| 【発明の名称】 |
家畜飼育法 |
| 【発明者】 |
【氏名】汐見 修一
【氏名】加納 親一
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| 【要約】 |
【課題】抗生物質や消毒剤等の薬剤を使用せず、かつ、繁殖や育成の効率を向上させることができる家畜飼育法を提供する。
【構成】この家畜飼育法は、植物性培地で増殖培養した乳酸菌(例えばエンテロコッカスフェシウム、ラクトバチルスファーメンタム)を有効成分として含有する洗浄液により分娩後の家畜の子宮内を洗浄し、下痢症状を発症した授乳期の家畜の子に乳酸菌を経口投与し、家畜舎の水道水に乳酸菌を添加して湿度調節して植物性培地で増殖培養した乳酸菌を繁殖、育成に総合的に用いることで、豚の健康状態が良好に維持され、発育が良く肉質も良好で美味しい豚肉が生産され、また、残留有害物質等による人体への影響がなく安全である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物性培地で増殖培養した乳酸菌を有効成分として含有する洗浄液により分娩後の家畜の子宮内を洗浄することを特徴とする家畜飼育法。 【請求項2】 請求項1に記載された家畜飼育法において、前記乳酸菌の濃度は1.2×107個/ml以上であることを特徴とする家畜飼育法。 【請求項3】 下痢症状を発症した授乳期の家畜の子に植物性培地で増殖培養した乳酸菌を経口投与することを特徴とする家畜飼育法。 【請求項4】 請求項3に記載された家畜飼育法において、前記経口投与される乳酸菌は1日あたり1.2×1010個以上であることを特徴とする家畜飼育法。 【請求項5】 家畜舎の水道水に植物性培地で増殖培養した乳酸菌を添加することを特徴とする家畜飼育法。 【請求項6】 乳酸菌と植物性培地である栄養物のスラリー状にした混合物を乾燥室において噴霧し熱風で乾燥して粉体化し、該粉体を該熱風により送出管を介して前記乾燥室からそれよりも低温の粉体蓄積室に送出することで家畜飼育用乳酸菌パウダーを製造し、該家畜飼育用乳酸菌パウダーを家畜に対して用いることを特徴とする家畜飼育法。 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載された家畜飼育法において、前記乳酸菌はエンテロコッカス属及びラクトバチルス属のいずれかに属する1種又は2種以上の乳酸菌であることを特徴とする家畜飼育法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、豚、牛等の家畜についての飼育法(子宮内洗浄を含む)に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、家畜に対する抗生物質や消毒剤等の薬剤の投与による副作用、体内の有益菌までも殺してしまうために起こる免疫力の低下、耐性菌の出現、更に、家畜を食肉として供する際に、家畜の肉に残留する有害物質の人体への影響等が問題となっている。 【0003】 一方、本願発明者は、特許文献1、2において、乳酸菌に属するラクトバチルスファーメンタムを用いた家畜飼料添加物を飼料に加えることで、抗生物質等の薬剤を削減し或は投与することなく家畜の健康を良好に維持することを提案している。 【0004】 【特許文献1】特開2005−124433号公報 【特許文献2】特開2005−198536号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、畜産経営にとっては、家畜の健康維持だけではなく、その他繁殖や育成に係わる種々の場合に抗生物質や消毒剤等の薬剤を削減することが重要である。例えば、分娩後の子宮内等に炎症が生じた場合、ヨード系消毒剤(例えばイソジン(登録商標))を用いた子宮内洗浄が行われている。この洗浄によると、子宮壁の爛れ、微熱、それらによるストレスを引き起こす場合が有った。その代わりに生理食塩水を用いることもできるが、子宮内洗浄の効果は十分とは言えず、また、生理食塩水自体も汚染され易かった。 【0006】 本願発明者は、家畜飼料添加物として優れた性質を有する乳酸菌を家畜の繁殖や育成に係わる種々の場合に利用できないかどうか実験し研究を重ねた。その結果、以下に詳述する家畜飼育法(子宮内洗浄を含む)を案出するに至った。 【0007】 本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、抗生物質や消毒剤等の薬剤を使用せず、かつ、繁殖や育成の効率を向上させることができる家畜飼育法(子宮内洗浄を含む)を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記目的を達成するために、請求項1に記載の家畜飼育法は、植物性培地で増殖培養した乳酸菌を有効成分として含有する洗浄液により分娩後の家畜の子宮内を洗浄することを特徴とする。 【0009】 請求項2に記載の家畜飼育法は、請求項1に記載された家畜飼育法において、前記乳酸菌の濃度は1.2×107個/ml以上であることを特徴とする。 【0010】 請求項3に記載の家畜飼育法は、下痢症状を発症した授乳期の家畜の子に植物性培地で増殖培養した乳酸菌を経口投与することを特徴とする。 【0011】 請求項4に記載の家畜飼育法は、請求項3に記載された家畜飼育法において、前記経口投与される乳酸菌は1日あたり1.2×1010個以上であることを特徴とする。 【0012】 請求項5に記載の家畜飼育法は、家畜舎の水道水に植物性培地で増殖培養した乳酸菌を添加することを特徴とする。 【0013】 請求項6に記載の家畜飼育法は、乳酸菌と植物性培地である栄養物のスラリー状にした混合物を乾燥室において噴霧し熱風で乾燥して粉体化し、該粉体を該熱風により送出管を介して前記乾燥室からそれよりも低温の粉体蓄積室に送出することで家畜飼育用乳酸菌パウダーを製造し、該家畜飼育用乳酸菌パウダーを家畜に対して用いることを特徴とする。 【0014】 請求項7に記載の家畜飼育法は、請求項1乃至6のいずれかに記載された家畜飼育法において、前記乳酸菌はエンテロコッカス属及びラクトバチルス属のいずれかに属する1種又は2種以上の乳酸菌であることを特徴とする。 【発明の効果】 【0015】 本発明の家畜飼育法によれば、植物性培地で増殖培養した乳酸菌を有効成分として含有する洗浄液により分娩後の家畜の子宮内を洗浄し、また、下痢症状を発症した授乳期の家畜の子にその乳酸菌を経口投与し、また、家畜舎の水道水にその乳酸菌を添加することにより、抗生物質や消毒剤等の薬剤を使用せず、かつ、繁殖や育成の効率を向上させることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら説明する。この実施形態では、家畜が豚の場合の飼育法を説明するが、豚以外の牛、馬、羊、山羊、鶏等の家畜に適用することができるのは勿論である。また、本願において、飼育とは家畜の繁殖や育成に係わる全てを含む。 【0017】 まず、本家畜飼育法における母豚の子宮内洗浄について説明する。繁殖豚では、一般に生後約8ヶ月頃に交配が行われ、約114日の妊娠期間を経て分娩を行う。さらに分娩から約40日経過すると、再度交配が行われる。このようにして、3年余りで約6回の分娩を繰り返す。子宮内洗浄は各分娩後に行う。 【0018】 本家畜飼育法の子宮内洗浄では、植物性培地で増殖培養した乳酸菌(以下、植物性乳酸菌と称す)を有効成分として含有する洗浄液を子宮内に注入して洗浄する。分娩後の子宮内、卵管上部、膣には、栄養分が豊富な胎児胎盤の残渣が残存しており、そこには悪性菌或いは病原菌となる細菌(大腸菌、ブドウ球菌など)が繁殖し易い。注入された洗浄液は、このような胎児胎盤の残渣を溶解し、一定時間後、膣から外部に自然排出される。子宮洗浄後には、植物性乳酸菌は栄養が豊かな子宮内、卵管上部、膣に付着し、増殖抑制効果により外部から侵入する悪性菌或いは病原菌となる細菌が繁殖するのを防ぎ、子宮の健康なる回復を促す。なお、本願において、植物性培地とは大豆粉や片栗粉など植物から採取される栄養素を主に(少なくとも動物から採取される栄養素よりも多く)含む培地をいう。 【0019】 植物性乳酸菌による子宮内洗浄を行った母豚は正常子を多く出産し、発情も早い。人工授精を行った場合、着床率が高い。また、母豚のストレスが少なく子豚に対する授乳も順調であるため、子豚の発育が良い。 【0020】 以下、その詳細を述べる。 【0021】 まず、植物性乳酸菌による増殖抑制効果を説明する。本願発明者が行った実験によると、植物性乳酸菌は種々の悪性菌或いは病原菌となる細菌(大腸菌、ブドウ球菌など)に対して増殖抑制効果を有することが分かった。植物性乳酸菌は、乳酸菌自体或いはその生産物(乳酸など)により悪性菌或いは病原菌となる細菌の増殖を抑制する。増殖が抑制されると、それらの細菌は悪性菌或いは病原菌としての作用は及ぼさないことになる。実験で使用する植物性乳酸菌の例は、エンテロコッカス属のエンテロコッカスフェシウム(Enterococcus faecium)とラクトバチルス属のラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)である。 【0022】 植物性乳酸菌のエンテロコッカスフェシウムは、形態が球菌であり、グルコースからガスを生成せず、pH9.6のアルカリ条件下でもpH4.8の酸性条件下でも生育する。耐胆汁性も大きい。また、低温に強く4℃でも生存することが可能である。植物性乳酸菌のラクトバチルスファーメンタムは、形態が桿菌であり、グルコースからガスを生成する。耐酸性を有するので、強酸性下(pH2.0)でも生存することが可能である。また、熱に強く、60℃でも30分間生存することが可能である。 【0023】 実験方法は、まず、エンテロコッカスフェシウム又はラクトバチルスファーメンタムの家畜飼育用乳酸菌パウダー(家畜飼育用乳酸菌パウダーについては後に詳述する)1gを生理食塩水10mlに溶解し、菌数約0.9×109個/mlの試料溶液を作成する。次に、直径4cmの円形状に切った吸水用ろ紙RAを、シャーレSHの中央部に置き、前記試料溶液を吸収させる。そして、1×107個の数の検体菌(大腸菌又はブドウ球菌)を混入させたMRS寒天培地をシャーレSHに注ぎ、37℃で72時間放置し、その後観察する。なお、吸水用ろ紙は、ADVANTEC社製、No26−WA、コード02481180を用いた。 【0024】 図1は、大腸菌とラクトバチルスファーメンタムの実験結果の写真である。シャーレSHの中央部に置かれた吸水用ろ紙RAと検体菌の領域RCとの間には、検体菌が極めて少ない領域RB(その幅WB)が存在する。すなわち、吸水用ろ紙RAに存在する植物性乳酸菌が検体菌の増殖を抑制することがわかる。なお、大腸菌とエンテロコッカスフェシウム、ブドウ球菌とエンテロコッカスフェシウム、ブドウ球菌とラクトバチルスファーメンタム、についても同様に植物性乳酸菌が検体菌の増殖を抑制することを確認した。 【0025】 このように、植物性乳酸菌は種々の悪性菌或いは病原菌となる細菌に対して増殖抑制効果を有する。また、植物性乳酸菌は、牛乳や肉等の動物から採取される栄養素を主に含む培地で増殖培養した乳酸菌に比べ、子宮内及びその洗浄に用いる器具内のような環境での生命力が強い。また、植物性乳酸菌は、少なくとも1種、すなわち単独(1種)でも2種以上を組み合わせて共生させてもよい。桿菌と球菌を組み合わせると、桿菌と球菌が混ざり合って密度が高くなる効果もある。また、エンテロコッカスフェシウムとラクトバチルスファーメンタムの組み合わせの場合、上記のような性質の違いから互いに補完し合い、植物性乳酸菌全体として適応できる温度やpHの範囲が広がって利用性が高まる。 【0026】 次に、家畜の子宮内洗浄に用いる洗浄液の製造方法を説明する。その工程は、大きくは乳酸菌の種菌から家畜飼育用乳酸菌パウダー(乳酸菌粉末)を製造する工程と家畜飼育用乳酸菌パウダーから洗浄液を製造する工程からなる。 【0027】 家畜飼育用乳酸菌パウダーの製造工程を細かく分けると、純粋培養工程、増殖培養工程、スラリー工程、粉末化工程に分けることができる。 【0028】 純粋培養工程では、精製水にグルコース、酵母エキス、ペプトンを混合し、オートクレーブで加熱滅菌したものに乳酸菌の種菌(乳酸菌を組み合わせる場合は全ての種菌を合わせたもの)を添加し、インキュベーターにて培養する(例えば40℃で48時間)。こうして、乳酸菌の純粋培養液を得る。なお、種菌は、菌液或いは純粋培養用の家畜飼育用乳酸菌パウダーの形で供給する。 【0029】 増殖培養工程は、精製水、上記純粋培養液、植物性培地となる各栄養物、を混合して攪拌し、増殖培養する工程である。具体的には、上記純粋培養液を1.5%、脱脂大豆粉9%、片栗粉6%、(黒)糖蜜1%、スキムミルク4%、天然塩0.5%〜1.5%、グルタミン酸ソーダ0.5%、アミノ酸0.1%、イヌリン0.1%、トレハロース0.2%を精製水100%に対して混合し、40℃で48時間保温することによって植物性乳酸菌を増殖させる。なお、百分率は重量についての率を示す(以下の記載においても同様である)。 【0030】 スラリー工程は、ミキサーにて上記混合物をスラリー状にする工程である。 【0031】 粉末化工程は、スプレードライヤーでスラリー状の混合物を噴霧乾燥して粉体化する工程である。具体的には、図2の製造装置図に示すように、乾燥室が設けられ、乾燥室の上部にノズル、下部に送出管が取り付けられる。送出管は、横方向のみならず上方向にも延び、乾燥室に並置される粉体蓄積室に他端が取り付けられる。乾燥室における熱風WIの入口ENの温度は150〜180℃、出口EXの温度は約100℃、旋回速度(モータ(図示せず)の回転によって引き起こされる)は約4000rpmに設定される。乾燥室において上記混合物MIは、ノズルから噴霧され、大風速で旋回する熱風WIで迅速に水分除去(乾燥)されて粉体となる。粉体は、熱風WIの流れに乗って送出管を介して乾燥室より低温(約40℃)の粉体蓄積室に送出される。こうして、乾燥室における迅速な乾燥、及び、粉体蓄積室における迅速な冷却により、高熱による菌の損傷や死滅を著しく抑えることが可能となる。また、乾燥工程中にでんぷん質と糖類による保護膜が外表面に形成され内部の生菌が保護されることも、高熱による菌への影響を抑制する。 【0032】 こうして、粉末化工程により、十分に(水分含有約3%以下に)乾燥し細かな平均粒径の家畜飼育用乳酸菌パウダーを得ることができる。この家畜飼育用乳酸菌パウダーは、植物性乳酸菌の生菌数が高く、エンテロコッカスフェシウム及びラクトバチルスファーメンタムについて測定すると、1.2×1010個/g〜1.2×1011個/gであった。また、家畜飼育用乳酸菌パウダーは、十分に乾燥しており、また、でんぷん質と糖類の保護膜により内部の生菌が保護されるので、長期(例えば低湿度の周囲環境で10〜20年)の保存が可能である。 【0033】 家畜の子宮内洗浄に用いる洗浄液は、家畜飼育用乳酸菌パウダーを液体培地に添加して製造する。液体培地は、例えば精製水に塩を約10%加えたものである。それに例えば家畜飼育用乳酸菌パウダーを約2%添加することにより洗浄液を製造する。こうすると、洗浄液の200ml中には植物性乳酸菌が4.8×1010個以上含まれることになる。本願発明者の実験によれば、洗浄液の200ml中に植物性乳酸菌が少なくとも2.4×109個以上含まれれば子宮内洗浄効果を得ることができる。すなわち、洗浄液の植物性乳酸菌濃度が少なくとも1.2×107個/ml以上あれば、植物性乳酸菌が有効成分として機能する。 【0034】 このように、家畜の子宮内洗浄の都度、家畜飼育用乳酸菌パウダーを添加することにより洗浄液を製造することができるので、植物性乳酸菌の取り扱いは簡便である。なお、洗浄液は、それ自体が悪性菌或いは病原菌となる細菌に対して増殖抑制効果を有するので、保存置き(2週間程度)が可能であり、そのため、利便性が高い。 【0035】 次に、家畜の子宮内洗浄の方法を説明する。 【0036】 図3に示すように、ゴム製、プラスチック製或いは金属製の管状の器具(例えば、カテーテル)で洗浄液を約200ml分娩後の横たわった家畜の子宮内に注入する。この器具の挿入部分は、子宮及び子宮頸などの構造に合わせて使いやすく損傷を与えないように工夫されたものである。注入方法は、落差注入或いは電動注入でもよい。子宮内に注入された洗浄液は、子宮内洗浄後1〜2時間で自然排出される。 【0037】 このように、本家畜飼育法における家畜の子宮内洗浄は、大掛かりで高価な装置が要らず、操作性が良い。また、ヨード系消毒剤を使用しないので、家畜を食肉として供する際において残留有害物質等による人体への影響を懸念することなく子宮内を洗浄することができる。なお、子宮内洗浄後に排出された洗浄液はコラーゲンを豊富に含み、洗浄液にはヨード系消毒剤などの薬剤を使用していないことから、この液を様々な分野(例えば化粧品)に利用することも可能である。 【0038】 下記の表1は、植物性乳酸菌を上記のように含有した洗浄液により、分娩後の家畜全部について本家畜飼育法の子宮内洗浄を行ったときの次の出産に関する実験結果である。また、下記の表2は、家畜全部についてヨード系消毒剤で子宮内洗浄を行った(従来方法の)ときの実験結果である。この実験は同じ養豚場で行ったものである。 【0039】 【表1】
【0040】 【表2】
【0041】 この実験結果によると、本家畜飼育法の子宮内洗浄を行った場合は、そうでない場合に比べ、正常子数が多くなっている。また、後者の場合は虚弱豚や死産のかなりの数が認められるが、前者の場合は虚弱豚や死産は発生していない。これより、本家畜飼育法の子宮内洗浄により、母豚の子宮が健康に回復し、そのうえで着床していると言うことができる。 【0042】 更には、本家畜飼育法の子宮内洗浄によると、子豚の圧死は発生していないが、そうでない場合は子豚の圧死が認められる。また、子豚の出生時平均体重には大差はないが、離乳時平均体重に顕著な差が認められ、本家畜飼育法の方が子豚の発育が良い。本家畜飼育法によらない場合、ヨード系消毒剤で子宮内洗浄を行うことによる副作用(子宮壁の爛れ、微熱など)によるストレスから子豚に対する愛情面が欠け、授乳を避けたり圧死を起こしたりする。これに対し、本家畜飼育法の場合、母豚には炎症等が見られないのは勿論、ストレスも見られず、子豚に対する授乳も順調であった。また、母豚の膣は、2、3日で閉塞し、子宮も早く回復して離乳後5日以内で発情があった。 【0043】 次に、本家畜飼育法における子豚の育成について説明する。 【0044】 子豚は、一般に、授乳期において、初乳の摂取によって母豚から移行する抗体が減少する生後15日〜35日に、下痢症状を発症し易く、抗生物質を注射しても死亡率が高い(例えば30%程度)。本家畜飼育法では、植物性乳酸菌を、服用物に混合して下痢症状を発症した授乳期の家畜の子に経口投与する。それにより、抗生物質を用いることなく、下痢症状から回復させる。 【0045】 前述のように、植物性乳酸菌は種々の悪性菌或いは病原菌となる細菌に対して増殖抑制効果を有する。分娩後の子宮内などに繁殖し易い細菌である大腸菌、ブドウ球菌に対する増殖抑制効果の実験結果については図1などを用いて前述したが、豚の疾病原因となり易いウェルシュ菌、セラチア菌、サルモネラ菌についても同様の実験を行った。図4は、ウェルシュ菌に対するラクトバチルスファーメンタムの実験結果の写真であり、増殖抑制効果を示すことがわかる。他の細菌についても同様に増殖抑制効果を確認した。また、植物性乳酸菌は、動物から採取される栄養素を主に含む培地で増殖培養した乳酸菌に比べ、耐酸性が大きく、内臓に到達する数が多い(約7〜8倍)。 【0046】 前述の表1の子豚について、下痢症状を発症した子豚に対し、家畜飼育用乳酸菌パウダーを1日あたり1g以上(より具体的には1〜2g)、すなわち植物性乳酸菌を1.2×1010個以上、器に入れられた人工乳などに混ぜて経口投与すると、1〜2日で下痢症状が回復した。そして、離乳までの致死数はゼロであった。 【0047】 離乳期や、肥育期の豚においては、植物性乳酸菌を飼料に添加して投与することで病原菌による感染や発病を予防することができる。具体的には、豆類等の利用残渣に家畜飼育用乳酸菌パウダーを加えて発酵させたものを試料に添加する。 【0048】 次に、本家畜飼育法における家畜舎(豚舎)の管理について説明する。 【0049】 植物性乳酸菌を用い、抗生物質や消毒剤等の薬剤を用いない家畜飼育法には、豚のストレスを和らげ、整った環境を作り出すため、以下のように豚舎の管理を行うことが望ましい。豚舎の配置は繁殖豚舎、分娩豚舎、離乳豚舎、育成豚舎、ならびに出荷豚舎の順に設け、豚の育成過程に応じてそれぞれの豚舎で育てる。 【0050】 更に、豚舎の温度、湿度調節を行うことは、豚にとって快適な環境を作り出す効果と共に、疫病対策にも有効である。例えば、冬期の暖房については、特に、子豚の発育不良を予防し死亡率を低減させることができる。湿度調節は、気管支炎の予防と余分な体力消耗を防ぐことができる。具体的には、子豚の場合、冬期は20〜25℃、65〜70%、夏期は25〜30℃、60〜70%、とし、中豚の場合、冬期は15〜20℃、60〜70%、夏期は25〜30℃、70〜75%、とする。成豚の場合、冬期は10〜20℃、65〜70%、夏期は25〜30℃、70〜75%に調節する。特に、繁殖豚舎では、温度、湿度を一定に保持し、また、外部からの伝染病が入り込むのを防止するため豚舎側面にカーテンを設置するのが有効である。 【0051】 豚舎の湿度は、水道水を噴霧することにより調整する。ここで、植物性乳酸菌を豚舎の水道水に添加し、飲用水として供し、かつ、豚舎内に噴霧するようにすると、飲用水が前述の飼料のように病原菌による感染や発病を予防し、かつ、湿度の調整をしつつ、噴霧された水に含まれる植物性乳酸菌が豚の皮膚に付着することにより皮膚病の予防が可能になる。例えば、家畜飼育用乳酸菌パウダーを0.1%混合させた水を豚舎内に配設される水道管に流すようにする。 【0052】 以上のように、植物性乳酸菌、特に家畜飼育用乳酸菌パウダーを繁殖、育成に総合的に用いた本家畜飼育法を行えば、抗生物質や消毒剤等の薬剤を使用しないので、環境に対してやさしく、しかも、食肉として供した場合も残留有害物質等による人体への影響がない安全な飼育が可能である。また、豚の健康状態が良好に維持され、発育が良く肉質も良好で美味しい豚肉が生産される。 【0053】 なお、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、実施形態に記載した製造条件、環境条件などの細かな数値、又は材料などは適宜変更や追加が可能であることは勿論である。 【図面の簡単な説明】 【0054】 【図1】大腸菌に対するラクトバチルスファーメンタムの増殖抑制の実験結果を示す図である。 【図2】本発明の実施形態に係る家畜飼育法に用いる家畜飼育用乳酸菌パウダーの製造装置の一部を示す図である。 【図3】同上の家畜飼育法の子宮内洗浄を示す図である。 【図4】ウェルシュ菌に対するラクトバチルスファーメンタムの増殖抑制の実験結果を示す図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】595059698 【氏名又は名称】汐見 修一 【識別番号】506429215 【氏名又は名称】株式会社プロバイオインターナショナル
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| 【出願日】 |
平成18年6月28日(2006.6.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086689 【弁理士】 【氏名又は名称】松井 茂
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| 【公開番号】 |
特開2008−5727(P2008−5727A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月17日(2008.1.17) |
| 【出願番号】 |
特願2006−177560(P2006−177560) |
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