トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 釣り用引き舟
【発明者】 【氏名】荻野 吉英

【要約】 【課題】安定した姿勢を保ちつつ引き寄せることが可能な釣り用引き舟を提供すること。

【構成】魚を入れる引き舟本体12の船首側からU字状に突出するハンドルロープ14に、支持体16を介して牽引ロープ18を取付け、この牽引ロープ18により、水の流れに抗して引き舟本体12を牽引可能とした釣り用引き舟10であって、引き舟本体12と支持体16との少なくとも一方に、牽引ロープ18による牽引方向の変化に応じてハンドルロープ14に沿って移動するローラ48を設け、牽引方向の変化に伴う船首側の回動を抑制した釣り用引き舟10。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚を入れる引き舟本体の前部側からU字状に突出するハンドルロープの中間部に、支持体を介して牽引ロープを取付け、この牽引ロープにより、水の流れに抗して引き舟本体を牽引可能とした釣り用引き舟であって、
前記引き舟本体と支持体との少なくとも一方に、牽引ロープによる牽引方向の変化に応じて前記ハンドルロープが移動するための誘導体を設けたことを特徴とする釣り用引き舟。
【請求項2】
前記誘導体は、外周部に前記ハンドルロープが巻掛けられるローラであることを特徴とする請求項1に記載の釣り用引き舟。
【請求項3】
前記支持体は、前記ハンドルロープが出入りする一対の開口を有し、水面に沿って移動可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の釣り用引き舟。
【請求項4】
前記支持体は、前記ハンドルロープが出入りする一対の開口を有し、前記誘導体は、これらの開口間で支持体に形成された支持ブロックを有し、前記一対の開口を介して出入りするハンドルロープがこの支持ブロックに形成された円弧状面に巻掛けられ、前記牽引方向が変化したときに、支持ブロックの円弧状面を介してハンドルロープが摺動することを特徴とする請求項1に記載の釣り用引き舟。
【請求項5】
前記ローラは、支持体に設けられ、前記ハンドルロープは引き舟本体の前部の離隔した2つの位置に固定されることを特徴とする請求項2に記載の釣り用引き舟。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、魚を入れる引き舟本体の前部船首側からU字状に突出するハンドルロープに、支持体を介して牽引ロープを取付け、この牽引ロープにより、水の流れに抗して引き舟本体を牽引可能とした釣り用引き舟に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば鮎釣り等では、活きの良いおとりの魚を収容する釣り用引き舟が用いられている。このような釣り用引き舟は、釣人が流れの中に立ち入り、牽引ロープを介して水の流れの中に引き流しておき、必要に応じて牽引ロープを引き寄せ、引き舟本体の中に収容したおとりの魚と交換し、あるいは釣れた魚を活きた状態で泳がせておく。
【0003】
このような釣り用引き舟には、魚を入れる引き舟本体の前部すなわち船首側で左右に離隔した部位から長短2本のロープを延設し、短いロープの先端を固定すると共に長いロープの中間部を固定する把手本体に、この長いロープの固定及び解放機構を設け、これらの把手本体及びロープが形成するループ状の把手の大きさを調整するものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平3−71772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の釣り用引き舟は、釣人から離れた位置で水の流れにまかせて引き流しておく状態では、前部すなわち舟首側が水の流れに対向する姿勢を保持し、安定した状態を維持することができるものであるが、しかし、牽引ロープを引いて釣人の近くに引き寄せる際、水の流れを横切る方向に寄せたり、釣人が流れの中で移動すると、水の流れに対して斜めの方向を向く。このため、水から受ける抵抗が大きくなる。更に、斜め方向から水の抵抗を受けることで、引き舟の動きが不自然となり、転覆し易く、内部に収容した魚を傷付ける虞が高くなる。
【0005】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、安定した姿勢を保ちつつ引き寄せることが可能な釣り用引き舟を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明によると、魚を入れる引き舟本体の前部側からU字状に突出するハンドルロープに、支持体を介して牽引ロープを取付け、この牽引ロープにより、水の流れに抗して引き舟本体を牽引可能とした釣り用引き舟であって、前記引き舟本体と支持体との少なくとも一方に、牽引ロープによる牽引方向の変化に応じて前記ハンドルロープが移動するための誘導体を設けた釣り用引き舟が提供される。
【0007】
前記誘導体は、外周部に前記ハンドルロープが巻掛けられるローラであってもよい。
【0008】
また、前記支持体は、前記ハンドルロープが出入りする一対の開口を有し、水面に沿って移動可能であることが好ましい。
【0009】
前記牽引ロープは、捩れ防止手段を介して前記支持体に取付けられることが好ましい。
【0010】
前記支持体は、前記ハンドルロープが出入りする一対の開口を有し、前記誘導体は、これらの開口間で支持体に形成された支持ブロックを有し、前記一対の開口を介して出入りするハンドルロープがこの支持ブロックに形成された円弧状面に巻掛けられ、前記牽引方向が変化したときに、支持ブロックが円弧状面を介して支持体と共にハンドルロープ上を摺動することも可能である。
【0011】
更に、前記ローラは、支持体に設けられ、前記ハンドルロープは引き舟本体の前部の離隔した2つの位置に固定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の釣り用引き舟によると、牽引ロープの一端を保持して引き舟本体を引き流した状態から、牽引ロープを水の流れに対して斜めの方向に引くと、牽引方向の変化に応じて誘導体がハンドルロープに沿って移動する。水の流れに対して、引き舟本体の姿勢が変化することを防止する。これにより、水の流れに対して斜めに引き込んだ場合であっても、引き舟本体を安定した姿勢を保ちつつ引き寄せることができる。
【0013】
誘導体を、ハンドルロープが巻掛けられるローラで形成する場合には、極めて簡単に移動させることができる。
【0014】
支持体が水面に沿って移動する場合には、ハンドルロープに無理な力を作用させることなく、水の流れに対して斜めの方向であっても、引き舟本体を滑らかに引き寄せることができる。
【0015】
更に、誘導体が支持体に形成された支持ブロックを有し、この支持ブロックの円弧状面に沿ってハンドルロープが摺動する場合には、極めて構造が簡略化される。
【0016】
更にローラが支持体に設けられ、ハンドルロープは引き舟本体の前部の離隔した2つの位置に固定される場合には、ハンドルロープを介して引き舟本体を吊り下げたときに、安定して保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1から図6は、本発明の好ましい実施形態による釣り用引き舟10を示し、図1および図2は、鮎の友釣り釣り等の実釣り中に、釣り人が引き舟本体12を川の流れの中に引き流している状態を示す。
【0018】
この釣り用引き舟10は、おとりの魚を活きた状態で泳がせておく引き舟本体12の前部すなわち船首側から左右対称状のU字状あるいはループ状にハンドルロープ14を突出し、支持体16を介してこのハンドルロープ14に取り付けた牽引ロープ18により、水の流れに抗して引き舟本体12を牽引することができる。通常、この牽引ロープ18の先端には、釣人の腰ベルトWに結合するベルト取付具20が取り付けられている。通常の持運びの際は、ハンドルロープ14を取っ手として用いることで、移動を容易に行うことができる。
【0019】
本実施形態の引き舟本体12は、前部の外面形状が左右対称的な船形に形成されたその船首部に、水を取入れる入水孔22を有し、上側には、おとりの魚を取り出すための魚取出口24が形成されている。この魚取出口24は、一端側が引き舟本体12にヒンジ26を介して取付けられた蓋体28で閉じられており、他端側に設けられた摘み30を介して自在に開閉することができる。更に、この蓋体28の中央には、一対の板状の蓋32を配置した魚投入口34が形成されている。この蓋32は、魚を投入する際に、その重みで開き、この引き舟本体12からの飛び出しを防止する。
【0020】
この引き舟本体12の前部からU字状に突出するハンドルロープ14は、両端を引き舟本体12の前部で、船首すなわち前部側を通る縦方向中心線(図示しない)を中心として左右対称でかつ深さ方向にも等しい互いに離隔した位置に固定されるのが好ましい。ハンドルロープ14の端部が、引き舟本体12の前部の離隔した2つの位置に固定されることにより、ハンドルロープ14を介して引き舟本体12を吊り下げたときに、安定して保持することができ、また、安定して流れに引き流すことができる。このハンドルロープ14には、牽引ロープ18の一端を取付けた支持体16が装着されている。
【0021】
図3および図4に示すように、本実施形態の支持体16は、ほぼ等脚台形状に側壁部を延設したベース部材36と、このベース部材36の開口部に嵌合するカバー部材38とを有し、これらのベース部材36とカバー部材38とを互いに嵌合して一体化したときに、内部に台形状の内部空間40を形成する。
【0022】
このベース部材36の短辺側の側壁部36aには、前部孔42が貫通して形成されており、この前部孔42に挿通された牽引ロープ18の端部が、内部空間40内に配置した係止リング44で抜け止めされている。この係止リング44は支持体16に対して自由に回転することができる。したがって、係止リング44は、支持体16に対して牽引ロープ18の捩れを防止する捩れ防止手段として作用し、牽引ロープ18が複雑な動きで捩れた場合であっても、支持体16およびハンドルロープ14を介して引き舟本体12に複雑な力が作用するのを防止する
このベース部材36の底壁36bから内部空間40内に上下方向に支持軸46が突出し、この支持軸46に、誘導体として、後述するローラ48が回転自在に装着される。支持軸46の先端はカバー部材38に形成した貫通孔あるいは凹部50に嵌合し、このカバー部材38を介してベース部材36で支えられる。この支持軸46は、牽引ロープ18を挿通する前部孔42の軸線と直交する方向に延在するのが好ましい。
【0023】
また、ベース部材36の長辺側の側壁部36cから隣接する脚部側の側壁部36d,36eにかけての引き舟本体12側(の両側)に、ハンドルロープ14を挿通する長孔52a,52bが形成されている。これらの長孔52a,52bを介してハンドルロープ14が支持体16の内部空間40に導かれ、これから繰出される。これらの長孔52a,52bは、ハンドルロープ14を支持体16内部空間40内に移動自在に保持できるものであればどのようなものでもよく、互いに連続させてもよい。
【0024】
これらの長孔52a,52bを介して支持体16の内部空間40内に延びるハンドルロープ14は、支持軸46に装着されたローラ48に巻掛けられ、これらの長孔52a,52b間で、側壁部36d,36eとローラ48との間に形成される案内路により、ローラ48から脱落しないように保持される。このローラ48は、図4に示すように、ハンドルロープ14を案内する外周溝48aを有し、この外周溝48aを介してハンドルロープ14に摩擦係合している。このローラ48は、引き舟本体12に作用する力を支えつつ支持軸46上を回動することができるものであれば、適宜の材料で形成することができ、錆びの発生を防止するために、樹脂製であることが好ましい。また、必要な場合には、適宜の軸受(図示しない)を介して支持軸46上に回転自在に装着してもよい。また、ハンドルロープ14との間に摩擦力を形成するために、外周溝48aの内面に滑り止めをほどこしてもよい。
【0025】
このような支持体16を介して牽引ロープ18をハンドルロープ14に取付けることにより、引き舟本体12を図3の実線で示す位置から二点鎖線で示す左右位置に揺動させると、誘導体であるローラ48が矢印rで示すように水平方向に回転しながらハンドルロープ14をその長さ方向に移動させ、ローラ48に沿って水平方向に移動回転させる。誘導体がローラ48で形成されていることにより、外周溝48aがハンドルロープ14を案内することで、このハンドルロープ14は脱落することなく、極めて簡単かつ滑らかに移動する。したがって、牽引ロープ18の方向は変化しない。逆に、牽引ロープ18を介する牽引方向を変化させても、U字状のハンドルロープ14は支持体16の誘導体のローラ48を介して取付けられたその両端側が支持体16から出入りするようにハンドルロープの長手方向に移動して、引き舟本体12から支持体16までの長さを変えることができるため、牽引ロープ18の方向と異なり、流れの上流に引き舟本体12の前部が向くようになっているため、引き舟本体12の船首方向は変化しない。引き舟本体12は、水の流れの方向を向くようになっている。
【0026】
図5は、実際に川の流れFの中で釣人が横方向に移動するときの引き舟本体12の状態を示す。
【0027】
図5の(A)に示すように、腰ベルトWに牽引ロープ18を止めた状態で釣人が矢印S方向に移動すると、支持体16を介してその両端側が長孔52a,52bから突出したハンドルロープ14はその両端側が長孔52a,52bから出入りするようにして水面に沿って移動し、引き舟本体12に不自然力を作用させない。これにより、引き舟本体12は流れFの方向を向いたまま、中央に示す釣人の下流側に移動する。逆に、矢印Pの方向に移動した場合も、引き舟本体12は、川の流れFに船首側を向けたまま、釣人の下流側に移動する。引き舟本体12は、船首側から抵抗を受けるため、抵抗を受ける面積が小さく、釣人に掛かる負荷も小さい。支持体16を介してハンドルロープ14が水面に沿って移動することにより、ハンドルロープ14がローラ48に誘導されて移動する際、引き舟本体12には不自然な力が作用しない。このため、釣り用引き舟10を水の流れに対して斜めに引き込んだ場合であっても、引き舟本体12を安定した姿勢を保ちつつ引き寄せることができる。内部に収容したおとりの活き活きとした状態を保つことができる。
【0028】
一方、図5の(B)に示すように、支持体9がハンドルロープ8に固定されている従来の釣り用引き舟7の場合は、引き舟本体6の船首部が常に牽引ロープ5の方向を向く。したがって、釣人が矢印Sあるいは矢印Pの方向に移動する際、引き舟本体6に流れFが作用する面積が増大し、釣人に大きな負荷が掛かる。また、引き舟本体6に対する斜め方向からの水の流れFで、引き舟本体6の動きが不自然で不安定になり、釣り人への負荷も大きく、転覆する可能性が高まる。また、引き舟本体6の不自然な動きにより転覆する虞があり、おとりに与える負荷も大きく、おとりが傷付く可能性も増大する。
【0029】
図6から図8は、他の実施形態による釣り用引き舟を示す。なお、以下に示す種々の実施形態あるいは変形例は、基本的には上述の実施形態と同様であり、同様な部位には同様な符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0030】
図6の釣り用引き舟10Aは、ハンドルロープ14をローラ58に固定したものである。ローラ58に対する固定は、図示のようにハンドルロープ14の切断端部を固定することに代え、巻掛けた状態で固定してもよい。また、ローラ58の周部に1回以上巻掛けた状態で固定してもよい。
【0031】
上述の実施形態と同様に、牽引ロープ18に対して引き舟本体12を揺動させても、牽引ロープ18の方向は変化せず、逆に、牽引ロープ18を介する牽引方向を変化させても引き舟本体は12は流れの方向を向いて、引き舟本体12の船首方向が変化することはない。
【0032】
図7は、引き舟本体12側にも支持軸66にローラ68を回転自在に装着し、このローラ68と、支持体16に設けたローラ46とに1本のハンドルロープ54を巻掛けたものである。図7に示すローラ68は、支持体16のローラ48よりも大径に形成してあるが、より小径のローラ(図示しない)を複数設けてもよい。
【0033】
図8は、誘導体として、ハンドルロープ14上を移動する支持ブロック78を設けたものである。この支持ブロック78は、支持体16のベース部材36と一体形成したもので、ハンドルロープ14が摺動する水平方向の円弧状面(誘導体)78aを有する。この実施形態では、長辺側の側壁部36cに形成してあるが、側壁部36cから離隔させて形成してもよい。このように円弧状の摺動面78aを形成した支持ブロック78を支持体16のベース部材36に形成することにより、構造を極めて簡略化することできる。なお、この場合のハンドルロープ14は、円弧状面78aを摺動し易い例えば合成樹脂繊維の紐等で形成することが好ましい。
【0034】
以上、種々の実施形態および変形例について説明してきたが、本発明の釣り用引き舟10はいずれか1つの実施形態あるいは変形例に限定されるものではなく、それぞれ適宜に変更し、組合せ可能なことは明らかである。例えば、図8に示す支持ブロック78で形成する誘導体と、図7に示す引き舟本体12に設けたローラ68とを組み合わせることも可能である。また、引き舟本体12の内部構造について様々に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の好ましい実施形態による釣り用引き舟の説明図。
【図2】図1の釣り用引き舟の拡大説明図。
【図3】図1の釣り用引き舟の作動を説明する説明図。
【図4】図3のIV−IV線に沿う部分断面図。
【図5】水の流れと釣り用引き舟の姿勢との関係を示し、(A)は図1の実施形態による引き舟の作動を示す説明図、(B)は比較例である従来の引き舟の作動を示す説明図。
【図6】他の実施形態による釣り用引き舟の図3と同様な説明図。
【図7】更に他の実施形態による釣り用引き舟の説明図。
【図8】更に他の実施形態による釣り用引き舟の図3と同様な説明図。
【符号の説明】
【0036】
10…釣り用引き舟、12…引き舟本体、14…ハンドルロープ、16…支持体、18…牽引ロープ、48…ローラ(誘導体)。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100100952
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 鉄也


【公開番号】 特開2008−11701(P2008−11701A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−182727(P2006−182727)