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【発明の名称】 搾乳ユニット用自動離脱装置の制御方法
【発明者】 【氏名】宮下 芳行

【氏名】山嵜 修

【要約】 【課題】電動モータ部に過大な起電力(負荷電流)が発生するのを防止して電動モータ部の耐久性低下や故障を招く不具合を解消する。

【構成】巻上機構5を回転駆動し、かつ回転方向を巻上方向Dr側又は繰出方向Df側に切換可能な切換ポートpcを有する電動モータ部6を備え、巻上機構5により離脱ワイヤ4を巻上げる際に、離脱ワイヤ4の巻上方向Dr側終端4eを検出したなら電動モータ部6の停止制御を行い、この後、ユニット本体部2をホームポジションPhまで自然落下させるとともに、電動モータ部6の起電力Vrを検出し、検出した起電力Vrが予め設定した閾値Vs以下になったなら切換ポートpcを繰出方向Df側に切換える制御を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティートカップを有するユニット本体部に結合した離脱ワイヤを巻上機構により巻上げ、乳房に装着した前記ティートカップを自動で離脱させる際における搾乳ユニット用自動離脱装置の制御方法において、前記巻上機構を回転駆動し、かつ回転方向を巻上方向側又は繰出方向側に切換可能な切換ポートを有する電動モータ部を備え、前記巻上機構により前記離脱ワイヤを巻上げる際に、前記離脱ワイヤの巻上方向側終端を検出したなら前記電動モータ部の停止制御を行い、この後、前記ユニット本体部をホームポジションまで自然落下させるとともに、前記電動モータ部の起電力を検出し、検出した起電力が予め設定した閾値以下になったなら前記切換ポートを前記繰出方向側に切換える制御を行うことを特徴とする搾乳ユニット用自動離脱装置の制御方法。
【請求項2】
前記巻上機構により前記離脱ワイヤを巻上げる際に、前記切換ポートを前記巻上方向側に切換えた後、予め設定した所定の遅延時間が経過したなら前記電動モータ部を作動制御し、前記巻上機構による前記離脱ワイヤの巻上げを開始することを特徴とする請求項1記載の搾乳ユニット用自動離脱装置の制御方法。
【請求項3】
前記離脱ワイヤに被検出体を固定し、前記被検出体を検出スイッチにより検出することにより前記離脱ワイヤの巻上方向側終端を検出することを特徴とする請求項1記載の搾乳ユニット用自動離脱装置の制御方法。
【請求項4】
前記電動モータ部は、前記切換ポートを有するモータ駆動回路部及びこのモータ駆動回路部により制御される直流ブラシレスモータを備えることを特徴とする請求項1記載の搾乳ユニット用自動離脱装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、離脱ワイヤを巻上機構で巻上げることにより乳房に装着したティートカップを自動で離脱させる際における搾乳ユニット用自動離脱装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、搾乳機には、搾乳終了により乳房に装着したティートカップを自動で離脱させる自動離脱装置を備えており、離脱させる際には、通常、ティートカップに対する真空吸引を解除し、内蔵する巻上機構により、ティートカップを有するユニット本体部に結合した離脱ワイヤを巻上げる動作を行う。
【0003】
従来、このような巻上機構を備えた自動離脱装置としては、特表平6−508521号公報で開示される搾乳手段の自動取り外し装置が知られている。同公報で開示される自動取り外し装置(自動離脱装置)は、搾乳の終了後に、搾乳手段を動物の乳首から自動的に取り外すための装置であって、フレームと、このフレームに取付けられ、回転するコードドラム、このコードドラムに巻付けられ、かつ取り外すべき搾乳手段に連結するための連結部材をその自由端に備えるコード、およびコードを巻付けるために、コードドラムを回転させるように整備された空気圧作動モータを用いた駆動手段を備えた作動ユニットを有し、コードドラムが、駆動手段によって回転されると、コードが動物の乳頭から搾乳手段を引き外すように構成したものである。
【特許文献1】特表平6−508521号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の自動離脱装置(自動取り外し装置)は、次のような問題点があった。
【0005】
即ち、駆動手段に空気圧作動モータを用いるため、巻上速度の設定や制御を容易に行えないとともに、バルブや配管により構成するエア回路が必要となり、装置全体の大型化や煩雑化を招く。また、モータのロータにはベーン(羽根)を用いるため、コードを速く引き出そうとする際には、空気抵抗に抗して引き出す必要があり、無用な労力を要する。一方、この問題を解消するには、モータとコードドラムを切離すクラッチ等を設けて対応できるが、巻上機構の大型化やコストアップを招くなど、空気圧作動モータを用いたことに伴う基本的な問題を生じる。
【0006】
一方、駆動手段として電動モータを用いることも考えられるが、自動離脱装置の場合には電動モータを非作動状態にしてコードを引き出す工程、或いはコードを巻上げた後に自動離脱装置を固有の方法により停止させる工程などを採用するため、例えば、コードを無理に引き出そうとする場合には発電機として動作する電動モータに過大な起電力が発生したり、或いは繰出方向に回転している途中の電動モータに対して巻上方向に回転する指令信号を付与した場合には過大な負荷電流が流れるなど、電動モータの耐久性低下や故障を招く原因となる。
【0007】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した搾乳ユニット用自動離脱装置の制御方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る搾乳ユニット用自動離脱装置1の制御方法は、上述した課題を解決するため、ティートカップ3…を有するユニット本体部2に結合した離脱ワイヤ4を巻上機構5により巻上げ、乳房Cd…に装着したティートカップ3…を自動で離脱させるに際し、巻上機構5を回転駆動し、かつ回転方向を巻上方向Dr側又は繰出方向Df側に切換可能な切換ポートpcを有する電動モータ部6を備え、巻上機構5により離脱ワイヤ4を巻上げる際に、離脱ワイヤ4の巻上方向Dr側終端4eを検出したなら電動モータ部6の停止制御を行い、この後、ユニット本体部2をホームポジションPhまで自然落下させるとともに、電動モータ部6の起電力Vrを検出し、検出した起電力Vrが予め設定した閾値Vs以下になったなら切換ポートpcを繰出方向Df側に切換える制御を行うようにしたことを特徴とする。
【0009】
この場合、発明の好適な態様により、巻上機構5により離脱ワイヤ4を巻上げる際に、切換ポートpcを巻上方向Dr側に切換えた後、予め設定した所定の遅延時間Trが経過したなら電動モータ部6を作動制御し、巻上機構5による離脱ワイヤ4の巻上げを開始することができる。また、離脱ワイヤ4に被検出体11を固定し、被検出体11を検出スイッチ12により検出することにより離脱ワイヤ4の巻上方向Dr側終端4eを検出することができる。なお、電動モータ部6は、切換ポートpcを有するモータ駆動回路部13及びこのモータ駆動回路部13により制御される直流ブラシレスモータ14により構成できる。
【発明の効果】
【0010】
このような手法による本発明に係る搾乳ユニット用自動離脱装置1の制御方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0011】
(1) ユニット本体部2がホームポジションPhまで自然落下する際における電動モータ部6の起電力Vrを検出し、検出した起電力Vrが予め設定した閾値Vs以下になったなら切換ポートpcを繰出方向Df側に切換える制御を行うようにしたため、離脱終了後、ホームポジションPhにあるユニット本体部2(離脱ワイヤ4)を直ちに引出し、再搾乳を行う場合であっても、引出し時には切換ポートpcが繰出方向Df側へ確実に切換わっており、引出し時に発生する電動モータ部6の起電力は、電動モータ部6を繰出方向Dfに回転させる電力として消費され、電動モータ部6に過大な起電力が発生する虞れは無くなり、電動モータ部6の耐久性低下や故障を招く不具合を解消できる。
【0012】
(2) 電動モータ部6を用いたため、巻上速度の設定や制御を容易に行うことができるとともに、空気圧作動モータを用いる場合と異なり、バルブや配管により構成するエア回路などが不要となり、装置全体の小型化及び単純化を実現することができる。しかも、モータを切離すクラッチ等も設ける必要がないため、巻上機構5の小型化やコストダウンにも貢献できる。
【0013】
(3) ユニット本体部2の自然落下時に発生する電動モータ部6の起電力は、電動モータ部6を巻上方向Drに回転させる電力として消費され、ユニット本体部2の自然落下に対して適度な制動がかかる。この結果、離脱ワイヤ4の緩み防止或いは絡み防止を図れるとともに、自動離脱装置1に揺れや衝撃等が作用してもユニット本体部2は、安定に落下するため、ホームポジションPhの定位置に正確に停止させることができる。
【0014】
(4) 好適な態様により、巻上機構5により離脱ワイヤ4を巻上げる際に、切換ポートpcを巻上方向Dr側に切換えた後、予め設定した所定の遅延時間Trが経過したなら電動モータ部6を作動制御し、巻上機構5による離脱ワイヤ4の巻上げを開始するようにすれば、切換ポートpcが繰出方向Df側に確実に切換わった後に巻上方向Drへ回転させる駆動電流が流れるため、電動モータ部6に過大な負荷電流(駆動電流)が流れる虞れは無くなり、この観点からも電動モータ部6の耐久性低下や故障を招く不具合を解消できる。
【0015】
(5) 好適な態様により、離脱ワイヤ4に被検出体11を固定し、被検出体11を検出スイッチ12により検出することにより離脱ワイヤ4の巻上方向Dr側終端4eを検出するようにすれば、離脱ワイヤ4の終端4eを正確かつ確実に検出できるとともに、被検出体11をホームポジションPhにおけるストッパとして兼用でき、ユニット本体部2をホームポジションPhに安定に保持できる。
【0016】
(6) 好適な態様により、電動モータ部6を、切換ポートpcを有するモータ駆動回路部13及びこのモータ駆動回路部13により制御される直流ブラシレスモータ14により構成すれば、本発明に係る制御方法を最適な形態により実施可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
まず、本発明の理解を容易にするため、搾乳ユニット用自動離脱装置1を備える搾乳システム全体の概略構成について、図2及び図3を参照して説明する。
【0019】
図2は、搾乳システムMの主要部を上方から見た模式的斜視図を示す。同図中、21,21は左右一対のガイドレール部であり、このガイドレール部21,21には、平行に配した一対の主レール21m,21m及びこの主レール21mから直角方向に分岐した複数の分岐レール21b…,21b…が含まれるとともに、ガイドレール部21と21の間には、作業者が通行できる搾乳通路Rが設けられる。また、搾乳通路Rの両側には多数のストールSt…が搾乳通路Rに沿って設けられ、各ストールSt…には、図3に示すように、乳牛C…が係留される。なお、左右のガイドレール部21,21の基本構成は、左右対称となる点を除いて基本的に同じとなる。したがって、以下には、一方のガイドレール部21側の構成についてのみ説明する。
【0020】
ガイドレール部21における各分岐レール21b…は配列するストールSt…に対して一つ置きに設け、ストールStとSt…間に配するとともに、先端は、ガイドレール部21に沿って配したミルクライン(真空ラインを含む)Lの近傍まで延設する。ミルクラインLの所定位置には、各ストールSt…に対応して一対のミルクタップ22p,22q…が設けられる。
【0021】
任意の分岐レール21bは、主レール21mのホームポジションを上流側Fuとした場合、ホームポジションに対して下流方向に湾曲させて当該主レール21mに合流させる分岐部21jを有するとともに、この分岐部21jには、分岐部21jに対する主レール21mの上流側と下流側又は主レール21mの下流側と分岐レール21b側を接続可能なディバータ(切換レール)21pを内蔵する。なお、他の分岐レール21b…側も同様に構成する。主レール21m及び分岐レール21b…は、断面矩形の内部を中空に形成し、底面にはレールを形成するスリットを有する。そして、このガイドレール部21には、図2に示すように、ガイドレール部21に沿って自走する二台の搾乳機23,23を装填する。なお、主レール21mの一端側は、図に現れない引込レールを介して洗浄装置や充電装置等が設けられた管理室に至らせる。
【0022】
また、搾乳機23(他方の搾乳機23も同じ)は、図3に示すように、ガイドレール部21に吊り下げられる自走部25と、この自走部25により支持される左右一対の搾乳ユニットU,Uを備え、自走部25にはコントローラ26を搭載する。このコントローラ26には、自走部25の制御を司るコントローラ本体及びバッテリボックス等を内蔵するとともに、外面には操作パネルを備える。自走部25は、ベース部27を備え、このベース部27の上面に駆動モータ28を搭載するとともに、ガイドレール部21の内部には、この駆動モータ28により回転する後輪となる左右一対の駆動車輪及び前輪となる左右一対の空転車輪を備える。さらに、ベース部27の左右側面には、吊下アーム29,29をそれぞれ左右に突出させて設け、この吊下アーム29,29に、一対の搾乳ユニットU,Uをそれぞれ吊り下げる。搾乳ユニットU(他方の搾乳ユニットUも同じ)は、ユニット本体部2とこのユニット本体部2に付設した自動離脱装置1を備える。
【0023】
次に、本実施形態に係る制御方法を実施できる自動離脱装置1及びユニット本体部2の構成について、図3〜図6を参照して説明する。
【0024】
ユニット本体部2は、図3に示すように、ミルククロー33を備え、このミルククロー33には、乳牛Cの乳房Cd…に装着するための四つのティートカップ3…を接続するとともに、ミルククロー33と不図示のディストリビュータ間は、ミルクチューブ34及び真空チューブ35により接続する。
【0025】
一方、自動離脱装置1は、搾乳したミルクの流量を監視することにより搾乳の終了時期を検出し、乳房Cd…に装着したティートカップ3…(ユニット本体部2)を自動で離脱させる機能を有する装置本体40と、この装置本体40の上端から上方に設けた逆J形の吊下部41と、装置本体40の下端から下方に設けたガイド筒42を備え、このガイド筒42の下端から後述する離脱ワイヤ4が導出する。これにより、自動離脱装置1は、吊下部41により上述した吊下アーム29に掛けることができる。
【0026】
装置本体40は、図4に示すようにケーシング43を備え、このケーシング43は、機器部品を配設するシャーシ部44及び機器部品を含むシャーシ部44を覆う開閉可能なカバー部45を備える。この場合、シャーシ部44に配設する機器部品には、ミルクの流量を検出する検出部(検出電極)を付設したミルク配管をはじめ、パルセータ及び各種バルブ類を有する搾乳系の回路を含むとともに、シャーシ部44の底面44d上には、図4に示す巻上機構5及びこの巻上機構5を回転駆動する電動モータ部6を配設する。さらに、カバー部45の内面には、ミルク配管に付設した検出部から得る検出信号を信号処理し、この処理結果に応じて各種信号処理及び自動離脱制御(シーケンス制御)を行う制御基板部46(図5)を配設するとともに、外面には操作部を配設する。この操作部にはデジタル表示等を行う表示部が含まれる。
【0027】
電動モータ部6は、図4及び図5に示すように、巻上機構5を回転させる直流ブラシレスモータ(以下、DCモータ)14及びこのDCモータ14を制御するモータ駆動回路部13を備え、このモータ駆動回路部13は、DCモータ14の回転方向を巻上方向Dr側又は繰出方向Df側に切換可能な切換ポートpcを有する。このような電動モータ部6を用いれば、本発明に係る制御方法を最適な形態により実施可能となる。
【0028】
また、巻上機構5は、DCモータ14の回転シャフトに取付けたコードリール47と、このコードリール47を覆うリールカバー48を備える。コードリール47には、離脱ワイヤ(コード,ロープ)4を巻回する。離脱ワイヤ4は、後端をコードリール47に結合して、当該コードリール47に巻回するとともに、先端側はガイド筒42を通して当該ガイド筒42の下端から導出させ、先端に、ユニット本体部2(ミルククロー33)を吊下げるためのフック49を設ける。このため、リールカバー48の下周面及びシャーシ部44の底面44dには、離脱ワイヤ4が通る開口部48o及び開口部44doをそれぞれ形成する。さらに、離脱ワイヤ4における巻上方向Dr側の終端4eに対応する位置には、ボール状の被検出体11を固定する。
【0029】
一方、ガイド筒42は、図6に示すように、円筒状の筒本体部51と、筒本体部51の上端に一体形成し、シャーシ部44の底部44dの下面に取付けるフランジ部52と、筒本体部51の下端に一体形成したポケット部53を備える。筒本体部51は、内部に、被検出体11の外径よりもやや大きい内径のガイド通路51r(図4)を有する。ポケット部53は、前面53fに、被検出体11が出入する出入口部54を形成するとともに、前面53fと底面53d間には傾斜ガイド面55を設け、この傾斜ガイド面55には、出入口部54に連通し、かつ離脱ワイヤ4の径よりも若干大きい幅を有するガイドスリット56を形成する。また、筒本体部51の上端であってフランジ部52の内側には、被検出体11を検出する検出スイッチ(リミットスイッチ)12を配設する。
【0030】
図5は、DCモータ14を制御する制御系である。14はDCモータ、13はDCモータ14に接続したモータ駆動回路部、61はモータ駆動回路部13に接続したモータ制御回路部、62はモータ制御回路部に接続したマイコン(マイクロコンピュータ)を示す。モータ駆動回路部13とDCモータ14は電動モータ部6を構成する。
【0031】
モータ駆動回路部13は、モータドライバ63,回転検出部64及び駆動出力部65を備える。この場合、駆動出力部65は三つ(三相)のスイッチング回路Su,Sv,Swを備え、モータドライバ63から付与される制御信号により、各スイッチング回路Su,Sv,Swを順番にON/OFF制御する。これにより、DCモータ14は、内部に発生する回転磁界により回転するとともに、各スイッチング回路Su,Sv,SwをON/OFF制御する順番を変更することにより、回転方向を巻上方向Dr側又は繰出方向Df側に切換えることができる。
【0032】
したがって、このような電動モータ部6を用いれば、巻上速度の設定や制御を容易に行うことができるとともに、空気圧作動モータを用いる場合と異なり、バルブや配管により構成するエア回路などが不要となり、装置全体の小型化及び単純化を実現することができる。しかも、モータを切離すクラッチ等も設ける必要がないため、巻上機構5の小型化やコストダウンにも貢献できる利点がある。
【0033】
モータ制御回路部61は、マイコン62から付与されるON/OFF切換信号により、DCモータ14を駆動する36〔V〕(電源電圧Vc)の直流電力を供給し又は停止する駆動電源回路66と、この駆動電源回路66から供給される直流電力を、ノイズ成分を除去して駆動出力部65に供給するノイズ吸収回路67と、駆動電源回路66から駆動出力部65に至る給電ラインの電圧を検出し、マイコン62に付与する駆動電源電圧監視回路68と、モータドライバ63に12〔V〕(制御用電圧Vcc)の直流電力を供給するモータドライバ用電源回路69と、電動モータ部6で発生した回生電力を吸収する回生電力吸収回路70と、この回生電力吸収回路70に内蔵する回生電力消費抵抗の一端における回生電圧を測定し、マイコン62に付与する回生電圧測定回路71と、マイコン62から付与される切換信号により切換ポートpcの電位を変更し、DCモータ14の回転方向を巻上方向Dr側又は繰出方向Df側に切換えるモータ回転方向切換回路72と、切換ポートpcの電位を検出し、搾乳ユニットUのタイプが、電動モータ部6の接続された自動離脱方式であるか電動モータ部6の接続されない手動離脱方式であるかを判別するモータ接続検出回路73と、マイコン62から付与されるPWM信号によりDCモータ14の回転速度を可変制御するモータ回転速度制御回路74を備える。この場合、モータ回転方向切換回路72は、切換ポートpcに電位Vmがプルアップされるため、マイコン62から付与される切換信号により、切換ポートpcをオープン状態(ハイレベル)又は接地状態(ローレベル)にして切換を行う。
【0034】
また、図7には、駆動電源電圧監視回路68の機能を、より具体的に示す機能ブロック図を示す。同図中、68aは駆動電源回路66から駆動出力部65に至る給電ラインの電圧、即ち、電動モータ部6が停止した後、ユニット本体部2がホームポジションPhまで自然落下する際に電動モータ部6から発生する起電力Vrを検出する電圧検出機能部、68bは起電力Vrに対する閾値Vsを設定する閾値設定機能部、68cは起電力Vrと閾値Vsを比較し、起電力Vrが閾値Vs以下になったか否かを監視する電圧比較機能部、68dは電圧比較機能部68cの監視結果に基づき、起電力Vrが閾値Vs以下になったことをマイコン62に付与する監視結果出力機能部をそれぞれ示す。なお、閾値Vsとしては、安全電圧となる、例えば、2〔V〕程度を設定できる。
【0035】
次に、このような自動離脱装置1を用いた本実施形態に係る制御方法を含む搾乳工程について、各図を参照しつつ図1に示すフローチャートに従って説明する。
【0036】
搾乳前の待機状態における搾乳ユニットUは、図3に示す右側の搾乳ユニットUのように、ユニット本体部2は非使用位置Xnにある。したがって、被検出体11は、図4に実線で示すようにポケット部53の内部に保持され、ユニット本体部2は、ガイドスリット56の下端から下方に導出する離脱ワイヤ4により吊り下げられる。
【0037】
搾乳を行う際には、まず、電源を投入する(ステップS1)。図8中、t1が電源の投入時点を示す。電源の投入により、モータドライバ用電源回路69からモータドライバ63に給電が行われる。また、搾乳の開始に際しては、搾乳開始スイッチをONにし(ステップS2)、この後、ティートカップ3…の装着作業を行う。この場合、搾乳者は、非使用位置Xnのユニット本体部2を乳牛Cの乳房Cd…まで持って行く。具体的には、搾乳者は、ユニット本体部2を持ち上げることにより、図4に示す被検出体11を上方へ変位させ、仮想線で示すように、出入口部54から矢印Ff方向へ引き出した後、そのまま乳牛Cの乳房Cd…まで持って行けばよい。
【0038】
これにより、巻上機構5のコードリール47からは、ユニット本体部2の移動に伴って離脱ワイヤ4が引き出される(ステップS3)。図8中、t2が引出し操作の開始時点を示す。ところで、この際、モータドライバ63の切換ポートpcは、繰出方向Df側に切換わっている。即ち、繰出方向Df側への切換処理は、前回の搾乳終了後に行われ、搾乳の開始時点では繰出方向Df側に切換わっている。この切換処理については後述する。なお、設備設置時やメンテナンス実施時或いはソフトウェア変更などにより、切換ポートpcが巻上方向Dr側に切換わった状態にあれば、搾乳開始スイッチのON時に繰出方向Df側へ切換える制御を行う。
【0039】
離脱ワイヤ4がコードリール47から引き出されることにより、コードリール47、更にはDCモータ14が繰出方向Df側に回転する。この場合、DCモータ14の回転は、発電機としての動作となり、次のような作用を伴う。即ち、離脱ワイヤ4を引き出す際には、切換ポートpcは繰出方向Df側に切換わっているため、DCモータ14により発電した起電力は、スイッチング回路(FET回路)Su,Sv,Swに接続された不図示の保護ダイオードを通して駆動電源回路66側に回り込み、疑似的にDCモータ14を繰出方向Df側に回転させる駆動電力として消費される。これにより、離脱ワイヤ4は、労力を要することなく僅かな力により容易に引き出すことができ、作業性及び作業能率の向上に寄与できる。
【0040】
また、搾乳開始スイッチのONにより、搾乳ユニットUの全体の動作も開始する。これにより、ティートカップ3…には真空負圧が供給されるため、搾乳者は、各ティートカップ3…を乳牛Cの乳房Cd…に装着する(ステップS4)。図3中、左側の搾乳ユニットUが装着した状態を示す。そして、搾乳ユニットUによる通常の搾乳処理が行われる(ステップS5)。一方、自動離脱装置1は、搾乳したミルクの流量を監視し、搾乳の終了時期を検出したならティートカップ3…を自動で離脱する自動離脱処理を行う。この場合、ティートカップ3…に対する真空負圧の供給が停止し、離脱可能状態になる。
【0041】
さらに、搾乳の終了時期の検出により、切換ポートpcを巻上方向Dr側に切換える制御を行う(ステップS6)。図8中、t3が巻上方向Dr側への切換時点を示す。また、巻上方向Dr側への切換と同時にDCモータ14に対する作動開始処理を行う。即ち、図8におけるt3時点で巻上方向Dr側へ切換えたなら、不図示のタイマ機能により計時を開始し、予め設定した所定の遅延時間Tr(例えば、100〔m秒〕程度)が経過したならDCモータ14を作動させる(ステップS7,S8,S9)。これにより、切換ポートpcが繰出方向Df側に確実に切換わった後に巻上方向Drへ回転させる駆動電流が流れるため、電動モータ部6に過大な負荷電流(駆動電流)が流れる虞れは無くなる。よって、巻上方向Dr側に対する切換とDCモータ14の作動のタイミングが同期するリスクが回避され、電動モータ部6の耐久性低下や故障を招く不具合を解消できる。DCモータ14の作動は、モータドライバ63から制御信号が出力し、この制御信号が駆動出力部65に付与されることにより行われる。図8中、t4がDCモータ14の作動開始時点を示している。
【0042】
DCモータ14の作動によりコードリール47が回転し、離脱ワイヤ4が巻上げられるとともに、ユニット本体部2が図3に示す非使用位置Xnまで引き戻される(ステップS10)。この際、被検出体11がガイド筒42における底面53dに当接すれば、図4に示す点線矢印Frのように、傾斜ガイド面55に沿って上昇し、出入口部54から内部に進入するとともに、筒本体部51に沿って上昇する。被検出体11が筒本体部51の上端に達すれば、検出スイッチ(リミットスイッチ)12により検出され、DCモータ14に対する停止制御が行われる(ステップS11,S12)。この結果、ユニット本体部2(被検出体11)は自然落下する(ステップS13)。そして、ユニット本体部2がホームポジションPh(非使用位置Xn)まで落下すれば、被検出体11はポケット部53の内部に保持され、ユニット本体部2はホームポジションPhで停止する(ステップS14)。図8中、t5がDCモータ14の停止時点を示す。
【0043】
一方、DCモータ14に対する停止制御が行われたなら、駆動電源電圧監視回路68によりDCモータ14から発生する起電力Vrを監視する(ステップS15)。そして、起電力Vrが予め設定した閾値Vs以下になったなら切換ポートpcを繰出方向Df側に切換える制御を行う(ステップS16,S17)。具体的には、DCモータ14に対する停止制御が行われた後、ユニット本体部2の自然落下により、DCモータ14は切換ポートpcが巻上方向Dr側に切換わったままで繰出方向Dfに回転する。したがって、DCモータ14が発電機として動作するも、DCモータ14(電動モータ部6)の起電力Vrは、スイッチング回路Su,Sv,Swに接続された保護ダイオード(不図示)を通して、駆動電源回路66から駆動出力部65に至る給電ラインに回り込むため、この給電ラインの起電力Vrが、図7に示す電圧検出機能部68aにより検出される。電圧検出機能部68aにより検出された起電力Vrは、電圧比較機能部68cに付与されるとともに、閾値設定機能部68bに設定された閾値Vs(2〔V〕)も電圧比較機能部68cに付与される。電圧比較機能部68cは、起電力Vrと閾値Vsを比較し、起電力Vrが閾値Vs以下になったか否かを監視する。そして、上述した被検出体11がポケット部53の内部に保持されれば、起電力Vrは急速に低下するため、電圧比較機能部68cは、起電力Vrが閾値Vs以下になったことを検出し、検出結果を監視結果出力機能部68dに付与する。これにより、監視結果出力機能部68dは、監視結果をマイコン62に付与し、マイコン62は、切換ポートpcを繰出方向Df側に切換える制御を行う。図8中、t6が繰出方向Df側への切換時点を示す。この後、搾乳作業が終了したなら電源を切断する(ステップS18)。図8中、t7が電源切断時点を示す。
【0044】
このように、離脱ワイヤ4に被検出体11を固定し、被検出体11を検出スイッチ12により検出することにより離脱ワイヤ4の巻上方向Dr側終端4eを検出するようにしたため、離脱ワイヤ4の終端4eを正確かつ確実に検出できるとともに、被検出体11をホームポジションPhにおけるストッパとして兼用でき、ユニット本体部2をホームポジションPhに安定に保持できる。
【0045】
ところで、DCモータ14に対する停止制御が行われた後、ユニット本体部2が落下する際には、離脱ワイヤ4がコードリール47から引き出され、DCモータ14が発電機として動作するが、前述した離脱ワイヤ4の引出し時とは異なり、切換ポートpcは、巻上方向Dr側に切換わった状態を維持する。したがって、駆動電源回路66側に回り込んだ起電力は、DCモータ14を巻上方向Dr側に回転させる駆動電力として消費される。これにより、ユニット本体部2の自然落下に対して適度な制動がかかり、離脱ワイヤ4の緩み防止或いは絡み防止を図れるとともに、自動離脱装置1に揺れや衝撃等が作用してもユニット本体部2は、安定に落下するため、ホームポジションPhの定位置に正確に停止させることができる。
【0046】
よって、このような本実施形態に係る制御方法によれば、ユニット本体部2がホームポジションPhまで自然落下する際における電動モータ部6の起電力Vrを検出し、検出した起電力Vrが予め設定した閾値Vs以下になったなら切換ポートpcを繰出方向Df側に切換える制御を行うようにしたため、離脱終了後、ホームポジションPhにあるユニット本体部2(離脱ワイヤ4)を直ちに引出し、再搾乳を行う場合であっても、引出し時には切換ポートpcが繰出方向Df側へ確実に切換わっており、引出し時に発生する電動モータ部6の起電力は、電動モータ部6を繰出方向Dfに回転させる電力として消費され、電動モータ部6に過大な起電力が発生する虞れは無くなり、電動モータ部6の耐久性低下や故障を招く不具合を解消できる。
【0047】
以上、最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、電動モータ部6は、切換ポートpcを有するモータ駆動回路部13及びこのモータ駆動回路部13により制御される直流ブラシレスモータ14により構成した場合を示したが、同様の機能を有する他の各種電動モータを利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の最良の実施形態に係る制御方法を含む搾乳工程を順を追って説明するためのフローチャート、
【図2】同制御方法を実施する搾乳ユニット用自動離脱装置を備える搾乳システムの模式的斜視図、
【図3】同自動離脱装置を備える搾乳機の正面図、
【図4】同自動離脱装置の要部を示す一部断面側面図、
【図5】同自動離脱装置の要部に係わる制御系のブロック回路図、
【図6】同自動離脱装置におけるガイド筒の外観斜視図、
【図7】同自動離脱装置に備える駆動電源電圧監視回路の機能を具体的に示す機能ブロック図、
【図8】同自動離脱装置の要部に係わる制御系の各部における電圧(動作)のタイミングチャート、
【符号の説明】
【0049】
1:搾乳ユニット用自動離脱装置,2:ユニット本体部,3…:ティートカップ,4:離脱ワイヤ,4e:巻上方向側終端,5:巻上機構,6:電動モータ部,11:被検出体,12:検出スイッチ,13:モータ駆動回路部,14:直流ブラシレスモータ,Cd…:乳房,Dr:巻上方向,Df:繰出方向,pc:切換ポート,Ph:ホームポジション,Vr:電動モータ部の起電力,Vs:閾値,Tr:遅延時間
【出願人】 【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂


【公開番号】 特開2008−29255(P2008−29255A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−206153(P2006−206153)