である。
【0021】
胴ベルト体2は、また、牛の下腹位置にくる胴下ベルト体2と背側にくる胴上ベルト体2とにより構成され、両者は、バックルBにより丁度の胴回り長さにして牛に装着される。このとき、バックルBは、ベルトの両端に設けられ、両方のベルトを対称の位置関係にして牛に装着する。これは、センサSをき甲部直後の背骨の真上に位置させるためである。
【0022】
また、センサSをこの位置に保ち、かつ、牛の動きに応じて胴回りが変化するのにベルト長を追従させるために、胴上ベルト体2は、中央に伸縮構造を有する。図5に示したように、胴上ベルト体2中央は、ベルトが二重になっており、牛の背中に当たる部分は、ゴム帯6になっており、その上部にくる部分には、ソケット式のバックルSBを介して外側がゴム帯4、内側が伸縮性のない帯5となっている。なお、図では省略するが、この帯5にセンサSが取り付けられる。
【0023】
後首ベルト体3は、胴ベルト体2と同様に、後首部分にわたす首上ベルト体3と首下から胸をわたって胴ベルト体2に接合する胸下ベルト体3とにより構成され、両者はバックルBにより丁度の長さにして牛に装着される。なお、両方のベルト体ともゴム帯により構成される。この例では、バックルBは2箇所に設けてあるが、一箇所としてもよい。
【0024】
胸下ベルト体3の胴下ベルト体2との接合部分近傍には、図6に示したように、ゴム帯に沿って伸縮しない帯がヒダを形成するように縫いつけてある。これは、牛が前脚を伸ばしたり、運動したりするとき、この部分の動きが激しいため消耗しやすく、ゴム帯の伸長を制限し、補強するために設けている。
【0025】
なお、センサの構成は特に制限されないが、例えば、発情検知のセンサとしては、牛の体の傾きを検知する加速度センサと、牛の体の振動を検知する振動センサのうち少なくとも1つを備えたものとすることができる。発情は、加速度センサにより牛の体が傾いたことが検知された回数、および/または、前記振動センサにより牛の体の振動が検知された回数が所定値以上であるか否かにより判断し、この結果を牛舎に送信するようにする。また、場合によっては、センサにランプを組み込み、発光により飼育者に通知するようにする。なお、発情から12〜24時間以内に種付けが好ましいので、飼育者はセンサの通報(発光)に基づいて診療所や獣医に連絡する。
【0026】
以上説明したように、センサ保持用ベルト1は、胴ベルト体2の胴回りの回転ずれを、前脚間(の後首ベルト体3)で規制し、胴ベルト体2の後方への位置ずれを後首ベルト体3を設けて規制するため、センサSを常にき甲部直後の背骨スジに位置させることが可能となる。また、丁度の長さでベルトを牛の体に沿わせているので、牛にもストレスをかけにくい。更に、牛が草をはむ際や習性として首を上下に振る際に、ベルトずれが自ずと矯正される。
【0027】
よって、センサが回転、脱落することなく、センサ位置が安定しているため、発情、出産の検知精度の向上をはかることが可能となる。またセンサの脱落破損の可能性が低くなるため、設備費の低減化にも資する。また、センサを着脱可能にすることもできるので、ベルトは常時装着し、必要な牛にセンサ部分のみを装着でき、センサの導入コストを下げ、また、作業性も向上する。
【0028】
なお、センサ保持用ベルト1を実際に牛に長期(長いもので6ヶ月)装着したが、ベルトに違和感があるような振る舞いも見せず、センサも破損等生じないことを確認した。
【0029】
本発明は、上記の構成に限定されることなく、請求項に記載の範囲内で種々の態様を採用できる。例えば、後首ベルト体を図7のように、胴ベルト体への接合部分を一本帯としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の活用例として、繁殖用牛以外の牛の行動監視をすることができる。例えば、牛舎内の乳牛に取り付け、すぐ座り込んでしまう様子の異なる牛の早期発見をするために用いることもできる。この他、馬、豚に装着するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】センサ保持用ベルトの装着例を示した模式図である。
【図2】センサ保持用ベルトを装着した様子を牛の下側からみた模式図である。
【図3】センサの着脱の様子を模式的に示した図である。
【図4】センサ保持用ベルトのうち、牛の下腹にあてがう部分と後首ベルト体との概略構成図である。
【図5】牛の背中部分にあてがう胴ベルト体の概略構成図である。
【図6】後首ベルト体と胴ベルト体の接合部分の様子(ヒダの様子)を示した外観構成図である。
【図7】後首ベルト体の他の構成例である。
【符号の説明】
【0032】
1 センサ保持用ベルト
2 胴ベルト体
胴下ベルト体
胴上ベルト体
3 後首ベルト体
胸下ベルト体
首上ベルト体
4 ゴム帯
5 伸縮性のない帯
6 ゴム帯
B バックル
S センサ
SB ソケット式のバックル

【出願人】 【識別番号】591060980
【氏名又は名称】岡山県
【識別番号】507060332
【氏名又は名称】新見市
【識別番号】500133738
【氏名又は名称】株式会社 ワコムアイティ
【出願日】 平成19年2月23日(2007.2.23)
【代理人】 【識別番号】100116861
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 義博


【公開番号】 特開2008−206412(P2008−206412A)
【公開日】 平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願番号】 特願2007−43620(P2007−43620)