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【発明の名称】 ペット用シート
【発明者】 【氏名】山田 浩之

【氏名】山本 準

【要約】 【課題】尿等の液を円滑に透過吸収し、消臭効果が高いペット用シートを提供すること。

【解決手段】ペット用シート1は、表面シート2、裏面シート3及び両シート2,3間に介在する吸収体4を有する。表面シート2は撥水性の素材から構成された液透過性シートからなる。該液透過性シートには親水化処理が施されている。該親水化処理を、表面シート2へ繰り返し液を透過させたときに表面シート2の親水性が低下しやすい性質を有し且つ消臭作用を有する親水化剤によって行った。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シート、裏面シート及び両シート間に介在する吸収体を有するペット用シートにおいて、
該表面シートは撥水性の素材から構成された液透過性シートからなり、該液透過性シートに親水化処理が施されており、該親水化処理を、該表面シートへ繰り返し液を透過させたときに該表面シートの親水性が低下しやすい性質を有し且つ消臭作用を有する親水化剤によって行ったペット用シート。
【請求項2】
前記親水化処理の施された表面シートは、その表面シートの受液面側において裏面よりも強く親水化処理が施されている請求項1記載のペット用シート。
【請求項3】
前記親水化剤が、陽イオン性基を少なくとも1つ有し、且つ炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を1つ有する化合物からなる請求項1又は2記載のペット用シート。
【請求項4】
前記親水化剤が、第一級ないし第三級アミン、第四級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、スルホベタイン、カルボベタイン、アミンオキシド等の両性界面活性剤から選択される請求項1乃至3の何れか1項に記載のペット用シート。
【請求項5】
前記親水化剤が、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を1つ有する第四級アンモニウム塩及び炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤から選択される請求項4記載のペット用シート。
【請求項6】
前記親水化剤が、下記一般式(1)の第四級アンモニウム塩、下記一般式(2)のアミンオキシド及び下記一般式(3)のアミンオキシドから選ばれる請求項5記載のペット用シート。
【化1】


【請求項7】
前記親水化剤がアミンオキシドである請求項6記載のペット用シート。
【請求項8】
前記アミンオキシドがアミドプロピルアミンオキシドである請求項7記載のペット用シート。
【請求項9】
撥水性の素材から構成された液透過性シートからなるペット用トイレの表面シートであって、
該液透過性シートに親水化処理が施されており、該親水化処理を、該表面シートへ繰り返し液を透過させたときに該表面シートの親水性が低下しやすい性質を有し且つ消臭作用を有する親水化剤によって行ったペット用トイレの表面シート。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、犬や猫等のペットが排泄した尿等の排泄物を吸収するためのペット用シートに関する。また本発明は、犬や猫等のペット用トイレに用いられる表面シートに関する。
【背景技術】
【0002】
犬や猫等のペットを住居内で飼育する際に、ペットが排泄した尿等の排泄物を吸収するために、排泄物吸収シートが使用されている。そのようなシートは一般に、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在する液保持性の吸収体を備えている。このような構造の吸収シートにおける表面シートに各種薬剤を施して、該シートに種々の機能を付与することが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、表面シートに、香料成分や消臭成分、殺菌成分を付着させることが記載されている。消臭成分としては、カテキン、タンニン、フラボノイド、ポリフェノール、月桂樹精油、セージ精油、しょうが精油、ペパーミント精油などが用いられる。特許文献2には、特定の親水性試験に合格した不織布を吸収性物品に使用すると、逆戻り量が少なく吸収時間も短いことが記載されている。このような不織布としては、親水性処理剤で表面処理されたものが良いとされており、処理剤として「界面活性剤でも良いし、親水性ポリマーの如きものでもよい。また、処理剤は1種類だけでなく、界面活性剤と親水性ポリマーを併用してもよいし、親水性の強い処理剤と親水性の弱い処理剤の配合系でも良い。」と言及した上で、界面活性剤の例としてアミンオキシド、その他多数の化合物が列挙されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−238745号公報
【特許文献2】特開2004−256935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記の特許文献1に記載されている排泄物吸収シートに用いられる消臭成分は、該消臭成分の種類によっては、これを表面シートに施すことで、該表面シートに撥水性の性質が付与されて、液透過性が損なわれることがある。このことは特に消臭成分として各種の精油を用いた場合に顕著となる。また、前記の特許文献1に記載されている排泄物吸収シートに用いられる消臭成分は、該消臭成分の種類によっては、これを表面シートに施すことで、保存中に変色したり、分解して効果がなくなってしまうという問題がある。
【0006】
一方、前記の特許文献2には、特定の親水化度を有する不織布であれば、逆戻り量が少なく吸収時間も短いことがその効果として記載されているものの、ペット用シートの消臭性については、何ら開示も示唆もされていない。
【0007】
したがって本発明の目的は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得るペット用シート及びペット用トイレの表面シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在する吸収体を有するペット用シートにおいて、
該表面シートは撥水性の素材から構成された液透過性シートからなり、該液透過性シートに親水化処理が施されており、該親水化処理を、該表面シートへ繰り返し液を透過させたときに該表面シートの親水性が低下しやすい性質を有し且つ消臭作用を有する親水化剤によって行ったペット用シートを提供するものである。
【0009】
また本発明は、撥水性の素材から構成された液透過性シートからなるペット用トイレの表面シートであって、
該液透過性シートに親水化処理が施されており、該親水化処理を、該表面シートへ繰り返し液を透過させたときに該表面シートの親水性が低下しやすい性質を有し且つ消臭作用を有する親水化剤によって行ったペット用トイレの表面シートを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のペット用シート、及び本発明の表面シートを用いたペット用トイレは、尿等の液を円滑に透過吸収し、消臭効果が高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1ないし図4に示すように、本実施形態のペット用シート1は、平面視して長方形の形状を有している。ペット用シート1は、表面シート2、裏面シート3及び両シート2,3間に介在する吸収体4を有している。表面シート2は、ペットから排泄された尿等の受液面を構成しており、液透過性のシートから構成されている。裏面シート3は、受液面と反対側の面を構成しており、撥水性ないし液不透過性のシートから構成されている。
【0012】
表面シート2及び裏面シート3は何れも同形同寸であり、ペット用シート1の外形をなしている。吸収体4は、表面シート2及び裏面シート3よりも一回り小さな寸法になっている。表面シート2及び裏面シート3は吸収体4の周縁から外方に延出しており、それらの延出部分が互いに接合されている。接合手段としては例えばホットメルト型接着剤、ヒートシール、超音波シールが用いられる。これによって、吸収体4の上面はその全域が表面シート2によって被覆されている。また吸収体4の下面はその全域が裏面シート3によって被覆されている。
【0013】
表面シート2と吸収体4との間、及び吸収体4と裏面シート3との間は、ホットメルト型接着剤で接合されている。これによって、ペット用シート全体としての保形性を確保している。表面シート2と吸収体4との間の接合に関しては、ホットメルト型接着剤を、スパイラル状、格子状、ストライプ状、散点状等の非連続パターンで塗布することが好ましい。これによって表面シート2から吸収体4への液の移動が確保される。
【0014】
ペット用シート1を構成するこれらの部材としては、従来この種の製品に用いられてきた材料と同様のものを用いることができる。例えば表面シートとしては撥水性の素材から構成された液透過性のシート材料を用いることができる。このシート材料には、後述するように親水化処理が施される。撥水性の素材としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの各種熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの素材からなるシート材料は、例えば繊維シート、フィルム、これらの積層体の形態であり得る。
【0015】
前記のシート材料が繊維シートである場合、該繊維シートとしては、織布及び不織布の何れをも用いることができる。ペット用シート1が使い捨てのものであることを考慮すると、経済性の観点から該繊維シートとして不織布を用いることが好適である。繊維シートとして不織布を用いる場合、該不織布としては、例えばスパンボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、ケミカルボンド不織布などを用いることができる。これらの不織布のうち、強度が高く、また液透過性が良好な不織布であるスパンボンド不織布を用いることが好ましい。
【0016】
前記の繊維シートは繊維間に空隙を有しているので、この空隙を通して液を透過させることが可能である。しかし、該繊維シートに開孔処理を施して多数の開孔を規則的又は不規則に形成し、液の透過を一層確実にしてもよい。シート材料がフィルムである場合には、液の透過を確保するために、該フィルムに開孔処理を施して多数の開孔を規則的又は不規則に形成することが必要である。これら繊維シートやフィルムに形成される開孔は、平面的なものでもよく、或いは漏斗状の立体的なものでもよい。特に開孔が立体的であると、吸収体4に吸収された液の逆戻り、即ちウエットバックが起こりにくくなるので有利である。
【0017】
表面シート2を構成するシート材料は、それが繊維シートであるか或いはフィルムであるかを問わず、その坪量が10〜50g/m2、特に15〜25g/m2であることが、表面シート2の十分な強度の確保の観点から好ましい。
【0018】
ペット用シート1における裏面シート3としては、熱可塑性樹脂からなる液不透過性のフィルムを用いることができる。またこのフィルムに不織布等を積層してもよい。或いは裏面シーと3として、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布のような撥水性のシート材料を用いてもよい。裏面シート3は、その坪量が10〜50g/m2、特に15〜30g/m2であることが、裏面シート3の十分な強度の確保の観点及び十分な液遮断性の確保の観点から好ましい。
【0019】
ペット用シート1における吸収体4としては、吸液素材、例えばフラッフパルプ、高吸収性ポリマー、それらの混合積繊体、ティッシュペーパーなどを用いることができる。特に、フラッフパルプと高吸収性ポリマーの混合積繊体を用いると、十分な吸収容量を確保し得る観点から好ましい。この混合積繊体を用いる場合、その周囲をティッシュパーパーなどの吸収紙で被覆することが、該混合積繊体の保形性の確保や、高吸収性ポリマーの脱落防止の観点から好ましい。本実施形態においては、吸収体4は、図3及び図4に示すように、フラッフパルプ等の吸液性繊維の集合体を主体とし、高吸収性ポリマーの粒子を含んだ吸収性コア41と、吸収性コア41の上面を被覆する上面被覆シート42と、吸収性コア41の下面を被覆する下面被覆シート43とからなる。上面被覆シート42及び下面被覆シート43はティッシュペーパーからなる。吸収性コア41はその坪量が30〜500g/m2、特に50〜300g/m2であることが、十分な吸液性の確保の観点から好ましい。
【0020】
前記の吸収性コア41は、長方形の平面視形状を有している。上面被覆シート42は、長方形の平面視形状を有しており、その長さ及び幅は、吸収性コア41の長さ及び幅とほぼ同じである。下面被覆シート43は、長方形の平面視形状を有しており、その長さは、吸収性コア41の長さとほぼ同じであるが、その幅は、吸収性コア41の幅よりも長くなっている。
【0021】
吸収性コア41は、下面被覆シート43の上面に、吸収性コア41の長手方向両端部を下面被覆シート43の長手方向両端部とほぼ一致させ、且つ吸収性コア41の幅方向両端部を、下面被覆シート43の幅方向両端部よりもそれぞれ幅方向内方に後退させた状態で配設されている。そして、吸収性コア41の幅方向両端部それぞれから幅方向に延出した下面被覆シート43は、上面被覆シート42と吸収性コア41との積層体の上面側に折り返され、上面被覆シート42の上面に接合されている。
【0022】
ペット用シート1の寸法(即ち表面シート2及び裏面シート3の寸法)は、対象となるペットの大きさに合わせて適宜設定される。長さは例えば38〜48cmであり、幅は例えば30〜40cmである。
【0023】
而してペット用シート1は、表面シート2として、撥水性の液透過性シートに、特定の親水化剤を用いて親水化処理を施したものを用いた点に特徴を有している。またこの親水化剤は、(イ)表面シート2へ繰り返し液を透過させたときに該表面シート2の親水性が低下しやすい性質を有し、且つ(ロ)消臭作用を有している。
【0024】
親水化剤はその親水性のゆえに、水と接触すると水に溶解して流れ出しやすいところ、親水化剤の種類によっては、水と共に流れ出しにくいものもある。親水化剤に関するこの水と共に流れ出しにくい性質は、一般に「耐久親水性が高い」と呼ばれている。本実施形態で用いられる親水化剤は、この耐久親水性が低いものである。つまり、前記の(イ)表面シート2へ繰り返し液を透過させたときに該表面シート2の親水性が低下しやすい性質とは、耐久親水性が低いと言い換えることができる。要するに、本実施形態で用いられる親水化剤は、耐久親水性が低く且つ消臭作用を有するものである。かかる親水化剤を用いて親水化処理を行った表面シート2を用いる利点は次のとおりである。
【0025】
ペット用シート1の使用前の状態においては、表面シート2には親水化剤が付着した状態になっているので、該表面シート2は尿をスムーズに透過させることが可能である。また尿から発生する悪臭を消臭することが可能である。これに対して、従来用いられていた精油等からなる消臭剤は、表面シートに消臭効果を付与するものの、それと同時に撥水性も付与されてしまうので、表面シートの液透過性が損なわれてしまう。
【0026】
また、ペット用シート1に尿が排泄されるたびに、表面シート2に付着している親水化剤は、その耐久親水性が低いことに起因して、その一部が尿に溶解して尿と共に吸収体4へ移行し、吸収体4中を拡散する。吸収体4に移行した親水化剤は、該吸収体4中において消臭作用を発揮して、該吸収体4に吸収されている尿から発生する悪臭を消臭する。特に、吸収体4中において親水化剤は、吸収された尿が存在する部位と同じ部位に存在しているので(換言すれば、尿で濡らされていない部位には親水化剤は存在しないので)、必要最小限の使用量で消臭を効率的に行うことができる。
【0027】
一方、表面シート2のうち、親水化剤が流れ出した部位においては、当該部位の親水性の程度が低下する。しかしながら、親水化剤が尿に溶解して流れ出すとは言っても、すべての親水化剤が流れ出すわけではなく一部は表面シート2に留まるので、表面シート2及び吸収体4の双方において、換言すればペット用シート1の内と外から消臭効果が発現する。また、本実施形態において表面シート2の受液面側に、その裏面よりも親水化剤を多量に施すことで、親水化剤の一部が尿に溶解して下方へ流れ出しても表面シート2の受液面側及び繊維に留まる親水化剤の量は充分であるため、親水性の低下が防止されつつ消臭効果が持続的に発現される。このように、本実施形態のペット用シート1には、消臭を効率的に行うことができるという利点がある。
【0028】
更に前記の親水化剤は精油等の消臭剤と比較して揮発性が低いので、揮発による散逸が比較的低く、長期間保存しても消臭効果が低下しづらいという利点もある。また、前記の親水化剤による撥水性の液透過性シートの親水化処理という単一の工程によって、該シートには親水性と消臭作用の両者が同時に付与される。したがって、製造工程が簡便となる。
【0029】
本実施形態で用いられる親水化剤としては、耐久親水性が低く且つ消臭作用を有するものであり、好ましく用いられる親水化剤としては、例えば陽イオン性基を少なくとも1つ有し、且つ炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を1つ有する化合物が挙げられる。そのような化合物としては、例えば第一級ないし第三級アミン、第四級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、スルホベタイン、カルボベタイン、アミンオキシド等の両性界面活性剤を挙げることができる。これらの化合物は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの化合物のうち、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を1つ有する第四級アンモニウム塩及び炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤が好ましく、下記一般式(1)の第四級アンモニウム塩並びに一般式(2)及び(3)のアミンオキシドが更に好ましく、一般式(3)のアミンオキシドが一層好ましい。とりわけアミドプロピルアミンオキシドは顕著な消臭作用を有し、また貯蔵安定性が高い点から好ましい。
【0030】
【化2】


【0031】
親水化剤を、撥水性の液透過性シートに施す方法としては、例えば0.3重量%水溶液をスプレーして、その後乾燥すればよい。液透過性シートの受液面に、裏面よりも多くの親水化剤を施して、受液面側において裏面よりも強く親水化処理を行うためには、例えば液透過性シートの受液面側からのみ親水化剤をスプレーしても良い。撥水性の液透過性シートへの親水化剤の付着量が受液面側で10〜200mg/m2、特に20〜100mg/m2、受液面側の裏側で1〜100mg/m2、特に5〜50mg/m2であれば、表面シート2に十分な液透過性を付与することができ、またペット用シート1に十分な消臭効果を付与することができる。なお、前記成分以外の親水化剤の併用は、その消臭作用を阻害しない範囲にて許容される。
【0032】
次に本発明の別の実施形態について図5ないし図7を参照しながら説明する。本実施形態に関し特に説明しない点については、先に述べた実施形態についての説明が適宜適用される。
【0033】
本実施形態は犬や猫などのペット用トイレに係るものである。ペット用トイレ10は、トレイ状の受け皿11、平板状の尿吸収マット12、表面シート13、及び枠状の押さえ具14を備えている。この表面シート13として、上述の実施形態における表面シート2が用いられている。
【0034】
受け皿11は平面視して矩形状であり、その四辺の周縁部15がすべて起立した形態を有する浅底トレイ状のものである。周縁部15によって取り囲まれた領域も矩形状をしており、該領域は尿吸収マット12の収容部16となっている。収容部16の底面を基準とした周縁部15の高さは、尿吸収マット12の厚みとほぼ同一になっている。尿吸収マット12は板状のものであり、1枚用いられている。尿吸収マット12は、少なくとも表面シート13との対向面が平坦面であることが好ましい。これによって、尿吸収マット12と表面シート13とが密接し、両者間に尿残りの原因となる空間が形成されなくなる。その結果、尿に起因する悪臭の発生が抑制される。
【0035】
尿吸収マット12は、植物性繊維若しくはパルプ又は粘土鉱物系材料を含む成形原料を板状に成形したものであることが好ましい。尿吸収マット12を構成する材料の詳細については、例えば本出願人の先の出願に係る特開2003−153639号公報に記載されている。尿吸収マット12は、その厚さが好ましくは3mm以上、更に好ましくは5〜50mm、一層好ましくは10〜20mmである。これによって、シート状の吸収マットに比べて尿の吸収量が多くなり、また強度も高くなる。更に、粒状タイプの吸尿材と異なり、取り扱い時に粉塵が発生することが殆どなく廃棄が容易となる。
【0036】
押さえ具14は枠体からなり、平面視して受け皿11における起立した周縁部15の形状と合致した形状となっている。またその縦断面は、受け皿11における周縁部15の縦断面と合致した形状となっている。押さえ具14には、その天面から垂下し且つ受け皿11における周縁部15の内面と対向する壁状リブ17が形成されている。リブ17は、枠状となっている押さえ具14の全周に連続して形成されている。トイレ10が組み立てられた状態においては、図6に示すように、表面シート13が、リブ17と、受け皿11における周縁部15の内面との間に挟持されて固定される。前述のとおりリブ17及び周縁部15は連続して形成されているので、表面シート13は連続して面状で固定されることになる。その結果、固定に起因する表面シート13の皺発生が効果的に防止され、皺の発生に起因する表面シート13上での尿の液溜まりの発生が防止される。
【0037】
本実施形態によれば、表面シート13に付着している親水化剤は、その一部が尿に溶解して尿と共に尿吸収マット12へ移行し、尿吸収マット12中を拡散する。尿吸収マット12に移行した親水化剤は、該尿吸収マット12中において消臭作用を発揮して、該尿吸収マット12に吸収されている尿から発生する悪臭を消臭する。一方、表面シート13のうち、親水化剤が流れ出した部位においては、当該部位の親水性の程度が低下する。しかしながら、本発明において表面シート2の受液面側に、その裏面よりも親水化剤を多量に施すことで、親水化剤が下方へ流れ出しても親水性の低下が防止されつつ消臭効果が持続的に発現される。
【0038】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態のペット用シート1においては、表面シート2に施される消臭作用を有する親水化剤に加えて、吸収体4中に消臭剤を含有させてもよい。同様にペット用トイレ10においては、尿吸収マット12中に消臭剤を含有させてもよい。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
【0040】
〔実施例1〕
図1ないし図4に示す形態のペット用シート1を製造した。表面シート2としては、坪量20g/m2のポリプロピレン製スパンボンド不織布(親水化未処理品)を、親水化剤によって親水化処理したものを用いた。親水化剤としては、ラウリン酸とジメチルアミノプロピルアミンとのアミド化物を過酸化水素によって反応させて得られたラウリルアミドプロピルアミンオキシドを用いた。この親水化剤を交換水に溶解して濃度0.3%の溶液を調製し、この溶液をスプレー容器に入れてスプレーすることによって不織布を親水化処理した。親水化剤量は受液面側で30mg/m2とし、受液面の裏側で10mg/m2とした。
【0041】
裏面シート3としては、坪量30g/m2であるポリエチレン製のフィルムを用いた。吸収体4としては、フラッフパルプと高吸収性ポリマーの粒子との混合積繊体からなる吸収性コア41(坪量150g/m2)を、それぞれ坪量が15g/m2である上面被覆シート42及び下面被覆シート43で被覆したものを用いた。
【0042】
〔実施例2〕
親水化剤としてジメチルラウリルアミンオキシド(アンヒトール20N、花王社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてペット用シートを製造した。
【0043】
〔実施例3〕
親水化剤としてラウリン酸とジメチルアミノプロピルアミンとのアミド化物を過酸化水素によって反応させて得られたラウリルアミドプロピルアミンオキシドを用い、親水化剤量を受液面側及び裏側共に20mg/m2とした以外は実施例1と同様にしてペット用シートを製造した。
【0044】
〔比較例1〕
親水化剤としてアルキルグリコシド(マイドール12、花王社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてペット用シートを製造した。
【0045】
〔比較例2〕
親水化剤としてアルキルグリコシド(マイドール12、花王社製)を用いた。更に、消臭剤としてカテキン粉末((+)−Catechin hydrate SIGMA社製)0.3gをエタノール30mLに溶解した。その消臭剤を表面シートに75g/m2スプレー後、エタノールを乾燥させた。それ以外は実施例1と同様にしてペット用シートを製造した。
【0046】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られたペット用シートについて以下の方法で消臭効果を評価した。それらの結果を以下の表1に示す。
【0047】
〔消臭効果〕
ペット用シートにピペットを用いて犬尿1mLをスポット状に滴下し、そのまま室温(20℃)で放置し、犬尿添加30分後にパネル3名により、シートから10cm離れた位置から官能評価を行った。犬尿添加60分後にもう一度同じ場所に犬尿1mLを滴下し、同様の官能評価を行った。なお、表面シートのみ及び表面シート下側の評価については、表面シートとその下側を分離した状態で、夫々評価を行った。臭いの強さは、6段階臭気強度表示法に準じ、以下の基準で判定した。
0:無臭
1:ほとんど匂いなし
2:匂いはあるが、動物的な不快臭少ない
3:動物的な不快臭が感知できる
4:強い動物的な不快臭がある
5:非常に強い動物的な不快臭がある
【0048】
【表1】


【0049】
表1に示す結果から明らかなように、実施例のペット用シート(本発明品)は、比較例のものに比べて尿の消臭効果に優れることが判る。また、実施例及び比較例とも液の透過性に問題はなかった。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ペット用シートの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すペット用シートについて、その構成要素を分離して示す分解斜視図である。
【図3】図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】図1におけるIV−IV線断面図である。
【図5】ペット用トイレの一実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図6の分解図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ペット用シート
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成18年12月27日(2006.12.27)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修

【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之


【公開番号】 特開2008−161084(P2008−161084A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2006−352027(P2006−352027)