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【発明の名称】 取付具、非接触ICタグ、および非接触ICタグの製造方法
【発明者】 【氏名】川井 若浩

【要約】 【課題】取付対象から脱落することを防止できる取付具、非接触ICタグ、および非接触ICタグの製造方法を提供する。

【解決手段】取付対象を挟む雄具と雌具とを有する取付具であり、前記雄具に、板状の雄側本体と該雄側本体から突出する突起部とを備え、前記雌具に、板状の雌側本体に前記突起部が貫通する貫通部を形成し、前記雄側本体と前記雌側本体のいずれか一方における前記取付対象側の面に、該取付対象との摩擦力を向上させる摩擦力向上部を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象を挟む雄具と雌具とを有し、
前記雄具は、板状の雄側本体と該雄側本体から突出する突起部とを有し、
前記雌具は、板状の雌側本体に前記突起部が貫通する貫通部が形成されており、
前記雄側本体と前記雌側本体のいずれか一方における前記取付対象側の面に、該取付対象との摩擦力を向上させる摩擦力向上部が設けられている
取付具。
【請求項2】
前記摩擦力向上部は、変形可能なシートである
請求項1記載の取付具。
【請求項3】
前記シートは、前記突起部が貫通する位置に切り込みが形成されており、該切り込みの周辺に、前記突起部が貫通した際に該突起部に沿って盛り上がる盛り上がり部分を有している
請求項2記載の取付具。
【請求項4】
ICとアンテナと、該ICおよびアンテナが取り付けられる部材とを有し、
該部材は、取付具の雄具の突起部が貫通する貫通部が形成され、かつ、前記部材の片面に取付対象との摩擦力を向上させる摩擦力向上部が設けられている
非接触ICタグ。
【請求項5】
前記部材の前記摩擦力向上部と反対側に前記非接触ICタグを保護する保護部が設けられている
請求項4記載の非接触ICタグ。
【請求項6】
前記摩擦力向上部は、タイプAデュロメータ硬度60以下のゴム材である
請求項4または5記載の非接触ICタグ。
【請求項7】
前記保護部は、タイプAデュロメータ硬度60以上のゴム材である
請求項4、5または6記載の非接触ICタグ。
【請求項8】
シート状に加工された未加硫のゴム材と、ICとアンテナが接続されている状態でシートに複数配置された電子部品保持フィルムとを連続的に積み重ね、この積み重ねた状態で前記ゴム材を連続的に加硫して硬化させる
非接触ICタグの製造方法。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば豚、牛、羊等の動物の耳、鳥の羽、鶏の鶏冠、または魚の鰭といった取付対象に取り付けられて個体識別に用いられるような取付具、非接触ICタグ、および該非接触ICタグの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、豚や牛等の家畜を個体識別するために、家畜の耳に取り付ける取付具として耳標が用いられている。この耳標は、雄具と雌具で構成されている。そして、耳標は、雄具と雌具で家畜の耳を挟み込むようにして、雄具の突起部が雌具の孔に差し込まれて家畜の耳に取り付けられる。この耳標には、家畜登録番号等の家畜の個体識別番号が記されている。この固体識別番号は、バーコードまたは2次元コード等により印刷されるか、あるいは手書きで書き込まれている。
【0003】
ところが、このような従来の方法は、書き込まれた文字または印刷されたバーコードが汚れて読み難くなるという問題点を有している。また、手書きによる方法は、個体識別番号の桁数が多くなると、耳標に書ききれないという問題点を有している。また、バーコードあるいは2次元コードを用いる方法は、バーコードあるいは2次元コードを手作業で1つ1つスキャンして読み取る必要がある。このため、バーコードあるいは2次元コードを用いる方法は、動き回る家畜を押えて読み取る作業が重労働であるという問題点を有している。
【0004】
このような問題点から、近年では、手書き、バーコードあるいは2次元コードの代わりに、誘導電磁界あるいは電波を用いて無線でデータを読み書きできる非接触ICタグが、耳標に組み込まれて利用されている(特許文献1,2参照)。非接触ICタグは、IC内に大容量のデータを記憶できる。このため、非接触ICタグは、登録番号の桁数が増加しても対応できる。また、非接触ICタグは、数センチから数メートル離れた位置からデータを非接触で読み取ることが出来る。このため、非接触ICタグは、耳標の表面が汚れている場合、あるいは読み取り対象のICタグが物陰に隠れている場合であっても、データを読み取ることができる。
【0005】
しかし、このように利便性に優れた非接触ICタグを用いても、耳標は、雄具と雌具が脱落することがあるという問題点がある。この脱落は、家畜が耳標を柵などに引っ掛ける、あるいは、他の家畜が耳標に噛み付くといった事態によって生じる。
【0006】
このように耳標が脱落してしまうと固体識別ができず、脱落する割合が多くなると家畜の管理として実用性がなくなるという問題点があった。
【0007】
【特許文献1】特開2006−304768号公報
【特許文献2】特開2005−224214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の問題に鑑み、取付対象から脱落することを防止できる取付具、非接触ICタグ、および非接触ICタグの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、取付対象を挟む雄具と雌具とを有し、前記雄具は、板状の雄側本体と該雄側本体から突出する突起部とを有し、前記雌具は、板状の雌側本体に前記突起部が貫通する貫通部が形成されており、前記雄側本体と前記雌側本体のいずれか一方における前記取付対象側の面に、該取付対象との摩擦力を向上させる摩擦力向上部が設けられている取付具であることを特徴とする。
【0010】
これにより、動物の耳、鳥の羽、鶏の鶏冠、または魚の鰭といった取付対象に対して取付具が突起部を中心に回転することを防止でき、取付対象から取付具が脱落することを防止できる。
【0011】
この発明の態様として、前記摩擦力向上部を、変形可能なシートとすることができる。
これにより、取付対象に沿ってシートが変形でき、摩擦力を高めることができる。また、取付対象の動物にストレスを与えることを防止できる。
【0012】
またこの発明の態様として、前記シートは、前記突起部が貫通する位置に切り込みが形成されており、該切り込みの周辺に、前記突起部が貫通した際に該突起部に沿って盛り上がる盛り上がり部分を有している構成とすることができる。
【0013】
これにより、取付対象と突起部との隙間に盛り上がり部分が入り込み、取付具がガタツクことを防止できる。
【0014】
またこの発明は、ICとアンテナと、該ICおよびアンテナが取り付けられる部材とを有し、該部材は、取付具の雄具の突起部が貫通する貫通部が形成され、かつ、前記部材の片面に取付対象との摩擦力を向上させる摩擦力向上部が設けられている非接触ICタグとすることができる。
【0015】
これにより、従来の取付具の雄具の突起部を貫通部に貫通させて、非接触ICタグ付きの取付具として利用することができる。
【0016】
この発明の態様として、前記部材の前記摩擦力向上部と反対側に前記非接触ICタグを保護する保護部が設けられている構成とすることができる。
これにより、動物に噛み付かれる等の外力によって非接触ICタグが破損することを防止することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記摩擦力向上部は、タイプAデュロメータ硬度60以下のゴム材である構成とすることができる。
これにより、取付具に取り付ける際の滑り止め効果の高い非接触ICタグを提供することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記保護部は、タイプAデュロメータ硬度60以上のゴム材である構成とすることができる。
これにより、動物の噛み付きなどの外力に対する防護能力の高い非接触ICタグを提供することができる。
【0019】
またこの発明は、シート状に加工された未加硫のゴム材と、ICとアンテナが接続されている状態でシートに複数配置された電子部品保持フィルムとを連続的に積み重ね、この積み重ねた状態で前記ゴム材を連続的に加硫して硬化させる非接触ICタグの製造方法とすることができる。
これにより、取付具に適した非接触ICタグを低コストに製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明により、取付対象から脱落することを防止できる取付具、非接触ICタグ、および非接触ICタグの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、動物の耳に取り付ける耳標1の分解縦断面図を示し、図2は非接触ICタグ10の底面図を示し、図3はインレット13の縦断面図および平面図を示す。
【0023】
耳標1は、取付具2と非接触ICタグ10とで構成されている。
取付具2は、樹脂製の雌具3と樹脂製の雄具5とで構成されている。
雌具3は、円形で板状の平板部3eと、この平板部3eの中央に片面側(耳殻9と反対側)へ突出して設けられた抜止部3aとを有している。平板部3eおよび抜止部3aには、平板部3eの円中心を貫通する貫通孔3b,3dが設けられている。貫通孔3bは、平板部3e側の貫通孔3dより大径に形成されている。したがって、貫通孔3bと貫通孔3dの間には段差部3cが設けられている。
【0024】
雄具5は、円形で板状の平板部5dと、この平板部5dの中央に片面側(耳殻9側)へ突出して設けられた挿入突起5cとを有している。挿入突起5cは、平板部5dに対して垂直に設けられており、円柱形状の柱軸部5bと、この柱軸部5bの先端に設らけれている三角錐形状の先端部5aとを有している。先端部5aは、先端が先鋭で根元側が柱軸部5bより大径に形成されている。これにより、挿入突起5cを雌具3の貫通孔3b,3dに挿入すると、先端部5aの根元側の縁が段差部3cに引っかかり抜け止めされる。
【0025】
非接触ICタグ10は、インレット13と、耳側カバー11と、雄具側カバー15とで構成されている。
インレット13は、図3に示すように、円形でフィルム状の基材23と、アンテナ24と、IC21と、導体回路基板22とで構成されている。
【0026】
アンテナ24は、基材23の外周に沿って円形に配置されたコイル型のアンテナである。
IC21はデータを記憶する記憶部は制御動作を行う制御部を有するICチップである。
導体回路基板22は、IC21が実装され、このIC21とアンテナ24とを接続する基板である。
【0027】
このインレット31は、IC21、導体回路基板22およびアンテナ24といった電子部品が外周付近に配置されており、中心部分に電子部品が存在しないように構成されている。また、インレット31は、IC21が実装された導体回路基板22が配置されていない側の基材23の表面に、ゴム材(例えば、ブチルゴム)との接着性が良好な接着剤が塗布されている。
【0028】
耳側カバー11は、シリコン等の高反発弾性(低硬度)のタイプAデュロメータ硬度60以下の加硫ゴム等により、円形のシート状に形成されている。この耳側カバー11は、インレット31の導体回路基板22が配置された面側に塗布あるいは積層されている。
耳側カバー11の中央部(アンテナ24などの電子部品が存在しない部分)には、貫通した十字状の切れ目12(図1,2参照)が形成されている。この切れ目12は、雄具側カバー15の貫通孔16の直径と同程度の長さに形成されている。切れ目12の周辺には、雄具5の挿入突起5cが挿入されたときに盛り上がる盛り上がり部11aが形成されている。
【0029】
雄具側カバー15は、低反発弾性(高硬度)で、タイプAデュロメータ硬度60以上の硬さをもった例えばブチル等の加硫ゴム等により、IC21の厚さの2倍程度の肉厚で円形に形成されている。
雄具側カバー15の中央部(アンテナ24などの電子部品が存在しない部分)には貫通孔16が形成されている。
【0030】
図4は、非接触ICタグ10を製造する非接触ICタグ製造装置50を示す構成図であり、図5は、非接触ICタグ製造装置50が実行する各工程により徐々に完成してゆく非接触ICタグ10の説明図である。
非接触ICタグ製造装置50は、前段から順番に、電子部品保持フィルム51と、接着剤塗布ユニット52と、雄具側カバーシート60と、ローラ53,61と、加硫ユニット54と、穿孔ユニット55と、耳側カバーシート56と、ローラ57,63と、加硫ユニット58と、プレスユニット59と、巻き取りロール65とが配置されている。
【0031】
ここで、材料となる電子部品保持フィルム51、雄具側カバーシート60、および耳側カバーシート56について説明する。
電子部品保持フィルム51は、IC21、導体回路基板22およびアンテナ24のセットが複数配置されているシートがロール状に巻かれたものである。したがって、複数のインレット13が設けられている状態となっている。
【0032】
雄具側カバーシート60は、雄具側カバー15となるシートがロール状に巻かれたシートである。この雄具側カバーシート60を構成するシートは、柔軟で、ある程度の塑性変形能をもった、未加硫のブチルゴムで構成されている。
【0033】
耳側カバーシート56は、耳側カバー11となるシートがロール状に巻かれたシートである。
この非接触ICタグ製造装置50は、次に説明する工程A〜Eを実行する。
【0034】
<工程A>
この工程Aでは、図5(A)に示すように、電子部品保持フィルム51のIC21が実装されて突出している側の面に、加硫したブチルゴム等からなる雄具側カバーシート60を積層する。
【0035】
まず、非接触ICタグ製造装置50は、接着剤塗布ユニット52により、ブチルゴム等との接着性を良好にするための接着層を、電子部品保持フィルム51のIC21が実装されて突出している側の面に形成する。
【0036】
次に、ローラ53,61は、前記接着層に、雄具側カバーシート60を積層、あるいは塗布する。このとき、積層あるいは塗布された雄具側カバーシート60は、IC21の厚さ2倍程度の厚さとなる。この積層あるいは塗布は、電子部品保持フィルム51と雄具側カバーシート60を積み重ねた状態でローラ53,61間に通すことで積層するラミネート工法により実行する。
【0037】
ここで、電子部品保持フィルム51上のIC21を実装した導体回路基板22を配置した面側には、未加硫ゴムよりも相対的に硬いローラ53(あるいは平板でもよい)を配置している。これにより、IC21を実装した部分の凸部が塑性変形可能な未加硫ゴム202に吸収され、導体回路330が平坦になる。
【0038】
次に、非接触ICタグ製造装置50は、加硫ユニット54により、未加硫ゴム層となる雄具側カバーシート60に弾力性、耐久性を付与するための加硫を行う。この加硫ユニット54は、25気圧程度の圧力と、180℃程度の高温を未加硫ゴムに連続的に負荷する。この時、電子部品保持フィルム51にも上記と同一の高温度、高圧力が負荷される。しかし、表面に配置されている柔軟で塑性変形が可能な未加硫ゴム(雄具側カバーシート60)が、加硫加工時の圧力、熱に対する緩衝層として働くため、電子部品保持フィルム51上のIC21は、破損から防御される。
【0039】
この加硫工程により、雄具側カバー15となる雄具側カバーシート60の未加硫のゴムは、弾性力と耐久力を増し、タイプAデュロメータ硬度60〜70の加硫ゴムとなる。このため、加硫後の雄具側カバー15は、外力を緩衝する層として作用する。したがって、雄具側カバー15は、内装されたインレット13上のIC21を、非接触ICタグ10使用時の外力の負荷による破損から保護することができる。
【0040】
また、導体回路基板22を平坦に固定したまま雄具側カバーシート60を加硫硬化させるため、非接触ICタグ10の不具合要因である導体回路基板22の変形によるIC21の電極部の断線を防止できる。
【0041】
なお、本実施例では、耐薬品性、耐候性、に優れたブチルゴムを使用したが、同様な特性を持ったハイパロンゴム、耐油性に優れたニトリルゴム、動物のアレルギー反応が弱いEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)等を、耳標1の用途によって選択使用するとよい。
【0042】
<工程B>
この工程Bで、非接触ICタグ製造装置50は、穿孔ユニット55により、図5(B)に示すように、雄具側カバーシート60に貫通孔をあける。この貫通孔は、雄具側カバーシート60に複数配置されている雄具側カバー15の中央部(インレット13の電子部品が存在しない部分)に孔を空けることで、貫通孔16(図1参照)を形成する。
【0043】
<工程C>
この工程Cで、非接触ICタグ製造装置50は、図5(C)に示すように、電子部品保持フィルム51の雄具側カバーシート60と逆の面に、高反発弾性(低硬度)の加硫ゴム(例えば、シリコンゴム)で構成される耳側カバーシート56を積層する。
【0044】
まず、非接触ICタグ製造装置50は、電子部品保持フィルム51の表面に、シリコンゴムとの接着性が良好な接着層を形成する。
【0045】
次に、非接触ICタグ製造装置50は、ローラ57,63を用いたラミネート工法により、前記接着層の面上に、例えば1.0mm厚の未加硫のシリコンゴムシートを連続的に積層する。
【0046】
そして、非接触ICタグ製造装置50は、加硫ユニット58により、25気圧程度の圧力と、180℃程度の高温を未加硫ゴム(耳側カバーシート56)に連続的に負荷し、未加硫ゴムを弾性に富んだタイプAデュロメータ硬度50程度の加硫ゴムに変質させる。
【0047】
この時、柔軟で塑性変形が可能な未加硫ゴム(耳側カバーシート56)は、工程Bで形成された貫通孔16内に流動する。この流動部分により、雄具側カバー15とインレット13の接合断面部を耳側カバー11の流動部11bで覆う構造(図5(C)参照)が形成される。
【0048】
なお、このように接合断面部を耳側カバー11の流動部11bで覆う構造が不要な場合は、前記未加硫のゴムシートを加硫ゴムシートにしてラミネート加工するとよい。これにより、加硫ユニット58による加硫工程を削除できる。
【0049】
また、本実施例では、耳側カバーシート56に、高反発弾性(低硬度)層としてシリコンゴムを使用したが、食品、医療用途に多様されている天然ゴム、あるいはニトリルゴム等を用いてもよい。
【0050】
<工程D>
この工程Dで、非接触ICタグ製造装置50は、図5(D)に示すように、耳側カバー11(図1参照)の貫通孔16が位置する部分に、貫通した十字状の切れ目12を形成する。この切れ目12の形成は、プレスユニット59により実行すると良いが、別途の装置によって実行してもよい。
【0051】
<工程E>
最後の工程Eで、非接触ICタグ製造装置50は、図5(E)に示すように、プレスユニット59により、所要形状で所要サイズの非接触ICタグ10を、連続シート62より切り落とす。この切り落としにより、非接触ICタグ10が完成する。
なお、巻き取りロール65は、非接触ICタグ10を抜き出した後の連続シート62の残部を巻き取ったロールである。
【0052】
以上の製造工程により、非接触ICタグ10を製造することができる。そして、図1に示したように、雄具5の挿入突起5cを非接触ICタグ10の切れ目12に挿入し、動物の耳9を貫通させ、雌具3の抜止部3aに挿入して固定することができる。
【0053】
このとき、図6の縦断面図に示すように、シリコン等の高反発弾性(低硬度)のタイプAデュロメータ硬度60以下の加硫ゴム等で形成されている耳側カバー11が、耳殻9と接触する。この耳側カバー11が耳殻9の表面と接触することによって生じる摩擦により、耳標1が支えられる効果が得られる。したがって、耳側カバー11は、耳標1の動作を小さくすることができ、耳標1が柱軸部5bを中心に何度も回転し、動物の耳殻9に形成された孔9aが広がってしまうという問題を防止できる。これにより、耳標1の脱落を防止できる。
【0054】
また、耳殻9に形成された孔9aは、雄具5の先端部5aの大きさになるため、柱軸部5bよりも開口径が大きくなるが、耳側カバー11の盛り上がり部11aによりこの開口径の差を吸収できる。つまり、耳側カバー11の盛り上がり部11aが、挿入される挿入突起5cによって盛り上がり、耳殻9に形成されている孔9aと、雄具5の柱軸部5bとの間に入り込む。このため、雄具5の柱軸部5bと耳殻9の孔9aとの間のガタツキがなくなり、耳殻9の孔9aの拡大を抑制できる。これにより、耳標1の脱落を防止できる。
【0055】
また、盛り上がり部11aは、非接触ICタグ10を雄具5の柱軸部5bに固定する効果もあるため、動き回る動物の耳殻9への取り付けの際に、非接触ICタグ10の位置、状態が変化して耳標1が取り付け難くなるといった問題を防止できる。
【0056】
また、耳側カバー11により、雄具5が耳殻9に押えつけられる際の押力を緩衝することができる。このため、耳標1が耳殻9を傷つける危険性を抑制でき、動物のストレスを緩和できる。
【0057】
また、低反発弾性(高硬度)の素材で構成されている雄具側カバー15により、IC21に負荷される外部応力を吸収、緩和することができる。これにより、動物が噛み付くといった外部からの衝撃によるIC21の破損を防止できる。
【0058】
また、非接触ICタグ10は、従来の雄具5の挿入突起5cに差し込むだけで使えるため、安価に製造することができる。つまり、非接触ICタグを耳標に組み込む他の方法として、例えば筒状に加工した非接触ICタグを雄具5の柱軸部5bの軸柱内に埋め込む方法、または、雄具あるいは雌具の樹脂製の平板部に、平板状に加工した非接触ICタグを組み込むあるいは埋め込む方法が考えられる。
【0059】
しかし、このような方法では、耳標の一部に非接触ICタグを一体的に埋め込むために従来使用していた耳標の生産設備を改造しなければならないという問題点がある。また、非接触ICタグを埋め込むために耳標そのものが高額化してしまうという問題点がある。また、非接触ICタグを使用する必要のない農家や、全頭に装着する必要がない場合等、非接触ICタグを装着するか否かを現場で判断してコスト低下を図りたいという要望に対応できないという問題点がある。他にも、非接触ICタグを外力または湿度等の外部環境から保護する目的で、保護構造および材料等を工夫する際に、この工夫が耳標として必要な条件にされてしまうという問題点がある。
【0060】
上述した実施例1の非接触ICタグ10は、このような問題点がないため、安価に製造することができ、利用者の要望に容易に対応でき、また従来の雌具3と雄具5をそのまま使用することもできる。
【0061】
また、雌具3および雄具5と、非接触ICタグ10が別部材であるため、現場で動物に耳標1を取り付ける際に、非接触ICタグ10を取り付けるか否かその場で判断できる。
【0062】
また、非接触ICタグ10の構成に対する制限も小さくでき、ICタグを外部環境から保護する対策を容易に選択できる。
【0063】
また、非接触ICタグ10を樹脂に埋め込む方法に比べて、生産性が良く、製造コストを下げることができ、数千万あるいは数億という数量の生産も容易にできる。
【0064】
また、耐水性、耐候性、及び耐アルカリ、耐酸等の耐薬品性に優れた非接触ICタグ10を提供することができる。
【実施例2】
【0065】
図7は、実施例2の耳標1aを示す縦断面図である。
この耳標1aは、非接触ICタグ10aが実施例1と異なっており、耳側カバー11が雄具5の平板部5dに接触するように配置され、雄具側カバー15が耳殻9に接触するように配置されている。
【0066】
この非接触ICタグ10aは、動物が噛み付く等の外部からの衝撃が、耳殻9側から加わる場合のIC21部の破損防止に適している。この実施例2では、低反発弾性(高硬度)である雄具側カバー15の耳殻9と接触する表面に粗化等の滑り止め加工を施すことが好ましい。また、この実施例2の非接触ICタグ10aの場合、高反発弾性(低硬度)の耳側カバー11は、高反発弾性の特性を持っている必要はなく、反対面の低反発弾性(高硬度)の雄具側カバー15と同質材料を用いてもよい。
【実施例3】
【0067】
図8は、実施例3の非接触ICタグ10bが製造される様子の説明図であり、図9は実施例3の非接触ICタグ10bの底面図である。
【0068】
実施例3の非接触ICタグ10bは、実施例1で形成されるインレット13と雄具側カバー15、耳側カバー11の接合断面部を耳側カバー11の流動部11b,11cで覆い、接合断面部を外気環境から遮断するように工夫した構造の例である。
【0069】
製造工程上の実施例1との相異は、図8(B)に示す工程Bである。実施例2では、実施例1の工程Bを実行した後、工程Cを実行する前に、非接触ICタグ10bをシート材より所定形状に抜き落とす。この非接触ICタグ10bを、未加硫のゴムシートである耳側カバーシート56(図4参照)に押し付けた状態で加硫すると、未加硫の耳側カバーシート56が塑性流動して接合断面部を覆った流動部11b,11cが形成される。
その他の製造工程、および構造は、実施例1と同一であるため、同一要素に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
以上の構成により、実施例1と同一の効果を得ることができ、かつ、流動部11b,11cにより接合断面部を外気環境から遮断して保護することができる。
【0070】
なお、以上に説明した耳標1,1aは、動物の耳に限らず、鳥の羽、鶏の鶏冠、または魚の鰭など、様々な動物の部位に取り付けることができる。従って、様々な動物の固体識別に利用することができる。
【0071】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の雌側本体は、実施形態の平板部3eに対応し、
以下同様に、
貫通部は、貫通孔3b,3dに対応し、
雄側本体は、平板部5dに対応し、
突起部は、挿入突起5cに対応し、
取付対象は、耳殻9に対応し、
摩擦力向上部および変形可能なシートは、耳側カバー11に対応し、
盛り上がり部分は、盛り上がり部11aに対応し、
切り込みは、切れ目12に対応し、
保護部は、雄具側カバー15に対応し、
部材は、基材23に対応し、
シート状に加工された未加硫のゴム材は、耳側カバーシート56または雄具側カバーシート60に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】耳標の分解縦断面図。
【図2】非接触ICタグの底面図。
【図3】インレットの説明図。
【図4】非接触ICタグ製造装置の構成図。
【図5】非接触ICタグの製造状況の説明図。
【図6】非接触ICタグの縦断面図。
【図7】実施例2の耳標を示す縦断面図。
【図8】実施例3の非接触ICタグの製造状況の説明図。
【図9】実施例3の非接触ICタグの底面図。
【符号の説明】
【0073】
1,1a…耳標、3…雌具、3b,3d…貫通孔、3e…平板部、5…雄具、5c…挿入突起、5d…平板部、9…耳殻、10,10a,10b…非接触ICタグ、11…耳側カバー、11a…盛り上がり部、12…切れ目、15…雄具側カバー、21…IC、23…基材、24…アンテナ、51…電子部品保持フィルム、56…耳側カバーシート、60…雄具側カバーシート
【出願人】 【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
【出願日】 平成19年2月19日(2007.2.19)
【代理人】 【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭

【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭

【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳


【公開番号】 特開2008−199926(P2008−199926A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−37680(P2007−37680)