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【発明の名称】 潜水式フロート
【発明者】 【氏名】中野 誠一

【要約】 【課題】波が荒れても結束ロープが切断したり漁網が破れたりするおそれを少なくした潜水式フロートを提供する。

【構成】漁網(30)を吊り下げ姿勢に維持するのに用いられるフロートにおいて、中空状の本体(11)は下半部(11A)が逆台形状の底辺と左右の傾斜辺とを有する断面形状を長手方向に連続させ、かつ上半部(11B)が左右の傾斜辺の上端間を接続する断面円弧状を長手方向に凹凸状に連続させた立体形状をなしている。中空状の本体の上半部はその凹状部分を粗面(11C)に形成するのがよい。また、中空状の本体の長手方向の両端には結束用ロープが結束される取付け耳部(12)を形成するのがよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
漁網を水中にて吊り下げ姿勢に維持するのに用いられるフロートにおいて、
中空状の本体は下半部が逆台形状の底辺と左右の傾斜辺とを有する断面形状を長手方向に連続させ、かつ上半部が上記左右の傾斜辺の上端間を接続する断面円弧状を長手方向に凹凸状に連続させた立体形状をなしていることを特徴とする潜水式フロート。
【請求項2】
上記中空状の本体の上半部はその凹状部分が粗面に形成されている請求項1記載の潜水式フロート。
【請求項3】
上記中空状の本体の長手方向の両端には結束用ロープが結束される取付け耳部が形成されている請求項1記載の潜水式フロート。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は潜水式フロートに関し、特に波が荒れても結束ロープが切断したり漁網が破れたりするおそれを少なくしたフロートに関する。
【背景技術】
【0002】
養殖用の生け簀や定置網では多数のフロートを使用して生け簀や漁網を所望の姿勢に維持することが行われる。例えば、定置網を設置する場合、フロートの挿通孔に漁網ロープを挿通し、漁網ロープに漁網を吊り下げる方式と、フロートの取付け耳部と漁網ロープとを結束ロープで結束し、漁網ロープに漁網を吊り下げる方式とが知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0003】
ところで、台風などの影響によって水面が荒れると、設置した定置網は荒波をかぶって水中に引き込まれた状態となるが、フロートの浮上機能によってその設置場所にそのままの姿勢に維持される。
【0004】
【特許文献1】特許第3723111号公報
【特許文献2】特開平08−9836号公報
【特許文献3】特開2001−69873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のフロートでは円筒状、球状、紡錘状といった形状が広く採用されており、フロートが荒波をかぶると、その形状に起因して大きな浮力が作用し、漁網ロープや結束ロープにも大きな引き上げ力が加わり、結束ロープが切断したり漁網が破れたりするという問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑み、波が荒れても結束ロープが切断したり漁網が破れたりするおそれを少なくしたフロートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明に係るフロートは、漁網を吊り下げ姿勢に維持するのに用いられるフロートにおいて、中空状の本体は下半部が逆台形状の底辺と左右の傾斜辺とを有する断面形状を長手方向に連続させ、かつ上半部が上記左右の傾斜辺の上端間を接続する断面円弧状を長手方向には凹凸状に連続させた立体形状をなしていることを特徴とする。
【0008】
台風などに起因して水面が荒れ、波高が3m程度の時には周期3秒ないし4秒程度、波高が2m程度の時には周期2秒ないし3秒程度、波高が1m程度の時には周期1秒程度の波が押し寄せる。
【0009】
本発明の特徴の1つはフロートの中空状本体の下半部を逆台形状の底辺と左右の傾斜辺とを連続させた形状、上半部を円弧状を長手方向に凹凸状に連続させた形状に形成した点にある。
【0010】
これにより、フロートの下半部は左右の傾斜面に沿って水が流れやすいので、フロートが水中に沈む時に水から受ける抵抗力及び沈んで浮かぶ時に水から受ける浮力は他の形状、例えば円筒状や球状の場合に比して小さくなる。他方、フロートの上半部の面積はその凹凸形状に起因して大きくなるので、波がフロート上半部の表面に乗りやすく、フロートが水中に沈んだ時に水がフロートを上方から押さえる力が作用する。
【0011】
すると、波が高い時ほどフロートは潜りやすく、つまり潜水能力が高く、又潜水中はフロートを上方から押さえる力が働き、フロートは例えば波高3mの荒波の時においても波の周期3秒ないし4秒の間に波の上まで浮上するのは難しく、静かな時の水面の高さを維持して浮沈の差が少ない。他方、波が低い時には静かな時の水面の高さに維持される。
【0012】
その結果、フロートが急激に浮上することはないので、漁網ロープや結束ロープには過大な引き上げ力が加わることはなく、結束ロープが切断し漁網が破れるおそれを少なくできる。
【0013】
フロート上半部の凹凸の数は特に限定されず、下記の実施形態に示されるように2つの凸状部分と1つの凹状部分の組合せとすることもできるが、複数の凹状部分と凸状部分の組合せとすることもできる。フロートの上半部において波を乗りやすくさせる上で、上半部の凹状部分を粗面、例えば適切な大きさの凹凸面に形成するのがよい。
【0014】
フロートの本体には結束ロープを結束する必要がある。そこで、中空状の本体の長手方向の両端には結束用ロープが結束される取付け耳部を形成するのが好ましい。
【0015】
フロートは水面に浮くことができれば特に材質は限定されず、例えばプスラチック材料やアルミニウム系合金などの金属材料を用いて製作されることができる。
【0016】
フロートの下半部は左右の傾斜面に沿って水が流れやすくかつ浮力の少ない形状であればよいので、逆台形状の底辺と左右の傾斜辺は凹状又は凸状に多少湾曲していても許容される。
【0017】
また、本発明に係るフロートは定置網の設置に用いると効果が大きいが、養殖用の生け簀、航路標識や遊泳禁止区域標識として用いるブイなどにも適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図3は本発明に係る潜水式フロートの好ましい実施形態を示す。図において、潜水式フロート10は漁網ロープ31と結束ロープ32によって結束され、漁網ロープ31は漁網30の上端縁に挿通して取付けられている。
【0019】
潜水式フロート10はプラスチック材料又は金属材料を用いて製作され、中空状の本体11の長手方向の両端面には取付け耳部12が一体に形成されている。中空状の本体11の下半部11Aは逆台形状の底辺と左右の傾斜辺とからなる断面形状を長手方向に連続させ、かつ両端部を先端になるほど厚みを薄くした立体形状に形成されている。
【0020】
また、中空状の本体11の上半部11Bは左右の傾斜辺の上端間を接続する断面円弧状を長手方向に凹凸状に連続させるとともに下半部11Aの両端部と滑らかに連続させた立体形状に形成され、又上半部11Bの凹状部分は複数の小突起11Cが形成されて粗面となっている。
【0021】
今、海が荒れて潜水式フロート10が荒波をかぶると、図3に示されるように、海水は下半部11Aの傾斜面に沿って抵抗少なく流れやすく(図3の矢印A参照)、しかも両端になるほど厚みを漸減させているので、潜水式フロート10は抵抗少なく波の中に潜って行く。
【0022】
また、波の中の潜水式フロート10は海水から浮力を受けて浮上しようとするが、潜水式フロート10の下半部11Aは海水がその傾斜面に沿って抵抗少なく流れやすい形状、つまり浮力の少ない形状であるので、潜水式フロート10が海水から受ける浮力は他の形状、例えば円筒状や球状に比して小さい。
【0023】
また、潜水式フロート10の上半部11Bは円弧状を長手方向に凹凸状に連続させた立体形状に形成され、表面積が大きいので、波が潜水式フロート10の上半部11Bに乗りやすい。しかも、潜水式フロート10の上半部11Bの凹状部分は粗面となっているので、海水は上半部11Bが平滑な面の場合に比して上半部11Bの凹状部分の上をスムーズに流れ難い(図3の矢印B参照)。つまり、潜水式フロート10は波が高いほど潜水能力が高い。
【0024】
その結果、潜水式フロート10は波が荒れても静かな時の水面の高さをほぼ維持し、大きく浮き沈みせず、又波が小さい時には潜水式フロート10は静かな時の水面の高さをほぼ維持されるのて、漁網ロープ31や結束ロープ32に過大な荷重が加わることはなく、結束ロープ32が切断し漁網30が破れるおそれは少ない。
【0025】
なお、上記の例ではフロート本体11の上半部11Bを2つの凹状部分と3つの凸状部分とを組合せた形状としたが、1つの凹状部分と2つの凸状部分とを組合せた形状とすると、製造が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るフロートの好ましい実施形態の使用例を示す図である。
【図2】上記実施形態を示す概略斜視図である。
【図3】上記実施形態における作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0027】
10 フロート
11 本体
11A 下半部
11B 上半部
11C 粗面
12 取付け耳部
30 漁網
31 漁網ロープ
32 結束ロープ
【出願人】 【識別番号】598011695
【氏名又は名称】中野 誠一
【出願日】 平成18年7月12日(2006.7.12)
【代理人】 【識別番号】100071434
【弁理士】
【氏名又は名称】手島 孝美


【公開番号】 特開2008−17747(P2008−17747A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−191198(P2006−191198)