| 【発明の名称】 |
ヒトC型肝炎ウイルス感染に感受性のあるキメラ動物モデル |
| 【発明者】 |
【氏名】ニートマン ノーマン エム.
【氏名】ティレル ディー. ローン
【氏名】マーサー デイビッド エフ.
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| 【要約】 |
【課題】ヒト向肝性(hepatotrophic)病原体、特にヒトC型肝炎ウイルス(HCV)感染に感受性のある非ヒト動物モデルを提供する。
【構成】ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター遺伝子を導入し、肝臓で該ポリペプチドを発現するヒト-マウスキメラ肝からなり、非ヒトの免疫無防備状態にある異種トランスジェニック動物に基づくモデルからなる。また、トランスジェニック動物を用いて、候補治療薬(例えばHCV感染に対する抗ウイルス活性を有する物質)を同定する方法からなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 以下を含む、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)を感染させるキメラのネズミ科動物(murine)宿主: 機能的に同系のBリンパ球およびTリンパ球を欠く免疫不全のネズミ科動物宿主; 宿主ネズミ科動物肝臓細胞においてウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターのポリペプチドの発現を提供する、ゲノムに組み込まれた導入遺伝子;および ネズミ科動物宿主肝臓に移植されたヒト肝細胞を含むキメラ肝であって、キメラのネズミ科動物宿主にヒトHCVを接種することでネズミ科動物宿主にHCV感染が生じるキメラ肝。 【請求項2】 ヒト肝細胞がキメラ肝の少なくとも約20%の肝細胞を構成する、請求項1記載のキメラのネズミ科動物宿主。 【請求項3】 ヒト肝細胞が少なくとも約15週間機能する、請求項1記載のキメラのネズミ科動物宿主。 【請求項4】 ヒトC型肝炎ウイルスに感染する、請求項1記載のキメラのネズミ科動物宿主。 【請求項5】 感染宿主が血清1 mLあたり少なくとも約103個のウイルス粒子を産生することを特徴とする、請求項4記載のキメラのネズミ科動物宿主。 【請求項6】 感染宿主が一貫して検出可能なHCV感染を少なくとも15週間にわたって維持する、請求項4記載のキメラのネズミ科動物宿主。 【請求項7】 導入遺伝子についてホモ接合である、請求項1記載のキメラのネズミ科動物宿主。 【請求項8】 導入遺伝子が、ネズミ科動物ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターに機能的に連結されたネズミ科動物アルブミンプロモーターをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1記載のキメラのネズミ科動物宿主。 【請求項9】 Bリンパ球およびTリンパ球の欠如が、免疫グロブリン遺伝子およびT細胞受容体遺伝子の再編成における遺伝的欠損の結果である、請求項1記載のキメラのネズミ科動物宿主。 【請求項10】 宿主の免疫不全がscid変異によって引き起される、請求項1記載のキメラのネズミ科動物宿主。 【請求項11】 以下の段階を含む、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)を感染させるキメラのネズミ科動物宿主を作製する方法: 免疫無防備状態のトランスジェニックのネズミ科動物宿主に、ヒト肝細胞を移植する段階であって、該ネズミ科動物宿主が免疫グロブリン遺伝子およびT細胞受容体遺伝子の再編成における遺伝的欠損の結果として機能的に同系のBリンパ球およびTリンパ球を欠くために免疫無防備状態であって、かつ該ネズミ科動物宿主が、ゲノムに組み込まれた、宿主ネズミ科動物肝臓細胞においてウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターのポリペプチドの発現をもたらす導入遺伝子がホモ接合である、ヒト肝細胞を移植する段階;および ヒトHCVを宿主に接種する段階であって、キメラのネズミ科動物宿主が、ヒト-ネズミ科動物のキメラ肝を含み、ヒトHCV感染を生じる段階。 【請求項12】 請求項11記載の方法で作製されるキメラのネズミ科動物宿主。 【請求項13】 以下の段階を含む、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)を培養する方法: ヒトHCVを請求項1または11に記載のキメラのネズミ科動物宿主に投与する段階;および 宿主内でヒトHCVの複製が起こる十分な期間をおいた後にヒトHCVを感染宿主から単離する段階。 【請求項14】 以下の段階を含む、向肝性病原体に対する活性について候補薬剤をスクリーニングする方法: 請求項1または11に記載のキメラのネズミ科動物宿主に候補薬剤を投与する段階、および 候補薬剤がHCV感染に及ぼす作用を分析する段階であって、未投与のキメラのネズミ科動物宿主に対する、または候補薬剤投与前のキメラのネズミ科動物宿主における感染量に対するヒトHCVの感染量の低下が、該薬剤の抗HCV活性を意味する段階。 【請求項15】 候補薬剤をヒトHCVの感染前に投与する、請求項14記載の方法。 【請求項16】 キメラのネズミ科動物宿主が再構成された免疫系をさらに含み、候補薬剤が能動免疫療法に用いる候補ワクチンである、請求項15記載の方法。 【請求項17】 免疫療法用の薬剤が抗HCV抗体またはそのHCV結合性断片である、請求項15記載の方法。 【請求項18】 キメラ宿主が再構成された免疫系をさらに含み、候補薬剤が治療用ワクチン接種用の候補ワクチンである、請求項14記載の方法。 【請求項19】 キメラ宿主が再構成された免疫系をさらに含み、候補薬剤が免疫療法用の薬剤である、請求項14記載の方法。 【請求項20】 以下の段階を含む、血中脂質の低下を達成する活性について候補薬剤をスクリーニングする方法: 請求項1または11に記載のキメラのネズミ科動物宿主に候補薬剤を投与する段階;および 候補薬剤が血清中のapoB100リポタンパク質に及ぼす作用を分析する段階であって、候補薬剤投与前のapoB100値に対して、候補薬剤投与後のapoB100値の低下の検出が、候補薬剤が血中脂質の低下に活性をもつことを意味する段階。 【請求項21】 以下の段階を含む、薬剤による肝毒性を評価する方法: キメラの免疫不全のトランスジェニックのネズミ科動物宿主に候補薬剤を投与する段階であって、宿主が(a)機能的に同系のBリンパ球およびTリンパ球を欠く宿主、(b)ゲノムに組み込まれた、宿主ネズミ科動物肝臓細胞においてウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターのポリペプチドの発現をもたらす導入遺伝子を有する宿主、および(c)宿主の肝臓に移植されたヒト肝細胞を有する宿主である段階;および 候補薬剤が、肝機能または肝臓の組織的学的所見に及ぼす作用を分析する段階であって、未投与のキメラのネズミ科動物宿主に対して、または候補薬剤投与前の肝機能もしくは組織学的所見に対して、投与を行った宿主における肝機能の低下もしくは肝臓の組織病理学的所見の有害な変化が、対象薬剤が肝細胞に毒性をもつことを示す段階。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 発明の分野 本発明は一般に感染症の分野、特にウイルス性病原体に対するモデルに関する。 【背景技術】 【0002】 発明の背景 C型肝炎ウイルス(HCV)により引き起されるヒトの肝疾患は、この十年間で世界中の医療現場が直面する極めて困難な問題の一つとなっている。1989年にウイルスの配列が明らかにされた(Chooら、Science 244、359〜361 (1989)(非特許文献1))ことで、HCVに対する研究の時代が大きく開かれた。現在、多く見積もって175百万人が感染していると推定されている(Sarbahら、Cell 62、447〜456(1990)(非特許文献2))。HCVは慢性ウイルス性肝炎のなかで最も一般的な型であり、先進国における推定羅患率は1〜2%である。慢性のHCV肝炎は羅患患者の少なくとも25%で肝硬変に至り、肝硬変の発症後、年に1〜4%の割合で患者に肝細胞癌が発症すると推定されている。北米では、現在HCVは肝移植の最も一般的な適応となっている。 【0003】 現在、インターフェロンとリバビリンを併用する抗ウイルス療法が一部の患者に有効であるが、多くの患者は、治療にほとんど反応しないか、下手に治療に耐性を示すので、改善の必要性が強く求められている。インターフェロンの単剤療法に対する反応維持率は20〜25%であるが、インターフェロンとリバビリンの併用療法では最大40%の反応維持率が認められている。ウイルスゲノムのさまざまな部分を標的とする新しい抗ウイルス薬が開発中であるが、信頼性の高い経済評価の高いHCV用の動物モデルがないために進展は大きく阻まれている。HCVの天然の宿主はヒトおよびチンパンジーだけであり、いずれも大規模な抗ウイルス薬の検討対象として適していない。 【0004】 HCV感染に対する再現性に優れた小型動物モデルがないことが、該疾患に寄与するさまざまな免疫因子、ならびに慢性HCV感染の免疫療法に用いるワクチン候補の調査をさらに制限している。HCV感染の場合、いくつかの報告から、Th1→Th2への切り換え、およびHCV抗原に特異的なCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞が存在することが、HCV感染者から単離されたT細胞を対象としたインビトロ試験から明らかにされている。一方で、非ウイルス血症のHCVに感染した患者では、強いTh1反応を促すと感染から数年を経た後でもHCV抗原が増幅することがわかっている。これはHCVの複製のコントロールが、有効なTh1の活性化に左右される可能性があることを示唆している(Crampら、Gut 44:424〜429 (1999)(非特許文献3))。HCVに対する免疫応答の詳しい理解につながるこれらの問題の解明、つまり有効なワクチンおよび治療法の開発に関する知見は、適切な動物モデルなくしては容易に得られない。 【0005】 過去数年にわたり、B型肝炎ウイルスに対する動物モデルの開発にはかなりの進展がみられている。しかし、似たような名前をもつにもかかわらずヒトB型肝炎ウイルス(HBV)とヒトC型肝炎ウイルス(HCV)は全く異なるウイルスであり、そのためHBV感染に関する研究はHCV感染に容易に外挿できない。いずれのウイルスとも「肝炎」ウイルスと呼ばれるが、それは主にHBVとHCVが肝臓に感染してそこで複製するからである。これとは別に、HBVとHCVはそれぞれ免疫系に影響を及ぼすHIVとEBVほどにも似ていない。実際にHBVとHCVは大きく異なり、同じ系統学的ファミリーのメンバーでさえない。HBVは2本鎖DNAのゲノムをもつヘパドナ(hepadnavirus)ウイルスファミリーのウイルスであり、HCVは1本鎖の(+)鎖RNAのゲノムをもつフラビ(flavivirus)ウイルスファミリーのウイルスである。 【0006】 HBVとHCVは感染力も異なる。HCVの感染性が等量のHBVによる感染性より弱いことは、針刺し事故に遭遇した医療従事者にみられる感染率に差があることから明らかである。HBV感染は、HBVに汚染された針を刺す事故の2〜40%で生じるが、HCV感染は、HCVに汚染された針を刺す事故の3〜10%に生じるに過ぎない。この結果は、HCVがの感染性がHBVより約3〜4倍低いことを示唆している(Shapiro Surgical Clin North Amer. 75(6):1047〜56 (1995)(非特許文献4))。 【0007】 HBVとHCVは、複製の必要条件、ならびに感染時のウイルス負荷が大きく異なる。HBVは、それほど分化していない系で複製可能である(例えば、HepG2細胞、Sellsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:1005 (1987)(非特許文献5))。これとは対照的にHCVの複製は、形質転換されていない肝細胞の存在の影響を受ける(例えば、Itoら、J. Gen. Virol. 77:1043 (1995)(非特許文献6)を参照)。HCV感染患者のウイルス量は一般に、HBV感染患者のウイルス量より低い。HBV感染患者では105〜109個の粒子であるのに対し、HCV感染では1 mLあたり102〜107個の粒子である。ウイルス量にみられるこの差は、少なくとも部分的にはウイルス粒子の相対的なクリアランス速度によるものと考えられる。また、1個の細胞に含まれるウイルスのコピー数もHCV感染では極めて少ない(例えば、一般的に1個の細胞あたり20コピー未満(Dhillonら、Histopathology 26:297〜309 (1995)(非特許文献7))。低いウイルス量と、細胞1個あたりのウイルスのコピー数の少なさの組み合わせは、かなりの数のヒト肝細胞が感染しているはずであることを意味し、感染ウイルスが血清中でさえ検出されることを意味する。 【0008】 宿主が限られているヒトHBVおよびヒトHCVは、インビトロおよびインビボの感染モデルを開発する上で問題が多いことが明らかになっている。ヒトHBV感染に感受性のある動物はヒトおよびチンパンジーだけであり、ヒトHCV感染に感受性のあるの動物はヒト、チンパンジー、およびツパイである(Xieら、Virology 244:513〜20 (1998)(非特許文献8)では、ツパイがHCVに一時的に感染することが報告されている)。ヒトHBVは、単離されたヒト肝臓細胞に培養下で感染する(例えば、Sureau、Arch. Virol. 8:3〜14 (1993)(非特許文献9);Lamperticoら、Hepatology 13;422〜6 (1991)(非特許文献10)を参照)。HCVはヒト肝細胞の初代培養に感染することが報告されているが、このような細胞は、子孫ウイルス粒子の産生を援助しない(Fournierら、J Gen Virol 79(Pt 10):2367〜74 (1998)(非特許文献11))。候補治療薬をアッセイする、より臨床的に関連のある方法を提供するためには良好なインビボモデルの開発が必要である。HBVとHCVの宿主範囲が極めて狭いことは、動物モデルの開発を非常に困難なものとしている。HBVおよびHCVの現在の動物モデルは、通常の感染経路を踏襲しない、または感染済みのヒト肝臓細胞の使用を必要としない、またはその両方である(例えば、マウスの腎被膜下へのHBV感染ヒト肝臓細胞の移植によるHBV感染のキメラマウスモデルについて記載されている米国特許第5,709,843号(特許文献1);第5,652,373号(特許文献2);第5,804,160号(特許文献3);第5,849,288号(特許文献4);第5,858,328号(特許文献5);および第5,866,757号(特許文献6);HCV感染ヒト肝細胞の免疫不全マウスの肝臓への移植について記載されている国際公開公報第99/16307号(特許文献7)およびGalunら、J. Infect. Dis. 172:25〜30 (1995)(非特許文献12);HCV感染造血細胞のSCIDマウスの腹腔内注入について記載されているBronowickiら、Hepatology 28:211〜8 (1998)(非特許文献13);およびHCVゲノムがトランスジェニックであるマウスについて記載されているLertaら、Hepatology 28 (4Pt2):498A (1998)(非特許文献14)を参照)。ヒトHBVの感染は、ウッドチャックのウッドチャック肝炎ウイルス(WHV)感染、および北京ダックのアヒル肝炎ウイルス(DHV)感染に極めて似ている。WHV感染ウッドチャックおよびDHV感染アヒルは、ヒトHBV感染に有効な薬剤の同定に良好に用いられている。しかしながら、類似の動物モデルはヒトHCVについては認められていない。 【0009】 実用的な非ヒト宿主が存在しない状況では、最も望ましい動物モデルは、通常の感染経路を介してヒト肝臓細胞への感染が可能なキメラ動物モデル、好ましくは経静脈接種によるウイルス感染に感受性があり、また慢性感染が可能なマウスモデルとなろう。しかし残念ながら、HBV感染またはHCV感染に感受性があり、持続的にウイルスを複製し、臨床的に有効な持続的な量のウイルス粒子を産生する、ヒト肝細胞とのキメラ肝を有するマウスの開発は簡単ではないことがわかっている。異種間の肝移植の分野の進展は極めて遅く、多くの障害がある。 【0010】 新生児の出血性疾患および低フィブリノーゲン血症について調べるために、アルブミン-ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(Alb-uPA)のコンストラクトを導入したトランスジェニックマウスが作製されている(Heckelら、Cell 62:447〜56 (1990)(非特許文献15);Sandgrenら、Cell 66:245〜56 (1991)(非特許文献16))。Alb-uPA導入遺伝子は、ネズミ科動物ウロキナーゼ遺伝子をアルブミンプロモーターの制御下におくことで、肝臓でウロキナーゼを産生させて、著明に低フィブリノーゲン状態を生じることを意図している。この導入遺伝子は肝細胞死の促進と関連することもわかっている。このトランスジェニック動物を対象とした後の研究で、導入遺伝子を自然に失った個々の肝細胞が、生存率のかなりの延長および複製上の利点を獲得し、非トランスジェニック細胞をもつ肝臓が再増殖することが明らかにされている(Sandgrenら、(1991)、前掲)。Alb-uPAトランスジェニックマウスは、非トランスジェニックマウスに由来する肝細胞の移植に適していることが明らかにされている(Rhimら、Science 263:1149〜52 (1994)(非特許文献17))。Alb-uPAトランスジェニックマウスはまた、ラットの肝細胞を有するキメラ肝(Rhimら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:4942〜6 (1995)(非特許文献18))、またはウッドチャックの肝細胞(Petersenら. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:310〜5 (1998)(非特許文献19))を有するマウスを作製する際に良好に用いられていた。しかしながら、このような開発と、HCV感染に感受性のある動物モデルの開発との間には長い道のりがあった。別のげっ歯類ファミリーのメンバーに由来する異種移植片を有するマウスの作製は、異なるファミリーの動物(例えばヒト)に由来する異種移植片を有するマウスの作製と比べてそれほど難しくもなく予想外のことでもなく、まして高度のキメラ性が達成されたり、またはキメラ動物がHCV感染を維持したりすることは予期されていない。例えば肝細胞成長因子(HGF)は、インビボで肝細胞再生に及ぼす極めて強力な刺激因子である。配列データを比較すると、マウスHGFはラットHGFと98.5%のアミノ酸配列の相同性を示したが、ヒトHGFとは90.9%の相同性しか示さなかった(Liuら、Biochim et Biophys Acta 1216;299〜303 (1993)(非特許文献20))。したがって成功する保証はなかった。 【0011】 当技術分野では、HCVの慢性感染に感受性があり、また臨床的に有効な濃度のウイルスを産生するヒト-マウスの肝臓キメラが求められている。本発明は、この問題について取り組む。 【特許文献1】米国特許第5,709,843号 【特許文献2】米国特許第5,652,373号 【特許文献3】米国特許第5,804,160号 【特許文献4】米国特許第5,849,288号 【特許文献5】米国特許第5,858,328号 【特許文献6】米国特許第5,866,757号 【特許文献7】国際公開公報第99/16307号 【非特許文献1】Chooら、Science 244、359〜361 (1989) 【非特許文献2】Sarbahら、Cell 62、447〜456(1990) 【非特許文献3】Crampら、Gut 44:424〜429 (1999) 【非特許文献4】Shapiro Surgical Clin North Amer. 75(6):1047〜56 (1995) 【非特許文献5】Sellsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:1005 (1987) 【非特許文献6】Itoら、J. Gen. Virol. 77:1043 (1995) 【非特許文献7】Dhillonら、Histopathology 26:297〜309 (1995) 【非特許文献8】Xieら、Virology 244:513〜20 (1998) 【非特許文献9】Sureau、Arch. Virol. 8:3〜14 (1993) 【非特許文献10】Lamperticoら、Hepatology 13;422〜6 (1991) 【非特許文献11】Fournierら、J Gen Virol 79(Pt 10):2367〜74 (1998) 【非特許文献12】Galunら、J. Infect. Dis. 172:25〜30 (1995) 【非特許文献13】Bronowickiら、Hepatology 28:211〜8 (1998) 【非特許文献14】Lertaら、Hepatology 28 (4Pt2):498A (1998) 【非特許文献15】Heckelら、Cell 62:447〜56 (1990) 【非特許文献16】Sandgrenら、Cell 66:245〜56 (1991) 【非特許文献17】Rhimら、Science 263:1149〜52 (1994) 【非特許文献18】Rhimら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:4942〜6 (1995) 【非特許文献19】Petersenら. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:310〜5 (1998) 【非特許文献20】Liuら、Biochim et Biophys Acta 1216;299〜303 (1993) 【発明の開示】 【0012】 発明の概要 本発明は、ヒトの向肝性病原体、特にヒトC型肝炎ウイルス(HCV)の感染に感受性のある非ヒト動物モデルを特徴とする。このモデルは、導入遺伝子が肝臓内でのウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターの発現をもたらす、ヒト-マウスキメラ肝を有する非ヒトの免疫無防備状態のトランスジェニック動物を元にしている。本発明はまた、候補治療薬、例えばHCV感染に対する抗ウイルス作用を有する物質を同定する方法を特徴とする。 【0013】 本発明の主な目的は、通常の感染経路によるヒトHCV感染に感受性のある非ヒトの動物モデルを提供することである。 【0014】 本発明の利点は、動物モデルが、通常の感染経路によるHCV感染に感受性があり、HCVに感染したヒトとウイルス量が等しくなりうるウイルス量で長期的に一貫して安定に感染する動物の最初の例を提供する動物モデルである。 【0015】 本発明のさらに別の利点は、動物モデルを作製する際に、HCV感染細胞を入手したり扱ったりする必要がない点である。したがって本発明では、HCVに感染したヒトドナーから肝細胞を入手する必要がなく、またインビトロでヒト肝細胞を培養して感染させる必要もない。 【0016】 本発明の上記および他の目的、利点、および特徴は、以降に詳述する動物モデルおよびその使用方法の詳細を読むことにより、当業者に明らかになると思われる。 【0017】 好ましい態様の詳細な説明 本発明を記載するにあたり、本発明が、記載された特定の方法、プロトコール、細胞系列、動物の種または属、コンストラクト、および試薬に制限されないことは明らかである。これらが変化するのは言うまでもない。また、本明細書で使用される専門用語が、特定の態様を説明することのみを目的とし、制限する意図がないことは明らかである。なぜならば本発明の範囲が、添付の特許請求の範囲のみによって制限されるからである。 【0018】 値の範囲を提示する場合、その間にある値は、文中で特に指定しない限り、下限の10分の1の単位まで、対象範囲の上限と下限の間も具体的に開示されると理解される。任意に記載された値の個々の小さな方の範囲、または記載された範囲の中間値、および記載された範囲における他の任意に挙げられた値または中間値が本発明に含まれる。このようなより小さな範囲の上限および下限は、対象範囲に独立に含まれたり除外されたりする場合があり、限度のいずれか、いずれでもない限度、または両方の限度が小さい方の範囲に含まれる個々の範囲も、記載された範囲において任意の具体的に除外される限度にしたがって本発明に含まれる。記載された範囲が、限度の一方または両方を含む場合、そのように含まれる限度のいずれか、または両方を除く範囲も本発明に含まれる。 【0019】 文中で特に断らない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される用語と同じ意味をもつ。本明細書に記載した方法および材料と類似しているかまたは同一である任意の方法および材料は、本発明を実施する際または検討する際に使用されるが、好ましい方法および材料について以下に説明する。本明細書で言及したすべての出版物は、引用する出版物に関連した方法および/または材料を開示および記載するために本明細書に参照として組み入れられる。 【0020】 本明細書で、また添付した請求項に記載されているように、文中で特に指定しない限り、単数形、「一つの(a、an)」、および「その(the)」は複数形の指示物を含むことを留意しなければならない。したがって例えば、「一つの肝臓細胞(a liver cell)」という記述には、複数のこのような肝臓細胞が含まれ、「その非ヒト動物(the non-human animal)」という記述には、1匹または複数の非ヒト動物、および当技術分野において公知の該同等のものを含むなどである。 【0021】 本明細書で言及した公開は、情報開示の目的でのみ本出願の申請日に先だって提供される。本明細書に記載した事項は、本発明が、先行発明の効力により、それらの公開を事前の日付にする権利を有することを了承したものとして解釈される。また提供される公開日は、実際の公開日が独立に確認される必要がある場合に異なったものとなることがある。 【0022】 定義 本明細書で使用される「キメラ」(例えば「キメラ動物」または「キメラ肝」)は、異種の組織または細胞を含む臓器または動物体を意味する。動物が、動物の肝臓に移植されたヒトの肝細胞が存在するためにキメラであるキメラ動物は特に重要である。 【0023】 「免疫無防備状態である(immunocompromised)」とは、動物が異種の組織または細胞に対する完全または有意な免疫応答を開始できないことを意味する。例えば、宿主動物の任意の免疫応答は、移植細胞が拒絶される場合は有効ではない。 【0024】 「導入遺伝子」という用語は、哺乳類、特に生きている動物の哺乳類細胞のゲノムに人工的に挿入されているか、または挿入されようとしている遺伝物質を説明するために本明細書で用いられる。 【0025】 「トランスジェニック動物」は、その細胞の一部分に染色体外因子として存在するか、またはその生殖系列のDNA(すなわち細胞の大部分またはすべてのゲノム配列)に安定に組み込まれている、非内因性(すなわち異種)の核酸配列を有する非ヒト動物、通常は哺乳類を意味する。異種核酸は、例えば当技術分野で周知の方法にしたがって宿主動物の胚または胚性肝細胞の遺伝子操作によって、このようなトランスジェニック動物の生殖系列に導入される。「導入遺伝子」は、このような異種核酸、例えば、(例えば「ノックイン」トランスジェニック動物作製用の)発現コンストラクトの形状をした異種核酸、または標的遺伝子内またはその近傍に挿入されて、(例えば「ノックアウト」トランスジェニック動物作製用の)標的遺伝子の発現低下を生じる異種核酸を意味する。 【0026】 遺伝子の「ノックアウト」とは、標的遺伝子の機能低下を生じる遺伝子の配列の変化を意味する。好ましくはこのような標的遺伝子の発現は検出されないか、または有意ではない。トランスジェニックのノックアウト動物は、標的遺伝子についてヘテロ接合のノックアウト、または標的遺伝子についてホモ接合のノックアウトを含むことができる。本明細書で使用される「ノックアウト」は条件的なノックアウトも含む。この場合、標的遺伝子の変化は、例えば標的遺伝子の変化を促進する物質に動物を曝露した際、標的遺伝子部位における組換えを促進する酵素(例えばCre-lox系のCre)を導入した際、または標的遺伝子の変化を出生後に指令する他の方法で生じる場合がある。 【0027】 標的遺伝子の「ノックイン」とは、例えば標的遺伝子の追加コピーの導入による、または標的遺伝子の内因性コピーの発現の促進をもたらす制御配列を動作可能に挿入されることによる、標的遺伝子の発現変化(例えば発現上昇(異所性発現を含む)または発現低下)を生じる宿主細胞ゲノムにおける変化を意味する。「ノックイン」トランスジェニック動物は、標的遺伝子をヘテロ接合で有するノックイン動物、または標的遺伝子をホモ接合で有するノックイン動物を含む場合がある。「ノックイン動物」には条件的なノックイン動物も含まれる。 【0028】 「機能的に連結させる」とは、適切な分子(例えば転写活性化タンパク質)が制御配列に結合したときに遺伝子発現を可能とするように、DNA配列と制御配列を結合させることを意味する。 【0029】 「動作可能に挿入させる」とは、関心対象のヌクレオチド配列が、導入された関心対象ヌクレオチド配列の転写および翻訳を指令するヌクレオチド配列に隣接して位置させることを意味する。 【0030】 本明細書で使用される「治療薬」という用語は、疾患または状態(例えばHCV感染を含むが必ずしもこれらに限定されない肝障害)の治療に有用な任意の分子、例えばタンパク質、または低分子量の分子、製薬用化合物、抗体、アンチセンス分子、リボザイムなどを意味する。例えば本発明の治療薬は、ウイルス(特にHCV)感染に関連する症状を阻害したり、緩和したり、または軽減したりする分子を含む。 【0031】 本明細書で使用される「単位剤形」とは、被験者(例えば動物、通常はヒト)に対する一元の用量として適した物理的に明瞭な単位を意味し、個々の単位は、薬学的に許容される希釈物、担体、または媒体に関連する所望の作用を十分生じる量における物質の事前に決定された量を含む。本発明の新しい単位剤形の仕様は、使用される特定の物質、および達成される効果、ならびに宿主内における個々の化合物に関連する薬力学的性質を含むが必ずしもこれらに限定されない多様な因子の影響を受ける。 【0032】 「治療」や「治療する」などの表現は、所望の薬学的作用、および/または生理学的作用を得ることを一般に意味するものとして本明細書で使用される。このような作用は、完全または部分的に疾患またはその症状を予防する上で予防的なものとなり、および/または、疾患および/または疾患に結びつけることが可能な有害作用を部分的または完全に治療する上で治療的なものとなりうる。本明細書で使用される「治療」は以下の段階を含む、哺乳類、特にヒトの疾患の任意の治療を含む:(a)対象疾患にかかりやすい傾向があるが疾患の診断を受けていない被験者で疾患が生じるのを予防する段階;(b)疾患を阻害する段階、すなわち疾患の進行を制止する段階;または(c)疾患を軽減する段階、すなわち疾患の後退を導く段階。 【0033】 概観 本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)に対するネズミ科動物モデルの開発を基礎としている。このようなネズミ科動物モデルは一般に、トランスジェニックマウスの肝臓への、宿主の適切な発生段階、好ましくは宿主の出生直後、におけるヒト肝細胞の移植を含む。理論に拘束されるわけではないが、モデルの開発が成功するか否かは、少なくとも部分的には以下の条件による:(1)免疫不全の背景を有する宿主を使用することで、導入された異種(ヒト)細胞の、免疫系による攻撃を避けること;(2)ホモ接合状態で存在する、アルブミンプロモーターに結合したウロキナーゼの導入遺伝子を含むトランスジェニック動物を使用することで、肝細胞の成長および細胞の分裂に対する強力な継続的刺激を提供すること;および(3)生育可能なヒト肝細胞を、肝細胞のライフサイクルの適切な時期、および宿主動物の発生の初期段階で宿主動物に導入して、宿主における大多数の、および/または高率のヒト細胞の長期生存をもたらすこと。 【0034】 発明者らの最もよく知る限り、通常の感染経路(例えば経静脈投与または腹腔内投与)を介して感染可能なHCV感染のモデルに使用される非霊長類宿主を本発明は初めて提供する。本発明のこの局面は、抗ウイルス薬剤開発における用途上、特に重要である。また本発明の動物モデルは、事前に感染させたヒト肝細胞を使用する必要がないため、ヒトドナーから単離された感染組織の取扱い、または移植前におけるインビトロでのヒト肝細胞の感染が避けられる。 【0035】 したがって本発明は、上述のキメラ動物、ならびにヒト肝細胞を、免疫無防備状態にある、アルブミン結合ウロキナーゼ導入遺伝子をもつ動物の肝臓に移植することでキメラ動物を作製する方法を特徴とする。また本発明は、向肝性の微生物病原体による感染の治療用の薬剤を同定する方法を含む、本明細書に記載されたキメラ動物モデルを使用する方法に関する。 【0036】 本発明を以降に詳述する。 【0037】 宿主動物 宿主動物は一般に、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)の肝臓における産生が上昇し、ヒト肝細胞の移植または維持が可能な、非ヒトの免疫無防備状態にある哺乳類である。本発明の動物モデルの元となりうる例示的な非ヒト動物には、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ヒツジ、ブタ、霊長類などがあるが必ずしもこれらに限定されることはない。ある態様では、宿主動物はげっ歯類の動物、好ましくはマウスである。好ましい態様では、宿主動物は、免疫無防備状態のマウスであり、好ましくはウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)遺伝子が導入された免疫無防備状態のトランスジェニックマウスであり、より好ましくはuPAの肝臓特異的な産生を提供する導入遺伝子(例えば、Alb-uPA導入遺伝子、例えばHeckelら Cell 62: 447 (1990)を参照)を含む免疫無防備状態のマウスである。本発明の用途に適したマウスは、系列C.B-17、C3H、BALB/c、C57131/6、AKR、BA、B10、129などを含むが必ずしもこれらに限定されない任意の多様なバックグラウンドの系統から作製することができる。宿主動物は雄でも雌でもよい。 【0038】 免疫無防備状態の背景 上述の通り、宿主動物は好ましくは免疫無防備状態にある。移植に適した、および所望の免疫不能状態を有するのに適した免疫無防備状態の哺乳類宿主を利用することができる。あるいは、それほど好ましくはないものの、免疫無防備状態の動物を、免疫応答性の動物から、例えば1種または複数の化合物(例えばシクロスポリン)の投与、または当技術分野で周知の他の方法で作製することができる。一般には、免疫無防備状態の宿主は異種の組織または細胞に対する完全な免疫応答を開始することができない。免疫グロブリンおよびT細胞の抗原受容体をコードする座位において生殖系列のDNA再編成が生じなくなる遺伝的欠損のために免疫無防備状態である動物は特に重要である。また正常動物と比較して、機能性のT細胞、B細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞の数の大きな低下または非検出に至る1種または複数の遺伝的欠損をもつ免疫無防備状態の動物も重要である。 【0039】 scid座位にホモ接合変異をもつマウス(scid/scid)は特に重要である。scid変異は、DNA依存性のタンパク質キナーゼの触媒サブユニットの欠損に関連しており、免疫グロブリン遺伝子およびT細胞受容体遺伝子におけるVDJ組換えが起こることを防ぐ。scid変異がホモ接合の動物は、機能的に組換えられる免疫グロブリン遺伝子およびT細胞受容体遺伝子を欠くので、T細胞およびB細胞の両系列に欠損がある。scid/scid変異の入手が可能であるほか、いくつかの異なる遺伝的バックグラウンド(例えばCB.17、ICR(非近交系)、C3H、BALB/c、C57B1/6、AKR、BA、B10、129など)を作ることができる。本発明はまた、ナチュラルキラー(NK)細胞の欠損が関与するベージュ変異(bg)を有する動物の利点を利用することができる。ある態様では、scid変異とbgベージュ変異の両方を有し、この結果、生物体に導入された同種または異種の細胞または組織に対する有効な免疫応答を開始しないマウスが作製される。 【0040】 現在利用可能な他の例示的な免疫無防備状態の宿主には、RAG-1および/またはRAG-2に関連したリコンビナーゼの機能を欠くように遺伝子工学的手法で作製されたトランスジェニックマウス(例えば、市販のTIM(商標) RAG-2トランスジェニック)、クラスIおよび/またはクラスIIのMHC抗原を欠くように遺伝子工学的手法で作製されたトランスジェニックマウス(例えば、市販のC1DおよびC2Dトランスジェニック系統)、またはBcl-2原癌遺伝子の発現を欠くように遺伝子工学的手法で作製されたトランスジェニックマウスなどがある。レシピエントとして有用な他のマウスには、NOD scid/scid;SGB scid/scid、bh/bh;CB.17 scid/hr;NIH-3 bg/nu/xid、およびMETA nu/nuがある。トランスジェニックのマウス、ラット、およびブタは、CD3F遺伝子が両対立遺伝子で破壊されているために機能性のB細胞およびT細胞を欠くものを利用することができる。免疫無防備状態のラットには、
などがある。 【0041】 ウロキナーゼの導入遺伝子の発現 上述の通り、本発明のキメラ動物は、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)の発現について「ノックイン」トランスジェニック動物でもある。ある態様では、このような導入遺伝子はAlb-uPA導入遺伝子であり、これはネズミ科動物アルブミンエンハンサー/プロモーター、ネズミ科動物uPA遺伝子コード領域、および成長ホルモン遺伝子の3'非翻訳かつ隣接配列から構成される(Heckelら、Cell 62: 447〜56 (1990);Sandgrenら、Cell 66:245〜56 (1991))。好ましくはこのような動物は、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター導入遺伝子についてヘテロ接合ではなくホモ接合である。Alb-uPA導入遺伝子は、これをもつ肝細胞に致死的な障害(lethal insult)を生じるほか、ウロキナーゼの濃度を局所的(肝内)に高める。これをきっかけとして肝細胞成長因子が処理されて肝臓内で活性型となる。理論に拘束されるわけではないが、Alb-uPAトランスジェニック動物の発生の適切な時期に導入された生育可能な同種または異種の細胞は、このような環境で刺激されて複製を開始する。したがってドナー細胞は、導入遺伝子による致死的な障害の結果死滅する内因性肝細胞に「置き換わる」ように成長する。 【0042】 移植に適したヒト肝細胞および他の細胞の単離 宿主動物に移植するヒト肝細胞は、ヒトの肝臓組織から当技術分野で周知の任意の従来の方法で単離される。一般にヒト肝細胞は、新鮮な組織(例えば、死後数時間以内に得られる組織)、または新鮮な状態で凍結された組織(例えば、新鮮な状態で凍結処理されて約0℃以下で維持されたもの)であることができる。使用する細胞は、ヒトの肝臓組織から新鮮な状態で回収された単離直後(すなわち2〜4時間以内)のものであることが望ましい。特定の凍結保存溶媒中に保持されたヒト肝細胞は、長期にわたって(例えば液体窒素中で)保存することが可能であり、必要に応じて解凍して、保存された肝細胞の発生を可能とすることができる。一般に、単離手法ならびに取り扱いおよび保存のプロトコールは、肝臓に向かう血流の停止による温虚血時間を最短化すること(例えば、通常は約30分〜60分未満、好ましくは約20分〜約40分未満)、および保存に起因する寒冷虚血時間を最短化すること(例えば、一般的には約12時間未満、通常は約1時間〜2時間未満)が通常重要である。ある態様では、ヒト組織は正常である(例えば検出可能な病原体を含まず、形状および組織学的所見が正常であり、実質的に異常が認められない)。通常、暖虚血曝露時間は約20〜50分を超えない。 【0043】 肝臓組織は、機械的に処理したり酵素を用いて、単一の細胞を含む懸濁液とすることが可能である他、完全なヒト肝臓組織の断片を使用することができる。好ましい態様では、肝細胞は、日常的なコラゲナーゼ環流法(Ryanら、Meth. Cell Biol. 13:29 (1976))に続いて低速遠心を行うことでドナー組織から単離される。肝細胞は次に、ステンレス鋼製のメッシュ(例えば100 μm)を通してろ過した後に、密度勾配遠心法を行って精製することができる。あるいは、肝細胞を濃縮する他の方法、例えば蛍光活性化細胞選別法、パンニング法、磁気ビーズ分離法、遠心場内におけるエルトリエーション法などを用いることができる。移植に用いる最終的な懸濁液は一般に、少なくとも約50〜75%の肝細胞、通常は少なくとも約80〜99%の肝細胞を、一般的にはトリパンブルー法で調べた生細胞が80〜99%のものを含む。 【0044】 別の態様では、移植対象細胞はヒト幹細胞または肝細胞の前駆細胞であり、これらは、宿主動物の肝臓への移植後に、発生を開始したりHCV感染に感受性のあるヒト肝細胞へ分化する。一つの特定の態様では、ヒト幹細胞は、ヒト血液の索細胞(cord cell)から入手することができる。ヒト血液の索細胞は、肝細胞の幹細胞再構成の供給源であるというだけでなく、免疫系の再構成の供給源でもある(例えばVerstegenら、Blood. 91(6):1966〜76(1998)を参照)。 【0045】 ヒト肝細胞または他の適切な細胞の宿主への移植 ドナー肝細胞の免疫無防備状態のトランスジェニック宿主への導入のタイミングは、キメラ肝を向肝性病原体感染に感受性とし、また、病原体の複製を可能とするために十分ないくつかのヒト肝細胞が集合したキメラ肝を作るために重要な場合がある。感染性が低く、および/または複製速度が遅い肝向性病原体(例えばHCV)の場合に特にこれがあてはまる。動物がネズミ科動物(murine)(例えばマウス(mouse))の場合、移植の時期は、宿主が望ましくは10日〜2週齢未満であり、好ましくは約7〜10日齢であり、または約1週齢またはそれ未満(すなわち約5〜7日齢未満)である。一般的には、移植は好ましくは約8〜10日齢と15日齢の間に実施される。移植の時期は、良好な結果を保ちながら柔軟性を得るために約7〜18日齢まで延長可能である。理論に拘束されるわけではないが、本明細書に記載された移植のタイミングは、極めて早い時期の移植に関連する過度の技術面に起因する死亡率(すなわち、動物のサイズが小さいことに起因する)と、最大の複製刺激を得るまでの時間(例えば、移植前に生じるレシピエント肝における細胞分裂の回数がドナーとなるヒト細胞の移植の成功率および程度に影響することがある)との間の妥協の産物である。また移植のタイミングは、導入遺伝子によってもたらされる肝臓細胞の再増殖に及ぼす刺激が時間の経過とともに弱まり、約6週齢以降のレシピエントでは一般に消失してしまうことからも重要である(Rhimら、(1994) Science 263:1149〜52;ホモ接合の場合は約10〜12週)。 【0046】 ヒト肝細胞(または他の適切な細胞、例えば肝細胞の前駆体または幹細胞)を、当技術分野で公知の任意の適切な方法で移植することができる。ヒトの肝細胞は、脾臓内、例えば脾臓下端に注入することが好ましい。 【0047】 移植が成功したかどうかは、従来の方法、例えば、宿主血清に含まれるヒト肝臓特異的なタンパク質(例えばヒト血清アルブミン(HA)やヒトα-1アンチトリプシン)値を調べることでモニタリングすることができる。適切であれば、キメラ宿主を実験に使用することができる(例えば、向肝性病原体の感染に対する候補薬剤のスクリーニングなど)。比較的感染性の低い、および/または複製能が低い向肝性物質を動物に感染させる場合は、キメラ動物に移植後の約4〜6週内(通常は移植から約6週後の時点、また早くは移植から3週後の時点)に接種するとよい。 【0048】 一般に動物宿主は、その肝臓内で、ヒト肝臓細胞が由来する肝臓細胞の割合が少なくとも約20%〜50%、通常は約40%〜60%またはそれ以上、また最適には90%またはそれ以上でヒトキメラを生じる。キメラ動物は、機能性の移植肝細胞とともに少なくとも数週間、通常は少なくとも約5週間、さらに一般的には少なくとも約12〜24週間、最長8か月間またはそれ以上、さらには宿主が生存している限り維持することができる。キメラ動物には、向肝性病原体(例えばHCV)、特に霊長類(例えばヒト)に限定される宿主範囲をもつ向肝性病原体を感染させることができる。病原体の性質に応じて、慢性感染したキメラ宿主は数週間から数か月間維持することができる。例えば向肝性病原体がHCVの場合、キメラ動物をHCVに慢性的に感染させ(例えば慢性感染)、また活性型のHCV感染を少なくとも約5週間、通常は少なくとも約14〜約20週間またはそれ以上、最長で約35週間またはそれ以上の期間、および宿主の生涯にわたって維持することができる。 【0049】 感染宿主のウイルス負荷は、感染者(ヒト)におけるウイルス負荷と同程度になりうる。例えば、病原体がHCVの場合、宿主動物は、血清1 mlあたり約103〜約104個から約106個のウイルス粒子、通常は血清1 mlあたり約103〜約107個のウイルス粒子濃度で感染を維持することができる。 【0050】 感染宿主におけるウイルス負荷は、長期に渡って実質的に一貫し、慢性的で、且つ安定しており、例えば感染した未投与の宿主の血清から単離可能なウイルス粒子の数は、週毎のサンプリング期間中に大きく変動することはなく、例えば、いったん安定な感染が、通常は感染後の約2〜4週以内に宿主で確立すると、初回サンプリング時に1 mLの血清に多数のHCVウイルス粒子を含む本発明のHCV感染宿主は、次のサンプリング時にHCV感染陽性を示し、かつ、一般に血清1 mLあたりに同じか同等の多量のHCV粒子を含む。通常、感染宿主のウイルス負荷は大きく変動することはないので、候補抗ウイルス物質の作用の評価が可能である。例えばウイルス力価は長期的および妥当な範囲で一貫している。 【0051】 スクリーニングアッセイ法 本発明のキメラ動物は、多様な他のスクリーニングアッセイ法で使用することができる。例えば肝疾患を引き起したり寄与したりすることが疑われる任意の多様な候補薬剤、ならびに適切な拮抗物質および阻害性治療薬をキメラ動物に投与して、対象薬剤が移植ヒト細胞の機能に及ぼす作用を評価することでスクリーニングすることができる。本発明のキメラ動物モデルを用いて、肝疾患の治療、または任意の肝臓特異的でないヒト疾患の治療に用いる低分子量の分子を用いる療法を含む、肝細胞に対する毒性について化合物のスクリーニングを行うこともできる。一般的には、任意の化合物を投与して、肝細胞に対する毒性を評価することができる。例えば癌に対する重要な推定療法の評価は、本発明の動物モデルにおける肝毒性に対して最初にスクリーニングを行うことができる。移植ヒト肝細胞の機能は、上述の通りに(例えば、宿主の血清に含まれるヒト血清アルブミンまたはα-1アンチトリプシンの量を評価することで)評価可能である。肝細胞の損傷は、血清に含まれる肝臓特異的な酵素(ALT-アラニンアミノトランスフェラーゼ)のアッセイ法と、肝臓中のヒト細胞に対する損傷を明らかにする組織学的評価を組み合わせることで評価することができる。手短に説明すると、肝毒性を評価するアッセイ法は、機能に着目したものでも、組織学変化に着目したものでも、またはその両方であってもよい。 【0052】 重要なある態様では、本発明の動物モデルを用いて、例えば複製により感染を阻害したり予防したりする候補薬剤、または向肝性病原体(例えば、細菌、ウイルス、寄生虫、特にHCVなどの向肝性ウイルス)によって引き起される疾患症状を同定することができる。本明細書で提供された実施例は一般に、1種の向肝性病原体を用いるキメラのネズミ科動物宿主の用途に関与するが、本発明を使用することで、1種の候補薬剤、または2種またはそれ以上の向肝性物質の感染に対する活性を有する候補薬剤のカクテルを同定することもできる。 【0053】 「候補薬剤」は、合成分子、天然分子、または組換え的に作製された分子(例えば低分子量の分子;薬物:ペプチド;抗体(抗原結合性の抗体断片、例えば受動免疫をもたらすものを含む)、または他の免疫療法薬:真核細胞または原核細胞に含まれる内因性因子(例えばポリペプチドや植物抽出物など)など)を含むことを意味する。ヒト細胞に対する毒性が低い薬剤のスクリーニングアッセイ法は特に重要である。 【0054】 候補薬剤は、数多くの化学的クラスを含むが、典型的には、有機分子、好ましくは、50ダルトンを上回り約2,500ダルトン未満の低分子量の有機化合物である。候補薬剤は、タンパク質との構造的相互作用(特に水素結合)に必要な官能基を含む場合があり、典型的には少なくとも1個のアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を含み、好ましくは少なくとも2個の化学的な官能基を含む。候補薬剤は、環状炭素または複素環構造、および/または上記の官能基の一つまたは複数が芳香族または多芳香族の構造で置換されたものを含むことがある。候補薬剤はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体、またはこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない生体分子中に見出される。 【0055】 候補薬剤は、合成化合物または天然化合物のライブラリーを含む多種多様な供給源から入手される。例えば、多種多様な有機化合物および生体分子のランダム合成および指定合成には数多くの手段(ランダムなオリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの発現を含む)を利用することができる。または、細菌、真菌、植物、動物の抽出物の状態の天然化合物ライブラリーを利用したり、容易に作製したりすることができる。これに加えて、天然ライブラリーまたは合成して作製したライブラリーおよび化合物を、従来の化学的、物理的、および生化学的な手法で容易に改変して、コンビナトリアルライブラリーの作製に用いることができる。既知の薬剤を対象に、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化などの指定化学修飾またはランダム化学修飾を行って構造類似体を作る場合がある。 【0056】 候補抗HCV薬剤のスクリーニング法 ある態様では、本発明の動物モデルを用いて、ウイルス性肝炎、より具体的にはHCV感染によって引き起された症状を改善する薬剤を同定し、および/または、より直接的には、感染ウイルスの病原性機構に影響を与える。例えば、ウイルス感染を抑制したり、ウイルスの複製を低下させたり、またはそれ以外ではウイルスの増殖サイクルを破壊したりする。一般的には、候補薬剤を本発明の動物モデルに投与し、候補薬剤が及ぼす作用を、対照に対して(例えば、未感染動物に対して、抗HCV作用が知られている薬剤(例えばIL-2α)を投与するHCV感染動物に対して等)評価する。例えば候補薬剤を本発明のHCV感染動物に投与することが可能であり、投与前の動物のウイルス量および/または対照である未投与HCV感染動物のウイルス量と投与動物のウイルス量を(例えば血清試料を対象としたRT-PCR法による測定で)比較することができる。一般に、候補薬剤投与後における感染動物でウイルス量が検出可能な低下、また有意な低下がみられれば、対象薬剤に抗ウイルス作用があることを意味する。 【0057】 候補薬剤は、所望の結果をもたらすために、任意の多くの所望の方法、および/または薬剤送達に適切な方法で投与することができる。例えば候補薬剤は、注射(例えば、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、または所望の作用を達成するための組織への直接注射)、経口投与、または他の任意の望ましい方法で投与することができる。通常、インビボにおけるスクリーニング法には、さまざまな量および濃度の候補薬剤(薬剤非投与から、動物に良好に送達されうる量の上限に至る薬剤量まで)を受ける数種の動物を対象とし、多様な剤形および経路による薬剤の送達法を含む場合がある。薬剤は単独で投与することができるほか、特に薬剤の併用投与が相乗効果を生む場合は、2種またはそれ以上の薬剤と組み合わせて投与することができる。 【0058】 候補薬剤の活性は、さまざまな方法で評価することが可能である。例えば、宿主動物を向肝性病原体(例えばHCVなど)に感染させる場合は、薬剤の作用は、血清試料中の病原体の有無(例えばウイルス量における力価)、または病原体の存在に関連するマーカー(例えば、病原体に特異的なタンパク質、またはそれをコードする核酸など)を調べることで評価可能である。ウイルス感染の有無および重症度の定量的および定性的な検出法および評価法は当技術分野で周知である。ある態様では、HCV感染に対する薬剤の活性は、血清試料および/または組織切片を対象にウイルスの有無を調べることで(例えばHCVの場合RT-PCR法などで)評価可能である。別の態様では、ウイルス感染に対する薬剤の活性は、血清試料を対象に、ウイルスの核酸(例えばHCVのRNA)の有無を調べることで評価可能である。例えばHCVのRNAは、例えば逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、競合的RT-PCR法、または分枝DNA(bDNA)アッセイ法、RT-PCR法による(-)鎖RNA(HCVの複製中間体)の検出、または、治療によって生じるウイルスゲノム上の変異/シフト(「準種進化(quasispecies evolution)」)を検出するためのウイルスRNAの配列決定により検出することができる。あるいは、または加えて、宿主の肝臓を生検対象として、またインサイチューRT-PCRハイブリダイゼーション法を行うことで、組織切片に含まれるウイルス粒子量の任意の量的変化または質的変化を直接示すことができる。あるいは、または加えて、宿主を安楽死させて、薬剤によって引き起された感染および/または毒性の徴候が肝臓にないか組織学的に調べることができる。 【0059】 同定された薬剤 所望の薬理活性を有する化合物を、生理学的に許容される担体に含まれた状態で治療目的で宿主に投与することができる。このような治療薬は、さざまなな方法で、経口的に、局所的に、非経口的に(例えば皮下、腹腔内、血管内、吸入など)投与することができる。導入方法に基づいて、化合物をさまざまな方法で製剤化することができる。製剤化したときに治療的に活性のある化合物の濃度は、約0.1〜100重量%の範囲を変動する場合がある。 【0060】 製薬用組成物は、顆粒剤、錠剤、丸剤、坐剤、カプセル剤、懸濁液、軟膏、ローションなど、さまざまな形状で調製することができる。製薬等級の無機担体または有機担体、および/または経口使用および局所使用に適した希釈剤を使用して、治療的に活性のある化合物を含む組成物とすることができる。当技術分野で周知の希釈剤には、水溶媒、植物性油脂および動物性の油および油脂などがある。安定化剤、湿潤剤および乳化剤、浸透圧を変化させる塩類、または適切なpH値を保つ緩衝液、および経皮吸収促進剤を助剤として使用することができる。 【0061】 ワクチンの開発 一部変更することで、本発明の動物モデルを用いて、候補ワクチンが、向肝性病原体による感染を予防する能力または改善する能力をもつか否かについてスクリーニングを行うこともできる。一般的に「ワクチン」は、投与されることで、標的となる病原体に対する免疫応答を宿主が開始するのを促す物質である。誘発される液性、細胞性、または液性/細胞性の免疫応答は、ワクチン開発対象の病原体による感染抑制を促進可能である。本発明では、向肝性病原体(例えば、細菌病原体、ウイルス性病原体、または寄生虫病原体、特に例えばHCVなどのウイルス性病原体)の肝内での複製および/または向肝性病原体による感染を抑制する、防御的な免疫応答を誘発する予防的ワクチンが特に重要である。受動免疫、または速やかに促進される特異的な能動免疫(例えば、抗HCV免疫グロブリンなど)の供給により防御をもたらす治療用ワクチンも重要である。 【0062】 本発明のこの態様では、免疫無防備状態のキメラ動物の免疫系は、例えば幹細胞、末梢血単核球(PBMC)、血液の索細胞、造血細胞、またはヒト免疫系を動物にもたらすヒト起源の他の適切な細胞を用いて再構成される。ヒト免疫細胞を単離する方法、および免疫無防備状態の動物(例えば、ヒト免疫系をもつマウス)の免疫系の再構成は当技術分野で周知である(例えばNature 335:256〜59;Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93(25):14720〜25を参照)。ある態様では、ヒトの免疫細胞は、キメラ肝を作製する際に使用されるヒト肝細胞として、同じドナーから得られる。ある態様では、ヒトの免疫細胞は当技術分野で周知の方法(例えば腹腔内注射)によって宿主に導入される。 【0063】 有効なワクチンのスクリーニング法は上述のスクリーニング法と類似している。手短に説明すると、候補ワクチンを、向肝性病原体の接種前にキメラ動物に投与する。候補ワクチンは通常、単回ボーラス投与(例えば、腹腔内注射、または筋肉内注射、局所投与もしくは経口投与)に続いて、1回または複数回の追加免疫を行うことで投与される。免疫応答の誘導は、当技術分野で周知の方法で、抗原に特異的なB細胞およびT細胞の応答を調べることにより評価することができる。次に、免疫化した動物に向肝性病原体を投与する。通常は数匹の免疫化動物を対象に、病原体の力価を上昇させながら投与を行う。次に、免疫化動物および免疫化していない対照動物を対象に、感染の進行について観察を行い、感染の重症度を(例えば存在する病原体の力価を評価したり、上述したようにヒト肝細胞の機能に関するパラメータを調べることで)評価する。候補ワクチン投与後に生じる病原体感染の有意な低下、および/または疾患重症度の有意な低下をもたらすワクチン候補は使用に耐えうるワクチンとみなされる。 【0064】 他の用途 上述の、または上述に加えて変形形態である本発明のキメラ動物の用途は、本明細書を読むことで当業者には容易に明らかになる。例えばキメラ動物には、向肝性薬剤を感染、好ましくは慢性的に感染させることが可能であり、単離されうる薬剤の供給源として使用することが可能である。本発明のキメラ動物のこのような用途は、例えば、病原体の単離がヒト検体の生検を必要とする場合、または有用な量の入手が困難な場合、病原体がインビトロで容易に培養できない場合、インビトロにおける病原体の培養(例えば、ブロス培養または細胞培養における成長)が病原性および/または臨床的な意義などに影響を及ぼす可能性のある病原体を変化させる場合に特に有用である。一般的には、単離された病原体を、適切な経路で(例えば静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、または経口投与)、好ましくはヒト疾患の天然の感染経路と最も良好に相関する感染経路でキメラ動物に接種する。病原体のヒト肝細胞への感染を確立した後、また、病原体を複製させるのに十分な時間が経過した後に、病原体を感染キメラ動物から適切な方法(例えば、肝臓に由来する血液試料の単離など)で単離する。 【0065】 肝疾患の診断 キメラ動物はまた、ヒトの肝疾患の診断の一貫として使用することもできる。例えば原因不明の肝疾患患者の場合、または病原体を培養することなく下した診断が確定的でない場合、原因物質を含むことが疑われる試料を、患者から(例えば、患者の血液または肝生検から)単離する場合がある。試料は、疑われる物質について濃縮し、分画し、またそうでない場合は処理して投与可能な状態として提供し、キメラ動物に投与することができる。次にキメラ動物は、試料の投与が、移植されたヒト肝細胞に及ぼす作用を調べるために評価される場合がある。ヒト肝細胞に及ぼす作用は、例えばキメラ動物の血清試料を単離、調査する(例えば移植されたヒト肝細胞の機能を調べることで、および/または、動物の血清に含まれる病原体を検出することで、例えばHCVまたは他の微生物病原体の存在を検出する)ことによって達成することができる。ヒト肝細胞を組織学的に調べて、患者試料の作用を決定することもできる。 【0066】 患者試料を用いたスクリーニング法 本発明を適応させて、個々の患者に基づく診断法および理論的な治療法を提供することもできる。例えば、患者の生検(例えば経皮針生検)で得られたヒト肝細胞を用いてキメラのネズミ科動物宿主を作製することができる。次にこのキメラのネズミ科動物宿主を用いて、患者に感染する向肝性病原体を評価し、治療薬に対する病原体の感受性を調べ、また治療に対する患者の肝細胞の潜在的な毒性を明らかにすることができる。したがって本発明は、個々の特異的な向肝性病原体の相補物に対して(例えば、1種または複数の感染性の向肝性病原体に対して)最も有効な治療法の目的に合わせることを促すように設計することができる。 【0067】 血中脂質を低下させる薬剤のスクリーニング法 本発明は、ヒトのアテローム硬化性血管疾患(心血管疾患を含む)の治療法を評価する系として適応させることもできる。アテローム動脈硬化は、西洋社会で心臓病と脳卒中の主要因であり、カナダでは死亡率のほぼ半分を占めるに至っている(Ross (1993) Nature 362:801〜809)。高量の低密度リポタンパク質(LDL)とアテローム動脈硬化との正の相関が明らかにされてから数十年が経過している(Brownら、Ann. Rev. Biochem. 52:223〜261 (1983))。LDLは、ヒドラーゼ、ならびにリポタンパク質内における脂質およびアポタンパク質の転移がかかわる一連の複雑な反応ために、循環系において超低密度リポタンパク質(VLDL)に由来する(Fieldingら、(1996)「脂質、リポタンパク質、および膜の生化学(Biochemistry of Lipids、Lipoproteins and Membranes)」、(D.E. VanceおよびJ.E. Vance編)、495〜516ページ、Elsevier Science Publishers、アムステルダム)。VLDLは複雑な分泌経路を介して血流中に分泌される(Gibbons、Biochem. J.、268:1〜13 (1990);Dixonら、J. Lipid Res. 34:185〜1 (1993);Snidermanら、Arterioscler. Thromb. 13:629〜636 (1993);Yaoら、Biochim. Biophys. Acta. 1212:152〜166 (1994);Davisら、(1996)「脂質、リポタンパク質、および膜の生化学(Biochemistry of Lipids, Lipoproteins and Membranes)」(D.E. VanceおよびJ.E. Vance編)、473〜493ページ、Elsevier、アムステルダム;Innerarityら、J. Biol. Chem. 271:2353〜2356 (1996))。 【0068】 アポリポタンパク質(apo)Bは、VLDLの主要アポタンパク質であり、LDLの唯一のアポタンパク質である。血漿中の高濃度のapoBと心血管疾患のリスクとの間に関係があることが報告されている(Snidermanら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:604〜608 (1980))。冠動脈疾患の改善は、脂質低下薬を用いた積極的な投与を受けた男性で認められ、血漿apoBの低下をも生じた(Brownら、N. Engl. J. Med. 323:1289〜98 (1990))。したがって、肝臓からのapoBの分泌、血漿中のapoBを含むリポタンパク質の周囲濃度、およびアテローム動脈硬化の発症率との間には正の相関がある。apoBは大きな糖タンパク質であり、脂質の集合および分泌に極めて重要であり、食餌性および内因性の両方の起源のトリグリセリドおよびコレステロールを含む。またapoBは、特定のクラスのリポタンパク質の血管内輸送、ならびに受容体を介した取り込みおよび送達に重要な役割を果たす。したがってapoBの重要性は、食餌性脂質の吸収および処理から循環性リポタンパク質量の調節に至るまで多様な機能に及ぶ。後者の性質により、アテローム動脈硬化の感受性に関してその重要性が明示される。 【0069】 哺乳類には2つの型のapoBがある。ApoB100は4536個のアミノ酸残基を含む完全長のタンパク質で、ヒトの肝臓で合成されるのはこの型のみである(Young、Circulation 82:1574〜1594 (1990))。ApoB100は、LDLを構成する主要タンパク質であり、このリポタンパク質種とLDL受容体との相互作用に必要なドメインを含む(Young、1990、前掲)。またApoB100はapo(a)との共有結合性の相互作用を介する、対を形成しないシステイン残基を4326位にもつので、Lp(a)と呼ばれる別の異なるアテローム誘発性リポタンパク質を生じる(Callowら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:2130〜2134 (1994);McCormickら、J. Biol. Chem. 271:28294〜28299 (1996))。あらゆる哺乳類の小腸、ならびに一部の種の肝臓ではapoB48が合成される。ヒトのapoB48は、カイロミクロンおよびカイロミクロンレムナントと結合した状態で循環しており、これらの粒子はapoEの内容物のために、LDL受容体関連タンパク質と呼ばれる特定の受容体によって除去される(Herzら、Curr. Opin. Lipidol 6:97〜103 (1995))。 【0070】 ヒトでは、現在得られている証拠から、アテローム動脈硬化に対する感受性は、複数の経路で遺伝子群に影響を及ぼす複数の変異の好ましくない組み合わせのために極めて高いことが明らかにされているが、どの遺伝子が関与するかについての知見は限られている(Ross、1993、前掲)。遺伝子を導入したり、または変異を導入したりすることができるために、マウスはアテローム動脈硬化研究の最も一般的な実験動物モデルとなっている。野生型のマウスに固形飼料を与えてもアテローム動脈硬化は発症しない。マウスでアテローム動脈硬化を生じる3つの経路は以下の通りである:食餌性誘発性(Paigenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3763〜3767 (1987))、apoE欠損誘導性(Piedrahitaら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89:4471〜4475 (1992);Plumpら、Cell 71:343〜353 (1992);Zhangら、Science 258:468〜471 (1992))、およびLDL 受容体欠損誘導性(Ishibashiら、J. Clin. Invest. 92:883〜893 (1993))。したがって、リポタンパク質代謝にかかわるヒト遺伝子を発現するネズミ科動物のトランスジェニックモデルは、正常および病原性のヒト血清脂質プロファイルの両方の範囲がシミュレート可能な小型哺乳類モデルとしてますます広く用いられており、また場合によってはアテローム動脈硬化病変を形成することが明らかにされている。例えばapoEを欠くマウスにみられるアテローム動脈硬化病変は詳細に調べられており、好発部位および線維増殖相に進む点がヒトの病変と似ていることが知られている。このようなアテローム動脈硬化のマウスモデルを用いて、アテローム動脈硬化の感受性を修飾する遺伝子の同定が行われており、また抗アテローム硬化療法の開発が行われている。 【0071】 本発明の動物モデルも高脂質血症およびアテローム動脈硬化の動物モデルとなり、また、このような疾患のリスクを低下させる活性(例えば予防的治療に有用)、またはこのような疾患を治療する活性(例えば血中脂質の低下による)を有する候補薬剤の同定に使用することができる。本発明のキメラのトランスジェニック動物モデルに由来する血清を調べることで、ヒトのリポタンパク質apoB100が存在することが判明した。この分子は、ヒトのアテローム硬化性血管疾患の発症における重要な病原因子であることがわかっているので、apoB100値に(量的または質的のいずれかに)影響を及ぼす薬剤のスクリーニングを行うことで、血中脂質値を調節可能な薬剤を同定することが可能となり、ヒト疾患の治療法の開発につながる可能性がある。このようなスクリーニングアッセイ法の正の対照はヒトの血清であり、負の対照は移植を行っていないホモ接合のAlb/uPAマウスの血清である。 【0072】 apoB100の検出法は当技術分野で周知である。一般的には、このアッセイ法では、動物由来の生物試料(例えば血液、血清、血漿など)を、apoB100に特異的に結合する抗体と接触させることで抗体-apoB100複合体の形成を検出する。抗体-apoB100複合体はさまざまな方法(例えばウェスタンブロット、ドットブロット、RIAなど)で検出可能である。 【0073】 実施例 下記の実施例は、当業者に、本発明の製造および使用の方法の完全な開示および説明を提供するために提示しているが、本発明者が自身の発明とみなす範囲を限定することを意図するものではなく、下記の実施例が全てまたは実行された実験のみを表すことを意図しているものでもない。使用した数値(例えば、量、温度など)に関しては、正確さを確実にするために努力を払っているが、ある程度の実験誤差および偏差は考慮されるべきである。特に記さない限りは、部は質量部であり、分子量は質量平均分子量であり、温度は摂氏であり、かつ圧力は大気圧またはその近傍である。 【0074】 実施例1:Alb-uPAトランスジェニックマウスの作出 ヒト組織移植片に対し寛容性があるAlb-uPAトランスジェニックマウスを作出するために、導入遺伝子に関するマウスのヘテロ接合体(TgN(AlblPlau)144Bri系(The Jackson Laboratory社))を、C.b-17/SCID-beige系(C.b-17/GbmsTac-scid-bgN7系(Taconic Farms社)、ホモ接合体)動物と交配した。一連の戻し交配を通じて、当技術分野において周知の方法に従いマウスIgGを検出するためにサンドイッチELISA法を用い、総血清IgGの定量により確認されるような、SCID-beige形質を、ホモ接合状態で繁殖した。IgGの定量は、マウスIgG標準(Cappel社)を用い各プレートについて作成した標準曲線から算出した。SCID-beige形質の「漏出(leakiness)」は、正常血清IgGの>1%と定義し(Bosmaら、Ann. Rev. Immun.、9:323(1991))、このカットオフ値を上回る血清IgGレベルを有する動物は安楽死させた。各工程において、Alb-uPA導入遺伝子を保持する動物は、導入遺伝子構築物の3' UTR由来の151bp産物を増幅する2種の18-merプライマーを使用する、尾部生検標本から抽出したゲノムDNAのPCR分析により同定した(Jackson Laboratorie社技術サポート)。ホモ接合Alb/uPA形質はこれまでに、出血性合併症および肝不全に随伴する高い周産期死亡率と関連づけられてきたが(Heckelら、Cell、62:447(1990))、本発明者らは、自分たちのscid/bg/Alb-uPA動物コロニーにおいて、新生児死亡率が約30%であることを発見した。この動物を提供するコロニーは、最初にヘテロ接合体繁殖業者により開発され、ホモ接合マウスにおいて中程度の新生児死亡率を伴うが、このコロニーにより、完全なホモ接合体が導き出された。動物を、ウイルス/抗原を含まない条件下で飼育し、カナダ動物管理評議会(Canadian Council on Animal Care)により制定された指針(1993)に従い飼育した。本明細書に記された全ての動物実験は、アルバータ大学動物の福祉に関する委員会(University of Alberta Animal Welfare Conunittee)の承認の下で行われた。 【0075】 移植のためのヒト肝細胞は、アルバータ大学医学部倫理委員会(University of Alberta Faculty of Medicine Research Ethics Board)の承認の下で入手した。開腹手術時に入手したヒト肝臓組織断片(15〜20cm3)を、0.5mM Na2EDTAを含有する氷冷したCa/Mg-非含有PBSで灌流した。突起付き(prominent)灌流容器を、カニューレ挿管し、かつ組織を、0.38mg/mLリベラーゼ(Liberase)CIコラゲナーゼ(Boeringer-Mannheim社)を含有する再循環している担体溶液(35mM NaCl、3.5mM KCl、2.5mM CaCl2、50mM HEPES、pH7.6)により30分間灌流した(Ryanら、Surgery、113:48(1993);Seglenら、Meth. Cell Biol.、13:29(1976))。肝細胞は、100μmステンレス鋼メッシュを通して濾過し、400gで5分間の密度勾配遠心分離(パーコール(Percoll)、密度1.04g/mL;Sigma社)により精製し、氷冷したHBSSで2回洗浄し、その後、移植前に短期間貯蔵するために0℃のベルザー-ウイスコンシン大学(Belzer-University of Wisconsin)溶液(DuPont社)中に懸濁した。細胞数および生存率は、移植前にトリパンブルー色素排除により確認し、最終生存率は通常>80%であった。 【0076】 最初の実験において、SCID形質についてホモ接合動物とAlb-uPA導入遺伝子についてヘテロ接合動物を交配し、7日齢の後代に、1 x 106個の新たに単離した生存能のあるヒト肝細胞を移植した。移植は、脾内注入により行った。脾内注入した肝細胞は、門脈系を介して肝臓へ迅速に移行し、肝実質を取り囲んでいる末端門脈へ生着する(Ponderら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、88:1217(1991);Guptaら、Transplantation、50:472(1990))。脾内注入に関連した死亡率は最低であるので、脾臓を、移植の最適部位として選択した。従って、後代(5〜17日齢)を、ハロタン/O2で麻酔し、左側腹部を小切開した。手術のための拡大操作下で、1x106個の生存能のある肝細胞を、27gバタフライ注入セット(butterfly injection set)(BectonDickinson社)により、脾下端へと注入し、血流途絶のために、1個の滅菌チタンクリップを、注入部位を横断するように配置した。この脾臓を腹部に戻し、かつ側腹部切開を2層で閉鎖した。 【0077】 アルブミン生成は、肝細胞の他には見られない特性であるので(Clementら、Hepatology、4:373(1984);Gunsalasら、Nature Medicine、3:48(1997))、選択的免疫沈降法およびウェスタンブロット法による血清試料中のヒトアルブミン(HA)の検出を、移植細胞機能の指標として用いた。レシピエントマウスは、初めは移植後4週目に頸静脈穿刺により試料を採取し、その後は週1回の間隔で、試料採取した。マウス血清アリコート(20μl)を、抗ヒトアルブミンモノクローナル抗体(Clone HSA-9;Sigma社)と共にインキュベーションし、抗原-抗体複合体を、プロテインG-アガロース(Boehringer-Mannheim社)により沈降した。免疫沈降物を、0.2Mジチオスレイトールを含有するSDS緩衝液中で98℃で5分間加熱し、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離し、ニトロセルロースに転写した。ウェスタンブロットは、標準的な方法(Coliganら、Current Protocols in Immunology、(Wiley、ニューヨーク、1997)、第2巻、第8.10.7章)で、一次抗体としてのビオチンに結合した二次抗ヒトアルブミンモノクローナル抗体(Clone HSA-11;Sigma社)を用いて実施した。ストレプトアビジンHRP複合体(Pierce社)を二次抗体として使用し、化学発光試薬(Pierce社)をシグナル検出のために使用した。 【0078】 強いHAシグナルが、4/7の移植した同腹子の血清中で明らかになり、これは有意数の機能性ヒト肝細胞の存在を示し;その後の遺伝子型分析により、全てのHA陽性動物がAlb-uPA導入遺伝子を有するのに対し、全てのHA陰性動物が該導入遺伝子についても陰性であることが明らかとなった。はっきりとしたHAバンドを、移植後2週目で早期に検出し、強度は4〜6週目にかけて増大し、これは一次細胞移植片の活発な増殖を示唆している(図1)。これらの知見により、Alb-uPA肝内の微小環境は、ヒト肝細胞の迅速な増殖開始を刺激するのに十分であること、および長期のヒト移植片の確立を支援する可能性があることが示された。 【0079】 増殖を確認し、ヒト由来の細胞とのネズミ科動物の実質の交換の程度を概算するために、ホルマリン固定し、パラフィン包埋したレシピエント肝の切片を、移植後様々な時点で得て、ヒト肝細胞に特異的なモノクローナル抗体により免疫染色した。マウス肝の断片を、10%ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した。厚さ5μの切片を、常法によりヘマトキシリン・エオシン(H&E)で染色した。選択した切片を、内因性アビジン/ビオチンブロックキット(Zymed Laboratories社)により処理し、モノクローナル抗ヒト肝細胞抗体(DAKO, 1:20希釈)により免疫染色し、結合した抗体を、スーパーセンシティブ-イムノディテクションシステム(Super Sensitive Immunodetection System)(BioGenex社)を用いて検出した。 【0080】 これらの結果を図2A〜図2Fに示した。導入遺伝子を保有する動物において、移植2週目に、抗ヒト肝細胞抗体で陽性染色している細胞塊(暗色に染まった細胞)が、宿主肝全体に均一に散在しており、全ての肝細胞の推定2〜3%を含んでいた。4週目に、陽性染色細胞の割合は増大し、これは個々の切片の総表面積の20〜60%を覆っていた。ヒト細胞およびマウス細胞の境界は明確であり、ヒト細胞索は、周囲のマウス実質に広がっている。個々のヒト細胞は、正常な外観を維持し、かつ洞様毛細血管構造を明らかにしたが、門脈三分岐構造は、再生結節には明白には存在しなかった。ヒト由来の結節は個々の肝細胞のクローン性拡張の結果である(Sandgrenら、Cell、68:245(1991))ため、この後者の観察は予想外であった。これらの結節は、胆管細胞または上皮前駆細胞を含まず、このような構造は、宿主由来であり、その結果、増殖するヒト組織の周囲に辺縁化する。 【0081】 ヒト肝細胞移植片機能の分析 2種の異なる血清を基にしたアッセイ法を用い、本発明者らのキメラマウスにおいて、ヒト肝細胞移植片を評価した。第一のアッセイ法は、ヒト血清アルブミンを測定するドットブロットアッセイ法であり;第二のアッセイ法は、ヒトα-1アンチトリプシン(hAAT)を測定するELISAアッセイ法である。同マウスを、移植後6週目および12週目にアッセイした。 【0082】 ドットブロットアッセイ法は、試料2μlまたは標準品を還元緩衝液40μlで希釈し、100℃で5分間加熱して行った(標準品=ブランクマウス血清中の既知量のヒトアルブミン)。溶液容量2μlを、ニトロセルロース膜上にブロットし、15分間乾燥させた。この膜を、ウェスタン転写溶液中に10分間浸し、その後3%TBSTで1時間ブロッキングした。この膜を洗浄し、モノクローナル抗体を、還元したヒトアルブミンに1:5000で2時間適用した。洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼ-ストレプトアビジンを1:10000で1時間適用し、引き続き、洗浄およびECL-PLUS化学発光液による現像を行った。次にこの膜を、ホスホイメージャー(phosphoimager)を用いて読み取った。標準品を用い、標準曲線をプロットし、この曲線を用いて、試料値を算出した。 【0083】 ELISAを、プレートをポリクローナルヤギ抗hAAT抗体の1:1000で一晩被覆し、洗浄し、その後、TBST/ミルク緩衝液で一晩ブロッキングした。洗浄後、ミルク緩衝液中に適宜希釈した標準品および試料を塗布し、室温で2時間インキュベーションした。洗浄後、HRPに結合した二次抗体1:300(ミルク緩衝液中に希釈)を塗布し、室温で2時間インキュベーションした。洗浄後、TBMD基質を添加し、5分間後に、1M H2S04を添加することにより反応を停止した。このプレートを450nmで測定した。標準品を用い、標準曲線をプロットし、この曲線を用いて、試料値を算出した。 【0084】 下記の表は、各アッセイ法において得られた結果を示す。 [表]
ホモ(HOMO)は、動物が導入遺伝子についてホモ接合体であることを意味する;ヘテロ(HETERO)は、動物が導入遺伝子についてヘテロ接合体であることを意味する。両アッセイ法では、概して傾向が同じであることが示され、uPA導入遺伝子について、ホモ接合体において、ヘテロ接合体と比べてより高いヒト由来のタンパク質の産生が示される。 【0085】 結論 本実施例は、免疫無防備状態のscid/bg/Alb-uPAマウスへのヒト肝細胞の移植が成功したことを明らかにするものである。 【0086】 実施例2:生着したヒト肝細胞の持続および増殖 最初に成功した生着および増殖の長期にわたる結果を決定するために、8匹の動物の第二同腹子を同様の様式で移植した。この実験時点で利用可能な肝細胞は、B型肝炎ウイルスの慢性キャリヤである患者から入手した。この患者は、陽性血清HBsAgレベルおよび陰性血清HBV DNAの両方を示し、従って、活発なウイルス複製を伴わない慢性キャリヤ状態を示す(Davis、South. Med. J.、90:866(1997))。 【0087】 2匹の無作為に選択した動物を、組織学的分析のために4週目に屠殺し、残りの6匹の動物について、これを毎週履行した。血清試料に、前述のウェスタンブロットを行い、ウェスタンブロットから得たHAバンドを、画像解析ソフトウェアおよびバンドデンシトメトリー(Umax Astra 1200SスキャナーおよびVistaScan DA v.1.2.2画像化ソフトウェア(UMAX社、フレモント、CA))を用いて定量した。HAピークの定量は、NIHイメージ(Image)1.60/fatソフトウェア(米国国立衛生研究所(NIH))を用いて行い、各ブロットに存在する50ng HA標準品に対して正規化した。 【0088】 再度、最初の移植片増殖が、該導入遺伝子を保持する4匹の動物においてのみ認められた。これらの動物において、HAシグナルはほぼ最大で8週目まで残存し、この時点で移植片機能の2つの識別可能なパターンが明らかになった(図3;マウス3、白四角;マウス4、黒三角;マウス5、白丸;マウス6、黒丸)。 【0089】 3匹の動物において、移植片機能は次第に減衰し始め、10週、15週、または16週にHAシグナルは消滅した。対照的に、第四のトランスジェニック動物(マウス番号6)は、全ての測定した時点で、最大HA産生を示し(図3および図4)、これはヒト肝細胞の安定した生着を示している。該導入遺伝子を有する動物の約25%において、持続された移植片機能が繰り返し生じた。移植された肝細胞に関する増殖シグナルは、おそらく該導入遺伝子の全体の発現に応じて決まり、宿主由来の肝細胞は自然発生的に該導入遺伝子を欠損するので、これは低下される。 【0090】 この移植されたマウスは、HBV感染した移植細胞のHBV感染を支援したかどうかを評価するために、全ての移植したマウスからの血清試料を、サンドイッチELISA法により、B型肝炎表面抗原(HBsAg)産生についてスクリーニングした。血清アリコート(20μl)を、サンドイッチELISAキット(Heprofile HbsAg;ADI Diagnostics社)を用い、ダイナテック(Dynatech)MRXマイクロプレート分光光度計(Dynex社)を用いて行ったプレート分析により、HBsAgの存在について試験した。アッセイ法には、陽性および陰性の両ヒト血清対照に加え、陰性のネズミ科動物血清対照を含んだ。 【0091】 結果を表1にまとめた。陰性のヒトおよびマウス血清対照は、吸光度単位0.04〜0.05の範囲であり;陽性ヒト対照は、吸光度単位0.30〜0.40の範囲であった。 【0092】 [表1] HBV-感染したヒト肝細胞のマウスへの移植後のB型肝炎感染の血清マーカーの分析
識別符号:HA−ヒトアルブミン;ND−実施せず;*吸光度単位で表されたHBsAgレベル †PCR分析によるHBV DNA陽性試料 【0093】 予想されたように、対照(Alb-uPA陰性、番号1〜2)マウスは、検出不可能なHBsAgレベルを有し、一過性の移植片機能を有する3匹のトランスジェニック動物は、6〜12週の間に、散発的な最低の増加のみを示した。しかし、持続した移植片機能のパターンを有するトランスジェニックマウス(マウス番号6)は、測定した全ての時点において明確に上昇したレベルを示し、8週目以降に突然の増加を示し、これは能動的に感染したヒト対照におけるHBsAgレベルの範囲内で良く維持された。この突然の増加は、活発なウイルス複製の回復を示唆していた。 【0094】 この動物から採取した血清試料の活発な複製を確認するために、8週、10週、12週、および16週目にHBV DNAの存在についてPCRにより分析した。マウス血清12.5μlから単離したDNAに、HBV特異的プライマーおよび先に説明した増幅条件を用いるPCRを施した(Tipplesら、Hepatology、24:714(1996))。全ての分析は盲検法で行った。4種の血清試料全てが、ウイルスDNAの存在について強い陽性を示した(データは示さず)。この結果は、該ウイルスが、そのヒトドナー内では活発に複製されることはないにもかかわらず、免疫不全のネズミ科動物の宿主においては活性化されている点が特に興味深い。この活性化は、不適切な抗ウイルス免疫の結果であり、臓器移植後に免疫抑制剤を投与された慢性HBVキャリヤにおいて認められるものと類似している(Terraultら、Gut、40:568(1997))。 【0095】 従って本実施例により、キメラトランスジェニックマウスに移植されたヒト肝細胞が、HBVウイルスの複製を支援可能であることが示された。 【0096】 実施例3:一次HCV感染の確立 キメラマウスにおけるHBV複製を支持するキメラ動物の作出における前述の成功は、HBVモデルとしての該動物の用途を裏付けている。しかし、先に論じた(背景)HBVとHCVの間の大きな差異は、動物モデルが通常の感染経路(例えば、経静脈伝播)を通じHCV感染に対し易感染性であること、または特にHCV動物モデルおよびHCVの珍しい細胞系の開発のための他者の失敗を考慮し、キメラ肝が活動的HCV感染を支持することについては、理にかなった予想はできないことを意味している。HBV動物モデルによるかなりの成功およびHCV動物モデルによる他者の失敗の繰り返しは、HBVからHCVへ単純に外挿することができないことを示している。従って、ウイルスに感染したヒト血清を用い、キメラ肝を有するマウスにおける一次HCV感染の確立を試みた。 【0097】 7日齢の7匹の同腹子に、HCVおよびHBV感染の両方について血清学的に陰性の患者から単離したヒト肝細胞を移植した。移植後6週目に最初の移植片機能を5/7の動物において確認した後、全てのマウスに、無関係のHCV陽性ドナーから得たヒト血清0.25mLを経静脈的に接種した。このヒト血清ドナーのHCV陽性状態は、PCRにより、HCV RNAについて陽性であることを確認し、ウイルス力価は血清1mlにつき1x107コピーであった。従って、各マウスには、約2.5x106ウイルス粒子を接種した。7匹全てのマウスから移植後11週、12週、および13週目に(感染後5、6および7週目)採取した血清試料を、HGV RNAの存在について、コバス-アンプリコア(Cobas Amplicor)システム(Roche Diagnostics社)を用いるRT-PCR分析により、製造業者の指示に従って分析した。2匹の移植していないマウスを、疑似感染対照として利用した。 【0098】 良好な最初の生着を有する5匹の動物のうちの4匹は、一過性の移植片機能のパターンを示し、再度1匹の動物が、全ての測定した時点で、最大強度のHAレベルを示した。持続性の血清中ヒトアルブミンレベルの維持により反映される、持続したヒトキメラ化(chimerism)を有する動物から採取した3種の試料全てが、HCV RNAについて強い陽性を示し、36週まで毎週間隔で永続的に陽性であった。RT-PCR分析は、Alb-uPA導入遺伝子について陰性の動物または該導入遺伝子のHAマーカーを一過性に発現するのみの動物について、一様に陰性であった。6匹の動物はHCV RNAについて陰性であったため、7匹目の動物における陽性RT-PCRシグナルが接種からの残存ウイルスを起源とする可能性は少ないと思われる。本実施例は、この動物が開発され、移植後23週目および感染後20週目に、1.2x105〜1.8x105ビリオン/ml血清で、活動性のHCV感染を伝播しているという結論を裏付けるものである。 【0099】 この一連の実験は、SCID-beige/Alb-uPAトランスジェニックマウスの、ヒト肝細胞の移植後に、長期間および恐らく無期限に、キメラヒト肝を作出し、かつ維持する能力を確立している。これらのキメラ臓器は、HCV陽性ヒト血清により新規に感染することができ、ヒトにおける臨床レベルと同等と見なすことができるようなレベルのヒト特異性向肝性(hepatotrophic)ウイルスの長期(例えば、数日間ではなく、数週間または数ヶ月間)複製を支援することができる。HCVウイルス粒子は、血清、血液、または他の血液由来の画分において、標準技術により検出することができ、この技術は、より迅速なスクリーニングを促進するために自動化することができる。例えば、HCV感染宿主由来の試料は、感染していないことが既知である血清で希釈し(例えば、約2〜4倍希釈)、自動化装置における使用に適した試料容量を提供し、および無作為なヒト試料と識別不能なアッセイ法におけるシグナル強度を提供することができる。 【0100】 本発明のモデルにおけるHCVの長期複製(例えば、約4週よりもより長い期間、一般には約12週よりも長い、例えば約3ヶ月〜6ヶ月またはそれ以上)は、延長された期間にわたる薬物試験におけるこのモデルの使用を可能にし、この期間は適当な薬物の開発にとって必要である。例えば、抗HCV療法であるインターフェロン-α(特にインターフェロン-α2b)投与による作用は、一般に療法の約12週間後にのみヒトにおいて検出可能となる。数日または数週間のみウイルス複製を維持しおよび/または一貫しないウイルス産生を示すような動物モデルにおいて、ウイルス力価の変化が、候補治療薬に起因するか、もしくは動物モデルに本来備わっている力価の通常の変動に起因するかを決定することは、困難もしくは不可能であると思われる。本発明は、この問題点を避けるようなモデルを提供する。 【0101】 要約すると、本発明者らの知る限り、これは、通常の感染経路によるHCV感染に易感染性である霊長類以外の動物モデルの最初の報告である。このモデルは、臨床に関連しており(例えば、通常の感染経路により感染することができ、かつヒトにおいて観察されるものに類似した持続性のHCV感染を支持している)、規則的かつ信頼できるように相当数作成することができ、調査者がインビボにおけるウイルス複製を阻害する方法を直接探索することを可能にすると思われる。 【0102】 実施例4:Alb-uPAマウスのHCV感染 本実施例において、本発明の動物モデルはHCV複製を支持することができることを明らかにするために、前記作業を更に拡大した。 【0103】 方法および材料 下記の方法および材料を、本実施例において使用した。 【0104】 scid/Alb-uPA株の開発 動物を、ウイルス/抗原非含有条件において飼育し、カナダ動物管理評議会(CCAC)により制定された指針(1993)に従い管理した。動物実験は、アルバータ大学動物の福祉に関する委員会(UAAWC)により承認を受けた。 【0105】 ヘミ接合Alb-uPAマウス(TgN(AlblPlau)144Bri系、The Jackson Laboratory社)を、ホモ接合scid-bgマウス(C.b-17/GbmsTac-scid-bgN7系、Taconic Farms社)と交配し、Alb-uPA導入遺伝子を有する後代を、尾部生検標本から抽出したゲノムDNAのPCR分析により同定した(Jackson Laboratorie社技術サポート)。戻し交配により、scid形質をホモ接合状態で繁殖し、これをサンドイッチELISAを用いて総血清IgGの定量により確認した。>1%の正常血清IgGを有する動物は安楽死させた。 【0106】 ヒト肝細胞の単離および精製 ヒト組織の使用に関する倫理的承認を、アルバータ大学医学部倫理委員会(UAFMREB)から得て、インフォームドコンセントを、肝細胞ドナー全員から入手した。ヒト肝臓組織のセグメント(15〜20cm3)を、通常は病理試験後には廃棄されるような肝切除標本の領域から入手した。この手術の大部分は、肝内悪性疾患のために行われた。 【0107】 切除標本を急冷後、肝細胞を単離し、コラゲナーゼ灌流液中の0.38mg/mL リベラーゼCI(Boehringer-Mannheim社)を用いる、標準的な2工程のコラゲナーゼを基にした灌流法(Seglen、Methods Cell Biol.、13:29-83(1976);Ryanら、Surgery、113:48-54(1993))により精製した。精製後、移植前の短期間貯蔵のために、細胞を洗浄し、ベルザー-UW溶液(DuPont社)中に0℃で懸濁した。細胞数および生存率は、血球計およびトリパンブルー色素排除法により確認した。最終生存率は通常>80%であった。 【0108】 ヒト肝細胞の移植 レシピエント(5〜14日齢)に、ハロタン/O2で麻酔し、左側腹部を小切開した。手術のための拡大操作下で、1x106個の生存肝細胞を27gバタフライ注入セット(Abbott社)により脾下端へ注入し、血流途絶のために、1個の滅菌チタンクリップを注入部位を横断するように配置した。この脾臓を腹部に戻し、かつ側腹部切開を2層で閉鎖した。 【0109】 免疫沈降およびウェスタンブロットによるマウス血清中のHAの検出 マウス血清(20μl)を、モノクローナル抗HA抗体(Clone HSA-9、Sigma社)およびプロテインG-アガロースビーズ(Boehringer-Mannheim社)により収集した抗原-抗体複合体と共にインキュベーションした。還元条件下で、免疫沈降物を、SDS-PAGEにより分離し、かつニトロセルロースに転写した。ウェスタンブロットを、ビオチン化したモノクローナル抗HA抗体(Clone HSA-11、Sigma社)を用いて調製し、シグナル検出のためにストレプトアビジン-HRP複合体および化学発光基質(Pierce社)を用いた。 【0110】 Alb-uPA導入遺伝子の接合状態の決定 マウスDNA(3μg)をPvuIIで消化し、0.7%アガロースゲル上でサイズ分画し、Hybond-N+膜(Amersham Life Science社)に転写し、uPA遺伝子の最終イントロン(7312位から7920位、GenBankアクセッション番号M17922)由来の[32P]標識プローブにハイブリダイズした。2.88kbのバンドは、uPA導入遺伝子(T)に由来し、2.53kbのバンドは、内因性uPA遺伝子(E)に由来した。ハイブリダイゼーションは、フジ(Fuji)ホスホイメージャーおよびイメージゲージ(Image Gauge)ソフトウェアにより定量した。 【0111】 免疫組織化学 マウス肝生検標本を、10%ホルマリンで固定し、パラフィン包埋した。厚さ5μの切片を、常法によりヘマトキシリン・エオシン(H&E)で染色した。選択した切片を、内因性アビジン/ビオチンブロッキングキット(Zymed Laboratories社)により処理し、モノクローナル抗ヒト肝細胞抗体(DAKO、1:20希釈)で染色し;結合した抗体を、スーパーセンシティブ-イムノディテクションシステム(BioGenex社)を用いて検出した。 【0112】 HA産生定量のためのタンパク質ドット-ブロットアッセイ法 マウス血清試料(2μl)を、還元緩衝液40μl中で100℃で5分間インキュベーションし、2μlアリコートを、ニトロセルロース上に3つ組でブロットした。乾燥した膜を、転写緩衝液中に浸し、3%PBS-Tweenでブロッキングし、ウェスタンブロットとして調製した。化学発光を、STORMホスホイメージャーを用いて各ブロットについて調製した標準曲線から定量した。 【0113】 マウス血清中の陽性鎖HCV RNAの定量分析 定量HCV分析を、Alberta Provincial Laboratory of Public Health社(エドモントン、アルバータ、カナダ)、またはCanadian Center for Disease Control社(ウィニペグ、マニトバ、カナダ)により、盲検法で行った。血清試料についての分析は、コバス-アンプリコアHCVモニターシステム(Roche Diagnostics社)を、製造業者の指示に従って行った。 【0114】 熱安定性rTth逆転写酵素RNA PCRによる陰性鎖HCV RNAの検出 総RNAを、マウス肝生検標本、または感染したヒト血清から、TRIZOL(Gibco BRL社)を用いて単離した。RT-PCRは、熱安定性rTth逆転写酵素RNA PCRキット(Perkin Elmer社)を、製造業者の指示に従って行った。逆転写14について、陽性鎖RNAをアンチセンス
プライマーにより、および陰性鎖をセンス
プライマーにより検出した。鎖特異的cDNAを、他のプライマーの添加により増幅し、5'非コード領域(NCR)の240塩基対(bp)領域を標的化し、95℃で30秒、66℃で45秒、および70℃で90秒を35サイクル、その後、70℃で5分間処理した。反応産物を、2%アガロースゲルに負荷し、Hybond-N+ナイロン膜(Amersham Pharmacia Biotech社)に転写し、HCV 5' NCRを、α-32P標識DNAプローブと42℃で一晩ハイブリダイズした。 【0115】 RNaseプロテクションアッセイ法による陰性鎖HCV RNAの検出 総RNAを、マウス肝からトリゾル(Trizol)試薬(GIBCO/BRL社)を用い、およびHCVを感染したヒト血清からQIAamp Viral RNAミニキット(Qiagen社)を用いて、各々製造業者のプロトコールに従い単離した。抽出したRNAは、32Pで標識し、ゲル精製したアンチセンスリボプローブ((+)鎖の検出)、センスリボプローブ((-)鎖の検出)、および/またはβ-アクチンアンチセンスリボプローブによりプロービングした。 【0116】 プラスミド構築物 3種のプラスミド構築物を、切断されたHCV RNAのインビトロ転写のために個別に調製した。HCVPfix/KS+は、HCVセリンプロテイナーゼの発現試験のために本発明者らの実験室において初めて開発された構築物である。HCV感染患者から得た新鮮な血清から調製した(Chomczynskiら、Anal Biochem、162:156-159(1987))総RNAは、95℃で5分間変性した。cDNA合成は、AMVスーパー逆転写酵素(Molecular Genetic Resources社)を反応容量20μlで42℃にて90分間行った。使用したアンチセンスオリゴヌクレオチドプライマーは、
(3'プライマー)であった。PCRは、総容量100μlで行い、かつ最終cDNA反応混合液2μlは、20mM Tris-HCl(pH8.4)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200μMの各デオキシリボヌクレオシド三リン酸、0.5μMの3'プライマーおよび5'プライマー
、および2.5U Taq DNAポリメラーゼ(GIBCO/BRL社)を含んだ。エンテロキナーゼ切断部位を追加した5'プライマー、および全623bp断片を、pBluescript KS+(Stratagene社、PDI)のEco RIおよびSalI部位にクローニングした。 【0117】 残りの2種のプラスミドは、pCV-H77CからのHCV RNAの高度に保存された5'非コード領域(NCR)の部分を得るために、PCR法を用いて構築した(Masayukiら、J. Proc Nat Acad Sci USA、94:8738-8743(1994))。使用した鋳型を除き、前述のようなPCR成分は100ng pCV-H77Cであり、およびプライマーは、
(5'プライマー)および
(3'プライマー)であった。この両方向の245bp産物を、pCR2.1 TOPOへ、市販のTOPO TAクローニングキット(Invitrogen社)を用いてTA-クローニングし、pCR 2.1/NCRセンスプラスミドおよびpCR2.1/NCRアンチセンスプラスミドを作成した。全てのクローンは、DNA配列決定により確認した(University of Alberta DNA Core Facility)。 【0118】 リボプローブおよび切断型HCV RNA転写産物の調製 リボプローブは、T7 RNAポリメラーゼ(Promega社)を製造業者の指示に従い使用し、[32P]UTPの存在下で、インビトロ転写により調製した。(+)鎖HCV RNAの検出については、383-ヌクレオチドのアンチセンスリボプローブを、KpnI消化したpCR 2.1/NCRアンチセンスから転写し、(-)鎖については、636-ヌクレオチドのセンスリボプローブを、SalI消化したHCVPfix/KS+から転写した。β-アクチンの検出のためには、直鎖状にしたpTRI-Actin-マウス(AMBION)を用い、304ヌクレオチドのリボプローブを作出した。HCV RNAの鎖特異的検出の特異性を明らかにするために、更に非放射性(radioinert)センスおよびアンチセンスリボプローブも調製した。簡単に述べると、T7 RNAポリメラーゼを使用するインビトロ転写の前に、pCR2.1/NCRセンス/アンチセンスを、KpnIで消化し、HCVPfix/KS+をSalIで消化した。加えて、HCVPfix/KS+を、EcoRIにより直鎖状にし、T3 RNAポリメラーゼ(Promega社)を用いてインビトロ転写した。全てのインビトロ転写反応は、37℃で1時間行い、その後、RNase非含有DNaseI(RQl DNase、Promega社)により37℃で30分間処理した。標識したリボプローブをゲル精製し、非放射性HCV RNAリボプローブは、0.5容量の7.5M酢酸アンモニウムを添加後に、無水エタノール2.5容量で沈殿させた。インビトロ転写したRNAにおける非放射性の強度は、1%アガロースゲルを使う電気泳動により評価した。RNA試料を変性し、一晩42℃でハイブリダイズし、およびRNaseプロテクションアッセイキット(AMBION RPA III Kit)を用い、RNase消化を行った。産物は、8M尿素を含有する5%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、Kodak X-Omat ARフィルムに露光した。 【0119】 トランスジェニックマウスの作出およびヒト肝細胞の移植 Alb-uPAを有するマウスを、C.b-17/scid-bg系の動物と交配し、選択的に戻し交配を行い、scid形質をホモ接合状態で繁殖した。最初の実験において、ヘミ接合様式でAlb-uPA導入遺伝子を保持するホモ接合scid動物を交配し、4〜12日齢の後代の同腹子に、0.5〜1x106個の新たに単離した生存能のあるヒト肝細胞を、経脾的に移植した。ヒト肝細胞により独占的に生成されたヒトアルブミンを、移植片機能の指標として使用した。 【0120】 36匹の移植予備試験において、移植後4〜5週目の19匹のレシピエントの血清中に強いHAシグナルが示された。HAバンドは、移植後2週目と早期に検出され、かつ4〜6週の時点で強度は増大し、これは移植片の拡張を示唆している(図5)。盲検化した遺伝子型分析により、全ての強いHA陽性の動物がAlb-uPAを有したのに対し、残りの動物は有さなかったことが示された。 【0121】 最初の強いHAシグナルにもかかわらず、一部の移植片レシピエントでは、14週あたりでシグナルが消滅したのに対し、第二のサブセットは30週を超えても強いシグナルを維持した。この代表的結果を図7に示した。これらの移植片レシピエントはヘテロ接合体交配の後代であるので、Alb-uPA導入遺伝子の接合状態の結果としての移植片生存における相違を試験した。トランスジェニックおよび内因性uPAは、uPA遺伝子の最終イントロン由来の[32P]標識プローブを用いて、サザンブロット分析により識別可能であり、このシグナル比を用いて、導入遺伝子アレイの接合状態を決定した(図6)。ゲノムDNA分析により、持続されたヒト生着を示している動物は、Alb-uPAについてホモ接合体であるが、移植片機能を失ったサブセットは、ヘミ接合体であることが確認された。 【0122】 移植したホモ接合肝の切片の試験により、典型的索様構造で並んだ肝細胞の巨大な結節が明らかにされた。結節内において、肝細胞細胞質および核は、細胞が液胞化された細胞質および核萎縮を伴い明らかに小さい周囲の組織とは対照的に、組織学的に正常であるように見えた。ヒト細胞を視覚的に示すために、本発明者らは、対照ヒト肝を強力に染色するモノクローナル抗ヒト肝細胞抗体で、切片を免疫染色したが、移植されないホモ接合性マウス肝との実質的な交差反応は有していなかった。このことは、これらの結節が明らかにヒト起源であり、外側に広がり、マウス由来の組織の周囲に圧縮されていることを明らかにした。大きなヒト結節は健常な肝細胞を含むが、全ての胆管および門脈構造は宿主由来であるように見えた。 【0123】 HCV感染 延長されたヒト生着の証拠を有するマウスを、HCV感染ヒトドナー由来の血清で感染した。非感染ヒト肝細胞を、ヘテロ接合交配の後代27匹に移植し、移植の6週間後、全てのマウスに、経静脈的±経腹腔的に2名の無関係のHCV陽性ドナーの一方から得たヒト血清0.25mlを接種した(ウイルスの遺伝子型1aおよび6a)。接種後3〜40週の間に選択された血清試料を、RT-PCRにより陽性鎖のHCV RNAの存在について分析した。この実験結果を表2にまとめた。移植片の持続期間は、免疫沈降法/ウェスタンブロット法によるHA検出可能な期間として定義した。 【0124】 [表2] ホモ接合マウスのヒトHCVによる感染
*3/8動物が、5週の時点で単独の弱いHAシグナルを有した。 †クラスカル-ウォリス(Kruskal-Wallis)検定により、ヘミ接合体および野生型、p<0.001 ‡ピアソン(Pearson)χ二乗検定により、ヘミ接合体および野生型、p<0.001 【0125】 8匹の野生型対照は全て、最初の移植片機能の証拠を有さず、HCV RNAについて永続的に陰性であった。ヘミ接合動物は、最初に強いHAシグナルを有したが、次第にシグナル強度を喪失し、移植片持続期間中央値は15.5週であり;(+)鎖HCV RNAは、これらの動物のいずれにおいても、複数の時点にわたり検出されなかった。明確な対照において、Alb-uPA導入遺伝子についてホモ接合性の4匹の動物の全ては、持続されたヒトキメラ化(中央値30.5週)を示し、血清RT-PCR分析によりHCV RNAについて陽性であった。定量的HCV RNA分析は、ウイルスレベルが1.4x103から1.4x106RNAコピー/mlの範囲であり、感染したヒトの範囲内であることを明らかにした。この4匹の動物の最初のコホートにおいて、成功した感染は、ウイルス接種の遺伝子型および10〜21週の範囲の感染持続期間の両方で確立された。 【0126】 Alb-uPA導入遺伝子についてホモ接合動物またはヘミ接合動物のHCV感染 陽性鎖HCV RNAは、ホモ接合動物において永続的に明らかにされたが、HCV RNAはヘミ接合動物において検出不能であった。本発明者らは、ヘミ接合体は、消滅された最初の生着およびより早期の移植片喪失の結果として、検出可能なレベルでHCV複製を支持することに失敗したものとして仮定した。この仮定を検証するために、化学発光およびホスホロイメージングを用いたタンパク質ドット-ブロットアッセイ法を開発して、より正確にHA産生を定量した。ヒトドナー1名由来の1 x 106個の凍結保存したヒト肝細胞を21匹のレシピエント(15匹ホモ接合体および6匹はヘミ接合体)へ移植後、無作為に選択した動物から、定量的HA分析のために試料採取し、および/または免疫組織化学的分析のために屠殺した。この実験結果を図8に示した。 【0127】 ヘミ接合動物およびホモ接合動物は、最初に同様のHAシグナル強度を有するが、5〜6週までに明らかな二分化が出現し、10〜12週までにホモ接合マウスのHAシグナルは、ヘミ接合体よりも数桁より増加した(図8)。移植後選択された時点で屠殺したホモ接合レシピエントおよびヘミ接合レシピエント由来の無作為な肝切片を、モノクローナル抗ヒト肝細胞抗体で免疫染色し、マウス肝のヒト組織との交換の割合を概算した。これらの免疫組織化学的データは、先のタンパク質ドット-ブロットの知見を確認し、ヒト細胞はホモ接合動物において肝断面積の実質的な部分(>50%)を占めていた。明らかに対照的に、ヘテロ接合レシピエント由来の複数の組織切片の試験は、ヒト生着の最低限の証拠のみを明らかにした。合わせると、これらの試験は、ホモ接合Alb-uPAレシピエントに関するヒト肝細胞生着の程度および持続期間は両方共、それらのヘテロ接合体のカウンターパートと比べ、実質的に利点となっていることを示唆している。 【0128】 ヘテロ接合体交配の後代への移植により、感染の成功が、4/27マウスにおいて確立され、全てホモ接合体であった。この成功率は、通常の使用において非常に厄介なモデルを生じると思われる。ホモ接合マウスによって生じた移植片サイズにおいて量的な有利性が生じる結果、この繁殖コロニーは、ホモ接合Alb-uPAマウスの独占的作出へと偏った。高レベルの肝細胞生着(HAレベル>250μg/ml)についての早期スクリーニングのために、前述のドット-ブロットアッセイ法を使用し、HCV接種した動物の75%以下が、持続性のウイルス力価>3x104コピー/mlを発症し、多くは>106コピー/mlであった。ウイルス試験の残りの部分は、ホモ接合レシピエントにおいて行った。 【0129】 HCVの長期持続の確認 ヒトにおけるウイルス力価の長期持続は、進行中の活発な増殖の結果である。しかし免疫無防備状態のキメラ動物において、HCVの持続を真の感染および複製よりもむしろ緩徐なウイルスの排除によって生じたとすることができる。5匹のホモ接合移植片レシピエントに、感染ヒト血清250μlを接種し(遺伝子型3a;2.95x106ウイルスRNAコピー/ml);その結果、各動物は、7.38x105RNAコピーの接種を受容した。この実験の結果を図9に示す。3/5レシピエントにおいて、ウイルス力価は、接種後5週までに、最初の接種の16倍、27倍および36倍増加し、残りの2匹のレシピエントの力価は、5週間にわたって穏やかに増加した(1.6倍および4.3倍)。 【0130】 陽性鎖HCV RNAの進行中の検出は、4匹の動物について接種後15週以降も確認されている(1匹は血液採取後死亡)。15週目の持続性の高ウイルスレベルと組合わせた力価の最初の上昇は、人工物の持ち越しよりもむしろウイルス複製に一致している。更なる試験において、6匹目のキメラマウスを、非常に小さいウイルス接種(1.35x103RNAコピー)で感染した。感染後10週目の総血清ウイルス負荷を測定したところ、1.33x106コピーであり、1000倍増加していた。非生産的「相互作用」では、ウイルス負荷において3 log増加が妥当に維持されることはなく、これはウイルス複製の出現を強力に裏付けている。 【0131】 HCVは、陰性鎖の中間体を介した陽性鎖RNAウイルス複製であり;肝内の(-)鎖HCV RNAの検出は、複製の証明となる。偽陽性結果のリスクを低下させるために(Lanfordら、Virology、202:606-614(1994))、(-)鎖分析は、2種の個別ではあるが相補的な技術を用いて行った。 【0132】 ヒト血清から新たに得たウイルスRNAの5x105コピーを接種した8匹のホモ接合移植片レシピエントは、接種後3〜4週で(+)鎖HCV RNAを有することを確認した。肝臓組織試料は、接種後2〜5週に6匹の動物の50%部分肝切除から得、残りの2匹は12〜13週に得た。 【0133】 (-)鎖HCV RNAの分析は、独立した実験室(A.R.)において、熱安定性rTth逆転写酵素RNA PCRプロトコールおよび鎖特異性プライマーを用い、盲検法により行った。図10A〜図10Cに示したこれらの結果は、移植しおよび感染したホモ接合Alb-uPAマウスの肝内のHCV複製中間体(陰性鎖ウイルスのRNA)の産生を確認した。図10A〜図10Cの文字の指定(AからJ、下記に特記したもの)は、対照試料である;数値の表示(1から10)は、移植され、その後HCV感染ヒト血清が接種された10匹のホモ接合マウス肝から単離された個々のRNA試料を表す。 【0134】 図10Aは、鎖特異性プライマーによる熱安定性rTth逆転写酵素RNA PCRプロトコールに従った、(+)鎖RNA(上側パネル)または(-)鎖RNA(下側パネル)の検出を表している。Aは、移植されない、非感染の野生型対照マウスであり;Bは、HCVを接種されたヘテロ接合移植マウスであり、Cは、HCVを接種されないホモ接合移植マウスであり;Dは、感染したヒトから採取した血清であり;Eは、標準DNAラダーであり;Fは、(+)鎖(上側パネル)または(-)鎖(下側パネル)ウイルスRNAから作成された標的DNA配列への標識したプローブの結合を表し;Gは、HCV陽性ヒト由来の血清RNAでドープしたマウス肝RNA(10μg)であり;Hは、106コピーの非放射性アンチセンス(上側)またはセンス(下側)リボプローブでドープしたマウス肝RNA(10μg)であり;Iは、106コピーの非放射性センス(上側)またはアンチセンス(下側)リボプローブでドープしたマウス肝RNA(10μg)であり;Jは、10μgマウス肝RNAとハイブリダイズしたリボプローブであり、その後の工程は全て、RNaseの添加以外は同じであった。このレーンの断片は、未消化のリボプローブ(矢印)を表し、予想される長さは、それらの標的とハイブリダイズすることにより保護された対応する断片のものよりも大きい。HCVゲノムの複製は、この方法でアッセイした5/9動物において明確に認められた。 【0135】 図10Bは、熱安定性rTth逆転写酵素RNA PCRプロトコールを用い、選択された動物の連続希釈による分析結果を示している。(+)および(-)鎖RNAの両方が、2〜3 log希釈において検出された。この実験においてのみ、(-)鎖ウイルスRNAが、マウス5において検出されなかったが、より早期には認められ、複数のRPA分析において後には確認された。RNaseプロテクションアッセイ法による(+)鎖HCV RNA(上側パネル)、(-)鎖HCV RNA(中間パネル)、またはβ-アクチンRNA(下側パネル)の検出結果を、図10Cに示した。対照レーンは、先に説明したものであり;マウス10は、RPA法によってのみ分析した。このアッセイ法は前記データの5/6動物と関連し、3/4における(-)鎖の存在を確認した。マウス6において(-)鎖RNAの存在を確認できなかったことは、RPAアッセイ法の感度の低下に起因する可能性を有している。 【0136】 免疫組織化学分析 移植したマウス肝におけるHCVの局在を確認するために、ヒト肝細胞が移植され、次にHCV感染したヒト血清が接種されたホモ接合マウスから採取した肝切片を、該ウイルスのポリタンパク質のNS3-NS4領域に対するモノクローナル抗体で免疫染色した。ヒト肝の対照切片は、顆粒状の細胞質の外観を示し、核は染色されなかった(図11A)。繊維症領域および門脈三分岐構造は、NS3-NS4について陽性に染色されなかった。肝細胞の大部分は陽性に染色されたが、低レベルな領域であった。移植していないマウス肝からの対照切片は、全ての染色時において如何なる証拠も示さなかった(示さず)。移植し、感染したマウスから採取した実験切片(図11B)は、対照ヒト切片に類似した細胞質顆粒状外観を持つ肝細胞染色領域を示したが、染色強度はわずかに低下していた。この免疫組織化学的知見は、HCVは、移植されたAlb-uPAマウスのキメラ肝内で真にヒト肝細胞に感染していることの証拠を提供している。 【0137】 結論 これらの個別で、独立して行われたアッセイ法は、接種後2〜5週に試料採取したキメラ肝内の陰性鎖HCV RNAの存在を明確に示している。定量的RT-PCRによる連続した毎週の分析による実験(図9)は、接種後2〜4週でのHCV血清力価の急激な上昇を明らかにし、これは肝内のウイルス複製の最大速度に相当し、これは、(-)鎖ウイルスのRNAの最大量と平行しているものと予想される。これは、(-)鎖が感染の後期(12〜13週に0/2動物試料採取)よりもむしろ、比較的早期(2〜5週に5/6動物試料採取)に検出可能である理由を説明することができる。これらのデータを組み合わせると、結果的にこの動物モデルにおける活発なウイルス複製を裏付けている。更に、HCV感染は慢性である。本発明者らは、最近、機能性ヒト肝細胞移植片(移植後35週での高アルブミン血清レベルの検出により決定(ドットブロットにより約800ユニット以上))および移植後35週での血清中の高力価HCV(1.7x105コピー/ml)を有するキメラAlb/uPAトランスジェニックマウスを基にした本発明の動物モデルを明らかにした。 【0138】 HCV感染の連続継代 複製を確認した後、マウスからマウスへのHCV感染の連続継代を試みた。ヒトドナー由来の新鮮な血清(250μl;4.75x105ウイルスRNAコピー)を、未処置のキメラマウスへ経腹腔的に接種した。接種後4週目のウイルス力価は、1.76x106コピー/mlであった。このマウスから採取した血清(125μl;〜2.19x105RNAコピー)を、経腹腔的に第二の未処置のキメラマウスへ接種し、これは接種後4週目に力価1.75x104コピー/mlを示した。この第一継代レシピエント由来の血清を、次に第三の未処置のキメラマウスへ接種した(100μl;〜1.75x103RNAコピー)。接種後5週目に、この第二継代レシピエントは、ウイルス力価3.42x106コピー/mlを有した。複製は生じないが、最初のヒト接種物が持続しているという帰無仮説をたてるならば、この第二継代レシピエントは、最初の接種物からウイルスの〜6000コピーを受け取ることとなると思われる(4.75x105ウイルスコピー x 1:8希釈 x 1:10希釈、マウス血清容積〜1OOOμlと仮定);第二継代レシピエントは、当初のヒト接種物から受け取っているものよりも、576倍より多く測定されたウイルスRNAを有した。この第二継代レシピエントからの血清(30μl)を、2匹の追加の未処置のマウスへ接種し、これら両方を引き続きHCV感染させた(第三継代レシピエント;定量は保留)。こうして連続伝播は、3代継代後の2匹の動物を含む、7匹の動物において明らかにされた。このヒト→マウス→マウス→マウス→マウスの伝播は、HCVゲノムの複製が行われ、および完全に感染性の粒子が産生されることの両方を表している。 【0139】 これらの実験は、キメラヒト肝を伴うホモ接合scid/Alb-uPAマウスが、HCV陽性ヒト血清により新規にに感染されうることを確立しており、これは臨床に関連する力価でのHCV複製を裏付け、かつこの感染の他のキメラマウスへの伝播を可能にしている。感染の成功は、ウイルス遺伝子型1a、1b、3aおよび6aにおいて確立されており、ウイルスRNA力価は標準の市販のアッセイ法により検出が容易であるレベルまで迅速に増加する。Alb-uPAのホモ接合状態は、ウイルスの感染の確立を成功させるために重要であり、移植片機能のドットブロット分析による早期のスクリーニングに組合わせて、ホモ接合体をレシピエントとして使用することにより、HCV感染は通常接種した全動物の〜75%で確立される。 【0140】 この移植法は、基本的顕微手術装置および技術的熟練を必要としている。本発明者らの手技において、麻酔導入および回復を含む移植には、動物1匹当り5〜6分を要する。ヒト肝細胞へのアクセスは一部の研究者については制限されているが、本発明者らの実験室での肝細胞単離体からの収量は、2〜3x108生存ヒト細胞である。過剰な細胞を凍結保存する能力は、十分な利用を可能にし、更にはヒト組織にアクセスすることのない施設への輸送を可能にしている。凍結保存された肝細胞の移植後の成功率は低いにもかかわらず、ドット-ブロットハイブリダイゼーションによるこれらのレシピエントのプレスクリーニングは、HCV試験におけるそれらの効果的使用をもたらし、接種時のドットブロット>250ユニットによる動物の約50%でウイルス感染が成功した。 【0141】 実施例5:移植用細胞の給源としてのヒト臍帯血細胞 現在、文献において、ヒト幹細胞が多能性であることが証明されている。これらは、条件および刺激の適切な組合せにより、造血細胞に加え肝細胞を再生する能力を有する。ヒト幹細胞は、NOD/SCIDマウスにおいて造血細胞を再集合する能力を有することが示されている(例えば、Bhatiaら、J. Exp Med、186(4):619-24(1997);Bhatiaら、Proc Natl Acad Sci USA、94(10):5320-5(1997);Larochelleら、Nat Med、2(12):1329-37(1996)参照)。しかし、肝再集合に関し、小児の肝芽細胞腫における肝を再生するための臨床試験では、幹細胞移植を使用している。 【0142】 ヒト臍帯血は、幹細胞の豊富な給源である。加えてこれらは、容易に凍結保存され、細胞の完全性が解凍後も維持される。ヒト臍帯血はまた、非常に容易に入手することが可能である。新鮮な肝臓組織の入手は制限されているため、ヒト肝細胞の代用給源は、本発明の動物モデルの開発において有用であると思われる。本発明のSCID.bg/Alb-uPaマウスへ移植されたヒト臍帯血細胞は、生存能のあるヒト肝細胞へと再生することができる。続いて、これらは生着する潜在力を有し、キメラマウス/ヒト肝を開発することができると思われる。加えて、本細胞は、本発明らのSCID.bg/Alb-uPaマウスにおいて免疫系を再集合することができると思われる。 【0143】 材料および方法 本明細書に説明したプロトコールに従い、10〜14日齢のSCID.bg/Alb-uPaマウスに、ヒト肝細胞を移植した。ヒト肝細胞の代わりに、500万個のヒト臍帯血単球(幹細胞給源)を、経脾注入により移植した。移植後4週目にドットブロットによりヒトアルブミンの存在についてマウス血清を試験するプロトコールは、本明細書に記したものに従った。 【0144】 加えて、免疫系も再集合されたかどうかを決定するために、4週齢の末梢血塗沫を、リンパ球の存在について調べた。8週目に、血清を、ELISAによりヒトIgGの存在について、ならびにFACS分析によりCD4+およびCD8+細胞の存在について調べた。これらの細胞が存在する場合には、これらの細胞の機能性を決定するために、PHA刺激を行った。 【0145】 実施例6:HCV感染したScid/uPAマウスのインターフェロンα-2b処置 本発明のHCV動物モデルを用い、候補となる化学療法薬の抗HCV活性をスクリーニングすることができる。インターフェロンα-2bは、抗HCV活性を有することが既知である。従って、組換えインターフェロンα-2bによる本発明のHCV感染したマウスの処置は、HCV RNAレベルの顕著な減少を生じると思われる。 【0146】 方法および材料: 動物:手術室から得たヒト肝臓組織小片から、コラゲナーゼによる連続灌流を用い、ヒト肝細胞を単離した(リベラーゼHI、Boehringer Mannheim社)。10〜15日齢のホモ接合SCID/uPAマウスに、0.5x106〜1.0x106個の新鮮なヒト肝細胞を、経脾注入により移植した。移植後4週目に、採血し、ヒトアルブミン(HA)濃度について、定量的ドットブロットアッセイ法を用いてアッセイした。>200μg/mlのHAを示すマウスを、移植が成功しているとみなし、本実験に使用した。 【0147】 HCV感染:移植後8週目に、マウスに、遺伝子型3のHCV陽性肝移植患者から得た血清50μlを腹腔内注射した。この血清は、-70℃で保存し、接種時に解凍した。この患者の血清は、2.56 x 105IU/mlのHCV RNAレベルを示した。全てのHCVの定量を、コバス-アンプリコアHCVモニターver.2.0(Roche Diagnostics社)を用い、アルバータ大学病院の地域の臨床検査室(Provincial Laboratory)で行った。 【0148】 インターフェロン投与:マウスを、3つの処置群に分けた:群1=対照(n=5)、群2=IFN 135IU/g/日(n=1)、群3=1350IU/g/日(n=2)。HCV接種の2週後に処置を開始した。IFN(または等容量の通常の生理食塩水)を、15日間連続して筋肉内注射した。処置開始時、処置終了時、ならびに処置終了後2週目および4週目に、血液を採取し、HCV RNAレベルおよび移植片機能についてアッセイした。 【0149】 ヒト肝細胞移植を受けた動物は、血清ドット-ブロットアッセイ法によりヒトアルブミンが>250ユニットであることで生着がうまくいったことを確認した後、 遺伝子型3 HCVのヒトキャリヤ由来の血清を100μl腹腔内注射した。試験前にHCVコピーの最大の絶対的上昇が明らかになった場合は、ベースライン値は、HCV注射後2週目のマウス血清のウイルスコピー/mlとした。インターフェロン療法は、3匹の動物のベースラインにおいて開始し、用量135(n=1)、または1350(n=2)IU/体重g/日で2週間処置した。第2週目は、インターフェロン療法終了時のRT-PCRによるHCV力価であるのに対し、第4週目は、療法の2週間後である。アッセイ法は、アルバータ公衆衛生(Public Health of Alberta)の地域の臨床検査室が、ロシュ-アンプリコア(Roche Amplicor)キットを用い行った。試料は盲検化され、臨床試験のヒト血清試料が間に挟まれていた。アッセイ感度は、600IU/mlまたは約1.2x103ウイルスコピー/mlであった。これらの結果を下記の表3に示す(「E」は指数値を示す)。 【0150】 [表3] 本発明の動物モデルにおけるIFNのHCV感染に対する作用
【0151】 未処理のマウス5匹中の4匹が、この試験期間にわたるHCV力価の上昇を示したが、1匹は安定したレベルを示した。3匹の処置した動物は全て、ウイルス力価の減少を示し、より高い用量の2匹は、ウイルスのクリアランスを示した(ND=検出されず)。 【0152】 実施例7:HBIg投与によるB型肝炎感染に対する受動免疫 本明細書に記したHCVモデルは、具体例として、SCID.bg/Alb-uPaマウスのような、免疫無防御状態の動物におけるキメラマウス/ヒト肝の存在を基にしている。このモデルは、C型肝炎ウイルスの複製を支持するのみならず、更にB型肝炎感染も支持している。現在承認されたC型肝炎に対するワクチンはないので、HBV-感染マウスを用い、ワクチン試験におけるこの動物モデルの価値を検証した。現在HBVに関して利用できる受動および能動の両免疫処置がある。 【0153】 B型肝炎免疫グロブリン(HBIg)は、B型肝炎表面抗原に対し開発された受動ワクチンである。これは、陽性抗HBsドナーからの血漿を収集し、プールすることにより開発されている。最終結果は、高力価の抗HBs調製物である。臨床の状況において、その利用可能性は、1)部分的有効性、2)短い半減期、および3)長期の永続的免疫との干渉のために、制限されている。しかし、ある状況においては有用であることが証明されている。 【0154】 肝移植において、HBIgの免疫による予防が、広く使用され、受け入れられている。これは、B型肝炎陽性患者において移植後のHBVの再発率を有意に低下することが示されている。結果として、このような移植片および患者の両方の死亡率を低下している。患者は、移植の肝外性の段階(anhepatic stage)において大量ボーラス用量により処置された。処置は1年間継続し、用量は抗HBs抗体力価により決定した。針穿刺による曝露の後、症例の80%において、HBIgの投与がHBVの伝播を妨げた。 【0155】 本発明の動物モデルは、ワクチン開発に使用することができる。本動物モデルのワクチン開発における有用性を明らかにするための対照として、承認されたHBVに対する利用可能な免疫予防的ワクチンを使用した。B型肝炎免疫グロブリン(HBIg)の注射により、SCID.bg/Alb-uPaマウスは、その後のB型肝炎の接種に対する受動免疫を獲得し、その結果、活発なウイルス感染を防止した。 【0156】 先に強調したように、HBVおよびHCVは同等のウイルスではない。しかし、現在HCVについて利用できる受動免疫療法はないので、HBVおよびHBIgの使用は、HBV感染に対し有効であることが既知である免疫療法が、本発明の動物モデルにおいて有効であることを示すための初期のスクリーニングを提供し、かつ更にこの動物モデルが実際に価値のある受動免疫療法のスクリーニングの道具を提供していることの証拠を提供している。 【0157】 材料および方法: 前記の実施例に説明したプロトコールに従い、10〜14日齢のSCID.bg/ALB-uPaマウスに、ヒト肝細胞を移植した。移植後4週目に、マウスを、ヒトアルブミンについてドットブロットにより試験した。次に、強いシグナルを有するこれらの動物を、実験に使用するために選択した。 【0158】 第0日目:8週齢の、実験群へ割付けたマウスは、HBIgの高用量(1cc/kg)の筋肉内注射を受容し、対照群は通常の生理食塩水を受容した。 【0159】 第1日目:全てのマウスに、高力価HBV血清100μlを接種した(腹腔内注射)。 【0160】 第1〜14日目:実験マウスは、1日1回0.12cc/kgの維持量HBIgで処置した(肝移植患者の場合と同等)。対照マウスは、通常の生理食塩水注射を継続した。 【0161】 HBV力価についてのHBIgの作用をアッセイするために、HBV感染後2週目、4週目、6週目、8週目、10週目、および12週目に血清試料を採取した。B型肝炎表面抗体は、HBV接種の1日前および再度感染後8週目にアッセイした。 【0162】 実施例8:HCV感染における免疫応答を調べるための免疫再構築したHCV動物モデルの使用 本発明の動物モデルは、HBVまたはHCVに感染した自己肝細胞の状況において、ヒト免疫応答を調べるための価値のあるツールを提供する。ヒト肝細胞を保持するマウスは、自己末梢血単核細胞(PBMC、2〜3x107細胞/マウス)で免疫再構築することができ、下記の試験を行うためのHBVおよびHCV感染のモデルシステムを提供した。このモデルは、次に下記に例示した方法で使用することができる。 【0163】 下記に説明した実験は、例えば抗原提示細胞、ある種のサイトカインおよびT細胞のような、免疫系の様々な成分の重要な役割、ならびに慢性肝炎感染の免疫調節の基本となるメカニズムに関する洞察を与えることができる。これらの試験は、慢性肝炎ウイルス感染症の免疫療法に関する、新規方法および新規ワクチン候補の設計および研究の基礎を提供することができる。これらの試験は、更に慢性肝炎感染症の今後の化学療法および/または免疫療法処置の評価のための、前臨床モデルとしてのマウスモデルシステムを確立すると思われる。 【0164】 慢性HCV感染における免疫応答および調節の評価:ヒト肝細胞を移植し、自己PBMCで再構成したHCV感染したマウスを用い、進行性HCV感染の状況において、全般的免疫細胞のコンピテント性および/または免疫抑制を評価した。脾臓またはリンパ節T細胞がマウスから得られる場合は、時間経過試験を行い、マイトジェン、自己APC、入り交じった(promiscucus)Thエピトープ(例えば、破傷風毒素、PADREペプチドなど)に対する反応を調べるためにインビトロ培養に設定した場合には、T細胞増殖アッセイ法により評価した。同培養物において、サイトカインの培養上清中の分泌または細胞内産生を試験した。加えて、これらの培養した細胞において、T細胞活性化マーカーをフローサイトメトリーにより試験した。これらの実験は、時間経過を追う形で行い、そのためT細胞を様々な時点でマウスから回収し(例えば、感染後およびPBMC再構築後1週、4週、8週、12週、16週)、前述のようにポリクローン性刺激に対するそれらの反応について試験した。HCVウイルス負荷も、同じく各時点で評価し、その結果、全体の免疫応答は、ウイルス負荷と相関することができる。 【0165】 ポリクローン性刺激と共に、公知の保存されたHCVの入り交じったヘルパーエピトープ対するT細胞反応を、インビトロにおいて試験し、かつそれらの刺激をウイルス負荷と時間経過試験において関連づけた。同様に、B細胞を同時に単離し、かつポリクローン性B細胞刺激、例えばLPS、α-CD4Oなどと共に培養し、ポリクローン性刺激時の培養物中のサイトカイン分泌に加え、全般的Ig産生について試験した。感染していないPBMC再構成マウスを対照として用いた。進行中のHCV感染における全般的TおよびB細胞のコンピテント性も評価した。 【0166】 あるいは、マウスに、インビボにおいて、入り交じったHCVおよび非HCV Thエピトープを、感染およびPBMC再構築後の様々な時点で投与し、引き続き、それらのペプチド反応性T細胞について、サイトカイン産生、マーカー発現の活性化および増殖を試験した。再度、これらのインビボ投与試験においても、全般的T細胞の反応は、ウイルス負荷、感染からの時間などと相関していた。免疫処置していないが免疫再構築し、HCV感染したマウスから得たT細胞を、全般的CD4/CD8比、MHC分子、および他のT細胞/活性化分子について試験し、感染していないが免疫再構築したマウスと比較した。別の実験において、正常なヒトPBMCを、HCV感染したマウス由来の血清の存在下でポリクローン性に刺激し、T細胞反応の何らかの調節について試験した。これらの実験に続けて、様々なTCR分子のリン酸化、Ca2+動員などについて試験し、あらゆる観察されたT細胞反応欠損の生化学的基礎を決定した。加えて、本発明者らは、T細胞が刺激時にアポトーシスを受けるかどうかについて試験した。 【0167】 慢性肝炎ウイルス感染におけるサイトカインおよび免疫調節分子 HCV感染に対する様々なサイトカイン類(1型対2型)の役割を試験するために、HCV感染したマウスから血清を収集し、PBMCで再構築し、1型対2型サイトカインの保有率について試験した。これらの実験は、時間経過を追って行い、サイトカイン産生をHCVウイルス負荷と相関させ、かつ対照の感染していないが免疫再構築したマウスと比較した。他方で、これらのマウスにおいて、支配的な1型または2型サイトカイン、例えば、IL-2、γ-IFN、IL-4、IL-10、およびIL-12を注射または排除し(abrogate)(抗サイトカイン抗体の注射により)、ウイルス負荷、入り交じったHCVおよび非HCVペプチドに対するT細胞反応の作用、加えてポリクローン性刺激を評価した。加えて、サイトカインスイッチの進行、サイトカイン産生の欠損またはそれらの調節は、感染直後にまたはより長期間(すなわち、マウスにおいて2〜3ヶ月間)にわたって評価した。インビトロ実験においては、インビトロにおけるT細胞反応に対する追加のある種のサイトカインの役割を調べた。 【0168】 慢性HCV感染における抗原提示細胞(樹状細胞、DC)および保護的免疫応答を提供するDC機能の調節 ヒトの慢性HCV感染において、樹状細胞機能が損なわれていることを示すいくつかの証拠がある。樹状細胞(DC)は、効率的免疫を誘起するためのCD4+ T細胞の最も強力な刺激物質である。従って、HCV感染の状況においてDC機能の試験は、HCV感染に対する免疫応答を理解するために必須である。 【0169】 HCV感染したPBLで再構築したマウスから、単球を、脾臓または血液から単離し、かつGM-CSFおよびIL-4と共に培養し、未成熟DCを作出する。これらの未成熟DCを、γ-IFN、α-IFN、LPSまたはα-CD4Oの存在下で培養し、フローサイトメトリーによりDC活性化マーカーの発現について、上清におけるIL-12産生について、ならびに同種T細胞を刺激するおよび同種T細胞に対するHCV入り交じったThエピトープを提示する能力について、試験した。これらの実験は、時間経過に従い行い、時間因子として試験したDC機能およびHCVウイルス負荷について変化の進行を試験した。 【0170】 追加実験において、HCV感染を有しかつヒトPBMCで再構築されたマウスに、インビトロにおいて活性化した成熟DCを注射し、T細胞反応およびウイルス負荷について試験した。 【0171】 HCV感染における入り交じったヒトヘルパーおよびCTLエピトープの免疫処置 慢性HCV感染した個人におけるThおよび細胞傷害性T細胞(CTL)の反応を報告する多くの試験において、HCVの保存された領域からの多くの入り交じったThおよびCTLエピトープが、インビトロにおいて同定され、これはThおよびCTLプライミングがHCV感染した個人において生じることを示唆している。しかし、明らかにこの進行する天然のT細胞反応はそれ自身、ウイルス感染および/または複製を消去するするためには十分ではない。本発明の動物モデルを用いて、強い免疫応答を誘起するために公知の入り交じったThおよびCTLエピトープを用いる様々な免疫処置方法(以下に列記した)を評価することができる。このマウスを、免疫処置後に、CTLおよびTh細胞反応の作成について評価した。平行して、ウイルス負荷を評価した。従って、この動物モデルを用いて、HCV感染に対する免疫を提供するための、ThおよびCTh反応の適当な調節を決定することができる。 【0172】 抗原による免疫処置は、例えばリポソームなどの製剤;例えばリピド化されたペプチドなどの、改変された抗原ペプチド;アジュバントまたは付加物(adjuncts)としての、特定のアジュバントおよびサイトカイン製剤;抗原を負荷した樹状細胞;DNAを介した免疫処置;インビトロにおいて拡張した抗原特異性T細胞によるT細胞養子免疫療法などの状況において、試験することができる。 【0173】 HBVおよびHCVの構築および非構築タンパク質由来の合成ペプチド(または改変したリポペプチド)の免疫原性 HCV慢性キャリヤにおける進行中のHCV感染の寛解に失敗することに関する別の仮説は、これらのエピトープに対するThおよびCTL反応は、実際にウイルス複製を抑制するまたはウイルス感染した細胞を消去することはできず、他のエピトープ決定基に対する免疫応答が、保護的免疫の成立に必要であるという証拠に焦点を当てている。HCVポリタンパク質上の新規T細胞エピトープを決定するために、最初にインシリコ(in silico)試験を行い、保存された構造性に加え、機能性ウイルスタンパク質から推定ThおよびCTLエピトープを同定した。これらの同定したエピトープを、次に改変し、本発明の再構築動物モデルにおいて、それらの強いT細胞反応を作成する能力について評価し、これはこれらが免疫療法のワクチン候補であることを示している。 【0174】 併用療法試験(抗原を基にしたワクチンならびにウイルス複製の阻害および/または免疫調節の誘導する低分子) この方法は、慢性HCV感染における免疫応答を考慮し、本発明の再構築動物モデルを使用し、抗原を基にした療法および低分子を基にした療法の組合せを利用する抗ウイルス療法を同定しており、ここでこれらの低分子はウイルス複製および/または免疫調節の阻害活性を有する。ウイルス複製の効果的抑制またはウイルスクリアランスを提供する組合せは、前述のようにHCV感染した免疫再構築した動物を用いて同定する。ワクチン候補を、サイトカイン(例えばIL-2またはリポソームIL-2)との組合せにおいて評価し、HCV感染を抑制および/または消去する効率的免疫を提供する。 【0175】 実施例9:高脂血症療法の評価のためのモデルの使用 前述のように、Apo B100は、高脂血症から生じるアテローム性動脈硬化症のリスクに関する、当技術分野において受け入れられたマーカーである。高脂血症に対する活性を有する物質のスクリーニングにおける本発明のマウスモデルの使用を評価するために、ヒトApo B100に特異的なマウスのモノクローナル抗体を用い、生着したヒト細胞によるヒトapo B100産生を検出した。血清試料を、キメラAlb/uPA移植した動物から、およびAlb/uPA移植していない動物(陰性対照)から収集した。ヒト血清は、陽性対照として使用した。この血清を、当技術分野において周知の方法に従い抗Apo B100抗体を用いるウェスタンブロットにより分析した。 【0176】 図12に示したように、Apo B100に結合している抗体は非移植対照動物においては検出されなかったが(レーン3)、ヒト血清陽性対照(レーン1)およびキメラAlb/uPA移植動物(レーン2)の両方において、抗体結合が検出された。これらのデータは、持続性のヒトキメラ化を有するAlb/uPAマウス肝は、ヒトapo B100を分泌することを示している。この観察は、Alb/uPAマウスモデルは、肝からのapo B100の量を減少し、結果としてアテローム性動脈硬化症を介した心臓血管系疾患および卒中のリスクを低下するような選択的治療の開発のための基礎を提供することができることを示している。 【0177】 本発明は、それらの具体的態様を参照し説明されているが、当業者には、本発明の真の精神および範囲を逸脱しない限りは、様々な変更を行うことができ、かつ同等物と交換することができることが理解されなければならない。加えて、多くの修飾を、特定の状況、材料、物質の組成、方法、方法のひとつまたは複数の工程を、目的とする本発明の精神および範囲に適合させることができる。このような修飾は全て、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。 【図面の簡単な説明】 【0178】 【図1】Alb-uPA 導入遺伝子をもつ動物、またはもたない動物における、レシピエントの血清試料中の経時的なヒトアルブミン(HA)産生を調べたウェスタンブロットである。 【図2】マウスの肝臓におけるヒトキメラを示す組織化学的分析の写真である。図2Aは、移植が行われていないホモ接合Alb-uPAの肝臓から採取した対照マウスの肝臓の低倍率のH&E切片であり、均一な細胞構造を示している。図2Bは、移植を行ったホモ接合マウスに由来する低倍率のH&E切片であり、大きな組織結節が周囲の宿主由来の肝実質を圧迫していることを示している。図2Cと図2Dは、それぞれマウスおよびヒトの肝臓の対照切片を示す。いずれも抗ヒト肝細胞抗体で免疫染色されており、免疫組織化学的手法によりヒト細胞は明瞭に染色されるが、ネズミ科動物細胞は染色されないことがわかる。図2Eは、移植が行われたホモ接合性肝臓の高倍率のH&E染色切片であり、健康な肝細胞の結節が周辺組織を圧迫していることをを示している。図2Fは、ヒト肝細胞抗原を免疫染色した連続切片であり、暗い結節は周辺の実質がネズミ科動物起源であるヒト細胞で構成されている示している。 【図3】Alb-uPA導入遺伝子をもつ4つのレシピエントにおける、ヒト肝細胞移植片(1×106個の細胞)に由来するアルブミンの産生を示すグラフである。 【図4】Alb-uPA陽性レシピエントにおける移植後のHA産生を示すウェスタンブロットであり、シグナル強度が持続することを示している。「HA」はヒトアルブミンの標準(50 ng)を意味し、「対照」は移植が行われていないマウスの血清対照を意味する。 【図5】キメラ肝のヒト肝細胞から産生されたヒトアルブミン(HA)の検出を示すウェスタンブロットの写真である(試料は別個のマウスに由来する)。野生型レシピエントを(-)で表し、トランスジェニック動物のレシピエントを(+)で表す。「HA」はヒトアルブミンの標準を意味し、「MS」は移植が行われていないマウスの血清を意味する(負の対照)。 【図6】ゲノムDNAのAlb-uPAの接合性を判定するサザンブロットの写真であり、T/E比が約2であることがヘミ接合マウスの特徴であり、ホモ接合では同比は約4となる。 【図7】Alb-uPA導入遺伝子についてヘミ接合(+/-)またはホモ接合(+/+)の移植レシピエントにおける長期のHA産生を示すウェスタンブロットの写真である。「HA」はヒトアルブミンの標準を意味し、「MS」は移植が行われていないマウスの血清を意味する(負の対照)。 【図8】ホモ接合のレシピエントマウス(黒丸)またはヘミ接合のレシピエントマウス(白丸)の血清試料に由来するHA産生定量の垂直方向の散布図を示すグラフである。両群の傾向直線の中央値を示す。 【図9】HCV感染ヒト血清の接種後におけるホモ接合トランスジェニック移植片レシピエントの注射直後の4〜7週における血清HCVのRNA量の上昇を示すグラフである。個々の線は、各移植片レシピエントに由来する一連の量を示す。 【図10】図10Aは、鎖特異的なプライマーを用いた熱安定性のrTth逆転写酵素RNA PCRプロトコールによる、(+)鎖RNA(上のパネル)または(-)鎖RNA(下のパネル)の検出を示すゲルの写真である。使用文字(A〜J)は対照試料であり、使用数字(1〜10)は、移植を受けた後にHCV感染ヒト血清を注入された10匹のホモ接合マウスの肝臓から単離された個々のRNA試料を示す。Aは野生型の対照マウスで、非移植、非感染であり、BはHCV接種を受けたヘテロ接合の移植マウスであり、CはHCV非接種のホモ接合の移植マウスであり、Dは感染者(ヒト)から採取された血清であり、Eは基準のDNAのラダーであり、FはウイルスRNAの(+)鎖(上のパネル)または(-)鎖(下のパネル)から作製された標的DNA配列に対する標識プローブを結合したものであり、GはHCV陽性ヒトに由来する血清RNAが添加されたマウス肝臓RNA (10 μg)であり、Hは106コピーの放射不活性のセンスのリボプローブ(上)またはアンチセンスのリボプローブ(下)が添加されたマウスの肝臓RNA (10 μg)であり、Iは、106コピーの放射不活性のセンスのリボプローブ(上のパネル)またはアンチセンスのリボプローブ(下のパネル)が添加されたマウスの肝臓RNA (10 μg)であり、Jは10 μgのマウスの肝臓RNAとハイブリッドを形成するリボプローブである。そしていずれも後の工程はRNaseの添加について異なるほかは同じである)。図10Bは段階希釈分析を示す。熱安定性のrTth逆転写酵素RNA PCRプロトコールによる、一部のマウスを対象とした段階希釈分析のゲルの写真を示す。文字および数字の意味は図10Aと同じである。図10Cは、RNaseプロテクションアッセイ法による(+)鎖のHCV RNA(上のパネル)、(-)鎖のHCV RNA(中央のパネル)、またはβ-アクチンのRNA(下のパネル)の検出を示すゲルの写真である。対照レーンは上述の通りであり、マウス10はRPA法でのみ分析した。文字および数字の意味は図10Aと同じである。 【図11】抗HCV抗体を用いて対照肝臓(図11A)およびHCV感染肝臓(図11B)の切片を対象として実施した免疫組織学的分析を示す写真である。 【図12】キメラAlb/uPA移植マウスの血清中のApoB100を検出するウェスタンブロットの写真である(レーン2)。ヒト血清(レーン1)およびAlb/uPA非移植マウスの血清(レーン3)をそれぞれ正および負の対照として用いた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】503342432 【氏名又は名称】ケイエムティー ヒパテック インコーポレイテッド
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| 【出願日】 |
平成19年7月24日(2007.7.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100102978 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 初志
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| 【公開番号】 |
特開2008−22853(P2008−22853A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月7日(2008.2.7) |
| 【出願番号】 |
特願2007−191518(P2007−191518) |
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