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【発明の名称】 魚釣用スピニングリール
【発明者】 【氏名】清水 栄仁

【要約】 【課題】ハンドルの回転操作による復帰力の切換えレバーへの効率的な伝達が可能であると共に、リール本体の小型化が図れる魚釣用スピニングリールを提供する。

【解決手段】本発明の魚釣用スピニングリールは、釣糸が巻回されるスプール3と、ハンドル5の巻取り操作で回転する駆動歯車7と噛合するピニオンギヤ9を介して回転可能であり、釣糸案内部を介してスプール3に釣糸を巻回案内するロータ2と、スプール3の回転を規制する規制状態とスプールフリーにするフリー状態とに切換え操作可能な切換えレバー31を備えた切換機構30と、スプールフリー状態にある切換機構30を、ハンドル5の巻取り操作によって規制状態に復帰させる復帰機構60とを有する。そして、復帰機構60は、駆動歯車7を有するハンドル軸4に対してオフセットした位置に支持されたキック部材71を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体の前部に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、
前記リール本体に回転自在に支持されたハンドルの巻取り操作で回転する駆動歯車と噛合するピニオンギヤを介して回転可能であり、釣糸案内部を介して前記スプールに釣糸を巻回案内するロータと、
前記スプールの回転を規制する規制状態とスプールフリーにするフリー状態とに切換え操作可能な操作部材を備えた切換機構と、
スプールフリー状態にある前記切換機構を、前記ハンドルの巻取り操作によって規制状態に復帰させる復帰機構と、
を有する魚釣用スピニングリールにおいて、
前記復帰機構は、前記駆動歯車を有する駆動軸に対してオフセットした位置に支持されたキック部材を有することを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スプールに回転抵抗を与えるドラグ機構を、作動状態と非作動状態とに切換える切換え機構を備えた魚釣用スピニングリールに関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣用スピニングリールの中には、リール本体内に、スプールに回転抵抗を与えるドラグ機構を、作動状態(スプールに対してドラグ力が作用する状態)と、非作動状態(スプールが完全にフリーになる状態とサブドラグ機構によってドラグ力が作用する状態を含む)とに切換える切換機構を備えたものが知られている。例えば、特許文献1には、リール本体の上部の前後方向に向けて回動可能に支持した切換えレバーを操作することで、ドラグ機構を作動状態/非作動状態に切換操作できる魚釣用スピニングリールが開示されている。そして、このような切換機構には、ハンドルを巻取り操作した際、非作動状態から作動状態に自動的に復帰できる復帰機構が係合している。
【0003】
上記した特許文献1に開示されている復帰機構は、ハンドル軸に装着される駆動歯車(フェースギヤ)の反歯面側と、リール本体を構成する蓋板側のスペースに設置されているため、リール本体が大型化してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、このような問題を解決するために、特許文献2には、ハンドル軸の端部(フェースギヤの歯面側)にカムホイールを固定し、復帰機構をフェースギヤから離れた位置(フェースギヤ歯面側のハンドル軸端部の比較的空いたスペース)に設置してリール本体の小型化が図れる魚釣用スピニングリールが開示されている。
【特許文献1】特公平6−97933号
【特許文献2】特許第3542284号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、復帰機構は、一般的に、ハンドルの巻取り操作によって、自動的に切換えレバーを初期位置(ドラグ機構の作動状態位置)に復帰させる機構であり、ハンドルの巻取り操作によってその巻取り操作と共に回転する部材(キック部材)を係合部材に当て付けて(キックする)、切換えレバーを初期位置に戻す構成である。
【0006】
上記した特許文献2に開示されている復帰機構においは、前記ハンドルの回転力(切換えレバーの復帰力)は、ハンドル軸の端部に固定されるカムホイール42、第2トグルばね60によって付勢された揺動可能なカムフォロワ(係合部材)58、第2レバー53等を介して、切換えレバー45に支持されると共に、スプール軸上のロックリングへの係脱制御を行う第1レバー52に伝達する構成となっている。
【0007】
このため、切換えレバーに至る動力伝達経路において、複数の部材の結合部、及び各部材の支持部におけるガタ付き等の影響が生じてしまい、ハンドルの回転力を効率良く伝達できないと共に、作動不良が生じ易いという問題がある。また、リール本体内の各部材の装着スペース確保のために、省スペース化が困難でリール本体の小型化に限界がある、等の問題がある。
【0008】
本発明は、上記した問題に基づいてなされたものであり、ハンドルの回転操作による復帰力の切換えレバーへの効率的な伝達が可能であると共に、リール本体の小型化が図れる魚釣用スピニングリールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用スピニングリールは、リール本体の前部に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、前記リール本体に回転自在に支持されたハンドルの巻取り操作で回転する駆動歯車と噛合するピニオンギヤを介して回転可能であり、釣糸案内部を介して前記スプールに釣糸を巻回案内するロータと、前記スプールの回転を規制する規制状態とスプールフリーにするフリー状態とに切換え操作可能な操作部材を備えた切換機構と、スプールフリー状態にある前記切換機構を、前記ハンドルの巻取り操作によって規制状態に復帰させる復帰機構と、を有しており、前記復帰機構は、前記駆動歯車を有する駆動軸に対してオフセットした位置に支持されたキック部材を有することを特徴とする。
【0010】
上記した構成における魚釣用スピニングリールでは、復帰機構を構成するキック部材を、ハンドルの回転によって回転駆動される駆動歯車が装着された駆動軸に対して、オフセットした位置に支持することで、ドラグ機構を切換制御する作動部への連結経路が短くなるか、或いは、直接に作動部と連結できるため、ハンドル回転による復帰力の、作動部に対する効率的な伝達が可能となり、切換え・復帰の作動の安定化が図れる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ハンドルの回転操作による復帰力の切換えレバーへの効率的な伝達が可能な魚釣用スピニングリールが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る魚釣用スピニングリールの実施形態について、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
図1から図7は、本発明の一実施形態を示す図であり、図1は、魚釣用スピニングリールの内部構成を示す図(ドラグ作動状態;切換えレバーON)、図2は、図1の主要部を拡大した図(ドラグ非作動状態;切換えレバーOFF)、図3は、リール本体を上方から見た部分断面図、図4は、図2のA−A線に沿った拡大断面図、図5は、図1のB−B方向に沿った部分断面図、図6(a),(b)は、復帰機構の作用を説明する図、そして、図7は、図1のC−C線に沿った断面図である。
【0014】
魚釣用スピニングリールのリール本体1には、釣竿に装着されるリール脚1Aが一体形成されており、その前方には、釣糸案内部(図示せず)を備え、回転可能に支持されたロータ2と、ロータ2の回転運動と同期して前後動可能に支持され、釣り糸が巻回されるスプール3が配設されている。
【0015】
リール本体1内には、ハンドル軸(駆動軸)4が回転可能に支持されており、その突出端部には、ハンドル5が取り付けられている。また、ハンドル軸4には、巻取り駆動機構が係合しており、この巻取り駆動機構は、ハンドル軸4に取り付けられ、内歯が形成された駆動歯車(フェースギヤ)7と、この駆動歯車7に噛合すると共にハンドル軸4と直交する方向に延出し、内部に軸方向に延出する空洞部が形成されたピニオン9とを備えている。
【0016】
なお、本実施形態では、図5に示すように、ハンドル5は、左右両側に装着可能となっており、公知のように、その突設した外周非円形の軸5aが、フェースギヤ7と一体化された空洞軸に回り止め嵌入された構成となっている。ここでは、そのようなフェースギヤ7が一体化されて軸5aと一体回転する内周非円形の空洞軸をハンドル軸(駆動軸)4と称する。
【0017】
前記ピニオン9は、軸受9aを介してリール本体内に回転可能に支持されており、前記ロータ2を一体回転するように連結されている。そして、その空洞部には、ハンドル軸4と直交する方向に延出し、先端側に前記スプール3を装着したスプール軸3aが軸方向に移動可能に挿通されている。また、前記ピニオン9には、スプール3(スプール軸3a)を前後往復動させるための公知の往復動装置10が係合している。
【0018】
前記往復動装置10は、リール本体内に回転可能に支持され、スプール軸3aと平行に延出する螺軸(ウォームシャフト)12と、前記スプール軸3aの後部に回転可能で軸方向移動不能に係合される摺動体13とを備えている。前記螺軸12の端部には、前記ピニオン9と噛合するオシレートギヤ15が設けられており、前記ハンドル5を回転操作することで、螺軸12は、前記駆動歯車7、ピニオン9及びオシレートギヤ15を介して回転駆動される。そして、前記螺軸12の周面には、軸方向に沿って螺旋状のカム溝12aが形成されており、このカム溝12aに、前記摺動体13に収容保持された係合ピン(図示せず)が係合することで、スプール軸3a(スプール3)は、ハンドル5の巻取り操作により前後に往復動される。
【0019】
上記した構成により、ハンドル5を巻取り操作すると、ロータ2は、駆動歯車7及びピニオン9を介して回転駆動され、かつ、スプール3は、駆動歯車7、ピニオン9及び往復動装置10を介して前後方向に往復駆動され、スプール3には、回転するロータ2の釣糸案内部を介して均等に釣り糸が巻回される。
【0020】
前記スプール3とスプール軸3aとの間には、図示しないスプールの回転に制動力を付与する公知のドラグ機構(フロントドラグ機構)17が設置されている。また、スプール軸3aの後端側には、サブドラグ機構20が設置されており、後述する切換機構によって、スプール3がフリー状態(スプール軸3aがフリーに回転する状態)になったとき、補助的にスプール軸3aに対して制動力(ドラグ力)を付与できるようになっている。
【0021】
具体的には、前記サブドラグ機構20は、リール本体1の後端部に突出形成された円筒部1aに対して回転操作される調節ネジ21と、調節ネジ21の回転操作に伴う軸方向の移動により、押圧バネ22を介して所定の制動力を付与可能にする制動部材23とを備えている。前記スプール軸3aの後端側には、スプール軸3aの後部の非円形部を軸方向移動不能に回り止め嵌合した状態で挿通させるカラー24が配置されており、前記制動部材23は、リール本体1及びカラー24との間で制動力を作用させ、スプール軸3aが切換機構によってフリー回転可能な状態になったときでも、調節ネジ21を回転操作することで、スプール3の回転に補助的に制動力を作用させることが可能となっている。
【0022】
前記リール本体1内には、スプール3の回転を規制する規制状態とスプールフリーにするフリー状態とに切換える切換機構30、及びスプールフリー状態にある切換機構30をハンドル5の巻取り操作によって規制状態に復帰させる復帰機構60が設けられている。以下、これらの機構について説明する。なお、本実施形態における「スプールの規制状態」とは、スプール軸3aの回転が阻止されて、スプール軸3aとドラグ機構17との間で所望のドラグ力が作用する状態やスプールロック状態を意味し、「スプールフリー状態」とは、スプール軸3aが自由回転状態になったことを意味する。従って、スプールフリー状態には、サブドラグ機構20によって、スプールに対して小さな回転抵抗が加わった状態を含む。
【0023】
前記切換機構30は、リール本体1から外部に突出し、回動操作可能な切換レバー(操作部材)31と、リール本体1内に配設され、切換レバー31によって回動駆動され、以下のように、2つの部材32A,32Bで構成される作動体32と、作動体32の一端側に係合するストッパ部材34とを備えている。
【0024】
前記作動体32は、支軸となる固定ネジ31aを中心に揺動可能に配置される作動プレート32Aと、この作動プレート32Aと同軸上で駆動歯車側に重なるように回動可能に設置され、後述するキック部材71の回転軌跡内に入り込むことが可能なキック側プレート32Bとを備えている。
【0025】
両プレート32A,32Bの中心支持領域には、フリクションバネ32Cが巻き付くように設置されており、切換えレバー31が図1に示す位置から矢印方向に回動された際、作動プレート32Aの時計回り方向の回動に伴って、キック側プレート32Bも一体的に時計回り方向に回動させるようになっている。すなわち、切換えレバー31を、図1に示す位置から矢印方向に回動操作することで、図2で示すように、キック側プレート32Bの当接部32eの側部は、作動プレート32Aの壁部32A´に当接されて一体的に回動され、先端の係合部32dは、図2に示すように、キック部材71の突部71aの回転軌跡内に入り込むようになっている。なお、フリクションバネ32Cは、当接部32eの側部が壁部32A´に常時当接方向に付勢している。
【0026】
また、キック側プレート32Bの固定ネジ31aを中心として、係合部32dと反対側には、当接部32eが形成されており、切換えレバー31が回動操作されることで、支軸38によって回動可能に支持されたストッパ部材34の当接部34aに当接するようになっている。なお、作動体32の回動動作は、作動プレート32Aとリール本体1との間に設置される振り分けバネ37によって、図1に示す切換えレバーON状態と、図2に示す切換えレバーOFF状態に振り分け保持される。
【0027】
前記切換レバー31は、図3に示すように、リール本体1の上方側を挟持するように配設され、基端部の両側から一対の固定ネジ31aによって回動可能に支持されている。前記一対の固定ネジ31aは、両サイドからリール本体内に向けて挿入されており、作動体32に連結されている。
【0028】
前記作動体32のキック側プレート32Bの当接部32eによって回動駆動される前記ストッパ部材34は、支軸38を中心として回動可能に軸支されており、一端側に前記当接部32eが当接する当接部34aが形成され、他端側に、スプール軸3aに対して回り止め固定されたラチェット3bに対して係脱される係脱部34bが形成されている(図1、図2、図7参照)。
【0029】
なお、ストッパ部材34は、支軸38に装着されるスプリング38aによって、係脱部34bが常時、ラチェット3bと係合するように付勢されており、前記切換レバー31をOFF状態に回動することで、前記作動体32によって、スプリング38aの付勢力に抗して回動され、ラチェット3bから離脱する(図2参照)。
【0030】
そして、上記した切換機構30によって、スプールフリー状態に切換えられた切換えレバー31は、復帰機構60によって、図1に示す状態に復帰される。以下、この復帰機構60の構成について説明する。
【0031】
本実施形態における復帰機構60は、ハンドル軸4に対してオフセットした位置に設置されたキック部材71を具備している。具体的には、ハンドル軸4には、駆動歯車7の歯面と対向する位置に、ギヤ4Aが一体回転可能に取り付けられており、このギヤ4Aに、復帰機構60を構成するキック部材71が装着された連結ギヤ65を噛合させている。
【0032】
この場合、連結ギヤ65は、リール本体1に対して回転可能に支持されており、キック部材71は、連結ギヤ65の中心部分において、付勢スプリング77によって回転方向に付勢された状態で、所定角度回転可能に支持されている。このため、キック部材71によってキックされる係合部材(キック側プレート32Bの係合部32d)は、デッドポイントが生じることなく、キック部材71の回転軌跡内に入り込むことが可能となる。
【0033】
前記連結ギヤ65の駆動歯車側表面には、駆動歯車7側に向けて突出する弧状の膨出壁65aが一体形成されている。また、この膨出壁65aの表面には、更に弧状になって部分的に駆動歯車側に膨出する突領域65bが一体形成されている(突領域65bは膨出壁65aよりも高く形成されている)。
【0034】
そして、上記したように構成される連結ギヤ65には、連結ギヤ65の中心を回転中心として所定角度回転可能となるようにキック部材71が配設される。このキック部材71は、連結ギヤ65の回転中心に、固定ネジ73を介してリール本体1に圧入固定されるカラー部材74上に回転可能に設置されており、固定ネジ73を中心として直径方向に延出した形状になっている。この場合、キック部材71の一端側には、駆動歯車7側に向けて突出する突部71aが形成されており、この突部71aの下縁部71a´が前記したキック側プレート32Bの係合部32dと係合可能になっている。
【0035】
また、キック部材71の他端側71bは、そのまま直径方向に延出しており、その上縁部71b´が、上記した連結ギヤ65に形成されている突領域65bの端縁65cに当接している。なお、前記カラー部材74には、付勢スプリング77が巻回されており、その一端は上記した突領域65bの端縁65dの下方側に当て付けられ、かつ他端は、前記突部71aの基部に係止されて、キック部材71を、図2で示す時計回り方向(回転方向)に常時付勢している。これにより、キック部材71は、カラー部材74の周りを、所定の角度で回転可能であると共に、付勢スプリング77によって回転方向に付勢された状態で支持されている。
【0036】
上記したように構成されるキック部材71は、前記ギヤ4Aがハンドルの巻取り操作によって回転駆動された際(図2において、反時計回り方向に回転する)、連結ギヤ65と共に時計回り方向に回転駆動される。
【0037】
このようなキック部材71の回転により、前記突部71aも所定の回転軌跡をもって回転するが、その回転軌跡内に、上述したように、突部71aによってキックされるキック側プレート32Bの係合部32dが入り込むようになっている。
【0038】
以上のように構成される魚釣用スピニングリールの作用について説明する。
【0039】
最初、図1に示すように切換機構30がONの状態となっている。この状態では、ストッパ部材34は、ラチェット3bに係合しているため、スプール軸3aは固定状態となっており、スプール3には、フロントドラグ機構17を介して所望のドラグ力が作用した状態となる。
【0040】
図1に示す状態から切換えレバー31を矢印方向に回動操作すると、作動体32を構成する作動プレート32Aは、固定ネジ31aを中心として時計回り方向に回動し、これに伴い、キック側プレート32Bも時計回り方向に回動され、先端の係合部32dは、図2に示すように、突部71aの回転軌跡内に入り込む。
【0041】
このとき、前記したキック部材71が、どの位置にあっても、係合部32dは、デッドポイントを生じさせることなく、回転軌跡内に入り込むことが可能となっている。すなわち、仮に、切換えレバー31の回動操作時に、係合部32dがキック部材71(突部71a)に干渉するような位置にあったとしても、係合部32dが回動することでキック部材71は、カラー部材74の周りを、付勢スプリング77の付勢力に抗して反時計回り方向に回転させることが可能であるため、デッドポイントを生じさせることはない。
【0042】
また、キック側プレート32Bの時計回り方向への回動により、当接部32eは、ストッパ部材34の当接部34aに当接し、ストッパ部材34をスプリング38aの付勢力に抗して反時計回り方向に回動させる。これにより、他端に形成された係脱部34bは、スプール軸3aに対して回り止め固定されたラチェット3bから離脱し、スプール軸3aは、フリー回転可能な状態になる。
【0043】
この状態で、スプール3は完全なフリー状態となるため、魚が掛かった際、そのまま釣糸を引き出して行くことが可能となる。なお、この状態では、上記したサブドラグ機構20の調節ネジ21を回転操作することで、スプール3の回転に対して補助的にドラグ力を作用させることが可能となっている。
【0044】
ここで、上記した切換えレバー31が、図2に示すように、OFFにされた状態において、ロータ2が逆転可能状態に設定されていると、魚が掛かった場合など、ハンドル軸4は、図2において、時計回り方向に回転してしまう。このとき、キック部材71の突部71aは、ギヤ4A及び連結ギヤ65の噛合関係により反時計回り方向に回転して、キック側プレート32Bに当て付き、キック側プレート32Bを、固定ネジ31aを中心として時計回り方向に回動させようとする。上記したように、キック側プレート32Bは、フリクションバネ32Cの摩擦力によって、作動プレート32Aに対して逃げることが可能となっているため、切換機構30や復帰機構60を損傷させるようなことがない。
【0045】
そして、図2に示す状態において、ハンドル5を巻取り操作すると、ギヤ4Aは反時計回り方向に回転し、連結ギヤ65は、時計回り方向に回転する。これに伴い、図6(a)に示すように、キック部材71の突部71aは、キック側プレート32Bの係合部32dに当て付き、さらに、連結ギヤ65の時計回り方向の回転により、前記連結ギヤ65に形成された突領域65bの端縁65dが、図6(b)に示すように、付勢スプリング77の付勢力に抗してキック部材71の突部71aの上縁部71a´´に当接し、これにより、キック側プレート32Bを反時計回り方向に回転させる。
【0046】
このキック側プレート32Bの回動は、フリクションバネ32Cを介して作動プレート32Aに伝達され、切換えレバー31を、固定ネジ31aを介して反時計回り方向に回動させ、図1に示す状態に自動的に復帰させる。これにより、ストッパ部材34は、スプリング38aによって時計回り方向に回動され、係脱部34bがラチェット3bと係合し、再び、スプール3の回転が規制される規制状態に切換えられる。
【0047】
上記した構成における魚釣用スピニングリールでは、復帰機構60を構成する復帰用のキック部材71を、駆動歯車7を有するハンドル軸4に対してオフセットする位置に支持したことで、ドラグ機構を切換操作する切換えレバー31の作動部32に対する配置を近接化することが可能となり(作動部32に直接係合可能な配置態様)、伝達機構の簡略化が図れると共に、ハンドル回転による復帰力の効率的な動力伝達が可能となり、切換え/復帰の作動が安定する。
【0048】
また、本実施形態では、キック部材71を、連結ギヤ65の中心部分において、回転方向にバネ付勢した状態で支持した構成としているため、いわゆるノンデッド機構を構成する部品を、回転部材である連結ギヤ65の支持部上に集約して配置することができ、これにより、ノンデッド機構の可及的な省スペース化が可能となって、リール本体1を小型化することが可能となる。
【0049】
なお、上記した構成では、キック部材71は、連結ギヤ65の中心部分において、リール本体1に対して固定ネジ73を介して圧入固定されるカラー部材74上に、所定角度回転可能で、かつ付勢スプリング77によって、回転方向にバネ付勢されるように支持したが、図8及び図9に示すように、キック部材71は、連結ギヤ65に対して所定角度回転可能で、両者の間に設置される付勢スプリング77によって、回転方向にバネ付勢される構成であっても良い。具体的には、リール本体1にカラー部材74Aを、固定ネジ73を介して圧入固定しておき、この外周部分に連結ギヤ65、及びキック部材71を配置する。そして、連結ギヤに形成される突起65Aと、キック部材71に形成される突起との間に付勢スプリング77を介在し、キック部材71を回転方向に付勢するようにしても良い。
【0050】
このように、キック部材71については、ハンドルの巻取り操作によって駆動される駆動歯車を有する駆動軸に対して、オフセットした位置に設置される回転体となる連結ギヤ65に対して、直接、支持するように構成することが可能である。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0052】
本発明は、魚釣用スピニングリールにおいて、ドラグ作動状態と非作動状態を切換える切換機構の内、ハンドルの巻取り操作によって、初期位置に自動復帰させる復帰機構60のキック部材を、ハンドルの巻取り操作によって駆動される駆動歯車を有する駆動軸に対して、オフセットした位置に設置することに特徴があり、それ以外の構成については、適宜変形することが可能である。例えば、オフセットさせる位置については、リール本体1内のスペースを考慮し、ハンドル軸に装着されるギヤの位置に応じて適宜変形することが可能である。また、本発明は、例えば、リヤドラグ方式の魚釣用スピニングリールについても適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態を示す図であり、魚釣用スピニングリールの内部構成を示す図(ドラグ作動状態;切換えレバーON)。
【図2】図1の主要部を拡大した図(ドラグ非作動状態;切換えレバーOFF)。
【図3】リール本体を上方から見た部分断面図。
【図4】図2のA−A線に沿った断面図。
【図5】図1のB−B方向に沿った部分断面図。
【図6】(a),(b)は、復帰機構の作用を説明する図。
【図7】図1のC−C方向に沿った部分断面図。
【図8】上記の実施形態の変形例を示す図であり、リール本体を上方から見た部分断面図。
【図9】図8の主要部の拡大図。
【符号の説明】
【0054】
1 リール本体
2 ロータ
3 スプール
4 ハンドル軸(駆動軸)
5 ハンドル
7 駆動歯車
9 ピニオンギヤ
17 ドラグ機構
20 サブドラグ機構
30 切換機構
32 切換えレバー
60 復帰機構
71 キック部材
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成19年2月21日(2007.2.21)
【代理人】 【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司

【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章

【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義

【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行

【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅


【公開番号】 特開2008−199979(P2008−199979A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−41182(P2007−41182)