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【発明の名称】 魚入れ容器
【発明者】 【氏名】荻野 吉英

【要約】 【課題】魚投入口が僅かに開いた状態でも、内部に収容した魚が外に飛び出し、あるいは逃げるのを防止する魚入れ容器を提供すること。

【構成】魚投入口40を形成した蓋体30に、この魚投入口40を開閉する内開きの閉塞体42の一端側が回動可能に支持され、他端側が前記投入口40を閉じる方向に付勢される引き舟10であって、前記閉塞体42が魚投入口40を閉じたときに、この閉塞体42の前記他端側の周部に沿ってこの閉塞体42よりも内方に突出し、この閉塞体42が前記魚投入口40を開くときに、この閉塞体42に沿って内部に流れ込む水流F中に突出する堰状の障壁部52を蓋体30に設けた引き舟。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚投入口を形成した上板部材に、この魚投入口を開閉する内開きの閉塞体の一端側が回動可能に支持され、他端側が前記投入口を閉じる方向に付勢される魚入れ容器であって、
前記閉塞体が魚投入口を閉じたときに、この閉塞体の前記他端側の周部に沿ってこの閉塞体よりも内方に突出し、この閉塞体が前記魚投入口を開くときに、この閉塞体に沿って内部に流れ込む水流中に突出する堰状の障壁部を前記上板部材に設けたことを特徴とする魚入れ容器。
【請求項2】
前記上板部材の内側に、前記魚投入口に沿って周壁部を延設し、この周壁部の頂部に、前記閉塞体の魚投入口側の上面が当接することにより、魚投入口が閉じられることを特徴とする魚入れ容器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば釣上げた魚をそのまま水の中で保持する魚入れ容器に関し、特に、上板部材に形成した魚投入口を内開きの閉塞体で開閉する魚入れ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば鮎釣り等では、活きの良いおとりの魚を収容して水中で保持する魚籠やオトリ用の引き舟等の魚入れ容器が用いられている。このような魚入れ容器は、水の流れの中に沈めておき、常に内部の水を新鮮な状態に維持して、魚が弱らないようにしておく。そして、必要に応じて魚入れ容器の中に収容したおとりの魚と交換し、あるいは釣れた魚を活きた状態で泳がせておく。
【0003】
このような魚入れ容器には、内部に魚を収容する船状形状の箱体の上部にフロート空間を形成し、魚の取出しに便利な大きな上部開口を開閉する開閉蓋に、内側からフラップ状の閉塞体で閉じる魚投入口を形成したものがある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
この船状形状の魚入れ容器は、釣人が流れの中に立ち入り、牽引ロープを介して水の流れの中に引き流しておく。例えば箱体内に収容した元気なおとりの魚と交換する場合は、牽引ロープを引き寄せ、開閉蓋を開けて大きな開口から魚を取出すことができる。釣れた魚は、開閉蓋を開けることなく、閉塞体を外側から押圧しつつこの釣れた魚を魚投入口から箱体内に素早く投入し、活きた状態で泳がせておく。この魚投入口に配置した内開き構造のフラップは、魚の投入を容易にすると共に、内部からの魚の飛び出しを防止する。
【特許文献1】実開昭53−29990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の魚入れ容器は、水の中から引上げるときや流れの中に入れたときに、水の押圧力でフラップ状の閉塞体が僅かに開き、この隙間から魚が逃げることがある。特に、魚入れ容器が水の中でわずかでも開くと、閉塞体との間の隙間から内部に水が流れ込む。この魚投入口から流れ込む水は、内部の魚に対する誘い水となり、魚はこの流れを遡って泳ぎ易くなる。このため、魚が容器の外に逃げやすい状態となる。
【0006】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、魚投入口が僅かに開いた状態でも、内部に収容した魚が外に飛び出し、あるいは逃げるのを防止する魚入れ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の魚入れ容器は、魚投入口を形成した上板部材に、この魚投入口を開閉する内開きの閉塞体の一端側が回動可能に支持され、他端側が前記投入口を閉じる方向に付勢される魚入れ容器であって、前記閉塞体が魚投入口を閉じたときに、この閉塞体の前記他端側の周部に沿ってこの閉塞体よりも内方に突出し、この閉塞体が前記魚投入口を開くときに、この閉塞体に沿って内部に流れ込む水流中に突出する堰状の障壁部を前記上板部材に設けたことを特徴とする。
【0008】
前記上板部材の内側に、前記魚投入口に沿って周壁部を延設し、この周壁部の頂部に、前記閉塞体の魚投入口側の上面が当接することにより、魚投入口が閉じられることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の魚入れ容器によると、魚投入口を閉じる閉塞体が、例えば水流等の影響で僅かに開いても、堰状の障壁部が閉塞体に沿って内部に向かう水流中に突出することにより、魚が遡り易い水流の形成を阻害する共に、この閉塞体と上板部材との間に形成される間隙を内部から遮蔽しあるいは狭め、これにより、魚投入口が僅かに開いたときに、内部に収容した魚が外に飛び出し、あるいは逃げるのを防止することができる。
【0010】
上板部材の内側に、閉塞体が当接する周壁部を延設した場合は、この周壁部と障壁部とが水流を乱すことにより、更に複雑な水流となり、内部に収納した魚が逃げ出すのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1から図5は、本発明の好ましい実施形態による魚入れ容器を示す。本実施形態の魚入れ容器は、全体に水流に対する抵抗の小さい引き舟10として形成してある。
【0012】
図1に、釣り人が鮎の友釣り釣り等の実釣り中に川の流れの中に引き流した状態で示すように、本実施形態の引き舟10は、おとりの魚を活きた状態で泳がせておく容器本体として船状形状に形成した引き舟本体12を備え、この引き舟本体12の前部すなわち船首側から延びる牽引ロープ14により、水の流れに抗して引き舟本体12を牽引することができる。実釣り中は、この牽引ロープ14の先端に取り付けたベルト取付具16を介して、釣り人の腰ベルト18に結合しておくことができる。通常の持運びの際は、牽引ロープ14が結合されるハンドル部を取っ手として用いることで、移動を容易に行うことができる。
【0013】
図2に示すように、本実施形態の引き舟本体12は、前部の外面形状が左右対称的な船首側の前部部分に水を取入れる複数の入水孔20(概略的にのみ示す)を形成した下部部材22と、この下部部材22の開口を上側から閉じる上部部材24とを有し、この下部部材22と上部部材24とで囲まれた内部空間が魚収容部26(図3参照)を形成する。この引き舟本体12が水の流れの中にあるときは、入水口20からこの魚収容部26内に新鮮な水が常時供給される。
【0014】
一方、持運びに際して船首側を上に配置すると、入水口20を介して船首側から水が排出され、入水口20が形成されていない船尾側の後部部分が下側となって、この下側の後部部分に水が溜まる。この下側の後部部分に溜まった水の中で魚を泳がせながら、例えば、次のポイントに移動することができる。入水口20は、水の出入りを迅速に行うことができる充分な開口面積を形成すると共に、持運び時に必要な水を確保するのに最適な位置に配置される。
【0015】
この上部部材24の前半部分には、魚の取出しに便利な大きな上部開口28を形成してあり、上板部材である蓋体30が、その後端部を、一対のヒンジ32で上部部材に対して回動可能に支えられている。この蓋部材30は例えば樹脂等で板状に形成され、前端部に設けられたフック状の操作体34を、上部部材24に係止することにより、上部開口28を閉じた状態に保持することができる。
【0016】
また、上部部材24の後半部分には、凹部36が形成され、この凹部36と上部開口28との間に、梁状の横部材38が延設されている。この横部材38の下側すなわち下部部材22側には、凹部36と連通した空間部(図示しない)を形成してあり、凹部36側から指を差し入れる横部材38に指を引掛けることで、例えばおとり用の魚の交換を容易に行うことができる。なお、このような横部材38の下側あるいは後方に、排水用の小孔(図示しない)を形成してもよい。
【0017】
図3に実線で示すように、この上部部材24の上部開口28を蓋体30が閉じた状態では、操作体34の上端部が蓋体30から突出しており、この操作体34の上端部を操作して、上部部材24に対する係止を解除し、ヒンジ32を中心として、図3に鎖線で示すように、上部部材24の上方に回動することができる。これにより、上部開口28が大きく開き、この上部開口28を介して魚収容部26から魚を取出すことができる。ヒンジ32は、蓋体30を上部部材24の後半部分に重なる状態まで回動するものであってもよく、あるいは、その途中まで回動した状態で係止するものであってもよい。また、操作体34は、上部開口28を介して魚を取出す際に邪魔にならないものであれば、蓋部材30に代えて上部部材24に設けてもよい。
【0018】
この蓋体30は、上部開口28を閉じたときに、上部部材24の上面とほぼ連続し、この上部部材24と共に引き舟本体12の上面を形成する。この蓋体30は、通常、引き舟本体12を川の流れの中に引き流した状態でも、水面よりも上に位置しており、釣上げた魚を魚収容部26内に投入するための魚投入口40が形成されている。この魚投入口40は、内開き構造の2つの閉塞体42で閉じられており、この閉塞体42を外部から押圧して魚収容部26内に移動することにより、開くことができる。
【0019】
図3から図5に詳細に示すように、蓋体30の内側からは、魚投入口40の周部に沿って、魚収容部26側に周壁部44が突出する。この周壁部44は、魚投入口40の全周にわたって連続し、その内周面44aは、蓋体30の外側に魚投入口40を開口させる傾斜面40aと連続する。この傾斜面40aが外方に広がることにより、この魚投入口40の周部に鋭い角部が形成されず、魚を傷つけることなく投入することができる。また、この周壁部44の頂部すなわち魚収容部26内に突出する先端部の頂面44bは、平坦な形状に形成されており、閉塞体42の魚投入口側に位置する上面42aが、この周壁部44の平坦な頂面44bに当接することにより、この魚投入口40が閉じられる。
【0020】
魚投入口40を開閉する閉塞体42のそれぞれは、例えば樹脂製の板状形状を有し、前端側が蓋体30の内面に回動可能に支持され、後端側が魚投入口40を超えて後方に延びる。この閉塞体42を回動可能に支えるため、蓋体30の内側には、魚投入口40の周壁部42よりも前方に支持台部46が配置されており、閉塞体42の前端部に挿通された軸48がこの支持台部46で両端を支えられている。更に、この軸48につる巻ばね状の付勢体50が装着され、一端を支持台部46で支え、他端で閉塞体42を上方に向けて付勢し、図3に実線で示すように、この閉塞体42の上面が周壁部44の頂面44bに当接した状態に保持する。そして、付勢体50の付勢力に抗して、閉塞体42を魚収容部26内押圧すると、後端側が周壁部44の頂部44bから離隔し、前端側の軸48を中心として回動し、図3に鎖線で示すように、閉塞体42に軸48の反対の開放端部42a側において魚投入口40を大きく開く。
【0021】
このように、2つの閉塞体42が左右に併置した状態に設けられているため、個々の閉塞体42を軽量化し、付勢体50の付勢力を小さくすることができる。魚投入口40を開く場合は、各閉塞体42を個別に回動することができるため、不必要に大きく開口して魚が逃げやすい状態とすることもない。
【0022】
更に、この蓋体30の内側には、閉塞体42の周部に沿って、魚が飛び出すのを防止するための障壁部52を形成してある。この障壁部52は、魚投入口40を閉じたときの閉塞体42の周縁部に沿って、この周縁部との間に僅かな間隙を形成しつつこの閉塞体42よりも内方すなわち魚収容部26内に突出している。この障壁部52は、周壁部44との間に間隙54を形成するものであれば、蓋体40の内側から均一な高さで突出してもよく、あるいは前部側に向けて突出高さ次第に低くしてもよい。
【0023】
このような障壁部52は、蓋体30と一体成形し、あるいは、別部材で形成してこの蓋体30に取り付け固定してもよい。いずれの場合も、魚投入口40の全周に設けることが最も好ましいが、少なくとも魚投入口40の後端部側(魚投入口40の閉塞体42の解放端部側)に設けることが好ましく、閉塞体42が魚投入口40を開くときに、例えば魚投入口40の前後方向の中央部よりも後端部側の縁部である、最も大きく移動する部分に沿って延在することがより好ましい。
【0024】
図4に示すように、この障壁部52は、閉塞体42が魚投入口40を開くときに、この閉塞体42に沿って内部に流れ込む水流中に突出する堰状の障壁を形成する。
【0025】
例えば、引き舟本体12が流れの中で移動する際(図1)、あるいは水中から引上げる場合等に、蓋体30上を流れる水で閉塞体42が周壁部44の頂部44bから離隔して魚収容部26側に僅かに移動すると、魚投入口40が開く。この魚投入口40から流入した水は、矢印Fで示すように、閉塞体42の上面すなわち魚投入口40側の面に沿って魚収容部26内に流れ込む。
【0026】
障壁部52が、周壁部44との間に間隙54を形成する位置で、この矢印Fで示す水流中に突出するため、水流Fの向きが変えられ、矢印fで示すように、障壁部52に沿う流れに形成される。この水流fは、障壁部52と閉塞体42の周縁部との間から魚収容部26内に流れ込む。このように、障壁部52により、魚収容部26から外部に魚が遡りやすい一定方向の水流の形成が阻害されるため、閉塞体42が魚投入口40を僅かに開いたときに、閉塞体42と周壁部44との間の間隙を介して、魚が魚収容部26から逃げ出すのが防止される。
【0027】
また、閉塞体42が障壁部52の高さの範囲内で移動した場合には、閉塞体42と周壁部44との間の間隙54が、障壁部52で遮蔽され、この間隙を介して魚収容部26内に光が差し込むのが防止される。これにより、光に向かって泳ぐ習性のある魚が、この間隙を介して逃げるのを防止することもできる。
【0028】
更に、図5に示すように、閉塞体52が障壁部52の高さを超えて移動した場合も、障壁部52が、閉塞体42の上面に沿う一定方向の水流Fを堰きとめ、複雑な乱流を含む水流fとして魚収容部26内に流す。魚投入口40と魚収容部26との間では、間隙54を介して配された周壁部44と障壁部52とがそれぞれ水流を乱し、その方向を複雑に変えるため、魚が遡りやすい一定方向の水流の形成が阻害される。また、閉塞体52が蓋体30の周壁部44との間に比較的大きな間隙が形成されるが、障壁部52がこの間隙を狭め、この間隙を介して流入する光量を絞る作用をなし、これにより、魚投入口40から魚が外に飛び出し、あるいは逃げるのを防止することができる。
【0029】
上述の実施形態では、魚入れ容器として引き舟10を例にとって説明したが、下部部材が籠、缶あるいは網等であってもよく、例えばびく、スカリ、おとり缶にも同様に適用することができる。また、障壁部52は、水流を乱して魚の飛び出しを防止するものであれば、例えば多数の小さな孔を形成してもよく、壁状構造に代えて一部あるいは全部を複数の突片や網状に形成してもよい。
【0030】
また、周壁部40は、魚投入口40の全周に設けずに後端部側に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の好ましい実施形態による魚入れ容器の説明図。
【図2】図1の魚入れ容器の説明図。
【図3】図2の魚入れ容器の断面構造の説明図。
【図4】図3の魚入れ容器の閉塞体が開いた状態の説明図。
【図5】図4の状態から更に閉塞体が開いた状態の説明図。
【符号の説明】
【0032】
10…引き舟(魚入れ容器)、12…引き舟本体、30…蓋体(上板部材)、40…魚投入口、42…閉塞体、44…周壁部、52…障壁部。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成18年8月25日(2006.8.25)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100100952
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 鉄也


【公開番号】 特開2008−48677(P2008−48677A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−229176(P2006−229176)