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【発明の名称】 釣竿
【発明者】 【氏名】中尾 雅好

【氏名】奥 徳隆

【要約】 【課題】急激な釣竿操作の際にも破損し難く、釣竿をシャープに操作することができる釣竿を提供すること。

【構成】魚釣用リール8を取付けるリール脚固定装置20を装着すると共に内部に収容した元竿16が前端から延出する中空構造のグリップ部材24と、このグリップ部材24と内部に収容した元竿16との間に軸方向に間隔をおきかつ少なくとも1つがリール脚固定装置20と軸方向に沿って重なる位置に介挿され、グリップ部材24と元竿16との間で力を伝達する複数の力伝達部材30,32と、これらの力伝達部材30,32の間に配置され、グリップ部材24の内面を支えてグリップ部材24の局部的な変形を抑制するスペーサ部材38とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚釣用リールを取付けるリール脚固定装置を装着すると共に内部に収容した竿杆が前端から延出する中空構造のグリップ部材と、このグリップ部材と内部に収容した竿管との間に軸方向に間隔をおきかつ少なくとも1つが前記リール脚固定装置と軸方向に沿って重なる位置に介挿され、グリップ部材と竿管との間で力を伝達する複数の力伝達部材と、これらの力伝達部材の間に配置され、グリップ部材の内面を支えてグリップ部材の局部的な変形を抑制するスペーサ部材とを備えることを特徴とする釣竿。
【請求項2】
前記グリップ部材の前端と前記竿杆との間に、柔軟性部材が介挿される請求項1に記載の釣竿。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に関し、特に、魚釣用リールを固定するリール脚固定装置をグリップ部材に装着した釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、釣竿のリール脚固定装置には、魚とやり取りする際に、魚釣用リールを介して大きな負荷が作用する。特に小径の竿杆を用いた釣竿の場合には、軽量化と共に操作性を向上させるため、コルクや発泡性樹脂により握り用のグリップ部が設けられる。
【0003】
例えば、細径かつ軽量の竿杆で形成されるルアーロッドのグリップ部に、その竿杆よりも大径のグリップ筒を配置し、このグリップ筒を芯材である竿杆で保持するため、グリップ筒の前部と後部に環状の支持スペーサを配置することで、ハンドル部の強度を保持しつつ軽量化を図ったものが開発されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
このルアーロッドのグリップ筒は、竿杆の外側に接着固定されたリールシート本体の後方に取付けられ、支持スペーサには肉抜き空洞部が設けられる。
【特許文献1】特開2005−102547
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなグリップ筒を備えた釣竿は、ハンドル部の強度の保持と軽量化とを同時に解決しつつ竿杆の破損を防止するものではあるが、例えば、より大きな魚を対象とした実釣時に、釣竿を両手で持って激しく上下させて水中の仕掛けを動かす等の操作を行う際にも竿杆が破損し難く、しかも釣人の操作が釣竿に敏感に伝達することのできる釣竿が臨まれている。
【0006】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、急激な釣竿操作の際にも破損し難く、釣竿をシャープに操作することができる釣竿を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明によると、魚釣用リールを取付けるリール脚固定装置を装着すると共に内部に収容した竿杆が前端から延出する中空構造のグリップ部材と、このグリップ部材と内部に収容した竿管との間に軸方向に間隔をおきかつ少なくとも1つが前記リール脚固定装置と軸方向に沿って重なる位置に介挿され、グリップ部材と竿管との間で力を伝達する複数の力伝達部材と、これらの力伝達部材の間に配置され、グリップ部材の内面を支えてグリップ部材の局部的な変形を抑制するスペーサ部材とを備えることを特徴とする釣竿が提供される。
【0008】
前記グリップ部材の前端と前記竿杆との間に、柔軟性部材が介挿されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の釣竿によると、グリップ部材にリール脚固定装置が装着されていることにより、魚釣用リールを介して作用する負荷を竿杆を介することなく、グリップ部材を介して直接支え、このグリップ部材から複数の力伝達部材を介して竿杆に操作力を効率よく伝達し、更に、グリップ部材に局部的に大きな力が作用しても、スペーサ部材が局部的な変形を抑制することができ、激しい操作を行う場合であっても竿杆の破損を防止しつつ操作性を向上させることができる。
【0010】
また、グリップ部材の前端と竿杆との間に、柔軟性部材が介挿される場合には、リール脚固定装置の前端が応力集中により破損するのが防止され、竿杆が大きな荷重が作用して変形した場合であっても、この変形が柔軟性部材で吸収され、リール脚固定装置の変形を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1および図2は、本発明の好ましい実施形態による釣竿10を示す。
【0012】
図1にその全体の概略を示すように、本実施形態の釣竿10は、振出し式の中通し釣竿として形成してあり、竿尻側に握り部12と尻栓14とを設けた元竿16と、この元竿16の穂先側に配置した先竿18を有する。この先竿18は、基端外周面と元竿16の先端内周面とが継合部Pで継合される振り出し構造であって、元竿16に収納される。これらの元竿16および先竿18は、強化繊維に合成樹脂を含浸させた繊維強化プリプレグ(FRP)を芯金に巻回した後、硬化、脱芯等の通常の工程を経て形成される。
【0013】
この釣竿10の竿管の継数については上述の2本に限定されることはない。例えば元竿16と先竿18との間に図示しない1本または複数本の中竿を配置してもよく、一方、先竿18を省略した元竿16のみを有する、いわゆる1本竿であってもよい。
【0014】
本実施形態の元竿16は、握り部12の前部に、例えばスピニングリール等の各種の魚釣用リール8を固定するリール脚固定装置20が設けられ、この穂先側には、魚釣用リール8から延びる釣糸を側面から元竿16内に導入する釣糸導入ガイド22が糸巻き等、公知の固定手段によって取付けられている。この釣糸導入ガイド22は、元竿16と先竿18との継合部Pの後側(尻栓14側)に近接させて設けられており、先竿18を元竿16から振出し継合させた際、この先竿18の基端側に設けた図示しない栓体への糸通し作業を行い易くしてある。
【0015】
この釣糸導入ガイド22を通って魚釣用リール8から元竿16の内部に導入された釣糸は、先竿18の内部を通り、先竿18の先端に固定されたトップガイド6から外部に繰出される。
【0016】
図2に詳細に示すように、握り部12は、竿杆である元竿16の竿尻側端部を内部に収容する中空構造のグリップ部材24の竿尻側すなわち後端側に設けられる。このグリップ部材24は、繊維強化合成樹脂あるいは合成樹脂により、先側に位置する小径の先部24aとこの先部24aから後端部に向けて次第に拡径する拡径部24bとこの拡径部24bに連続する元部24cとを有する硬質の中空円筒状構造に形成してあり、この拡径部24bおよび元部24cにわたる外周部に握り部12が形成される。本実施形態のグリップ部材24は、先部24aから元部24cまでその全長にわたってほぼ均等な肉厚に形成してあるが、このグリップ部材24の後端に向けて肉厚を厚くすることにより、剛性を増大することができる。
【0017】
このグリップ部材24を形成する繊維強化合成樹脂は、例えば炭素繊維等の強化繊維に、エポキシ等の樹脂を含浸したものが好ましい。また、合成樹脂は、例えばポリアミド(PA)が好ましい。また、グリップ部材24は、先部24aの外径がほぼ18mm程度で長さがほぼ200mm程度、元部24cの外径がほぼ24mm程度で長さがほぼ60mm程度に形成し、その先部24aから元部24cまでの全長はほぼ385mm程度に形成することが操作性を向上させる上で好ましい。また、肉厚については、ほぼ1mmで、全長にわたって均等にあるいは後端に向けて厚肉化して剛性をあげ、釣竿のシャープな操作を可能にしている。
【0018】
このような円筒状のグリップ部材24の先部24aの外周部に、リール脚固定装置20が固定される。本実施形態のリール脚固定装置20は、魚釣用リール8の取付脚を載置して固定するリール脚載置面26aを一側に配置したパイプ状のリールシート本体26を備えており、先端側に形成した糸巻き28により、このリールシート本体26が先端側に位置ずれを生じるのを防止している。このリールシート本体26の位置ずれ防止用の糸巻き28に代え、合成樹脂あるいは金属でリング状に形成した部材を設けることも可能である。また、パイプ状のリールシート本体26に代えて板状のリールシート(図示しない)を設けることも可能である。
【0019】
このように、グリップ部材24の小径に形成される先部24aにリール脚固定装置20を設け、拡径部24bおよび大径の元部24cで握り部12を形成することにより、リール脚固定装置20を持つ一方の手と、握り部12を持つ他方の手との両方の手で釣竿10を持った際に、両方の手はほぼ同径の部分を握ることになり、握りやすく、釣竿10の操作が容易となる。更に、拡径部24bおよび元部24cが拡径されていることにより、後述するように一体化される元竿16の剛性の向上も図れる。
【0020】
このグリップ部材24の内側には、先部24aから拡径部24bを介して元部24cに至るまで、元竿16の後端部が収容される。このグリップ部材24の後端は、内周面に形成した雌ネジに螺合される尻栓14で密閉され、このグリップ部材24の前端から元竿16である竿杆が延出する。この元竿16の後端部は、尻栓14に隣接した状態すなわちグリップ部材24のほぼ全長にわたって元竿16が挿通されており、後述する力伝達部材により、例えば外径がほぼ10mm程度の比較的細径の元竿16であっても、握り部12を含む元竿16の後端側の全体の剛性を高めることができる。
【0021】
本実施形態では、元竿16が延出する前端側の位置と、尻栓14に隣接する後端側の位置との軸方向に間隔をおいた位置に、グリップ部材24と元竿16との間で力を伝達する本実施形態では2つの力伝達部材30,32が介挿されている。これらの力伝達部材30,32は、元竿16とグリップ部材24との間で力を迅速かつ確実に伝達するために、例えばABS樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂等の硬質樹脂、あるいはアルミニウム、ステンレス等の金属で形成することが好ましい。これらの力伝達部材30,32は、長さがほぼ10mm程度で、元竿16を内部に挿通する内孔を貫通させた円筒状形状に形成し、それぞれの端部の内周側および外周側縁部を面取りしあるいは曲面状に形成することにより、元竿16およびグリップ部材24に作用する応力を分散させることが好ましい。
【0022】
このような円筒状形状の力伝達部材30,32は、元竿16とグリップ部材24との間で、例えば一方の力伝達部材30のようにリール脚固定装置20のリールシート本体26の内側すなわち軸方向に重なる位置に配置し、他方の力伝達部材32をこれから軸方向に間隔をおいて配置することにより、グリップ部材24と元竿16とのガタツキを防止しつつ、元竿16に対する握り部12およびリール脚固定装置20の一体性を確保して剛性を向上させることができる。これらの力伝達部材30,32は、接着剤によりグリップ部材24および元竿16に対して固定することが可能だが、軸方向移動を阻止できるものであれば、内径がほぼ一定の先部24aおよび元部24cに例えば圧入等により装着することも可能である。
【0023】
特に、リールシート本体26の内側に配置される力伝達部材30は、リールシート本体26がグリップ部材24を元竿16の軸線方向に付勢する荷重を受けて元竿16に均等に伝達すると共に、リールシート本体26の変形を抑制することにより、接着剤の剥がれを防止する。これにより、リールシート本体26を介して大きな力を繰返し作用しても、長期間にわたって品質を維持することができる。
【0024】
また、グリップ部材24の前端側に配置される力伝達部材30は、先端部がグリップ部材24の前端から後方に引き込まれた位置に配置されており、このグリップ部材24の前端部と元竿16との間に形成される環状の間隙内に、柔軟性部材34が介挿されている。この柔軟性部材34は、グリップ部材24の前端を超えて先側に延び、糸巻き28よりも僅かに大きな外径に拡径された円筒状の先端部34aを形成する。この柔軟性部材34の先端部34aは、前端の縁部が面取りした湾曲面に形成されている。
【0025】
このような先端部34aを有する柔軟性部材34は、グリップ部材24と元竿16との間に荷重を分散して伝達することにより、応力集中を防止し、いわゆる支点折れを防止することができる。この応力集中の抑制は、リールシート本体26の前端をグリップ部材24の前端よりも後方に引き込めた位置に配置することにより、更に向上される。
【0026】
このような柔軟性部材34を収容する環状の間隙は、応力集中防止のために、径方向の肉厚をほぼ2mm程度、軸方向長さをほぼ10mmとするのが好ましく、このような柔軟性部材34およびその先端部34aは、エチレン酢酸ビニル樹脂あるいはウレタン樹脂等の柔軟な合成樹脂発泡材料、またはコルク、ゴム、エラストマー等の材料で形成することが好ましい。
【0027】
本実施形態では、他方の力伝達部材32はグリップ部材24の後端側に配置されており、元竿16の後端から拡径しつつ後方に延びる傾斜面36を有する。この傾斜面36は、尻栓14を取外したときに、先竿18(図1参照)を元竿16内に滑らかに案内できるものであれば、軸線方向に対して適宜の傾斜角で傾斜するものであってもよい。釣竿10がこのように元竿16内に先竿18を収容する振出し式の場合には、内部に収容した先竿18の基端部を損傷しないために、元竿16の基端部に対向する尻栓14の内端面に、例えばゴム等の弾性材を配置しておくのが好ましい。また、この尻栓14はグリップ部材24の後端を保護するために、例えば弾性体あるいは力伝達部材32と同様な材料で形成することが好ましい。
【0028】
更に、力伝達部材30,32間には、グリップ部材24の内面を支えてグリップ部材24の局部的な変形を抑制するスペーサ部材38が配置されている。本実施形態のスペーサ部材38は、先側の力伝達部材30から少なくともリールシート本体26の後端26bを超える位置まで延在する円筒状部材で形成してある。これにより、例えばリールシート本体26の後端26bからグリップ部材24に大きな荷重が作用しても、スペーサ部材38で支えられる。
【0029】
このスペーサ部材38は、グリップ部材24が局部的な荷重で変形するのを防止できるものであれば適宜の材料で形成することができ、例えばエチレン酢酸ビニル樹脂あるいはウレタン樹脂等で形成される軽量かつ比較的硬質の発泡材、または、コルク等で形成するのが好ましい。いずれの場合であっても、スペーサ部材38は、グリップ部材24の内面と元竿16の外面との双方に当接して、グリップ部材24の変形を抑えて支点折れが生じ難い材料および形状に形成する。
【0030】
本実施形態では、このスペーサ部材38と後側の力伝達部材32との間に、何等の部材を配置しない空間部40を設け、釣竿10を軽量化している。更に、この空間部40にも、上述のようなスペーサ部材38を配置し、グリップ部材24の変形を抑えるようにしてもよい。
【0031】
このように形成される釣竿10は、グリップ部材24と内部に収容した元竿16との間に配置した力伝達部材30,32が、リール脚固定装置20のリールシート本体26に作用する荷重を確実に支えると共に、極めて迅速に力を伝達することができ、これにより激しい釣竿10の上下動作にも耐えることができる。このような急激な釣竿操作で、リールシート本体26を介して局部的な荷重がグリップ部材24に作用した場合であっても、スペーサ部材38がこのグリップ部材24の内面を支えて変形を防止することで、このグリップ部材24の剛性が向上し、実釣時やキャスト時の釣竿10の操作性を向上することができる。
【0032】
また、グリップ部材24の前端部と元竿16との間に介挿される柔軟性部材34は、リールシート本体26の先端を介する応力集中を防止して、元竿16およびグリップ部材24が破損するのを防止することができる。また、元竿16に作用する荷重によりグリップ部材24およびリールシート本体26の変形を、この柔軟性部材34が抑制し、これにより接着剥がれを防止することができる。
【0033】
なお、上述では、2つの力伝達部材30,32を配置した実施形態について説明してきたが、少なくとも1つがリールシート本体26の内側に配置されるものであれば、3つ以上配置してもよい。また、スペーサ部材38はグリップ部材24の局部的な変形を防止できるものであれば、先側の力伝達部材30との間に空隙部を配置してもよく、更に、複数であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の好ましい実施形態による釣竿の全体図。
【図2】図1に示す釣竿の元部の部分断面図。
【符号の説明】
【0035】
8…魚釣用リール、10…釣竿、12…握り部、14…尻栓、16…元竿、20…リール脚固定装置、24…グリップ部材、30,32…力伝達部材、38…スペーサ部材。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100100952
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 鉄也


【公開番号】 特開2008−11703(P2008−11703A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−182730(P2006−182730)